輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアで...

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輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアでの実態調査事業 報告書 2018 年3月 九州経済産業局

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輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアでの実態調査事業

報告書

2018 年3月 九州経済産業局

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目次

第1章 調査目的と事業の概要 ............................................................................................. 1

(1)調査目的と実施内容................................................................................................. 1 (2)委員会開催概要 ........................................................................................................ 2

第2章 イチゴ輸出の概況 .................................................................................................... 3

(1)生産サイドの状況 .................................................................................................... 3 (2)輸出サイドの状況 .................................................................................................... 5

第3章 香港におけるブランド意識、模倣品の状況 ............................................................ 7

(1)店頭巡回、ヒアリング調査の概要 ........................................................................... 7 (2)店頭巡回、ヒアリング調査の結果概要 ................................................................... 7 (3)あまおうの価格比較................................................................................................. 8 (4)模倣品 ...................................................................................................................... 8

第4章 香港での食味嗜好調査結果 ...................................................................................... 9

(1)食味調査の概要 ........................................................................................................ 9 (2)香港での食味調査の結果概要 ................................................................................ 10 (3)アンケート結果 ....................................................................................................... 11

第5章 とりまとめ ............................................................................................................. 29

(1)あまおうの現状評価............................................................................................... 29 (2)戦略的輸出の必要性............................................................................................... 30

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第1章 調査目的と事業の概要 (1)調査目的と実施内容 目下、政府を挙げて「国産農水産物・食品の輸出促進」に取組中であり、数値目標とし

て「2020年に輸出額1兆円まで増やす目標について、1年前倒しして2019年の達成」を掲

げている。

その中で、アジア中間層向けに輸出の伸しろがあると期待されているのが青果であり、

特に果物については、食味等で圧倒的な品質の違いを訴求することが比較的容易であり、

ブランド化に成功すれば取引数量・価格帯とも安定した取引が期待されることから注目さ

れている。特に、イチゴについては、「あまおう」が急速に香港向け輸出を中心に伸びて

おり、近年は台湾向けにも食い込みつつある。

一方で、我が国には「あまおう」に限らず「さがほのか」「とちおとめ」など食味に優

れた国内での販売実績がある品種・ブランドが多数あるが、「あまおう」ほどの輸出の伸

びはみられていない。

そこで、「あまおう」に続く我が国を代表する品種・ブランドの海外展開、輸出促進を

目的に、優れた品質・食味もさることながら、ネーミングをはじめブランド発信や知財管

理に定評がある「あまおう」をメルクマールとした、香港でのブランド意識(浸透度)、

模倣品流通状況、食味等の各種調査を実施する。

また、当該現地調査を円滑に進めるため、有識者を招いた2回の委員会を開催し、現地

調査のポイントを抽出し、ポイント毎の対応方法等について議論をする。

このように、香港での嗜好・ニーズをもとに「あまおう」が独走している理由を明らか

にすることを通じて、ブランド化(ブランド価値)、食味、知財管理など様々な視点から、

今後、目指すべき戦略・方向性をとりまとめることにより、農産物輸出に取り組む流通関

係者、育種家や生産者などの農業関係者の取り組みの一助とする。

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(2)委員会開催概要 第1回委員会

【日 時】平成 29 年 12 月 18 日(月)14:00~16:00

【場 所】九州経済調査協会 5階会議室

福岡市中央区渡辺通2丁目1-82 電気ビル共創館5階

図表1-1 第1回委員会参加者

企業・団体名 役 職 氏 名

委員

日本貿易振興機構 地域統括センター長(九州・沖縄)

福岡貿易情報センター所長 斎藤 健史

公益財団法人

福岡県中小企業振興センター

知的所有権センター 知財総合支援窓口

知財トータルサポーター 佐々木 賢

国立研究開発法人

農業・食品産業技術総合研究機構

九州沖縄農業研究センター園芸研究領域

イチゴ育種グループ長

曽根 一純

(委員長)

福岡大同青果株式会社 食品流通開発部 食品流通開発課 課長 椿 知悟

九州農産物通商株式会社 海外事業部 部長 保坂 裕二

オブザーバー 国立研究開発法人

農業・食品産業技術総合研究機構

九州沖縄農業研究センター園芸研究領域

イチゴ育種グループ 遠藤 みのり

第2回委員会

【日 時】平成 30 年 2月 19 日(月)14:00~16:00

【場 所】九州経済調査協会 5階会議室

福岡市中央区渡辺通2丁目1-82 電気ビル共創館5階

図表1-2 第2回委員会参加者

企業・団体名 役 職 氏 名

委員

日本貿易振興機構 地域統括センター長(九州・沖縄)

福岡貿易情報センター所長 山岡 寛和

公益財団法人

福岡県中小企業振興センター

知的所有権センター 知財総合支援窓口

知財トータルサポーター 佐々木 賢

国立研究開発法人

農業・食品産業技術総合研究機構

九州沖縄農業研究センター園芸研究領域

イチゴ育種グループ長

曽根 一純

(委員長)

九州農産物通商株式会社 海外事業部 部長 保坂 裕二

オブザーバー 国立研究開発法人

農業・食品産業技術総合研究機構

九州沖縄農業研究センター園芸研究領域

イチゴ育種グループ 遠藤 みのり

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第2章 イチゴ輸出の概況 (1)生産サイドの状況 ①イチゴ収穫量の推移

平成 28 年の九州 7 県におけるイチゴの収穫量は 50.5 トン(全国シェア 31.7%)であり、

全国よりも減少傾向が顕著である。

図表2-1 イチゴ収穫量の推移

注)宮崎県の H24 は事実不詳 資料)農林水産省「作物統計調査」

②イチゴ出荷量の推移

平成 28 年の九州 7 県におけるイチゴの出荷量は 47.7 トン(全国シェア 32.9%)であり、

収穫量同様、全国よりも減少傾向が顕著である。

図表2-2 イチゴ出荷量の推移

注)宮崎県の H24 は事実不詳 資料)農林水産省「作物統計調査」

30%

31%

32%

33%

34%

35%

36%

37%

38%

39%

40%

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

H24 H25 H26 H27 H28

鹿児島

宮崎

大分

熊本

長崎

佐賀

福岡

全国シェア

(kg)

30%

31%

32%

33%

34%

35%

36%

37%

38%

39%

40%

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

H24 H25 H26 H27 H28

鹿児島

宮崎

大分

熊本

長崎

佐賀

福岡

全国シェア

(kg)

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③イチゴの作付面積の推移

平成 28 年の九州 7 県におけるイチゴの作付け面積は 1,467ha(全国シェア 27.3%)であ

り、緩やかに減少している。

図表2-3 イチゴの作付面積の推移

注)宮崎県の H24 は事実不詳 資料)農林水産省「作物統計調査」

④イチゴの 10a 当たり収量の推移

イチゴの 10a 当たり収量について、九州 7 県で最も多いのが佐賀県である。また、九州 7県全てで全国を上回っている。

図表2-4 イチゴの 10a 当たり収量の推移

注)宮崎県の H24 は事実不詳 資料)農林水産省「作物統計調査」

20%

22%

24%

26%

28%

30%

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

H24 H25 H26 H27 H28

鹿児島

宮崎

大分

熊本

長崎

佐賀

福岡

全国シェア

(ha)

2,700

2,900

3,100

3,300

3,500

3,700

3,900

4,100

4,300

H24 H25 H26 H27 H28

福岡

佐賀

長崎

熊本

大分

宮崎

鹿児島

全国

(kg)

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(2)輸出サイドの状況 ①イチゴの国別輸出量の推移(全国)

我が国のイチゴの輸出量は、右肩上がりで推移してきており、平成 29 年は 889 トンで平

成 24 年の 10 倍に届きつつある。国別に輸出先をみると、大部分を香港が占めており、平

成 29 年では 83%を占めている。

図表2-5 イチゴの国別輸出量の推移(全国)

資料)財務省「貿易統計」

②イチゴの国別輸出額の推移(全国)

我が国のイチゴの輸出額についても、輸出量同様に、右肩上がりで推移してきており、

平成 29 年は約 18 億円で平成 24 年の 10 倍に届きつつある。国別輸出先をみると、大部分

を香港が占めており、平成 29 年では 81%を占めている。

図表2-6 イチゴの国別輸出量の推移(全国)

資料)財務省「貿易統計」

0

100

200

300

400

500

600

700

800

900

1,000

H24 H25 H26 H27 H28 H29

グアム(米)

アメリカ合衆国

マカオ

カンボジア

インドネシア

マレーシア

シンガポール

タイ

香港

台湾

(t)

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

18.0

20.0

H24 H25 H26 H27 H28 H29

グアム(米)

アメリカ合衆国

マカオ

カンボジア

インドネシア

マレーシア

シンガポール

タイ

香港

台湾

(億円)

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③イチゴの輸出額の推移(門司税関・その他全国比較)

我が国のイチゴの輸出額の大部分が門司税関管内より輸出されており、その大半が福岡

県から輸出されているものと思量される。ただし、近年その傾向は弱まりつつあり、平成

27 年までは門司税関管内が過半を占めていたが、平成 28 年は 46%、平成 29 年は 36%と、

門司税関管内の輸出額自体は増加しているものの、門司税関以外での輸出量が急増してい

る。

図表2-7 イチゴの輸出額の推移(門司税関・その他全国比較)

資料)財務省「貿易統計」

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

14.0

16.0

18.0

20.0

H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29

(億円)

(年)

門司税関管内

その他全国

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第3章 香港におけるブランド意識、模倣品の状況 (1)店頭巡回、ヒアリング調査の概要 【実施日】2018 年 1 月 29 日(月)~31 日(水) 【店頭巡回店舗数】22 店舗 【ヒアリング店舗数】4 店舗 (2)店頭巡回、ヒアリング調査の結果概要 【日本産イチゴに対する評価】

• 全体的な傾向として、日本産イチゴは高級・高品質で、庶民的な食べ物ではないと

いう認識 • 中級~高級住宅地の人向けに日本産イチゴの売れ行きが伸びてきている • 香港の消費者は、日本の産地についても認識しており、福岡産、JA 八女などの単位

で購入する消費者もいる 【日本産イチゴの取扱実績】

• 香港への日本産イチゴの輸出量・輸出額は年々増えてきており、福岡空港だけでな

く、成田、羽田、関西空港での輸出も増加している • 小売店からは、品薄であっても、1パック 100HKD 以下で納品するよう指示。品薄

時期には赤字で納品 – いちごで赤字を出したとしても、取引を続けないと、他社に切り替えられて

しまう 【香港消費者の認識】

• 香港人は値段が安いから買うのではなく、味がよいから日本産イチゴを買う。よっ

て、試食をさせると買ってくれる • 今の香港人は絶対的な値段をみて判断はせず、お買い得で割引サービスがあるかど

うか、「おまけ」がついているか、等で判断する • ヒアリング時期の相場は、1パック 100HKD 前後 • 香港人は、いちごの購入の際、手にとって、上下左右を念入りに確認して購入。そ

のため店頭にてリパックすることも多い。 【販売上の課題】

• 従来の正規のインポーター以外に、越境 EC 等の個人輸入が増えており、市場に出

回る量が飽和状態になりつつあるため、品質等のブランドイメージが悪くなる恐れ

があるとの指摘あり • 以前は、日系高級スーパーでしか販売されていなかった「あまおう」が、近年では

露店や街市でも見受けられるように • 「あまおう」以外の品種も増えてきている • 農産物輸出量は増えているが、農家の高齢化・人手不足により供給サイドが限界を

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迎えることが懸念される。よって、量的な拡大よりも質的な拡大のほうが重要であ

るとの指摘あり 【模倣品の流通状況】

• 全体的な傾向として、日本産イチゴの模倣品についてはほとんど見たことがなく、

あったとしてもほとんど影響はないとの認識 • 香港の日系スーパーでは、日本人の目利きのバイヤーがいるので一目で模倣品かど

うかわかる。模倣品のようなものが流通する可能性は極めて低い • 香港の客は、非常に目が肥えており、見た目ですぐに見抜かれてしまう。また、現

在はインターネットですぐに調べることができるため、商品の説明と実物が異なれ

ば、苦情に発展する

(3)あまおうの価格比較 • 香港における店頭巡回の結果、「あまおう」の1パックあたりの最低価格は 55HKD、

最高価格は 168HKD と3倍以上の格差があった。総じて 90~110HKD の価格帯が

最も多く、各店舗において「あまおう」もしくは「ひのしずく」が最低価格である

店舗が多かった。

• 日本※香港販売日を考慮し、 1/25-26 に実施福岡市内・郊外店舗にて店頭巡回 – 最安値:580 円(直売所)/パック – 最高値:1,500 円(デパート)/パック

• 香港 – 最安値:55HKD(≒764 円)/パック – 最高値:168HKD(≒2,335 円)/パック

• ※1HKD=13.9 円 (4)模倣品 本調査期間中において、2018 年1月 29 日に、街市において、模倣品を発見した。 ポップでの産地、品種、価格の標記はなく、店員への聞き取りによると、1パック 38HKDであった。これは香港の小売店でのあまおう1パック半額程度である。 「JA かおふく八女」と記載された箱に入っており、同行した専門家によると、香港国内

ではよく見かける形態とのことであった。詰められているイチゴは、そのパッケージ、詰

め方、大きさなど全て異なっている。しかし、いちごを1個だけ取り出された場合、その

見た目は、一般消費者レベルでは、確実に異なると言い切れないレベルである。また、専

門家によると、食味も、それほど悪くなく、若干酸味が強いと言った印象であるとのこと

であり、中国本土産からの詰め替えではないかと指摘されている。

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第4章 香港での食味嗜好調査結果 (1)食味調査の概要 【対 象】香港在住の消費者 【実施日】2018 年 1 月 30 日(火) 【実施場所】 会場①:Two Chinachem Exchange Square (北角) 会場②:D2 Place TWO(茘枝角) 【回答者属性】 人数:62 名 年齢:平均年齢 31.1 歳 性別:男 30.6%、女 69.4% 国籍:香港:91.8%、中国(香港以外):4.9%、その他:3.3% 家族人数:平均 3.3 人 【食味調査用イチゴ品種】 日本産品種については、生産量が多い「あまおう」「さがほのか」「ゆうべに」に加え、

今後の増加が見込まれる「ゆめのか」「恋みのり」の5品種を選出した。 イチゴ①:あまおう イチゴ②:さがほのか イチゴ③:ゆめのか

イチゴ④:ゆうべに イチゴ⑤:恋みのり イチゴ⑥:米国産 イチゴ⑦:韓国産

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(2)香港での食味調査の結果概要 【地名・ブランドの認知度】

九州の地名について、佐賀・大分を除く九州各県は 75%以上の認知度があった(質問6)。

また、日本産イチゴのブランドの中では、福岡あまおう・福岡淡雪・熊本ひのしずくの

順で認知度が高くなっている(質問7,9) 。

【家庭用イチゴ】

家庭等でイチゴを食べる頻度について、「月に1度以下(30.6%)」が最も多く(質問1

0)、家庭用イチゴ購入の際のブランド意識について、「まれに気にして購入する(46.3%)」

が最も多かった(質問11)。

家庭用イチゴ購入の候補となる日本産ブランドについては、福岡あまおう(19.6%)、

福岡淡雪(16.1%)、熊本ゆうべに(10.7%)の順で高く、国別では日本産(66.1%)が最

も高かった(質問12)。

家庭用イチゴ購入の際に重視する項目について、鮮度(85.7%)、価格(71.4%)、味・

見た目(64.3%)の順で高く、安全性(37.5%)、産地(44,6%)については、過半数が重

視しないとの結果であった(質問14)。

【贈答用イチゴ】

贈答用イチゴ購入の候補となる日本産ブランドについて、福岡あまおう(17.9%)、福

岡淡雪(12.5%)、佐賀ほのか・長崎ゆめのか(5.4%)の順で高く、国別では日本産(46.4%)

が最も高かった(質問13)。

【模倣品】

「福岡あまおう」の模倣品について、見たことが「ない(88.7%)」が大部分を占めた

(質問17)。

「福岡あまおう」の模倣品を見分けるポイントについて、価格(33.9%)、つや(29.0%)、

パッケージ(27.4%)の順で高かった(質問18)。

【食味調査】

7段階評価のうち、上3段階(非常に良い、良い、やや良い)の割合でみると、以下

のとおり。

・「あまおう」は「総合評価(1 位)」「赤さ(1 位) 」「つや(3 位)」「甘さ(2 位※)」

で高評価であった

・「恋みのり」は「総合評価(2 位)」 「赤さ(2 位)」 「つや(1 位)」「粒の大きさ(1

位)」「甘さ(3位)」で高評価であった

・「ゆうべに」は「総合評価(3 位)」 」 「赤さ(3 位)」 「粒の大きさ(3 位)」 「甘

さ(1位)」で高評価であった

※上1段階(非常に良い)だけでみると、「甘さ(1位)」

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(3)アンケート結果

回答者の年齢について、全体の半数が 20 代であり、また、30 代と 10代以下も含めると、

全体の約4分の3が 30代以下の若年層で、若者の関心の高さがうかがえる。

図表4―1 アンケート属性(年齢)

資料)本アンケート調査結果

回答者の性別について、男性が 30.6%、女性 69.4%と女性の関心の高さがうかがえる。

図表4―2 アンケート属性(性別)

資料)本アンケート調査結果

10歳未満

1.7%

10代

6.9%

20代

50.0%30代

15.5%

40代

15.5%

50代

6.9%

60代以上

3.4%

N=58

平均年齢

31.1歳

30.6%

69.4%

N=62

【質問1】 年齢

【質問2】 性別

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回答者の国籍について、香港が 91.8%と大部分を占めている。

図表4―3 アンケート属性(国籍)

資料)本アンケート調査結果

回答者の家族構成について、4 人家族が最も多く、また、回答者の 33.8%が子供のいる

家族であった。

図表4―4 アンケート属性(家族人数) 図表4-5 アンケート属性(子供数)

資料)本アンケート調査結果 資料)本アンケート調査結果

香港

91.8%

中国

(香港以外)

4.9%

東南アジア

0.0%その他

3.3%

N=61

1人

3.2%

2人

27.4%

3人

21.0%

4人

33.9%

5人

11.3%

6人

3.2%

N=62

平均

3.3人

家族の人数

0人

66.1%

1人

17.7%

2人

12.9%

3人

1.6%4人

1.6%

N=62

平均

0.5人

子どもの人数

【質問3】 国籍

【質問4】 貴方を含めて同居している家族人数(うち子供の人数)

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回答者の平均世帯月収について、40,000-59,999HKD の割合が最も多く、その他の区分に

ついても、バランスよく回答を得ることができた。

図表4―6 アンケート属性(平均世帯月収)

資料)本アンケート調査結果

聞いたことがある日本の地名について、「北海道」「東京」「大阪」は 100%と回答者全員

が聞いたことがあり、その他「沖縄(95.2%)」「京都(93.5%)」「福岡(91.9%)」の順で、

知名度が高かった。 また、九州各県では、「佐賀」「大分」以外の県について 75%以上の知名度があり、「九州」

自体の知名度は 90.3%であった。

-9,9998.5%

10,000-19,99916.9%

20,000-29,99913.6%

30,000-39,99915.3%

40,000-59,99922.0%

60,000-79,99915.3%

80,000-8.5%

N=59

【質問5】 平均世帯月収(HKD)

ダブルペイやボーナスを含めた 1 年間の世帯収入を 12 で割ったものをお答えください

【質問6】 聞いたことがあるという日本の地名すべてに○をつけてください

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図表4―7 聞いたことのある日本地名

資料)本アンケート調査結果

見たこと・聞いたことがある国別産地について、日本産イチゴが最も高く 88.7%であった。

図表4―8 見聞きしたことのあるイチゴの国産地

資料)本アンケート調査結果

100.0

90.3

100.0

100.0

93.5

91.9

40.3

87.1

82.3

29.0

75.8

88.7

95.2

0.0

9.7

0.0

0.0

6.5

8.1

59.7

12.9

17.7

71.0

24.2

11.3

4.8

北海道

九州

東京

大阪

京都

福岡

佐賀

長崎

熊本

大分

宮崎

鹿児島

沖縄

0% 20% 40% 60% 80% 100%

N=62

知っている 知らない

67.7

79.0

88.7

32.3

21.0

11.3

アメリカ産イチゴ

韓国産イチゴ

日本産イチゴ

0% 20% 40% 60% 80% 100%

N=62

知っている 知らない

産 地

【質問7】 見たことがある、あるいは、聞いたことがあるという産地・ブランドすべて

に○をつけてください

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また、見たこと・聞いたことがある日本産イチゴのブランドについて、「福岡あまおう

(40.3%)」「福岡淡雪(35.5%)」「熊本ひのしずく(32.3%)」の順で認知度が高かった。

図表4―9 見聞きしたことのあるイチゴブランド

資料)本アンケート調査結果

質問7で選んだ産地のイチゴで、その特徴が言えるものについて、アメリカ産イチゴが

最も割合が高く、54.8%であった。

40.3

35.5

32.3

17.7

6.5

6.5

6.5

4.8

4.8

14.5

6.5

4.8

9.7

59.7

64.5

67.7

82.3

93.5

93.5

93.5

95.2

95.2

85.5

93.5

95.2

90.3

福岡あまおう

福岡淡雪

熊本ひのしずく

熊本ゆうべに

佐賀ほのか

長崎おいCベリー

長崎ゆめのか

長崎さちのか

大分ゆふおとめ

恋みのり

栃木とちおとめ

香川さぬきひめ

その他

0% 20% 40% 60% 80% 100%

N=62

知っている 知らない

ブランド

【質問8】 質問7で選んだ産地・ブランドのイチゴについて、その特徴を何かしら言

えるものがありますか(例えば、味であったり,見た目,大きさ,形,値段

など、どれでも結構です)。どのような特徴でも結構ですので、言える産

地すべてに○をつけてください

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16

図表4―10 特徴が言えるイチゴの国産地

資料)本アンケート調査結果

質問7で選んだ日本産イチゴのブランドで、その特徴が言えるものについて、「福岡あま

おう」「福岡淡雪」が 21.0%と最も割合が高く、次いで「熊本ひのしずく」「熊本ゆうべに」

が 11.3%であった。

図表4―11 特徴が言えるイチゴブランド

資料)本アンケート調査結果

54.8

51.6

51.6

45.2

48.4

48.4

アメリカ産イチゴ

韓国産イチゴ

日本産イチゴ

0% 20% 40% 60% 80% 100%

N=62

言える 言えない

産 地

21.0

21.0

11.3

11.3

4.8

3.2

4.8

3.2

4.8

9.7

0.0

3.2

4.8

79.0

79.0

88.7

88.7

95.2

96.8

95.2

96.8

95.2

90.3

100.0

96.8

95.2

福岡あまおう

福岡淡雪

熊本ひのしずく

熊本ゆうべに

佐賀ほのか

長崎おいCベリー

長崎ゆめのか

長崎さちのか

大分ゆふおとめ

恋みのり

栃木とちおとめ

香川さぬきひめ

その他

0% 20% 40% 60% 80% 100%

N=62

言える 言えない

ブランド

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17

食べたことのあるイチゴの産地について、アメリカ産が 74.2%で最も割合が高く、次い

で日本産(71.0%)、韓国産(64,5%)の順で高かった。

図表4―12 食べたことのあるイチゴの国産地

資料)本アンケート調査結果

食べたことのある日本産イチゴのブランドについて、「福岡あまおう(24.2%)」「福岡淡

雪(14.5%)」「熊本ひのしずく(12.9%)」の順で割合が高かった。

図表4―13 食べたことのあるイチゴブランド

資料)本アンケート調査結果

74.2

64.5

71.0

25.8

35.5

29.0

アメリカ産イチゴ

韓国産イチゴ

日本産イチゴ

0% 20% 40% 60% 80% 100%

N=62

ある ない

産 地

24.2

14.5

12.9

11.3

4.8

4.8

4.8

3.2

6.5

4.8

1.6

1.6

4.8

75.8

85.5

87.1

88.7

95.2

95.2

95.2

96.8

93.5

95.2

98.4

98.4

95.2

福岡あまおう

福岡淡雪

熊本ひのしずく

熊本ゆうべに

佐賀ほのか

長崎おいCベリー

長崎ゆめのか

長崎さちのか

大分ゆふおとめ

恋みのり

栃木とちおとめ

香川さぬきひめ

その他

0% 20% 40% 60% 80% 100%

N=62

ある ない

ブランド

【質問9】 食べたことのあるイチゴの産地・ブランドすべてに○をつけてください

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18

家庭等でイチゴを食べる頻度について、「食べる日が月に1度以下」が 30.6%と最も多く、

次いで、「食べる日が月に1度以上(27.4%)」「食べる日が月に 3 度以上(17.7%)」の順で

割合が高かった。

図表4―15 家庭等でイチゴを食べる頻度

資料)本アンケート調査結果

家庭用イチゴ購入の際の産地・ブランド意識について、「まれに気にして購入する」が

46.3%と最も多く、次いで「まったく気にせず購入する(18.5%)」「ときどき気にして購入

する(16,7%)」の順で割合が高かった。

図表4―16 家庭用イチゴ購入時の産地・ブランド意識

資料)本アンケート調査結果

食べる日が

月に3度以上

17.7%

食べる日が

月に1度以上

27.4%食べる日が

月に1度以下

30.6%

1度食べるか

食べないか

14.5%

全く食べない

9.7%

N=62

まったく

気にせず

購入する18.5%

まれに

気にして

購入する46.3%

ときどき

気にして

購入する16.7%

普段は

気にして

購入して

いる

11.1%

常に

気にして

購入して

いる

5.6%

購入する

ことはない

1.9%

N=54

【質問10】 イチゴのシーズン中,家庭等でイチゴを食べますか? 最もあてはま

るものを一つ選んでください

【質問11】 あなたが家庭用のイチゴを購入する際,産地あるいはブランドや品種

をどの程度意識しますか?最もあてはまるものを一つ選んでください

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19

家庭用イチゴ購入の候補となる産地について、日本産が 66.1%と最も割合が高かった。

図表4―17 家庭用イチゴ購入の候補となる産地

資料)本アンケート調査結果

家庭用イチゴ購入の候補となる日本産イチゴのブランドについて、「福岡あまおう

(19.6%)」「福岡淡雪(16.1%)」「熊本ゆうべに(10.7%)」の順で割合が高かった。

図表4―18 家庭用イチゴ購入の候補となる日本産イチゴブランド

資料)本アンケート調査結果

32.1

42.9

66.1

67.9

57.1

33.9

アメリカ産イチゴ

韓国産イチゴ

日本産イチゴ

0% 20% 40% 60% 80% 100%

N=56

ある ない

産 地

19.6

16.1

7.1

10.7

1.8

5.4

3.6

3.6

1.8

1.8

5.4

5.4

5.4

80.4

83.9

92.9

89.3

98.2

94.6

96.4

96.4

98.2

98.2

94.6

94.6

94.6

福岡あまおう

福岡淡雪

熊本ひのしずく

熊本ゆうべに

佐賀ほのか

長崎おいCベリー

長崎ゆめのか

長崎さちのか

大分ゆふおとめ

恋みのり

栃木とちおとめ

香川さぬきひめ

その他

0% 20% 40% 60% 80% 100%

N=56

ある ない

ブランド

【質問12】 あなたが家庭で消費する目的でイチゴを購入する場合,購入の候補と

なる産地・ブランドがありますか。当てはまるものすべてに○をつけて

Page 23: 輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアで …...輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアでの実態調査事業 報告書 2018

20

贈答用イチゴ購入の候補となる産地について、日本産が 46.4%と最も高く、韓国産・アメ

リカ産の倍以上の高さであった。

図表4―19 贈答用イチゴ購入の候補となる産地

資料)本アンケート調査結果

贈答用イチゴ購入の候補となる日本産イチゴのブランドについて、「福岡あまおう

(17.9%)」「福岡淡雪(12.5%)」「佐賀ほのか」・「長崎ゆめのか」(5.4%)の順で割合が

高かった。

図表4―20 贈答用イチゴ購入の候補となる日本産イチゴのブランド

資料)本アンケート調査結果

21.4

21.4

46.4

78.6

78.6

53.6

アメリカ産イチゴ

韓国産イチゴ

日本産イチゴ

0% 20% 40% 60% 80% 100%

N=56

ある ない

産 地

17.9

12.5

3.6

3.6

5.4

3.6

5.4

0.0

3.6

1.8

1.8

3.6

1.8

82.1

87.5

96.4

96.4

94.6

96.4

94.6

100.0

96.4

98.2

98.2

96.4

98.2

福岡あまおう

福岡淡雪

熊本ひのしずく

熊本ゆうべに

佐賀ほのか

長崎おいCベリー

長崎ゆめのか

長崎さちのか

大分ゆふおとめ

恋みのり

栃木とちおとめ

香川さぬきひめ

その他

0% 20% 40% 60% 80% 100%

N=56

ある ない

ブランド

【質問13】 あなたが,贈答用でイチゴを購入する場合、購入の候補となる産地・

ブランドがありますか。当てはまるものすべてに○をつけてください

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21

家庭用イチゴ購入の際に重視する項目について、「鮮度(85.7%)」「価格(71.4%)」「味」・

「見た目」(64.3%)の順で割合が高く、「安全性(37.5%)」と「産地(44.6%)」につい

ては、過半数が重視しないとの結果であった。

図表4―21 家庭用イチゴ購入の際に重視する項目

資料)本アンケート調査結果

日本産イチゴ1パック購入の際の妥当と思う価格帯について、80、90HK$が最も多く、回

答者 54 人中、45 人が妥当と回答した。

71.4

64.3

64.3

85.7

37.5

44.6

3.6

28.6

35.7

35.7

14.3

62.5

55.4

96.4

価格

見た目

鮮度

安全性

産地

その他

0% 20% 40% 60% 80% 100%

N=56

重視する 重視しない

【質問14】 あなたが家庭で消費する目的でイチゴを購入する場合、どの項目を重

視しますか。当てはまるものすべてに○をつけてください

【質問15】 あなたが日本産イチゴを 1 パック購入するのに、妥当と思う価格帯は

どれくらいですか。当てはまる価格帯を○で囲ってください

Page 25: 輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアで …...輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアでの実態調査事業 報告書 2018

22

図表4―22 日本産イチゴ1パック購入の際に妥当と思う価格帯

資料)本アンケート調査結果

贈答用イチゴの購入頻度について、「全く購入しない」が 46.8%と最も割合が高かった。

図表4―23 贈答用イチゴの購入頻度

資料)本アンケート調査結果

0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180 190 2000

10

20

30

40

50

60

70

80

90N=54

(HK$)

(%)

延べ5人以上

へ贈る

8.1%

延べ3人以上

へ贈る

14.5%

延べ1人以上

へ贈る

14.5%

1人へ贈るか

贈らないか

16.1%

全く

購入しない

46.8%

N=62

【質問16】 イチゴのシーズン中,誰かに贈り物をするためにイチゴを購入すること

がありますか?最もあてはまるものを一つ選んでください

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23

「福岡あまおう」の模倣品について、見たことが「ない」が 88.7%と大部分を占めた。

図表4―24 「福岡あまおう」の模倣品の認識について

資料)本アンケート調査結果

「福岡あまおう」の模倣品を見分けるポイントについて、「価格(33.9%)」「つや(29.0%)」

「パッケージ(27.4%)」の順で、割合が高かった。「価格」や「パッケージ」など、イチ

ゴそのものの特徴よりも、外見的な特徴が見分けるポイントとなっていることがうかがえ

る。

図表4―25 「福あまおう」の模倣品を見分けるポイント

資料)本アンケート調査結果

ある

11.3%

ない

88.7%

N=62N=62

19.4

29.0

22.6

24.2

33.9

27.4

14.5

80.6

71.0

77.4

75.8

66.1

72.6

85.5

赤さ

つや

粒の大きさ

価格

パッケージ

その他

0% 20% 40% 60% 80% 100%

N=62

模倣品と見分ける

ポイントである

模倣品と見分ける

ポイントではない

【質問17】 あなたは「福岡あまおう」の模倣品を見たことがありますか。あてはま

る方に○をつけてください

【質問18】 あなたが「福岡あまおう」を模倣品と見分けるポイントは何ですか。あ

てはまるものすべてに○をつけてください

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24

あイチゴの「赤さ」について、上3段階(非常に良い・良い・やや良い)の割合でみると、

「あまおう(87.1%)」「恋みのり(76.2%)」「ゆうべに(56.4%)」の順で評価が高く、上

1段階(非常に良い)の割合でみると、「あまおう(33.9%)」「恋みのり(16.9%)」「米国

産(9.7%)」の順で評価が高かった。

※ ①:あまおう、②:さがほのか、③:ゆめのか、④:ゆうべに、⑤恋みのり

⑥:米国産、 ⑦:韓国産

図表4―26 食味調査用イチゴの「赤さ」

資料)本アンケート調査結果

イチゴの「つや」について、上3段階(非常に良い・良い・やや良い)の割合でみると、

「恋みのり(83.0%)」「ゆめのか(71.0%)」「あまおう(67.7%)」の順で評価が高く、上

1段階(非常に良い)の割合でみると、「あまおう(17.7%)」「恋みのり(16.9%)」「ゆめ

のか(9.7%)」の順で評価が高かった。

図表4―27 食味調査用イチゴの「つや」

資料)本アンケート調査結果

【質問19】 まず、イチゴ①~⑦を見て、A から E までの項目について、最もあてはまるも

のを一つ選んでください

0.0

3.3 0.0

0.0

1.7

1.6

3.2

0.0

13.1

1.6

0.0

1.7

9.7

16.1

3.2

21.3

12.9

11.3

3.4

11.3

19.4

9.7

39.3

45.2

32.3

16.9

29.0

29.0

22.6

13.1

29.0

35.5

32.2

17.7

12.9

30.6

9.8

9.7

17.7

27.1

21.0

12.9

33.9

0.0

1.6

3.2

16.9

9.7

6.5

あまおう

さがほのか

ゆめのか

ゆうべに

恋みのり

米国産

韓国産

0% 20% 40% 60% 80% 100%

非常に

悪い

悪い やや

悪い

ふつう やや

良い

良い 非常に

良い

A 赤さ

N=62

N=61

N=62

N=62

N=59

N=62

N=62

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

6.6

8.1

1.6

3.3

0.0

0.0

0.0

16.4

9.7

8.1

11.5

3.2

13.1

3.4

29.5

17.7

22.6

23.0

25.8

26.2

13.6

29.5

35.5

19.4

31.1

40.3

39.3

33.9

9.8

12.9

30.6

24.6

21.0

16.4

32.2

6.6

16.1

17.7

6.6

9.7

4.9

16.9

1.6

0.0

あまおう

さがほのか

ゆめのか

ゆうべに

恋みのり

米国産

韓国産

0% 20% 40% 60% 80% 100%

非常に

悪い

悪い やや

悪い

ふつう やや

良い

良い 非常に

良い

B つや

N=62

N=61

N=62

N=61

N=59

N=61

N=62

Page 28: 輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアで …...輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアでの実態調査事業 報告書 2018

25

イチゴの「粒の大きさ」について、上3段階(非常に良い・良い・やや良い)の割合で

みると、「恋みのり(84.7%)」「さがほのか(78.3%)」「ゆうべに(75.4%)」の順で評価

が高く、上1段階(非常に良い)の割合でみると、 「恋みのり(52.5%)」「ゆうべに(18.0%)」

「あまおう(13.1%)」の順で評価が高かった。

図表4―28 食味調査用イチゴの「粒の大きさ」

資料)本アンケート調査結果

イチゴの「果肉の状態(痛み)」について、上3段階(非常に良い・良い・やや良い)の

割合でみると、「ゆめのか(85.4%)」「さがのほか(83.6%)」「恋みのり(83.3%)」の順

で評価が高く、上1段階(非常に良い)の割合でみると、「あまおう(29.0%)」「恋みのり

(28.3%)」「ゆうべに(19.4%)」の順で評価が高かった。

図表4―29 食味調査用イチゴの「果肉の状態(痛み)」

資料)本アンケート調査結果

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

0.0

31.7

0.0

3.3

1.7

1.6

0.0

18.0

28.3

8.2

1.7

10.0

3.3

1.7

19.7

18.3

18.0

16.7

46.7

19.7

13.6

23.0

16.7

24.6

51.7

16.7

21.3

11.9

24.6

1.7

36.1

23.3

20.0

36.1

20.3

14.8

1.7

13.1

3.3

5.0

18.0

52.5

0.0

1.7

あまおう

さがほのか

ゆめのか

ゆうべに

恋みのり

米国産

韓国産

0% 20% 40% 60% 80% 100%

非常に

悪い

悪い やや

悪い

ふつう やや

良い

良い 非常に

良い

C 粒の大きさ

N=61

N=60

N=60

N=61

N=59

N=61

N=60

3.2

0.0

0.0

0.0

1.7

9.7

6.5

0.0

1.6

0.0

0.0

0.0

9.7

14.5

9.7

4.9

1.6

6.5

3.3

19.4

11.3

12.9

9.8

12.9

19.4

11.7

14.5

19.4

11.3

31.1

30.6

32.3

21.7

19.4

12.9

33.9

36.1

40.3

22.6

33.3

19.4

29.0

29.0

16.4

14.5

19.4

28.3

8.1

6.5

あまおう

さがほのか

ゆめのか

ゆうべに

恋みのり

米国産

韓国産

0% 20% 40% 60% 80% 100%

非常に

悪い

悪い やや

悪い

ふつう やや

良い

良い 非常に

良い

D 果肉の状態(痛み)

N=62

N=61

N=62

N=62

N=60

N=62

N=62

Page 29: 輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアで …...輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアでの実態調査事業 報告書 2018

26

イチゴの「果肉の状態(へたれ)」について、上3段階(非常に良い・良い・やや良い)

の割合でみると、「恋みのり(81.7%)」「ゆうべに(79.0%)」「さがほのか(75.8%)」の

順で評価が高く、上1段階(非常に良い)の割合でみると、「恋みのり(26.7%)」「あまお

う(19.4%)」「さがほのか(16.1%)」の順で評価が高かった。

図表4―30 食味調査用イチゴの「果肉の状態(へたれ)」

資料)本アンケート調査結果

イチゴの「甘さ」について、上3段階(非常に良い・良い・やや良い)の割合でみると、

「ゆうべに(65.0%)」「あまおう(61.7%)」「恋みのり(47.4%)」の順で評価が高く、上

1段階(非常に良い)の割合でみると、「あまおう(21.7%)」「恋みのり(16.9%)」「ゆう

べに(10.0%)」の順で評価が高かった。

図表4―31 食味調査用イチゴの「甘さ」

資料)本アンケート調査結果

0.0

0.0

1.6

0.0

0.0

4.8

6.6

3.2

1.6

1.6

0.0

0.0

19.4

13.1

6.5

9.7

6.6

3.2

5.0

24.2

19.7

29.0

12.9

26.2

17.7

13.3

16.1

9.8

17.7

27.4

26.2

40.3

23.3

19.4

24.6

24.2

32.3

27.9

25.8

31.7

12.9

18.0

19.4

16.1

9.8

12.9

26.7

3.2

8.2

あまおう

さがほのか

ゆめのか

ゆうべに

恋みのり

米国産

韓国産

0% 20% 40% 60% 80% 100%

非常に

悪い

悪い やや

悪い

ふつう やや

良い

良い 非常に

良い

E 果肉の状態(へたれ)

N=62

N=62

N=61

N=62

N=60

N=62

N=61

0.0

0.0

0.0

1.7

3.4

17.2

8.2

3.3

11.3

5.1

3.3

6.8

27.6

11.5

5.0

19.4

15.3

11.7

13.6

20.7

18.0

30.0

27.4

42.4

18.3

28.8

15.5

27.9

23.3

22.6

20.3

36.7

16.9

13.8

16.4

16.7

14.5

8.5

18.3

13.6

5.2

9.8

21.7

4.8

8.5

10.0

16.9

0.0

8.2

あまおう

さがほのか

ゆめのか

ゆうべに

恋みのり

米国産

韓国産

0% 20% 40% 60% 80% 100%

非常に

悪い

悪い やや

悪い

ふつう やや

良い

良い 非常に

良い

F 甘さ

N=60

N=62

N=59

N=60

N=59

N=58

N=61

Page 30: 輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアで …...輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアでの実態調査事業 報告書 2018

27

イチゴの「酸味」について、上3段階(非常に良い・良い・やや良い)の割合でみると、

「米国産(54.9%)」「あまおう(26.3%)」「韓国産(24.2%)」の順で評価が高く、上1段

階(非常に良い)の割合でみると、「米国産(9.7%)」「ゆうべに(1.6%)」の順で評価が

高かった。

図表4―32 食味調査用イチゴの「酸味」

資料)本アンケート調査結果

イチゴの「果肉の硬さ」について、上3段階(非常に良い・良い・やや良い)の割合で

みると、「ゆめのか(65.0%)」「米国産(62.3%)」「恋みのり(45.8%)」の順で評価が高

く、上1段階(非常に良い)の割合でみると、「米国産(24.6%)」「恋みのり(8.5%)」「韓

国産(6.6%)」の順で評価が高かった。

図表4―33 食味調査用イチゴの「果肉の硬さ」

資料)本アンケート調査結果

14.8

18.3

5.0

21.0

22.0 1.6

8.1

23.0

20.0

11.7

25.8

30.5

8.1

14.5

13.1

31.7

26.7

16.1

22.0

19.4

25.8

23.0

16.7

35.0

16.1

18.6

16.1

27.4

14.8

11.7

16.7

8.1

3.4

24.2

17.7

11.5

1.7

5.0

11.3

3.4

21.0

6.5

0.0

0.0

0.0

1.6

0.0

9.7 0.0

あまおう

さがほのか

ゆめのか

ゆうべに

恋みのり

米国産

韓国産

0% 20% 40% 60% 80% 100%

非常に

悪い

悪い やや

悪い

ふつう やや

良い

良い 非常に

良い

G 酸味

N=61

N=60

N=60

N=62

N=59

N=62

N=62

3.2

3.2

3.3

4.9

5.1 1.6

4.9

4.8

4.8

1.7

8.2

5.1

11.5

13.1

8.1

30.6

3.3

13.1

13.6

14.8

6.6

43.5

25.8

26.7

44.3

30.5

9.8

36.1

30.6

29.0

40.0

13.1

10.2

9.8

18.0

6.5

4.8

20.0

14.8

27.1

27.9

14.8

3.2 1.6

5.0

1.6

8.5

24.6

6.6

あまおう

さがほのか

ゆめのか

ゆうべに

恋みのり

米国産

韓国産

0% 20% 40% 60% 80% 100%

非常に

悪い

悪い やや

悪い

ふつう やや

良い

良い 非常に

良い

H 果肉の硬さ

N=62

N=62

N=60

N=61

N=59

N=61

N=61

Page 31: 輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアで …...輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアでの実態調査事業 報告書 2018

28

イチゴの「総合評価」について、上3段階(非常に良い・良い・やや良い)の割合でみ

ると、「あまおう(72.1%)」「恋みのり(61.0%)」「ゆうべに(57.4%)」の順で評価が高

く、上1段階(非常に良い)の割合でみると、「あまおう(26.2%)」「恋みのり(11.9%)」

「ゆうべに(8.2%)」の順で評価が高かった。

図表4―34 食味調査用イチゴの「総合評価」

資料)本アンケート調査結果

0.0

1.6

3.2

1.6

3.4

21.3

8.1

1.6

8.2

4.8

3.3

10.2

21.3

16.1

4.9

16.4

17.7

8.2

13.6

18.0

21.0

21.3

31.1

33.9

29.5

11.9

26.2

24.2

24.6

23.0

19.4

26.2

25.4

8.2

21.0

21.3

18.0

17.7

23.0

23.7

1.6

6.5

26.2

1.6

3.2

8.2

11.9

3.3

3.2

あまおう

さがほのか

ゆめのか

ゆうべに

恋みのり

米国産

韓国産

0% 20% 40% 60% 80% 100%

非常に

悪い

悪い やや

悪い

ふつう やや

良い

良い 非常に

良い

I 総合評価

N=61

N=61

N=62

N=61

N=59

N=61

N=62

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29

第5章 とりまとめ (1)あまおうの現状評価 現在のあまおうは、香港内における日本産イチゴの数量面でのトップブランドである。

日本産農産物の輸出において、最も成功したブランドの1つと言っても過言ではない。 あまおうは、かなり早い段階で、香港マーケットの開拓のために、官民を挙げて PR 等が

行われてきた。さらにライバルブランドであった「とちおとめ」が東日本大震災により輸

入停止措置が講じられたことにより、代替商材として注目が集まり、全国各地の輸出業者

が取り扱うようになったことが、今のポジションを得た大きな要因である。 特にこの傾向は、統計的にも把握することができ、過去には、福岡空港だけで大半を占

めたイチゴの輸出量は、近年、東京方面(羽田空港・成田空港)や大阪方面(関西国際空

港)からの輸出量が急増し、福岡空港の輸出量シェアは、現在5割程度にまで落ち込んで

いる。 香港における日本産イチゴのマーケット拡大につれて、流通事業者も増えている。特に

近年、一部の輸出業者の存在感が大きくなっており、イチゴ価格低下の要因の1つと考え

られる。これに加えて、越境 EC などによる個人輸入も増えており、イチゴ価格の下落に歯

止めが掛からない状況になりつつある。 さらに、あまおうの現状は、なおも厳しいものがある。特に近年は、他ブランドの追い

上げも激しい。今回の小売店調査の結果をみれば、あまおうの取り扱いシェアは、ここ数

年で一気に減少し、約半分を他ブランドが占めるまでになった。数量的に追い上げを見せ

ているのは、熊本産ひのしずくや、佐賀産さがほのか等の九州ブランドである。隣県商品

で香港マーケットを奪い合っている状況にあり、「福岡あまおう」か「熊本ひのしずく」の

いずれかが店舗内の最低価格であった。 このような状況で、日本のあまおうは、香港の様々な小売店舗で扱われるようになった。

10 年ほど前までは、都心部の高級デパートだけでの取り扱いしかなかったが、少しずつ住

宅地の高級スーパーでも扱われるようにあり、現在は中所得者向けのスーパーであれば、

どこでも購入可能である。さらに最新の動きとして、香港の小売店舗数が最も多い一般向

けの層に相当する小売店でも、少しずつ販売されるようになっている。こうした中で、模

倣品を販売する金銭的インセンティブが小さくなったことから、香港内における偽物は、

ほぼ駆逐された状況にある。 現在の状況をどう見るかは、視点によって異なるだろう。輸出業者や輸入業者から見れ

ば、あまおうは一定水準以上の価格を維持することが難しく、高級品としての立ち位置か

ら後退したとの見解が強い。利益が出る商材ではなく、時期によっては大きく赤字となる

商材となっており、取り扱いを敬遠する業者も出つつある。一方で、香港の消費者から見

れば、過去には高嶺の花であったブランドを購入できるようになった。この視点に重点を

置けば、あまおうは香港で『定番化した』もしくは『定着した』と見ることもできる。

Page 33: 輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアで …...輸出向け農産物開発・ブランド化に向けた アジアでの実態調査事業 報告書 2018

30

(2)戦略的輸出の必要性 最後に本報告書では、あまおうの事例を、可能な限り一般化した上で、今後の日本産農

産物の輸出に関する展望を描きたい。 そもそも日本産農産物は、価格面から言えば、圧倒的に不利な商材である。しかし、そ

の高い品質と安全性が注目され、海外マーケットを切り拓いてきた。 海外輸出の第一歩は、輸出試験と現地マーケット調査から始まる。こうして黎明期を迎

えた農産物輸出の取組は、成長期に差し掛かると、現地の小売店等と連携して PR イベント

が頻繁に行われるようになり、本格的な市場開拓が始まる。いずれ国や自治体のサポート

から少しずつ脱却し、民間ベースでの輸出量が拡大する頃から成長期を迎え、輸出量が急

増するようになり、輸出先のマーケットに認知され、一定のシェアを獲得した頃に成熟期

を迎える。このような段階論において、あまおうの香港における現状をどこに置くかは、

判断が難しいところであるが、現地での認知度や販売数量、今後の成長性等を考慮すると、

成熟期を迎えつつある商材と言えよう。 我が国の農産物輸出は、他国と異なり、輸出専用団地はなく、専門の大規模な商社があ

るわけでもない。勿論、輸出業者が産地から直接仕入れて、現地に輸出することもあるが、

そのほとんどは、卸売市場を経由する等の方法で仕入れることで、輸出している。このよ

うな自由競争の中で行われる輸出の中で、あまおうの場合、近年、一部の輸出業者による

取扱数量の急増と越境 EC による個人ブローカーの台頭もあり、香港マーケットへの供給量

が急増し、価格が急激に下落している。ライセンス制度でもあれば、供給量を抑制するこ

とも可能であるが、日本のような輸出ビジネスでは、需要と供給による市場の調整能力は

皆無に等しく、極端に言えば、1 円でも儲かる限り、輸出が増えることになろう。長年、市

場開拓を行ってきたアウトプットのフリーライドが起こっており、先行者利益よりも、後

発者利益が圧倒的に勝るビジネス領域になっている。後発者のビジネスコンセプトは、『日

本ブランドを『親しみやすく、幅広く』というようなキーワードに集約することができ、

後発者の存在によって、日本産農産物の輸出が拡大していることを考慮すれば、このビジ

ネスモデルを否定することはできないだろう。ただし上述の過程で引き起こされる日本産

ブランドの低下、安売りの先に、何が起こるのかについては、共通認識として持っておく

必要がある。このような中、最近では、輸出業者の淘汰が起こっており、資本力のない業

者は、赤字の出るあまおうが取り扱うことができないために、現地のマーケットで商売が

出来ないと言った事例も見られるようになった。 このような状況は、今後、輸出先において大きなマーケットを獲得する日本産農産物が

現れる度に、繰り返し引き起こされる可能性が高く、下記のような対応策が求められる。 第一に、日本産農産物の輸出先でのマクロ的なマーケットそのものの拡大を図る必要が

ある。特にあまおうの場合、国内他品種とのマーケットの奪い合いが起こっており、日系

輸出業者の撤退も見られるようになった。このような現状を打開するためには、産地の協

力の下、ブランド再構築を含め、最優良商品の開発を行うなど、商品の再構成が必要とな

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31

る。例えば、長野産ブドウの「シャインマスカット」では、より厳格な基準により選別さ

れた「大地のしずく」が海外から注目されており、「JAながの」においては、今後のブラ

ンド戦略として、現地への過剰な供給がなされないように、輸出取引先を限定し、高い価

値のまま、確かな数量を輸出することに取り組んでいる。 第二に、他国の品質の向上に対して、日本産農産物の品質を上げていくことが求められ

る。特にここでは、輸出向け品種の開発に加え、国内出荷の延長線上にある輸出ビジネス

から脱却し、現地小売店の望む輸出パッケージの開発などを進めていくことが必要である。

例えば、国内では規格に適合しないため、グレードが下がってしまう大玉のイチゴが、香

港・台湾においては、大玉嗜好が強いため、高値で輸出される場合がある。長野産ブドウ

「シャインマスカット」についても、国内では「過剰な成熟」と見なされ嫌われる黄色い

色味のものも、中華圏ではゴールドの縁起の良いものとして好まれる傾向があり、輸出さ

れる事例もある。このように、国内向けと輸出向けの棲み分けが必要となってくる。 第三に、日本産農産物の市場開拓に向けて、多様な現地チャネルの活用が必要となろう。

特に近年では、店頭販売だけでなく、宅配やネット通販の存在感が大きくなっている。多

様なチャネルを活用することで、多くのマーケットにリーチする可能性を検討する必要が

ある。 第四に、農産物輸出を支える産業の育成が必要である。いちごに関する九州外からの輸

出の増加の要因は、アイテム数・数量の確保といった農産物の調達性と、輸出先への輸送

の定時性にある。特定のブランド・品種だけで農産物輸出ビジネスを行うことは難しく、

輸出業者は様々なブランドを顧客発注に合わせて調達しているが、九州は調達面、輸送面

で優位性のある地域とは言い難い。事業環境整備のためにも、農産物輸出を対象とした物

流インフラの構築が不可欠である。 最後に、農産物の生産拠点である九州を、輸出拠点として発展させていくためには、上

述したような課題に対して、共通認識を持つための輸出戦略の策定と実践していくことが

求められる。

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32

図表5-1 農産物輸出のステージ

資料)九州経済調査協会作成

黎明期 勃興期 成長期 成熟期 再成長期

変革期

(輸出量、

輸出金額)

(時間)

・輸出試験

・FS Marketing

・市場開拓・PR

国策・補助金 民間ベース

取扱小売店の拡大

輸出業者の参入拡大

マーケットの飽和と過剰供給

輸出業者の淘汰

ニーズの多様化、

(海外産含む)他品種の台頭

シェア競争の激化

・ブランド構築

・認知度向上

・成功事例づくり模倣品の流通

・他品種支援

・輸出産地拡大

あまおうの

現在のポジション

産地拠点=輸出拠点 調達拠点=輸出拠点

知財保護 活用

・マスを増やすための産業振興

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輸出向け農産物開発・ブランド化に向けたアジアでの実態調査事業 報告書

2018 年3月発行 発 行: 九州経済産業局

〒812-8546 福岡県福岡市博多区博多駅東 2 丁目 11 番 1 号 調査委託先: 公益財団法人九州経済調査協会

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