技能五輪国際大会の成績を踏まえた人材育成のあり方の検討 ......1...

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1 技能五輪国際大会の成績を踏まえた人材育成のあり方の検討委員会報告書 第1 見直しの趣旨・背景 国際的に技能を競い、参加国・地域の職業訓練の振興及び技能水準を向上させること等を目的に、技 能五輪国際大会が隔年で開催されており、日本を含む約 60 か国・地域が参加している。日本を代表する 企業等が大会を活用して中核となる技能者の育成などを行っているが、日本は、近年、得点が平均点以 下の職種が多くなるなど成績が良好とは言えず、製造系職種においてブラジル、タイ等の開発途上国の 成績が向上しているなどの状況にある。 これらの状況を踏まえ、平成 25 7 月に開催された技能五輪国際大会の成績及び企業等の同大会に向 けての取組みを分析したうえで、同大会での日本の成績を向上させるため、技能五輪全国大会のあり方、 国際大会に向けて行うべき対応について検討を行った。 第2 厚生労働省が開催している各種技能競技大会の概要 厚生労働省は、広く若年者から熟年技能者まで、その技能習得ステージに応じた各種技能競技大会を 開催しており、若年者をはじめとした多くの国民が、目標と誇りを持って技能労働にかかわり、精進し ていこうという気運を高めることを目標にしている。また企業及び職業訓練機関は、これらの各種技能 競技大会に労働者又は学生を参加させるため、多くの時間と労力をかけて選手の養成を行っている。 (注)各競技大会の目的は、厚生労働省「各種技能競技大会等の推進事業に係る企画書作 成のための仕様書」から抜粋して引用 若年者ものづくり競技大会 目的 学校等で技能を習得中の原則 20 歳以下の若者に目標を付与し、技能を向上させ、併せて若年技能 者の裾野の拡大を図る。 職種・課題 技能検定 3 級程度以上 平成 25 年度 14 職種(電子技術系 4、情報通信系 4、機械系 4、建設・建築系 2選手数 333 人(平成 20 年度の 208 人から 60%増) *一部の職種の成績優秀者は、全国大会又は国際大会に推薦で出場できる。 技能五輪全国大会 目的 国内の青年技能者(原則 23 歳以下)のレベルを競うことにより、青年技能者に努力目標を与える とともに、広く国民一般に対して、技能の重要性、必要性をアピールすることにより、技能尊重気 運の醸成を図る。 職種・課題 技能検定 1 級~2 級程度 平成 25 年度 40 職種(電子技術系 4、情報通信系 3、機械系 8、金属系 5、建設・建築系 10、サービ ス・ファッション系 10機械組立て、旋盤等の職種においては、一定以上の成績を収めた者について、一級技能検定の実技

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技能五輪国際大会の成績を踏まえた人材育成のあり方の検討委員会報告書

第1 見直しの趣旨・背景

国際的に技能を競い、参加国・地域の職業訓練の振興及び技能水準を向上させること等を目的に、技

能五輪国際大会が隔年で開催されており、日本を含む約 60 か国・地域が参加している。日本を代表する

企業等が大会を活用して中核となる技能者の育成などを行っているが、日本は、近年、得点が平均点以

下の職種が多くなるなど成績が良好とは言えず、製造系職種においてブラジル、タイ等の開発途上国の

成績が向上しているなどの状況にある。

これらの状況を踏まえ、平成 25 年 7 月に開催された技能五輪国際大会の成績及び企業等の同大会に向

けての取組みを分析したうえで、同大会での日本の成績を向上させるため、技能五輪全国大会のあり方、

国際大会に向けて行うべき対応について検討を行った。

第2 厚生労働省が開催している各種技能競技大会の概要

厚生労働省は、広く若年者から熟年技能者まで、その技能習得ステージに応じた各種技能競技大会を

開催しており、若年者をはじめとした多くの国民が、目標と誇りを持って技能労働にかかわり、精進し

ていこうという気運を高めることを目標にしている。また企業及び職業訓練機関は、これらの各種技能

競技大会に労働者又は学生を参加させるため、多くの時間と労力をかけて選手の養成を行っている。

(注)各競技大会の目的は、厚生労働省「各種技能競技大会等の推進事業に係る企画書作

成のための仕様書」から抜粋して引用

若年者ものづくり競技大会

目的

学校等で技能を習得中の原則 20 歳以下の若者に目標を付与し、技能を向上させ、併せて若年技能

者の裾野の拡大を図る。

職種・課題

・ 技能検定 3 級程度以上

・ 平成 25 年度 14 職種(電子技術系 4、情報通信系 4、機械系 4、建設・建築系 2)

・ 選手数 333 人(平成 20 年度の 208 人から 60%増)

*一部の職種の成績優秀者は、全国大会又は国際大会に推薦で出場できる。

技能五輪全国大会

目的

国内の青年技能者(原則 23 歳以下)のレベルを競うことにより、青年技能者に努力目標を与える

とともに、広く国民一般に対して、技能の重要性、必要性をアピールすることにより、技能尊重気

運の醸成を図る。

職種・課題

・ 技能検定 1 級~2 級程度

・ 平成 25 年度 40 職種(電子技術系 4、情報通信系 3、機械系 8、金属系 5、建設・建築系 10、サービ

ス・ファッション系 10)

・ 機械組立て、旋盤等の職種においては、一定以上の成績を収めた者について、一級技能検定の実技

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試験が免除される。

・ 選手数 1,127 人(平成 20 年度の 953 人から 18%増)

*多くの職種で、技能検定 2 級の実技試験が全国大会の予選会となり、成績上位が都道府

県能力開発協会から推薦されている。

全国大会参加者又は送り出し企業のうち、一級技能検定の実技試験の免除を参加の大きな動機とする

者は尐ないとみなされている。

翌年に国際大会が開催される年(隔年)について、多くの職種で、翌年の国際大会に出場する選手の

選考会を兼ねている。

全国大会の年齢制限は原則 23 歳以下、国際大会の年齢制限は原則 22 歳以下となっている。機械系、

IT 系の職種では、多くの選手は翌年の国際大会への出場を目標にしており、全国大会での優勝者がその

まま国際大会への出場するケースが殆どである。他方、建設・建築系、サービス・ファッション系等の

職種では、国際大会への出場を現下の目標にしている選手は尐なく、上限年齢に達している選手(国際

大会には参加できない)が上位になるケースが多い。全国大会での成績がトップレベルに達しなかった

選手に国際大会の出場の機会が与えられても、本人のモチベーションが上がらない場合がある。

技能グランプリ

目的

特級、一級及び単一等級の技能者の技能の一層の向上を図るとともに、その地位の向上と技能尊

重気運の醸成に資する。(年齢制限なし)

職種・課題

・ 技能検定特級、一級又は単一等級技能士のレベル以上

・ 平成 24 年度 28 職種(機械系 3、建設・建築系 13、サービス・ファッション系 12)

・ 選手数 482 人(平成 18 年度の 462 人から 4%増)

以上のように、厚生労働省の技能競技大会は、国家技能検定制度との密接な関係の下に開催されてい

る。また、各技能競技大会の課題、評価基準、その他の競技ルールは、職業能力開発総合大学校等の教

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員、事業主団体、企業の専門家・指導者等からなる各職種別競技委員会で検討され作成されている。

第3 わが国における技能競技大会の役割

厚生労働省が開催する各種技能競技大会及び技能五輪国際大会について、参加する大企業、中小企業、

職業訓練施設を対象にした調査(注)では、企業や学校が参加する意義として、競合他社等の技能との検証

ができる、技能習得のモチベーション・企業や学校の代表としての責任感・モラルアップにつながる、

上位入賞や国際大会への参加をメディアに取り上げられるなどにより企業イメージ(ブランド力)が向

上する、選手の支援により社員の結束が強まるなどのメリットを、規模の大小を問わず多くの企業等が

指摘している。さらに、選手として技能を習得した労働者が、後に指導者となって若い労働者を教育・

訓練することによりリーダーシップを身につけさせる、継続的な競技参加が社内の技能レベルを維持し

向上させるメリットがあるとの指摘もある。

このように、技能競技大会への参加が、特に高い技能を有する技能労働者の養成になるだけではなく、

企業・学校イメージの向上、技能労働者全体の底上げ、社内の技能継承システムの強化に有効であるこ

とが明らかにされている。

(注)平成 25 年度厚生労働省委託事業 「技能競技大会を活用した人材育成の好事例集」

(中央職業能力開発協会)

第4 技能五輪国際大会

技能五輪国際大会(以下 WSC : World Skills Competition)には、各職種に 1 国(地域)から 1 選手

(職種によっては 1 チーム。原則 22 歳以下。)が参加できる。現在 WSC は 1 年おきに開催されており、

WSC2013 ライプチヒ大会では、日本人選手が参加した 40 職種中、35 職種は技能五輪全国大会から、3

職種は若年者ものづくり大会から、2 職種は事業主団体が行う競技会から選ばれた。

1. WSC の競技内容(全国大会との比較)

(ア) 競技課題

近年の WSC の競技課題は、多くの職種において、製品企画、デザイン、プレゼンテーションなどの

領域に技能の範囲を広げている。

全国大会の競技は、基本的には国家検定の実技試験をベースとし、ハンドスキルの技能を習得するこ

とが主眼であったが、近年 WSC に近づけた内容とする職種が増えつつある。例えば、IT 系の多くの職

種では既に WSC とほぼ同じ内容の課題となっているが、機械系の職種においては、WSC では CNC 加

工機械を用いて競技が行われ、全国大会ではマニュアル加工機械(汎用機)を用いて競技が行われてい

る。このように競技の性格が大きく異なっている職種もある。

従来から日本では、機械加工に係る職業訓練においてマニュアル加工機械への習熟が重視されている。

こうした背景の下、マニュアル加工機械を用いて企業内等で訓練を受け、全国大会での優勝者が WSC

の選手に選抜された後、新たに CNC 機械加工に必要な CAD/CAM に関する技能を習得し、WSC の CNC

機械加工競技に参加している。

(注)日本には CNC 旋盤、CNC フライス盤が一つの場所にそれぞれ数台以上設置され

ている職業訓練施設は無い。これらの工作機械は高額であり、これらの職種を WSC 化

するためには、競技環境を整備するなど何らかの対応が必要になる。

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過去の日本のメダル獲得実績をみると、WSC の選考会となる全国大会から WSC の開催までの期間が

長い時には成績が良く、短い時には成績が悪いとの分析(注)がある。日本は機械加工系、IT 系の職種で

多くのメダルを獲得している。上述のように、機械加工系では競技の内容が WSC と全国大会で大きく

異なっている職種が多い。

(注)資料 6 日立製作所提出資料 日本の成績と準備期間の関係(グラフ)

(イ) WSC のルール等(全国大会等との比較)

WSC では公開課題について大会開催中に 30%を変更することがルール化されており、これに対して

短時間で対応することが求められる。一方全国大会では、課題の一部が非公開となっている職種は限定

的である。WSC では競技は 4 日間を超えない期間内に 15 時間~22 時間かけて行われる。一方全国大会

では、競技時間は最長で 12 時間となっている。

韓国、台湾は例年 WSC で日本を上回る、あるいは同等程度の成績をおさめているが、それぞれの全国

大会の参加選手は、ほとんどが職業訓練施設の学生である。全国で行われる予選大会には、全国の職業

訓練施設から多数の学生が参加しており、これを勝ち抜いた者が全国大会に参加している。

韓国、台湾の全国大会は、概ね WSC とほぼ同じ課題、時間、ルールで行われている。このため WSC

課題について職業訓練施設で長期間の訓練を受け、全国大会参加者の中から、WSC 選手が選抜されてい

る。

(ウ) WSC におけるエキスパートの役割

WSC 加盟国は、ある職種について一人のエキスパートを指名し、登録することができる。WSC にお

いてエキスパートとは、専門技術・知識・経験が豊富であり、その国の代表を務める者で、大会期間中

の競技の運営、審査、採点を行うだけではなく、次回競技の課題作成、評価基準の作成などの企画にも

携わる。このため審判や特定の役割を担うエキスパートは、競技課題の趣旨、採点の重点項目等を知り

得る立場にある。

競技課題の作成のためのコミュニケーションについて競技規則は、審判、エキスパート等の関係者全

てに対し、WEB 上に WSI(World Skills International : WSC の実施組織)が設けるディスカッション・

フォーラムを通じて行うよう定めている。

競技課題の守秘義務について競技規則は、課題作成作業に従事する審判、エキスパート等の関係者に

対し、課題の公開まで同作業に自分以外の者を関与させてはならないとしている。同時に、同国の選手

とエキスパートは、競技が公式に進行中である場合を除き、いつでもコミュニケーションを取ることが

できる(欠陥箇所を探させる職種を除く)旨定めている。なお競技日程中エキスパートは競技日ごとの

評価・採点、トラブル対応に係る協議等で多忙であり、同国の選手とコミュニケーションを取ることは、

一般的に容易ではない。

WSC に向けた選手の指導は、上記のようなルールの下に行われる。一般的に、WSC 課題の趣旨、採

点の重点項目等を十分把握したエキスパートが中心となって、選手と身近なコーチとの連携の下、なる

べく長い時間をかけて選手を指導することが、好成績につながると考えられている。

(エ) エキスパートと選手の所属団体の関係

多くの製造系の職種においては、WSC 選手を送り出す企業からエキスパートが選任されている。

これまで日本から多くの選手・エキスパートを WSC に参加させてきた企業の意見を集約すると、多く

の場合、企業にとって自社の選手を指導する立場の専門家が、エキスパートとして WSC に参加すること

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は、選手が WSC に参加することと同様に大きな意義があり、また長期間にわたる訓練指導の実施など、

競技準備を充実させるために有利である。

WSC 選手を送り出す企業からエキスパートを選任する場合、エキスパートは大会ごとに交代すること

が多い。このためエキスパートとして必要な知識・経験を獲得するためには不利であり、上記ディスカ

ッション・フォーラムでの発言力についても多くは期待できない。

他方、一部の職種においては、WSC における競技課題作成の動向等に精通し、出場経験の豊富な専門

家が教育機関や関連他社におり、当該社外の専門家をエキスパートに選任して選手の訓練指導を委託す

ることにより、好成績を収めているケースもある。

(オ) チームによる選手のサポート

参加国によっては、選手はユニフォーム(ポロシャツ、T シャツ等)を着て競技を行うとともに、応

援団も同じ色の服装で選手を応援している。チームとしてまとまっており、選手へのサポートになって

いるとの指摘がある。

第5 今後のわが国の技能競技大会のあり方、国際大会に向けて行うべき対応(提言)

技能競技大会に参加する企業が指摘する様々な意義のうち、上位入賞による企業イメージの向上につ

いて、WSC でのメダル獲得に係るメディア露出度は極めて大きい。しかしながら、近年は WSC での日

本の金メダル獲得数が一進一退を繰り返している中、ブラジル、タイ等の新興国の成績が急速に向上し

ており、その地位が脅かされている。

本委員会では、WSC の選手選考の場となっている全国大会のあり方と、国際大会に向けて行うべき対

応について、関係機関に提言を行うこととする。

1. 全国大会の競技内容の WSC 化の促進

全国大会と WSC では、幾つかの職種では競技課題の内容、評価項目の違いが増大しており、全国大会

で WSC 選手を選考し、その後 WSC に向け短期間の強化訓練を行っても、WSC での競争力を十分身に

つけることが困難になりつつある。

このため各職種では、これまで以上に、職種定義、競技課題、評価基準、競技時間等の競技内容につ

いて WSC との同一化を大きく推進することが望まれる。この場合、当該職種では、WSC 化された全国

大会の職種定義、競技課題は国家検定である技能検定の体系とは切り離されたものとなり、例えば技能

検定の実技免除の対象になることは求められないこととなる。

旋盤、フライス盤等の機械加工職種について、WSC での競争力向上の観点からは、WSC と同じよう

に全国大会でも CNC 加工機械を使用して競技を行うことが望ましい。(注)しかしながら日本では、CNC

加工機械を用いる競技環境が整っていないことから、マニュアル加工機械による全国大会の成績だけで

なく、当面、例えば初見の図面を CAD で形状データ化する CAD/CAM 技能の成績を加えて国際大会の

選手を選考するなど、WSC 化に向けた何らかの対応が別途検討されることが望まれる。

(注)この記述は機械加工の職業訓練のあり方を論評するものではない。

さらに、職種によっては、全国大会の出場選手のうち翌年の国際大会に出場する資格のある年齢の選

手について、全選手とは別枠で順位を与えることにより、当該年齢層では成績がトップであることを明

らかにし、国際大会への出場意欲を増進させることが望まれる。

2. 全国大会の開催時期の早期化

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全国大会の開催時期を早め、WSC 選手の決定後、WSC に向けた訓練を行う期間を十分確保すること

が望まれる。なお平成 26 年(2014 年)の愛知県における全国大会は 11 月 28 日~12 月 1 日に開催され

ることが既に予定されており、翌年 8 月 11 日~16 日に開催される WSC2015 サンパウロ大会には対応

できない。早くても WSC2017 年大会以降に効果が期待できる。

3. 選手への指導・サポート体制の見直し

WSC に参加する選手に対する競技のための的確な訓練指導を実施するため、以下のような取り組みを

行うことが望まれる。

(ア) エキスパート

エキスパートについて、現在一部の職種では行われている以下のような取り組みを、全職種において

行うことが望まれる。

・ 各エキスパートが、担当競技課題の趣旨、採点の重点項目、インフラリスト、自分の役割等を十分

理解すること

・ 職種定義・競技課題の趣旨、採点の重点項目について選手/コーチに十分理解させ、これらを踏ま

えた訓練を行わせること

・ 各エキスパートが中心となって、選手と身近なコーチとの連携の下、なるべく長い時間をかけて選

手に指導すること

・ WSI ディスカッション・フォーラムで発言し、競技課題作成での発言権等を確保すること

・ WSI ディスカッション・フォーラムを通じ、国のエキスパートとの交流等による情報収集等を行

うこと

・ 本来は、通訳が要らない英語力が望ましいこと

・ 通訳と事前に打ち合わせすること

・ エキスパートが代わってもノウハウが継承できるよう、重要なノウハウを文書化すること

以上の役割は、エキスパートの委嘱時に、あらかじめエキスパート候補者の了解を得ることが望まし

い。

大会参加選手とそのエキスパートの所属先の問題については、当該職種でのエキスパート経験者の実

績、エキスパートとコーチが協働して選手に対する指導を十分行うことができるか等を総合的に勘案し、

個別に判断されることが望まれる。

(イ) コーチ

エキスパートと連携の下、選手に対する助言・指導を行うコーチについて、現在一部の職種では以下

のような取り組みが行われている。このような取組が、今後、多くの職種に広がっていくことが期待さ

れる。

・ 現地(競技会場)入りするエキスパートにコーチが同行し、情報収集等の準備を行うこと

・ 競技期間中の急な競技内容の変更、エキスパートから選手への助言・指導等の専門的事項に係るサ

ポートを行うこと

(ウ) 通訳

通訳について、以下のような取り組みを全職種で行うことが望まれる。

・ 専門用語対訳リストの作成・整備(文書化)

・ エキスパートと事前に打ち合わせすること…再掲

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・ 競技中は、競技会場に常駐すること

(エ) チームリーダー(中央職業能力開発協会)

チームリーダーについて、以下のような見直しを行うことが望まれる。

・ 専門用語対訳リストの作成・整備(文書化)…再掲

・ 選手向け、エキスパート向けの活動マニュアルの充実

・ 競技期間中、選手のメンタル面のケアについて配慮すること

・ チームリーダーとしてのノウハウが継承されること

4. WSC ノウハウの蓄積

現在、技能五輪全国大会の製造系の多くの職種において、職業能力開発総合大学校の教員が競技主査

となり、競技課題、評価基準等の作成、競技の運営等を担っている。国内大会の競技課題の WSC 化にお

いては、同大学校教員が今まで以上に競技課題、評価基準等の作成の中心的な役割を担うことにより、

WSC 対応のための選手強化等に係るノウハウが同校に蓄積されることが期待される。

さらに将来的には、同校が WSC の職種定義、競技課題等の作成のイニシアティヴをとるような人材セ

ンターとなることが期待される。

他方、これまで事業主団体に所属する専門家がエキスパートとして WSC に参加してきた職種について

は、引き続き当該事業主団体を中心として WSC のノウハウが蓄積されることが期待される。

5. チーム JAPAN の結束力向上

関係者の意見を幅広く聞きながら、選手にとって心理的なサポートとなる有効な結束力向上のための

取り組みが望まれる。

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「技能五輪国際大会の成績を踏まえた人材育成の在り方の検討委員会」

委員

生駒 佳明 ㈱日立製作所 企画部部長代理

井上 花子 (一社)日本造園組合連合会 理事・事務局長

江藤 伸二 日産自動車㈱ 人事本部グローバル人財開発部人材開発グループ主担

垣本 映 職業能力開発総合大学校 学生部長

児玉 澄人 ㈱きんでん 執行役員・人材開発部長

塩崎 秀正 ㈱デンソー技研センター 技能開発部部長

高野 雅一 (一社)日本左官業組合連合会

(新潟県立魚沼テクノスクール)

鳥飼 靖郎 トヨタ自動車㈱ 人事部第2人事室主査

五十音順・敬称略

オブザーバー:厚生労働省職業能力開発局能力評価課

事務局:中央職業能力開発協会技能振興部振興課

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参加国・ 参加        メ ダ ル 獲 得 数 獲得数

地域 選手数 金 銀 銅 計 順位

1 韓国 41 12 5 6 23 1

2 チャイニーズタイペイ 44 6 4 8 18 2

3 スイス 39 9 3 5 17 3

4 日本 45 5 4 3 12 4

5 ブラジル 41 4 5 3 12 5

6 オーストリア 29 5 2 4 11 6

7 ドイツ 41 2 4 3 9 7

8 フランス 45 2 5 1 8 8

9 フィンランド 43 1 2 3 6 9

10 イギリス 33 2 1 3 6 10

11 スウェーデン 25 1 2 2 5 11

12 シンガポール 22 3 2 5 12

13 南チロル・イタリア 14 1 2 2 5 13

14 オーストラリア 31 1 2 1 4 14

15 中国 26 1 3 4 15

16 タイ 22 2 1 3 16

17 アイルランド 14 2 1 3 17

18 イラン 13 2 1 3 18

19 ノルウェイ 21 1 2 3 19

20 オランダ 24 1 1 2 20

21 インドネシア 32 1 1 2 21

22 デンマーク 17 1 1 2 22

23 カナダ 35 1 1 23

24 マカオ 11 1 1 24

25 ニュージーランド 13 1 1 25

26 アメリカ合衆国 20 1 1 26

27 ラトビア 8 1 1 27

第42回技能五輪国際大会

~国・地域別参加選手数及びメダル獲得数(順位)~資料 1

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技能五輪国際大会の日本選手団の成績状況

金 銀 銅

第11回 8 5 1 - 1位スペイン 2位日本

第12回 14 10 - 2 1位日本 2位アイルランド 3位西ドイツ

第13回 17 12 4 - 1位日本 2位イギリス 3位ポルトガル、スペイン

第14回 19 6 5 2 1位イギリス 2位日本 3位スペイン

第15回 20 9 3 2 1位日本 2位オランダ 3位イギリス、イタリア

第16回 20 5 7 2 1位スペイン 2位日本 3位西ドイツ

第17回 20 6 2 5 1位スイス 2位日本 3位韓国

第18回 23 9 2 4 1位日本 2位スイス 3位西ドイツ

第19回 30 17 4 3 1位日本 2位西ドイツ、韓国、スイス

第20回 26 10 3 5 1位日本 2位スペイン、スイス

第21回 27 5 5 8 1位西ドイツ 2位韓国 3位日本、スイス

第22回 26 4 7 5 1位スイス 2位韓国 3位スペイン 4位日本

第23回 26 7 4 3 1位韓国 2位西ドイツ 3位日本

第24回 27 1 5 6 1位韓国 2位スイス 3位オーストリア他3カ国 7位日本

第25回 28 7 8 1 1位韓国 2位日本 3位スイス

第26回 28 5 8 4 1位韓国 2位日本 3位スイス、西ドイツ

第27回 28 4 5 4 1位韓国 2位チャイニーズタイペイ 3位オーストリア 4位日本

第28回 34 11 8 4 1位韓国 2位日本 3位チャイニーズタイペイ、スイス

第29回 30 6 - 3 1位韓国 2位日本 3位チャイニーズタイペイ、他2カ国

第30回 27 3 6 1 1位韓国 2位チャイニーズタイペイ 3位オーストリア 5位日本

第31回 26 4 2 2 1位韓国 2位チャイニーズタイペイ 3位オーストリア 4位日本

第32回 27 2 6 5 1位チャイニーズタイペイ 2位韓国 3位ドイツ 4位日本

第33回 28 4 3 1 1位韓国 2位チャイニーズタイペイ 3位日本、ドイツ、スイス

第34回 29 2 - 4 1位韓国 2位チャイニーズタイペイ、スイス 8位日本

第35回 34 6 3 2 1位チャイニーズタイペイ、韓国 3位日本

第36回 33 4 2 4 1位韓国 2位ドイツ 3位日本、オーストリア

第37回 34 6 2 4 1位韓国 2位スイス 3位日本

第38回 36 5 1 2 1位日本、スイス、南チロル・イタリア 4位ドイツ、フィンランド 6位韓国他3ケ国

第39回 51 16 5 3 1位日本、2位韓国、3位フランス

第40回 45 6 3 5 1位韓国、2位スイス、3位日本

第41回 44 11 4 4 1位韓国、2位日本、3位スイス

第42回 45 5 4 3 1位韓国、2位スイス、3位チャイニーズタイペイ、4位日本、オーストリア

回出場選手数

日本のメダル獲得数金メダル獲得上位3カ国・地域名

資料 2

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計 金 銀 銅 計 金 銀 銅 計 金 銀 銅 計 金 銀 銅 計 金 銀 銅 計 金 銀 銅 計 金 銀 銅 計 金 銀 銅 計 金 銀 銅 計 金 銀 銅 合計

韓国 17 10 5 2 16 10 3 3 15 6 7 2 31 18 4 9 24 10 6 8 16 3 8 5 24 10 9 5 22 13 4 5 24 13 5 6 23 12 5 6 212

台湾 16 5 6 5 16 6 9 1 16 7 6 3 17 3 6 8 7 4 1 2 7 1 2 4 8 0 5 3 11 3 0 8 8 1 4 3 18 6 4 8 124

スイス 8 4 3 1 19 6 8 5 13 5 5 3 11 3 3 5 20 8 9 3 18 5 7 6 13 4 5 4 14 7 2 5 17 6 5 6 17 9 3 5 150

日本 8 4 3 1 6 2 0 4 10 6 2 2 10 4 2 4 11 6 2 3 8 5 1 2 19 12 4 3 14 6 3 5 19 11 4 4 12 5 4 3 117

ブラジル 4 2 0 2 1 0 0 1 3 2 0 1 3 1 0 2 4 2 0 2 5 0 2 3 9 2 3 4 10 4 4 2 11 6 3 2 12 4 5 3 62

ドイツ 8 5 2 1 10 4 3 3 8 1 4 3 10 5 4 1 6 2 3 1 10 4 4 2 7 0 5 2 6 2 2 2 4 1 2 1 9 2 4 3 78

フランス 5 2 2 1 10 6 2 2 9 3 4 2 7 3 2 2 5 1 2 2 5 2 1 2 11 5 4 2 7 3 0 4 8 2 3 3 8 2 5 1 75

イギリス 6 3 1 2 4 1 1 2 3 0 1 2 0 0 0 0 3 1 0 2 3 1 2 0 4 1 1 2 9 3 0 6 12 4 2 6 6 2 1 3 50

シンガポール 2 1 0 1 2 1 1 0 2 2 0 0 6 3 2 1 4 2 1 1 3 2 0 1 4 3 0 1 4 3 0 1 7 4 1 2 5 3 2 0 39

オーストラリア 3 1 1 1 5 3 1 1 3 2 0 1 4 3 1 0 4 2 1 1 5 3 0 2 5 1 3 1 9 2 3 4 8 1 4 3 4 1 2 1 50

タイ 2 0 1 1 2 0 2 0 3 0 1 2 0 0 0 0 3 1 2 0 3 1 1 1 4 0 4 0 4 2 0 2 4 2 2 0 3 2 1 0 28

インドネシア 0 - - - 0 - - - 0 - - - 0 - - - 0 - - - 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 1 0 0 1 2 1 1 0 4

技能五輪国際大会 主要国・地域別 メダル獲得総数一覧(1995-2013(過去10大会推移))

国・地域名

2013ライプツィヒ

2011 ロンドン

2009カルガリー

2007 静岡

2005ヘルシンキ

2001ソウル

1999モントリオール

1997サンガレン

1995リヨン

2003サンガレン

0

5

10

15

20

25

30

35

1995 1997 1999 2001 2003 2005 2007 2009 2011 2013

韓国

ブラジル、シンガポー

ル、タイ、インドネシア

小計台湾

スイス

日本

資 料 3

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1

№ 職種名 日本人選手の評価された技能日本人選手の評価されなかった技能(訓練等により改善すべき技能)

     内容の差      難易度の差全国大会において取り入れることが望ましい競技課題の内容・理由

1 ポリメカニクス

①機械操作の上手さ②機械に対する5S(整理・整頓・清潔・清掃・躾)③製品面取りの美しさ等④製品の扱い方

①物を作る上での工程管理(特に時間配分)②問題が起きた場合の対処(アピールの仕方)③精神力の強さ

①国内大会(公開課題)⇒国際大会(未公開)②国内大会制御プログラミング無し。電気制御無し。空圧制御なし。

①難易度はそんないないが未公開であることがかなり大きい。②加工物が重量がありすぎる(定義書違反)

①未公開課題にして、応用力アップ。②制御関係の取りいれ

2情報ネットワーク施工

・課題実施の正確さ、丁寧さ・品質(測定損失)の良さ・スピード

・特になし ・特になし ・全国大会のほうが難しい ・非公開課題など当日初めて目にする課題や部材を使用した課題(理由)日本人選手は、訓練していったことは非常に正確にできるが、訓練していないことに対しては右往左往する傾向があるため。本年度の全国大会の課題に、非公開課題を取り入れ、この点については強化していく予定。

3製造チームチャレンジ

・設備設計能力・治具製作能力・機械加工能力・作業計画立案能力

・部品の調達方法(低コスト部品)

全国大会なし 全国大会なし 全国大会なし

4 メカトロニクス

・圧倒的な作業スピード・動きの速さ、正確さ・紳士的な態度

・不具合(調子の悪い)部品への対応力

・全国大会の方が運営がしっかりとしている。

・必要な技能レベルは、全国大会の方が高い。

・最適化(2013年より、全国大会でも導入される)

5 機械製図CAD

・採点、評価については、グループに分かれ行なわれた為、自分の担当していない部分については不明。・自分の採点している部分では、製品の体積などの精度が非常に高いと評価を受けた。

・アニメーション・レンダリングなどのプレゼンテーションに関する部分の得点が低い。・図形の寸法の抜けなどを、強化してきたが国内大会と違い国際大会ではアッセンブリや組立分解図などの部分が評価されており訓練方法を変えるべきだった。・課題全体が、3DCAD中心の課題であり3DCADの操作レベルで差が付いてしまった。国内大会の訓練時から、3DCADの操作訓練を行う必要があると感じた。

・課題は4日間あり、4日目の課題が国内大会の2日目の課題とほぼ同様になっていたが、他の3日間は、全く違う課題構成となっていた。・課題の基本形式は、図面から3Dモデルの作成→与えられたデータと組み合わせて製品・設備の組立→図面化→プレゼン作成の流れで行われた。・国内大会の課題は、2DCADの比率がまだ多いように感じた。・国内大会→精度・スピードを競う大会 国際大会→プレゼン、CADの習熟度を競う大会に感じた。

・図面の精度では、国際大会より国内大会の方が難易度が高いと思ったが国際大会での採点ではその部分は重要視されていない。・3DCADを完璧に使いこなせないと、時間的にも余裕が無くなってしまう。・機械・設備などの機構を理解していないと課題が完成しない。・設計変更の課題など、選手の自由度の高い課題が多くあった。

・3Dのモデルデータを複数使っての、アッセンブリなどを行う課題などを追加する。→国際大会の課題は、上記作業が中心となってくるため。・国内大会では、製品の外観を「Print Screen」キーを使ってJPG形式で作成しているがレンダリング、アニメーションなどCADの機能を使ってプレゼンテーション的に表現する課題を追加すると国際大会時にも役立つのでは?

6 CNC旋盤

・作業スピード・製品の主観(出来栄え)

・特になし 全国大会は単品を組み付けて提出、採点されている国際大会は1日1個を3日間行ない、採点されている

加工工程を考えるという意味では大差はないと思います。

CNC旋盤で競技する(国際基準として見た場合を考慮した)

7 CNCフライス盤

・MasterCAM技能・マシニングセンター操作技能・マイクロメーター等による測定技能

・作業スピード・突発的なトラブルへの対応能力

全国:汎用フライス盤【求められる技能】決められた課題図面に対し、決められた通りに作業する能力圧倒的な作業スピードと測定誤差を発生させない測定技能

国際:MasterCAM(PC作業)+マシニングセンター作業【求められる技能】当日公開された図面に対し、PCでCADを行うための、立体イメージ能力。最適な工程を考案する応用力PCを素早く操作する技能「3軸制御で鋼材を削る」という点では共通だが、求められる技能が全く違う

直接の比較は難しいと思います

全国大会の内容はこれまで通りで良い。問題なのは、必要な技能が違う事に対し、訓練期間が短すぎること。選手の実力を十分伸ばせずに大会本番を迎えている。

8 石工

製作過程で、他国の選手と異なった行程方法で仕上げたので、その様な方法も有るのか,良く考えていると他国のエキスパートに評価された。

良く評価され、悪評は無かった。

全く、別物と考えなければならない。使用原石(材料)が日本の場合ミカゲ石に対し、国際大会の場合、大理石又は石灰岩と職種定義に定めてあり、ここ3回連続で石灰岩が使用された。大会終了後の会議で、ミカゲ石も含むようにと希望を出したが多数決で否決された。

ほぼ同じ程度である。 課題のデザインは、ほとんどヨーロッパ建築の装飾部をイメージした物が多く、彫刻が少々面倒だ。しかし、現在国際大会を見据え全国大会ではヨーロッパ建築の手法を取り入れたデザインの課題を、ミカゲ石を使用し行なっている。あまりにもデザインを複雑化させると、ミカゲ石では、対応できないのと、競技時間内で完成されない事にもなる。

競技の状況について 競技課題について(技能五輪全国大会との比較)区分

技能五輪国際大会(ライプツィヒ大会)・エキスパート報告書 資料 4

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2

№ 職種名 日本人選手の評価された技能日本人選手の評価されなかった技能(訓練等により改善すべき技能)

     内容の差      難易度の差全国大会において取り入れることが望ましい競技課題の内容・理由

競技の状況について 競技課題について(技能五輪全国大会との比較)区分

9ビジネス業務用ITソフトウェア・ソリューションズ

  文書処理(Word)に関する技能は、メダル獲得者と同等であった。とくにOver drive課題は満点の評価であった。  具体的には、テンプレートの作成。PDF等様々な形式のデータを読み込むこと、差し込み印刷などである。  表計算(Excel)に関しては、基礎的な内容(計算式や書式の設定など)は十分にできていた。  スタイルガイドに示されている内容を理解し、各制作物に適用するこことも間違えなく行えた。 また、全体的に作成した成果物の間違えは少ないことも評価される点である。

 まずデータベース(Access)である。複雑な仕様のデータベース設計ができないこと、入力フォームの作成技術、アプリケーションとしての完成度などがあげられる。 次に、プレゼンテーションは、今回から客観評価が少し加えられた。したがって、プレゼンテーション用のスライドの表現力や、実際の発表におけるプレゼンテーションのスタイルの理解と実行力が低いことが課題である。 表計算とデータベースについては、まず作業時間の問題である。国際大会では、データの量が多く手際よく処理することが求められる。このような反復練習的な訓練が少なかったといえる。 表計算のマクロとデータベースの操作についても理解はできているものの実践的な事例を行った回数が少なく、考えながらの作業では時間内に終了でき

職種定義としての差異としては、プレゼンテーションの実施のみである。若年者大会では、実際にプレゼンテーションを行う時間の余裕がない。  実際の課題としての差は、圧倒的に作業時間の差があり、若年者大会の課題では、職種定義をすべ含むことは不可能であり、その一部分である。

 国際大会では、データ量が多いことや不十分なデータが入っているなどがあり、求められる作業のスピードがまったく違っている。また、英語ソフトウェアの使用、データが英語、プレゼンテーションの問題など英語力に関する内容が若年者にはない。 全体的に、国際大会では、操作において一般的ではない詳細な設定まで求める課題が見受けられることも大きな差異である。

 今回の国際大会で、次回大会のTDの変更が議論されたが、その中で、プログラミングを含むことがほぼ決定された。言語はJavaになると思われる。 また、データベースについては、Accessではなく、MySQLを用いことになったのでプログラミング言語を用いて制御するしか考えられない。そのような場合インタフェースはWebになることも想定され、これまでの若年者大会の職種定義では、対応できないので大幅な変更が必要と考えられる。 プレゼンテーションにおける発表力(英語力)の評価も必要である。これには1日で競技を終える若年者大会では実行できない。

プレゼンテーションを英語で行ったことは、英語圏のエキスパートには好評であったが、実際には紙を見ながらであったり、説得力が乏しくなってしまったなどどちらともいえない結果であった。 最後に選手ではないが、通訳者と事前に良く打ち合わせきたことにより翻訳が的確であったこともこれまで以上の成果が得られた理由である。

さらに、これまでも課題となっている英語ソフトウェア、データが英語であること、など英語力の問題は、これまでの選手と比べると格段に良いもののやはりメダル獲得に至るまでには課題である。とくにプレゼンテーションは、母国語で良いことになってはいるが、スライドの作成は英語としている選手がほとんどであり、単語レベルでの記述しかできない英語力では到底かなわない。実際のプレゼンにおいては、母国語で行った選手が多かったが、英語できちんとできれば高得点が狙えるポイントである。 直接的な内容ではないが、今回の設定された業務内容が、雇用者の給与計算などであり我が国との税制度の違いなど理解できないことが多かった。前回もドキュメント作成で欧米との様式の差異が問題となったが、国際的な業務内容についての理解が必要である。

国際大会では、いくつかの業務を想定してソフトウェア開発が課題となるが、その業務が会社等の人事部や経理部などで行われる複雑な処理である。一方、若年者大会では、ボランティアの事務局といたような簡単な業務の自動化である。これのような差をどの程度狭めるかが問題である。

10 溶接

特段、取り上げられて評価を得られた技能はありませんでしたが、採点内容からは以下となります。1.TIG溶接関係の課題は高評価であった。その中の1課題に対しては一部の(EXP)から個人的に良い出来栄えとコメントされた。2.課題清掃方法に於いては電動工具を使用するが、電動工具に加え手作業でミガキを行っていた事を、評価ではないが日本特有との見方をされた。

評価方法の違いにより、出来栄えを比較してあきらかに自国が良い場合であっても評価されない場合があった。この点に関しては(CE)へ質問したが、評価は公正であり問題は無く、今後も同様の対応をすると回答された。これが国際大会ルールと認識し、今後の指導に反映し対応していく。

1.課題数:5課題⇒7課題2.溶接技術:4種類⇒5種類 3.電動工具:使用不可⇒使用可 4.課題時間:2時間40分/1日⇒18時間/4日 5.機器類:各自準備⇒規定された機器等

課題内容自体は難易度が高いとは思いませんが、但し、上記内容と事前情報として課題評価方法の違い等が得られない状況で、的確な指導と短期間の訓練で習得することは難しいと言え、この意味からは、難易度が高いと感じます。

世界大会と同様に若しくは近い内容で実施することが当然望ましいと思いますが、この様な意見はこれまでにも出されていることと思います。(中央協会)が世界大会への対応の内容について十分理解をしていない事を前提に意見をしますが、各職種の競技主査と(EXP)、(選手)及び(オブザーバー)等の経験者、関係者を交えた情報提供と検討する場を設ける様な具体的な対応策を構築してもらいたいと思います。現状は各競技主査毎の対応任せになっている様に感じますし、国としての統一的な対応がなされていないと感じました。

11 印刷

メンテナンス、SHOTS、調色、特色印刷は問題なく完璧に完了しました。

①印刷機の調整、オフセット印刷、フィーダ部は想定外の印刷機種であった。⇒日本には存在しない印刷機種であり、今後は競技使用と同じ機種での訓練を検討 ②指定濃度合わせ濃度コントロールが調整 ⇒競技では機械、環境の違いがあるので、出てきた結果に対して状況が変わっても、どのようにコントロール出来るかが重要なことです。今後は機械、環境が変わっても応用動作が出来る訓練を取り入れていきたい。

国内大会は印刷の総時間・印刷に掛かった時間・印刷用紙枚数確保・印刷予備紙の確保・印刷された指定濃度差・特色インキの作成時間と色差などの評価で順位を決定するが、国際大会との競技種目内容に違いが大きすぎる。

競技種目別課題数は印刷(2job)・デジタル印刷(2job)・メンテナンス(7job)・断裁(3job)・SHOTS(3job)・調肉(特色インキ作成1job)・特色インキ色差確認(1job)の7課題(19job)となっており、国内大会には無い項目がほとんどを占めている。

印刷・デジタル印刷・メンテナンス・断裁・SHOTS・調肉(特色インキ作成)・特色インキ色差の確認国際大会競技内容に準じた競技課題を取り入れる事で、事前に国内訓練期間も長期に渡り選手育成が出来、国際大会に出場しても他国選手に遅れを取らない。

13 自動車板金

・溶接、仕上げ、4S、作業スピード、作業の正確さ等など

・歪み取り技能もともと期間が短く修得困難な技能である。例年よりも期間が3ヵ月短いことも一つの理由。大会では色んな理由で時間に余裕が無く、歪み取り作業の時間を大幅に削ってしまった為、余計に評価されなかった。

・国内はハンマーでオール手加工・国際は自動車の修理 半自動溶接、スポット溶接、修正機、実車診断修理、と言ったほぼ全てが違う。

比べようがない ・過去に検討したものの、コスト面と企業のニーズが合っていない。

15 配管

特にないと思います。世界に参加するに当たり一般的な知識、基本技術を身に着けて参加します。そのためどの国の選手も同じスキルを持っています。

特にないと思います。TestProjectで発表された内容を実行するだけです。特に変わった技術はないと思います。知らない機器などはトレーニング、デモンストレーションにて全選手に教えます。

比べること事体が違うと思います。国内と国際大会を同じ土俵に上げるには無理です。

難しいかもしれないが特別難しくはありません。基本的な作業です。ただ現地の材料を使うため不慣れ部分はあります。

依然として技術が古いです。問題を作る人が国際大会を見据えた形で課題を作ってないからです。コスト的な考えが先に立ち短期開催になっています。

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3

№ 職種名 日本人選手の評価された技能日本人選手の評価されなかった技能(訓練等により改善すべき技能)

     内容の差      難易度の差全国大会において取り入れることが望ましい競技課題の内容・理由

競技の状況について 競技課題について(技能五輪全国大会との比較)区分

16 電子機器組立て

・得点だけでいうと組立てモジュールです。はんだ付け技能は24.8/25点でモジュール別では1位の結果でした。

評価としては以下のとおりです。ハード設計 25.0/25点組立て    24.8/25点ソフト設計 10.0/25点修理・測定 10.0/25点

・国内大会に比べて作業量が大きく増えるので、作業量への対応力を強化しないといけない・全て未公開課題なので未公開課題への対応力を出場する企業・学校だけでやるのか、日本として実施するのか

別紙参照 別紙参照 ・競技期間及び時間の変更2日間⇒3日または4日間(理由)国際大会は4日間という長丁場でもあるので、本当に国際大会で結果を求めるなら国内大会の日程の上限を3日以上にするべきではないでしょうか。3日にすることで、集中力や体力の対応力が強化されます。国内大会が終わってから国際大会の訓練を実施してもとても期間が短くなってしまいます。対応するためには国内大会から競技期間を増やすことが有効かと思います。 また、競技時間を増やすことで競うレベルを高めることができます。 年々競技自体をスリム化することにより、競技時間の減少に比例して競技項目が減ってしまい選手の競うレベルも下がってしまうかと思います・組立て課題を未公開(当日公開)にする(理由)組立てスキルは重要であると考えます。公開されている課題を組み立てることは容易ですが、未公開の課題を組立てることは対応力が必要になります。どのような課題でも当日に対応できる選手を育成することは選手のスキルアップと考える力の強化に繋がると考えます。瞬時に最善の工程や作業を見極める力は「ものづくり」の基本だと思います。

18 電工

・作業場が常に清掃・整理されており、きれいな状態で作業している。・作業動作が機敏で、細やかな作業をしている。・水平垂直がしっかり出ている。・全てのエキスパートに丁寧な対応をしている。

・特に見あたらない。 ・競技日数が大きく違う。海外各国は国際大会とほぼ同じ内容で行っている。・プログラミング、間違い探しの課題がある。・採点方法が違う。全国大会は減点法。国際大会は加点法。・すべての採点ではなく抽出して採点。

・国際大会は、4日間のため体力、精神力の持続が必要。・ホスト国の調達材料になるため、新しいものに対する対応が求められる。・ヨーロッパのシステムが日本にはなく、選手とエキスパートが体験できない。

・全国大会の全体の仕組みを、Wordskillsに近づける。(課題、日数)

19 工場電気設備

・回路設計能力・異常診断能力・設備の試運転・安全作業・組付け・加工作業のスピード

・制御機器の組付け精度(レベル精度)・配線ダクト、メタルケーブルトレイの加工精度

・最新技術が国際大会では導入されているが、全国大会は10年以上古い技術で進歩がなく、国際は常に進歩している。

・新しい技術の習得だけでも国際の方がはるかに高く、内容、ボリューム等全てにおいて難易度は上である。

・タッチパネル、インバーター ⇒現場でも一般的に使用されている。・ケーブルダクト、メタルトレイ⇒国際要素として必須項目・アナログ機器⇒国際要素にアナログ制御有り○PLC(シーケンサー)は盤内組付けとする。⇒リレー制御は時代遅れ、国際大会の要素を取り入れることは、企業にとって即戦力として活躍でき人材育成でみても有益である。現状の全国大会の内容は国際課題、企業現場から懸け離れている。

21 左官

・各作業工程の手際の良さとスピード。・軽量鉄骨組立て、石膏ボード張り作業・モールデング加工と取り付け作業の正確さ・作業エリアの整理整頓と安全作業

・壁塗り作業の仕上がり面。(外観)本大会に使用する塗り材は主にヨーロッパで使用されている石膏系の材料であるため日本では日常的に使用されておりません。素材を輸入して強化訓練時に材料の性質、特性、施工性、固まるまでの所用時間、鏝仕上げのタイミング等、指定された材料のすべてを検証すべく海外の販売先に輸入についてコンタクトを取ったが実現しなかった。したがって選手は素材の特性について検証出来ずに競技に挑んだ。 現地で1日だけ、使用するすべての材料について習熟する機会はあったが小さな塗り面積に部分的に確かめるだけであり、競技課題全体を使って総体的な練習にはほど遠く、不安を残すなか習熟作業は終了した。本大会3日目のこの作業に取りかかるまでは上位に位置していたが、この作業終了後、上位から離されそのままゴールした。

国際大会は作業メニューが多く、日本の左官技能工が日々仕事としていない作業が多く含まれている。ただ、日本の左官職人としては日々の仕事の守備範囲は数百種類あるため、基礎技能が身についていればある程度は応用力でカバーできるものと思う。

国際大会は乾式工法である軽量鉄骨組立て石膏ボード張り作業等、日本の左官工にとって守備範囲でない作業が含まれている。そのため全国大会の競技課題に取り入れる事が出来ないため安易に比較は出来ない。ただ、左官職人は感性と応用力によるところが多く、現在全国大会の競技課題に取り入れている引き型の作製と石膏のモールデング作製、加工、墨出し、取り付け等の作業の早さと正確さで上位に位置する選手であれば代表決定後の強化訓練で十分対応出来るものと感じている。

なし

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4

№ 職種名 日本人選手の評価された技能日本人選手の評価されなかった技能(訓練等により改善すべき技能)

     内容の差      難易度の差全国大会において取り入れることが望ましい競技課題の内容・理由

競技の状況について 競技課題について(技能五輪全国大会との比較)区分

・左官職種にはフランスに本社を置く、サンゴバン社が材料スポンサーとして指定されております。ヨーロッパ各国に支店がありますので品物の購入は簡単に出来ますが輸出する業者が最後まで見つからなかった。ヨーロッパ選手は日常的に石膏系の素材を用いて仕事をしている為、日本のように必要に迫られる事は無いと感じた。現地のエキスパート会議の場でこのことについて協議した結果、次回はディスカッションフォーラムを通じて選手の手元に届くようにすると言っていたので中央能力開発協会様からも実現する方向で後押し願いたい。

22 移動式ロボット

・プログラミング技術・マニピュレータ操作技能・ロボットアーム設計・製作技術

・特に無し ・選考会: 未公開課題・国際: 公開+30%変更事前のハードウエア製作あり

・選考会の方が難易度は高い ・チーム数の増加

24 家具手工具の使用方法制作手順の独創性

仕上げの完成度作業スピード

時間数で考えると 適正だと思われる。

特に大きな差はないと思います。

家具職種においては今までの通りで問題ないと思います。

25 建具

・コンパクトで、最低限の作業装備を使用しての技能・途中に不備が発生しても、最後まであきらめず競技を終了したこと・言葉のハンディキャップにもかかわらず、選手として課題に取り組み、真摯な態度で向き合ったこと

・FESTOOL等の欧米で一般的とされている木工電動工具機械の使用に習熟していないので、訓練を必要と思う。・大会会場と日本での練習との違いをより認識し、および想定しながら、最大の技能を発揮する能力の習得・競技者の心得として、より点数を取れるところから作業して、得点を増やす心構え。・時間配分に関して、チーフエキスパートより注意があったにも関わらず、時間配分がうまく行かずに最終的に仕上がらなかったこと

全国大会では、平面課題のみであるが、国際大会では、平面、および立体、両方の課題がそれぞれ11時間という時間内に作成する。国内大会でも平面課題は国際大会に準拠した課題を使用している。

上記のように、立体課題でもかなり高度な技術を要求される。

機械設備=全国大会で使用している木工機械を改める事により競技課題の変化が生まれる事。

26 建築大工

・加工状態、加工精度の良さ・完成作品の寸法の正確さ

・技能ではないが、メンタルが弱く、大会の雰囲気にのまれてしまい本来の力を出すことができなかった。・臨機応変に対応することができる能力。

・課題が未公開なので選手本人の能力で難解な原寸図を作成しなければならない・手工具だけでなく電動工具を使用して加工をする。

・原寸図が複雑。・部材を規定寸法通りに削る作業は無いのだが、電動工具(海外製)も使用して加工。・内部の加工状態についても審査される。

・内容 細かいルールをなるべく少なくする。・理由 使用して良い工具や作業方法等、細かいルールがあると審査委員が常時監視していなければならないし、見られていない時に作業した選手と見つかってしまった選手とで不公平になってしまう。

27 貴金属装身具

・作業の安定感・図面の理解度・全体の仕上げ・作業工程の組み立て

・基本作業のレベル・切削作業

・石留め穴の裏取りの有無・腰板作業の有無・主観と客観による評価の重み・競技時間

・国際大会は競技時間が長いが、時間あたりの密度はあまり変わらない

・採点では客観によるウエイトを増した方が良いと思われる。国際の主観による採点もほぼ、客観性がベースになっている。いかに図面に忠実かが最重要視される。・裏取り作業、腰板作業は必須かと思える。各国も、それを意識しており作業レベルも高い。・モジュールごとの競技進行と採点。各モジュールで何が求められているか競技者に解り易い。

28 フラワー装飾

 ハンギング デザイン 鏡のデザイン テーブルデザイン・手先の細かなデザインに対して評価が高かった

花束 箱を使用したアレンジメント サプライズ が低い評価であった。・学生なので実際に十分な店舗実働経験が無くトレーニングでの実績は評価できるが未知の表現においては劣る場合がみられた。

花材 資材の豊富さとその中での割り振りと世界常識の新しいデザインとの理解度

北欧の選手は実践で店舗にて働いているもしくはオーナー!フローリストとして仕事を理解している

現在国内大会は花束 ブーケテーブルデザインの競技課題も国際大会に準じた内容に近づけた方が良いと思う。

29 美容/理容

この度の技能は全てにおいて高い評価を得られた。特に、モジュールE・Fにおいては、デザインの独創性、バランスに高い評価が得られた。アメリカのエキスパートから、日本の作品を持ち帰りたいとの言葉を頂き、シカゴのセンターに展示をすることが決まっている等、どこの国からも『見たことのない新しいデザイン』と、創造性の高さが話題を呼んだ作品であった。

カラーの正確性がよくなかったとの指摘があった。マネキンにカラーのシミや跡が残る粗があった等、総合的に技術以外の細かい気配りがおろそかになっていた。

1つのマネキンを次の競技に使用する際、前の作品を完全にリセットすることが変更点としてこの度取り入れられた。ディスカッションフォーラムでのエキスパート会議により、情報の遅れは解消されたが、競技終了後のエキスパート会議で、次回の競技規定・モジュールの変更が話し合われた。全国大会に取り入れることを希望する。

デザイン性の高さは平均して高かったため、日本のトップクラスが平均と考えられる。全国大会における美容職種も公表課題は、ここ数年で国際大会のモジュールに近づけたため、国際大会との大きな差は感じられなかったが、その課題の理解力・課題の中で出来る事の幅の広さ(想像力)に差がでたところは感じられた。

次回、国際大会の内容が大きく変わることが決定されているため、その課題を取り入れることは絶対に必要不可欠である。国際大会代表選手は全国大会様式に沿ったまま国際大会に臨む傾向が強く表れた。今後全国大会は、より国際大会に沿った規程・課題作成が必要である。

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5

№ 職種名 日本人選手の評価された技能日本人選手の評価されなかった技能(訓練等により改善すべき技能)

     内容の差      難易度の差全国大会において取り入れることが望ましい競技課題の内容・理由

競技の状況について 競技課題について(技能五輪全国大会との比較)区分

30ビューティーセラピー

①技術面(1)今回は客観的採点(従来通り)に加えて、一部に主観的採点が採用されたが、日本選手は主観的採点を含んだ3種目すべてが高得点であり、他国のエキスパートから高い評価を得た。②技術面(2) 特にマッサージ技術が形だけでなく、クライアントに伝わる技術をしている(相手の感じ方を重視する)という点で良い評価を受けた。アジア系の国では、相手が感じるしっかりした技術を良いとする傾向が強く、韓国、シンガポールも日本と同様の考え方を持っていた。③技術上の丁寧さ ひとつひとつの技術を丁寧に行っていたことも良い評価を得た。

別紙参照 別紙参照 別紙参照 別紙参照

31 洋裁

採点自態は、事前に配布された基準に沿って行われましたが、各選手の採点内容は非公開なため評価された技能は、不明です。私個人としては、特に評価されませんでしたが、日本の選手の作業台周辺の整理は他に比べて大変よかったです。

技能五輪全国大会では、どちらかというと、手仕事の技、仕上げの丁寧さを競う大会となっておりますが、世界大会では、以下の項目が重要視されていると感じました。1.正確にペンで描かれたデザイン画2.自分で書いたデザイン画を基に、正確にパターンを起こす。3.そのパターン寸法に忠実に服を仕上げる。

全国大会においては、オーダーの仕上がりに重きを置いていましたが、世界大会では、ファッション全般(デザイン画、パターン、縫製)の他、バキューム等マシンを使いこなす技能も必要です。

最も差が見られたのは、「デザイン画を正確に描く」点です。世界大会では、デザイン画、パターン、縫製の総合的な技能が問われます。縫製のみの訓練では通用しません。

※早くて正確に仕上げる「既製仕立て」の方法繰り返しになりますが、「オーダー仕立て」に重点を置くだけではなく、いかに早く、正確に、仕上げるかに重点を置いた訓練が必要と思われます。「技」も大切ですが、自分でデザイン画を書き、パターを起こしそのパターン寸法に、服がどれだけ忠実に仕上っているか?寸法の計り方一ツにしても、メジャーの使い方が違うので、日本は、この様に計ると意見を言っても、この様にして測るのだと言われ、少々戸惑う事もありました。五輪世界大会洋裁そのものの内容の理解が出来ず後れていると痛切に感じました。

32 洋菓子製造

・作業の丁寧さ・味覚

・チョコレートでミスをして減点されたので総合評価は低かったです。・訓練では、一区切りごとで10分くらい余裕があるようにしておいた方がよい。当日ハプニングは起こるので慣れた場所でギリギリでしか完成しないのは現場で対応出来ない

・時間、課題共に大きな差があります。

・とてもあります。 ・国際大会はピエスモンテがアメとチョコが交互に行われます。ですが、国内予選は毎年アメのピエスモンテを課題としています。国際大会がチョコレートのピエスモンテだった場合チョコの基礎練習から始まり高度な技術のピエスモンテを作れるようになるまでとても時間がかかりました。今回指導をしてみて出来れば、国内予選もチョコの方が望ましいと思いましたが国内の若い技術者にチョコを課題とすることはとても困難な事だと思うのでアメで国内予選せざるを得ないと思います。

33 自動車工

・課題別ではマニュアルトランスミッションの課題とエンジンオーバーホールの課題が高得点であり高評価を得た。・競技全般では作業が早く丁寧であると評価された。

・作業順番の変更に弱い⇒課題には「順番通りに作業しなさい」という類の指示はなかったが作業を進めていくうちにエキスパートから「次はこの作業をやりなさい」と指示される事が多く、自分の考えている作業手順が狂った。そのときに切り替えが上手く出来ていない。・電気装置の故障診断⇒電気装置の故障診断が殆ど進められなかった。故障と判断した部位が「正常だ」とつき返される事の連続。今後、採点基準が配付されたときに不具合は何処だったのか、分析を行ないたい。

国際大会に準じた競技となるように全国大会課題も近づけてきている為、課題内容的に大きな違いは無い。しかし設備関係は大型機器(ホイールアライメント測定器)が全国大会で導入が出来ない事と(費用が数百万かかる。大会会場に持込めない)競技車両やユニットがその国に流通(輸入)されていない車だと入手が出来ず大会前の訓練が殆ど出来なくなる事で公平性が保たれない。⇒日本だけでなく、米国系の車が出たときの欧州勢も同様(カナダ大会時の米フォード車)

競技時間が長い為、課題のボリュームが圧倒的に多い。⇒全国大会70分/課題 国際大会180分/課題・現地にエキスパートが集まってゼロから課題をつくり始めるので作成期間が短く、あまり凝った不具合は作れないが、強引で理不尽な故障の造りこみや故障が二重、三重に入るなどのケースもあり、診断で惑わされることも多い。

・大型機器(ホイールアライメント測定器)を課題に取り入れる。⇒国際大会で必ず使用される唯一の整備機器でリフトを使用する事から作業方法や手順などが全国大会レベルの作業と大きく異なる。

34 西洋料理

1.作業のプランや計画性に評価されていた2.衛生面も得点を頂いた3.味について評価されていた

1.創造性に欠けていた2.見た目に華やかさが無かった3.バランスが悪かった

1.料理の種類と数(8品)2.モジュールの多さ(ミステリーあり、デザート3種が2回)

1.審査員の数 1.国際大会に合わせた課題内容、採点方法。理由・・・国際大会では国際レベルでなければ戦えない。

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6

№ 職種名 日本人選手の評価された技能日本人選手の評価されなかった技能(訓練等により改善すべき技能)

     内容の差      難易度の差全国大会において取り入れることが望ましい競技課題の内容・理由

競技の状況について 競技課題について(技能五輪全国大会との比較)区分

35 レストランサービス

Barモジュールの中でもカクテルのミザンプラス(仕込み)、作成手順、シェーク、ステアの技術、テイスト、ガーニイッシュのカッティングの技術、創造性、清潔感、衛生面、全体の流れ、動きの美しさ、スピード感が最高の賛辞を受けました。(実際私が担当したモジュールでもありますがダントツでトップでした。)

バンケットモジュールのボクシングテーブル、ミザンプラス。私の情報収集不足でした、日本では行われないクロスのかけ方(ヨーロッパではポピュラーだ日本ではどんな本にも乗っていない)シルバー、皿、グラスの磨き方、アピールの仕方が日本の大会、考え方とズレがあった。英会話能力(コミュニケーション能力で少しずつのほかの選手に比べてのイメージが積み重ねで大きな差になった。)

テーブルセッティング:ボクシングテーブルは毎回国際大会の課題にあるので、国際大会基準のかけ方を採用すべき。オードブルの作成:国内大会では、出来ているオードブルをプラッターからサーブするだけだが、国際大会は必ず何かしらのオードブルの作成がある(今回はサーモンのタルタル)。そのためには前もってレシピも選手に公示できるようにする必要もある。カクテル作成:ミザンプラス(仕込み)が特に重要だが、国内大会は課題にない。その他クリエイティブ(ノンアルコールのオリジナル)、作成手順、動きの美しさ、衛生面、シェーク、ステアの技術、分量、テイストもチェックもっとしっかりとチェックできる体制にすべき。

日本には衛生面、清潔さ、細やかな気配りなど日本のよさがあり、世界の22歳以下の人には到底真似出来ない技術を持っているが、この大会で金メダルを取るにはまずはWSI大会基準に仕上げていくことが重要。日本人の大会上位者の方が個々デクパージュ(切り分)カクテル作成、デザートのフランベ等のスキルは高い。

レストランサービスすべてにおける作業手順、レシピを日本の各種レストランサービスの大会(FFCC、HRS、技能五輪)ではなくWSI国際大会に合わせていくことが重要。あとは上記に挙げた点。

フランベサービスのレシピ及び作成手順の違い:WSIの大会と日本の各種レストランサービスの大会(FFCC、HRS、技能五輪)ではフランベサービスのレシピ及び作成手順の違いが大分違うところがありそこを今まで日本の大会を中心に練習していたものでは評価が低くなる。あくまでもWSIの基準にしたつくりかた材料が基本なので、その情報をディスカッションフォーラムへの積極的な参加や、少ない動画、画像データ、引継ぎによる分析が最重要。前回の2011年の選手談では、ここでだいぶズレが生じ当日その材料がなかったり、手順の違い、練習していたものともだいぶ違っていたようで崩れたようだ。自身のスキルもあるが・・・。この書物が基本ベースです。Food& Bevarege Service Edition8TH

36 車体塗装

・課題作成全般の作業動作、スピード・パネルの基本的な塗り技能・下地処理工程(塗膜剥離、パテ整形等)の仕上がり・見本色に対する色合わせレベル・パネル及び台車当のマスキング技能

・研磨した後の処理(ペーパーの目消し)・パネル初期段階での前処理(電着パネルの研磨プロセス等)・塗装した後の乾燥具合判断

・課題そのものの大きな差はない。・使用する塗料が水性塗料。一部溶剤塗料も有り。(全国=溶剤塗料)・使用するパネル(フェンダ2枚、ドア2枚、バンパー1枚)が多い。(全国=1~2枚)

・それほど差はないが、水性塗料の仕様知識及び技能が必要。

・電着層からの下地処理課題・水性塗料対応課題双方ともに国際課題にある為

37 造園

植木の花ものの植裁が自然風に植裁できたことが評価されました。イギリスのイングリッシュガーデンや日本の自然風な山河にはえる植物を連想させる植裁がほかの国のような植裁に比べて高評価をいただきました。また、安全対策や常に作業場周辺の清潔にして、ごみや石材加工の際の石の飛散などに専用ネットを張って観客の安全を確保しました。レーザーレベルのレーザー光も開始してから観客に光線が行かないように対処した結果、二日目以降は他国もこれに倣ってきた。

30%変更や図面の変更に容易に対処しきれない経験不足と技能的に練習時間が今回は足りなかったことや現地の石材や材料など迅速に提示されずにる類似品などで練習を賄っていた。練習は繰り返すことが大切なので豊富な材料(石材、木工など)を使って練習をさせたい。経験不足を補うのは繰り返しおなじことを出来るまで練習することで1日10時間以上の練習時間を確保してこそ入賞に手が届くと思います。

国内大会は3,5m×4mの面積に対して国際大会は7×7mで作業時間も22時間となって圧倒的にボリュームがあって選手には過酷と思われます。国内と国際大会の規模のギャップを補うには多少なりとも国内大会の面積を大きくするのが望ましいかと思います。先にも書きましたが、経験不足や図面の変更に対応する応用力を養う教育や練習方法を指導者やエキスパートは考えて選手に教育練習を指導しなくてはならないと思います。

難易度は物理的・物量的なもので国内大会にあってもさほど技術的には差はないと思います。変化や変更に対応できる応用力と柔軟性そして経験の差が難易度の差になって現れます。

木工事のボリュームを多くして国際大会にも対応したほうがいいかと思います。木工事は評価点が全体の17%で石工事よりも木工事のほうがウエイトが高いからです。木作業は家具職人が作るような繊細さと几帳面さが必要なので国際大会での技術力を上げるにはうってつけで高評価点を狙えるのではないでしょうか。

38 冷凍空調技術

順位・得点: 検討賞100点満点で72.8点  600点満点で515点 ・配管製作と接続:24.1/32.5点・電気配線工事:5.5/15点・耐圧、真空、試運転:13.1/17.5点・電気故障:9/10点・修理:9/10点・排出制御:8.5/10点・安全:3.6/5点

基本技術としては、身に着けていたが、当日30%変更に対応する能力が不足していた。また、決められた手順で作業を行っていたが、審査員のエキスパートにやっていることを理解してもらえなかったため減点される項目もあった。今後は、変更に対する応用力(自分で考えその場で解決する力)と、エキスパートへ自分の作業をアピールすることができるような訓練を取り入れる必要があると感じた。

毎回同様の内容となりますが、全国大会の課題レベルでは国際大会では全く通用しない。競技内容の質、量とも全て違いすぎています。全国大会では、①配管曲げとロー付け、②簡単な電気配線の接続、③冷凍空調の技能検定1級、2級レベルの文章問題に対し国際大会は、①冷凍サイクルを完成させ試運転実施、②ルームクーラーによる部品交換、試運転、③電気品の故障発見と修理といった内容であり全国大会レベルでは歯が立たない。

全国大会では、配管曲げ、ロー付け技術、簡単なシーケンスの習得程度で何とか対応できるが国際大会では、更に、冷媒封入、回収方法、冷凍サイクル理論、故障した場合の対処方法試運転状態から運転状態をみながら膨張弁、圧力調整器を調整し冷媒封入量を決定し最適サイクルとなるようにする技能が必要となってくる。また、課題に使用される機材が開催国で入手可能な機材となることから、そのものの機材を使用しての訓練をしないと、判らない点が多々ありその機材を準備するのが非常に大変となってくる。

少なくとも冷凍サイクルを完成させて、冷媒を封入して試運転を行うような内容へ少しずつでも国際大会の内容に近づけることが必要ではないかと思います。

39ITネットワークシステム管理

・各国選手の技量についての議論がされませんでした。(特になし)

・各国選手の技量についての議論がされませんでした。(特になし)

・プリンタやASAファイヤウォールなど全国大会で使用しない機器がある。

・Linux、Windows分野に関しては、レベルは同等。

・プリンタやASAファイヤウォールなどの機器の導入

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7

№ 職種名 日本人選手の評価された技能日本人選手の評価されなかった技能(訓練等により改善すべき技能)

     内容の差      難易度の差全国大会において取り入れることが望ましい競技課題の内容・理由

競技の状況について 競技課題について(技能五輪全国大会との比較)区分

42 構造物鉄工

・ガス切断・溶接・組立精度

・磨き仕上げ日本の全体印象の評価はよかったが、韓国の磨きの徹底ぶりの前では下がった。

・機械を操作しての切断、曲げ。後から切ってはいけない箇所は、プレスの金型による伸び値等を計算しなければならない。・Tig溶接、アーク溶接・寸法公差、測定箇所が明記されている

課題自体はそれほど難しくはない。機械をこなせるかというところ。難易度的には日本の課題が22時間用のスケールになったほうが断然難しいと思う。

・ステンレス等の異材継手の導入・↑これに伴ってTigやアーク(SUS)が必要・機械曲げ、切断世界は国内大会をこの設備でやっているそうです。(知っているとは思いますが)日立さんが職種連絡会で言ってた意味がはっきりわかりました。一企業の力でどうにかなるものでもないと思うし、JAVADAの協力で少しでも取り入れてほしいです。難しいと思いますが、世界からは完全に遅れています。ガス切断の精度、技能は自信を持っていいと思います。ただし機械の操作、Tig 溶接など国際大会に出場が決まってから訓練を始めるものに当たっては相当不利です。

43 曲げ板金

特になし ・プレスブレーキ(折曲機)のデータ入力による操作力・仕上げ技能・変更点への対応力・CADでの展開図作成での正確さ

・全国大会 課題図面が全公表(一部×寸法有) 材料(軟鋼板t1.0) 手加工主体溶接法(ガス溶接)・国際大会 課題が当日30%変更 材料(軟鋼板t2.00ステンレスt1.2・1.5 角パイプ ステンレスパイプ)CADによる展開図作成 機械加工主体(レーザー切断機・プレスブレーキ・溶接部研磨仕上げ等)溶接法(MIG・TIG溶接)

・採点基準が公表されていないが、全国大会の方が寸法公差については厳しいと思われる。・国際大会の方が必要とされる技能の範囲が広い。変更点への対応力が必要である。・難易度を比較するには共通の技能が少ない。

・国際大会での変更点への対応力訓練のため課題図面は縦横高さの最大最小サイズのみで細かい寸法は当日公表とする。・国際大会に合わせて溶接法はTIG溶接にする。・国際大会と同様の機械設備を導入することが望ましいが、費用面で全国大会開催も弊社での訓練も難しいと思われる。ある程度、採点基準・寸法測定方法を公表してほしい。

45 試作モデル製作

出来栄えのきれいさ 寸法精度

特になし 一部使える技能はあるが、まったく別の競技内容となっている。

違いが大きいので比較とならない

国際大会に競技内容を近づける事を要望したい

D1 プラスティック金型

・作業全般のスピード・製品の綺麗さ・工具類の使いこなし

・金型であること以外すべて異なる

・作業内容が全く異なるため、比較は難しい。

・機械加工のウェイトを増やす<理由>国際大会の作業内容にヤスリ仕上げが含まれないため

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各国・地域選手のWorldskillsモデル・チャート図

韓国

地域大会(17地域)

*課題は国家検定に準拠

国内大会(1,800人)

*課題はWS準拠

Worldskills2013年7月

過去2年の優勝者らによる競技会

*2012年12月までに決定

学 生 労働者

所属企業、公団による強化訓練

台湾

学 生

学校における訓練

国内大会(720人)

*課題はWS準拠

Worldskills2013年7月

WS・EXP(大学教授)、スポンサー企業による強化訓練学校におけ

る訓練

過去2年の優勝者らによる競技会

*2012年9月までに決定

学校における訓練

兵役免除、賞金

大企業への就職

工科大学等への入学資格、賞金

日本国内大会(1,000人)

*課題は国家検定準拠、WSを意識

*2012年11月に決定

Worldskills2013年7月

所属企業における強化訓練

企業における訓練

労働者

地域予選、若年者大会

*課題は国家検定準拠

各社の技能者養成システムの強化

資料 5

国家検定2級実技免除

国家検定1級実技免除

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(株)日立製作所提出資料

技能五輪国際大会に関する課題及び要望事項

(1) 日本としての強化の取り組み

参加国・地域の増加、新興国の台頭などにより

今後ますます競争が激化

⇒ 今後国際大会での成果を上げていくために

国としての取り組み強化が必要。

(2) 国際大会訓練期間の確保

国際大会までの準備期間を確保するために、

予選となる国内大会の開催日の配慮が必要。

(1,2 ヶ月期間が延びるだけでも大変大きい)

(3) 全国大会課題の改善

国内の人財育成ニーズを無視してまであわせる

必要性はないが、変えられるところは少しでも

国際大会近づけてはどうか?

※ 考慮するべき要素:未公開課題、

ボリューム、複合的な要素、

競技運営・採点方式

(4) 過去大会のノウハウの伝承

日本はエキスパート・通訳が毎年変わるため

過去大会のノウハウの伝承が困難

・大会ごとの振り返り、反省、分析

・過去大会情報の伝承の仕組み

・エキスパートの固定化もしくはコアとなる

人財の確保・支援

等の取り組みが必要。

(5) 競技機材・設備の課題 (WSI への働きかけ)

競技公平性の担保するために最低限、設備、

競技機材の早期決定が必要

(インフラリスト精度・期日通りの Fix)

(6) 費用面の支援強化

大会参加、訓練に必要な費用支援

強化が必要

準備期間(月) メダルポイント

メダルポイント

参加国・地域数 参加選手数

図 3.日本の成績(メダルポイント)と準備期間の関係

図 2.国別成績推移(メダルポイント)

図 1.国際大会参加国・地域・選手の増加

10 年で選手数 50%近く増加

参加国・地域

韓国・スイス:安定して上位成績 台湾、ブラジルシンガポール、中国、イラン インドネシアなどが台頭

棒グラフ:日本の成績

日本の成績と準備期間がほぼ相関: ・全国大会の課題、運営方法と国際大会の差異 ・過去大会ノウハウの伝承 ・機材面の問題 等の影響が大きいのではないか

国際大会までの準備期間(月):折れ線

準備期間の確保 + 上記個別課題の対応が必要

資料 6