電動自動車関連部材のレアメタル使用実態 -...
13
0 資源備蓄本部 希少金属備蓄部 管理課 （併）企画課 上條 裕久 [email protected] 電動自動車関連部材のレアメタル使用実態 (Nd磁石) 平成２６年８月２９日 平成26年度(第7回)金属資源関連成果発表会
Transcript of 電動自動車関連部材のレアメタル使用実態 -...
0
資源備蓄本部 希少金属備蓄部
管理課 （併）企画課 上條 裕久 [email protected]
電動自動車関連部材のレアメタル使用実態 (Nd磁石)
平成２６年８月２９日
平成26年度(第7回)金属資源関連成果発表会
1
■電動自動車生産台数は増加の見込み ■モーターの永久磁石に含まれるレアアース（REE）に着目
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
2009 2010 2011 2012 2013 2014e 2015e 2020e 2025e
EV
PHV
HV
電動自動車 （HV+PHV+EV) 日本国内の生産規模予測（千台）
※ ㈱富士経済の市場予想値を基にした予測 ・2009～2012年間の国内生産実績台数は(一社）次世代自動車 振興センターによる。 ・2013年以降は世界市場規模予測に比例して増加と仮定
・海外生産（中国、米国等）の進展を見込む：（2015年20％、2020年40％、2025年50％）
はじめに
永久磁石に使用されるレアメタル 2
フェライト磁石
金属磁石
ボンド磁石
バリウムフェライト磁石
ストロンチウムフェライト磁石
アルニコ磁石
希土類磁石
永久磁石 サマリウムコバルト磁石
ネオジム磁石
磁石の種類 鉱種
①ネオジム磁石（Nｄ磁石） Nd、Pr、Dy、Tb、B
②サマリウムコバルト磁石 Sm、Co
③フェライト磁石 Ba、Sr、La、Co
④アルニコ磁石 Ni、Co
⑤ボンド磁石 Sm、Co、Nd、B、Dy
主な製品中のNd磁石使用量
製品 Nd磁石使用量 Dy含有率 Nd+Pr 含有率
B含有率
使用温度
HEV、PHEV 駆動モーター・発電機：約1.2 kg/台 駆動モーターのみ：約1 kg/台
8～12 % （平均9 %）
－ － 180～200 ℃
EV 駆動モーター：約2kg/台 約15 % － － 180～200 ℃
エアコン 家庭用：60～100 g/台（平均80 g/台） 業務用：300～400g/台（平均350 g/台）
3～7 % （平均5 %）
23～27 % （平均25 %）
1 % 120～150 ℃
洗濯機 80～180 g/台 （平均130 g/台）
1～5 % （平均3 %）
25～29 % （平均27 %）
1 % 常温＋α
冷蔵庫 40～60 g/台 （平均50 g/台）
2～5 % （平均3.5 %）
25～28 % （平均26.5 %）
1 % 60 ℃
HDD（VCM） 3.5型サーバ用：13 g/台
3.5型汎用PC用：約5 g/台 2.5型PC 用：約2.5 g/台
1～1.5 % （平均1.3 %）
28.5～29 % （平均28.7 %）
1 % 常温＋α
風力発電 （2MWギアレスPMSG風車）
1.5～2 t/基 （平均1.75 t/基）
約10 % 約20 % 1 % 150 ℃
3
神鋼リサーチ㈱, 2013
Nd磁石生産メーカーの推定シェア（2012） 4
磁石 磁石合金
生産量 約9,800 ｔ 生産量 約14,700 ｔ
神鋼リサーチ㈱, 2013. を基にJOGMEC加筆.
日立金属㈱ 40 %
信越化学工業㈱ 40 %
TDK㈱ 20 %
信越化学工業㈱ 35 %
中央電工㈱ 15 %
㈱三徳 25 %
昭和電工㈱ 25 %
Nd磁石生産量と生産単価の推移 5
神鋼リサーチ㈱, 2013
5,501
7,168
8,194
9,341
10,567
11,917
6,178
11,900
10,350 9,800
0
5,000
10,000
15,000
20,000
25,000
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,000
16,000
18,000
20,000
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
円/kg t
生産量
生産単価
■2009年：金融危機の影響で急減
■その後、約1万tで比較的安定
■生産単価：2010年REE価格高騰の影響で上昇
（ ｔ ）
（ 円/kg ）
6 Nd磁石 輸出入量推移（ｔ）
神鋼リサーチ㈱, 2013. を基にJOGMEC加筆.
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
2003年 2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年
その他（米国、欧州、韓国など）
中国・香港
タイ
マレーシア
フィリピン
t
輸入
輸出
本邦Nd磁石メーカーの国際競争力 7
北京中科三
環高技術股
份有限公司
17%
天津天和
磁材
15%
寧波韵升
股份有限公
司
12%
安泰科技
股份有限公
司
10%
煙台首鋼磁
性材料股份
有限公司
9%
信越化学工
業㈱
11%
日立金属㈱
10%
TDK㈱
6% その他
10%
世界生産 約40,000 t
データ： 精密小型モータ市場実態総調査
■原料調達
・希土類供給を中国に依存
■技術力
・HEV駆動モーター用磁石など、信頼性の観点から日本製優位
■HEV・PHEV・EV（日本）
・全て日本製磁石を使用
・トヨタ；中国と共同で基幹部品生産の予定
■エアコン、洗濯機、冷蔵庫
・中国の競争力高い
■HDD
・50 %～60 %のHDDに中国製磁石
Nd磁石のDy使用削減技術と研究の動向
企業（大学）名 製造方法および製品の特長
日立金属㈱ ・製品名：DD Magic ・Dy蒸着拡散による省Dy・保磁力向上
信越化学工業㈱ ・製品名：Nシリーズの一部 ・粒界拡散合金法によりDyを粒界近傍に集中配置
TDK㈱ ・製品名：NEOREC ・HAL法によりDy削減
インターメタリックスジャパン㈱
・PLP（Press Les Process）法による省Dy・高性能化
戸田工業㈱、 東北大学
・水素化・不均化・脱水素・再結合法（Hydrogen Disproportionation Desorption Recombination : HDDR）によるDyフリー
昭和電工㈱ ・従来品の磁石合金（Dy1 %、2 %、4 %）をDyフリー化
8
神鋼リサーチ㈱, 2013. を基にJOGMEC加筆.
9 生産拠点の海外移転状況
■海外移転状況
＜磁石メーカー＞
・現在、磁石加工・モーター組み立てが主
・今後、本格的な海外生産へ以降の可能性あり
＜磁石合金メーカー＞
・中国に製造拠点設立→希土類調達に重点
■原料調達状況
＜磁石メーカー＞
・日本から磁石ブロック等を調達
・中国から磁石合金を調達
＜磁石合金メーカー＞
・中国から希土類を調達
企業名 製錬所・工場
日立金属㈱ フィリピン、中国、米国
信越化学工業㈱ 中国、ベトナム、マレーシア、フィリピン、インドネシア、タイ
TDK㈱ タイ、香港、中国
昭和電工㈱ 中国、ベトナム
三徳㈱ 中国
中央電工㈱ ベトナム
神鋼リサーチ㈱, 2013. を基にJOGMEC加筆.
10 Nｄ磁石生産の見通し
1,370 1,619
1,796 2,023
2,263 2,514
2,776
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
2012 2013 2014e 2015e 2016e 2017e 2018e 2020e 2025e
千台
HEV・PHEV・EVの生産台数予測
（千台）
1,622 1,897
2,125 2,391
2,676 2,966
3,280
0
1,000
2,000
3,000
4,000
5,000
6,000
7,000
2012 2013 2014e 2015e 2016e 2017e 2018e 2020e 2025e
Nd磁石の生産見通し（ｔ）
357 427 489 562 642
727 820 130
142 149
155 161
163 164
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
1,600
1,800
2,000
2012 2013 2014e 2015e 2016e 2017e 2018e 2020e 2025e
Nd、Dy需給見通し（ｔ）
Dy
ジジム（Nd）
■電動自動車の生産台数に伴って、
Nd磁石の生産量増加の見込み。
グラフデータ ・2012～2018： 神鋼リサーチ㈱, 2013. ・2020, 2025： ㈱富士経済の市場予測を基にJOGMEC加筆
11 中国と中国以外のREE供給状況
●中国以外でもREE生産の見通し
工業レアメタル, No. 129, アルム出版社
12 まとめ
● 電動自動車の生産台数は増加の見込み
⇒ 駆動モーターのNd磁石（Nd, Dy）も増加
● Nd磁石生産の世界シェア
日本：約25％ 中国：約60％
⇒ 中国が2倍以上占めるが、日本は技術力で勝負
● Nd需要増加の見込み
⇒ Nd：中国以外からも調達可能となる見込み
Dy：省Dy化により需要大きく増えないが中国に依存
