実験モード解析 -...

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実験モード解析 調和外力を受ける1自由度粘性減衰振動系の運動方程式は t j Fe kx x c x m ω = + + (1) ここで,m, c, kは質量,粘性減衰係数,剛性を,xは変位を表す.調和外力Fe j ω t が働くとき,運動方程 式の解は,x=Xe j ω t で与えられるので,これらを式(1)に代入する. ( ) F X k c j m = + + ω ω 2 (2) (2)から外力・変位間の伝達関数(コンプライアンス)に変形する. ζβ β j k F X 2 1 / 1 2 + = (3) ここで, 0 / n ω ω β = ) 2 /( mk c = ζ であり, m k no / = ω は不減衰固有角振動数, ζ は減衰比であ る.式(3)は虚数を含むことから複素数の式となる.その表現方法として,以下のような (1)ボード線図 1 ボード線図 2 ナイキスト線図 3 コクアド線図 1 伝達関数の種類 1

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実験モード解析

調和外力を受ける1自由度粘性減衰振動系の運動方程式は tjFekxxcxm ω=++ (1)

ここで,m, c, kは質量,粘性減衰係数,剛性を,xは変位を表す.調和外力Fejωtが働くとき,運動方程

式の解は,x=Xejωtで与えられるので,これらを式(1)に代入する.

( ) FXkcjm =++− ωω 2 (2) 式(2)から外力・変位間の伝達関数(コンプライアンス)に変形する.

ζββ jk

FX

21/1

2 +−= (3)

ここで, 0/ nωωβ = , )2/( mkc=ζ であり, mkno /=ω は不減衰固有角振動数,ζ は減衰比であ

る.式(3)は虚数を含むことから複素数の式となる.その表現方法として,以下のような (1)ボード線図

図 1 ボード線図 図 2 ナイキスト線図

図 3 コクアド線図

表 1 伝達関数の種類

1

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(2)ナイキスト線図 がよく知られている.また,加振周波数ωに対する実数部および虚数部をそのまま

表す (3)コクアド線図 と呼ばれるものもある.伝達関数は,周波数応答曲線(Frequency Response Function)とも呼ばれ,表1に示すように入力と出力の関係から種々の呼び方がある. FRFを実験で求める方法は図4に示すような方法がある.加振器で実験対象構造物を加振して,そ

の振動を加速度計等のセンサで測定し,信号処理装置によりFRFを求める.求めたFRFからモード

特性(固有振動数,減衰比,振動モード)を求める.加振装置による励振周波数と励振力の比較を図5

に示す.図6に示す機械式の加振器はおもりの偏心を利用するものである.図7には動電型加振器の例

を示す.図8はインパルスハンマの例を示す.振動の測定には一般には圧電型加速度計が用いられるこ

とが多い.図9に圧電型加速度計の構造を示す.表2に振動計の種類と特徴について記す.FFT 解析装

置の概観を図 10 に示す.

図 4 周波数応答の求め方

図 5 加振器の特性

図 6 機械式加振器

図 7 動電型加振器

図 8 インパルスハンマ

2

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図 9 圧電型加速度計

表 2 振動センサのタイプ 測定量 タイプ 用途・特徴 加速度 圧電形 振動一般,安価,高感度 ひずみ計形 振動一般,低周波数域 サーボ形 直流成分の測定,地震 速度 レーザドップラ形 非接触,高感度,広帯域 導電形 低周波,大振幅 変位 渦電流形 非接触,導電体 静電形 非接触,導電体 光学式(レーザ) 非接触,大振幅 ひずみ ひずみゲージ 振動一般

図 10 FFT アナライザ

多自由度系の場合に伝達関数は,重ね合わせることで以下のように表せる.

∑= +−

=M

r rrr

rli j

KG

12 21

/1)(

βζβω (4)

ここで,添字 li は i 点を加振し l 点を測定したことを表す.rはモード次数,Mはモードの総数,

)/( rlrirr kK φφ= であり, }{φ は固有モードベクトルであり各モード次数の振動パターンを表すもので

ある.図 11 に多自由度系のボード線図を示す.

図 11 重ね合わせによる表現

3

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実際の FRF の求め方(測定データの処理)は,FFT 解析装置による方法が広く利用されているが,

ここでは,FFT については述べない.FRF を計算する際の原理のみを示す. フーリエ級数では,一見複雑な波形の周期関数も調和関数の重ね合わせにより合成できた.

∑∞

=⎟⎠⎞

⎜⎝⎛ ++=

10

2sin2cos)(n

nn tTnbt

Tnaatx ππ

(5)

ここで,anおよびbnはフーリエ係数である.一般的には,信号を周波数分析する際にはフーリエ変換が

用いられる.すなわち,以下のようにフーリエスペクトルを計算する.

∫∞

∞−

−= dtetxfS ftjx

π2)()( (6)

また,実際の測定ではデータは有限の長さである.連続時間系の式(6)を離散時間系に変換すると

∑−

=

−=

1

0

2

)(1 N

k

Nnkj

xn ekxN

(7)

ここで,Nはデータ数を示す.入力と応答の信号のフーリエスペクトルをそれぞれ および

とすると,伝達関数 は以下のように表すことができる.

)( fS x )( fS y

)( fG

)()()()(

)()(

)( *

*

fSfSfSfS

fSfS

fGxx

xy

x

y == (8)

ただし,添字*は複素共役を表す.実際には,加振・応答信号は,A/D変換器によりサンプリングさ

れて離散データとされ,高速フーリエ変換(FFT)によりフーリエスペクトルを求める. 以下に,実験の際に必要となるサンプリング定理について示す.データを測定するときのサンプリン

グ時間Δtと測定可能な上限周波数fmaxの関係で

tf

Δ=

21

max (9)

である.また,離散データなので得られる伝達関数データの周波数分解能Δfは,測定したデータ数N

との関係がある.

tNf

Δ=Δ

1 (10)

図 12 曲線適合の方法

4

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振動実験によりモード特性を含んだ FRF データが得られる.次に,これらのデータからモード特性

を抽出しなければならない.そのために,多くの手法が提案されており図 12 に示す.学部の振動工学

の講義で習った,対数減衰率や Q 係数は最も簡便な手法の一つになる. Ⅰ.モード円適合(1自由度法)

以下では,1自由度法のモード円適合について示す.1 自由度系の伝達関数(コンプライアンス)で

減衰があまり大きくないときには,ナイキスト線図は円に近似できる.これを利用してモード特性を得

る手法をモード円適合(circle curve fitting)と呼ぶ.また,多自由度系においても各共振ピークが十

分に離れている場合には適用できる. 対象としている固有モードに対する他の固有モードの影響を完全に無視した 1 自由度系は,

ζββω

jKG21

/1)( 2 +−= (10)

と表せる.式(10)のナイキスト線図を考えると図 13 のように表すことができる.ここでの円は,

ζσωΩ

KKd 41

4

2

≈=半径 , ⎟⎟⎠

⎞⎜⎜⎝

⎛−=

ζK41,0中心 (11)

で描くことができる.ただし,減衰が小さいとして, ΩΩζω ≈−= 21d , ζΩσ = の関係を用い

ている.しかし,実際の測定では他のモードの影響を無視できない.ここでは,対象の固有モードの共

振点近傍においては,他のモードの影響を周波数に無関係な1つの複素定数 で表現できると仮定

すれば, jIR +

jIRj

KG +++−

=ζββ

ω21

/1)( 2 (12)

となる.これにより,ナイキスト線図上の円は,中心が実軸方向に R,虚軸方向に I だけずらされるこ

とを表す.

⎟⎟⎠

⎞⎜⎜⎝

⎛−=

ζKIR

41,中心 (13)

この円は,図 14 に示すようになる.この円の方程式は,実軸を x 虚軸を y とおけば

22

2

41

41)( ⎟⎟

⎞⎜⎜⎝

⎛=

⎭⎬⎫

⎩⎨⎧

⎟⎟⎠

⎞⎜⎜⎝

⎛−−+−

ζζ KKIyRx (14)

となる.次に,上式を展開すると

024

122 2222 =−++⎟⎟⎠

⎞⎜⎜⎝

⎛−−−+

ζζ KIIRy

KIRxyx (15)

となり,これを以下のようにおく 022 =−−−+ cbyaxyx (16)

ただし,

5

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Ra 2= , ζK

Ib2

12 −= , 22

2IR

KIc −−=ζ

(17)

式(16)は円の中心と半径を用いて表すと

図 13 ナイキスト線図 (他のモードの影響が無い場合)

図 14 ナイキスト線図 (他の固有モードの影響が定数で近似できる場合)

422

2222 bacbyax ++=⎟

⎠⎞

⎜⎝⎛ −+⎟

⎠⎞

⎜⎝⎛ − (18)

と変形できることは明らかである.すなわち,

4

22 bac ++=半径 , ⎟

⎠⎞

⎜⎝⎛=

2,

2ba

中心 (19)

とできる.ここで,円の方程式を決定するためには,3 点のデータがあればよい.実際には FRF のデー

タには誤差があるので,多数の点を用いて最小二乗法により係数を決定する. 測定したFRFのデータを式(16)に代入すると,一般には右辺はゼロにはならないので,その誤差をεi

とおいて,以下の誤差関数を定義する.

∑∑==

−−−+==l

iiiii

l

ii cbyaxyx

1

222

1

2 )(ελ (20)

ここで, は測定値の数である.式(20)を用いて,λを最小にするように未定係数 a, b, c を決定す

る.すなわち,a, b, c で微分した式をゼロにすればよい. )3(>l

{ } { }∑∑∑∑∑ ++++−=−−−+−=∂∂

iiiiiiiiiiii xcyxbxayxxxcbyaxyxa

22322 )(2)(2λ

{ } { }∑∑∑∑∑ ++++−=−−−+−=∂∂

iiiiiiiiiiii ycybyxayyxycbyaxyxb

23222 )(2)(2λ

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{ } { }clybxayxcbyaxyxc iiiiiiii ++++−=−−−+−=∂∂ ∑∑∑∑ )(2)(2 2222λ

(21)

ただし, を表す,式(21)をゼロとおいて,未定係数 a, b, c についてまとめると li 1=ΣΣ は

⎪⎭

⎪⎬

⎪⎩

⎪⎨

++

+=

⎪⎭

⎪⎬⎫

⎪⎩

⎪⎨⎧

⎥⎥⎥

⎢⎢⎢

)()()(

22

32

23

2

2

ii

iii

iii

ii

iiii

iiii

yxyyxyxx

cba

lyxyyyxxyxx

ΣΣΣ

ΣΣΣΣΣΣΣΣ

(22)

となる.式(22)の左辺係数行列および右辺のベクトルは測定データから求められるので,円の方程式が

決定できる.この円のしきから,図 14 中の点 C を求めれば固有振動数が決まる. 実際の手順は以下の用に行う. (1)使用するデータを選ぶ.ナイキスト線図上で共振点 drω 近傍の周囲のm個データを採用する. (2)m個のデータの座標 から式(22)を作成して,a, b, c を求める. ),( ii yx(3)固有振動数Ω(ωn0)を決定する.ナイキスト線図上にプロットされる点で,その間隔が最も広い

箇所をとり,その両側のデータの中央点を求める. (4)モード減衰比をζを求める. (5)その他のモード特性を求める.

7

付録 A:モード円適合における減衰の推定 モード円適合の手順中のモード減衰比を推定する

方法を述べる.式(10)を実数部と虚数部に分けると

222

2

)2()1(/)1(ζββ

β+−

−=

KGR (A1)

222 )2()1(/

ζββζβ+−

−=

KGI (A2) 図 A1 減衰比の推定

図A1 中のD,Eは固有振動数Ωを挟む 2 点である.そこでの角振動数をωdおよびωeとして,∠CPD=θd,∠CPE=θeとする.したがって,

d

d

Id

Rdd

GGPOD

ζββθ

21

2tantan

2−=

−==∠

e

e

Ie

e

GGPOE

ζββθ2

12

tantan2

Re −=

−==∠ (A3)

ここで,Ωωβ d

d = およびΩωβ e

e = であり,点DおよびEの座標を各々(GRd,GId)および(GRe,GIe)とする.

式(A3)より

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212

tan2 dd

d βθζβ −=

12

tan2 2 −= ee

e βθζβ (A4)

式(A4)の 2 式を加えると

22

2tan

2tan2 de

ee

dd ββθβθβζ −=

⎭⎬⎫

⎩⎨⎧ + (A5)

となり,以下のようにできる.

⎭⎬⎫

⎩⎨⎧ +

−=

2tan

2tan2

22

ee

dd

de

θβθβ

ββζ (A6)

1 自由度法が適用できる程度に減衰が小さい場合には,共振点の近傍では角振動数ωがわずかに変化

するだけで挟角が極めて大きくなる.そこで,式(A6)の分母については Ωωω ≈≈ ed すなわち 1≈≈ ed ββ (A7)

分子については, Ωωω 2≈+ ed 1≈+ ed ββ (A8)

として,近似すると

⎭⎬⎫

⎩⎨⎧ +

−=

+

−≈

⎭⎬⎫

⎩⎨⎧ +

+−=

2tan

2tan

)(

2tan

2tan

)(

2tan

2tan2

))((ed

de

ed

de

ee

dd

dede

θθΩ

ωωθθ

ββθβθβ

ββββζ (A9)

もし, になるように点 D および E を選ぶことができれば,tan 45°=1 であるから, 90== ed θθ

ΩωΔ

Ωωωζ

22)(=

−= de (A10)

とおける. % モード円適合プログラム

% コンプライアンス

% 比例減衰

% 2008/6/2 関数省略

clear all;

clc

% Data file read

% データ読み込み

[dw,omega,freqn,realp,imagp,numdat,fname]=read

dat;

% Plot graph for experimental results

% グラフの描写

om1 = freqn(1);

om2 = freqn(numdat);

figure

graph(realp,imagp,freqn,om1,om2);

% Identification start

%

OK = 0;

while OK == 0

disp('Frequency ranges : Upper and Lower')

[om1,y,button]=ginput(1);

[om2,y,button]=ginput(1);

% グラフの書き直し

figure

graph(realp,imagp,freqn,om1,om2);

8

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9

figure

nygraph(realp,imagp,freqn,om1,om2,dw);

[x,y,OK] = ginput(1);

end

% Data rearrange

omn1=round(om1/dw);

omn2=round(om2/dw);

n1 = omn2 - omn1 +1

xr(1:n1)=realp(omn1:omn2);

xi(1:n1)=imagp(omn1:omn2);

% Mode Circle Fitting モード円適合

[a,b,c]=mcf1(xr,xi,n1);

a

b

c

%

r=sqrt((a/2)^2+(b/2)^2-c);

for qd=0:360

qr=qd/180*pi;

qxr(qd+1)=r*cos(qr)+(-a/2);

qxi(qd+1)=r*sin(qr)+(-b/2);

end

% wdr の計算

max=0;

for i=2:n1

dis=(xr(i)-xr(i-1))^2 +

(xi(i)-xi(i-1))^2;

if max < dis

max = dis;

ind = i;

end

end

max;

ind;

% 簡便法

wdr=dw*((ind+omn1-1)+(ind+omn1))/2;

xd=(xr(ind)+xr(ind-1))/2;

yd=(xi(ind)+xi(ind-1))/2;

be=dw*(ind+omn1)/wdr;

bd=dw*(ind+omn1-1)/wdr;

s=abs((yd-(-b/2))/(xd-(-a/2)));

s0=atan2(yd-(-b/2),xd-(-a/2));

s1=atan2(xi(ind)-(-b/2),xr(ind)-(-a/2));

s2=atan2(xi(ind-1)-(-b/2),xr(ind-1)-(-a/2));

if sign(s0) ~= sign(s1)

s1=s1 - sign(s1)*pi;

end

if sign(s0) ~= sign(s2)

s2=s2 - sign(s2)*pi;

end

qd=abs(s0-s1); qe=abs(s2-s0);

zeta=(be^2-bd^2)

/(2*(bd*tan(qd/2)+be*tan(qe/2)))

Rr= -a/2

if (-b) < 0

Ir = (-b + sqrt(b^2+4*(Rr^2-c)))/2

else

Ir = (-b - sqrt(b^2+4*(Rr^2-c)))/2

end

Kr=1/(2*(2*Ir+b)*zeta)

KrINV=2*(2*Ir+b)*zeta

%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%

fdw=dw/1;

wide=dw/fdw;

n2=n1*wide;

clear i;

for i=1:n2

w=(fdw*i+omn1*dw)*2*pi;

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beta=w/(wdr*2*pi);

10

G(i) = (1/Kr)

/(1 - beta^2 + 2*j*zeta*beta)

+ Rr + Ir;

end

cxr=real(G);

cxi=imag(G);

nygraph2(xr,xi,dw,n1,cxr,cxi,fdw,n2,qxr,qxi);

%

eig1 = [' eigen=' num2str(wdr)];

sig1 = [' zeta=' num2str(zeta)];

mod1 = [' 1/Kr=' num2str(KrINV)];

mod2 = [' Rr=' num2str(Rr)];

mod3 = [' Ir=' num2str(Ir)];

%

figure

xptext(eig1,sig1,mod1,mod2,mod3)

多自由度法(単点毎)

Ⅱ.プロニーの方法(時間領域法)

この方法は時間領域法であり,単位インパルス応答からモード特性を求める.単位インパルス応答は,

実際の応答波形を用いるのではなく,伝達関数を逆フーリエ変換することで得られる.直接インパルス

応答波形を用いないのは,周波数応答関数を求める際に平均化を行うので,測定ノイズの影響を低減す

ることが期待できる.また,逆フーリエ変換をする際に,周波数範囲を限定することにより,周波数範

囲を限定することで特定の固有モードのみを対象とすることができる.しかし,欠点としては,逆フー

リエ変換の際に,周波数範囲が有限であることによる打ち切り誤差が生じ,逆変換後の時間領域データ

を歪めてしまう.以下では,一般粘性減衰系の場合について説明する. 単位衝撃応答は次のように表される.

∑=

+=n

r

tSrr

Srtr eaeath

1

** )()( (23)

ただし,*は複素共役を表し,留数 および固有値 は以下のように表される. ra rS

rrr jVUa +=

drrr jS ωσ +−= (24) データを取得する際のサンプリング間隔を tΔ とすれば,時刻 tit Δ= において式(23)は

∑=

+=n

r

tiSrr

tiSrr eaeatih

1

** )()( ΔΔΔ (25)

)( tih Δ を と表し )(ihtSr

r ex Δ= (26) とおけば

∑∑==

=+=n

r

irr

n

r

irr

irr xaxaxaih

2

11

** )()( (27)

ここで, を根とした,2n 次の代数方程式を考える. )2,...,2,1( nrxr =

0))(()( 0112

122

1

*2

1=++++=−−=− −

−==∏∏ bxbxbxxxxxxx n

nn

n

rrr

n

rr (28)

すなわち

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∑=

=n

i

ii xb

2

00 (29)

ただし, 12 =nb (30)

ここで, に を乗じたものを, について足し合わせると )(ih ib ni 2,....,1,0=

∑ ∑∑∑= ===

+++=

+++=+

+++=

+++=

n

i

n

i

inin

n

i

ii

n

i

iii

nn

nn

nn

xbaxbaxbahib

xabxabxabhb

xabxabxabhb

xabxabxabhb

2

0

2

022

2

022

2

011

0220

0220

01100

1221

1221

11111

0220

0220

01100

)(

)0()

)1(

)0(

(31)

)2,...2,1( nrxr = は式(29)の根なので,いずれも零になる.すなわち,

∑=

=n

ii ihb

2

00)( (32)

式(30)を用いれば,

∑−

=

−=12

0)()2(

n

ii ihbnh (33)

この関係は,時間を全体にkだけ移動させても成り立つので,

∑−

=

+−=+12

0)()2(

n

ii ikhbnkh (34)

すなわち,連続する 2n+1 個の時系列データがあるとき,最初の 2n 個の線形結合によって次のデータ

を予測できることを示している. 未知係数 を求めるには式(34)を 2n 組み作成して,次の連立方程式を解くとよい. )2,...,2,1( nibi =

⎥⎥

⎢⎢

−−=

⎥⎥

⎢⎢

⎥⎥

⎢⎢

−−

− )14(

)2(

)24()12(

)12()0(

12

0

nh

nh

b

b

nhnh

nhh

n

(35)

ただし,これでは測定データに誤差が含まれている場合には,その影響を直接受けてしまう.一般には,

同定する固有モード数は多くても数十個程度であると考えられるが,時系列データ数はそれに比較する

と十分多いので,最小自乗法により求める.ここで,時系列データ数を m 個として式(34)を用いると ε+= ybΗ (36)

ただし,ε は誤差ベクトルであり,

⎥⎥

⎢⎢

−−−

−=

)2()12(

)12()0(H

mhnmh

nhh

⎥⎥

⎢⎢

⎡=

⎥⎥

⎢⎢

−−=

⎥⎥

⎢⎢

⎡=

−− nmn mh

nh

b

b

2

1

12

0,

)1(

)2(y,b

ε

εε (37)

である.この誤差ベクトルにより計算される誤差関数λを最小にすることを考える.

11

Page 12: 実験モード解析 - dynamic1.me.tokushima-u.ac.jpdynamic1.me.tokushima-u.ac.jp/staff/hino/kirikitk/modal1.pdf · を示す.図8はインパルスハンマの例を示す.振動の測定には一般には圧電型加速度計が用いられるこ

εε2

1

2 Tnm

ii == ∑

=

ελ (38)

これは,線形の最小自乗法により解くことができる. yH)HH(b 1 TT −= (39)

これにより,未知ベクトル が定まる.これにより が求まれば式(28)の 2n 次の代数方程式を解くこ

とで,根 を得ることができる. は実数であるが,根 は実数以外に複素数になる

こともあり,その場合は共役複素数 も根である.式(24), (26)より

b ib

)2,...,2,1( nrxr = ib rx

*rx

tjx drrr Δωσ )exp( +−= (40) あるいは,

)sin(cos tjtex drdrt

rr ΔωΔωΔσ += − (41)

複素平面上で,根 の位置を示すと図 15 のようになる.したがって, rx

txr

r Δσ ||ln

−= (42)

rdr xt∠=

Δω 1

(43)

ただし, || および はそれぞれ複素数 の絶対値および偏角を示す. rx rx∠ rx また,式 (24), (27)から

=

=

−=

−−+++=

n

rr

irIr

irR

n

r

irI

iRrrr

irI

iRrrr

VxUx

jxxjVUjxxjVUih

1

1

)(2

)))(())((()( (44)

ここで, および はそれぞれ の実数部と虚数部を表

す.式(44)は, および に対して線形である.そこで m’個 の時系列データを用いて式(44)を m’通り作成し

て行列の形にまとめる.

irRx i

rIx irx

rU rV)2'( nm ≥

図 15 複素平面上の根

QPA =

(45) ただし,

}{ 121121 nnnnT VVVVUUUUP −−=

)}'()2()1({ mhhhQT = である.ここで,根 は既知なので,係数行列rx A は容易に作

成できる.これも最小自乗法を適用すれば QAAAP TT 1)( −= (46)

となり,固有モードを求めることができる.

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プロニーの方法は代数方程式の根を求める必要があるが,固有値問題を解くことに置き換えたイブラ

ヒムの方法も時間領域の方法としては代表的な手法である. Ⅲ.偏分反復法(周波数領域法)

これは,振動試験により得られた周波数応答関数データを非線形最小自乗法により伝達関数の方程式

に当てはめるものである. 式(3)の比例粘性減衰の周波数応答関数において,剰余項を考慮すると以下のようになる.

ZSjKG

n

r rrr

r 1121

/11

22 +−+−

= ∑= ωβζβ

(47)

ここで,SおよびZはそれぞれ剰余質量と剰余剛性であり,ここでは実数とおく.振動試験により得ら

れる伝達関数の実験データを式(47)の形で表現するためには,式中の 3n+2 個の未知数,すなわちβr,

ζr,Kr(r=1,...,n)とS,Zを決定する必要がある.βrとζrについては非線形項となるので,初期値を

与えて,実験データと式(47)からの計算値の誤差が最小になるように反復計算を行う.未知数をまとめ

てγh(h=1,...,3n+2)とすると,反復計算により真の値に近づけてゆくために

hhsh γΔγγ += (48) の更新を考える.ただし,γhsは初期値Δγhは変更量である.式(47)においてΔγhに関してテイラー展

開して近似的に1次項まで考慮すると以下のようになる.

ImRe

23

1),(),(),( jAAGGG h

n

rhs

hhsh +=⋅

∂∂

+≈ ∑+

=

γΔγωγ

γωγω (49)

こ こ で , hG γ∂∂ / は , BBr=1/Kr , C=1/S , D=1/Z と 書 き 換 え る と , 次 の よ う に な る .

),...,1()21()22(22 nr

jjBG

rrr

rrr

r

=+−

+−−=

∂∂

βζβζβ

β

),...,1()21(

)2(22 nr

jjBG

rrr

rr

r

=+−

−=

∂∂

βζββ

ζ

),...,1()21(

12 nr

jBG

rrrr

=+−

=∂∂

βζβ

21ω

−=∂∂CG

, 1=∂∂DG (50)

伝達関数がm個の角振動数 ),...,1( mii =ω の実験データとして求められたとする.このとき,誤差関

数λを各角振動数の伝達関数の実験データと計算値の実数部と虚数部の差の2乗和として定義する.

∑=

−+−=m

iiiii AGAG

1

2ImIm

2ReRe })(){(λ (51)

これをΔγhで微分して零とおくと

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( ) ( ) 021

ImImIm

ReReRe =

⎭⎬⎫

⎩⎨⎧

−∂∂

+−∂∂

=∂∂ ∑

=

m

iii

h

iii

h

i

h

GAAGAAγΔγΔγΔ

λ (52)

となる.式(49)のように考えたので,AReiおよびAImiはΔγhの1次式である.したがって,式(51)中の

Δγhに関する微分は,初期値γhsを与えれば式(50)から決定される.また,GReiおよびGImiは実験デー

タある.よって,式(52)をΔγhについてまとめることができ,3n+2 元の1次方程式となり,これを解

けばΔγhが求められる.変更量Δγhを式(48)に代入して次の初期値として,同様な計算を反復して行

う.この反復計算を(Δγh/γh)が十分小さくなるまで繰り返すことでγhを決定できる. 多自由度法(多点参照)

現在の主流の方法である.LSCF,(p-LSCF,商標:PloyMAX)や部分空間法などがあるが,これら

の詳細な内容についてはここでは省略する.

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