顧客とのチャネルすべてで 最適なコミュニケーショ...

3
顧客とのチャネルすべてで 最適なコミュニケーションを実現する マーケティング基盤を構築 Customer Success Story 森下仁丹株式会社 [業種] 医薬品 [業種詳細] 医薬品、医薬部外品、医療機器 ならびに食品等の製造および 販売 [従業員数] 297 明治時代からのロングセラー商品「仁丹」を提供する森下仁丹株式会社。リテールだけで なく、新聞通販、テレビ通販、インターネット通販など、多チャネルでの商品販売を戦略と する同社では、チャネルを横断して1つのプラットフォームの顧客情報基盤を構築し、顧客 との最適なコミュニケーションができる仕組みを求めていた。そこで、eコマースサイトの 刷新にCommerce Cloudを、CRMの再構築にService Cloudを、そしてマーケティング基盤 としてMarketing Cloudを導入。Salesforce製品の連携により多様なマーケティング施策を 実施していく。 Commerce Cloud Eコマース Marketing Cloud マーケティング 導入製品・サービス Service Cloud カスタマーサービス

Transcript of 顧客とのチャネルすべてで 最適なコミュニケーショ...

Page 1: 顧客とのチャネルすべてで 最適なコミュニケーショ …...そこで、eコマースサイトの 刷新にCommerce Cloudを、CRMの再構築にService Cloudを、そしてマーケティング基盤

医薬品

顧客とのチャネルすべてで最適なコミュニケーションを実現するマーケティング基盤を構築

Customer Success Story

森下仁丹株式会社

[業種] 医薬品

[業種詳細] 医薬品、医薬部外品、医療機器ならびに食品等の製造および販売

[従業員数] 297名

明治時代からのロングセラー商品「仁丹」を提供する森下仁丹株式会社。リテールだけでなく、新聞通販、テレビ通販、インターネット通販など、多チャネルでの商品販売を戦略とする同社では、チャネルを横断して1つのプラットフォームの顧客情報基盤を構築し、顧客との最適なコミュニケーションができる仕組みを求めていた。そこで、eコマースサイトの刷新にCommerce Cloudを、CRMの再構築にService Cloudを、そしてマーケティング基盤としてMarketing Cloudを導入。Salesforce製品の連携により多様なマーケティング施策を実施していく。

Commerce CloudEコマース

Marketing Cloudマーケティング

導入製品・サービス

Service Cloudカスタマーサービス

Page 2: 顧客とのチャネルすべてで 最適なコミュニケーショ …...そこで、eコマースサイトの 刷新にCommerce Cloudを、CRMの再構築にService Cloudを、そしてマーケティング基盤

Salesforceにプロダクトを揃えた方が連携をより速く、

強くできると考えました。さらに今後の展開としてオン

ライン、オフラインを問わずさまざまな施策を考えていく

ときに、Marketing Cloudには他ツールとの連携や開発

の容易さがあります。そうした点を評価して導入すること

を決めました」と森氏は振り返る。

 堀井氏は、既存のMAツールは完全には使いこなせていな

かったと前置きしながらも、「特にマーケティングの全体設計

という点で、Marketing Cloudは優れています」と評価する。

 Marketing Cloudの活用については、まずJourney Builder

でのシナリオ作りが起点となる。Journey Builderは、

顧客行動にもとづいてコミュニケーションを顧客ごとに

設計する機能だ。

 「通常の全配信メールに加えて、追加の形で6本のカス

タマージャーニーを組み立てています」と森氏。商品購入

をした顧客に対するコミュニケーションのシナリオが

2本。これは森下仁丹が今特に注力している商品である

「ビフィーナ」と「テアニンゼリー」の購入者に対するシナ

リオだ。そして、顧客のクラスターごとに活性顧客で

居続けてもらうためのコンタクトシナリオも用意している。

 Salesforceも今回のシナリオ作成を支援している。

「Salesforce Einsteinを利用した休眠顧客の復活シナリオや、

いわゆるカート放棄とブラウザ放棄のお客様に対するシナ

リオなどを提案してもらいました」と森氏は言う。

 まずはこれら6本のシナリオによるコミュニケーションを

実施していく。そしてその結果を分析し、PDCAを回して

いく。森氏は、「ウェルカムメールなどもすべてに実装でき

 森下仁丹では従来、顧客情報や受発注情報などの管理に

既存のコマースソリューションをCRMとして利用して

きた。森下仁丹株式会社 ヘルスケア事業本部 ダイレクト

マーケティング事業部 ダイレクトマーケティンググループ

専任課長の堀井 亮太氏は、「電話注文やeコマースサイト

など、外部モール以外の受注と出荷の情報をこの既存

ソリューションで管理してきました。Commerce Cloud

とService Cloudの導入にあたり、eコマースサイトを

Commerce Cloudで再構築するとともに、顧客情報や

購買履歴情報をマーケティングに活用できるように管理

方法を変更しました」と語る。

 既存のコマースソリューションにはすべての顧客情報、

購買履歴情報が保管されている。そこから「活性顧客」の

情報をAPI連携によりService Cloudに取り込む。「過去

2年以内にご注文やお問い合わせなどのアクションのあった

お客様を活性顧客としてService Cloudに情報を格納すること

としました」と堀井氏。この活性顧客の多様な情報をもとに

マーケティング施策を行っていく。そして、そのマーケ

ティング基盤として選ばれたのがMarketing Cloudである。

Marketing CloudとService Cloudを連携して多様なマーケティング施策を実施 森下仁丹がMarketing Cloudの採用を決めたのは、

Commerce CloudとService Cloudの導入後だ。「当初は

これまでに利用していたMAツールをそのまま使う予定

でしたが、サイトやCRMとの連携を考えたときに

通信販売へもいち早く参入、顧客視点でのコミュニケーション構築が課題 銀粒の「仁丹」でおなじみの森下仁丹株式会社(以下、

森下仁丹)の創業は1893年。独自開発したシームレス

カプセルをコア技術として、BtoC領域で自社商品の製造

販売を行うヘルスケア事業、BtoB領域でカプセル化の

受託を行うカプセル事業を展開している。

 森下仁丹では、薬店、薬局、ドラッグストアなどの既存の

リテールルートに加え、早くから通信販売にも取り組んで

きた。新聞広告などを見た人が電話やFAXで商品を買える

仕組みを競合他社に先駆けて整え、通販事業に進出。そして

インターネットの普及にともない、2000年頃からは自社

eコマースサイトに注力し、現在ではリテールでの売り上げ

より通販事業の売り上げが上回るまでに成長した。

 無料お試しなど購入阻害要因を減らすことで初回購入

してもらい、その後、CRMを利用して初回購入顧客を

リピート顧客に引き上げる、いわゆる「単品リピート通販

モデル」で成果を上げ続けてきた。

 しかし2013年頃からはインターネット通販事業の競合

が増えるに従い、どれだけ広告費をかけられるかが勝負と

なり、限界が見えてきたという。インターネット通販と

しての売り上げの伸びが以前ほど期待できなくなると、

森下仁丹はさらなる多チャネル化に舵を切った。従来の

店頭、自社eコマースサイトに加え、外部のeコマース

モールやテレビショッピングなどでも販売をスタート。

多チャネル化は功を奏し、売り上げは順調に伸びていった。

 多チャネル化を進めるなかで森下仁丹では、顧客をもう

一度見つめ直した上で同社の良さや商品、ブランドの

優位性を伝えられるコミュニケーションを顧客視点で構築

したいと考えた。

 森下仁丹株式会社 ヘルスケア事業本部 ダイレクト

マーケティング事業部 部長の森 清氏は、「お客様が望ま

れるチャネルすべてで応えていかなければなりません。

そのためには各チャネル単独でお客様のデータを保持する

のではなく、チャネルを横断して1つのプラットフォーム

の顧客情報基盤を構築し、お客様との最適なコミュニ

ケーションができる仕組みが必要になります。Webサイト

やメールだけでなく、電話、ソーシャル、あるいは紙など、

さまざまな手段で、当社の商品やサービスとお客様の接点

を構築していきたいと考えています」と語る。

 従来の森下仁丹の顧客情報基盤であるCRMは、リピート

購入のためのメルマガを一定の期間に送ることぐらいで、

他のチャネルの施策にデータを活用することがなかった。

また、eコマースサイトはあくまで通販の受け皿的な役割で

あったため、ユーザビリティが良いとは言えず、ページ間を

回遊させる仕組みもなかった。

SalesforceによりECマーケティング、コミュニケーション基盤を再構築 そこで森下仁丹が採用したのがS a l e s f o rceだ。

Commerce Cloudによりeコマースサイトを刷新して

自社ブランドの強化とショッピング体験における利便性の

向上を実現し、Service Cloudを導入してCRMを再構築

することを決めた。導入の決め手は、Salesforceが打ち

出している、顧客情報を一元管理して「顧客の360度ビュー」

を提供する「カスタマー360」戦略が、森下仁丹の求める

チャネルを横断したフルファネルでのコミュニケーション

と合致したことだ。

森 清氏

「オンライン、オフラインを問わずさまざまな施策を考えていくときに、Salesforceには他ツールとの連携や開発の容易さがあります。そうした点を評価して導入することを決めました」

ヘルスケア事業本部 ダイレクトマーケティング事業部ダイレクトマーケティンググループ 専任課長

堀井 亮太氏

「目指しているのは顧客情報基盤をワンプラットフォームにすることです。マーケティングの全体設計という点で、Marketing Cloudは大変使いやすいツールです」

課題・背景 Salesforce選定ポイント 導入の狙いeコマースサイトのコンバージョンレート向上

顧客情報基盤のワンプラットフォーム化

顧客情報を一元管理し、最適なアプローチを提供

eコマースサイトのユーザーエクスペリエンス向上

eコマースサイトと顧客サービスの連携による顧客情報の一元管理

最適なコミュニケーション施策を構築できるマーケティング基盤

eコマースサイトが単なる通販の受け皿になっていた

多岐にわたるチャネルを横断したマーケティング施策が困難

既存のMAツールはCRMとの連携が難しく、顧客情報を活用しきれていなかった

ヘルスケア事業本部 ダイレクトマーケティング事業部部長

Page 3: 顧客とのチャネルすべてで 最適なコミュニケーショ …...そこで、eコマースサイトの 刷新にCommerce Cloudを、CRMの再構築にService Cloudを、そしてマーケティング基盤

Salesforce は salesforce.com,inc. の米国およびその他の国での登録商標です。またその他サービス名も salesforce.com,inc. の商標または登録商標です。その他各種製品名は、各社の製品名称、商標または登録商標です。© Copyright 2019 salesforce.com, inc.

株式会社セールスフォース・ドットコム

0120-733-257www.salesforce.com/jp

本カタログは2020年1月時点の情報です。

BB_CSS0003_202001-06

ているわけではありませんので、まだまだこれからです。

当初はメールの配信からですが、アプリやソーシャル、

ダイレクトメールなど、アウトプットをお客様の望まれる

形で増やしていきたいと考えています」と語る。

ローンチから半年経過したCommerce CloudとService Cloudの効果 2019年2月末にはCommerce Cloudにより構築した

新eコマースサイト『森下仁丹本店サイト』がローンチした。

以降3月から8月までの約半年間の成果について森氏は

次のように話す。「UX(ユーザーエクスペリエンス)の改善を

念頭にeコマースサイトを再構築しました。インターネット

広告やキャンペーンなども実施しましたのでCommerce

Cloudだけでの成果とは言えませんが、全体で直帰率が

1割ほど改善し、CVR(コンバージョンレート)も前年比で

約150%と良化しています」とその成果を語る。スマート

フォン、PC版ともに直帰率、CVRは向上している。

 新eコマースサイトのローンチにあたってはコンテンツ

などの見直しを行い、FAQなども掲載しているが、今後も

継続して改善を続けていく。森氏は、「Commerce Cloudを

導入しての目標はCVRの向上です。まずはランディング

ページからサンクスページまでの詳細な行動分析をして、

施策の振り返り改善と、PDCAを回すことが大切です」と話す。

 eコマースサイトでは今後も積極的にキャンペーンを

展開していくことを予定しており、そこで力を発揮するのが

Commerce Cloudのキャンペーン作成機能だ。「スピード

感を持ってキャンペーンを実施できるUIだと思います」と

森氏は語る。

 また堀井氏は、コールセンターのオペレーション最適化

に向けた取り組みの基盤としてもService Cloudを評価

している。「顧客カルテを作成しているのですが、Service

Cloudは必要な項目を随時追加できますので、使い勝手も

良いです。Marketing Cloudでの施策状況などもカルテに

追加することで、質の高いコールセンターのアウトバウンド

が実現できるようになると思います」と堀井氏。

オンライン、オフラインを横断したマーケティング戦略を Commerce CloudとService Cloud、そしてMarketing

Cloudを導入し、活用を始めた森下仁丹。森氏は今後の

展望について、考えていかなければならないことが多いと

言う。「当社の通販はもともと電話注文から始まったこと

もあり、顧客情報にメールアドレスを持たないお客様も

多くいらっしゃいます。そうしたお客様へのアプローチを

どうしていくかは考えていかなくてはなりません。同様に

マーケティング施策においても、オンラインに限らず、

紙のダイレクトメールなども活用してお客様ごとに最適な

コミュニケーションを考えていく必要があります」

 現状、メールアドレスを持っていて、かつメール送信

OKのユーザーは、全登録ユーザーの1/4程度。メール

アドレスはなくても多くの注文や問い合わせをする活性

顧客も多くいるため、そうしたユーザーへのアプローチも

早急に考える必要がある。Salesforceでは多くのサード

パーティとMarketing Cloudとのカスタム連携機能やAPI

を提供しているため、そうした機能なども活用していきた

いと森氏は言う。

 堀井氏は、「顧客情報基盤をワンプラットフォームに

したいというのが、そもそもの目標です。現状は既存の

コマースソリューションと同期しつつ利用していますが、

この受発注に関する部分もSalesforceに組み込んで、ワン

プラットフォームを実現できればと考えています。将来的

にはブラウザからすべてを管理できるようにしたいですね」

と展望を述べた。