肥大型心筋症の診療に関するガイドライン肥大型心筋症(HCM)が臨床的に認識されたのも,1957年のBrock4),1958年のT...

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1 循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告) 肥大型心筋症の診療に関するガイドライン (2012 年改訂版) Guidelines for Diagnosis and Treatment of Patients with Hypertrophic Cardiomyopathy (JCS 2012) 合同研究班参加学会:日本循環器学会,日本胸部外科学会,日本小児循環器学会,日本心血管インターベンション学 会,日本心臓血管外科学会,日本心臓病学会,日本心電学会 班 長 高知大学老年病科循環器科 班 員 富山大学小児科 神戸大学大学院医学研究科内科学講 座循環器内科学分野 東京女子医科大学附属青山病院循環 器内科 岡山大学大学院医歯学総合研究科心臓 血管外科 榊原記念病院循環器内科 近 森 大志郎 東京医科大学病院循環器内科 鄭   和温療法研究所 谷   大阪大学大学院医学系研究科保健学 専攻機能診断科学講座 東京女子医科大学循環器内科 市立宇和島病院内科 山   兵庫医科大学循環器内科 協力員 阿 南 隆一郎 川内市医師会立市民病院循環器内科 井   東京女子医科大学心臓病センター循 環器小児科 高知大学老年病科循環器科 保   高知大学老年病科循環器科 賀   東京女子医科大学循環器内科 西 東京女子医科大学病理診断科 南   雄一郎 東京女子医科大学循環器内科 外部評価委員 畠   枚岡病院 広島大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学 東京医科歯科大学難治疾患研究所分 子病態分野 医療法人社団誠心会萩原中央病院 兵庫県立尼崎病院 西宮渡辺心臓・血管センター (構成員の所属は2012 7 月現在) 目  次 改訂にあたって…………………………………………………… 2 Ⅰ.病態…………………………………………………………… 3 1. 定義と基本病態 ………………………………………… 3 2. 成因・疫学 ……………………………………………… 6 3. 病態生理と血行動態 …………………………………… 9 Ⅱ.診断……………………………………………………………12 1. 自覚症状・身体所見 ……………………………………12 2. 評価法 ……………………………………………………13 3. 診断のフローチャート …………………………………23 4. 小児における肥大型心筋症の診断 ……………………23 Ⅲ.治 療…………………………………………………………25 1. 日常生活の管理 …………………………………………25 2. 薬物療法 …………………………………………………27 3. 非薬物療法 ………………………………………………33 4. 小児における肥大型心筋症の管理と治療 ……………38 文 献………………………………………………………………41 (無断転載を禁ずる)

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011年度合同研究班報告)

肥大型心筋症の診療に関するガイドライン(2012年改訂版)

Guidelines for Diagnosis and Treatment of Patients with Hypertrophic Cardiomyopathy (JCS 2012)

合同研究班参加学会: 日本循環器学会,日本胸部外科学会,日本小児循環器学会,日本心血管インターベンション学会,日本心臓血管外科学会,日本心臓病学会,日本心電学会

班 長 土 居 義 典 高知大学老年病科循環器科

班 員 市 田 蕗 子 富山大学小児科

川 合 宏 哉 神戸大学大学院医学研究科内科学講座循環器内科学分野

川 名 正 敏 東京女子医科大学附属青山病院循環器内科

佐 野 俊 二 岡山大学大学院医歯学総合研究科心臓血管外科

高 山 守 正 榊原記念病院循環器内科

近 森 大志郎 東京医科大学病院循環器内科

鄭   忠 和 和温療法研究所

中 谷   敏 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻機能診断科学講座

萩 原 誠 久 東京女子医科大学循環器内科

濱 田 希 臣 市立宇和島病院内科

増 山   理 兵庫医科大学循環器内科

協力員 阿 南 隆一郎 川内市医師会立市民病院循環器内科

稲 井   慶 東京女子医科大学心臓病センター循環器小児科

北 岡 裕 章 高知大学老年病科循環器科

久 保   亨 高知大学老年病科循環器科

志 賀   剛 東京女子医科大学循環器内科

西 川 俊 郎 東京女子医科大学病理診断科

南   雄一郎 東京女子医科大学循環器内科

外部評価委員北 畠   顕 枚岡病院

木 原 康 樹 広島大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科学

木 村 彰 方 東京医科歯科大学難治疾患研究所分子病態分野

古 賀 義 則 医療法人社団誠心会萩原中央病院

藤 原 久 義 兵庫県立尼崎病院

吉 川 純 一 西宮渡辺心臓・血管センター

(構成員の所属は2012年7月現在)

目  次

改訂にあたって…………………………………………………… 2Ⅰ.病態…………………………………………………………… 31. 定義と基本病態 ………………………………………… 32. 成因・疫学 ……………………………………………… 63. 病態生理と血行動態 …………………………………… 9

Ⅱ.診断……………………………………………………………121. 自覚症状・身体所見 ……………………………………122. 評価法 ……………………………………………………133. 診断のフローチャート …………………………………23

4. 小児における肥大型心筋症の診断 ……………………23Ⅲ.治 療…………………………………………………………251. 日常生活の管理 …………………………………………252. 薬物療法 …………………………………………………273. 非薬物療法 ………………………………………………334. 小児における肥大型心筋症の管理と治療 ……………38

文 献………………………………………………………………41

(無断転載を禁ずる)

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

改訂にあたって 肥大型心筋症(hypertrophic cardiomyopathy: HCM)の診断・治療は専門性の高い領域であるが,臨床の現場において診療にあたる機会は少なくない.しかしHCMの診断・治療,特に治療に関してはエビデンスが乏しいのも事実である.そこで日本循環器学会は2002年に肥大型心筋症の診療に関するガイドライン(班長 吉川純一)を発表した.その後5年間の新しい知見を加えて,2007年にはガイドラインの改訂(班長 土居義典)がなされ,日常診療で活用されてきた.その後さらに5年が経過し,その間にAHA(American Heart Association)およびESC(European Society of Cardiology)による心筋症に関する新しい提言もなされたため,現時点での我が国のHCMの定義を再確認するとともにさらに新しい知見を加えて再改訂を行うこととなった. HCMの診断・治療に関してはエビデンスが少ないため,今回の改訂版においても我が国のデータだけではなく,欧米からのデータを用いるに至ったところも多々ある.一方,初版から10年が経過し新しい臨床データが確実に蓄積してきたことも事実である.まず本疾患の新規病因遺伝子変異もさらに数多く報告されてきた.またHCM様の心肥大を呈する疾患,例えばFabry病など,疾患によっては治療の異なる疾患が存在しているため,それらをHCMと鑑別することの重要性も認識されるようになった.さらに画像診断,なかでも心臓MRIの臨床応用が進み,とくにガドリニウム遅延造影の臨床的意義についての理解が進んだ.またハイリスク患者の危険因子についても新しい認識がなされている.以上のようなデータに加えて,今回の改訂版では,非薬物治療にデバイス治療の項目を設け,これまでのペースメーカ治療以外に,植込み型除細動器や心臓再同期療法による治療についても追記した.また経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)についても中長期予後のデータを追加した.

今回も,この領域のエキスパートの委員間で慎重に討議を行い,さらに外部評価委員のコメントもいただいて,実際の臨床現場で活用していただけるガイドラインの作成を目指した.本ガイドラインを日常診療に役立てていただければ幸甚である. なお,今回のガイドライン作成にあたっては診断法および治療法の適応に関する推奨基準として,以下のクラス分類及びエビデンスレベル表示を用いた.

クラス分類 クラスⅠ: 手技,治療が有効,有用であるというエビ

デンスがあるか,あるいは見解が広く一致している.

 クラスⅡ: 手技,治療が有効性,有用性に関するエビデンスあるいは見解が一致していない.

    Ⅱa: エビデンス,見解から有用,有効である可能性が高い.

    Ⅱb: エビデンス,見解から有用性,有効性がそれほど確立されていない.

 クラスⅢ: 手技,治療が有効,有用でなく,時に有害であるとのエビデンスがあるか,あるいは見解が広く一致している.

エビデンスレベル レベルA: 複数の無作為介入臨床試験または,メタ解

析で実証されたもの. レベルB: 単一の無作為介入臨床試験または,大規模

な無作為介入でない臨床試験で実証されたもの.

 レベルC: 専門家および /または,小規模臨床試験(後向き試験および登録を含む)で意見が一致したもの.

【略 語】HCM:Hypertrophic cardiomyopathyHOCM:Hypertrophic obstructive cardiomyopathySAM:Systolic anterior motionMR:Mitral regurgitation

ICD:Implantable cardiac defibrillatorPTSMA:Perctaneous transluminal septal myocardial

ablationD-HCM:dilated phase of hypertrophic cardiomyopathy

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

Ⅰ 病態

1 定義と基本病態

1 定義と分類

①心筋症の概念とその変遷

 心筋症は“心機能障害を伴う心筋疾患”と定義されるが1),解剖学的に心臓の大部分を占める心筋の病気である心筋症の存在が臨床的に認識されたのは意外にも約半世紀前に過ぎない.すなわち心臓病としてはそれまで,①先天性心臓病,②心臓弁膜症,③虚血性心臓病,④高血圧性心臓病などが知られていたが,1950年代の心電図,心臓カテーテル,心血管造影法などの診断法の進歩や開心術の発達とともに,これらの異常が見られないにもかかわらず心肥大,心拡張を来たす症例が存在することが明らかとなった.そして1957年英国のBrigden2)が心筋の異常による疾患として心筋症cardiomyopathy という病名を初めて用いている.1960年代には原因不明な心筋の病気として原発性心筋疾患primary myocardial disease(PMD)や特発性心筋症 idiopathic cardiomyopathy(ICM)の病名が登場した3). 肥大型心筋症(HCM)が臨床的に認識されたのも,1957年のBrock4),1958年のTeare5)の報告以降である.本症はまず特異な病態である流出路狭窄を示す疾患として注目され,特発性肥厚性大動脈弁下狭窄症 idiopathic hypertrophic subaortic stenosis(IHSS)6)や,hypertrophic obstructive cardiomyopathy(HOCM)3)などの病名で親しまれてきた.その後本症は心筋に異常を有する疾患で,基本病態は心筋の異常肥大と左室拡張能低下であり,流出路狭窄は心室中隔の異常肥厚に伴う二次的な所見であることが認識されるようになった.そして1980年のWHO/ISFC 合同委員会の報告7)でほぼ現在と同様な心筋症の定義・分類・病名が提案され,本症の病名としてhypertrophic cardiomyopathy(HCM)・肥大型心筋症がほぼ定着した. 一方,分子遺伝学の進歩により次々と心筋症の病因遺伝子異常が同定されている8),9).HCMではこれまでに心筋βミオシン重鎖,心筋トロポニンT,心筋ミオシン結合蛋白Cなどの少なくとも10種のサルコメア(関連)遺伝子を中心として900以上の突然変異が報告されてい

る.拡張型心筋症でもアクチン,ジストロフィンなどの遺伝子異常がみられることが報告されており,心筋症はもはや“原因不明な心筋疾患”とはいえなくなった.このような進歩をうけてWHO/ISFC合同委員会の提案が1995年に改訂された.

②心筋症の定義と分類  (1995年WHO/ISFCの提案 1))

 WHO/ISFC の1980年の提案7)では心筋症は“原因不明な心筋疾患”と定義されたが,1995年の提案1)では“原因不明な”とする説明が削除され“心機能障害を伴う心筋疾患”と改められた.なお1980年の提案からcardiomyopathy の病名の中に“原因不明な”という意味が含まれているとの立場から idiopathic(特発性)という形容詞が外されたが,かなり病因が解明された現在,この意味でも“特発性”は不要といえよう. 心筋症の分類についても病因の解明がすすめば将来的には病因分類が採用されると思われる.しかしこれまでの臨床病態に基づく分類が定着していることもあり,1995年の提案でも拡張型dilated,肥大型hypertrophic,拘束型restrictive の分類はそのまま残され,新たに不整脈源性(催不整脈性)右室心筋症arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy と 分 類 不 能 の 心 筋 症unclassified cardiomyopathy がつけ加えられた(表1). 一方“原因または全身疾患との関連が明らかな心筋疾患”については特定心筋症 specific cardiomyopathy とされ「二次性」あるいは「続発性」という名称は用いられなくなった.特定心筋症の中には虚血性,弁膜性,高血圧性,炎症性(心筋炎),代謝性,過敏・中毒性,周産期心筋症や,神経・筋疾患,膠原病などの全身性疾患に伴う心筋症が含められている.

③AHAおよびESCによる心筋症に関する新しい提言

 2006年にAHAが心筋症の定義と分類に関する新しい

表1 1995年WHO/ISFC合同委員会による心筋症の定義と病型分類定  義:心筋症は心機能障害を伴う心筋疾患をいう病型分類:1.拡張型心筋症      (dilated cardiomyopathy; DCM)     2.肥大型心筋症      (hypertrophic cardiomyopahy; HCM)     3.拘束型心筋症      (restrictive cardiomyopathy; RCM)     4.不整脈源性(催不整脈性)右室心筋症      (arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy)     5.分類不能の心筋症      (unclassified cardiomyopathy)特定心筋症(specific cardiomyopathies)

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

では,肥大型心筋症は蓄積疾患などの肥大型心筋症様心筋肥大を呈する疾患とは区別して考えられている11). これに対して2008年ESCはWHO/ISFC分類を改訂し,心筋症を「心筋に構造的,機能的異常を来たす心筋障害であり,この障害を説明できるような冠動脈疾患,高血圧,弁膜疾患,先天性心疾患を有さないもの」と定義した12)(図2).このような表現は臨床診断の思考過程を踏襲しており,日常診療において極めて使いやすい定義となっている.ESC提言では,原発性・二次性の概念を捨て,WHO/ISFCの5つの病型について家族性 /遺伝性と非家族性 /非遺伝性の2群に分類することにより,臨床家に遺伝子異常の関与を想起させて遺伝子検索の重要性を強調している.さらに,すべての臨床的な“肥大”は代謝性疾患やアミロイドーシスなどを含めて“肥大型心筋症”に分類しているのが特徴である.

提言を行っている10)(図1).これによれば,心筋症とは,「通常不適切な心室の肥大や拡大を呈するような心筋の器質的あるいは電気的異常を有する多様な疾患群」であり,「その原因は多岐にわたるがしばしば遺伝性」である.そして主な病変が心臓にあるものを原発性心筋症,全身疾患の心筋病変を二次性心筋症と大別している.さらに原発性心筋症は遺伝性,後天性およびその混合型に分類され,それぞれには図1に示すような様々な病態が含まれる.肥大型心筋症は遺伝性,拡張型心筋症は混合型に属するとされており,遺伝性のなかに構造異常のないイオンチャネル病が含まれていることが特徴である.このように,AHAの分類はこの複雑な疾患群を自然科学的なスキームから論理的に分類することに主眼が置かれてい る. な お, 最 新 のAmerican College of Cardiology Foundation(ACCF)/AHAの本症におけるガイドライン

図1 心筋症の定義と分類(AHAの提言)

HCM:肥大型心筋症,ARVC/D:不整脈源性右室心筋症,LVNC:左室緻密化障害,LQTS:QT延長症候群,SQTS:QT短縮症候群,CVPT:カテコラミン感受性多形性心室頻拍,SUNDS:夜間突然死症候群,DCM:拡張型心筋症,

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

④本ガイドラインにおける肥大型心筋症の定義

 分子遺伝学の進歩により,多くのHCM関連遺伝子が明らかになり,病因は複雑となってきている.前述のAHAおよびESCによる心筋症に関する新しい提言もふまえて,本ガイドラインでは,HCMの定義は従来のもの(1995年WHO/ISFCの提言)を踏襲し,サルコメア関連遺伝子等に病因変異が同定されている場合,また,可能な限り評価を行い蓄積疾患や心臓外病変を有する全身疾患などの原因がみられない場合をHCMとする.これに対し,蓄積疾患や心臓外病変を有する全身疾患に伴う心肥大については,肥大型心筋症様の病態を呈する疾

患として区別する.原因によっては特別な治療法が奏効する可能性があることに留意すべきである.HCMおよび肥大型心筋症様の病態を呈する類似疾患について病因からの分類を表2に示す.

2 肥大型心筋症の基本病態

①我が国における歴史的背景

 我が国においても1960年代に心筋症に対する関心が急速に高まり,1970年の日本循環器学会において特発性心筋症の病名に統一することが提唱された.そして1974年には病因不明で治療法も確立されていない難病

表2 肥大型心筋症および肥大型心筋症様病態を呈する類似疾患肥大型心筋症: 肥大型心筋症様病態を呈する類似疾患:筋原線維蛋白変異(表4参照)

ß myosin heavy chainCardiac myosin binding protein CCardiac troponin ITroponin-Ta-tropomyosinEssential myosin light chainRegulatory myosin light chainCardiac actina-myosin heavy chainTitinTroponin CMuscle LIM protein

未知の原因遺伝子

家族性(表5、表9参照)糖原病 Pompe, PRKAG2, Forbes, Danonなどライソゾーム病   Anderson–Fabry, Hurlerなどミトコンドリア病 症候性 Noonan症候群 LEOPARD 症候群 Friedreich失調症 Beckwith–Wiedermann 症候群 Swyer症候群その他  家族性アミロイドーシス

非家族性肥満糖尿病母親の児競技スポーツ選手アミロイドーシス

図2 心筋症の定義と分類(ESCの提言)

Cardiomyopathies

HCM DCM

Idiopathic Disease sub-type

ARVC RCM Unclassified

Familial/Genetic

Disease sub-typeUnidentifiedgene defect

Non-familial/Non-genetic

ARVC:不整脈源性右室心筋症,DCM:拡張型心筋症,HCM:肥大型心筋症,RCM:拘束型心筋症

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

として厚生省特定疾患に指定され,特発性心筋症調査研究班が発足し現在まで継続している.この中で1986年に特発性心筋症・診断の手引が作成された13).その後の心筋症研究の急速な進歩をうけて2005年に心筋症・診断の手引が全面改訂され14),さらに2009年には公費対象となる認定基準が設定された15).

②基本病態

 2005年の心筋症・診断の手引14)では,HCMの基本病態は表3のように定義されている.この際HCMと診断するには,存在する左室肥大を説明しうる高血圧,大動脈弁狭窄症のような負荷病態がないことを確認する必要がある.病態生理の特徴は左室の伸展異常による左室流入障害であるが,拘束型心筋症との混同をさけるために,「心肥大に基づく左室拡張能低下」が基本病態とされている. HCMの分類については従来,左室流出路の狭窄の有無により閉塞性と非閉塞性の2型に分けられてきた.しかし,本症の本態は心筋肥大であり,流出路の狭窄はその表現型の一つとするのが妥当と考えられる.また,肥大型心筋症全体の約4分の3は非閉塞性とされることから,基本的には肥大型心筋症として総称し,左室流出路に狭窄が存在する場合特に閉塞性肥大型心筋症(HOCM)とよぶのが望ましいとされている.なお,閉塞の有無の基準については,連続波ドプラ法を用いた計測で安静時に少なくとも30mmHgの左室流出路圧較差がある場合を閉塞性と定義しているが,特定の手技や薬剤によってのみ圧較差が誘発される例も潜在的なHOCMと定義する.このように新しい診断の手引きで

はHCMを閉塞性と非閉塞性に分ける分類は採用されていないが,本ガイドラインの一部では非閉塞性肥大型心筋症が慣習的に用いられている. このほかに肥大部位が特殊なものとして,心室中部閉塞性心筋症,心尖部肥大型心筋症が挙げられる.このうち心尖部肥大型心筋症は日本から初めて報告されたもので,東北アジア人に多い肥大様式と思われる. 一部の症例でHCMから移行して拡張型心筋症様病態を呈することが知られている.2009年の認定基準では,「心筋収縮不全と左室内腔の拡張が肥大型心筋症から移行されたことが確認されたものをいう.」と定義されてお り, 拡 張 相 肥 大 型 心 筋 症(dilated phase of hypertrophic cardiomyopathy; D-HCM)と呼ばれている.これに対して,欧米では一般に“end-stage HCM”あるいは“burned out HCM”と呼ばれている.特定の遺伝子変異が関与するとの報告があり,急激に経過が悪化するため早期の積極的介入が必要とされる病態である16),17).

2 成因・疫学

1 病因と遺伝

①遺伝子変異の種類と発症機序

 HCMに家族性があることは古くから知られており,肥大型心筋症の病因解明に分子遺伝学的手法を導入することにより, 1990年に心筋βミオシン重鎖遺伝子の異常が病因である家系が示された18). その後の研究により , HCMの病因として16種類以上の遺伝子の900種類以上の変異が報告されており,家族性肥大型心筋症の約50~60%の家系の病因が明らかにされている.常染色体性優性遺伝を呈するHCMの主な病因とその頻度を表4に示す19)-21).タイチン,心筋βミオシン重鎖,心室型ミオシン調節軽鎖,心室型ミオシン必須軽鎖,心筋ミオシン結合蛋白C,心筋トロポニンT,心筋トロポニン I,αトロポミオシン,心筋αアクチンなど心筋線維 /サルコメアを構成するタンパク質をコードする遺伝子,テレトニン,筋LIM蛋白,ミオゼニン 2 などのZ帯の構成要素であるタンパク質をコードする遺伝子,ジャンクトフィリン2,フォスフォランバンなどのカルシウムハンドリングに関わるタンパク質をコードする遺伝子などがHCMの病因になる.なかでも心筋βミオシン重鎖遺伝子,心筋ミオシン結合蛋白C遺伝子の変異が最も頻度が高く,両者で遺伝子異常が確認された例の約75~80%を占め,HCMの病因遺伝子

表3 2005年特発性心筋症調査研究班による肥大型心筋症の基本病態 肥大型心筋症は,明らかな心肥大を来たす原因なく左室ないしは右室心筋の心肥大を来たす疾患であり,不均一な心肥大を呈するのが特徴である.また,通常,左室内腔の拡大はなく,左室収縮は正常か過大である.心肥大に基づく左室拡張能低下が,本症の基本的な病態である.

①左室流出路に狭窄が存在する場合,特に閉塞性肥大型心筋症(hypertrophic obstructive cardiomyopathy; HOCM)とよぶ.

②肥大部位が特殊なものとして,心室中部閉塞性心筋症(midventricular obstruction; 肥大に伴う心室中部での内腔狭窄がある場合),心尖部肥大型心筋症(apical hypertrophic cardiomyopathy; 心尖部に肥大が限局する場合)がある.

③肥大型心筋症の経過中に,肥大した心室壁厚が減少し菲薄化し,心室内腔の拡大を伴う左室収縮力低下を来たし,拡張型心筋症様病態を呈した場合,拡張相肥大型心筋症(dilated phase of hypertrophic cardiomyopathy; D-HCM)とされる.その診断は経過観察されていれば確実であるが,経過観察されていなくても,以前に肥大型心筋症との確かな診断がされている場合も含まれる.

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

の主なものは心筋線維 /サルコメアを構成するタンパク質をコードする遺伝子である . 病因遺伝子変異が原因となり肥大を呈する機序は単一ではないと考えられる.多くのサルコメア遺伝子変異では筋収縮のカルシウム感受性の亢進が報告されており,拡張障害病態(心筋stiffnessの亢進)を説明する所見である.またタイチンやテレトニンの変異ではZ帯構成要素間の結合親和性が亢進し,心筋 stiffnessが亢進していると考えられる.またCARP変異などは心筋ストレッチ反応が常に生じているような状況をもたらしておりシグナル伝達機能の異常により心肥大を来していると考えられる20).また多くのサルコメア蛋白遺伝子の変異は通常筋線維の収縮力を増加させ,心筋の収縮力を強めエネルギー消費を増大させる.ミトコンドリア病のように心筋エネルギー産生に影響を与えるような変異による病態や,AMP活性化プロテインキナーゼ遺伝子のようなカルシウムセンシング装置の変異でも肥大型心筋症類似の病態を生じるが,心筋エネルギー代謝やカルシウムハンドリングの変化は,JAK-STAT系のような経路を刺激し心筋

の弛緩を障害し,心筋細胞の肥大を生じると考えられる21).

②特定心筋症や他の遺伝子異常との関連

 ミトコンドリア病やFabry病がHCMの臨床像を呈することがある.また,AMP活性化プロテインキナーゼ遺伝子変異はWPW症候群に伴うHCM様病態を示す糖原病の原因となる22)-26).表5にHCM類似の表現型を呈する主な疾患とその病因遺伝子を示す20),27).Pompe病,Barth症候群,Noonan症候群,LEOPARD症候群などにおいてHCM類似の心肥大がみられる. 一方,遺伝子変異を有するHCMの生存予後の個体差にアンジオテンシン変換酵素の遺伝子多型性の関連が示唆される28).

③心尖部肥大型心筋症との関連因子

 孤発例の HCM のなかにはとりわけ心尖部肥大型心筋症が多く含まれ,HOCMは少ない.心尖部肥大型心筋症の約半数に高血圧を合併し,また,C型肝炎ウイルス感染と関連したり,サルコイドーシスの心病変として心

表4 肥大型心筋症の病因遺伝子Gene Locus Protein Frequency(%)Myofilament/Sarcomeric HCM   Giant filament

TTN 2q31 Titin (タイチン) <1   Thick filament

MYH7 14q11.2-q12 β -Myosin heavy chain(心筋βミオシン重鎖) 25-40MYH6 14q11.2-q12 α -Myosin heavy chain(心筋αミオシン重鎖) <1MYL2 12q23-q24.3 Regulatory myosin light chain(心室型ミオシン調節軽鎖) <1MYL3 3p21.2-p21.3 Essential myosin light chain(心室型ミオシン必須軽鎖) <1

   Intermediate filamentMYBPC3 11p11.2 Cardiac myosin-binding protein C(心筋ミオシン結合蛋白C) 25-40

   Thin filamentTNNT2 1q32 Cardiac troponin T (心筋トロポニンT) 3-5TNNI3 19p13.4 Cardiac troponin I (心筋トロポニンI) 1-5TPM1 15q22.1 α -Tropomyosin (αトロポミオシン) 1-5ACTC 15q14 α -Cardiac actin (心筋αアクチン) <1TNNC1 3p21.1 Cardiac troponin C (心筋トロポニンC) <1

   Z-disc HCMACTN2 1q42-q43 α -Actinin 2 (αアクチニン2) <1ANKRD1 10q23.31 Cardiac ankyrin repeat protein(アンキリンリピートドメイン1) <1CSRP3 11p15.1 Muscle LIM protein (筋 LIM蛋白) <1LDB3 10q22.2-q23.3 LIM binding domain 3 (サイファー) 1-5MYOZ2 4q26-q27 Myozenin 2 (ミオゼニン2) <1TCAP 17q12-q21.1 Telethonin (テレトニン) <1VCL 10q22.1-q23 Vinculin/metavinculin (ビンキュリン/メタビンキュリン) <1

   Calcium-Handling HCMJPH2 20q13.12 Junctophilin 2 (ジャンクトフィリン2) <1PLN 6q22.1 Phospholamban (フォスフォランバン) <1

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

尖部肥大型心筋症の病態をとる症例もある29,30).

④C型肝炎ウイルス(HCV)との関連

 C型肝炎ウイルス(HCV)はHCMの原因として重要であることが示唆されている31).さらにHCV抗体陽性のHCMの病型としては,非対称性中隔肥大,閉塞性肥大型心筋症,心尖部肥大型心筋症,拡張相肥大型心筋症の病型をとることが示されている.HCMではDQB1*0303,DRB1*0901といったヒト主要組織適合性抗原(MHC)のクラスⅡ抗原との関連が示されている32).

2 罹患率と予後

①有病率

 HCMの有病率に関しては,10万人あたり19.7人から,1,100人まで,対象や調査方法の違いによりばらつきが極めて大きい33)-38).調査対象者全員に心エコー図検査を行うスクリーニング法はより見落としが少ないと思われ,この方法による有病率は我が国で人口10万人あたり374人,米国で170人で,HCMは稀な疾患ではない34),37). 厚生省特定疾患特発性心筋症調査研究班が行った,病院へのアンケートによる全国疫学調査(平成10年)では,全国推計患者数は21,900人,有病率は人口10万人あたり17.3人である39,40).HCM患者の男女比は2.3と男性が多く,年齢別分布は男女ともに60~69歳にピークを示した(表6)39),40).30歳未満では有病率に性差が認められず,常染色体優性遺伝形式に矛盾しないが,30歳以降では男性の患者数が多く,中高年男性に心尖部肥大型心筋症が多いことや医療機関の受診機会の男女差を反映している可能性もある.

②予後

 1982年(昭和57年)の厚生省特定疾患特発性心筋症調査研究班の報告では HCM の5年生存率および10年生存率は,それぞれ,91.5%と 81.8% 41)で,約20%の患者が診断後10年以内に死亡するので,一概に,予後良好とは言い切れない.女性患者の方が男性よりも予後が悪い42). HCMにおける疾患関連死の原因としては突然死,心不全死,主に心房細動による塞栓症による脳卒中が主なものである.2002年に我が国で行われた大規模な疫学調査ではHCMの年間死亡率は2.8%であり,死因としては不整脈が31.9%,心不全が21.3%であった40) .欧米のHCMにおける疾患関連死亡86例の解析43)では,突然死が44例(51%),心不全死が31例(36%),脳卒中死が11例(13%)にみられた.突然死は若年者を中心にみられその平均年齢は45歳であり,心不全死は中年以降に多く平均56歳,脳卒中死は平均76歳と高齢者に多くみられた.

表5  HCM Phenocopy GenesSyndrome Gene Locus Protein左室緻密化障害 DTNA 18q12 a -dystrobrevinBarth症候群/左室緻密化障害 TAZ Xq28 Tafazzin (G4.5)Danon病 LAMP2 Xq24 Lysosome-associated membrane protein 2Fabry病 GLA Xq22 a -galactosidase AForbes病 AGL 1p21 Amylo-1,6-glucosidaseFriedrich失調症 FXN 9q13 FrataxinNoonan症候群 KRAS 12p12.1 v-Ki-ras2 Kirsten rat sarcoma viral oncogene homologNoonan症候群 SOS1 2p22-p21 Son of sevenless homolog 1Noonan症候群 ,LEOPARD症候群 PTPN11 12q24.1 Protein tyrosine phosphatase, non-receptor type 11, SHP-2Noonan症候群 ,LEOPARD症候群 RAF1 3p25 V-RAF-1 murine leukemia viral oncogene homolog 1Pompe病 GAA 17q25.2-q25.3 a -1,4-glucosidase deficiencyWPW症候群を合併した心肥大 PRKAG2 7q35-q36.36 AMP-activated protein kinase

表6 肥大型心筋症患者の男女別年齢分布患者数(%)

年齢 男  性 女  性 合  計0 ~ 9 11 (0.7) 14 (2.2) 25 (1.2)

10 ~ 19 55 (3.7) 31 (4.8) 86 (4.0)20 ~ 29 39 (2.6) 31 (4.8) 70 (3.3)30 ~ 39 61 (4.1) 20 (3.1) 81 (3.8)40 ~ 49 152 (10.2) 50 (7.8) 202 (9.5)50 ~ 59 348 (23.4) 101 (15.7) 449 (21.0)60 ~ 69 506 (34.0) 184 (28.6) 690 (32.3)70 ~ 79 267 (17.9) 163 (25.3) 430 (20.1)80 以上 51 (3.4) 50 (7.8) 101 (4.7)合 計 1,490 (100.0) 644 (100.0) 2,134 (100.0)

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

 HCMにおける突然死の危険因子を示す(表7)44)-46).心室性不整脈,失神,突然死の家族歴,著しい左室肥大などが主要な危険因子であり,拡張相肥大型心筋症,左室流出路狭窄,広範な線維化なども関与する.また修飾可能な因子として激しい運動や冠動脈疾患があげられる.また,心不全や脳卒中の発症には,拡張相肥大型心筋症への移行や心房細動の併発が深く関与している47). HCMにおいては同一の変異を有する家系内や,同一の変異を有する異なる家系毎に,変異の浸透率,発症年齢,重症度などの臨床型は多様である.さらに環境因子,性別,遺伝的修飾因子などが,臨床型の多様性に関与している.しかし遺伝子型と臨床型の対比により,遺伝子型により生命予後などの臨床型が明らかに異なる場合があることが報告されており,疾患の理解に有用である.例えば心筋βミオシン重鎖遺伝子(MYH7)の変異によるHCMは比較的若年発症であり,肥大の程度も著しいことが多い.MYH7のArg403Gln変異によるHCMでは突然死や心不全の発症が多く,MYH7のArg719TrpによるHCMは心不全の発症が多い.また心筋トロポニンT遺伝子変異によるHCMは肥大の程度が軽度であることが多く,心筋ミオシン結合タンパクC遺伝子変異によるHCMでは浸透率が低い傾向にあり発症年齢が高い傾向にあることなどが報告されてい る20),46),48)-53).しかし多様性がHCMの特徴の一つであり,予後良好とされた変異が病因の家系において突然死が多くみられることや,予後不良とされた変異を病因とする家系において疾患関連死が少ないことがあることなどの報告もあり,遺伝子変異から生命予後を推測することには現在のところ限界がある20),46),52).

 さらに複数の遺伝子変異を持つ症例も報告されており,なかでも3種類の変異が確認された4症例では,若年発症で,肥大も著しく,拡張相肥大型心筋症への移行や不整脈による ICD植込みが必要な例がほとんどであり,複数の遺伝子変異の予後に与える意義の大きさを示している54). 我が国に多い心尖部肥大型心筋症は,時に長い経過で左室収縮能障害を来たし心不全に陥る症例もみられるが,概ね予後良好である.他方,拡張相肥大型心筋症の55)-57)

出現率は約5~10%と報告され55),58)予後は特に悪く,心臓移植の適応ともなりうる59).

3 病態生理と血行動態

1 左室拡張能 HCM では左室収縮機能が正常で,左室内径が正常あるいは縮小している場合においても左室充満圧は上昇し,左室の弛緩,伸展性に障害がみられる60,61).左室の拡張障害は安静,負荷時にかかわりなく,また,左室内圧較差の有無,症状の有無や肥大心筋の分布様式とも無関係に存在する62,63).左室の軽度肥大例や局所的な肥大を来たしている症例でも拡張不全がみられることより,非肥大部位においても何らかの心筋組織変化が存在し64),肥大の程度に応じて拡張機能障害の程度は局所的に異なる65)と考えられる.

①拡張障害の機序

 左室の弛緩は,左室への負荷条件,カルシウムイオンの筋小胞体による取り込み様式,左室壁運動の時間的・空間的な不均一性(asynchrony, asynergy)などに依存している66)-73).心筋の肥大,左室重量の増加に伴い心室の容積は減少し,心筋の線維化,走行の異常(錯綜配列)によっても心筋スティフネスは増大する74).その結果,心室容量のわずかな増加により拡張期圧は容易に上昇を来たすようになり,HCM の左室の圧―容量関係は図3のように左上方にシフトする75).

②血行動態

 HCM においては左室拡張末期圧・平均左房圧は上昇し,左室弛緩の障害により拡張期急速流入期の左室充満は障害をうけ,その結果心房収縮は亢進してしばしば大きな第4音を聴取し,パルスドプラ法では左室流入速波形にて心房収縮期波は増高する.心プールシンチによる左室容量曲線では拡張早期充満率の低下,左室圧曲線で

表7 突然死に関する危険因子主要な因子・心停止(心室細動)・自然発症の持続性心室頻拍・突然死の家族歴・原因不明の失神・著しい左室肥大(左室壁厚≥30mm)・ホルター心電図による非持続性心室頻拍・運動に伴う血圧反応異常可能性のある因子・拡張相肥大型心筋症・左室心尖部心室瘤・左室流出路狭窄・MRIによる広範な遅延造影像・心房細動・危険度の高い遺伝子変異修飾可能な因子・激しい身体運動(競技)・冠動脈疾患

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

は左室圧下降の時定数(time constant:Tau, t)の延長が観察され,左室圧一次微分曲線では左室等容弛緩の指標である最大陰性 dP/dt(peak negative dP/dt)は低下する.

③拡張障害の進行

 左室弛緩障害のある症例ではしばしば左房の拡大も進行し,洞調律から心房細動を来たす.心房細動による心房収縮の消失は,心拍出量の低下から血行動態の破綻につながる.特にHOCMにおける心房細動の出現は急性心不全を惹起することがある.さらに,洞調律例では著明な左房圧,左室拡張末期圧上昇により,拘束性の拡張障害を来たす76).

④右心系への影響

 HCM では左心系のみならず,右心系の拡張性も障害をうけ,平均右房圧,右室拡張末期圧も軽度上昇がみられる場合がある.時に右室壁の肥大による右室流出路の狭窄がみられ,約25%の症例においては平均左房圧の上昇に伴い軽度~高度の肺高血圧が観察される70),71).

2 左室収縮能 HCM では拡張不全が主病態で,収縮能は一般的には保持されている66),77).左室拡張末期容積は正常かいくぶん小さめで,収縮末期容積は小さくなっている77),78).HCMの圧容積軌跡は図3のように正常に比し左上方に

偏位し,駆出率は正常かやや大きめとなる.また,血液駆出速度は増大し,拍出量の大半は早期に終了する79)-84).HCM の個々の心筋細胞の収縮能は低下していても,肥大とリモデリングによって,心臓全体としてのポンプ力が維持され,あるいは亢進することはあり得る. HCMのうち約5~10%の症例で約10数年の経過とともにしだいに左室内腔が拡大し,左室収縮能が低下してくる(左室駆出率50%未満)17).これをD-HCMと呼ぶ.遺伝子異常の関与が示唆されている16).HCMに比べて心不全死や突然死を来たす頻度が高く予後不良である17).

3 左室流出路狭窄 HOCMは,HCM全体の約25%程度とされている85).左室内のどの部位がどの程度の拡がりで肥厚するかによって,閉塞部位や重症度が異なってくる.最も頻度の多いのは左室流出路狭窄を示すタイプである.

①病態生理

 左室流出路狭窄の形態学的な特徴として,以下の 3 つが挙げられる.①心室中隔の肥厚②僧帽弁の拡大と伸長③ 僧帽弁前尖に連なる乳頭筋付着部の異常(乳頭筋の前方偏位)と各乳頭筋間の狭小化 僧帽弁の収縮期前方運動(SAM)が生じる原因とし

図3 肥大型心筋症の圧ー容積関係の特徴

100

左室圧(mmHg)

HCM 健常心

左室容積(mL)

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

て以下の機序が推測される.① 狭窄した流出路を,血液が高速で通過して生じる陰圧により,僧帽弁が中隔に引っ張られる(Venturi 効 果)86).

② 乳頭筋の前方偏位のため,収縮により僧帽弁が中隔側に引っ張られ,流出路内に偏位する87).

③ 前尖が伸長して,前尖の体部が後尖と接合するため,前尖先端部に余剰部分が生ずる.また乳頭筋間が狭小化して,前尖中央部に付着する腱索にたるみが生じるため,僧帽弁先端部(特にその中央部)は緊張がなくなり,流出路の血流の影響を受けて中隔に押し付けられる. また SAM のため,僧帽弁前尖と後尖の接合は破綻し,僧帽弁逆流(MR)を生ずる88).僧帽弁自体に器質的異常が存在する場合には,SAMの程度とMRの程度は必ずしも相関しない66).また,この逆流血流は,SAMを終了させる1つの因子として働く(reverse Venturi force).

②血行動態

 HCM の流出路狭窄は,大動脈弁狭窄(AS)などと違い,収縮早期には狭窄が存在しないため,大動脈圧波形の立ち上がりは急峻となり,頚動脈波形にて遅脈を示さない.また弁性狭窄と異なり,流出路の圧較差は種々の要因により非常に変化しやすい.特に以下のような変化は,心室の容積を減少させ,僧帽弁を中隔に近づけ,圧較差が増強するように働く6).①収縮性の増強②前負荷の減少③後負荷の減少 このような流出路狭窄の程度は70%の症例でかなり動揺すること,大半のHCMには何らかの閉塞機転が働き症状発現に関与することが最近報告されており89),安静時に圧較差が僅かで(<30mmHg)種々の手技・薬物により誘発される(>=30mmHg)例は潜在的HOCM(latent HOCM)と称される. 圧較差を増強及び減弱させる手技,薬物(表8)により,収縮期雑音の音量は容易に変化し,また心エコー法にても,圧較差の変化を確認できる.

③その他の閉塞型

 通常の左室流出路狭窄(HOCM)とは異なる部位の肥大によって閉塞を生じる型もみられる.心室中部閉塞型心筋症(midventricular obstruction)は,左室中部で閉塞機転を生じるタイプであり,肥大した乳頭筋が収縮期に偏位することにより左室自由壁との間で狭窄をつく

ることによる.その重症度は,収縮性,前負荷,後負荷により影響を受けるが,SAM や MR は生じない66). 最近心尖部肥大型心筋症の中で,心尖部レベルで内腔閉塞が起こり心尖部心室瘤を形成するタイプがあることが明らかになった90).

4 冠循環 HCMでは冠動脈は拡張傾向にあり,狭窄性病変を認めないにもかかわらず,胸痛,胸部圧迫感などの臨床症状や異常Q波,著しいST-T変化などの心筋虚血所見がしばしばみられる91).

①心筋虚血との関連性

 HCMの単位心筋重量当たりの血流量は健常者に比し,安静時でも少なく,負荷により,胸痛および心電図上STの低下,心筋での乳酸産生などの心筋虚血が誘発される92)-96).心筋血流シンチグラフィを用いた検討では,肥大部の灌流は不均一で,灌流低下を示し,心筋肥厚部を中心に一過性欠損像が出現することがある96)-102). また,ジピリダモール負荷を用いたPET(positron-emission tomography)の検討により,HCMにおいて微小循環の障害が存在し,その重症度がHCM患者の予後に関係することも報告されている103),104).さらにガドリニウムを用いたMRIの検討により,心内膜側に高度の灌流低下を認めることが示されている105).

表8 様々な介入による肥大型心筋症における流出路圧較差および収縮期雑音の変化収縮性 前負荷 後負荷

圧較差および雑音を増強させる因子 Valsalva 手技 - ↓ ↓ 立 位 - ↓ - 期外収縮後 ↑ ↑ - β刺激薬 ↑ ↓ ↓ ジギタリス製剤 ↑ ↓ - 硝酸薬 - ↓ ↓ 労 作 ↑ ↑ ↑ 頻 脈 ↑ ↓ - 脱 水 ↑ ↓ ↓圧較差および雑音を減弱させる因子 Muller 手技 - ↑ ↑ 躑 踞 - ↑ ↑ α刺激薬 - - ↑ β遮断薬 ↓ ↑ - 全身麻酔 ↓ - - ハンドグリップ手技 - - ↑

(Braunwald E : Heart disease : A Textbook of Cardiovascular Medicine. 5th ed. pp1420, WB Saunders Company, 1997を改変)

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

②冠血流速波形の特徴

 HCMでは,右冠動脈や左回旋枝の冠血流波形は正常とほぼ同様であるが,左前下行枝の血流波形は,(1)収縮期血流成分の著明な減少や逆流波の存在,(2)拡張期開始から拡張期最大血流速度に至るまでの時間の延長などが特徴で,心筋の著明な肥厚あるいは過剰収縮による収縮期冠血流の障害と左室弛緩特性の低下による拡張早期の冠血流障害を反映する.また,冠血流予備能は低下する106-108).高周波探触子を用いた心筋内小動脈血流シグナルの観察では,心筋内小動脈の流速は一般に心外膜冠動脈より高値を示し,また収縮期逆流シグナルが高頻度に認められる.また,しばしば加速血流シグナルが認められ,心筋内小動脈狭窄病変の存在が考えられる109).

③冠循環障害の機序

 冠循環障害の機序としては,(1)冠小動脈の中膜・内膜肥厚および血管拡張予備能の減少110),111),(2)心筋内冠血管特に中隔枝の心筋による圧迫狭窄112),113),(3)左室弛緩障害による拡張期冠血流の低下,(4)左室流出路狭窄による左室内圧亢進,(5)肥大による毛細血管密度の減少や心内膜下心筋灌流の制限などが関与する113),114). また,心筋虚血は左室弛緩を障害するため,左室拡張期圧をさらに上昇させ,冠灌流を低下させて一層心筋虚血を生じやすくし,悪循環を生じる.その結果,心収縮性や心拍数の増加時には心筋虚血の誘発される可能性が高い.

Ⅱ 診断

 HCM の診断手順を図4に示す.

1 自覚症状・身体所見

①自覚症状

 HCM患者では無症状の患者もあるが,多くは心臓の異常に関連した何らかの症状を有している.HCM患者の自覚症状は大きくは胸部症状と脳症状に2分することができる.1)胸部症状 胸痛はHCM患者の症状として非常に多い.胸痛や胸部絞扼感は相対的心筋虚血が原因のことが多い.冠小動脈病変の存在,冠攣縮115),116)や冠動脈の狭窄の可能性もある.HCM患者に対して亜硝酸薬は禁忌薬であり冠動脈の異常が示唆されるときには冠動脈造影検査を行い適切な治療法を選択することが必要である. 呼吸困難を訴えるHCM患者も多い.左室拡張障害に伴う左室拡張末期圧の上昇による肺毛細管圧の上昇,また左室内腔の狭小化による低心拍出量などが呼吸困難の出現に密接に関連しているものと考えられる.特に,心拍数の増加を伴う労作時には労作に見合った心拍出量の増加のないことが呼吸困難感の出現に密接に関連してい

図4 肥大型心筋症の診断手順

症状・検診

確定診断

病歴聴取身体所見心電図胸部X線

除外診断

弁膜症先天性心疾患高血圧性心疾患虚血性心疾患代謝性疾患全身性系統疾患 アミロイドーシス Fabry病など

心エコー図ドプラ法

肥大部位の検出

収縮能・拡張能など心機能のチェック

核医学検査CT,MRI心臓カテーテル検査冠動脈造影心内膜心筋生検遺伝子診断

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

る117). 動悸は,不整脈,頻脈,あるいは収縮力の増大に伴う過収縮に起因していることが多い.HCM患者では上室性あるいは心室性不整脈に伴う動悸のことが多い.稀ならず,発作性心房細動や持続性心房細動による動悸もあり,ホルター心電図などを用い適切な診断を行うことが重要である.特にHCM患者が心房細動を合併する場合,持続性あるいは発作性を問わず高頻度に血栓塞栓を合併することが知られており118),適切な抗凝固治療が必須である.2)脳症状   立ちくらみ,眼前暗黒間,失神などの脳の虚血を思わせる症状はHCM患者の重要な症状であり頻度も高い.また,これらの症状は突然死に至るHCM患者の既往症としても重要である119).これらの脳症状は心室頻拍などの重症の不整脈を有する患者で出現することが多い120)

とされているが,必ずしも不整脈は必須ではない121).左室内腔の小さい患者,左室内圧較差のある患者での発生頻度は高い122).また,左室壁応力の小さくなる状況で発生することが多い.すなわち,血管拡張薬などの禁忌薬の使用時,急に起立するとき,飲酒時,また寒いところから暑いところへの移動時などに好発する.

②身体所見

1)視診・触診 HCM患者では心房拡大のある場合は心陰影の拡大していることが多く,心尖拍動は外側に位置していることもある.触診で最も重要な所見は左室のコンプライアンス低下に伴う強い左房収縮である.左室拍動とともにdouble apical impulseとして触診できる66).この所見は左側臥位で明瞭に触診できる.Double apical impulse はHOCM患者では必発,非閉塞性肥大型心筋症患者でもその出現頻度は高い.Double apical impulseはHCM患者と心筋梗塞患者で多く認められるが,その間隔はHCM患者の方が短い. 2)聴診  HCM患者で最も高頻度で聴取される異常音はⅣ音である.左室のコンプライアンス低下に起因する左房収縮音であり,多くのHCM患者で聴取される.また,Ⅲ音も高頻度で聴取されるがこの原因ははっきりしない.非閉塞性の患者でも左室流出路が狭い患者も多く,また駆出速度が速いことから機能性雑音と思われる収縮期雑音を聴取することが多い. HOCM患者では左室流出路狭窄型と心室中部閉塞型の2型が存在する.左室流出路狭窄型では4つの聴診所

見上の特徴を確認しなければならない.①駆出性収縮期雑音であり,狭窄部を通過する渦流によるもので漸増漸減性である.雑音は胸骨左縁第Ⅳ肋間から心尖部にかけて最強点を認め,頚部への放散は無いか,あっても弱い.雑音の程度は流出路圧較差の程度に左右される.したがって,様々な因子や薬物により大きく変化する123).②左室流出路狭窄を有する患者では僧房弁逆流を合併することが多い.心尖部あるいは腋窩領域で多くの患者では汎収縮期の高調な音として聴取される.③多くの左室流出路狭窄を有する患者では図5124)でみられる収縮早期過剰心音が確認される125).この心音は心室中隔と僧帽弁前尖の接触音でありSAMが中隔に接していれば必ず確認できる.I音と収縮早期過剰心音のタイミングを考慮すれば聴診のみで左室流出路狭窄を有する患者の重症度を判定できる124).④左室流出路狭窄の存在は左室駆出時間の延長をもたらす.このため重症狭窄を有する患者ではⅡa音とⅡp音の分裂間隔の短縮あるいはⅡa音とⅡp音の時相の逆転(奇異性分裂)を示すことがある126). 心室中部閉塞型患者の左室内圧較差は臨床の場で見落とされている可能性が高い127).心室中部閉塞型患者の聴診所見上の特徴は少なく,心尖部付近でのあまり強くない収縮期雑音を聴取する程度である.HCM患者では心室中部閉塞の合併を疑い慎重に圧較差をチェックする必要がある.図6 127)はHOCM患者の頚動脈波の特徴を示したものである.頚動脈波形を記録しておれば左室流出路狭窄型,心室中部閉塞型とも見落とす可能性はほとんどない.

2 評価法

1心電図・ホルター心電図・加算平均心電図・運動負荷心電図・M-TWA・臨床電気生理学的検査

①12誘導心電図

 HCM の 75~96%で異常 Q 波,ST-T 変化,陰性 T 波,左室側高電位など何らかの心電図異常がみられ91),128)-130),心電図は感度の高い有用なスクリーニング検査である129).無症候例の多くは心電図が診断の契機となる.個々の心電図所見は肥大の病型や程度,病期とある程度関連しており,病態把握の助けとなる. 一方,その所見は多様でかつ非特異的であり,心電図のみからHCMの確定診断,閉塞性・非閉塞性の鑑別はできない.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

1)QRS 波の異常①QRS 波高の増減 成人HCMの65~75%に左室高電位所見を認める.非閉塞性肥大型心筋症では,高電位はV5,6よりもV3,4 誘導で顕著な例が多い131).左室肥大所見は肥大が心室中隔に限局するよりも,左室自由壁にもびまん性に広がる例や心尖部肥大型心筋症で出現する頻度が高い128).また,右前胸部誘導のR波の増高は中隔肥厚の反映と考えられる. 左室高電位の頻度は,若年HCMでは低く132),成人,高齢者では高くなる133).5年間に1.0mV以上QRS波が増高する例では,心事故発生の頻度が高いという報告もある134)が,一方, QRS波の減高をみる例では,心筋の変性,線維化を反映する134)-137).QRS波の持続的な減高は D-HCM にしばしばみられ,心室内伝導障害や異常 Q 波が新たに出現すると予後は不良である136),137).

②異常Q波ならびに中隔性Q波の消失 異常Q波は,小児 HCM の約半数に132),成人の 25~31%に認められる91),128).異常Q波形成には,中隔の不均等な肥大と心筋変性の2つの成因が推測される138).前者は非対称性中隔肥厚による初期ベクトルの不均衡であり,幅の狭い深いQ波を示し,初期中隔ベクトルが左から右方向に向かう場合にはV5,6に,上方向よりであればⅡ,Ⅲ,aVFにQ波が形成される.中隔に限局した若年肥大例で異常Q波の頻度が高く128),肥大が左室自由壁へ進展するか,中隔の心筋に線維化が生じれば,中隔ベクトルの相対的減少により,Q波は減高し,HCMの15%では消失する.また,心尖部肥大型心筋症や右室肥大例では,異常Q波を伴わない139). 後者は,心筋の変性,線維化による局所の起電力消失であり,R波の減高とともに新たな異常Q波が出現する.このQ波は幅広いことが多く,V4-6 誘導にみられる.

図5 閉塞性肥大型心筋症(左室流出路狭窄)における収縮早期過剰心音

収縮早期過剰心音

図6 閉塞性肥大型心筋症各タイプの頚動脈波形の特徴

   A:正常者,B:左室流出路狭窄症患者,C:心室中部閉塞型患者,   D:心室中部閉塞型患者        DN:dicrotic notch

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

D-HCM に多い.③その他のQRS異常 軸偏位は20~30%に認められ,左軸偏位が多い.心室内伝導障害は刺激伝導系の障害を反映する.1~5%にWPW症候群など心室早期興奮が合併し140)-142),稀に突然死の原因となる141).2)ST-T 変化 ST下降と陰性T波は70~95%に認められる.機序としては,心室肥大に伴う心内膜下心筋の相対的心筋虚血,肥大心筋の再分極過程の遅延に伴う一次性変化,脱分極過程の変化に伴う二次性変化などが推測される.ストレインパターンが多いが,低下の程度は肥大の程度と相関しない. 心尖部肥大型心筋症で見られる左側胸部誘導の高電位を伴う巨大陰性T波はV3~5を中心に,1.0 mV以上で対称性を示し,しばしばST下降をみ143),心尖部肥厚の程度が強いほど深くなる144).心尖部肥大型心筋症の70%では,高電位や巨大陰性T波は経過とともに減少,消失し135),その原因は肥大心筋の変性,線維化に伴う退行性変化と考えられる. 時に,左側胸部誘導,Ⅱ,Ⅲ,aVF,あるいはⅠ,aVL誘導に,R波の減高や幅の広い異常Q波を伴うST上昇を認めることがあり,心筋変性の進行が推測される145).D-HCMや心尖部心室瘤合併例にしばしばみられる.3)P波の異常 左房負荷所見は左室拡張障害による心房負荷を反映する.V1誘導におけるP波の陰性成分の大きさは左室拡張障害と相関し146),左房負荷が進行すると心房細動を来たす.4)QT 間隔の延長 HCM では,しばしば QT 間隔あるいは QTc 間隔の延長を認めるが147),148),致死的不整脈の発生と直接関連するとする報告はない.また,12誘導心電図における QT dispersion の増大が,致死的不整脈の発生や突然死の予測因子になり得るかのエビデンスはない148),149).

②ホルター心電図

 HCMでは,心室性あるいは上室性の頻脈性不整脈,徐脈性不整脈など,多彩な不整脈が発生し,失神発作や突然死,心原性血栓塞栓症の原因となる.不整脈の多くは無症状であるため,全例,ホルター心電図の適応となる.1)症状の精査 動悸,めまい,失神などの不整脈を疑わせる場合にその原因検索,すなわち,頻脈性や徐脈性不整脈,流出路

狭窄の増強,血管反応異常による血圧低下などの鑑別のため行う.2)心室性不整脈の評価 ホルター心電図ではHCMの50~85%に心室性期外収縮を,20~28%に非持続性心室頻拍を認める150)-152).若年者で少なく,加齢に伴い増加する.ほとんどは無症候性で,頻拍レート180/分以下が多く,閉塞性と非閉塞性で出現頻度に差はない.持続性心室頻拍の多くは多形性であり血行動態の悪化から失神あるいは突然死に至る.他方,持続性単形性心室頻拍は稀であるが,D-HCMや左室心尖部心室瘤を有するHCMに合併する153). 心室性期外収縮や非持続性心室頻拍は,持続性心室頻拍・心室細動のトリガーとなりうることから,非持続性心室頻拍は突然死の危険因子と考えられている150)-152).その感度,特異度はいずれも70%前後であり,陰性的中率は95%以上と高い150),154)が ,陽性的中率は 20~25 %と低い.とくに無症候性で頻度の少ない非持続性心室頻拍は突然死の予測因子とはならないとの意見もある155).一方で,小児や若年のHCMの突然死例には心室性不整脈のみられない症例も多く,非持続性心室頻拍がないからといって突然死の危険がないとはいえない156).3)上室性不整脈の評価 HCM のホルター心電図では,30~50%に心房性頻脈性不整脈を認める152),154)-157)が,多くは非持続性で無症状である.発作性心房細動の検出率は5~15%である154),155).また,初診時心電図で持続性心房細動を認める頻度は5%であるが,診断5年後には10%以上に増加するという157). HCMの上室性頻脈性不整脈は予後を悪化させる.急性循環不全を起こす直前,直後の心電図では約10%に上室性不整脈を認める158).さらに,心房細動の合併は血栓塞栓症の頻度を増加させる157),159).4)心拍変動解析 HCMでは,心拍変動全体あるいは迷走神経の指標とされる心拍変動成分が低下している160),161)が,臨床像や予後との関連性についての見解は一致していない.

③加算平均心電図

 加算平均心電図による心室遅延電位 late potential(LP)の検出頻度は15~30%で,心室頻拍の有無との関連はある162),163)が,突然死や致死的不整脈を予測できるかはいまだ実証されていない.

④運動負荷心電図 164)-166)

 HCM症例に対する運動負荷にて,運動負荷中に血圧の上昇反応の弱い症例(25mmHg未満),持続的に血圧

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

低下を示す症例,または回復早期に一時的に血圧低下を示す症例を認める .このような血圧異常反応は,若年症例や突然死の家族歴を有する症例に多く認められ,突然死の主要危険因子の1つされている(表5).しかし,危険因子として評価する場合には対象年齢が制限(40歳未満)されるという報告もあるため,全症例にて評価することが困難であり限界がある .

⑤Microvolt-level T-wave alternans(M-TWA)

 HCM症例におけるM-TWA所見として,M-TWA陽性と非持続性心室頻拍の存在および心筋内膜病理所見での錯綜配列の程度が相関することが示されている167),168).しかし,M-TWA陽性所見が,HCM症例の長期予後(特に突然死)の予知予測の指標として有用であるかは未だ実証されていない .

⑥臨床電気生理学的検査

 HCMの電気生理学所見142),169)として,約半数で洞房伝導時間は延長するが,洞結節回復時間の1.5秒以上の延長は10%以下である.房室結節の伝導障害は少なく,HCMの30%で55msec以上のHV時間の延長を認めるが,約10%の例で房室伝導能は逆に亢進している.心房期外刺激や高頻度刺激により,約10%で持続性心房細動または心房粗動が誘発され,約5%にリエントリー性上室性頻拍が誘発される. 無症候性のHCMでは,電気生理学的検査による持続性心室頻拍の誘発率は高くない.失神,心肺蘇生の既往,あるいは非持続性心室頻拍を有するHCMでの持続性心室頻拍の誘発率も,通常の 2 連早期刺激では 15~18 %,3連早期刺激まで行うと27~44%に上昇するが,その多くは多形性心室頻拍であり142),169),170),突然死予測の特異度は低い.持続性心室頻拍の誘発は心事故予測因子の一つで,これ以外の,臨床所見,血行動態,ホルター心電図は予測因子とならなかった169)が,その心事故予測の感度は80%,特異度70%であるのに対し,陽性的中率は17%で,電気生理学的検査による突然死の予測には限界がある.

肥大型心筋症における電気生理学的検査の適応

クラスⅠ 1. 心停止後蘇生したHCM患者の原因検索や植込み

型除細動器(ICD)の適否の決定 2. 加算平均心電図による心室遅延電位を認める症候

性の HCM

クラスⅡ 1.非閉塞性肥大型心筋症患者の失神発作の原因検索 2. 非持続性心室頻拍を認めるHCMのうち,連発数

の多いものまたは頻回に認めるもの

クラスⅢ 1. 心室頻拍が見られず,失神発作に見合う圧較差を

認めるHOCM

2 心エコー図・ドプラ法

①心エコー図による評価項目

 HCMの基本病態は,心内腔の拡大を伴わない心筋の不均等な肥大であり,断層心エコー図により肥大様式の形態評価を,ドプラ法により 1)左室流出路狭窄など左室あるいは右室の閉塞の評価,2)左室拡張能,3)MR などの合併症の評価を行う.1)肥大の形態・様式からみた分類 HCM の特徴的な肥大様式は,圧負荷などで説明のつかない,不均一で,非対称性の心筋肥大であり,心エコー図所見は,非均等型の左室壁肥厚asymmetric left ventricular hypertrophyである.従来用いられてきた非対称性中隔肥厚 asymmetric septal hypertrophy(ASH)(心室中隔壁厚 /左室後壁厚比が1.3以上5),171))という言葉は,Mモード心エコー図が中心の時代には最も重要な所見として扱われ,今でもその重要性を軽視してはならないが,肥大の部位は心室中隔のみならず,左室後壁や左室前壁,側壁,右室に局在することがあるので,断層心エコー図にてASHを呈さない種々の形態が存在することを考えると,非均等型の左室壁肥厚と表現するべきである. 非均等型の左室壁肥厚は本症以外にも高度の右室負荷心,高血圧性心肥大,大動脈弁狭窄症などでもみられる一方,対称性壁肥厚もまれではない172).  僧帽弁レベル短軸断層心エコー図では,前部中隔に限局する肥厚(Ⅰ型),中隔全体の肥厚(Ⅱ型),中隔から左室前壁や側壁を含む肥厚(Ⅲ型),前部中隔以外の部位の肥厚(Ⅳ型)が観察された173). 特殊型として下記に示す肥大形態が挙げられる.①心尖部肥大型心筋症 心室中隔および左室壁の壁厚が乳頭筋レベル付近から心尖部にかけて急激に増大する.心エコー図により描出が困難な場合には,経静脈性超音波造影剤を用いたコントラストエコー図,CTやMRIなどの他の画像診断法から総合的に診断する.

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

②心室中部閉塞型心筋症 収縮期の左室内閉塞が左室中央部にみられ,この前後に圧較差を生じる.心尖部に壁運動異常が観察されることがある.③拡張相肥大型心筋症(D-HCM) 経過中に,肥大した心室壁厚が減少,さらに菲薄化し,正常収縮ないし過収縮している壁運動が低下,左室内径は増大傾向から左室拡大に至り,左室拡張と収縮能障害からついにはうっ血性心不全など拡張型心筋症と類似の病態を示す174).壁厚の減少,内径の増大の程度に明確な定義はないが,若年成人(20~40歳)の5~6年間の経過観察では,壁厚は25%(平均で 20mmから15mm へ,年間1.0~2.0mm),左室拡張末期径は20%(平均で45mmから55mm へ,年間1.0~1.5mm)変化したという174).左室駆出率も低下するが,元来,多くの症例では正常以上の収縮をしているため,低下しても正常範囲をわずかに下回る程度である.2)左室内閉塞の評価①ドプラ法 左室流出路を通過する高速血流はカラードプラ像のモザイクシグナルとして,また,連続波ドプラ法では,収縮中期~後期にピークを有する駆出血流速波形として観察される.簡易 Bernoulli 式を用いて,この駆出血流の最高流速(V)より左室流出路圧較差(pressure gradient:ΔP)が推定でき(ΔP=4V2)175),心臓カテーテル法で求めた圧較差と良好な一致を示す176).左室流出路血流速波形は僧帽弁逆流血流速波形と酷似するが,前者は大動脈弁開放時から大動脈弁閉鎖時まで,後者は僧帽弁閉鎖から僧帽弁開放まで持続し,持続時間の違いで鑑別する.しかし,両者の血流信号が重なり,鑑別が困難な場合は high PRF(pulse repetition frequency)法や経食道エコー法が役立つ.②M モード法 左室流出路狭窄・閉塞例では僧帽弁装置の収縮期前方運動(SAM)がみられ,この程度が流出路狭窄の程度と密接な関係を示すとされる177)(病態 Ⅰ -3-3 を参照).左室流出路閉塞により駆出血流が途絶する例では,大動脈弁の収縮中期半閉鎖がみられる.また,心音図・心尖拍動図を併用した拡張早期時相分析により,HCMと高血圧性心肥大の鑑別が可能である178),179).3)左室拡張能の評価 HCM における典型的な左室流入血流異常は拡張早期波(E 波)の低下,その減速の延長および心房収縮期波(A 波)の増高であるが,進行すれば,いわゆる偽正常化 波 形(pseudonormalized pattern)や 拘 束 型 波 形

(restrictive pattern)となる60).これらの波形は左房圧の上昇が一因と考えられているが,一方,左室拡張期内圧は左室流入血流速波形から予測困難ともいわれ180),実際に HCM の多くでは,偽正常化波形や拘束型波形を見ることはまれである.本症における拡張能は,治療評価や予後に関連する.また組織ドプラ法による僧帽弁輪部拡張早期速度と拡張能との関連性も報告されてきている.4)合併症の評価 本症では MR が高頻度に観察され,僧帽弁逸脱症の合併もまれではない95).また,心房細動例では左房内血栓が高頻度に発生する.

肥大型心筋症または肥大型心筋症が疑われる患者 における経胸壁心エコー図の適応:

クラスⅠ 1. HCMが疑われる患者における形態診断と血行動態

的重症度の評価 2. HCMの確定診断患者で臨床病態に明らかな変化が

生じている場合または薬物療法の選択の指針としての再評価

クラスⅡ 1. HCMの診断が確定している患者で臨床病態に変化

がない患者の再評価   (ただし,年 1~2 回程度の,経過観察目的に必要

な心エコー図検査を除く) 2.左室機能の計測による予後リスクの層別化

肥大型心筋症または肥大型心筋症が疑われる症例における経食道エコー検査の適応:

クラスⅠ 1. 臨床症状または経胸壁エコー図で HCM が強く疑

われるが,経胸壁エコー図の画質不良のため,左室流出路および血行動態の観察が不充分な場合

 2. 重症僧帽弁逆流症または突然の血行動態悪化の原因として腱索断裂が疑われるため,僧帽弁装置の詳細なる観察が必要な場合181)

 3.心筋切除例における術中のモニター182)

 4. 心房細動を有する例で左房内血栓が疑われる場合または電気的除細動を考慮する場合

クラスⅡ 1. HCMの診断が確定している患者で臨床状況に変化

がない患者の再評価

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

クラスⅢ 1. 臨床上安定しており,処置法の変更が考慮されて

いない患者におけるルーチンの再評価

3 心臓カテーテル検査(含,心内膜心筋生検)

 心臓カテーテル検査の意義は,心内圧の直接測定により HCM の拡張期コンプライアンスの低下を,HOCM では左室内に収縮期圧較差を証明することである.また,冠動脈造影は冠動脈疾患の除外のために,心内膜心筋生検は特定心筋疾患との鑑別のために施行される.

①心内圧の測定

1)血行動態的特徴 拡張期コンプライアンスの低下は,左室拡張末期容積の増加を伴わず,左室圧波形における著明な a 波の増高を伴った左室拡張末期圧の上昇に表れる.肺動脈楔入圧は上昇し,有意な僧房弁逆流を伴う例では v 波の増高がみられることもある.心拍出量は流出路狭窄の強い例や拡張相にある症例では低下する91).左室圧一次微分曲線からみた左室等容弛緩の指標である左室圧下降速度(peak negative dP/dt)は健常者に対してHCMでは低下し,左室圧下降の時定数(time constant T)は延長する183). 左室駆出率などの収縮機能は,心室全体としては正常あるいは亢進し,HCMの心臓のポンプ機能は保たれている.しかし,心筋の収縮性そのものが正常または正常以上であるか否かについてはいまだ定説はない184).2)左室流出路圧較差 左室内圧較差は,透視下に左室心尖部,体部,大動脈弁下部,大動脈の圧を順次に記録する引き抜き圧曲線,あるいは左室圧─大動脈圧の同時記録により求められる.左室流出路閉塞は,安静時あるいは薬剤負荷や運動負荷により30mmHg以上の左室流出路圧較差がみられた場合と定義され185),経皮的中隔心筋焼灼術の適応基準となっている186).収縮期圧較差を有する症例の大動脈圧波形は急峻な立ち上がりの後,駆出早期にスパイクを形成後下降し,再び弧状ないしドーム状に上昇し二峰性(spike-and-dome型)となる.また,左室流出路狭窄を有する症例に右室流出路狭窄を認めることもある187).心室性期外収縮後の心拍で,長い代償性休止期により前負荷が増大し,左室収縮力が増大することにより左室流出路圧較差が増加するため大動脈圧が低下するBrockenbrough現象は,HOCMに特徴的である188).安静時の左室流出路閉塞は,肥大型心筋症患者における心不全症状への進行や死亡に対する独立した予測因子であ

る185).

②心血管造影

 左室造影では,一般に肥大した心室中隔や乳頭筋の左室腔への突出,内腔狭小化などがみられるが,造影所見は左室壁肥大様式により異なる.左前斜位での左右両心室同時造影により,心室中隔をはさんでその形状を詳細に観察することができる.以下に肥大様式の違いによる特徴を示す.1)閉塞性肥大型心筋症 大動脈弁直下の左室流出路の狭窄を反映して,正面像では収縮期に僧帽弁前尖が心室中隔に近づき,これと肥厚した心室中隔の間で造影剤が薄くなり,W 字型または V 字型の透亮像を生じる(W sign または V sign).この所見は心エコー図で観察される僧帽弁の収縮期前方運動に相当する.右前斜位像では左室下壁から心内腔に突出する壁肥厚を認め,拡張期にバナナ状を呈する.拡張期左前斜位像あるいは側面像では大動脈弁直下の肥厚した心室中隔と僧帽弁前尖により形成される逆円錐像(inverted cone)を認める.左室形態の異常や僧帽弁の収縮期前方運動に加え,しばしば僧帽弁逆流を示す.2)心尖部肥大型心筋症 中隔下部から心尖部の心筋が著しく肥厚し,拡張期には左室腔は上・中部では狭小化せず丸く,心尖部で急に内腔が狭くなりトランプのスペード型となる.収縮期に心内腔が先細りとなり心尖部が消失したようにみえる189).3)心室中部閉塞型心筋症(midventricular obstruction) 左室中央部の心筋肥厚により左室腔は中央部が細くくびれて心尖部でかえって広く,砂時計状あるいは瓢箪型を呈する.

③冠動脈造影

 ほとんどの症例で,起始部より末梢にいたるまで内腔拡張がみられかつ著しい蛇行をみる.さらに心筋内に貫通する中隔枝や,左前下行枝本幹の近位部と中間部の移行付近で,心筋が収縮期に冠動脈を絞るmyocardial squeezing現象がHCMの約1/3に出現する190).

④心内膜心筋生検

1)生検標本の病理形態学 種々の染色による光顕的検索,さらに電顕的検索によってより詳しい情報が得られる191).光顕では心筋細胞の肥大と,錯綜配列,および間質の線維化が認められるが,いずれも特異的病変とはいえず,錯綜配列は二次的な心肥大や高血圧性心疾患,拡張型心筋症,心筋炎後の

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

状態にも観察される192).錯綜配列は心筋中層に認められるため,心内膜心筋生検で採取されない可能性がある.HCMに比較的特徴的な所見として,心筋変性や奇妙な形(bizarrely shaped)の肥大した心筋細胞の所見を示す193).2)適応 原因不明の心疾患患者において心内膜心筋生検により原因が特定されることはあるが,すべてのHCM の患者に生検を行うことに関しては議論がある.1989 年に提唱された指針では生検の適応は,二次性心筋症の鑑別診断-心肥大を来たす諸疾患(アミロイドーシス・Fabry 病・サルコイドーシス・ミトコンドリア疾患・糖原病など)の診断あるいは除外-および生命を脅かす心室性不整脈である194).

肥大型心筋症の診断,評価のための心臓カテーテ ル検査の適応

クラスⅠ 1.冠動脈疾患の鑑別のための冠動脈造影 2.二次性心筋症の鑑別のための心内膜心筋生検 3. 心エコー図で評価不能の HCM 症例での以下の病

態   ◦心室の形態,機能診断   ◦HOCM に対する二腔ペーシングの効果の評価   ◦ HOCM に対する外科的治療の術前術後の心室

の形態,機能診断   ◦薬効評価

クラスⅡ 1. 心エコー図あるいは MRI・CT で評価可能な心室

の形態,機能診断,治療効果の評価

4 核医学およびその他の画像診断

①核医学検査

 現在,時間分解能,空間分解能のすぐれた心エコー図法・MRIなどの進歩により,HCMの形態的,機能的診断における核医学検査の有用性は相対的に低下したと言わざるをえないが,核医学検査では,他の検査法では知ることのできない,心筋血流や心筋代謝,心筋交感神経機能の評価が可能であり,予後の推定に有用である.1)心筋血流イメージング 塩化タリウム(Tl-201Cl)とテクネシウム(Tc-99m)標識の sestamibi,tetrofosmin のいずれの核種も心筋組織への集積は,心筋血流量と心筋細胞の量に依存する.肥大部はトレーサーの高集積として描出されるので,形

態的な非対称性肥大の診断が可能である195)-197).また,心電図同期収集を行えば,左室局所の収縮能を評価できる198). HCM では,負荷タリウム心筋シンチグラフィにて見られる再分布現象や固定欠損などの血流異常所見は冠動脈硬化病変以外にも,冠血流予備能の低下,心筋細胞壊死,心筋組織の線維化,瘢痕化などを反映している93),97),199)-205). 固定欠損は,失神の既往,左室腔,左房径の拡大,左室収縮能の低下,最大酸素摂取量の低下と関連する.また,MRIで評価されるガドリニウムの遅延造影効果との関連性も報告されている 206).再分布は必ずしも狭心症症状とは関係しないが,左房径の拡大,左室壁厚の増大と関係し,左室収縮能が保たれている症例で見られることが多い99),207). 若年者で可逆性欠損を示す患者は致死的不整脈のハイリスク群である208).一方,成人症例において負荷心筋血流イメージングと予後が実際に関連するか否かについては,一定の見解は得られていない207),209).2)心筋脂肪酸代謝イメージング I-123-15-(p-iodophenyl)-3-(R,S)-methylpentadecanoic acid(BMIPP)は心筋の脂肪酸代謝状態に応じて心筋細胞に摂取され保持される. HCMにおいては,BMIPPの欠損は,心室中隔の前壁側および後壁側の右室自由壁付着部に好発し,その程度は心筋細胞障害の程度を反映する210).心筋血流トレーサーと比較してより高度なBMIPPの取り込み低下(ミスマッチ現象)はHCMではしばしばみられるが,左室肥大を来たす他の疾患(高血圧性心疾患など)では見られず,疾患の鑑別に有用である211)-214).欠損の低下の程度が強く,範囲が広いほどその後の心事故の発生が多く,生命予後が不良である215),216).3)心筋交感神経イメージング I-123-metaiodobenzylguanidine(MIBG)はノルエピネフリンの類似体であり,心筋に対する神経分布密度と交感神経機能を評価できると考えられている. 欠損部位は肥大部位と一致し,欠損が強いほど心筋障害が強い217).健常者と比較して中隔心尖部でクリアランスが亢進しており218),219),収縮能および拡張能が低下するほど,肥大の程度が強いほどクリアランスが大きい220,221)

また,左室全体でのクリアランスの亢進と心室頻拍との関連性も報告されている222),223).4)RI アンギオグラフィ HCMにおいて,平衡マルチゲート法は左右心室腔を描出することにより形態的に非対称性中隔肥大や,収縮期の左室内腔の狭小化,左室流出路狭窄を検出できる224).

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

また,左室拡張能指標の悪化(最大充満速度の低下,最大充満速度までの時間の延長,等容拡張時間の延長)も検出でき,最大充満速度の低下は,HCM の心臓死の予測因子の一つとなるかも知れない76),225)-229).5)その他 心サルコイドーシスではガリウム(Ga-67),ピロリン酸(Tc-99m-pyrophosphate)の心筋への異常集積がみられることがあり230),心アミロイドーシスでは Tc-99m-pyrophosphate の心筋への異常集積がみられることがある231,232).HCM では集積がみられることはなく,鑑別に有用である. F-18-fluorodeoxyglucose(FDG)を用いたポジトロンエ ミ ッ シ ョ ン ト モ グ ラ フ ィ(positron emission tomography(PET))は心筋糖代謝の評価が可能であるが,肥大した心室中隔で,FDG 取り込みが低下233)-235)あるいは亢進236)していると報告されている.

肥大型心筋症の診断,評価のための核医学検査の適応

クラスⅠ 1. 心エコー図で評価不能な症例での左室の機能診断

のための RI アンギオグラフィ

クラスⅡ 1. 左室の非対称性肥大診断,予後推定のための心筋

血流イメージング 2. 心筋障害診断,予後推定のための心筋脂肪酸代謝

イメージング 3. 心筋障害診断,予後推定のための心筋交感神経イ

メージング 4. 心エコー図で評価可能な症例での左室の形態,機

能診断のための RI アンギオグラフィ 5. 心アミロイドーシス,心サルコイドーシス除外の

ためのピロリン酸シンチグラフィ 6. 心サルコイドーシス除外のためのガリウムシンチ

グラフィ 7. 心筋代謝障害診断のための FDG-PET

②CT・MRI

1)形態・機能評価 HCMの形態診断に心エコー図は必須であるが,ときに心エコー図の描出の困難な場合,CTやMRIが有用である237). CTでは心筋と心腔の区別のため造影剤を用いるが,近年CTは,従来よりもさらに空間的解像度の良い像が

得られ,壁運動の変化など機能評価も可能である.ただし,左室長軸像や短軸像での評価は困難であり,任意の断面像を得にくいという点では心エコー図やMRIに劣る.またCTやMRIは心電図同期が必要なため,心房細動や不整脈患者での撮像が困難で,呼吸によるアーチファクトも無視できない. MRIは,造影剤を用いずに明確に心筋と心腔を分離でき,任意の断面設定が可能で,心エコー図法よりも広範な部位での心筋壁厚の正確な計測が可能である238).この特性により,MRIは心エコー図法で心肥大の描出が困難なことの多い心尖部肥大型心筋症や,側壁に肥大が限局した心筋症の正確な評価に有用である239)-241).以上よりMRIは左室全体を評価する心筋重量の計測に適しており,著しく左室重量が増加した症例の予後は不良である.ただし,この左室重量と心エコー図法より計測された左室最大壁厚との相関は中等度である242).なおシネモードにより左室造影のように左室の機能評価も可能である.2)組織評価 肥大型心筋症ではgadoliniumの遅延造影効果が60~80%の症例で認められる242)-245).これは肥大部位,特に中隔右室接合部に多く観察され,平均容量は左室心筋量の約10%と報告されている243),244).高リスク群では遅延造影効果の範囲が広範であるとの報告もある244).特に,非持続性あるいは持続性心室頻拍とgadoliniumの遅延造影効果の間には有意の相関が認められる246)-249). Gadoliniumの遅延造影効果と予後に関するいくつかの報告では,本所見と心臓死・持続性心室頻拍・心室細動・植込み型除細動器の適切作動などとの間に有意の関連性を認め,HCMの独立した予後推定因子である可能性が示唆されている242),245).ただし,HCMにおいてgadoliniumの遅延造影効果は高頻度に認められる所見であるため,予後推定因子として本所見の広がりに関する定量評価が必要であるのか,あるいは陰性的中率を重視するのかなどについて今後の検討を要する 248)-250). 肥大型心筋症におけるgadoliniumの遅延造影効果は組織学的には線維化に相当すると考えられている 251).この機序を研究するために,組織コラーゲン代謝に関与するバイオマーカーの測定がサルコメア蛋白関連遺伝子異常を持つHCM症例で検討された結果,心肥大の表現型が明らかな症例では,Ⅰ型コラーゲンの産生と分解のバランスが崩れ,過剰産生にシフトしていると報告されている252).なお,MRIの遅延造影効果パターンにより多くの心疾患を鑑別できる可能性がある253).特に非対称性の心肥大を来たすものとして肥大型心筋症とFabry

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

病の鑑別は重要であるが,後者の50%で心基部後側壁に造影遅延効果を認めることは重要である253).

肥大型心筋症または肥大型心筋症が疑われる患者 の病態把握における CT・MRI の適応:

クラスⅠ 1. HCMが疑われるが,心エコー図の描出困難な患者

における形態,機能診断 2. 心尖部肥大型心筋症が疑われる患者における形態,

機能診断254)

クラスⅡ 1. 心尖部肥大を除くHCM患者における形態,機能

診断254)

 2. 遅延造影効果による陳旧性心筋梗塞および二次性心筋症の鑑別254)

 3.遅延造影効果による患者のリスク層別化

クラスⅢ 1.撮像時に呼吸・心電図同期の困難な患者

5 遺伝子診断

①遺伝子診断に当たって

 Seidmanらによる肥大型心筋症における心筋βミオシン重鎖遺伝子点突然変異の発見以来,心筋症での原因遺伝子の報告が世界各地で行われている255).現在では,すべての肥大型心筋症の2/3で原因遺伝子の特定が可能である 19)-20),27),256).しかし,遺伝子異常を有しながら発症しない例や臨床像との関連が少ない場合も多い.心筋症では遺伝子異常に加え,免疫異常やウイルス感染,さらに修飾遺伝子や環境因子などの影響も指摘されており,複合的に発症する可能性が予想されている . 特定心筋症を除き,心筋症における遺伝子解析は研究段階の部分が多く,倫理的問題もあり臨床では日常的には行われない.このため,疾患につながる遺伝情報を取得するにあたっては,検査対象者本人の自己決定権,プライバシーの保護,医療機関での守秘義務など,基本的人権に関与する事態に慎重に対応することが強く指示されている257)-262). 2003年,本邦の遺伝医学関連10学会および研究会は,診療行為として位置づけられる遺伝学的検査に関する統一したガイドライン「遺伝学的検査に関するガイドライン」を提案した257).このガイドラインの中では,遺伝学的検査を行う際には事前に“遺伝カウンセリング”を行うことが必須であることが明記され,このことは他の

ガイドラインでも同様に扱われ258)-262),遺伝カウンセリングの重要性が以前にも増して重視されている.また,当然十分なインフォームド・コンセントが必要であることは大前提であり,さらに,遺伝情報が最高度の個人情報であることから,その扱いについては極めて厳格な規則のもと,厳重に管理されることが必須とされている.これを受けて日本循環器学会でも「心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン」(本学会ガイドライン)を作成した263).したがって,肥大型心筋症の遺伝子診断に当たっては,本学会ガイドライン,特にその前文を熟読しておくことが必要である.

②疾患遺伝子の種類と疾患遺伝子座

 HCMの病因は,明らかな家族歴を有する患者の約半数,家族歴がないか不明な患者の約15%で,サルコメア構成要素等をコードする遺伝子のいずれかに変異が検出され(表4),これらの蛋白の異常がHCMの原因になり得ることが判明している19)-20),27),264).

③家族性肥大型心筋症

 肥大型心筋症の約半数は常染色体優性遺伝の家族内発症であり,このような家族性肥大型心筋症は心筋サルコメア疾患と捉えられている.家族性肥大型心筋症の主な遺伝子異常には,心筋βミオシン重鎖遺伝子(MYH7),心筋ミオシン結合蛋白C遺伝子(MYBPC3),トロポニンT遺伝子(TNNT2)が挙げられ,16を超える遺伝子の900種以上の変異が報告されている48),255).心筋βミオシン重鎖遺伝子(MYH7),心筋ミオシン結合蛋白C遺伝子(MYBPC3)の2者で約半数を占めている 19)-20),27),256).また,タイチンの変異も報告されている265)[レベルC].代表的なものを表4に示す266).心筋βミオシン重鎖遺伝子(MYH7)においては変異アミノ酸の荷電変化や疎水性が予後と関連するとの報告があり,今後各遺伝子変異と予後の関係が明らかにされていくと考えられる 267)

[レベルC].さらに,修飾因子として,重症度や突然死のリスクと関連する遺伝子座の特定もすすめられている268)

[レベルC].

④疾患遺伝子異常の検出法

 PCR/RT-PCRダイレクトシークエンス法が用いられる.1)家系内集積があり疾患遺伝子検索が希望される場合 1家系で多くの患者がみられ,疾患遺伝子が判明していない場合は,これまでに判明している疾患遺伝子の近

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

傍の遺伝子多型を用いて,まず,疾患遺伝子の同定から始める. HCMではすでに16種類以上の疾患遺伝子(表3)が特定されているので,疾患候補遺伝子から順を追ってスクリーニングを行う.2) 家族歴が不明または家系内保因者の遺伝子異常が不明の場合 家族歴が明らかでない場合,または家族歴はあるが家系の他の構成員のDNAが得られていない場合には,発端者に対して疾患遺伝子のスクリーニングを行う.HCMでは人種ごと,家系ごとに疾患遺伝子の変異部位が異なっている場合が多く,孤発性変異が確認される家系もある.

肥大型心筋症における遺伝子診断の適応

クラスⅠ◦家族性で表現型より遺伝子型が推測できる場合 〈遺伝子検索による遺伝子異常確定の可能性が高い〉 1. 家族性HCMで閉塞性,非閉塞性の場合,βミオ

シン重鎖遺伝子の検索 2.D-HCMの場合,トロポニンT遺伝子の検索 3. 次に,頻度の多い心筋ミオシン結合蛋白C遺伝子

の検索を行う 4. 上記の3つの遺伝子でも遺伝子異常が確認できな

かったときには,検索可能な環境の場合のみ,上記の3つの遺伝子以外の疾患遺伝子の検索が推奨される

クラスⅡ◦ 家族性であるが表現型から遺伝子型が予測できない場合◦孤発性でも表現型から遺伝子型が推測される場合 〈遺伝子検索による遺伝子異常確定の可能性は不確実〉 1. βミオシン重鎖遺伝子,心筋ミオシン結合蛋白C

遺伝子,トロポニンT遺伝子の検索 2. 上記の3つの遺伝子でも遺伝子異常が確認できな

かった場合,検索可能な環境の場合のみ,上記の3つの遺伝子以外の疾患遺伝子の検索が推奨される

クラスⅢ:◦孤発性で表現型から遺伝子型が推測できない症例

⑤特定心筋症

 ここでは主に「肥大型」となる代表的疾患のみを挙げ

た(表5).詳細に関しては,日本循環器学会「心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン」ないしそれぞれの文献を参照されたい.1)心Fabry病 Fabry病はα -galactosidaseAの遺伝子(GLA)異常による当該酵素活性低下により生じ,糖脂質代謝異常で,globotriaosylceramideや galabiosylceramide が血管内膜,結合織,心臓,腎臓などに蓄積する.このため,四肢疼痛,アンギオテラトーマ,関節痛,蛋白尿,角膜混濁などを現す.心Fabry病はFabry病の一病型(亜型)で全身症状がなく心異常のみを合併し,心臓の細胞にスフィンゴ糖脂質が蓄積し,肥大型心筋症様病態を来たす269).僧帽弁逸脱・閉鎖不全,大動脈弁閉鎖不全なども見る. 本遺伝子(GLA)がXq22領域に存在するため,X染色体劣性の遺伝形式をとる.女性保因者(ヘテロ接合体)では酵素活性低下が確認されないため,家族歴も参考となる.現在まで11個以上のミスセンス変異が報告されている269)-272)[レベルB]. 根本治療のひとつと考えられる遺伝子組み換えヒトα -galactosidase A酵素蛋白を用いた酵素補充療法が開発され,我が国においては2004年4月から一般臨床応用が可能となった.心病変に関しては初期の病変に対する有用性が報告されている[レベルB].進行した心病変に対する有用性はいまだ十分に確認されていない.2)糖原病 糖原病Ⅱ型(Pompe病)(acid maltase欠損:17q21- q23),Ⅲa型(debrancher enzyme欠損:1p21),Ⅲb型(debrancher enzyme欠損:1p21)などにおいて肥大心筋症様の病態をとる273)[レベルB].Pompe病では,早期からの酵素補充療法が有用である[レベルB]. Danon病は,LAMP-2遺伝子変異のよる解糖系酵素が正常なリソソーム性糖原病である.X連鎖性優性遺伝で,男性は,ミオパチー,精神遅滞,心筋症が3主徴で,女性は主に心筋症のみを呈する.発症は10歳代でミオパチーが軽症であるため,しばしば肥大型心筋症様の心筋肥大で発見される274)[レベルC].3)ムコ多糖症  常染色体劣性遺伝であり,弁膜症が主体であるが,左室収縮能低下や肥大型心筋症様の病態を認める場合もある.Hurler症候群(MPSⅠ:α -イズロニダーゼ欠損症),Sanfilippo症候群(MPSⅢ:ヘパラン -N-サルファターゼ(A型),α -N-アセチルグルコサミニダーゼ(B型),アセチルCoA:α -グルコサミニドアセチル転移酵素(C型),N-アセチルグルコサミン6-サルファターゼ(D型)

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

の4種の酵素欠損),Morquio症候群(MPS:ガラクトース6-サルファターゼ(A型),β -ガラクトシダーゼ(B型)の2種の酵素欠損),Maroteaux-Lamy症候群(MPSⅣ:N-アセチルガラクトサミン4-サルファターゼ欠損),Sly病(MPSⅦ:β -グルクロニダーゼ欠損症)が報告されている275)[レベルB].原因遺伝子が単離されており,遺伝子診断は患者・保因者・出生前診断のすべてに適用できる.4)Noonan症候群 この50%は12q24.1の領域のプロテインチロシンリン酸化酵素遺伝子(PTPN11)の変異による.肥大型心筋症様の病態をとる場合が多い276)[レベルB].RAF1遺伝子変異のある症例では肥大型心筋症の発症率が高いという報告もある 267)[レベルC].5)Left ventricular noncompaction 心筋緻密化障害 心室壁の網目状の肉柱形成と深い間隙を形態的特徴とする心筋症であり,典型例は新生児期に心不全発症し,心移植の対象となる疾患である.しかし,近年,年長児や成人例も多く報告されるようになり,心不全,不整脈,塞栓症の合併が特徴的で,長期間無症状のものから突然死するものまで,臨床経過は多様であることが分かってきた277),278).原因遺伝子は,新生児乳児例では,TAZ遺伝子異常が報告され,Barth症候群とallelicな疾患と報告されていたが,最近,小児や成人例では,LBD3遺伝子やサルコメア遺伝子異常が高率に認められることが報告されている279),280). 最近のAHA分類では,遺伝的要素の強いprimary cardiomyopathyに分類されている(図1)

3 診断のフローチャート

 HCM の診断にあたっては,病歴や身体所見から心臓カテーテル検査や心内膜心筋生検所見まで,様々な質の異なる情報を駆使して行うが,心肥大・拡張機能低下173),左室流出路狭窄281),不整脈152)の3つの病態に留意することが重要である.この過程で心エコー図検査は豊富な情報を提供するので,これを軸にするが,最初に HCM を疑うところから心エコー図検査,さらに病態把握や重症度評価を目的として行う心臓カテーテル検査を含めた精密検査まで,様々な診断上のステップが存在する.HCM 診断の以下のようなステップごとのフローチャートを示す(図7).1.ステップ 1 : 自覚症状からHCMを疑うまで-非循環

器専門医も含めた一般外来のレベル2.ステップ 2 : 心エコー図検査でHCMと診断するまで

-循環器専門外来のレベル3.ステップ 3 : 病態把握,重症度判定を目的とした精密

検査-入院も含めた精査のレベル 病因に関する検査では,肥大型心筋症様の心肥大を呈する疾患の中には,特別な治療法が奏効する可能性のあるものが存在するため鑑別が重要である.

4 小児における肥大型心筋症の診断

①発見ないし疑診断のきっかけ

 無症状の場合,小学校および中学校入学時に全員に心臓検診があり,心電図異常にて偶然本症が発見される.失神や胸痛による受診,心聴診上の異常,他の理由による心電図記録ないし胸部X線などによって本症が疑われることもある.胸部X線は本症の診断特に初期診断のきっかけとしての役割は少ない. 学校心臓検診では,予診表に,胸痛,失神の既往がある場合には,心電図が正常でも二次検診に呼び,既往症の詳細および家族歴を聞く.胸痛や失神が運動と関連している場合,家族歴に突然死がある場合には,さらに検査を行う. 検診の心電図は,年齢層ごとに正常282)と比較する.QRS波高電位差,左房ないし右房負荷,ST・T波異常,Q波異常などがあれば,HCMの疑いをもって二次検診さらに専門的診断へと進む.

②小児における診断のフローチャート

 HCMの診断の流れ(図8)を示す.

③二次性心筋症の鑑別

 成人に比べ小児における肥大型心筋症様の心筋肥大の原因は多様である283).表9に小児で遭遇する主な二次性心筋症を例示する269),283)-295).このうち,ミトコンドリア心筋症と糖原病は,AHA分類では遺伝的要素の強いprimary cardiomyopathyに分類されている291).Pompe病と心Fabry病は,酵素補充療法が可能であり,早期診断が望まれる.また,Danon病は10歳代で発症し,ミオパチーが軽症であるため見逃されている可能性が高い.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

自覚症状

身体所見

一般検査所見

推定される病態

頚静脈波での a波増高心尖拍動の増大心音:Ⅳ音の亢進心雑音:収縮期雑音(肺胞性クラックル)

心肥大拡張機能低下

左室流出路狭窄 不整脈

心電図: 左房負荷  左室肥大 高電位 異常 Q波 ST-T変化 巨大陰性 T波 調律の異常  伝導障害胸部 X線写真 正常または軽度心拡大 上肺野血管陰影増強

脈拍・頚動脈拍動:     2峰性脈波心雑音:     左室流出路     駆出性雑音

詳細な病歴聴取

心臓超音波検査

家族歴,既往歴(検診歴),職業歴,嗜好・常用薬

ステップ1:自覚症状から肥大型心筋症を疑うまで

ステップ 2:心臓超音波検査で肥大型心筋症と診断するまで

心臓超音波・ドップラー検査

息切れ呼吸困難

肺うっ血・左房圧上昇に起因するか?

左室流出路閉塞に起因するか?

不整脈に起因するか?

心筋虚血に 起因するか?

収縮機能不全を示唆する所見がないか?

心肥大を来たす他の疾患を示唆する所見がないか?

失神めまい

動悸脈の乱れ

胸部不快感胸痛

心悸亢進

疲労感

症状なし

鑑別診断上のポイント

左室壁運動正常

左室壁厚増大・非対称性肥大部位の同定

心臓超音波検査における鑑別ポイント

弁膜の異常

弁膜疾患による心肥大

左室壁運動・壁厚正常

左室拡大・壁運動低下

拡張型心筋症DCM

拡張相肥大型心筋症

DHCM

“心電図異常”拘束型心筋症

RCM

不整脈源性右室心筋症ARVC

左室内狭窄の有無と部位の同定・左室内加速血流・SAM      (僧帽弁逆流)

肥大型心筋症HCM

左室拡張機能障害・左室流入血流速波形 ・弛緩障害型パターン ・偽正常化パターン ・拘束型パターン・組織ドプラー法による僧帽弁輪 部拡張早期速度      (右室収縮期圧推定)

図7 各ステップごとの診断フローチャート

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

Ⅲ 治療

1 日常生活の管理

1 運動 競技スポーツは,症状や左室流出路圧較差の有無に関わらず,一部の軽いスポーツ(ビリヤード,ボーリング,ゴルフなど)を除き,禁止する296),297).失神の既往や突然死の家族歴などリスクの高い場合は殊に厳重に注意する(表7)44),296).ただし 30 歳以上で,表 5 の突然死のリスクが認められない患者では,個々の判断で競技に参加できる可能性はある.なお,左室内圧較差は運動中よ

ステップ 3:病態把握,重症度評価を目的とした精密検査

左室形態(壁厚部位)の評価・Moron分類の各型・心尖部肥大型

心臓MR・左室形態の評価・心筋傷害の評価 (Gd遅延造影)

左室内狭窄の評価・部位・程度・僧帽弁の状態

心電図上の QT時間,QT dispersion加算平均心電図による LP

内分泌学的・免疫学的検査

心臓超音波・ドップラー検査(経胸壁,経食道)

左室拡張機能の評価

不整脈評価

ホルター心電図

運動負荷試験

心臓カテーテル検査

心内圧測定,心室造影

心筋シンチグラム

冠動脈造影

詳細な家族歴調査

遺伝子検査 *

心筋生検

心筋虚血の評価

電気生理学的検査

病因に関する検査

図8 小児期肥大型心筋症診断のフローチャート

疑い

確定的可能性あり

種々のリスクがある

所見がある

所見が無い

運動負荷テスト,核医学検査,ホルター心電図

否定

否定的

終了

終了随時受診

管理・治療

心カテーテル検査 オプション  心内膜心筋生検  遺伝子検索

家族歴,症状,理学所見心電図,胸部レ線,心エコー図検査

学校検診一般受診

失神・胸痛心電図所見S34

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

りも運動直後に高くなるといわれ,失神や突然死は,運動中のみならずむしろ運動直後に見られるので注意する298). レクリエーションとしては,テニス(ダブルス),ハイキングなどの中等度の運動や,ゴルフ,スケートなどの軽度の運動は安定した状態であれば許可してもよい299).

2 性生活 性交時には心拍数,血圧とも上昇し,運動の二重積は約3倍に達し300),Master single step test に匹敵するので,HOCMではあらかじめ十分な内科治療を受け,安定した状態であることが前提となる301),302). なお,シルデナフィルクエン酸塩(商品名バイアグラ)の使用に関するConsensus Document303)は,冠動脈疾患

を対象とし,HCMについてのまとまったエビデンスは見あたらない.しかし,心室性期外収縮の増加や血管拡張作用による左室流出路圧較差の上昇にともなう失神304),動悸を伴う心房細動305)などが報告され,投与を避けるのが望ましい. またバルデナフィル塩酸塩水和物(商品名レビドラ),タダラフィル(商品名シアリス) の使用に関してトラブルの報告はないが,塩酸シルデナフィルと同様の注意が必要である302).

3 妊娠 若年の女性患者では妊娠・出産に際して,血行動態は変化するため常に潜在的なリスクをともなうことに留意

表9  小児で鑑別すべき二次性心筋症疾  患  名 機 序 ・ 全 身 症 状 心  症  状

Noonan 症候群

特異な顔貌,低身長,翼状頚などTurner 症候群と類似の表現型をとる.染色体は正常であるが,12q24 への連鎖の報告がある.

異形成弁による肺動脈弁狭窄,肥大型心筋症特に中隔肥厚が強い型,心房中隔欠損などがある.

LEOPARD 症候群(multiple lentigines syndrome)

首と体幹部の多発性の黒子,軽度の発育不全,眼球隔離,目立つ耳介,中等度の感音性唖,性器異常などの症候群である.Noonan 症候群との類似性も指摘されている.

軽度肺動脈狭窄,肥大型心筋症特に閉塞型,PQ 時間延長をみる.

Pompe 病

酸性α -glucosidase 欠損のため,グリコーゲンが全身に蓄積する疾患で,乳児型がPompe 病と呼ばれる.乳児期前半に発症し,筋力低下のためfrog position をとる.予後不良で呼吸困難や心不全で死亡する.酵素補充療法が有効である.

著しい心筋肥厚があり,左室はやや拡大する.心電図は特徴的で著しい高電位差でPQ 時間が短い.

Danon 病LAMP-2遺伝子変異による解糖系酵素が正常なリソソーム性糖原病.X連鎖性優性遺伝で、男性ミオパチー、精神遅滞、心筋症が3主徴.

筋細胞内の特異な自己貪食空砲を特徴とする.発症は10歳代でミオパチーが軽症であるため,しばしば心筋症で発見される.

Fabry 病

α -galactosidase 欠損による伴性劣性遺伝の糖脂質 代 謝 異 常 で,globotriaosylceramide やgalabiosylceramide が血管内膜,結合織、心臓、腎臓などに蓄積する.Xq22 上に原因遺伝子座がある.小児期以降,四肢疼痛,アンギオテラトーマ,関節痛,蛋白尿,角膜混濁などを現す.酵素補充療法が行われている.

肥大型心筋症が主で,僧帽弁逸脱・閉鎖不全,大動脈弁閉鎖不全なども見る.全身症状がなく心異常だけの例があり,心Fabry 病と呼ばれる(心Fabry 病は通常は中年以降の発症となる).

Friedreich's ataxia 進行性家族性の延髄小脳失調 肥大型心筋症を高頻度に合併する糖尿病母体児(IDM:Infant of Diabetic Mother)

母体の高血糖により胎児高インスリン血症が起こり,蛋白合成が亢進して心筋細胞肥大が生じる.

5~30%に心室中隔の非対称性肥厚(ASH)を合併する.流出路狭窄が血行動態的障害となることがある.通常生後1 週間くらいで消失する.

von Recklinghausen 病染色体17q11.2 上のNF1 変異による疾患で,近年はneurofibromatosis 1 と呼ばれ,カフェ・オ・レ斑,多発神経線維腫がある.

肺動脈狭窄,ファロー四徴などが主であるが,肥大型心筋症合併の報告がある.

双胎間輸血症候群(twin-to-twin transfusion syndrome:TTTS)

一絨毛膜性双胎で両児の胎盤内血管の吻合によって,一児から他児へ血液の移行が起こる.

受血児では容量負荷から心筋肥厚が起こり,心不全となる.胎内死亡も多く,出生しても治療に抵抗して死亡率が極めて高い.

先天性筋緊張性ジストロフィー

骨格筋萎縮,筋力低下,知能低下,白内障などを有する常染色体性優性遺伝疾患で,染色体19q13.3 上のmyotonin protein kinase をコードする遺伝子のトリプルリピートによる.

伝導系異常,軸偏位など知られている.小児例を分析した黒崎によれば,心エコー検査を行った11 例中7 例にASH があり,うち1 例では肥大型心筋症であった.

ミトコンドリア病ミトコンドリア遺伝子異常により,骨格筋や心筋に形態学的および機能異常を呈する.電顕ではミトコンドリア形態異常が認められる.

心室壁肥厚をみる.

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

する.しかしほとんどの低リスクの女性患者は安全に妊娠・出産が可能である44),306),307). 左室流出路圧較差やMRは増強し,心不全症状の新たな出現や増悪を伴う308),309).また,胎児仮死を惹起する上室性頻拍,血行動態の悪化を伴う心房細動,さらに心室性不整脈や妊婦の突然死310),利尿薬投与が必要な呼吸困難の出現やβ遮断薬による低出生体重児や胎児の徐脈311)などの報告がある.また,重症の不整脈例では,妊娠後期に DDD ペースメーカーを植え込んだり312),ICD を植え込んでの出産の例もある313).一般には経膣分娩可能であるが,多量の出血や血管拡張性薬剤・交感神経刺激性薬剤の投与,子宮収縮薬の使用,硬膜外麻酔や脊髄麻酔の際に母体・胎児の変化に十分注意しなければならない. 出産時には心エコー図・ドプラ法による非侵襲的血行動態のモニタリングが有用である314).また,出産,産褥期には,感染性心内膜炎の予防のため,抗菌薬の投与が考慮されるべきである.

4 飲酒と喫煙 飲酒のHCMへの影響に関する明らかなエビデンスは現在のところ見あたらない.しかし,HOCMにおいて,少量のエタノール(40%エタノール50mL)の摂取により,収縮期血圧の低下,SAMの増強,左室流出路圧較差の上昇が認められ315),さらにアルコールは,交感神経系の亢進を来たし,心拍数を増加させるので,HCM全般に好ましくないと考えられる.喫煙のHCMへの影響についても明らかなエビデンスはないが,HCM で喫煙が冠スパズムの引き金になるという115).

5 感染予防 特に閉塞性では感染性心内膜炎の罹患率が高くなり,抗菌薬の予防内服が必要である316,317).

6 塞栓症の予防 高齢者のみならず,若年者においても心原性塞栓症を起こすことがある.特に心房細動などを合併する場合は,抗凝固薬の投与が必要であり,抗血小板薬を併用することもある.心房細動を合併しているあるいは心房細動の既往がある群において脳および末梢動脈塞栓は年間2.5%に見られ,ワルファリン投与は塞栓症の頻度を減少させる318).

7 遺伝カウンセリング 臨床遺伝学に精通した遺伝カウンセラーなどによる,

患者本人および家族を含めた遺伝相談が必要な場合がある319),320).患者と接する個々の臨床医の遺伝学的知識が必要であるが,臨床遺伝学専門医や遺伝カウンセラーなどこの分野の我が国の体制は未だ十分とはいえず,今後早急に整備される必要がある. なお,日本循環器学会学術委員会作成「心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン」[Circ J(Suppl)2006],遺伝学的検査に対する関係学会のガイドライン,日本医学会などによる指針,見解などがインターネット上のホームページにも収載されており,参照されたい(Ⅱ -2-5遺伝子診断の項を参照).

2 薬物療法

 (以下,表10薬剤の一覧表参照)

1 β遮断薬 β遮断薬はHCMの自覚症状を改善する対症療法と考えられるが確立したエビデンスは多くない321).少なくともβ遮断薬の使用によりHCM患者の左室心筋障害を抑制(拡張相肥大型心筋症への移行)することはできず,生命予後の延長に結びつくエビデンスはない85).過収縮が左室内圧較差の増加に関連しているHOCM患者へのβ遮断薬の使用は非常に有効であり今日でも第一選択薬として問題はない.

①作用機序

 心筋収縮力の低下(陰性変力作用)と心拍数の減少(陰性変時作用)による.1)拡張機能に対する効果 HCM患者では弛緩障害と左室コンプライアンスの低下が特徴である.HCM患者の左室拡張障害には細胞内Ca2+濃度の上昇が密接に関連していること322),また細胞内Ca2+濃度の上昇そのものが心肥大の程度とも密接に関連していること323),324)が明らかになっている.したがって細胞内Ca2+濃度の抑制作用のないβ遮断薬には左室拡張機能の改善は期待しがたい.事実,多くの臨床研究でactive suctionに相当する時相の改善効果の報告はない.しかし,β遮断薬による心拍数の減少作用は拡張時間を延長させることで左室拡張末期圧の上昇を抑制することが確認されている325),326).したがって,頻拍傾向のHCM患者では使用効果が期待できる.2)左室流出路狭窄に対する効果 β遮断薬は陰性変力作用により左室内圧較差を減少さ

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

表10  薬剤の一覧表海外での報告 本邦での一日投与量

β遮断薬aISA

プロプラノロールブフェトロールブプラノロールブクモロールベフノロール

Ⅰ類 2 群 -

120⊖160 mg/day

50 mg/day

60⊖120 mg/day15 mg/day30⊖60 mg/day15⊖30 mg/day30⊖90 mg/day

ナドロールチモロールチリソロール

4 群 -40⊖80 mg/day20 mg/day

30⊖60 mg/day10⊖20 mg/day10⊖20 mg/day

メトプロロールアテノロールビソプロロールベタキソロール

Ⅱ類 4 群 -

150⊖300 mg/day50⊖100 mg/day5⊖10 mg/day5⊖80 mg/day

60⊖120 mg/day50⊖100 mg/day5 mg/day2.5⊖20 mg/day

カルシウム拮抗薬b

ベラパミル 240 mg/day360⊖480 mg/day

120⊖240 mg/day

ジルチアゼム なし 90⊖180 mg/dayニフェジピン※ 10 mg(舌下) 10⊖20 mg(舌下)抗不整脈薬cジソピラミドシベンゾリン

600⊖800 mg/day260⊖390 mg/day

300 mg/day(*)300 mg/day(*)

アンジオテンシン変換酵素阻害薬d

エナラプリル

SOLVD初期量 5 mg/day目 標 20 mg/day実際使用量Prevention trial 16.7 mg/dayTreatment trial 16.6 mg/dayCONSENSUS初期量 10 mg/day目 標 20 mg/day,最大 40 mg/day実際の使用量18.4 mg/day

5⊖10 mg/day2.5 mg/day より開始

リシノプリル

ATLAS 初期量 2.5⊖5 mg/day目 標 低用量:2.5⊖5 mg/day 高用量:32.5⊖35 mg/day

5⊖10 mg/day腎障害・高齢者では2.5mg/day より開始

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬e

ロサルタン

ELITEⅡ初期量 12.5 mg/day目 標 50 mg/day実際の使用量 42.6 mg/day

25⊖100 mg/day

カンデサルタン

CHARM初期量:4 or 8 mg/day目 標:32 mg/day実際使用量:24 mg/dayARCH-J初期量:4 mg/day目 標:8 mg/day実際使用量:8 mg/day

4 mg/day(重症例では2 mg/day)より開始維持量:8 mg/day高血圧症:4~8 mg/day(最大12 mg/day)腎障害では2 mg/dayより開始

バルサルタンVal-HeFT目 標 320 mg/day実際の使用量 254 mg/day

40⊖80 mg/day(最大160 mg/day)

保険適応 a:高血圧,狭心症,頻脈性不整脈

b:ベラパミル:心筋梗塞,狭心症などの虚血性心疾患ジルチアゼム:高血圧,狭心症

c:ジソピラミド:頻脈性不整脈シベンゾリン:頻脈性不整脈(本剤は米国未発売)

(*):期外収縮,発作性頻拍に対する用量d:高血圧,心不全e:高血圧

エナラプリル~バルサルタンの項までは日循の慢性心不全ガイドライン(2010年改訂版)より引用※急激な血圧低下,反射性の頻脈などのため,舌下投与は推奨されない.

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

せ,全身倦怠感,めまい,失神発作などの自覚症状を改善することが知られている321).特に,過収縮気味で頻拍気味の患者に対する効果が著しい.頻拍を呈するHCM患者では心筋虚血の改善にもつながる.3)不整脈および突然死に対する効果 β遮断薬が失神やめまいなどの症状を改善するとの報告はあるが,突然死を減少させるとのエビデンスはない.また,不整脈に対して有効であったとする報告,無効であったとする報告があり一定ではない. HCM患者の失神時,ショック時の対処法を論じたものは少ない.昇圧薬やβ刺激薬はむしろ禁忌である.失神時のHCM患者にβ遮断薬の静脈注射が奏功した報告がある327).この患者は過収縮による一回拍出量の低下が失神の原因でありβ遮断薬の静脈投与で過収縮が抑制されたのが奏功の原因であった.

②β遮断薬の使い方

 β遮断薬はβ受容体サブタイプの選択性,内因性交感神経刺激作用(ISA)の有無,膜安定化作用(MSA)の有無,α遮断作用の有無により分類されている.α遮断作用や ISAを有しているものは適応とはならない.β1選択性は非選択性のどちらがより適しているかは現在のところは明らかではない.気管支喘息などの誘発などを考慮すればβ1選択性のβ遮断薬が無難であろう.また組織移行性の良いβ遮断薬の選択を考慮すれば水溶性より脂溶性β遮断薬が推奨される.HCM治療薬として左室内圧較差軽減作用,左室拡張機能改善効果,また左室肥大改善効果を有する薬剤328)が利用できる今日,副作用にのみ注意を払えばβ遮断薬の選択に神経質になる必要はない.

2 カルシウム拮抗薬 カルシウム拮抗薬は,特に無症状の患者に対して本剤を投与すべきか,あるいは本剤とβ遮断薬のどちらを優先して予防的に使用すべきかについて明確なコンセンサスは得られていない329).また,心臓突然死の予防効果については明確なエビデンスはない66).

①ベラパミル

 陰性変力作用,陰性変時作用を期待して用いられる44).1)拡張能障害に対する効果 ベラパミルは徐拍化による拡張機能の改善を目的として,β遮断薬により症状の改善がみられない例においても有用である66),329),330). ベラパミルは心筋細胞内カルシウム過負荷を抑制し,

弛緩特性を改善し322),弛緩異常の原因となる拡張期のasynchronousな壁運動に対し331),左室局所の拡張期 asynchronous motion を改善する73),332).2)左室流出路狭窄に対する効果 β遮断薬による心室内圧較差の減少が不十分な症例でも,ベラパミルあるいはジルチアゼムが有効な場合がある44).カルシウム拮抗薬は陰性変力作用により,左室流出路の圧較差を軽減させるが,一方で,末梢血管拡張作用により左室―大動脈間の圧較差を悪化させる恐れがあり329),まれに心原性ショック,肺うっ血,肺水腫や失神発作を来たす66),333),334).したがって,副作用を十分認識し,強い血管拡張作用を有するジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬は使用すべきではない.3)不整脈に対する効果 慢性心房細動の心拍数のコントロール66),157),199),331)や頻拍性不整脈335)に対してベラパミルは有効である.4)心筋虚血に対する効果 HCM では明らかな冠動脈狭窄がなくても運動負荷により一過性に心筋灌流低下がみられ99),ベラパミルは拡張早期の冠血流改善により61),336),337),運動負荷時の心筋虚血を改善させる332).さらにベラパミルは冠拡張作用,冠スパズムの抑制作用を有し338),肥大心の心内膜下虚血を改善させる333),339).しかし,ベラパミルの陰性変力作用により収縮性を悪化させ,心不全を招来する可能性もあり注意を要する66).

②ジルチアゼム

 ジルチアゼムは,静脈内投与339),340),経口投与341,342)

ともに,左室等容拡張時間の短縮,最大左室充満速度(PFR)増加,左室圧下降の時定数(Tau)の改善など,拡張機能を改善させ,ベラパミルと同等の自覚症状と運動耐容能の改善343),心筋虚血の改善344)が認められる.一方で,HOCM では,時に血管拡張作用により左室流出路圧較差の増大を来たし340),左室拡張末期圧の上昇から左房負荷を増強させ,心房細動を誘発したり345),左室弛緩は改善しないとする報告346)もみられる.

③ニフェジピン

 以前はニフェジピンの左室肥大退縮効果347),血行動態の改善効果348)が報告されたが,ニフェジピンの舌下により末梢血管拡張に伴う左室流出路圧較差の増大349,350),肺動脈楔入圧の上昇,収縮期血圧の低下349),左室拡張末期圧の上昇351)等,血行動態が悪化する症例の報告が相次ぎ,ジヒドロピリジン系の HCM に対する有用性は乏しいと考えられている.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

3 抗不整脈薬

①閉塞性肥大型心筋症(HOCM)における効果

 Ⅰa群抗不整脈薬(ナトリウムチャンネル遮断薬)であるジソピラミドは強い陰性変力作用を有し,SAMや左室流出路圧較差,僧帽弁逆流を軽減することから症状を改善すると報告されている352)-354).その際に,左室弛緩時定数は短縮,左室スティフネス係数は低下して左室拡張機能の改善が認められ,肺動脈楔入圧および左室拡張末期圧の低下が認められる355).多施設臨床試験による長期成績でも,圧較差および自覚症状の軽減効果が3年以上持続することが示され,心臓死には影響しなかった356).なお,ジソピラミドは抗コリン作用を有することから口渇,便秘や排尿障害などを引き起こすことがある.さらに,房室伝導を促進することから心房細動が出現した際に心室レートが増すため,β遮断薬の併用が望ましい.また,ジソピラミドはナトリウムチャネル遮断作用のみならずカリウムチャネル遮断作用も有するため,過量となるとQT延長から多形性心室頻拍を来たす可能性があり,QT 間隔についてモニタリングが必要である44).他のⅠa群抗不整脈薬については,我が国からジソピラミドより抗コリン作用による副作用が少なく,カルシウムチャンネル遮断作用も有するシベンゾリンの左室流出路圧較差軽減効果が報告されている126). また急性効果のみの報告ではあるが,Ⅰc群抗不整脈薬であるピルジカイニドによる左室流出路圧較差軽減効果も報告されている357).

②非閉塞性肥大型心筋症における効果

 非閉塞性肥大型心筋症におけるジソピラミドの作用については,左室収縮性の低下,左室拡張機能の悪化,心拍出量の低下,肺動脈楔入圧や左室拡張末期圧の上昇などを招いたり355),心房細動時に心室レートを増加させ,血行動態のおそれもあるといわれていたが,最近HOCMと同様に,ジソピラミド358)やシベンゾリン359)の治療効果を認めるという報告がある. なお,HCMに合併する不整脈に対する治療アプローチについては別項(2-5 合併する不整脈の管理)で述べる.

4 アンジオテンシ変換酵素阻害薬・アンジオテンシⅡ受容体拮抗薬

 HCMでは,組織中のレニンーアンジオテンシン系を介した,心筋線維化や心筋細胞肥大による心筋再構築の

進展が病態と深くかかわり,アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)やアンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)の,レニンーアンジオテンシン系を抑制する効果が期待される.一方,高齢者でHOCM類似の高血圧患者においては,ACEI は禁忌である360).

①非閉塞性肥大型心筋症に対する効果

 ヒトHCMで確認された心筋トロポニンTの点変異(Arg92Gln)を導入した HCM モデルマウスにおいて,ARB の投与が心筋線維化を抑制する361).また,AⅡタイプ1受容体の遺伝子多型(1166 の位置における adenine/cytosine の置換)が,臨床上の心肥大の程度の差異に関連する362).したがって,非閉塞性肥大型心筋症では,血管拡張薬の使用が禁忌とならないため,ACEIやARBは,非閉塞性肥大型心筋症に対する治療手段となりうる可能性がある.また,拡張相に移行した非閉塞性肥大型心筋症では拡張型心筋症と類似の病態を呈し,心不全に対しACEI や ARB が選択薬となりうる44).

②閉塞性肥大型心筋症(HOCM)に対する効果

 HOCM では,ACEI や ARB のように血管拡張作用を有する薬剤は左室流出路狭窄を増強させる可能性が高いことから,これらの薬剤の使用は望ましくない.

5 合併する不整脈の管理1)心房細動 心房細動は肥大型心筋症の約20%に伴い363),364),年率2%で頻度が増加するといわれる365).左房拡大が一因とされ,高度の心筋肥大を有する症例に多い159),366). 肥大型心筋症に伴う心房細動治療の目的は,心拍数のコントロールと脳卒中の予防,生活の質(Quality of life: QOL)の改善であり,洞調律維持も含まれる.頻脈性心房細動は血行動態を悪化させ,息切れや胸痛,失神などを引き起こす. 心拍数コントロールとしては,カルシウム拮抗薬やβ遮断薬で心拍数をコントロールすることにより,血行動態を保ち,症状の改善が得られる157),199),366),367).ただしHOCMにおいては,ジギタリスはその狭窄度を強めることから禁忌である.なお,限られた例に対しては,房室結節アブレーションとペースメーカ植込みが有用であるかもしれない. 肥大型心筋症では,心房細動を合併すると脳梗塞のリスクが8倍になると報告されている159).発作性,持続性あるいは永続性の心房細動を伴う肥大型心筋症患者には,経口抗凝固薬を禁忌でない限り使用すべきである368).

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

 心房細動は肥大型心筋症の臨床転帰に係わる因子である159,368). 洞調律化のために十分な抗凝固療法,あるいは心内血栓がないことを確認したうえで薬理学的あるいは電気的除細動を行う.また,心房細動を合併すると血行動態の破綻を来たすことがあり157),159),369),その際には早急な心拍数コントロールあるいは除細動を行う. 心房細動の予防には,アミオダロンが最も効果が高 い152),157),370)-372).Ⅰa群抗不整脈薬であるジソピラミド+β遮断薬の併用は左室内圧較差軽減効果もあり,HOCM例では有用である373).他の左室内圧較差軽減効果を示すⅠa群,Ⅰc群抗不整脈薬でも同様な効果が期待できるが,その心房細動予防効果および長期予後への効果は不明である.近年,心房細動に対するカテーテルアブレーション治療の有効性が報告されており,肥大型心筋症も症状やQOL改善に期待されている374)-376).ただ,左房径が大きな例や拡張障害の強い例は再発が多い.現在のところ,限られた例においてのみ適応を考慮する.2)心房粗動 薬物治療に関しては,心房細動に準ずる.非薬物療法としては,通常型心房粗動に対してカテーテルアブレーションを第一選択の治療として考慮する.3)発作性上室性頻拍 薬物治療として,停止にはベラパミルやジルチアゼムとなどカルシウム拮抗薬やATP製剤,Wolff-Parkinson-White(WPW)症候群合併例にはⅠa群,Ⅰc群抗不整脈薬あるいはアミオダロンを静脈内投与する.WPW症候群あるいは房室結節リエントリー性頻拍の予防には,カテーテルアブレーションの有効性が高い.4)突然死 肥大型心筋症に伴う突然死の発現頻度は1% /年あるいはそれ未満といわれ363),364),377),肥大型心筋症患者の死因のなかでは最も多いが,必ずしも突然死の危険性が高い患者は多くない.一般的に,突然死の危険性が高い例は若い症例(特に25歳未満)に多いが,中年以降も認められる.突然死の危険因子として,心停止,心室細動あるいは持続性心室頻拍からの蘇生例は,再発の危険性が高い(年率10%程度378))44).さらに突然死の危険因子として5つの危険因子が知られている44),379). 1) 肥大型心筋症に伴う突然死の家族歴(40~50歳未満),2)原因不明の失神,3)著明な左室肥大(≧30mm),4)ホルター心電図による非持続性心室頻拍,5)運動中の血圧異常反応であり,危険因子の数が増えるほど突然死の危険性も増すといわれ164),危険因子2つ以上で高度,1つでは中等度となる.なお,非持続性心室頻拍については,若年(30歳以下)では独立した危険因子になる

という報告もある380)が,単独では弱いとされる379).さらに,近年の研究から拡張相(D-HCM),左室心尖部の瘤形成(左室中部閉塞に伴うものを含む),左室流出路閉塞,MRIによる広い遅延造影像などが突然死の危険因子としての可能性を指摘されている379),381)-383)(表7). 一方,心房細動や電気生理学的検査による持続性心室頻拍・心室細動誘発の誘発性については,突然死の予測性に限界がある379),384).また,遺伝子変異についても臨床転帰との関連性について調べられてきているが,現時点では突然死の予測性はまだ確立していない385).β遮断薬やベラパミルが経験的に使用されているが,突然死予防効果の評価は定まっていない.アミオダロンは不整脈抑制効果があるものの突然死予防については限界がある150),363),369).リスクがある例についてはICDが最も有効である386)-388).

肥大型心筋症に合併する不整脈の薬物療法の適応

クラスⅠ 1. 心拍数が速く,血行動態に影響する心房細動,心

房粗動 2.発作性上室性頻拍 3. 症状のある突然死の危険因子を持った非持続性心

室頻拍 4.持続性心室頻拍

クラスⅡ  1.症状のある上室性あるいは心室性期外収縮 2. 無症状あるいは血行動態の安定した非持続性心室

頻拍

クラスⅢ 1. 無症状の上室性あるいは心室性期外収縮  2.無症状の徐脈

6 治療のフローチャート 薬物療法の目的は 1)生命予後の改善 2)症状の軽減 3)合併症の予防 にある331),389)-393).図9にHCM の治療のフローチャートを示す.症状の有無や,その程度,左室流出路狭窄の有無によって適切な治療法の選択が必要となる. HCM の治療においては無症状例をどのように扱うかが問題となるが,若年発症例や突然死のハイリスクグループとされる症例(表7)では,無症状であっても何らかの治療を講じる必要があると考えられている150),394),395).

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

① 無症状例(若年者あるいはハイリスクグループ ではない例)

 薬物療法の有効性について明らかなエビデンスはみられない389).

クラスⅠ なし

クラスⅡ β遮断薬,ベラパミル

②有症状例(軽度~中等度)

1)閉塞性肥大型心筋症 β遮断薬,陰性変力作用を有するカルシウム拮抗薬(ベラパミル,ジルチアゼム),Ⅰa 群の抗不整脈薬(ジソピラミド,シベンゾリン)が用いられる44),126),340),359),392),393).カルシウム拮抗薬は末梢血管拡張作用により,左室流出路圧較差を増大させるため,使用には注意を要す る349),392).

クラスⅠ

 β遮断薬 ベラパミル,ジルチアゼム

クラスⅡ注1

 ジソピラミド シベンゾリン

クラスⅢ 左室流出路に高度な狭窄を有する患者におけるジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬,陽性変力作用を有する薬剤2)非閉塞性肥大型心筋症 労作性呼吸困難や狭心痛のある例ではβ遮断薬,ベラパミルが有効である392).β遮断薬とベラパミルの併用,単剤のどちらがより有効かは明らかではない.

クラスⅠ β遮断薬 ベラパミル,ジルチアゼム

図9 肥大型心筋症の治療フローチャート

肥大型心筋症

自覚症状(-)不整脈(-)心機能正常

β遮断薬,カルシウム拮抗薬      +心不全例:ACE阻害薬,ARB,利尿薬

β遮断薬,カルシウム拮抗薬,ジソピラミド,シベンゾリン       +心不全例:ACE阻害薬,ARB,利尿薬

無投薬で経過観察 非閉塞性 閉塞性

ベラパミル(?)β遮断薬(?)

反応が良好であれば薬物療法を継続 心移植

外科療法,ペーシング植込み術,PTSMA

臨床的または遺伝学的に突然死のリスクが高い症例

アミオダロン 植込み型除細動器

心房細動 心房細動上室性頻拍WPW症候群

心室頻拍心室細動

抗不整脈薬(ジソピラミドアミオダロンなど)

抗凝固薬

(カテーテルアブレーション+ペースメーカ)

抗不整脈薬

カテーテルアブレーション

抗不整脈薬(ジソピラミドアミオダロンなど)

植込み型除細動器

不整脈(+)自覚症状(+)

注1  Ⅰ群抗不整脈薬のジソピラミド・シベンゾリンについては,現時点で大規模臨床試験のデータがないことを除けば,ClassⅠに準ずる.

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

③心不全例

1)閉塞性肥大型心筋症 高度な圧較差をともなう場合,β遮断薬やナトリウムチャンネル遮断薬を用い,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,アンジオテンシン受容体拮抗薬はむしろ禁忌である.薬物療法に抵抗性の場合には,非薬物療法を考慮する.

クラスⅠ 左室流出路狭窄例:β遮断薬,ベラパミル,ジルチアゼム 収縮能低下例:利尿薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬  拡張能低下例:β遮断薬,ベラパミル,ジルチアゼム

クラスⅡ 左室流出路狭窄例:シベンゾリン,ジソピラミド

クラスⅢ 高度収縮機能低下例における陰性変力作用を有する薬剤(少量のβ遮断薬は認容性があれば使用) 高度な圧較差をともなう症例におけるアンジオテンシン変換酵素阻害薬,アンジオテンシン受容体拮抗薬2)非閉塞性肥大型心筋症 心不全例や D-HCM では一般の心不全治療に準じる(詳細は「慢性心不全治療ガイドライン」を参照). 収縮能の低下している例においては,利尿薬,アンジオテンシン変換酵素阻害薬,アンジオテンシン受容体拮抗薬による治療をおこなう361),390),391).

クラスⅠ 拡張機能低下例:β遮断薬,ベラパミル,ジルチアゼム 収縮機能低下例:アンジオテンシン変換酵素阻害薬,アンジオテンシン受容体拮抗薬,利尿薬

クラスⅡ なし

クラスⅢ 高度収縮能低下例における陰性変力作用を有する薬剤(少量のβ遮断薬は認容性があれば使用する)

④ハイリスクグループ

 ハイリスクのHCM(表7)では突然死の予防のため,症状の有無にかかわらず,積極的に治療をおこなうべきである.非持続性あるいは持続性心室性頻拍症に対してはアミオダロンや ICDが適応となる395).

肥大型心筋症の突然死の予防に関する諸治療の 位置付け 

クラスⅠ 1.心停止蘇生例に対する ICD植込み術

クラスⅡ 1. 突然死の一次予防目的の ICD植込み術ないしアミ

オダロンの投与

⑤不整脈

 (Ⅲ -2-5 合併する不整脈の管理の項参照)クラスⅠ β遮断薬,ベラパミル,ジルチアゼム,Ⅰa群,Ⅰc群の抗不整脈薬,アミオダロン 心房細動例ではワーファリンの投与

(*)失神や著しい QOL の低下を伴う薬物療法抵抗性の頻脈性心房細動,Ⅰ型心房粗動,発作性上室性頻拍,持続性心室頻拍などはカテーテルアブレーションの適応となり得る.(「不整脈の非薬物療法ガイドライン」参照)

3 非薬物療法

1 手術(心筋切開術,心筋切除術,僧帽弁手術)

①手術手技の選択

 現在,非薬物療法には 1)外科治療,2)DDD ペースメーカ,3)PTSMA があるが,このうち最も歴史が古く,治療成績が確立しているのは外科治療で,心筋切開術,心筋切除術および僧帽弁手術が行われ396),左室流出路の解剖学的な拡大と血行動態上の障害となるSAMの解除を目的に行う. 僧帽弁手術を必要とするのは,1)MR の原因が SAM ではなく僧帽弁自体の器質的変化による場合,2)中隔の肥大が非典型的な場合(例えば,僧帽弁前尖への異常腱索の付着,びまん性の心筋肥大などで,SAMがないか,

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

あっても左室流出路狭窄に関与していない場合), 3)切開,切除の対象となる前方中隔の肥厚が強くない場合(18 mm 以下),4)心筋切開,切除術で充分な効果が得られない場合である397).前乳頭筋の肥大やびまん性心筋肥大などには僧帽弁置換術が有効である. 術式は Morrow398)あるいはその変法399)で,右室切開アプローチにて,心室中隔切除,心室中隔形成と左室流出路形成を行う術式も考案されている.術後心エコー図により,①心室中隔肥厚部の十分な切開溝,②SAMの改善を評価する.

②手術成績

 心筋切開,切除術により90%以上の症例で左室流出路狭窄が解除され再発はほとんどみられない400).70%以上の症例で5年以上にわたり,心不全の改善,運動能力の向上がみられ,10年生存率は72~88%である401),402).一方,手術死亡は3.2~4.6%で,経験豊富な施設では0~2%と報告されている400).手術死亡の危険因子としては,高齢,術前の NYHA classⅣ,及び肺高血圧症が挙げられる397),401). 僧帽弁手術については,手術死亡は6%程度で,10年生存率は約 75%と心筋切除と変わらず403),良好な成績を示している.

③合併症

 左脚ブロック,房室ブロック,心室中隔穿孔,大動脈弁損傷,冠動脈瘻などがある.

④他の非薬物治療との比較

 DDD ペースメーカは手術に比べ低侵襲であるが,左室流出路圧較差の改善が得られるのは60~90%と報告によりまちまちであり,自覚症状の改善にはプラセボ効果が加わっている可能性も否定できず,運動能力の向上などの客観的データは充分得られているとは言いがたい66). 一方,PTSMA は手術療法に匹敵する効果がみられ,侵襲も比較的小さく,今後操作手技の習熟や器具の改善により治療成績の向上が期待される一方,急性期死亡率はPTCAより高く,人為的な心筋梗塞(scar)の作成が将来の心室頻拍の基質となる危険性や D-HCM へ移行する可能性について治療の歴史が浅いため明らかではない.また房室ブロックの合併もみられ,アルコールが前下行枝など意図しない血管へ流入すれば重篤な合併症を招く.長期成績・生命予後などが明らかになりつつあり,良好な成績も散見するがエビデンスレベルの高い報告はみられない.

 現時点では,外科治療が非薬物治療のスタンダードであるが,DDDペースメーカーやPTSMAなど,いずれの治療法を選択すべきか明確な適応基準がない.したがって,個々の症例で,各々の方法の利点と問題点を考慮しながら最も適した治療法を選択せざるをえない.

肥大型心筋症の外科治療の適応 331,397)

クラスⅠ  1. NYHA Ⅲ度以上の症状を有し,薬剤抵抗性で,安

静時に50mmHg以上の左室流出路圧較差を認めるHOCM

 2. 意識消失発作から回復し,安静時ないし薬物負荷時に50mmHg以上の左室流出路圧較差を認め,薬物抵抗性のHOCM

クラスⅡ 1. 心症状は軽度ないし認めないが,薬剤抵抗性の,

安静時に50mmHg 以上の左室流出路圧較差を認める HOCM

クラスⅢ 1. 無症状ないし薬物療法にてコントロール可能な

HOCM 2. 症状はあるが運動あるいは薬物負荷試験にても左

室流出路圧較差のないHCM

2 デバイス治療

①心臓ペースメーカ:左室内圧較差に対する治療として

クラスⅠ 1. 有意な流出路圧較差があり,圧較差に基づく症状

によりQOL低下を来たすHOCMで,他にペースメーカ植込みの適応となる理由を有する場合(薬剤による徐脈を含む)注1.

クラスⅡ 1. 有意な圧較差があり,圧較差に基づく症状により

QOL低下を来たすHOCMで,症状と圧較差が関連しており,薬物治療が無効か副作用のため使用不能か,他の方法が不適当な場合

クラスⅢ

注1 「不整脈非薬物治療ガイドライン」に基づく

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

 1. 圧較差がなく,徐脈による植込み適応注1もない場合.

 HOCM に対する心房同期心室ペースメーカ療法は,薬物抵抗性の際の治療法の1つとして現在広く認識されている404)-408).ペーシングにより左室流出路圧較差が減少する作用機序として,①右室心尖部ペーシングにより左室側の収縮が遅延し,心室中隔の奇異性運動を起こすことによる405),②左室流出路が収縮する前に左室心尖部寄りの内腔(high-pressure chamber)が先行して収縮するため, ③ 左室全体の収縮能低下によるVenturi効果の減少の関与409)-411),④慢性期に認められる心室中隔肥大の退縮410),などの諸説があるが未だ十分に解明されていない. 当初の報告は小人数の観察研究であり,評価項目は症状や運動耐容能,左室内圧較差軽減効果であった426).その後,薬物抵抗性の症候性HOCM患者83名を対象とし,AAIペーシングとDDDペーシングのクロスオーバー(6か月)試験であるthe European Pacing in Cardiomyopathyでは,AAIペーシングに比しDDDペーシングにて有意な症状(NYHA心機能分類)や運動耐容能の改善および左室内圧較差の軽減を認めたが,AAIペーシングでのプラセボ効果も認められた406).さらに同様なクロスオー バ ー 試 験 で あ る the Multicenter Study of Pacing Therapy for Hypertrophic Cardiomyopathy(44例 )407)やMayo Clinic Study(19例)408)では症状や運動耐容能においてもDDDペーシングの優位性が示されなかった.しかし,長期観察研究ではDDDペーシングが症状改善効果や左室内圧較差軽減効果を維持したという報告412)や薬物療法との併用で相乗効果が得られたとする報告413),414)

などもあり,HOCMに対する治療の役割はあると考えられる.現時点では薬剤抵抗性の症候性HOCM 患者すべてにDDDペーシング治療は推奨できないが,不整脈に対するペースメーカあるいは ICDの適応がある患者,他の治療を施しても症状が強い患者に対しては考慮してもよい. 心室中隔基部のペーシングでは圧較差が軽減されないことからペーシングリードを右室心尖部に留置する415),416).HCM は左室拡張能が低下しており,右室ペーシングのみでは左房収縮による左心室への流入が減少するため,心房収縮に同期した,AV 間隔を自由に設定できるDDD モードを選択する. 急性効果は心臓カテーテル検査・心エコー図ドプラ法によって評価する.AV 間隔を50~200msecの間隔で変化させながら,①左室内圧較差,②血行動態,③SAM,④MR ,⑤左室流入波形(E/A比・E波減速時間(DT)),

⑥左室等容弛緩時間(IRT)の変化などを評価し,SAMおよび左室内圧較差を減少し,かつ動脈圧や心拍出量を低下させないような至適のAV 間隔を見出す405),411).さらに,運動時にも心室ペーシングを確実にするためには,心拍数に応じた rate adaptive AV delayを設定し,またpacing AV delay と sensing AV delayを独立して設定することも必要となる.また,自己AV 間隔が短い症例では併用薬剤の増量・種類の変更,およびカテーテルアブレーションによるAV 伝導の抑制などを検討すべきであ る417).

②植込み型除細動器(ICD)

クラスⅠ 1. 過去に持続性心室頻拍,心室細動,心停止の既往

を有する場合

クラスⅡa 1. 非持続性心室頻拍,突然死の家族歴,失神,左室

壁厚30mm以上,運動時の血圧反応異常のいずれかを認める場合

 心停止,心室細動あるいは持続性心室頻拍からの蘇生例は,二次予防として ICD植込みの適応となる.突然死一次予防のリスク層別化として5つのリスク因子が知られている. 1)肥大型心筋症に伴う突然死の家族歴,2)原因不明の失神,3)著明な左室肥大(>30mm),4)ホルター心電図による非持続性心室頻拍,5)運動中の血圧異常反応,上記のうちいずれかが認められる場合,予防的 ICD植込みを考慮する.本邦における予防的 ICD植込みに関する報告はほとんどない.なお,ICD治療を受けている肥大型心筋症334例(92%が一次予防)を対象とした観察研究によると,適切作動が8%(年率2.3%)であり,不適切作動が16%(年率4.6%),植込みに伴う合併症が18%(年率5.1%)に認められた418).ICDの適応のみならず管理(不適切作動の回避や長期デバイス合併症の予防など)を慎重に行っていく必要がある.

③心臓再同期療法

クラスⅠ 1. 最適の薬物治療でも NYHA クラスⅢまたは通院可

能な程度のクラスⅣの慢性心不全を呈し,左室駆出率35%以下,QRS幅120 msec以上で,洞調律の場合

クラスⅡa:

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

 1. 最適の薬物治療でもNYHAクラスⅢまたは通院可能な程度のクラスⅣの慢性心不全を呈し,左室駆出率35%以下,QRS 幅120msec以上で,心房細動を有する場合

 2. 最適の薬物治療でもNYHAクラスⅢまたは通院可能な程度のクラスⅣの慢性心不全を呈し,左室駆出率35%以下で,ペースメーカが植え込まれ,または予定され,高頻度に心室ペーシングに依存するかまたはそれが予想される場合

クラスⅡb: 1. 最適の薬物治療でもNYHAクラスⅡの慢性心不全

を呈し,左室駆出率 35%以下で,ペースメーカの植込みが予定され,高頻度に心室ペーシングに依存することが予想される場合

クラスⅢ 1. 左室駆出率は低下しているが無症状で,ペースメ

ーカの適応がない場合 2. 心不全以外の慢性疾患により身体機能が制限され

たり,余命が12か月以上期待できない場合

 拡張相肥大型心筋症(D-HCM)においては,収縮不全による心不全の管理が必要となる.心不全においては心室内伝導障害,心房心室間同期不全,心室内同期不全,心室間同期不全が生じやすい.これらを改善するのが両室 ペ ー シ ン グ に よ る 心 臓 再 同 期 療 法(Cardiac Resynchronization Therapy:CRT)である.CRTは心収縮能が低下し,心臓の同期不全を伴う中等症以上の慢性心不全患者において,心不全悪化を防止するのみならずその予後を改善する419).一方,CRTはすべての心不全例で有効とは限らない.また,拡張相肥大型心筋症例のみを対象としたCRTの有効性に関する報告はないが,非虚血性心不全例として一般のCRT適応に準じて考慮する.CRT有効性の予知指標として左室駆出率の低下と心電図上の幅広いQRS波が重要である.多くの臨床試験はQRS幅が120~150msec以上の症例を対象として実施されており,幅広いQRS波の基準として120 msec以上としている. 現在までのエビデンスからは, CRTは心不全患者の総死亡を減らすが,心臓突然死には影響しないともいわれる420).CRTに ICDのバックアップが入ることにより,心臓突然死を抑制することで心不全患者の総死亡も抑制する可能性がある.NYHAクラスⅢあるいはクラスⅣで,左室駆出率 35%以下,QRS 幅 120msec 以上,かつ

ICD適応の患者には,両室ペーシング機能付き植込み型除細動器(CRT-D)が推奨される.

3 経皮的中隔心筋焼灼術(PTSMA)

①カテーテル治療の適応と手技

1)適応 薬物抵抗性のHOCMは欧米では従来外科治療の適応とされ,欧米での手術成績は実施施設の経験の差に関連し多数例の実施センター施設の成績は非常に良い401).しかし我が国では多数例での治療成績の報告はなく,最近の日本胸部外科学会による全国規模年次集計にても,中隔心筋切開切除術は年間50~60例であり,かつ8割が大動脈弁または僧房弁置換術に対し追加実施した例であり,純粋な中隔心筋切開切除術は極めて少ない421). 一方,ペースメーカ療法の効果は必ずしも一定せず,既に米国ACC/AHA/NASPEガイドラインでは症状改善への治療としてはclassⅡbに位置づけ,徐脈性不整脈が本態の患者を除き積極的には勧めていない407),422).近年,心室中隔切除術と同じコンセプトをもつPTSMAが90年代に開発され,臨床に適応され多数例に実施されてきた.PTSMAの長期予後については十分に明らかではなかったが,近年報告を散見するようになった.治療効果判定は術後ならびに施行後の臨床症状と左室内圧較差の改善から判定され,治療後早期は焼灼部は浮腫状で半年~1年を過ぎて壊死部が縮小し壁厚減少,症状改善が得られる.適応は, 薬物治療に抵抗性の心不全(NYHAⅡm~Ⅳ),狭心症状または失神があり,かつ安静時または薬物負荷時の左室内圧較差が30mmHg以上であること186)に加えて中隔壁肥厚が15mm以上あること,左室駆出率が40%以上であることなど423),424)が基準として用いられ実施されている. 2)手技 PTSMA は経皮的冠動脈形成術の技術と器具を応用した技術であり,左室流出路狭窄の原因となる肥厚した中隔心筋を灌流する冠動脈に高濃度エタノールを緩徐に注入して局所的に壊死させ,左室流出路狭窄を解除する治療である.当該部位を灌流する左前下行枝から分枝する中隔枝の同定は心エコー図と冠動脈造影の所見より推定しておき,超選択的心筋コントラストエコー法により最終的に同定すると治療成績の改善と合併症減少が著明となる425),426).

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

②合併症

1)主な合併症 PTSMAの急性期合併症は,①心筋壊死による胸痛,②完全房室ブロックおよび脚ブロック,③左前下行枝本幹へのエタノール流出による広範囲心筋梗塞の発生,④心室性不整脈(心室頻拍,心室細動)などが挙げられる425-428). PTSMAの実施にて問題となった完全房室ブロックや合併症については術中心筋コントラストエコー併用により安全なレベルにまで改善し,ペースメーカ植込み率は20%以上から5%以下へと減少し,またPTSMAが原因となる急性期死亡は1~4%とされる429),430).心タンポナーデ,後腹膜出血,心室細動,エタノールの前下行枝への流出による大梗塞,ガイドカテーテルによる左主幹部の解離による緊急手術例などが報告されている.重症閉塞性肥大型心筋症例の血行動態破綻例は術中術後の管理には細心の注意が必要であり,ショック例でも IABPやPCPSの効果は限界がある.早期の人工呼吸管理とカテコラミンを用いずに静注β遮断薬を駆使する必要があり,通常の冠動脈インターべンションとは異なる視点からの管理を要する.2)合併症への対策 合併症を最小限に抑えるためには,正確な責任中隔枝の同定が必須であり,術中心筋コントラストエコーの併用が必須である.一時的バルーン閉塞のみによる圧較差の推移のみでの同定は全く不十分であり,PTSMA初期の合併症頻発はエコー不使用が大きな成因とされる.心筋壊死のサイズは必要最小限が望ましいが,同時に不十分な焼灼では圧較差と症状の再発が起こり易く心筋コントラストエコーを用いた評価が重要である . PTSMA直後の心筋壊死部は浮腫により流出路が狭まり,一時的に圧較差が再上昇するが,遅れて組織の線維化が徐々に進み,圧較差減少は遠隔期にさらに増強する428).術中は一時的ペーシングのバックアップが必須であり,遅れての完全房室ブロック発生もあり,初期はCCUでの管理を要する.術後3~7日間の厳重な心電図モニター管理を行うことが必要である425)-428),431).徐脈性・頻脈性不整脈の合併に対してはPTSMA前後でホルター心電図・臨床電気生理検査などを施行してペースメーカおよび ICDの適応を十分に検討すること423),432).PTSMA後に突然死した症例433)もあるが,術後早期は促進心室調律を頻繁にみるが治療不要であり,心室頻拍・細動は少ない.突然死の増加の可能性については,まだ必ずしも一定のコンセンサスが得られていないが,慢性期合併症の項で示す.PTSMA前のみならず施行後も心室頻拍・

心室細動抑制のためにβ遮断薬434)をはじめとする薬物療法や,突然死ハイリスク例への ICDの併用は積極的に考慮する必要がある.

③長期成績と予後

 PTSMA後の長期成績に関する報告が散見されるようになり,海外からの報告によれば,自覚症状の改善や左室内圧較差の減少は長期的に維持され,心不全の発生や左室拡大は起こらないとされる429),435).一方,我が国の2006年のPTSMA全国調査によれば230例のNYHAクラスは施行前の平均2.6から施行後は1.4に改善し,遠隔期も1.4に維持されたという436).また自覚症状の改善後の長期にてNYHA3-4への再発はないとされる437).エタノール治療による自覚症状の改善は,有意な運動機能の改善,無酸素閾値や最大酸素摂取量の増加により裏付けられている438),456).また心室中隔壁厚の減少のみならず左室後壁厚が有意に減少し左室全体のリモデリングと左室重量の減少が示され肥大の退縮がもたらされる440).左室内圧較差の再上昇・症状再発に対する再PTSMAは5~15%に実施されており,初回PTSMAと同様に有効とされる. 外科治療とPTSMAの比較研究の報告も小規模ではあるが報告されており,治療後早期ならびに長期的な効果は外科手術が優れるが,PTSMAの成績も近づきつつある441),442).米国からの両者の比較検討報告では,全体の長期死亡に差はないが,65歳未満では中隔心筋切除術の方が有意に有効とされ,65歳以上では同等であり低侵襲のPTSMAが選択されるに至った443). 慢性期合併症として心室性不整脈(心室頻拍,心室細動)やそれによる突然死の可能性を示す報告が挙がっている444),445).外科治療に比し ICD作動例が多いとも報告されるが446),突然死の増加はないとする報告も少なくなく,まだ十分なコンセンサスを得たとは言えない.一方ドイツの登録研究や多数例の報告では肥大型心筋症の突然死自然歴と変わらないとされる446)-448).メタ解析によっても,外科手術とPTSMAに有意な差はないとされる449).拡張相への移行を危惧する意見もあるが左室拡張性の改善や良好な左室収縮性の維持も長期予後の評価にて報告されてきている445),450),451).HCMは心臓突然死のリスクを保有する患者が多く,さらに作成した心筋壊死がその後の新たな心室性不整脈発生のsubstrateとなることがないか,慎重な対応が必要であり,ICD適応の検討は必ず行われるべきで,不整脈専門医とPTSMA実施医との協力が必須である.HCMの最大の問題となる突然死については,ハイリスク群への心室頻拍誘発試験

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

などによる積極的評価と ICD植込みを考慮する必要がある.

 肥大型心筋症におけるPTSMAの適応

クラスⅠ なし

クラスⅡa  注1 1. NYHAⅢ 度以上の症状を有し,薬剤抵抗性で,安

静時ないし薬剤負荷時に30mmHg以上の左室内圧較差を認めるHOCM

 2. 左室内圧較差を原因とする意識消失発作を有し,安静時ないし薬物負荷時に30mmHg以上の圧較差を認めるHOCM

 3. 左室内圧較差(30mmHg以上)が関与する薬物治療抵抗性の発作性心房細動

クラスⅢ 1. 無症状ないし薬物療法にてコントロール可能な

HOCM

 2. 症状はあるが左室流出路圧較差のないHCM

④保険の適応

 2005 年 4 月より,本法は医療保険に収載され,心臓外科実施施設にて適応される.

4 小児における肥大型心筋症の管理と治療

1 突然死の予防と管理 HCMは若年者の心臓突然死の最も一般的な原因であり,特に運動中の突然死を来たす452).小児では成人に比べ突然死の頻度が約2倍とされ,最もおこしやすい年齢は12~35歳である119).危険因子は,心停止あるいは持続性心室頻拍の既往,突然死の家族歴,反復性の失神(特に運動中),左心室の心筋肥大(最大壁厚が30mm以上)とされる164),453).また,運動負荷時の血圧上昇の反応性低下も危険因子として報告されている454),455).我が国では日本学校保健会の作成した学校生活管理指導表(平成23年度版)(表11)に基づきハイリスク児ではほとんどの運動やスポーツ競技は禁止し,有症状児および閉塞型の症例では中等度および強い運動は禁止する296),456).

表11 日本学校保健会による学校生活管理指導表

注1  PTSMA の適応については,現時点で ClassⅠにするにはエビデンスが未だない

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

突然死の危険性が低いとされるものや無症状の例ではレクリエーション程度のスポーツは殆ど制限する必要はないが,スポーツトレーニングや競技は禁止する.ここで最も重要なことは,病態や突然死のリスク評価を十分に行ったうえで指導することである. 乳幼児期発症例ではうっ血性心不全のため多くが死亡し予後不良である457).心雑音のみの症状の乳児でも一年生存率は50%であるが,数年経つとうっ血性心不全の症状は軽減するが,代わりに突然死の割合が高くなってくる458). HCMによる突然死をどれくらい予防できるかというデータはない.ハイリスク児に対する十分な運動管理と薬物治療を積極的に行い,さらに外科的治療やDDDペースメーカおよび ICDなどの適応を検討する(表12,図10).

2 薬物療法の適応 ハイリスク児や有症状児では成人の場合と同様に,薬物療法は必須でありβ遮断薬が基本となる(図6).

①β遮断薬

 プロプラノロールのような非選択的なβ遮断薬が使用される389).使用量は一般的には2.0~5.0mg/kg/dayだが,小児ではさらに大量の投与(5.0~23mg/kg)が生存率を改善させたという報告がある459).他のβ遮断薬(アテノロール,メトプロロール)なども用いられるが,

小児では各β遮断薬の比較検討はない.

②カルシウム拮抗薬

 ベラパミルが成人で用いられ症状と運動量の改善が見られる463).小児でのデータは少ないが,症候性でβ遮断薬が無効の場合は試してみる461).成人と同じく左室流出路の狭窄を増強させ突然死の原因となる者もいるので,効果・副効果を見ながら慎重に投与する462).

③抗不整脈薬

 ジソピラミドは,陰性変力作用による左室流出路での圧較差の減少効果,および抗不整脈作用のため成人で用いられるが463)が,小児では経験が少ない.β遮断薬やベラパミルが無効な例ではそれらと併用で効果の出る可能性がある.

④ACE阻害薬

 ジゴキシン,その他の強心薬(陽性変力作用薬),ACE阻害薬については,閉塞を悪化させるため禁忌である.しかし,ACE阻害薬はD-HCMでは有用で左室機能を改善する.D-HCMでは通常,β遮断薬とACE阻害薬の併用が一般的で,さらにジゴキシンを併用する場合もある283).利尿薬は前負荷の減少をもたらすので一般に用いないが,心不全を呈する症候性幼児には併用する.

表12  小児の肥大型心筋症の治療:RAPID ACCESS GUIDE病    態 Class Ⅰ Class Ⅱ Class Ⅲ

無症状例一般に薬剤は用いないが症例によってはβ遮断薬,カルシウム拮抗薬を用いる

ジゴキシン,陽性変力作用薬は禁忌強い運動*は禁止

拡張機能低下例 β遮断薬カルシウム拮抗薬

ジゴキシン,陽性変力作用薬は禁忌強い運動*は禁止

有症状および閉塞性肥大型心筋症

β遮断薬カルシウム拮抗薬

ジソピラミド中隔心筋切除術

ジゴキシン,陽性変力作用薬は禁忌強い運動*は禁止

突然死のハイリスク群** β遮断薬カルシウム拮抗薬 植込み型除細動器

ジゴキシン,陽性変力作用薬は禁忌強い運動*は禁止

乳幼児例(心不全をしばしば伴う)

ジゴキシン,利尿薬血管拡張薬 β遮断薬 ACE阻害薬 強い運動*は禁止

拡張相肥大型心筋症 ジゴキシン,利尿薬血管拡張薬

β遮断薬 ACE阻害薬 心移植 強い運動*は禁止

不整脈合併例アミオダロンβ遮断薬カルシウム拮抗薬

心筋切除術ジゴキシン,陽性変力作用薬は禁忌強い運動*は禁止

* 日本学校保健会による学校生活管理指導表(中学,高校生用)に準ずる.**心停止あるいは持続性心室頻拍の既往,肥大型心筋症による突然死の家族歴,運動中の失神.

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循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2011 年度合同研究班報告)

⑤不整脈治療

 幼少児では不整脈は稀であるが,コホート研究で16~18%が非持続性心室頻拍を示した156).心室性頻拍は,アミオダロン150)ないし薬物抵抗性で手術適応のある場合には心筋切除術464),もしくはその両者,あるいはICDにより治療する387).小児での ICDの経験は極めて少ないが,突然死が学童期や若年者に多いことから今後の検討が必要である .

3 非薬物療法

①手術

 中隔心筋切除術(septal myotomy-myectomy: Morrow

図10 小児の肥大型心筋症の管理

症状なし不整脈なし心機能正常遺伝子異常

運動制限(Dランク)無投薬?β遮断薬?

運動制限(B Cランク)心不全治療β遮断薬?

運動制限(B Cランク)β遮断薬カルシウム拮抗薬?ジソピラミド?

運動制限(B Cランク)抗不整脈薬(ジソピラミド,アミダロン)抗血栓療法

自覚症状あり 胸痛 失神有意の閉塞

不整脈あり 心房性 心室性

心不全

肥大型心筋症

procedure),Modified Konno手術などが行われているが,小児での経験は極めて少なく長期的な成績も不明であ る465),466).

②ペースメーカ植込み術

 小児における適応や効果についてはデータがないので適応は慎重に考慮すべきである .

③経皮的中隔心筋焼灼術 

 小児では心筋壊死後の瘢痕による不整脈や突然死のリスク増加なども予測され,現時点では推奨できない.

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肥大型心筋症の診断に関するガイドライン

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