機能性磁気ナノ微粒子の バイオ分野への応用 - 新技 …...新技術の基となる研究成果・技術 1.粒径3-30 nmの磁気ナノ微粒子作製方法確立
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金属酸化物ナノ粒子を分散させたイオン液体
東京工業大学 資源化学研究所准教授 谷口 裕樹
従来型脱臭剤:
# 吸着型脱臭剤(活性炭・多孔質シリカ等)
⇒ 吸着量に限界がある。破過後は使用不可
# 酸化分解型脱臭剤
光分解触媒 ⇒ 紫外線が必要(屋外・ランプ)
熱分解触媒 ⇒ 高温が必要
開発しようとする触媒系:
自家用車、室内などの空気を浄化するためには一層低温(室温)で駆動する酸化分解触媒の設計が不可欠
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従来、工場など大規模にVOCを使用している場所では、Pd,Pt などの貴金属を主成分とする酸化分解触媒を用いて300~500℃の高温で無害化されている。本研究では室温に近い温度で駆動する揮発性有機化合物などの有害・有臭化合物の酸化分解触媒を開発する。
新しい概念での触媒設計が必要大きな比表面積が期待できる
ナノ粒子触媒の構築
研究背景
有機イオン液体とは?
• イオンのみから構成される「塩」であって、常温で液体の化合物。
• 無機塩は融点が高いが、有機塩は融点が低い。
• 常温溶融塩とも呼ばれる。
イオン液体とシリカの併用
*シリカゲル(SiO2)の特長:○細孔が多いため表面積が大きい。高い吸着能
○表面にシラノール(Si-OH)基が多く存在する。化学修飾可
⇒ 金属触媒や溶媒を抱え込む能力が高い。
⇒ 脱臭剤、脱水剤、不均一系触媒担体として利用されている。
*有機イオン液体の特長:○塩の一種であり極性が高く、多くの場合アルキル基を有するアンモニウム塩
である為に、種々の金属塩や無機・有機ガス、有機化合物に対する溶解性がある。
○その構造や対アニオンにもよるが、一般に水に対する溶解度は低い。
○常温で液体として振る舞うが、蒸気圧が殆ど無く、その揮発性を無視できる。難燃性
○高イオン密度 → 高イオン伝導性 → 高導電性
○大きな熱容量 → 熱伝導性
○低粘性 → 溶媒、電解質、反応場
*SILP触媒(Supported Ionic Liquid Phase Catalyst):イオン液体と金属触媒をシリカのような固体担体上に担持させ、ミクロな反応場を形成
SiO2
Substrate
Product
Ionic Liquid phase (film)Metal oxide
(nano- or micro-particules)
O2
シリカーイオン液体担持金属触媒による空気酸化分解のイメージ
In g
aseo
us o
r liqu
id p
ha
se
Heterogeneous catalystin IL phase!
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Wang, Y.; Maksimuk, S.; Shen, R.; Yang, H. Green Chem. 2007, 9, 1051-1056.
新技術の基となる研究成果・技術
Migowski, P.; Machado,G.; Texeira, S. R.; Maria C. M. Alves,M. C. M.; Morais, J.; Traversec, A.; Dupont, J. Phys. Chem. Chem. Phys. 2007, 9, 4814-4821.
For a cyclohexene hydrogenation catalyst.
Such as VO(acac)2
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金属酸化物ナノ粒子を分散させたイオン液体によるシリカゲルの機能化方法
(a) VO(acac)2 (25 mmol), [BuMeIm]BF4 (33 mg), SiO2 (66 mg), 150 oC, 2 hr.
(b) VO(acac)2 (25 mmol), [BuMeIm]PF6 (33 mg), SiO2 (66 mg), 150 oC, 2 hr.
調製したバナジウム/イオン液体/シリカのTEM 画像
517.8 eVV2O5
513.5 eVV(O)acac2
バナジウム(2p3/2) のXPS分析
イオン液体膜中にV2O5ナノ粒子生成
イオン液体の種類によるスチレンの分解能の違いa)
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金属化合物の種類によるスチレンの分解能の違いa)
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スチレン酸化分解におけるバナジウム担持量の効果
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スチレンの酸化分解における温度効果
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各種揮発性有機化合物の空気酸化分解a)
0
5
10
15
20
25
30
大腸菌(E. coli) に対するV(O)(acac)2-[BuMeIm]BF4/SiO2の抗菌活性
Dia
met
er o
f in
hib
ito
ry z
on
e/m
m
11
0 5 10 15 20 25
none
VO(acac)2
NaVO3
VOSO4(H2O)n
V(acac)3
V2O5
Na3VO4
Ni(acac)2
Co(acac)2
Mn(acac)2
Fe(acac)3
MoO2(acac)2
MoO2(acac)2/VO(acac)2
Pd(acac)2
Cu(acac)2
Cu(OAc)2
TiO(acac)2
Ag(acac)
大腸菌(E. coli) に対するMetal-[BuMeIm]BF4/SiO2の抗菌活性金属種類の効果
Samples(10 mg): Metal, (1.0 mmol), ionic liquid (3.3 mg), SiO2 (6.6 mg)
Diameter of inhibitory zone/mm
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従来技術とその問題点
従来、VOCsの燃焼除去用触媒として、シリカやアルミナに、直接パラジウムや白金などの貴金属金属や希土類酸化物を担持させた触媒が多く使用されているが、いずれも触媒として駆動させるには200から300度の高温が必要である。そのため、家庭用脱臭剤を目指すには低温で駆動させる必要があり、広く利用されるまでには至っていない。
抗菌剤として、従来から使用されているAg銀系抗菌剤は高価であった。
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新技術の特徴・従来技術との比較
• 従来技術の問題点であった、酸化分解温度をイオン液体中で作製した酸化触媒を用いることで、低温(120から200℃)で駆動する触媒系を見出すことができた。
• 従来は反応温度の点で工業用の触媒用途に限られていたが、低温で駆動させることに成功したため、家庭や、自動車車内での使用にも期待がもてる。
• 本技術の適用により、Pd, Ptなどの貴金属を使用する必要がないため、製造コストが1/10~1/100程度まで削減されることが期待される。
• 高価な銀系抗菌剤に替って、安価で強力なバナジウム系抗菌剤を見出すことができた。
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想定される用途
• 本技術の特徴を生かすためには、家庭や車内などの閉ざされた空間での空調設備、冷蔵庫内脱臭などに適用することが出来ると考えられる。
• 抗菌剤として利用可能。
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想定される業界
想定されるユーザー
脱臭剤製造メーカー・空調機器メーカー
自動車用内装材メーカー等
想定される市場規模
三菱総研による市場調査(1999)によれば、冷蔵庫や 石油暖房機な
どの脱臭、消臭・抗菌繊維など脱臭分野で9100億円、建材・インテリア用品・トイレなどの防汚・抗菌・殺菌分野で2400億円という調査報告がある。
→11500億円の市場規模
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実用化に向けた課題
• 現在、揮発性有機化合物(VOCs)について芳香族炭化水素の分解が可能なところまで開発済み。しかし、脂肪族炭化水素については活性が低い。アルデヒドやアンモニア、一酸化炭素の分解能については未評価である。
• 今後、脂肪族炭化水素、アルデヒドやアンモニア、一酸化炭素の分解についても実験データを取得し、室内建材用途に適用していく場合の条件設定を行っていく。
• 実用化に向けて、VOCsの酸化分解能を100%まで向上できるよう触媒(装置)設計を確立する必要がある。
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企業への期待
• 未評価のVOCsについては、イオン液体の種類変更により克服できると考えている。
• 空調技術を持つ、企業との共同研究を希望。
• また、脱臭機能を有する建材、繊維を開発中の企業、光分解脱臭触媒分野への展開を考えている企業には、本技術の導入が有効と思われる。
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本技術に関する知的財産権
• 発明の名称:酸化触媒、酸化方法、酸化装置
および抗菌剤
• 出願番号 :特願2008-34203, -272709
• 出願人 :東京工業大学
• 発明者 :谷口裕樹、牧岡良和、高石優太
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お問い合わせ先
東京工業大学 産学連携推進本部
産学連携コーディネーター 上羽 良信
TEL 03-5734-7637
FAX 03-5734-7694
e-mail [email protected]