大腿部皮下腫瘤を主訴に来院した猫ひっかき病の一例igakukai.marianna-u.ac.jp/idaishi/www/451/45-1-08Imaizumi...図2...

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症例報告 聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 45, pp. 49–54, 2017 1 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 小児科学 2 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 外科学 (小児外 ) 3 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 病理学 4 聖マリアンナ医科大学 小児科学 大腿部皮下腫瘤を主訴に来院した猫ひっかき病の一例 いま いずみ いち 1 にい りょう 1 なか 1 あし かが とも 1 はし もと しゅう 1 くり はら 1 つじ 2 とう ひで あき 2 ふる しげ ゆき 2 あい よし 3 やま もと ひとし 4 たき まさ 1 (受付:平成 29 2 27 ) 猫ひっかき病は主として猫によるひっかき傷や咬傷を受けた後に発症する人獣共通感染症の 一つである近年のペットブームもあり増加傾向にある発熱リンパ節腫脹をきたし医療機 関を受診しても猫ひっかき病の可能性を考慮しなれば診断に至ることは難しい左大腿部腫 瘤を主訴に来院した猫ひっかき病の一例を経験したので文献的考察を踏まえ報告する症例 13 女児入院 2 週間前より左大腿部内側の腫瘤及び圧痛を自覚するようになった大傾向にあったため近医整形外科を受診した単純 CT 検査で左大腿内側の軟部腫瘤を認め精 査加療目的に当院紹介となった血清抗体価検査で B. henselae-IgM 陰性B. henselae-IgG 1024 リンパ節生検で B. henselae-PCR が陽性となった以上より猫ひっかき病と診断した飼育歴はあるものの猫からの受傷歴は認めなかった入院後詳細な問診をし猫ノミに何度 も噛まれていたことが発覚した感染経路と考えられた猫ひっかき病の診断にはペットか らの受傷歴だけではなく動物接触歴を詳細に問診することが重要である索引用語 人獣共通感染症猫ひっかき病Bartonella henselae 猫ひっかき病 (Cat scratch disease: CSD) は猫によ るひっかき傷咬傷を受けた後に発症する人獣共通 感染症の一つである臨床症状は所属リンパ節腫 発熱肝脾腫などであり中には肺炎肝脾肉 芽腫網脈絡膜炎腎炎骨髄炎心内膜炎などを 合併する原因菌はグラム陰性桿菌の Bartonella henselae (B. henselae) であり血清抗体価測定及び Polymerase chain reaction (PCR) 法で診断される年のペットブームもあり発生数は増加傾向にあると 言われている 1) 今回我々は左大腿部皮下腫瘤を主 訴に来院しリンパ節生検により猫ひっかき病と診 断した一例を経験したので文献的考察を踏まえ報告 する13 女児左大腿部腫瘤既往歴 気管支喘息生活歴 海外渡航歴なし森林散策歴なし猫飼育 49 49

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  • 症例報告 聖マリアンナ医科大学雑誌Vol. 45, pp. 49–54, 2017

    1 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 小児科学2 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 外科学 (小児外

    科)3 聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 病理学4 聖マリアンナ医科大学 小児科学

    大腿部皮下腫瘤を主訴に来院した猫ひっかき病の一例

    今いま

    泉いずみ

    太た

    一いち

    1 新にい

    谷や

      亮りょう

    1 中なか

    野の

    茉ま

    莉り

    恵え

    1 足あし

    利かが

    朋とも

    子こ

    1

    橋はし

    本もと

      修しゅう

    二じ

    1 栗くり

    原はら

    八や

    千ち

    代よ

    1 辻つじ

    志し

    穂ほ

    2 佐さ

    藤とう

    英ひで

    章あき

    2

    古ふる

    田た

    繁しげ

    行ゆき

    2 相あい

    田だ

    芳よし

    夫お

    3 山やま

    本もと

      仁ひとし

    4 瀧たき

    正まさ

    志し

    1

    (受付:平成 29 年 2 月 27 日)

    抄 録猫ひっかき病は主として猫によるひっかき傷や咬傷を受けた後に発症する人獣共通感染症の

    一つである。近年のペットブームもあり増加傾向にある。発熱,リンパ節腫脹をきたし医療機関を受診しても,猫ひっかき病の可能性を考慮しなれば診断に至ることは難しい。左大腿部腫瘤を主訴に来院した猫ひっかき病の一例を経験したので,文献的考察を踏まえ報告する。症例は 13 歳,女児。入院 2 週間前より左大腿部内側の腫瘤及び圧痛を自覚するようになった。増大傾向にあったため近医整形外科を受診した。単純 CT 検査で左大腿内側の軟部腫瘤を認め精査加療目的に当院紹介となった。血清抗体価検査で B. henselae-IgM 陰性,B. henselae-IgG 1024倍,リンパ節生検で B. henselae-PCR が陽性となった。以上より猫ひっかき病と診断した。猫飼育歴はあるものの,猫からの受傷歴は認めなかった。入院後詳細な問診をし,猫ノミに何度も噛まれていたことが発覚した。感染経路と考えられた。猫ひっかき病の診断には,ペットからの受傷歴だけではなく,動物接触歴を詳細に問診することが重要である。

    索引用語人獣共通感染症,猫ひっかき病,Bartonella henselae

    緒 言

    猫ひっかき病 (Cat scratch disease: CSD) は猫によるひっかき傷,咬傷を受けた後に発症する人獣共通感染症の一つである。臨床症状は,所属リンパ節腫脹,発熱,肝脾腫などであり,中には肺炎,肝脾肉芽腫,網脈絡膜炎,腎炎,骨髄炎,心内膜炎などを合併する。原因菌はグラム陰性桿菌の Bartonella

    henselae (B. henselae) であり,血清抗体価測定及びPolymerase chain reaction (PCR) 法で診断される。近年のペットブームもあり発生数は増加傾向にあると言われている1)。今回我々は,左大腿部皮下腫瘤を主訴に来院し,リンパ節生検により猫ひっかき病と診断した一例を経験したので文献的考察を踏まえ報告する。

    症 例

    患 者: 13 歳,女児。主 訴: 左大腿部腫瘤。既往歴: 気管支喘息。生活歴: 海外渡航歴なし。森林散策歴なし。猫飼育

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  • 図 1 下肢単純 CT 検査左大腿内側に腫大したリンパ節を認める (→)。

    表 1 血液検査所見

    血算

    WBC 10500 /μl

    RBC 441 ×104/μl

    Hgb 12.5 g/dl

    Plt 29.6×104/μl

    凝固

    PT 90 %

    PT-INR 1.06

    APTT 30.6 sec

    Fib 533 mg/dl

    D-dimer 1.1μg/dl

    生化学

    T-Bil 0.5 mg/dl

    AST 22 IU/l

    ALT 14 IU/l

    LDH 244 IU/l

    TP 7.4 g/dl

    ALB 4.3 g/dl

    BUN 9.2 mg/dl

    Cr 0.45 mg/dl

    Na 137 mEq/l

    Cl 103 mEq/l

    K 4.6 mEq/l

    CRP 0.43 mg/dl

    ESR1h 39 mm

    Ferritin 120 ng/ml

    感染症抗体価

    CMV-IgM(EIA) 2(-)

    CMV-IgG(EIA) 25(+)

    EBV-VCA IgM(ELISA) <10倍(-)

    EBV-VCA IgG(ELISA) 20倍(+)

    EBV-EBNA(ELISA) 10倍(+)

    B. henselae-IgM 陰性

    B. henselae-IgG 1024倍

    免疫学的検査

    sIL-2R 515 U/ml

    CH-50 50 U/ml

    C3 121 mg/dl

    C4 25 mg/dl

    IgG 1271 mg/dl

    IgA 167 mg/dl

    IgM 194 mg/dl

    抗核抗体 <40倍

    歴はあるが,受傷歴はなし。現病歴: 入院 2 週間前に左大腿部の腫瘤を認めた。次第に増大し,圧痛も伴うようになったため入院 5日前に近医を受診した。下肢単純 CT 検査 (図 1) で左大腿部内側の軟部腫瘤を認め,精査加療目的に当院紹介された。入院時現症: 体温 36.4°C。眼球結膜黄染なし。咽頭発赤なし。心肺に異常所見なし。腹部は平坦・軟,肝臓脾臓ともに触知せず。左大腿部近位内側に 40 ×50 mm の圧痛を伴う腫瘤あり,辺縁整,可動性良

    好,発赤は認めなかった。血液検査所見: 血算では白血球数の軽度増加を認めた。生化学検査では CRP とフェリチンの軽度増加,血沈の軽度亢進を認めた。その他異常所見は認めなかった (表 1)。下肢超音波検査: 左大腿部内側に腫大したリンパ節を認めたが,膿瘍形成は認めなかった (図 2)。腹部超音波検査: 脾臓内に 5 mm の肉芽腫を複数認めた (図 3)。入院後経過: 急性化膿性リンパ節炎を疑い,入院当

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  • 図 2 下肢超音波検査A, B. 左大腿内側に腫大したリンパ節を認める。C. 中心部にリンパ門と思われる高エコー像を

    認める。

    図 3 腹部超音波検査A, B. 脾臓内に複数個の肉芽腫を認める。明らかな脾腫は認めない (→)。

    日より cefazolin (CEZ) 投与を開始した。悪性リンパ腫,ウイルス感染症,膠原病を鑑別に挙げ追加検査をした。免疫学的検査では可溶性 IL-2 レセプターの軽度増加を認めた。ウイルス抗体価検査で Cytome‐galo virus (CMV) 及び Epstein-Barr virus (EBV) は既感染パターンであった。CEZ 投与開始後も臨床症状

    の改善が乏しいため,再度詳細な問診及び診察をした。「入院 2 ヶ月前に公園で子猫を拾い,飼育し始めた」と新たな情報が得られた。また,その猫によるひっかき傷や咬傷はなかったが,猫ノミに刺された痕を左足関節に認めた。このことから,猫ひっかき病によるリンパ節腫脹も鑑別に加え,Bartonella

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    適切な問診と検査で診断した猫ひっかき病 51

  • ネコ

    イヌ ヒト

    ヒト

    ヒト

    ネコノミ

    咬むひっかく

    咬む

    咬む,ひっかく

    刺す

    刺す

    B.henselaeに感染しているネコ

    図 4 本症例に推定される感染経路B. henselae に感染したイヌやネコからの受傷により感染する場合が多い。本症例はサークルに囲まれた経路,即ち B. henselae 感染の猫ノミからの経路が推定された。

    henselae抗体価検査 (委託検査) をした。抗菌薬加療で改善が乏しく,悪性リンパ腫も否定できないことから,確定診断のため第 14 病日にリンパ節生検を実施した。血清抗体価検査では,B. henselae-IgM 陰性,B. henselae-IgG 1024 倍であった。病理組織学的検査では,リンパ濾胞の拡大は認めるが,腫瘍細胞の増殖や肉芽腫病変は認めず,反応性リンパ節の所見であった。生検で得られたリンパ節から B. hen‐selae-PCR (委託検査) が陽性となった。以上より猫ひっかき病と診断した。この時点で入院当初に認めた圧痛は改善傾向であった。抗菌薬投与は行わずに経過観察とした。その後は時間経過と共に腫瘤は縮小傾向となり,圧痛も消失したため,第 22 病日に退院とした。左大腿腫瘤は 4 ヶ月後に消失し,腹部超音波検査で認めていた脾臓の肉芽腫病変は発症5 ヶ月目で消失を確認した。

    考 察

    猫ひっかき病は猫に咬まれたり,ひっかかれた後に,発熱や所属リンパ節腫脹をきたす疾患としてDebré ら2) が初めて報告した。グラム陰性桿菌である B. henselae が病原体である3)。主に猫によるひっかき傷から感染すると言われているが,B. henselae保菌猫に寄生していた猫ノミも感染に関与している事例や,犬が関与した事例も報告されている4)。患者は全年齢層にみられるが,10 歳代と 40 歳代の女性

    に多発する5)。この年代の女性は,猫を飼育することが多いためと考えられる。発生時期は 7 月から 10 月にかけて多発する。この理由は,猫ノミの繁殖期である夏に B. henselaeに感染する猫が増加し,秋から寒い時期にかけて猫が室内にいることが多くなるため受傷する機会が増えると考えられている。本症例の感染経路は,猫からの直接の受傷歴がなく,ノミに刺された痕の存在から B. henselaeに感染した猫ノミからの感染経路が推定された (図 4)。

    典型的な猫ひっかき病は,猫から受傷後,3〜10日目に受傷部位に虫刺されに似た皮膚病変を形成する。皮膚病変は丘疹から水疱に,また一部では潰瘍に発展する。受傷から 1,2 週間後にリンパ節腫脹や発熱などの症状を呈する。受傷部位の所属リンパ節が一側性に腫脹することが多い。吉田ら5) は本邦における 63 例の猫ひっかき病の解析を行っている。それによるとリンパ節腫脹は腋窩に最も多く,これに鼠径部,頸部が続き,大腿部は 0 例であった。本症例のように,大腿リンパ節腫脹をきたす例はまれと考える。5〜10%の症例に肝脾の肉芽腫,脳炎,脈絡網膜炎,視神経炎,骨髄炎,肺炎などの非典型的な症状を認める6)。鑑別診断は,細菌性リンパ節炎,結核,ブルセラ病,野兎病,伝染性単核球症,サルコイドーシス,悪性リンパ腫などがある。

    患者の血液やリンパ節から B. henselaeを分離することは非常に難しく,わが国での分離例はわずかで

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  • ある7)。そのため診断には血清診断及び PCR 法が有用である。血清診断には,B. henselaeを抗原とした蛍光免疫抗体法が有用で,① IgM 抗体陽性,② IgG抗体がペア血清で 4 倍以上,③ ワンポイント IgG 抗体 256 倍以上,①から③いずれかを満たしていれば診断できるとされている8)。本症例では,PCR 法と血清診断,両方を使用し猫ひっかき病と診断した。

    治療は現在確立しているものはなく,多くの猫ひっかき病は症状が軽徴であり 1〜2 ヶ月の経過で自然治癒するため特別な治療を必要としない。重症な全身症状を伴う場合や,免疫不全者,有痛性リンパ節炎には抗菌薬治療を行うのが一般的である。 clari‐thromycin などのマクロライド系抗菌薬,minocy‐cline,rifampicin などが有効である。治療期間は,リンパ節の完全消退には数ヶ月かかることもあるため,リンパ節の完全消退を待たずに炎症反応の陰性化を抗菌薬中止の目安とする報告もある4)。

    現在猫ひっかき病に対してのワクチンはないため,日々感染予防することが大事である。猫の爪を定期的に切ること,猫から受傷した場合はすぐに創部を洗浄すること,媒介する猫ノミの駆除を行うことが大切である。感染源・感染経路のついての正しい知識を飼育者に啓発することも重要である。

    猫ひっかき病は,猫との接触のみで感染する場合や猫以外の動物 (ノミや犬など ) からも感染するため,「猫や犬などを触っていないか」「猫ノミはいないか,刺されていないか」など詳細に動物接触歴を問診する必要がある。

    結 語

    左大腿部皮下腫瘤を主訴に来院した猫ひっかき病の一例を経験した。猫ひっかき病の診断には,猫からの受傷歴にとらわれず,動物接触歴を詳細に問診し,引き続き出現する皮膚症状などの有無を確認することが重要である。

    引用文献

    1) Brunetti E, Fabbi M, Ferraioli G, Prati P, FiliceC, Sassera D, Dalla Valle C, Bandi C, Vicari N,Marone P. Cat-scratch disease in NorthernItaly: atypical clinical manifestations in humansand prevalence of Bartonella infections in cats.J Clin Microbiol Infect Dis 2013; 32: 531–534.

    2) Debré R. Lamy M. Jamet ML. La maladie desgraffes de chat. Bull Soc Med Ho Paris 1950;66: 76–79.

    3) Dolan MJ, Wong MT, Regnery RL, JorgensenJM, Garcia M, Peters J, Drehner D. Syndromof Rochalimaea henselae adenitis suggestingcat scratch disease. Ann Intern Med 1993; 118:331–336.

    4) 村野一郎,常岡英弘,飯野英親,亀井敏昭,中村功,塚原正人.犬との接触により生じた Bar‐tonella henselae 感染症の 2 例.感染症学雑誌2001; 75: 808–811.

    5) 吉田博,草場信秀,佐田通夫.ネコひっかき病の臨床的検討.感染症学雑誌 2010; 84: 292–295.

    6) 丸山総一.猫ひっかき病.小児科 臨床 2009; 62:703–707.

    7) Maruyama S, Izumikawa K, Miyashita M, Ka‐beya H, Mikami T, Yamanouchi H, Sasaki E,Yoshida H, Izumikawa K. First isolation Barto‐nella henselae type1 form a cat scratch diseasepatient in Japan and its molecular analysis. Mi‐crobiol Immunol 2004; 48: 103–109.

    8) 常岡英弘,柳原正志,梅田昭子.Bartonellahenselae感染症 (ネコひっかき病) の診断法の確立.Med Technol 2007; 35: 1185–1189.

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    適切な問診と検査で診断した猫ひっかき病 53

  • 1 Department of Pediatrics, St. Marianna University School of Medicine Yokohama City Seibu Hospital2 Department of Pediatric Surgery, St. Marianna University School of Medicine Yokohama City Seibu Hospital3 Department of Pathology, St. Marianna University School of Medicine Yokohama City Seibu Hospital4 Department of Pediatrics, St. Marianna University School of Medicine

    Abstract

    A Case of Cat-scratch Disease with Subcutaneous Mass in the Thigh

    Taichi Imaizumi1, Ryo Niiya1, Marie Nakano1, Tomoko Ashikaga1, Shuji Hashimoto1, Yachio Kurihara1, Tsuji Shiho2, Hideaki Sato2,

    Hideyuki Furuta2, Yoshio Aida3, Hitoshi Yamamoto4, and Masashi Taki1,

    Case Report: A 13-year-old girl had noticed a lump and tenderness in her left inner thigh 2 weeks prior tohospital admission. As symptoms became aggravated over time and the lump gradually increased in size, shepresented for examination at a local orthopedic surgery clinic, where plain computed tomography (CT) revealeda soft-tissue mass in the left inner thigh. She was therefore referred to our hospital for further investigation andtreatment. Tests were negative for Bartonella henselae immunoglobulin (Ig) M, but the B. henselae IgG titer was1: 1024, and polymerase chain reaction (PCR) for cat-scratch disease from an excised lymph node specimen waspositive, and cat-scratch disease was diagnosed on the basis of these results. Although the patient had a historyof keeping cats, no cat bites or other injury was evident. Closer questioning after admission revealed that thepatient had been bitten several times by fleas from the cats. In the event of suspected cat-scratch disease, it isimportant to ask patients not only about bites from pets, but also about a detailed history of contact with possibleparasites of the pets such as fleas.

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