思考力・判断力・表現力を高める授業づくり · 2020-06-05 ·...

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平成30年度 テーマ推進委員会 研 究 構 想 1 研究主題 2 研究主題について (1) 主題設定の理由 ア 現代社会の動向から 2020 年度完全実施となる新学習指導要領では,「社会に開かれた教育課程の実現」「育成を目指 す資質・能力の実現」のために「主体的・対話的で深い学び」や「カリキュラム・マネジメント」 などを通した「授業の充実・改善」が示された。 そこで,本校研究では,示されている中でも「主体的・対話的で深い学び」に着目して研究を進 めていく。「深い学び」とは,子ども達がもっている既有の知識を相互に関連付け,より深く理解 することや,情報を精査して考えを形成したり,問題を見出して解決策を考えたりすることであり, このような「深い学び」の実現には思考力・判断力・表現力の育成が深く関わっていると考える。 イ 本校の教育目標から 本校は教育目標「自ら学ぶ意欲をもち,思いやりと豊かな心をもって,たくましく生きる児童を 育成する」のもと,育成目標「強い子ども 明るい子ども 厳しい子ども」という3つの子ども像 が示されている。「強い子ども」とは,よく学び,よく考え創意工夫して実践する確かな学力をも った子どもの姿,「明るい子ども」とは,感性豊かで,互いに支え合い,ともにのびる豊かな心を 持った子どもの姿,「厳しい子ども」とは,最後まであきらめず,ねばり強くやり遂げる子どもの 姿を表している。 思考力・判断力・表現力の育成を重視する授業づくりを行うということは,考えをつくり,交流 し,より良い考えをつくっていくという学び合いの授業づくりにつながっていく。そうした授業づ くりを行っていくことは,教育目標を達成するために必要なことだと考える。 ウ 子ども達の実態から 昨年度 2 学期に実施した「学習に関するアンケート」の中にある「教科書や資料をもとに,自分 の考えを説明することができていますか」という質問に対して,「できている」と答えたのは全体 の56%であった。この結果から, 「自分の考えを表現できないと感じている」子が多くいるとい う実態が明らかになった。また,「話し合いをすることで,自分の考えをよりよいものにできてい ますか」という質問に対して「できた」と答えたのは全体の71%であった。1学期のアンケート と比較すると6学年中4学年が,「同じ」もしくは「下がっている」という結果であった。この結 果から 「話し合いに対する有用感を感じにくくなっている」という実態が明らかになった。 これらのアンケート結果から, 「自分の考えを表現できる」「話し合いに有用感をもつ」ことが必 要であると言える。そして,それらを達成するためには思考力・判断力・表現力を高める授業づく りを行っていくことが必要であると考える。 思考力・判断力・表現力を高める授業づくり ―学習内容の焦点化と,授業の視覚化・共有化の視点に立った手立てを通して―

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平成30年度

テーマ推進委員会

研 究 構 想

1 研究主題

2 研究主題について

(1) 主題設定の理由

ア 現代社会の動向から

2020 年度完全実施となる新学習指導要領では,「社会に開かれた教育課程の実現」「育成を目指

す資質・能力の実現」のために「主体的・対話的で深い学び」や「カリキュラム・マネジメント」

などを通した「授業の充実・改善」が示された。

そこで,本校研究では,示されている中でも「主体的・対話的で深い学び」に着目して研究を進

めていく。「深い学び」とは,子ども達がもっている既有の知識を相互に関連付け,より深く理解

することや,情報を精査して考えを形成したり,問題を見出して解決策を考えたりすることであり,

このような「深い学び」の実現には思考力・判断力・表現力の育成が深く関わっていると考える。

イ 本校の教育目標から

本校は教育目標「自ら学ぶ意欲をもち,思いやりと豊かな心をもって,たくましく生きる児童を

育成する」のもと,育成目標「強い子ども 明るい子ども 厳しい子ども」という3つの子ども像

が示されている。「強い子ども」とは,よく学び,よく考え創意工夫して実践する確かな学力をも

った子どもの姿,「明るい子ども」とは,感性豊かで,互いに支え合い,ともにのびる豊かな心を

持った子どもの姿,「厳しい子ども」とは,最後まであきらめず,ねばり強くやり遂げる子どもの

姿を表している。

思考力・判断力・表現力の育成を重視する授業づくりを行うということは,考えをつくり,交流

し,より良い考えをつくっていくという学び合いの授業づくりにつながっていく。そうした授業づ

くりを行っていくことは,教育目標を達成するために必要なことだと考える。

ウ 子ども達の実態から

昨年度 2 学期に実施した「学習に関するアンケート」の中にある「教科書や資料をもとに,自分

の考えを説明することができていますか」という質問に対して,「できている」と答えたのは全体

の56%であった。この結果から,「自分の考えを表現できないと感じている」子が多くいるとい

う実態が明らかになった。また,「話し合いをすることで,自分の考えをよりよいものにできてい

ますか」という質問に対して「できた」と答えたのは全体の71%であった。1学期のアンケート

と比較すると6学年中4学年が,「同じ」もしくは「下がっている」という結果であった。この結

果から

「話し合いに対する有用感を感じにくくなっている」という実態が明らかになった。

これらのアンケート結果から,「自分の考えを表現できる」「話し合いに有用感をもつ」ことが必

要であると言える。そして,それらを達成するためには思考力・判断力・表現力を高める授業づく

りを行っていくことが必要であると考える。

思考力・判断力・表現力を高める授業づくり

―学習内容の焦点化と,授業の視覚化・共有化の視点に立った手立てを通して―

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上記ア,イ,ウにより,児童の思考力・判断力・表現力を高める授業づくりを検討し,改善して

いくことが必要と考え,「思考力・判断力・表現力を高める授業づくり~学習内容を焦点化・視覚

化・共有化した授業改善を通して~」を設定する。

(2) 主題及び副主題の意味

ア 主題の意味

〇 「思考力・判断力・表現力を高める授業」とは

本校が考える「思考力・判断力・表現力を高める授業」とは

のことである。

このような授業を行うことで,(1)に示した目標や課題の達成ができるとともに,教育基本法

でも示されている「平和で民主的な国家・社会の形成者としてふさわしい公民的資質の基礎」を身

に付けさせることにもつながると考える。

何を どのように どんな場面で育てるか

思考力 ●社会的事象の相互の関連,

特色

●社会的事象の意味

●比較・関連づけ・総合

しながら再構成して

●学習問題や予想,学習計画を考える

場面

●調べたことをもとにして社会的事

象の意味などを考える場面

判断力 ●社会的事象の価値 (大切

さ)や課題など

●よりよい社会のあり方,

自分たちの社会へのかか

わり方など

●多面的,総合的にとら

えて

●学習問題に対する考えについて,学

習したことを取捨選択してよりよ

い考えにしていく場面

●学習したことをもとにして,学習問

題やこれからの社会について考え

「~を大事に」などと決めたりする

場面

●学習したことの中から自分たちが

協力できることを選ぶ場面など

表現力 ●調べたことや考えたこと ●言語などで

●根拠や解釈を示しな

がら図や文章などで

●ノート,作品などにまとめる場

●話し合う,発表する,提案する場面

など

上記で示しているのは,最終的に身に付けたい思考力・判断力・表現力である。このような能力

を身に付けるために,国語科や生活単元学習においても身に付けた知識・理解をもとに物事を関連

付けて考え,その関係付け方を選択したり判断したりしていく。また,そのようにしてつくり上げ

た自分の考えを自分の考えを表現することを意図的・計画的に多くの場面で経験させることも大切

思考力…社会的事象の相互の関連や特色,社会的事象の関連について考える力

判断力…社会的事象の価値や課題やよりよい社会のあり方,自分たちの社会へのかかわり方など

について判断する力

表現力…調べたことや考えたことを説明したり,論述したりして表現する力

▼小学校社会科で育てる思考力,判断力・表現力

子どもがこれまでの学習経験や生活経験をいかして考えたり他者と交流したりしながら,様々な学習活

動に主体的に取り組むことを通して,自ら考え,必要なこと判断し,それらを表現することができる授業

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である。

イ 副主題の意味

〇 「学習内容の焦点化,授業の視覚化・共有化」とは

学習内容の焦点化とは

学習内容の焦点化とは単元目標を具体的な子どもの言葉

や姿で明確にし,本時レベルまで落としこむことである。

授業の視覚化とは

授業を視覚化するとは,効果的に視覚的情報を使い,理解

を促すことである。本研究では,視覚化を「思考の視覚化」

としてとらえ,自分の考えを表出したり,学習段階を視覚的

にとらえたりして整理することを指す。

授業の共有化とは

授業で共有化するとは,子どもの考え方のよさを全員に広げることである。

上記の3つの考え方を取り入れた手立てを工夫すれば,主題で示した「思考力・判断力・表現力

を高める授業」が構成できると考える。

3 研究の目標

4 めざす子どもの姿

■ めざす子どもの姿について

(1) 自分の考えを表現することができる子ども

問題や課題に対してつくった考えを,資料など根拠を示してツールに表したり,発表したりでき

るこどもの姿。

(2)話し合いに有用感をもつことができる子ども

様々な考えの交流を通して,よりよい考えに変容したり,自分の考えが強化されたりしたと感じる

子どもの姿である

5 研究の仮説

6 具体的な手立て

単元目標(具体的な子ども

の言葉や姿)

▼学習内容の焦点化

国語科,社会科,生活単元学習において,子どもの思考力・判断力・表現力を高める授業をつくるため

に,学習内容の焦点化,授業の視覚化・共有化の考えにたった手立てを行うことの有効性を明らかにする。

学習内容の焦点化,授業の視覚化・共有化の考えにたった手立てを行えば,思考力・判断力・表現力を高

める授業をつくることができるであろう。

(1)自分の考えを表現することができる子ども

(2)話し合いに有用感をもつことができる子ども

思考力・判断力・表現力

が高まった子ども

(1) 焦点化…単元目標から一単位時間の子どもの姿を具体化すること

(2) 視覚化…子どもの考えを表すツールの工夫

(3) 共有化…話し合い活動の取組方の工夫

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7 検証の視点など

検証の視点 検証するもの めざす子どもの姿

焦点化 ・単元目標,一単位時間の子どもの

姿は達成できるものだったか。

・各時間におけるツールの

記述や交流の様子

(単元終了後)

考えをもち表現ができ

る子ども

有用感がもてる子ども

視覚化 ・ツールの種類や使い方は考えを整

理するために有効だったか

・ツールの記述

(学習問題に対する事実

や考え)

考えをもち表現ができ

る子ども

共有化 ・考えを表現する形態や場の設定は

適切だったのか。

・交流することで考えに変容(強化)

が見られたか

・交流

・記述

(学習問題のこたえ,

今日の学習で)

考えをもち表現ができ

る子ども

有用感がもてる子ども

8 研究の内容

■ 学習内容を焦点化・視覚化・共有化した授業改善について

(1) 焦点化

本研究では,「めざす子どもの姿」を達成するために,単元目標を「具体的な子どもの姿・言葉」

で明確にし,本時で達成する目標を「具体的な子どもの姿・言葉」で設定し手立てを考えていく。

▼焦点化の手順

範囲 焦点化のために必要なこと

単元全体

の計画

本時の

計画

・単元で習得するべき内容をもとに,単元目標を把握する。

・単元目標に沿った学習問題(読みのめあて)・学習問題の答え(読みのめあての答え)を設定す

る。

・単元目標をもとに,指導計画の段階・時間ごとの目標を設定し,フローチャートにまとめる。

・本時目標をもとに,本時学習の細かい手だて・発問を考える。⇒視覚化・共有化の手だてを

通して

こどもは授業や単元の中で▢▢

ということを書いたり表現した

りすることができたのか。

ツールを使うことで、子どもは

▢▢ということを書くことがで

きたか。また、適切なツールは

どのようなものか。

交流をすることでこどもは▢▢

(単元でとらえる内容)という

考えに変わったり、▢▢(単元で

とらえる内容)という考えによ

り強い根拠をもったりすること

ができたか

〇〇のような場や形態で交流す

ることで子どもは自分の考えを

表現することができていたか

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「焦点化の手順」の中でも述べているが,焦点化は単元の

目標を達成するために行う。そのために具体的に取っていく

手だてのもとになる考えが,視覚化・共有化である。

単元目標を具現化するために焦点化で目標・手だて・発問

を明確にし,視覚化・共有化で具体的な手立ての工夫を行って

いく。

(2)視覚化

①子どもの考えを表すツールの工夫

調べた事実を整理したり,整理した事実をもとに思考したことをまとめたりする「ツール」を活用

して「自分の考え」を視覚化し「表現」する。

▼ツールとそれぞれの用途の例

考えを広げたいとき 考えを整理したいとき 視点相互の関わりについて話し合いたいとき

「イメージマップ」

考えとその根拠を書き,根拠同

士のかかわりも表すことができ

る。考え,調べたことを増やす

ときに用いる。

「クラゲ・チャート」

クラゲの頭部分に考えを,足部分

に根拠を書き,考えと根拠のかか

わりを明確にすることができる。

「キーワード図」

追究の視点の相互関係を図

式化したもの。図式化すること

で,視点同士の関係を視覚的に

伝えやすくする。

ツールには様々な種類や用途があり,活用することができる場面も導入から追究~まとめの場面まで

と幅広い。これらのツールを活用していくことで,考えを増やしたり,考えと根拠のつながりに気付い

たり,考えを整理したりすることができる。さらに,互いに考えを伝え合う際にも,考えを視覚化して

いるので,伝わりやすい。

ツールは考えを視覚化して伝えやすくすると同時に,自分の考えを文章化するためのものでもある。

自分の考えを友達に話したり文章で書いてまとめたりして表現するためのものとして活用していく。

そのため,ツールを活用した交流活動を行った後に,付加・修正を加えたツールをもとに学習をふり

返ってまとめる時間を位置付けることにする。

国語科では挿絵や写真,社会科では地図や写真,グラフなど視覚的情報を活用することで,子どもの

理解をさらに効果的に促すことができる。教師側が提示する資料を加工したり,子どもが自分の考えを

表現する際に資料を活用して発表したりするなど,工夫を加えていく。

(3)共有化

授業の共有化では,一人一人の子どもの考え方のよさを全員に広げていくために,コミュニケーショ

ン活動の取り組み方を工夫する。「A さんが○○と考えたのはなぜだろう。」「A さんと自分の考えや根

拠のちがいはどこにあるのだろう。」というように考えや根拠のちがいに着目させ,友達の考えを理解

しながら自分の考えを見直したり,友達の考えのよさに気付いたり,自分の考えに自信をもったりでき

るような話し合いをする。

単元目標

共有化視覚化

焦点化焦点化のイメージ⇒

B C

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① コミュニケーション活動の方法

「考えをもち表現ができる」「話し合いに有用感もつ」ために,以下の活動を学習以外の「コミュ

ニケーションタイム」などでも活用し継続していく。

② コミュニケーション活動の形態

「考えをもち表現ができる」ために学習過程においては目的や実態に応じて,様々な形態の話し合

い活動を仕組む話し合い活動の形態として,以下の3つが挙げられる。

1.対話によるコミュニケーション活動

学習問題によるそれぞれの考えを,根拠をもとに話し合う。2人組による話し合いで,自分とは

異なる考え・根拠をもった相手の発表を聴き,確かめや質問をすることで,その考えや根拠の納得

する部分を取り入れるようにする。2人で話すのでしっかりと考えて話す時間を確保することがで

きる。

2.少人数グループによるコミュニケーション活動

3~4人の少人数グループで話し合う。視点による考えや根拠の共通点・相違点に着目し,確か

めや質問をすることで,理解し合うようにする。同じ視点・異なる視点など,目的や実態に応じて

グループ編成を行う。

ア 話し手が自分の考えを述べる。きき手は受容的な態度できく。 イ きき手は確かめ・質問をする。

ウ きき手は意見や感想を述べる。 エ きき手は自分の考えを確かにする。

互いの考えを交流することで,自分の考えが

どう変わったのかを見直し,赤鉛筆で付加・修

正したり,自分なりのまとめを書いたりして,

考えを確かにする。

その他 話す・聞く力を高めるために

〇話し手の考えを、聞き手が発表する。

〇話型を使う。

〇意欲を高める話題設定。

【話し手】

考えの根拠や思いを,

筋道立てて正確に伝わる

ように話す。

国語:

叙述・挿絵

社会:

資料 から

【きき手】

集中して話し手の

考え・根拠・思いなど

を聴く。

受容的に

相手の話

を聴く

姿勢

【きき手】 確かめ 「Aさんが言いたいことは ・・・ということですね。」と, 話し手が話した内容につ いて肯定的に確かめる。 質問 相手の考えについて, もっとよく知りたいと いうスタンスで質問を する。

【話し手】

自分の考

えを説明す

る。

【きき手】 話し手の考えを肯定しながら,話し手の考えと自分の考えを比べて,自分の意見や感想を述べる。

【話し手】

きき手の意見

で納得した部分

を自分の考えに

取り

入れ

る。

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3.学級全体でのコミュニケーション活動

その時間にめざす子どもの姿に迫るために全体で話し合う。学習問題のこたえにつながるキー

ワードを見いだし,自分の考えを再構成するようにする。多くの子どもが自分の考えを表現するの

で,より多面的にめざす子どもの姿に迫ることができる。

全体の話し合いには,代表児が考え・根拠を発表して他の子どもが確かめや質問・意見を述べて

いく形や,全体で挙手をして教師が指名していき,互いに質問・意見を言い合う形がある。

尚,今年度は手だての成果・課題をさらに明確に検証していくために,毎時間後に学習のふり

返りを書く時間を位置付ける。検証単元の導入時から抽出児を決め,終末までの変容を見取っ

ていくようにしたい。

上記のような,学習内容の焦点化,授業の視覚化・共有化を行うことによって,目標や

手だて,支援が明確になり,思考力・判断力・表現力を高めていく子どもを育成すること

ができると考えている

■ コミュニケーション活動の学習過程と考え方

段階 主な学習活動 3つのコミュニケーション活動 共有化のイメージ

1 1 学習課題をつくる

○ 驚き・疑問・矛盾などをもち,考

えの違いから自分の課題をつかむ。

○ 学習の見通しをもつ。(ふり返り)

コミュニケーション活動①

・課題を明確にし,学

習の見通しをもつ話

し合い活動

2 2 課題を追究する

○ 読み深め,追究したことを,ま

とめたり整理したりして自分の考

えをつくり,表現物に表す。

○ 他者の考えを理解する。(ふり返り)

コミュニケーション活動②

・課題について追究

し,考えの不十分な点

を補い,強化する話し

合い活動

3 3 学習課題に対する考えを交流し合

○ 自分の考えの変容を自覚する。

○ 考えを再構成する。(ふり返り)

4 単元全体をふり返る。

コミュニケーション活動③

・自他の見方・考え方

(読み方)と比較し,自

分の考えを高める話

し合い活動

既存の知識、考え方(読み方)

追究で身に付けた

知識・考え方(読み方)方)

既存の知識・考え方(読み方)

交流で身に付けた 知識・考え方(読み方)

既存の知識・考え方(読み方)

追究で身に付けた

知識・考え方(読み方)

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8 研究の構想図

思考力・判断力・表現力が 高まった子ども

子どもの実態(学習経験・生活経験)

さぐる 学習課題を

追究し,自分の

考えをもつ

つかむ 学習課題と

出会い,追究の

見通しをもつ

あらわす 他者の見方・考え

方と比較し,自分

の考えをもつ

・ツール

(イメージマップなど)

・学習のふり返り

・ツール

(イメージマップ⇒

クラゲチャート

話型を示した学習プ

リントやノート記述

など)

・学習のふり返り

・ツール

(キーワード図など)

・学習のふり返り

調べた事実の交流

・コミュニケーション活動②

様々な交流形態

事実から考えられることの交流

・コミュニケーション活動③

様々な交流形態

・単元目標もとに,本時目標を「具体的な子どもの姿や言葉」

で明確にし,学習計画を立てる。

学習問題作り・予想の交流

・コミュニケーション活動①

様々な交流形態

自分の考えをもち表現ができる 話し合い有用感をもつことができる

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⑥学習問題のこたえ

の交流

・学習問題のこたえ②

をつくる

学習過程のイメージ(社会)

・単元目標もとに,本時目標を「具体的な子どもの姿や言葉」

で明確にし,学習計画を立てる。

①学習問題作り

②予想

③調べ活動

④調べ活動(交流後)

⑤調べた事実の交流

(知識の平均化)

・ツールを用いて考え

をまとめ、学習問題

のこたえ①をつくる

様々な交流形態

様々な交流形態

様々な交流形態

・ツール

(クラゲチャート )

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学習過程のイメージ(国語)

・単元目標もとに,本時目標を「具体的な子どもの姿や言葉」

で明確にし,学習計画を立てる。

①単元のめあて作り

③読み取り

・表現・叙述をもと

にして

⑤単元のまとめ

・最初の感想と比較

様々な交流形態

様々な交流形態

調べた事実の交流

・コミュニケーション活動②

様々な交流形態

・ツール

(話型を示した学習プ

リントなど)

④考えの交流

10

②視点をもたせた感想