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下水道クイックプロジェクト
技術利用ガイド(案)
~道路線形に合わせた施工編~
平成 23 年 12 月
下水道クイックプロジェクト推進委員会事務局
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まえがき
下水道管きょの設計においては、管きょの起点および方向または勾配が著しく変化
する箇所、管きょ径等の変化する箇所、段差の生ずる箇所、管きょの会合する箇所に
必要に応じマンホールを設けることが基本となっている。一方、コスト縮減の社会的
要請の高まりにより、マンホールは必要最小限とすることが望まれている。
特に、丘陵地や中山間地等、道路線形の縦断的、平面的な変化が大きい地区では、
建設費が割高になり、十分な費用対効果が発揮されず普及が遅れがちになっている。
このような状況の中、曲管の積極採用や、急勾配路線における実流速を元にした設
計(最大流速の定義の緩和)により道路線形や地表勾配に合わせた管きょの施工が提
案され、実績も増しつつある。これにより、マンホールの省略や管きょの浅埋化が可
能となり、その結果、コスト縮減および工期短縮が図られ、効率性の低い未普及地域
における未普及解消や効率的な改築に供する技術として期待されるものである。
本技術利用ガイド(案)は、下水道クイックプロジェクト推進委員会における技術評
価を踏まえて作成されており、道路線形に合わせた施工の調査・設計・施工および維
持管理に必要とされる基本的な考え方について、従来からの理論・経験、および愛知
県岡崎市・愛知県半田市、熊本県宇城市で行われた下水道クイックプロジェクトの社
会実験による検証結果をもとにとりまとめられている。本技術利用ガイド(案)が利用
され、下水道未整備地域において安価かつ早期に下水道が整備されることが期待され
る。
なお本技術利用ガイド(案)の作成に当たっては、愛知県岡崎市、愛知県半田市、熊
本県宇城市に多大なるご協力を頂き、記して謝意を表する。
平成 23 年 12 月
下水道クイックプロジェクト推進委員会事務局
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道路線形に合わせた施工編目次
第1章 総則 ............................................................................................................................1 §1 技術の概要 ................................................................................................................1 §2 適用の範囲 ................................................................................................................2 §3 関連法令等 ................................................................................................................4 §4 採用にあたっての主な留意点 ................................................................................5
第2章 調査・設計 ................................................................................................................8 §5 調査 ............................................................................................................................8 §6 適用性検討 ................................................................................................................8 §7 経済性の比較 ............................................................................................................9 §8 工期の比較 ............................................................................................................11 §9 設計の手順 ............................................................................................................11 §10 屈曲数および屈曲角 ........................................................................................14 §11 勾配(流速) ....................................................................................................14 §12 管種 ....................................................................................................................15 §13 マンホールおよび取付管 ................................................................................15 §14 その他設計時における検討事項 ....................................................................17
第3章 施工 ........................................................................................................................19 §15 施工の手順 ........................................................................................................19 §16 配管 ....................................................................................................................19
第4章 維持管理 ................................................................................................................21 §17 維持管理 ............................................................................................................21
資 料 編 ..........................................................................................................................23 資料1 社会実験検証結果のまとめ ..............................................................................25
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(1)
第1章 総則
§1 技術の概要
「道路線形に合わせた施工」(以下、「道路線形施工」という)は、道路の縦断的、平面的
な線形に合わせて下水道管きょを布設するものである。
【解説】
下水道管きょの設計においては、管きょ
の起点および方向または勾配が著しく変化
する箇所、管きょ径等の変化する箇所、段
差の生ずる箇所、管きょの会合する箇所に
必要に応じマンホールを設けることが基本
となっている。一方、コスト縮減の社会的
要請の高まりにより、マンホールの設置数
は少なくすることが望まれている。
特に、丘陵地や中山間地等では、道路線
形の縦断的、平面的な変化が連続すること
から、建設費が割高になり、早期に整備効
果が発揮されず、普及が遅れがちになって
いる。
本技術は、曲管の採用や、急勾配路線における実流速を元にした設計(最大流速の定義の緩和)
により道路線形や地表勾配に合わせた施工を行うものである。これにより、管きょの浅埋化やマ
ンホールの省略が可能となり、その結果、コスト縮減および工期短縮が図られる。また、マンホ
ールが設置できない狭小道路においても施工が可能となり、効率的な下水道整備が促進されるこ
とが期待される。
図1-1 概要図
<平面屈曲部>
マンホールを省略し曲管を採用!
<縦断屈曲部>
写真1-1 狭小道路
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(2)
§2 適用の範囲
この技術利用ガイド(案)は、道路線形施工の調査・設計・施工および維持管理の基本的
な考え方を示すものであり、本技術利用ガイド(案)に記載のない事項については、「下水
道施設計画・設計指針と解説」や「下水道土木工事必携」、「下水道維持管理指針」等を参考
にすることとする。
なお、技術導入にあたっては、開削工法により施工する汚水管(自然流下管)で、小口径
管きょ(φ200mm 以下)の可とう管(円形管)を対象とし、平面的もしくは縦断的な屈曲部
に用いることを前提として、下記の条件を満足する必要がある。
(1)1スパン内の屈曲数は、原則2箇所まで、かつ1スパンの延長は 100m以下とする
(2)1屈曲当たりの最大屈曲角(平面屈曲・縦断屈曲共通)は、曲率半径が 600mm 程度
の場合は最大 15°、曲率半径が約5m以上の場合は最大 45°を目安とする
(3)曲管の採用により、著しい維持管理性の低下を招かないこと
(4)上流部に閉塞の原因となる油脂や土砂の大量流入が予測される施設等がないこと
(5)防災計画等において重要な路線ではないこと
【解説】
この技術利用ガイド(案)は、従来からの理論・経験および愛知県岡崎市、愛知県半田市、熊本
県宇城市で行われた下水道クイックプロジェクトの社会実験による検証結果より明らかとなった
調査・設計・施工および維持管理の基本的な考え方を示すものである。
なお、この技術利用ガイド(案)の内容は、社会実験により評価を実施した分流式の汚水管(自
然流下管)で、呼び径φ200mm 以下の可とう管(円形管)における平面的もしくは縦断的な屈曲
部での開削施工を前提としてとりまとめている。
上記の前提条件における本技術の適用条件を以下に示す。
(1)1スパン内の屈曲数は、原則2箇所まで、かつ1スパンの延長は 100m以下とする
施工後は、TVカメラ調査や清掃を定期的に行う必要があるが、屈曲数が多くスパンが長く
なると、これら維持管理に支障をきたす恐れがある。したがって、維持管理性を考慮して、屈
曲数を2箇所までとすることを原則とし、かつ1スパンの延長を 100m以下とする。
(2)1屈曲当たりの最大屈曲角(平面屈曲・縦断屈曲共通)は、曲率半径が 600mm 程度の場合
は最大 15°、曲率半径が約5m以上の場合は最大 45°を目安とする
1屈曲あたりの屈曲角が大きくなると自走式TVカメラによる調査が困難になる。したがっ
て、自走式TVカメラの走行性を考慮し、曲率半径が 600mm 程度の場合は最大 15°、曲率半径
が約5m以上の場合は最大 45°を1屈曲当たりの最大屈曲角の目安とする。
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(3)
(3)曲管の採用により、著しい維持管理性の低下を招かないこと
従来マンホールを設置していたところを曲管とするため、地上部から内部の確認ができなく
なる。また、マンホール数が削減されるため、1スパンが長くなり、管きょ内部の維持管理作
業が困難になる場合も考えられる。曲管を採用する場合においても、上記(1)(2)の条件を
満足したうえで、必要に応じ適切な位置に点検用マンホールを設けるなど、曲管採用箇所を含
めたスパン全体での維持管理が行えるよう留意する必要がある。
(4)上流部に閉塞の原因となる油脂や土砂の大量流入が予測される施設等がないこと
道路線形施工では、曲管を使用することから、汚水の流下状況によっては、従来の直管によ
る施工に比べ流れが停滞することが考えられ、油脂の固着や土砂等の固形物の堆積による管き
ょの閉塞が懸念される。これら閉塞の原因となりうる物質の流入をできるだけ防ぐ必要がある
ことから、上流域における施設状況について確認し、油脂や土砂の大量流入が予測される施設
等がある場合には、採用を見送ることが望ましい。
(5)防災計画等において重要な路線ではないこと
防災計画等における重要な路線においては、常時や災害時においてその流下機能を維持する
ことがより強く求められるため、曲管の採用を見送ることが望ましい。(場合によっては閉塞等
の異常が生じることも考えられるため)
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(4)
§3 関連法令等
関連する法令等の内容を十分把握し、手続き、対策等に万全を期さなければならない。
【解説】
調査・設計・施工および維持管理においては、法令等による規制を受けるので、規制の内容、
諸手続き、対策等について事前に十分調査検討し、必要に応じて関係諸機関や管理者に対しての
協議・調整を行い許認可または承認を得なければならない。
主な関連法令等は、表1-1のとおりであるが、状況に応じてその他関連法令等についても参照
する必要がある。
表1-1 主な関連法令等
法 令 等
都市計画法 都市計画関連
地下の公共利用の基本計画の策定等の推進について
建設関連 建設業法
下水道法
河 川 法
道路法、道路交通法
労働関係 労働基準法
労働安全衛生法
環境関係 環境基本法
騒音規制法
振動規制法
水質汚濁防止法
大気汚染防止法
土壌汚染対策基本法
その他 廃棄物の処理及び清掃に関する法律
建設副産物適正処理推進要綱
資源の有効な利用の促進に関する法律
自然公園法及び自然環境保全法
建設工事公衆災害防止対策要綱
水産資源保護法
火薬類取締法
電気設備技術基準
酸素欠乏症等防止規則
消 防 法
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(5)
§4 採用にあたっての主な留意点
道路線形施工の採用あたっては、§2に示す適用の範囲を満足していることを確認すると
ともに、十分な事前検討により採用の可否を判断する必要がある。
採用にあたっての主な留意点を以下に示す。
(1) 曲管の使用上の取り扱い(施工条件等)は、各メーカーにより異なるため、各々の
適用範疇(保証範囲)に基づき適正な使用を図る必要がある。
(2) 曲管の維持管理に適応した機材・業者の確保が必要である。
(3) 採用する自治体の維持管理体制・所有機材等を考慮して、屈曲部の数や屈曲角度を
設定する必要がある。
(4) 平面屈曲の場合は、縦断勾配を途中で変化させない。また、勾配の設定にあたって
は、平面屈曲では流速の減衰を考慮し、屈曲部において最低流速を 0.6m/s以上
確保する。また、縦断屈曲の場合は、実流速で 3m/s以内とする。
(5) 屈曲部は施工が難しく煩雑になりがちのため、段階確認による平面形およびレベル
確認、完了検査時の流水試験などを行い、機能上問題がないか確認する必要がある。
(6) 現状の技術では、曲管部の点検や補修が困難となる場合があるため、事故等の発生
時リスクを十分に検討し、採用する路線を選定する必要がある。
(7) 空気混入による水脈の大きな乱れが予め予測できる場合には、必要に応じ、給排気
について検討を行う。
(8) 曲管設置位置には、他企業による近接工事時の下水道管きょ破損事故を防止するた
めに、位置の特定が可能な措置を施す必要がある。
【解説】
(1)について
曲管については、現場状況に応じた種類、規格のものを、適切な使用が可能となるよう施工
する必要がある。メーカーが定める使用範疇(保証範囲)を満足しない場合には、施工時およ
び供用後において、不具合が生じることも考えられることから、曲管の使用にあたっては、各
メーカーにおける使用範疇(保証範囲)を確認し、使用上の取り扱い(施工条件等)に留意す
る。
(2)について
従来から採用されてきた直管での施工においては、マンホール間が直線であり、TVカメラ
調査や清掃等の維持管理についても比較的容易であるが、曲管を含む維持管理では、調査や清
掃機材によって屈曲部を通過できない場合や機材の操作に熟練した技術を要することが考えら
れる。したがって、管径や屈曲角等の曲管の状況に合わせて、維持管理が可能な機材や熟練技
術者を有する業者の確保が必要となる。
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(6)
(3)について
道路線形施工では、従来から採用されてきた直管での施工と同様の維持管理を要する。
曲管の適用条件としては、一般的な維持管理機材の作業性を考慮し、§2に示すように、1
スパン(100m以下)内の屈曲数を原則2箇所まで、最大屈曲角を曲率半径が 600mm 程度の場合
は最大 15°、曲率半径が約 5m以上の場合は最大 45°を目安としている。しかしながら、自治
体により維持管理体制や所有機材等が異なることから、採用にあたっては、当該自治体の維持
管理体制・所有機材等を考慮して、屈曲部の数や屈曲角度を設定する必要がある。
(4)について
下水の流下においては、なるべく水の流れに乱れを生じさせないことが望ましい。平面屈曲
部においては、水の流れに乱れが生じやすい状況にあるため、平面屈曲の場合には、縦断勾配
を一定とする。
また、平面屈曲では、流速の減衰により、固形物の堆積が生じやすい状況にあることから、
屈曲部における最低流速については、0.6m/s 以上を確保する。一方、縦断屈曲については、管
きょの摩耗防止等を考慮して、実流速で 3m/s 以内とする。
(5)について
管きょにおける流下機能を確保するためには、設計図書に基づいた平面形および勾配となる
よう適切に施工することが重要である。
屈曲部の施工については、従来から採用されてきた直管での施工に比べ、施工が難しく煩雑
になりがちで、平面形や勾配管理に十分配慮する必要がある。施工にあたっては、段階確認に
よる平面形およびレベル確認、完了検査時の流水試験などを行い、機能上問題がないことを確
認する必要がある。
(6)について
これまで下水道本管への曲管を使用した施工は広く行われていなかったことから、曲管に対
する点検や補修に対しての技術開発については、十分な状況にない。
現状の技術では、曲管部の点検や補修が困難となる場合があるため、事故等の発生時におい
て周辺に与える影響が大きい場合には採用しないなど、そのリスクを十分に検討し、採用する
路線を選定する必要がある。
(7)について
急勾配路線においては、勾配変化点での跳水や会合部の構造を要因とした空気塊により、流
下阻害が生じることも考えられる。空気混入による水脈の大きな乱れが予め予測できる場合に
は、必要に応じて、空気抜き管を設けるなど、給排気について検討を行う。
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(7)
(8)について
従来から採用されてきた直管での施工では、平面変化点にマンホールが設置されるため、マ
ンホール間の管きょの位置特定は比較的容易である。しかし、道路線形施工においては、曲管
を使用し、マンホールを省略することから、管きょの位置特定が難しくなる。管きょの位置が
不明確な場合、他企業による近接工事時において、誤って管きょを破損する可能性もある。
したがって、他企業による近接工事時の下水道管きょ破損事故を防止するため、曲管の位置
特定が可能となるよう適切な措置を施す必要がある。(§14参照)
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(8)
第2章 調査・設計
§5 調査
道路線形施工の採用検討および設計のために、一般的な調査とともに、特に、道路線形や
地表勾配等の地域特性について十分な調査を行う。
【解説】
調査は、道路線形施工の採用の可否についての判断や設計のための資料となるものであり、
このことを十分に考慮して行わなければならない。
一般的な立地条件調査、支障物件調査、地形および土質調査、環境保全のための調査のほか、
布設位置に関する地域特性について、下記の調査を行う。なお、一般的な調査事項については、
技術の特性を踏まえ適宜、必要に応じた調査を行う。
①道路線形に沿って布設する場所
管きょの配置計画を行う際に十分な検討が可能となるように、道路の平面線形について詳
細に把握する。また、用地界が複雑となっていることも考えられることから、公図調査を入
念に実施することが必要である。
②地表勾配に沿って布設する場所
適切な管きょの勾配設定が可能となるよう、道路勾配および勾配変化点を詳細に把握する。
なお、勾配変化点においては、汚水の流下状況の変化をもたらすため、適切な設計が可能と
なるよう十分留意する必要がある。
§6 適用性検討
§2に示す適用の範囲を満足した条件において、十分な適用性検討を行う。
【解説】
各種調査結果等を整理して得られた「立地」「支障物」等の社会的条件、「地形」「土質」等の自
然的条件、「騒音」「振動」「水質」等の環境的条件、「道路」「河川」等の当該地域に係る関連計画
等を確認し、ルート検討を行った上で経済性、工期、施工性の観点から従来から採用されてきた
工法との比較検討を行い、本技術の適用性を判断する。
図2-1に手順を示し、そのうち特筆すべき事項について、§7および§8に示す。
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(9)
図2-1 適用性検討の手順
§7 経済性の比較
道路線形施工の採用にあたっては、従来から採用されてきた工法との経済性比較を行う。
【解説】
道路線形施工の採用にあたっては、従来から採用されてきた工法および道路線形施工にかかる
コストを算出し経済性を比較する。
(1) 建設コスト
道路線形施工の主なコスト縮減要因としては、屈曲点に曲管を使用することによるマンホール
の削減や地表勾配・道路線形に沿った施工を行うことによる土被り(掘削土量)の縮減が可能と
なることが挙げられる。
社会実験における建設コスト縮減事例を図2-2に示す。屈曲点においてマンホールの代わりに
曲管を採用し、急勾配道路においては、実流速 3.0m/s以下の条件のもと急勾配施工を行った結
果、マンホールの削減、土被り(掘削土量)の縮減が可能となった事例である。
なお、社会実験3都市における建設費のコスト縮減率は、約 20%となった。
(詳細は、資料1 事例参照)
検討条件の確認
ルート検討(平面、縦断)
適用性検討判定
設計へ(§9)
その他技術 の検討 適
不適
立地条件調査 (制約条件)
・経済性比較[§7]
・工期比較[§8]
・施工性(安全性)の確認
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(10)
M.7
組立式
M.6
組立式1号人孔 H=1.228
M.5
組立式1号人孔 H=1.534
(R)HPφ
300 FH=36.38
(W)VPφ
50 DP=1.20
(G)GMφ
100 DP=0.90
VU 200FH=35.481
(平面線形)
M.6-1 組立
式1号
人孔 H=
1.726
M.5-1 組立
式0号
人孔 H=
1.778
M.7
組立式
M.6
組立式1号人孔
H=1.63
6
M.5
組立式1号人孔
H=1.53
3
(R)HPφ
300 FH=36
.38
(W)VPφ
50 DP=1
.20
(G)GMφ
100 DP=
0.90
VU 200FH=35.481
(縦断線形)
図2-2 社会実験による建設コスト縮減事例
(2) 維持管理コスト
道路線形施工の維持管理コストは、社会実験実施都市での試算や道路線形施工の採用都市にお
ける維持管理実績等を踏まえて算出し検討する。従来から採用されてきた工法の維持管理コスト
は、実績値や「下水道維持管理指針」や「下水道管路施設維持管理マニュアル」、「下水道施設維
持管理積算要領-管路施設編-」等を参考にして設定する。
道路線形施工の維持管理方法については、基本的に従来から採用されてきた工法と同等と考え
られる。なお、社会実験において、大きな問題(固形物の堆積、維持管理機材の作業性等)は確
認されていない。
曲管採用箇所 急勾配施工採用箇所
(マンホール削減箇所) (土被り縮減箇所)
従来工法による縦断計画 新工法による縦断計画
・屈曲点へのマンホール設置
・満管流速 3.0m/s 以下となる勾配を設定
C50
HPφ400
<(G)PEφ100>
<(G)SEφ50>
<(G)GMφ100>
<(W)VPφ50>
<(W)VPφ50>
<(W)VPφ50>
<(W)VPφ50>
<(W)DIPφ200>
(駐)
(駐)
as
東蔵前幹B2/B2/3206ア466
車庫
小倉
尾崎竹林
防火水槽石黒
近藤
田中as
吉田
笠井
06ア474
車塚支B6/4
加藤 憲伊藤 慶一
伊藤山本
大河原 勲
加藤
06ア471東蔵前幹A2/B2/B2/32
06ア474東蔵前幹A3/B2/B2/32
G
Co
Co
車庫
石川
加藤
山本
吉田
06ア363
06ア377東蔵前幹A2/B4/B2/32
06ア376
東蔵前幹A1/B4/B2/32
側-240X240
側-240X240
HPφ300
可変
240
側-240
X240
L字溝
L字溝
雨
雨
H
H
H
CM
仕
H
仕
H
灯
灯
CM
東蔵前幹A1/B2/B2/32
46.29(シキ)
46.29(シキ)
C50-1
C50-2
C48-6
47.10
46.61(シキ) 47.12
46.65(シキ)
46.69(シキ)
49.20
3 0
38.36(シキ)
38.33(シキ)
38 21(シキ)
39.17
38.31
38.01(M天)
37.05(シキ)
37.08(シキ)
36.96(シキ)
36.80(シキ)
36.97(シキ)3 00(シキ)
36.61(M天)37.75
46.07(シキ)
46.12(シキ)
46.82
46.95(空気)
47.0647.06
46.08
45.65(シキ)
45.62(シキ)45.96
44.19
42.60
41.39(シキ)
42.23(シキ)
43.2441.23
41.24
39.64
37.84(シキ)
37.87(シキ)37.67(シキ)
37.90
39.05
37.03(シキ)
36.99(シキ)
36.92(シキ)
37.57(シキ)
37.88
37.45(シキ)
37.97
37.06(シキ)
37.62
36.62(天)36.29(シキ)
36.71
37.07
37.01
36.6536.42
36.08(シキ)
36.22(シキ)
36.14(シキ)
35.84(シキ)
35.87(シキ)
35.72(シキ)
35.40(シキ)
35.69(シキ)
35.67(シキ)
35.21(シキ)
35.44(シキ)
35.78
曲管採用箇所
(マンホール削減箇所)
・マンホール2箇所削減
・地表勾配に沿った施工による土被り
0.6m(掘削土量 80m3)の縮減
φ200mm L=114m
当該路線では、33%縮減
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(11)
§8 工期の比較
道路線形施工の採用にあたっては、従来から採用されてきた工法との工期比較を行う。
【解説】
道路線形施工の主な工期短縮要因としては、屈曲点に曲管を使用することによるマンホールの
削減や地表勾配に沿った施工を行うことによる土被り(掘削土量)の縮減が可能となることが挙
げられる。一方、一部工期が増大する区間があり、要因としては、曲管の施工には高い精度が求
められることから、施工に手間がかかることが想定される。
よって、道路線形施工の採用可否の検討の一環として、従来から採用されてきた工法採用時と
の工期比較を行う。工期比較にあたっては、実績値や社会実験実施都市での試算、道路線形施工
の採用都市における実績等を用いる。
なお、社会実験3都市における工期短縮率は、0%~19%であった。
(詳細は、資料1 事例参照)
§9 設計の手順
道路線形施工の採用にあたっては、現地状況に応じた適切な設計を行う。
【解説】
設計にあたっては、図2-3に示す全体計画、事業計画、基本設計および詳細設計の流れで行う。
なお、各設計段階における設計手順は図2-4の通りであり、表2-1に示す検討項目について検
討を行うものとし、そのうち特筆すべき検討項目の詳細について、§10から§14に示す。
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(12)
出典:小規模下水道計画・設計・維持管理 指針と解説-2004 年版- 社団法人日本下水道協会
図2-3 下水道事業における設計の流れ
全体計画
・1/2,500 の平面図を
使用
・面的で広域的な検討
・計画区域全域を対象に地形、道路線形及び処理場位置等
を考慮し、主要な管きょのルート、集水区域、集水系統
の決定を行う。
・一般に5~10ha 程度の集水区画に区分して、これらに対
応する区画割施設平面図、管きょ縦断面図、管きょ流量
計算書の作成を行う。
事業計画 ・事業認可を取得する区域を対象として、すべての路線(道
路の交差点及び地形の変化点などを1つの単位とする区
間)を対象に集水区域を設定し、これに対応する区画割
平面図、主要な管きょの縦断面図、管きょの流量計算書
の作成を行う。
・事業計画では、認可取得に必要な主要な管きょ(幹線管
きょ)の縦断設計(管きょ縦断面図作成)を行う。なお、
枝線管きょの影響については考慮するが、縦断図作成等
は行わない。
事業認可取得
実施設計 (基本設計)
実施設計 (詳細設計)
・事業認可を取得した区域を対象に、事業認可設計をふま
え枝線管きょの縦断設計を行うとともに、概略工法の検
討などを行う。
・建設を行うためのより詳細な設計。
・路線単位に平面設計、縦断設計、工法検討、構造計算、
数量計算などを行う。
・1/500 の平面図を使
用
・路線単位の検討
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(13)
図2-4 設計の手順
表2-1 各設計段階における検討項目
検討項目 認可設計 基本設計 詳細設計
§10 屈曲数および屈曲角 ○ ○ ○
§11 勾配(流速) ○ ○ ○
§12 管種 ○ ○
- 平面線形 ○ ○ ○
- 縦断線形 ○ ○ ○
§13 マンホールおよび取付管 ○ ○
§14 その他検討 ○ ○
各種調査結果
設計条件の確認
路線設計
総合評価
工法検討
・屈曲数および屈曲角[§10]
・勾配(流速)[§11]
・管種[§12]
・平面線形
・縦断線形
・マンホールおよび取付管
[§13]
・その他検討[§14]
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(14)
§10 屈曲数および屈曲角
屈曲数や屈曲角については、採用する自治体の維持管理体制・所有機材等を考慮して設定
する。
【解説】
平面線形の検討では、屈曲部周辺で固形物の堆積が生じないような曲がり角度を設定する必要
がある。また、施工後の維持管理において、特に、TV カメラや清掃機材等の作業性が著しく低下
しないことに留意する必要がある。
屈曲数および屈曲角においては、自走式TVカメラの走行実験の結果より、維持管理に支障が
ない範囲とし、原則として、1スパン内(ただし、1スパンは 100m以下)における屈曲数は2
箇所以内、最大の屈曲角は小曲部(曲率半径が 600mm 程度の場合)で 15°、大曲部(曲率半径が
約5m以上の場合)で 45°とする。
使用するTVカメラの機種によって、走行性等に差があるため、採用する自治体において、施
工後の維持管理性を十分検討の上、屈曲数および屈曲角を設定することが望ましい。なお、平面
屈曲および鉛直屈曲については、同一箇所での採用は行わないものとする。
また、材料自体を屈曲させる場合については、十分な余裕を考慮した屈曲角とする必要がある。
表2-2 自走式TVカメラ走行実験結果
GOAL側 START側 GOAL側 START側
φ150 連結型
φ200 連結型
φ200 一体型 30°(R=10m) 45°(R=10m)
GOAL側 START側 GOAL側 START側
φ150 連結型
φ200 連結型
φ200 一体型 × 15°(R=10m)×2
15°(R=220mm)×2 45°(R=5m)×2
× 45°(R=5m)×2
通過可能最大曲管
曲管2箇所
小曲(R=220mm~280mm) 大曲(R=5、10m)
15°(R=220mm)
15°(R=280mm)
×
45°(R=5m)
45°(R=5m)、90°(R=10m)
小曲(R=220mm~280mm)通過可能最大曲管 大曲(R=5、10m)
曲管1箇所
§11 勾配(流速)
管きょの勾配は、適切な流速(0.6m/s~3.0m/s)となるように設定する。
【解説】
平面屈曲の場合については、縦断勾配を途中で変化させないこととし、屈曲部での流速の減衰
が考えられることから、屈曲部における最低流速が 0.6m/sを確保できるよう留意する必要があ
る。
出典:平成 20 年度下水道未普及解消検討委員会資料
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(15)
また、流速が大きくなりすぎると、管きょやマンホールの摩耗等の可能性があること、騒音等
の生活環境への影響が考えられることから、縦断屈曲の場合においても、実流速が 3.0m/sを越
えないように勾配を設定する。
§12 管種
管種の選定では、土圧や活荷重等の外圧に対する強度、曲管の有無、急勾配箇所や屈曲部
での耐磨耗性等を十分考慮する。
【解説】
道路線形施工では、土かぶりが浅くなる傾向にあるため、活荷重に対する十分な耐力が必要で
ある。また、最大流速 3.0m/s に対しても十分な耐摩耗性を有する管種を選定する必要がある。
適用可能な管種は、代表的なものとしては、塩化ビニル管(JSWAS K-1)、ポリエチレン管(JSWAS
K-14)、強化プラスチック複合管(JSWAS K-2、FRPM K-202_2006)等が挙げられる。
屈曲部には、曲管等の屈曲施工が可能な材料を用いる必要がある。なお、曲管の使用上の取り
扱い(施工条件等)は、各メーカーにより異なるため、各々の適用範疇(保証範囲)に留意して
適正な使用を図る必要がある。
§13 マンホールおよび取付管
従来から採用されてきた工法と同様に、流下する汚水の性状や管内面の状況が確認できる
よう、維持管理性を考慮した位置にマンホールを設ける。また、取付管については、曲管部
への接続を避ける。
【解説】
マンホールは、点検・維持管理用として管内を流下する汚水の性状による施設への影響および
下水道施設そのものの異常を確認するために設けるものである。
特に、道路線形施工におけるマンホールでは、急勾配下流の落差に対する損傷やマンホール箇
所での流下状況等を定期的に確認する必要がある。
取付管は、汚水桝と本管を接続する管きょである。接続にあたっては、接続箇所における所要
の強度を確保する必要がある。
(1)マンホール間隔
布設条件や経済性を踏まえ、適宜、維持管理性を考慮した位置にマンホールを設置する。近
年、コスト縮減の観点から、マンホールの設置数を少なくすることが望まれている。自治体で
の事例及び自走式 TV カメラの走行実験の結果等も踏まえ、最大マンホール間延長は 100mと
する。
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(16)
(2)マンホール内径および構造
マンホール内径については、維持管理に支障をきたさないよう留意して選定する必要が
ある。原則、1号マンホールとするが、狭隘道路等で施工幅員がとれず、大型の機械による
施工が困難な箇所や地下埋設物が輻輳し移設が困難な場合、もしくは、将来的な管きょの
延伸が見込まれない管きょの起点や中間点等においては小型マンホールを採用しても良い。
ただし、維持管理機材の作業性等を十分に踏まえた上で採用する必要がある。
急勾配管きょの下流マンホールにおいて管きょに段差が生じる場合には、汚水がマンホール
壁面に飛散することも考えられる(図2-5参照)ため、マンホール内でなるべく段差をつけな
い構造とするか副管を設ける等の対策を図る。
図2-5 急勾配管きょ下流マンホールにおける汚水の飛散(1)
また、マンホール内で方向変化や緩勾配への勾配変化がある場合には、インバート上面への
汚水の飛散も考えられる(図2-6参照)ことから、必要に応じてインバートのかさ上げ等の工
夫を行う。
図2-6 急勾配管きょ下流マンホールにおける汚水の飛散(2)
(3)取付管
取付管は、本管に対して原則として直角となるように設ける。また、強度低下及び流下阻害
の防止の観点から、可能な限り曲管部から離した箇所に接続することが望ましい。
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(17)
§14 その他設計時における検討事項
急勾配路部においては、空気混入による水脈の乱れが生じ、流下阻害の懸念があるため、
構造上の配慮を行う。また、平面屈曲部においては、再掘削時の事故を防ぐため、埋設位置
の特定が容易となるよう検討を行う。
【解説】
(1)空気混入による流下阻害に対する検討
急勾配路線において、勾配変化点での跳水や会合部の構造が要因となり、空気塊が生じるこ
とが考えられる。空気混入による水脈の乱れについては、流下阻害の要因となることから、空
気混入が生じ難い構造とするか、空気混入による水脈の大きな乱れが予測される場合には、必
要に応じて空気抜き管を設けるなど、給排気についての構造上の配慮を行う。
(2)管きょ布設埋設位置特定方法の検討
従来から採用されてきた直管での施工では、平面変化点にマンホールが設置されるため、マ
ンホール間の管きょの位置特定は比較的容易である。しかし、道路線形施工においては、曲管
を使用し、マンホールを省略することから、管きょの位置の特定が難しくなる。したがって、
曲管を使用する場合には、埋設位置の特定に対する対策を図る必要がある。
曲管の埋設位置の特定方法の例としては、
① マーカー埋設による地上探査
② オフセット(鋲)管理 等
が挙げられ、その概要を以下に示す。なお、これらの対策を行うとともに、下水道台帳への
記載を行い、一元的に管理を行うことが望ましい。
①マーカー埋設による地上探査
決められた周波数の識別マーカーを地中の目標物(曲管)上に埋設し、地上から専用探知
機でマーカーの位置を特定するものである。
図2-7 マーカー埋設による地上探査のイメージ
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(18)
②オフセット(鋲)管理
曲管が埋設されている真上の道路上に識別のための鋲を打ち、周辺目標物からのオフセッ
トを取り、記録して管理する。
図2-8 オフセット(鋲)管理のイメージ
また、再掘削時において、誤って下水道管を切断することのないように、下水道埋設シート
等による埋設標識を施工時に設置することが望ましい。埋設シートは、天端から約20~70cmの
路床面以下に設置することを原則とし、埋設物件の縦断方向全長に設置する。明示にあたって
は、地下埋設物の種別により色が異なるため留意する。
図2-9 埋設シート布設断面図 図2-10 埋設シート
埋設表示シート
(W=300)
管きょ
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(19)
第3章 施工
§15 施工の手順
施工にあたっては、基本的な施工の手順に従うとともに、特に曲管設置時や急勾配施工時
について、特に留意する。
【解説】
基本的な施工の手順を、図3-1に示す。
曲管を使用する場合においては、従来から採用されてきた工法の施工手順に加え、曲管埋設位
置の特定対策を要する。なお、特筆すべき項目についての詳細を§16に示す。
図3-1 基本的な施工の手順
§16 配管
管きょは、管種、現場条件等に応じ、設計図書に記された箇所に適切な基礎および設置を
を行う。
なお、適切な線形(曲がり、勾配)を確保するとともに、曲管の採用個所には、位置特定
対策を併せて実施する。
【解説】
曲管を採用する個所では、施工が難しく煩雑になりがちである。直管部との離脱が発生しない
ように、また、転圧不足によるたるみで滞水区間が発生しないように管側部を特に入念に転圧す
るなど、十分留意する。急勾配施工においては、適切な勾配で施工することが重要である。
管路土工(掘削工)・管路土留め工
管きょ布設工
管基礎工
管路土工(埋め戻し工) マーカー埋設
舗装復旧 オフセット管理
※曲管を使用する場合
or(and)
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(20)
したがって、施工時における平面線形およびレベル確認を十分行い、適切な平面角度、勾配と
なっていることを確認するとともに、完了検査時における通水試験等を行い、機能上問題がない
ことを確認する必要がある。
必要に応じて、補助工法および防護工を用いるが、その採用にあたっては、土質、地下水、施
工環境等の事前調査を行い各工法の特徴、過去の実績、経済性等、総合的な検討に基づき決定す
る。近接施工時には、十分な事前調査と影響予測に基づき、適切な対策工法や現場での各種計測
を適切に行なう。
また、曲管を使用する場合には、設計時に決定した埋設位置特定対策について、適切な措置を
講じる。
(急勾配・狭小道路) (曲管設置)
写真3-1 施工状況例
(マーカーの設置) (オフセット記録)
写真3-2 位置特定対策例
マーカー
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(21)
第4章 維持管理
§17 維持管理
定期的に点検、調査を実施し、油脂の固着や固形物の堆積等の管内状況を把握するととも
に、状況に応じた清掃を行い、管きょの閉塞について未然に防止する。なお、閉塞等の異常
が生じた場合には、緊急対応が可能となるように、対応策を事前に検討しておく。また、住
民との協働も視野に入れ、適正な管理に努める。
【解説】
維持管理では、以下について留意する必要がある。
(1)点検および清掃、調査の頻度について
道路線形施工では、屈曲部あるいは急勾配施工部における異常(管きょの閉塞、管きょのズ
レ、漏水、臭気の発生等)が生じないように、目視による点検やTVカメラ等による調査を定
期的に実施し、最適な清掃等の維持管理頻度を確認する必要がある。
また、住民に対しては、当該施設がある旨および家庭からの油の流入が閉塞の原因となるこ
とを周知し、流しから油をながさないよう協力をお願いするとともに、溢水や異臭等の異常が
発生した場合についての早期連絡等に対しての協力をお願いし、適正な管理に努める。
(2)管きょ埋設位置の特定について
曲管の埋設位置の特定方法については、§14(図2-7および図2-8参照)に示した方法
が例として挙げられる。
マーカー埋設では、地上からの探知機での探査を比較的容易に行うことが可能であるが、機
器の購入が必要であるとともに、位置の特定については、技術者の馴れ(コツ)を要すること
に留意が必要である。
また、曲管上の路面への鋲設置およびオフセットによる管理については、鋲の消失やオフセ
ットの目標物として用いた施設の移動および撤去について留意する必要がある。
なお、これらの対策については、下水道台帳への記載等による施設の一元管理を行うことが
望ましい。
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資 料 編
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![Page 31: 下水道クイックプロジェクト 技術利用ガイド(案)下水道クイックプロジェクト 技術利用ガイド(案) ~道路線形に合わせた施工編~ 平成23年12月](https://reader033.fdocuments.net/reader033/viewer/2022041822/5e5ec8ea65abb60ac07e2ead/html5/thumbnails/31.jpg)
(25)
資料1 社会実験検証結果のまとめ
社会実験において、以下の8項目についての検証を行い、道路線形施工の適用に際してのメリ
ットおよび留意点を整理したところである。
社会実験における検証項目
①建設コスト ②維持管理コスト ③汚水の流下状況(急勾配管きょを対象)
④固形物の堆積状況 ⑤建設工期 ⑥維持管理機材の作業性
⑦マンホール省略部における埋設位置特定対策の有効性 ⑧生活環境への影響
上記検証項目に対する考察および適用に際しての留意点を表資1-1に示す。なお、道路線形
施工における主なメリットとして、上記に示す検証項目のうち、①建設コストおよび⑤建設工期
について、検証結果の事例を示す。
表資 1-1(1) 社会実験における検証結果と適用に際しての留意点
検証項目 検証結果 適用に際しての留意点 検証結果事例
①建設コスト
・ 地表面が急勾配の場合、掘削深が浅く
なり、土工費、土留め工費の縮減効果が大きい。
・ マンホールの省略によるコストの縮減効果が大きい。
・ 曲管を含む路線の勾配の設定によっ
ては、従来から採用されてきた 工法より管の埋設深さが深くなる場合がある。
・ 地域(施工)条件により、コスト構成、単価等が異なるため、採用にあたっては、個別検討を要する。
p.27を参照
②維持管理コスト
・ 調査や清掃費用については、延長によ
る計上となっており、曲管部および急勾配施工部においても、頻度および機材が変わらなければ、維持管理費用は変わらない。
・ 固形物の堆積および維持管理機材の作業性に問題がないことから、従来から採用されてきた工法と同等と考えられる。
・ 施工後の状況により、最適な維持管理
頻度を検討することが望ましい。
③汚水の流下能力
・ 流速による管体への影響はないものと
みられる。 ・ 一部、インバートへの汚水の飛散がみ
られる。 ・ 急勾配管きょから通常勾配管きょに段
差接合する場合に汚水の飛散がみられる。
・ 急勾配管きょ下流のマンホールにつ
いては、インバート形状や段差(構造)について考慮が必要である。
④固形物の堆積状況
・ 急勾配管きょでは射流であると考えら
れるが、固形物の流下には問題ない。ただし、急勾配管きょの下流側マンホールでは、固形物が飛散している箇所がみられる。
・曲管部が原因となる堆積物はない。
・ 急勾配管きょ下流のマンホールにつ
いては、インバート形状や段差(構造)について考慮が必要である。
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(26)
表資 1-1(2) 社会実験における検証結果と適用に際しての留意点
検証項目 検証結果 適用に際しての留意点 検証結果事例
⑤建設工期
・急勾配路線の浅層化による土工、土留
め工、マンホールの削減によるマンホール工の工期短縮効果が大きい。
・ 曲管を含む路線の勾配の設定によっ
ては、従来から採用されてきた工法より管の埋設深さが深くなる場合がある。
・ 地域(施工)条件により、工種構成、必要期間が異なるため、採用にあたっては個別検討を要する。
p.27を参照
⑥維持管理機材の作業性
・複数の平面曲りの曲管や、鉛直曲りの曲管を含む約 50mの区間までは、一般的な維持管理機材で作業は可能である。
・TVカメラ走行実験においては、1スパンに屈曲部2箇所まで、角度は小曲部の場合は 15°、大曲部では 45°までが限界である。
・小口径管路での洗浄に際しては、ジェ
ットノズル通過後の負圧による封水の破壊を防ぐために、マンホール以外に汚水桝の蓋を開放する必要がある。
・ ・採用する自治体の維持管理体制、所有機材等を考慮して、屈曲部の数や屈曲角度を設定する必要がある。また、適応可能な機材、業者の確保、育成が必要である。
⑦マンホール省略部における埋設位置特定対策の有効性
・検知器による位置特定マーカーの特定
精度については問題ない(ただし、特定にはコツ(経験)が必要である)。
・オフセットおよび鋲による特定方法は容易かつ経済的な手法の一つである。なお、同手法においては、下水道台帳への記載が必要である。
・ 自治体の状況に応じた最適な位置特
定方法の選択が必要である。 ・ オフセット管理とする場合、基準とな
る構造物が移動あるいは撤去された場合の対応を考える必要がある。
⑧生活環境への影響
・ 臭気・騒音は基準値を満足しており、
生活環境への影響はほとんどない。
-
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(27)
【検証結果事例】
先に示した検証より、道路線形施工の適用メリットとして、(1)建設コストの縮減効果および
建設工期の短縮効果について、検証結果の事例を示す。
(1)建設コストの縮減効果および建設工期の短縮効果
建設コストの縮減および建設工期の短縮に関する検証結果を表資1-2に示す。
事例は、屈曲部において曲管を使用することによるマンホールの省略および急勾配路線にお
いて実流速 3.0m/s以下を条件とした急勾配施工による土被り(掘削土量)の縮減が可能とな
ったものである。
事例1では、マンホールを 13 箇所削減、掘削土量を 302m3縮減することにより、建設コス
ト約 17%の縮減、工期約 19%の短縮がみられた。
事例2は、マンホールを 18 箇所削減し、建設コストについては、約 20%の縮減がみられた
が、工期については、急勾配路線においては、掘削深が浅くなり、短縮がみられるが、曲管を
含む曲線区間は勾配を一定としているため、従来から採用されてきた工法より掘削深が深くな
り、工期は増加する。全体としては、工期の短縮効果はみられなかった。
事例3は、マンホールを 49 箇所削減した事例であり、建設コストについては、約 21%の縮
減、工期約 8%の短縮がみられた。
各事例の概要および試算結果を次ページ以降に示す。
表資 1-2 建設コスト・建設工期に関する検証結果
項目 従来工法 連続改良型伏越し 結果 備考
建設コスト 58,000 千円 (5.8 万円/m)
48,000 千円 (4.8 万円/m) 17%縮減
事例①
工 期 100 日 81 日 19%短縮
φ200mm 14 路線(総延長 L=994m) マンホール 13 箇所削減 掘削土量 302m3縮減
建設コスト 13,000 千円 (4.3 万円/m)
10,000 千円 (3.5 万円/m)
20%縮減事例 ②
工 期 44 日 44 日 変化なし
φ150mm 4 路線(総延長 L=302m) マンホール 18 箇所削減 掘削土量縮減
建設コスト 106,300 千円 (7.2 万円/m)
84,000 千円 (5.6 万円/m)
21%縮減事例③
工 期 517 日 475 日 8%短縮
φ150mm 16 路線(総延長 L=1,507m)マンホール 49 箇所削減
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(28)
◆事例1
福祉センター
M19
M8 M9
M25
※建設コストの比較 ※工期の比較
注.新工法:道路線形施工
IP.i IP.j
VU 200 L=40.40m
i=62.0‰ i=56.0‰ i=56.0‰ i=5.0‰
VU 200 L=64.30m
46.67 46.68
M.14
M.13
M.12
M.11C49
C50
C51
<(G)PEφ100>
<(W)DIPφ
150>
<(W)DIPφ
200>
<(W)DIPφ200>
CM
H
仕
46.29(シキ)46.29(シキ)
06ア483
車塚支A1/B5/4
06ア475
車塚支B6/4
06ア477
西浦
as
As
竹林
笠井
沼田
東蔵前幹B8/B2/3206ア382
06ア474車塚支B6/4
加藤 憲伊藤 慶一
06ア474東蔵前幹A3/B2/B2/32
しろきた子供広場
石川
黒政
06ア384東蔵前幹A3/B4/B2/32
側-300X300
側-300X300
側-240X240
側-240X240
雨
仕
HH
H
仕
仕仕
H
H
H
CM
47.1446.52(F)
46.71(空気)
46.17(シキ)
C48-1
C49-1
44.79
46.24
46.04(シキ)
46.15(シキ)
46.33(シキ)
47.1046.61(シキ)
47.12
46.65(シキ)
46.69(シキ)
46.84(シキ)
46.84(シキ)
49.20
42.39(雨天)
42.08(シキ)42.09(シキ)42.16(シキ)
41.96(シキ)
41.77(シキ)
42.21
40.79
40.77
42.24(シキ)
42.67(シキ)
42.59(シキ)
42.50(シキ)
42.86
43.00
44.18(シキ)
44.83
39.44(シキ)
39.83
39.43(シキ)39.64(M天)
39.70
46.07(シキ)46.12(シキ)
46.82
46.95(空気)
47.06
47.06
46.08
45.65(シキ)
45.62(シキ)
45.96
急勾配
:曲管
凡例 :管路探知
IP.i
IP.j
VU
①道路線形に合わせた曲線施工
No4
②急勾配施工
M.14
M.13
組立式
1号人孔 H=
1.233
M.12
200FH=41.602
組立式
1号人孔 H=
1.228
組立式
0号人孔 H=
1.219
位 置 図
市営天神荘
市営岩津住宅国道248号
急勾配
:曲管
路線事例
φ200mm
14 路線(総延長 L=994m)
マンホール 13 箇所削減
掘削土量 302m3縮減
注.新工法:道路線形施工
・道路線形施工により、マンホールを 13 箇所削減および掘削
土量を 302m3 縮減可能
≪主な縮減・短縮要因≫
・掘削土量の縮減による管路土工、管路土留工の削減
・マンホールの省略によるマンホール工(材料費含む)の削減
≪主な増加要因≫
・曲管の布設に伴う管布設工(管材費含む)の増加
↓
17%の建設コスト縮減および 19%の工期短縮
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(29)
◆事例2
※建設コストの比較
管路工事
管きょ工
管路土工(残土処分工含む)
2,499 2,464 1.4
管布設工 463 481 -3.9
管基礎工(基礎砂含む)
141 144 -2.5
管路土留工 947 906 4.3
マンホール工 282 68 75.7
1,095 1,095 0.0
5,427 5,159 4.9
資材費
299 321 -7.4
MH本体(蓋含む) 2,091 767 63.3
2,390 1,088 54.5
5,267 4,209
13,084 10,456 20.1
43 35
工事費の構成(直接工事費)
従来工法(千円)
新工法(千円)
コスト縮減率(%)
舗装復旧工事(舗装材含む)
小計
諸経費
m当たり単価
小計
合計
管材(曲管・可とう性継手含む)
注.新工法:道路線形施工
急勾配
:曲管
:曲管 急勾配
路線事例
φ150mm
4 路線(総延長 L=302m)
マンホール 18 箇所削減
掘削土量縮減
・道路線形施工により、マンホールを 18 箇所削減お
よび掘削土量を若干縮減可能
≪主な縮減・短縮要因≫
・掘削土量の縮減による管路土工、管路土留工の
削減
・マンホールの省略によるマンホール工(材料費含
む)の削減
≪主な増加要因≫
・曲管の布設に伴う管布設工(管材費含む)の増加
↓
20%の建設コスト縮減
※工期については、急勾配路線で掘削深を浅くでき
るが、曲管使用区間については一定勾配としてい
るため掘削深が深くなる。したがって、工期の短縮
効果はみられなかった。
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(30)
◆事例3
※建設コストの比較
管路工事
管きょ工
管路土工(残土処分工含む)
8,822 9,063 -2.7
管布設工 2,840 3,421 -20.5
管基礎工(基礎砂含む)
2,704 2,704 0.0
管路土留工 10,866 10,571 2.7
マンホール工 2,040 625 69.4
取付管マス工 761 730 4.1
15,679 15,679 0.0
43,712 42,793 2.1
資材費
1,689 2,367 -40.1
MH本体(蓋含む) 17,443 4,531 74.0
19,132 6,898 63.9
43,468 34,305
106,312 83,996 21.0
72 56
工事費の構成(直接工事費)
従来工法(千円)
新工法(千円)
コスト縮減率(%)
舗装復旧工事(舗装材含む)
小計
諸経費
m当たり単価
小計
合計
管材(曲管・可とう性継手含む)
注.新工法:道路線形施工
路線事例
φ150mm
16 路線(総延長 L=1,507m)
マンホール 49 箇所削減
・道路線形施工により、マンホールを 49 箇所削減可
能
≪主な縮減・短縮要因≫
・マンホールの省略によるマンホール工(材料費含
む)の削減
≪主な増加要因≫
・曲管の布設に伴う管布設工(管材費含む)の増加
↓
21%の建設コスト縮減
※工期については、マンホールの省略により、8%の
短縮がみられた。