構造メッシュと非構造メッシュ 人工環境設計解析工 …...1...

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1 人工環境設計解析工学 メッシュ生成と アダプティブリメッシング (第4回) 東京大学 新領域創成科学研究科 鈴木克幸 2 (a) Structured Grid (b) Unstructured Grid 構造メッシュと非構造メッシュ マッピング法 バウンダリフィット法等 デラウニー法 アドバンシングフロント法等 3 自動メッシュ生成技術 構造メッシュ生成(規則的に配置されたメッシュ) マッピング法(マップドメッシュ) バウンダリフィット法 非構造メッシュ生成 デラウニー法 四分木、八分木法 フロント法 ペービング法 構造問題では非構造メッシュが主流。流体問題では構造メッシュが主流だ が、非構造メッシュに移りつつある。 4 半自動メッシュ生成法 マッピング法 Transfinite マッピング法 バウンダリフィット法 Ω x y 参照領域 0 1 1 Ω a 1 a 2 a 3 a 4 実領域 ブロック分割

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1

人工環境設計解析工学メッシュ生成と

アダプティブリメッシング(第4回)

東京大学

新領域創成科学研究科

鈴木克幸2

(a) Structured Grid (b) Unstructured Grid

構造メッシュと非構造メッシュ

マッピング法バウンダリフィット法等

デラウニー法アドバンシングフロント法等

3

自動メッシュ生成技術

構造メッシュ生成(規則的に配置されたメッシュ)

マッピング法(マップドメッシュ)

バウンダリフィット法

非構造メッシュ生成

デラウニー法

四分木、八分木法

フロント法

ペービング法

構造問題では非構造メッシュが主流。流体問題では構造メッシュが主流だが、非構造メッシュに移りつつある。

4

半自動メッシュ生成法

マッピング法

Transfinite マッピング法

バウンダリフィット法

Ω

・ x

・ y

参照領域0 1

1

Ω

a1 a2

a3

a4

実領域

ブロック分割

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Transfinite マッピング法

マッピングを4角形以外の領域に拡張

マッピング領域がゆがんでいるときはメッシュもゆがむ

Ω Ω

a1 a2

a 3a4

x

y

実 領

域参 照 領

0 1

1

f1( x )

f2 ( y)

f3 ( x)

f4 ( y)

ステップ1  実 形状の境界節点を参 照 領域へマッピング

辺1

辺4

辺3

辺2

ステップ2  参 照 領域上でのメッシュ 生成

Ω Ω

ステップ3  実 領域へマッピング 6

バウンダリーフィット法

楕円型偏微分方程式を解く(Elliptic Mesh Generatorとも呼ばれる)

非常になめらかな構造メッシュ

凸部は疎に、凹部は密に

ξ ξ

η ηxx yy

xx yy

PQ

+ =

+ =

7

良い形状の要素が多く生成される。

対辺で節点数を等しくしなくてはならない等の制約があり、完全な自動化は行えず、複雑な形状を持つ領域にも適用できない。要素の粗密化が難しい。

長所

短所

マッピング法(2)

8

デラウニー法

ボロノイ分割に基づく

無限領域に対して解の存在が保証

有限要素メッシュとして質のよいメッシュ

3次元への拡張が容易

AA

ボロノイ分割図 デラウニー三角形分割

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デラウニー法によるメッシュ生成法

最初のデラウニー三角形 Watsonのアルゴリズムによる三角形分割 領域内部を取り出す

xx

x

(a)初期三角形分割 (b)点の挿入 (c)要素の消去(d)更新された  三角形分割

Watsonのアルゴリズム

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メッシュ生成例

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デラウニー法の問題

(a) Degeneracyが生じる例

(i) (ii) (iii)

(iv) (v) (vi)

(b)境界と不整合が生じた例  (△ABC, △CBD)

A

B

C

D

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アドバンシングフロント法

境界から三角形(四面体)を生成

非凸形状に有利

アルゴリズムは複雑

(1) 境界節点の生成 (2) 内部節点生成

(3)フロント法による三角形要素の生成

(4)スムージング

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アドバンシングフロント法でのメッシュ生成

P

Q

P

Q

14

アドバンシングフロント法の例

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(1)境界節点発生

(2)面上でのメッシュ生成

(3)ソリッドのメッシュ生成

ユーザが要素の大きさの指標を与える

(アドバンシング)フロント法を用いたメッシュ生成

非多様体モデルや多連結の領域から成る問題において、整合性の取れたメッシュ生成が容易 16

アドバンシングフロントvs デラウニー

アドバンシングフロント法

境界面近くでいいメッシュ

メッシュ形状の制御可能

計算量が多い

デラウニー法

数学的ベース

計算量小

境界での不具合

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4分木法、8分木法

2次元、3次元

(b)(a)18

メッシュ生成例

4分木 メッシュ(スムージング前)

任意形状に対応3次元への拡張が容易(8分木法)

要素形状があまりよくない力学的な問題と別に粗密が生じる

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生成された、正方形のうち領域の外部にあるものは除去し、境界線上にある正方形については、境界に適合するように正方形ブロックの形状を修正する。

適当な分割パターンを用いて、メッシュを生成する。

スムージングを行いメッシュ全体の質を改善する。

(4)

(5)

(6)

四分木・八分木法(2)

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スライスカット法(断面法)

2.5次元体のメッシュ生成

完全な自動化は困難

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ペービング法

境界から順に4辺形メッシュを配置していく

矛盾が出たら修正する

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6面体メッシュ生成法

Whisker Weaving法2次元のPaving法の3次元への拡張

Grid Based法立体の内部に立方体のグリッドを配置

表面を処理

Medial Surfaceを用いた空間分割法

マッピングによる6面体生成が可能な基本領域に分割

すべての頂点において稜線が3本である必要

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66678

5678 9

001

24

00

物体の角を表現

表面要素番号

交差するシート番号

シート番号

1

1

3

3

2

2

76

5

4 1

0 6

0 1 2 3

0 0

3

3

8

0

2

5 0 0

3

3

9

1

3

1

1

0

0

2

2

78

9

4 3

2

1

1

3

3

2

2

76

5

4 1

0 6

1 2 3

0 0

3

3

8

0

2

5 0 0

3

3

9

1

31

1

0

0

2

2

78

9

4 3

21

21 2

1

2

Whisker Weaving法

表面の四角形分割データから内部に六面体を生成していくSTC空間上での分割

四角形分割によっては六面体に切れない場合がある現状では実用化レベルのものはない

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Whisker Weaving表面の四角形メッシュから、内部に六面体メッシュを作成していく(Muller-Hannemann)

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Grid Based法、オーバーレイ法

複雑な形状を有する問題には適用できない。市販されている物もある。

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Medial Surfaceを用いた方法

すべての頂点において稜線が3本である必要がある。

実用化されているものもある。

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スムージング(Smoothing)

A

BD

E

F

G1

G2 G3

G4P'

C

G1-4:Centroids of Elements

メッシュ生成が終了した後に、メッシュのトポロジーを変更せずに、メッシュ全体の質を改善。

∑=

=′n

iin 1

1 PP

=

==′ m

ii

m

iii

A

A

1

1G

P

A

B

C

D

E

F

G1

G2G3

G4

P

P1

P2

P3

P4

P

P1

P2

P3

P4

P'

凹状の境界付近では、注意が必要。

要素形状が悪くなる場合

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アダプティブ法とは

有限要素法の解の精度はメッシュに依存

応力の急激に変化する場所は細かい要素に分割

「良い」メッシュの生成

経験豊富なエンジニアが手で生成

粗密付けの機能を持った自動メッシュジェネレータの利用

アダプティブ法

解析結果に基づき離散化誤差の分布を推定し、誤差を減らすようにメッシュを改善→解析専門家でなくても精度のよい解析が可能

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解析における誤差

簡略化誤差

解析問題決定時のモデルの簡略化によって生じる誤差

現状では定量的な評価は困難

離散化誤差

連続体の有限要素離散による補間の不正確さによって生じる誤差

数値誤差

数値積分の誤差は理論的背景がほぼ確立

丸め誤差は、現在の計算精度ではあまり問題とならない

物理現象

力学的モデル

有限要素モデル

数値解

簡略化誤差

離散化誤差

数値誤差

30

誤差

ベクトル量のスカラー化(エネルギーノルム)

要素ごとの解析を行うとき、剛体運動成分は正確に求めることができない

離散化誤差の計り方

厳密解

u x y( , )l q有限要素解

$( , )u x yl q

e x y u x y u x y( , ) ( , ) $( , )l q l q l q= −

e u D u dTl q l q l q= ∇ ∇z ΩΩ

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事前誤差評価と事後誤差評価

事前誤差評価 (A-Priori Error Estimation)有限要素解析を行う前に、メッシュの代表長さhに基づいて誤差評価を行う

オーダーレベルの誤差評価のみ

誤差の分布はわからない

事後誤差評価 (A-Posteriori Error Estimation)有限要素解析の解を利用して誤差解析を行う

定量的な誤差の評価が可能

誤差の領域内での分布がわかる

u u Ch um

k mkl q l q l q− ≤ − +

+$ 1

1

32

事後誤差評価法の種類

応力場のスムージングによるもの

応力の不連続量を評価Zienkiwicz, et. al.

残差によるもの

基礎方程式に基づくOden, et. al.大坪、北村 et. al.

サブドメインで残差を評価するもの

Babaska, et al.双対法によって誤差の上下限を求めるもの

etc.

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残差に基づく方法

f

Γu

Γσ

t

u=u

Ω

厳密解:釣合い方程式、境界条件を完全に満足する

有限要素解:基礎方程式に残差が生じる

∇⋅ + =σ fl q l q0

∇⋅ + =$σ f rl q l q要素間、境界の反力に不釣合いが生じる

領域内で、力は常に釣り合う

e=0Γu

Γσ

u=u

Ωr i

−ρi

−ρij

σ

t t

t ti j ij

i i

l q l q l ql q l q l q

+ =

− =

ρ

ρ σ 34

残差に基づく誤差の計算

誤差の満足すべき方程式を導く

要素ごとの解析

e=0Γu

Γσ

u=u

Ωr i

−ρi

−ρij

σ

r i

ρi

ƒ¡¡σ

ƒ¡¡u

ij

ρij

ij

ρiρj

35

変位と応力の連続性

u

uh

u σ

σ

σh

2階の微分方程式

1階微分(応力、歪)は連続

36

スムージングによる方法

σ評価誤差

節点で連続化した応力

有限要素解による応力

要素1 要素2 要素3

1次の近似関数を用いた場合、変位は連続であるが応力は不連続になる。

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スムージングした応力

σ σ

σ σ

σ

* *

*

* *

( )

~

=

− =

= ∇

=

zzz−

N

N d

A N D Nu d

A N Nd

Th

Th

T

Ω

Ω

Ω

Ω

Ω

Ω

0

1e j

38

アダプティブ法の種類

r法:節点を移動し、誤差の大きい領域の要素寸法を小さくする

h法:要素を細分割し、要素寸法を小さくする

p法:近似関数の次数を上げる

オリジナルメッシュ r法

h法 p法

39

アダプティブ法の指針1

min ( ) ( )

( ) ( )

f h e h

g h n h d N

i

N

i

el

=

= − ≤

=∑

z1

2

0

subject to

ΩΩ

L f h g hf h

hg h

h

= +

−∂∂

∂∂

FH

IK =

( ) ( )( ) ( )

λ

λ

Lagrange乗数法

40

アダプティブ法の指針2

−∂∂

∂∂

FH

IK =

=

= −

f hh

g hh

f h mhg h nh

( ) ( )

( )( )

λ

σ

2

− = − =−

− −

σ σ λσ σ

2 2

1

3 2mhnh

mhnh 領域内で一定

− = =−zz mh d nh dii

σ λσ

μΩ ΩΩΩ

2 2各要素で一定

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r-アダプティブ法

まわりの要素の誤差に応じて節点を移動

メッシュのコネクティビティーは変化なし

メッシュのゆがみによる問題→大きな移動は難しい

目的とする精度を指定することは難しい

xx A

A

yy A

A

niC

i i

i i

niC

i i

i i

=

=

∑∑∑∑

ee

ee

c hc hc hc h

(xc,yc)1

(xc,yc)2(xc,yc)3

(xc,yc)4

(x,y)old

(x,y)new

42

r-アダプティブ法の例

43

h-アダプティブ法

誤差の大きい要素を細分割

精度を指定することによってのコントロール可

要素の細分化する部分としない部分の境界で、特殊な処理が必要になる

44

h-アダプティブ法の形状関数の連続性

1

2

3

(a)(b)

2

1 3

45

(c)

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45

h-アダプティブ法の例

46

h-アダプティブ法の例(誤差分布)

47

切り直しを行うh法メッシュの切り直しを行う

48

p-アダプティブ法

要素内の誤差が大きい要素の辺の形状関数の次数を上げる

3次

4次

2次3次

2次

2次

1次2次

N5 N6

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p-アダプティブ法のストラテジー

1次

1次

1次

1次

1次 1次

1次1次1次

1次

1次1次

1次

2次

2次

1次

2次 2次

2次2次2次

2次

2次2次

2次

2次

2次

1次

2次 3次

3次2次3次

3次

3次3次

2次

3次

2次

2次

2次 3次

3次2次4次

4次

4次3次

50

各方法の比較

r 法 h法 P法

長所 ・要素数、節点数一定

・比較的少ない自由度でよい

精度

・複雑な形状への適用が

容易

・応力集中に対する精度

・ 単純な入力データ

・ 少ない要素数で

程々の精度

短所 ・境界での節点移動が複雑

・比較的少ない自由度でよい

精度

・要素数の急激な増加

・中間節点の発生

・ 急激な応力集中な

どに対する精度が

悪い