農林中金総合研究所 年 月 日号 - nochuri.co.jp · 7月29日(水) 米...

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農林中金総合研究所 2020 7 17 日号 調査第二部 農林中金総合研究所 無断転載を禁ず。本資料は、信頼できると思われる各種データに基づき作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するも のではありません。本資料は情報提供を目的に作成されたものであり、投資のご判断等はご自身でお願い致します。 木村 俊文 ≪来週・再来週の注目材料≫ イベント等 ・政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」キャンペーン(22日~):東京中心に新型コロナ感染 が再拡大する中、新規感染者の動向を見ながら再考すべきとの声が出ていたが、政府は東京発着の 旅行を対象外とした上で予定どおり行う方針となった。不安感が高い中、4 連休における国内旅行 がどの程度盛り上がるのか注目。 ・米議会審議:失業保険の追加給付や家賃の支払猶予などがこのままだと 7月末で期限切れとなる。 新型コロナに関連した追加経済対策としてどの程度のものが出てくるのか注目。 ・米FOMC(28~29 日):政策変更なく、現行の金融緩和策を維持する見通し。 ・決算発表:米国(GAFA やテスラなど)に続き、欧州や国内の主要企業の決算発表が本格化。 経済指標 ・国内20日「貿易統計(6月)」:新型コロナの影響で引き続き輸出入ともに大きなマイナスとな る見通し。貿易収支は 2 ヶ月連続の赤字になると予想。また、31 日には雇用や生産など注目度の 高い指標が発表される予定。 ・米国 30 日「GDP(4~6 月期速報)」:1~3 月期(前期比年率▲5.0%)から大幅減速する見通し。 ・欧米 24日「製造業・サービス業 PMI(7月)」:行動制限再開の影響が出るのか。7月のデータは 注目度が高い。 ≪マーケットの動き≫ ≪来週・再来週のスケジュール(7/20~7/31)≫ 月 日 国内の予定 海外の予定 7 月 20 日(月) 「貿易統計(6 月)」(5p に予測掲載) 日銀金融政策決定会合議事要旨(6/15・16 分) 欧 「経常収支(5 月)」 7 月 21 日(火) 「消費者物価(6 月全国)」(5p に予測掲載) 国庫短期証券(6M)入札(3.1 兆円) 20 年利付国債入札(1.2 兆円) 7 月 22 日(水) 政府「月例経済報告(7 月)」 国庫短期証券(3M)入札(7.64 兆円) 政府が「Go To トラベル」事業を開始 米 「中古住宅販売(6 月)」 G20 デジタル経済相会合(サウジアラビアのリヤド、~23 日、オンライン開催) 7 月 23 日(木) 休場(海の日) 欧 「消費者信頼感(7 月)」 米 「新規失業保険申請件数(7 月 18 日週)」 米 「失業保険継続受給者数(7 月 11 日週)」 米 「景気先行指数(6 月)」 米 大リーグ(MLB)開幕 7 月 24 日(金) 休場(スポーツの日) 欧 「製造業・サービス業 PMI(7 月)」 米 「製造業・サービス業 PMI(7 月)」 米 「新築住宅販売(6 月)」 今週の実績 17日 午前 来週・再来週の予想 (資料)Bloombergより作成 (注)来週の予想は当社予想。 0.010~0.025 0.010 小幅上昇 106.67~107.43 107.26 横ばい 為替レート (1ドル=円) 22,538.78~22,965.56 22,773.95 長期金利 (10年国債利回り、%) 株価 (日経平均株価、円) 横ばい

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農林中金総合研究所 2020 年 7 月 17 日号

調査第二部

農林中金総合研究所 無断転載を禁ず。本資料は、信頼できると思われる各種データに基づき作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するも

のではありません。本資料は情報提供を目的に作成されたものであり、投資のご判断等はご自身でお願い致します。

木村 俊文

≪来週・再来週の注目材料≫

イベント等 ・政府の観光需要喚起策「Go To トラベル」キャンペーン(22 日~):東京中心に新型コロナ感染が再拡大する中、新規感染者の動向を見ながら再考すべきとの声が出ていたが、政府は東京発着の旅行を対象外とした上で予定どおり行う方針となった。不安感が高い中、4連休における国内旅行がどの程度盛り上がるのか注目。 ・米議会審議:失業保険の追加給付や家賃の支払猶予などがこのままだと 7月末で期限切れとなる。新型コロナに関連した追加経済対策としてどの程度のものが出てくるのか注目。 ・米 FOMC(28~29 日):政策変更なく、現行の金融緩和策を維持する見通し。 ・決算発表:米国(GAFA やテスラなど)に続き、欧州や国内の主要企業の決算発表が本格化。 経済指標 ・国内 20 日「貿易統計(6 月)」:新型コロナの影響で引き続き輸出入ともに大きなマイナスとなる見通し。貿易収支は 2 ヶ月連続の赤字になると予想。また、31 日には雇用や生産など注目度の高い指標が発表される予定。 ・米国 30 日「GDP(4~6 月期速報)」:1~3 月期(前期比年率▲5.0%)から大幅減速する見通し。 ・欧米 24 日「製造業・サービス業 PMI(7 月)」:行動制限再開の影響が出るのか。7月のデータは注目度が高い。

≪マーケットの動き≫

≪来週・再来週のスケジュール(7/20~7/31)≫

月 日 国内の予定 海外の予定

7 月 20 日(月) 「貿易統計(6 月)」(5p に予測掲載)

日銀金融政策決定会合議事要旨(6/15・16 分)

欧 「経常収支(5 月)」

7 月 21 日(火) 「消費者物価(6 月全国)」(5p に予測掲載)

国庫短期証券(6M)入札(3.1 兆円)

20 年利付国債入札(1.2 兆円)

7 月 22 日(水) 政府「月例経済報告(7 月)」

国庫短期証券(3M)入札(7.64 兆円)

政府が「Go To トラベル」事業を開始

米 「中古住宅販売(6 月)」

G20 デジタル経済相会合(サウジアラビアのリヤド、~23

日、オンライン開催)

7 月 23 日(木) 休場(海の日) 欧 「消費者信頼感(7 月)」

米 「新規失業保険申請件数(7 月 18 日週)」

米 「失業保険継続受給者数(7 月 11 日週)」

米 「景気先行指数(6 月)」

米 大リーグ(MLB)開幕

7 月 24 日(金) 休場(スポーツの日) 欧 「製造業・サービス業 PMI(7 月)」

米 「製造業・サービス業 PMI(7 月)」

米 「新築住宅販売(6 月)」

今週の実績

17日 午前来週・再来週の予想

(資料)Bloombergより作成 (注)来週の予想は当社予想。

0.010~0.025

0.010

小幅上昇

106.67~107.43

107.26

横ばい

為替レート(1ドル=円)

22,538.78~22,965.56

22,773.95

長期金利(10年国債利回り、%)

株価(日経平均株価、円)

横ばい

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農林中金総合研究所 2020 年 7 月 17 日号

調査第二部

農林中金総合研究所

無断転載を禁ず。本資料は、信頼できると思われる各種データに基づき作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するも

のではありません。本資料は情報提供を目的に作成されたものであり、投資のご判断等はご自身でお願い致します。

7 月 27 日(月) 「全産業活動指数(4 月)」

「景気動向指数(5 月・改定値)」

日銀金融政策決定会合「主な意見」(7/14-15 分)

日本取引所グループ(JPX)の大阪取引所が東京

商品取引所から貴金属市場などの移管を受け、

金融先物と商品先物を一体的に扱う総合取引所

として本格稼働

欧 「マネーサプライ(6 月)」

独 「ifo 企業景況感(7 月)」

米 「耐久財受注(6 月)」

7 月 28 日(火) 「企業向けサービス価格指数(6 月)」

40 年利付国債入札

米 「ケース・シラー住宅価格(5 月)」

米 「コンファレンス・ボード消費者信頼感(7 月)」

米 「リッチモンド連銀製造業指数(7 月)」

米 連邦公開市場委員会(FOMC、~29 日)

アジアインフラ投資銀行(AIIB)年次総会(オンライン開催)

7 月 29 日(水) 米 「住宅販売保留指数(6 月)」

米 パウエル FRB 議長会見

7 月 30 日(木) 「商業動態統計(6 月)」

2 年利付国債入札

欧 「失業率(6 月)」

米 「新規失業保険申請件数(7 月 25 日週)」

米 「失業保険継続受給者数(7 月 18 日週)」

米 「GDP(4~6 月期速報)」

7 月 31 日(金) 「失業率(6 月)」

「有効求人倍率(6 月)」

「鉱工業生産(6 月)」

「住宅着工(7 月)」

「消費動向調査(7 月)」

国庫短期証券(3M)入札

中 「製造業 PMI(7 月)」

欧 「GDP(4~6 月期速報)」

欧 「消費者物価指数(7 月)」

米 「個人所得・消費支出(6 月)」

米 「個人消費支出デフレーター(6 月)」

米 「新築住宅販売(6 月)」

米 「四半期雇用コスト指数(4~6 月期)」

米 「シカゴ購買部協会景気指数(7 月)」

米 「ミシガン大学消費者信頼感指数(7 月確報)」

【次号休刊のお知らせ】 いつも Weekly 金融市場をご愛読いただき、誠にありがとうございます。7 月 22 日付発行号は休刊させていただきます。次号は 7 月 31 日の発行予定です。ご了承のほど、よろしくお願いいたします。

【お問い合わせ先】

お気づきの点やご意見・ご要望がございましたら、お気軽にお寄せください。

調査第二部 木村 03-6362-7766 [email protected] まで

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農林中金総合研究所

1.今週のレビューと来週の指標予測 新谷 弘人

① 今週のレビュー

内外ともに「新型コロナ感染拡大防止と社会経済活動の両立」が至難の業であることが浮き彫りとなっ

ている。今週は日米金融政策当局のレポートとコロナ禍での投資家の動きについてご報告したい。

日銀が 14~15 日に開催した金融政策決定会合は予

想どおり政策変更なしであった。会合後に公表した展望

レポートによれば、政策委員の 20 年度見通しの中央値

は実質 GDP 成長率▲4.7%、消費者物価上昇率(CPI)

▲0.5%とコロナ禍による景気・物価面への影響を反映し

たものとなっている。ちなみに民間予想平均(ESP フォー

キャスト調査)では 20 年度実質 GDP▲5.44%、CPI▲

0.51%である。なお、日銀の物価見通しは、22 年度で

+0.7%と低水準で、以前に比べるとかなり民間見通し

(+0.59%)に近くなっている印象があり、物価安定目標で

ある 2%ははるか彼方となってしまった。

一方、15 日に公表されたベージュブック(米国の 12 地

区連銀が管轄地区の直近の経済状況を報告したもの、

FOMC(7/28~29)開催の前に取りまとめられる)によれば、全米ほとんどの地域で経済活動は活発化し

たが、コロナ前の水準と比較すると大幅に下回っている、としている。なお、新型コロナ感染者の再拡大で

一部の州で復活している行動制限などの影

響は織り込めていないようである。

次にコロナショックをはさんだ投資家の動

向について触れてみたい。財務省が月次・

週次で公表している対外及び対内証券売買

契約の状況や国際収支統計によれば、国内

投資家の外国債券投資は、株価が暴落した

ため長期金利が乱高下した 3 月を含め年初

来大幅買い越しであったが、新年度入り後の

4・5 月は利益確定の売りとみられる売り越し

となった。金利水準がおおむね低位安定と

なった 6 月は大幅買い越しに転じ、7 月 2 週

に入っても継続している。投資家部門別では

引き続き銀行が主導している。ソブリン債の

動きをみると、3 月の買いと 4・5 月の売りとも

米国債が主。また、4・5 月だけでオーストラリ

ア国債(州政府債を含む)に計 1兆円超の買

2020~22年度の政策委員の大勢見通し対前年度比、%、<>内は見通しの中央値

2020年度 ▲5.7 ~ ▲4.5 ▲0.6 ~ ▲0.4<▲4.7> ▲0.5

4月時点 ▲5.0 ~ ▲3.0 ▲0.7 ~ ▲0.32021年度 +3.0 ~ +4.0 +0.2 ~ +0.5

<+3.3> <+0.3>4月時点 +2.8 ~ +3.9 0.0 ~ +0.7

2022年度 +1.3 ~ +1.6 +0.5 ~ +0.8<+1.5> <+0.7>

4月時点 +0.8 ~ +1.6 +0.4 ~ +1.0(資料)日本銀行 経済・物価情勢の展望(20年7月)

実質GDP 消費者物価(除く生鮮)

(注)4月時点では先行きの不確実性が大きいとして、各委員はレンジで見通しを策定しているため算出方法が異なる。

ESPフォーキャスト調査(7/9公表)

2020年度 ▲5.44 ▲0.512021年度 +3.29 +0.202022年度 +1.20 +0.59(資料)日本経済研究センター、回答期間6/25~7/6、回答数35)

実質GDP 消費者物価(除く生鮮)

-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

1月2014

4月 7月 10月 1月2015

4月 7月 10月 1月2016

4月 7月 10月 1月2017

4月 7月 10月 1月2018

4月 7月 10月 1月2019

4月 7月 10月 1月2020

4月

対外ソブリン債投資(中長期債)

アメリカ合衆国 オーストラリア ドイツ フランス イタリア 英国 その他計

(兆円)

(資料)財務省 国際収支

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5-8

-6

-4

-2

0

2

4

6

8

1月 3月 5月 7月 9月 11月 1月 3月 5月 7月 9月 11月 1月 3月 5月 7月 9月 11月 1月 3月 5月 7月 9月 11月 1月 3月 5月 7月 9月 11月 1月 3月 5月 7月 9月 11月 1月 3月 5月

2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

投資部門別対外証券投資(中長期債)

銀行 信託 証券等 生保 投信 その他 米国債10年金利(月末・右軸・逆目盛)

(兆円)

(資料)財務省 投資家部門別対外証券投資 指定報告機関ベース、ブルームバーグ

(%)

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農林中金総合研究所

いが入っているのも特徴的、金利面で相

対的に魅力が高まったことが背景とみられ

る。

一方、国内投資家の対外株式投資では、

暴落した 3 月は現行方式の統計になった

14 年以降では最大の月間買い越しとなっ

た。年金とみられる信託勘定が主導してい

る。なお、5・6 月は事業法人や個人の動き

が反映される「その他」で 1兆円を超える売

買があるが、財務省に問い合わせたものの

詳細は答えられない、とのことであった。ま

た、7月第2週に 3.6兆円と空前の売り越し

となっているが、こちらも財務省によれば、

「コロナ禍にともなう資金回金とかではなく

テクニカルなもので、市場に影響を及ぼす

ものではない」とのことであった。詳細は今

のところ謎である。

最後に日本株への投資家の動向(7月 2

週まで)である。海外投資家は、2 月以降

大幅売り越しとなっており年初来では現物だけで▲4.5 兆円に達している。地域別では欧州からの売りが

太宗、特に 3月下旬から 4月初にかけて▲2兆円の売り越し。ただ、5月中旬以降先物は買い越しに転じ

ている。

一方、個人投資家は買い基調が続いており、年初来でその幅は 1.7 兆円となっている。売買高全体に

占めるシェアも 19年平均の 20%程度から 6月には 25%まで上昇しており、存在感がやや増した状態だ(海

外投資家は 19 年 71%から 6 月 68%に低下)。ネット証券での口座開設も大幅増とのことであり、資産形成

のいいきっかけとなればよいのだが。

また、19 年度の大幅赤字(運用損)が報道された年金(信託)についても、3 月下旬から 4 月上旬にか

けてはしっかりとリバランスの買いを行っている模様。なお、6 月下旬以降も買いに回っている(年初来で

は 1.5 兆円の買い越し)。

15000

16000

17000

18000

19000

20000

21000

22000

23000

24000

25000

-12

-10

-8

-6

-4

-2

0

2

4

2018.1

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 2019.1

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 2020.12 3 4 5 6 7

(兆円) 投資部門別 株式売買状況(累積2018/1以降)

個人 海外投資家 海外投資家(先物) 信託銀行 日経平均(右軸)

(資料)日本取引所グループ(現物は東証・名証1・2部等、49社集計、先物は日経225、日経225mini、TOPIX、ミニTOPIX)

1,500

1,700

1,900

2,100

2,300

2,500

2,700

2,900

3,100

3,300

3,500

-2

-1.5

-1

-0.5

0

0.5

1

1.5

2

2.5

1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月 1月 4月 7月 10月 1月 4月

2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020

投資部門別対外証券投資(株式・投資ファンド持分)

銀行 信託 証券等 生保 投信 その他 米国S&P500(月末・右軸)

(兆円)

(資料)財務省 投資家部門別対外証券投資 指定報告機関ベース、ブルームバーグ

(%)

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農林中金総合研究所

南 武志

②来週発表予定の経済指標

6月の貿易統計【7月 20日(月)8:50】

<当社予測>貿易収支:原系列▲986億円(5月:▲8,382億円)

季調済▲5,304億円(5月:▲6,010億円)

輸出:前年比▲25.0%(5月:▲28.3%)、輸入:同▲16.0%(5月:▲26.2%)

6月上中旬の輸出入金額は前年比でそ

れぞれ▲25.2%、▲18.4%と、5 月に比

べて減少率はやや縮小したものの、引

き続き大きなマイナスである。一足早く

再稼働した中国に加え、5 月以降は日

本を含め主要国で経済活動の再開が

始まったが、全面的な制限解除には至

っておらず、また感染第 2波への警戒も

あり、貿易数量の回復テンポが鈍いこと

は否めない。以上から、6 月の通関貿易

収支は 2 ヶ月連続の赤字と予想する。

6月の全国消費者物価【7月 21日(火)8:30 】

<当社予測>総合:前年比 0.0%(5月:0.1%)、生鮮食品を除く総合(コア):同▲0.2%(5月:▲0.2%)、

生鮮食品・エネルギーを除く総合(コアコア):同 0.2%(5月:0.4%)

6 月(中旬速報)の東京都区部消費者物価

(除く生鮮食品)は前年比 0.2%と、2 ヶ月

連続の上昇であった。生鮮食品を除く食

料、宿泊料、補習教育が物価変動率の押

し下げ要因であったが、ガソリンや携帯電

話通話料の値上がりで相殺された格好で

あった。基本的に、5 月中旬以降は緊急事

態宣言が段階的に解除され、消費行動も

持ち直しつつあると思われるが、需給バラ

ンス自体は大きく崩れており、下落圧力は

根強いことから、6月の全国コアは 3ヶ月連

続の下落と予想する。

-2

-1

0

1

2

3

4

2010年

2011年

2012年

2013年

2014年

2015年

2016年

2017年

2018年

2019年

2020年

消費者物価の推移

全国コア

東京コア

(資料)総務省統計局

(%前年比)

-50

-40

-30

-20

-10

0

10

20

30

40

50

-2,000

-1,500

-1,000

-500

0

500

1,000

1,500

2,000

2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年

通関貿易の動向

貿易収支(左目盛) 輸出(右目盛) 輸入(右目盛)

(資料)財務省 (注)通関貿易収支は季節調整値

(10億円) (%前年比)

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農林中金総合研究所

2.国内市場

(資料)Bloomberg より農中総研作成

佐古 佳史

◎市場概況 (7/13~7/17 前場)

感染症の治療薬開発への期待が高まったことから、株式市場では 13、15日の日経平均は大幅上昇。

一転して 16 日は、国内外の新規感染者数の増加などが嫌気され反落した。17 日前場は小反発し、期

間を通じて 2.17%の上昇となる 22,773.95 円で取引終了。東証株価指数 17 業種別では、不動産、エネ

ルギーが強かった。

為替相場は 1 ドル=107 円を挟んだ小動き。リスクセンチメントの改善に伴い、13 日から 14 日にかけて

1 ドル=106 円台後半から 107 円台前半まで円安が進んだ。15 日の遅い時間に一旦 106 円半ばまで再

び円高となった後、リスクオフが強まった 16 日はドル買いもあったことで、107 円前後での揉み合いとな

った。17 日午前はやや円安に振れ 107 円前半での推移。

債券市場では、新発 10 年物国債利回りは 13、15 日に 0.025%まで上昇する局面が見られたものの、

14 日、16 日の流動性供給入札で強い需要が示されたことや、感染者数の増加などを背景として、週後

半は利回りは低下した。17 日午前は 0.01%での推移。

▲ 0.2

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 15 20 25 30 40

(%)

(年)

日本国債のイールドカーブ

20/7/16 20/6/19

20/4/16 20/1/18

▲ 0.05

0.00

0.05

0.10

0.15

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 15 20 25 30 40 (年)

1週前差 1ヶ月前差 3ヶ月前差

20,000

20,500

21,000

21,500

22,000

22,500

23,000

23,500

5月28日 6月10日 6月23日 7月6日 7月17日

(円) 日経平均の推移 25日移動平均

200日移動平均

106

106.5

107

107.5

108

108.5

109

109.5

110

5月28日 6月10日 6月23日 7月6日 7月17日

(円) ドル円の推移 25日移動平均

200日移動平均

▲ 0.02

0.00

0.02

0.04

0.06

5月28日 6月10日 6月23日 7月6日 7月17日

(%) 新発10年物国債利回りの推移

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農林中金総合研究所

3-1.海外市場(米国)

(資料)Bloomberg より農中総研作成

佐古 佳史

◎市場概況 (7/10~7/16)

新型コロナウイルスに対する治療法についての楽観的な見通しが広がったこともあり、株式市場では

ダウ平均が 10 日に 370 ドル、14 日に 570 ドルの大幅高となった。16 日は期間を通じて 4.0%の上昇と

なる 26,734.71 ドルで取引終了。主要セクター別では、エネルギーが+7.9%の一方、このところ上昇が

続いていたテクノロジーが▲1.7%。株式市場とは対照的に債券市場では、感染者数の拡大が懸念さ

れたことや、消費者物価指数の鈍化(14 日、コア区分で前年比 1.2%)、新規失業保険申請件数が小

幅な減少にとどまったことなどが材料視された。米長期金利(10 年債利回り)は期間を通じて変化がな

く、16 日は 0.62%となった。

0

0.5

1

1.5

2

2.5

1ヶ月3ヶ月6ヶ月 1年 2年 3年 5年 7年 10年 30年

(%) 米国債のイールドカーブ

20/7/16

20/4/15

20/1/17

▲ 0.2

▲ 0.1

0.0

0.1

1ヶ月3ヶ月6ヶ月 1年 2年 3年 5年 7年 10年 30年

(%)米国債利回りの変化

1週前差 1ヶ月前差 3ヶ月前差

23,000

24,000

25,000

26,000

27,000

28,000

5月26日 6月8日 6月19日 7月2日 7月16日

(ドル) ダウ平均の推移

25日移動平均

200日移動平均

0.5

0.6

0.7

0.8

0.9

1.0

5月26日 6月8日 6月19日 7月2日 7月16日

(%) 10年物米国債利回りの推移

Page 8: 農林中金総合研究所 年 月 日号 - nochuri.co.jp · 7月29日(水) 米 「住宅販売保留指数(6月)」 米 パウエルfrb議長会見 7月30日(木) 「商業動態統計(6月)」

農林中金総合研究所

3-2.海外市場(欧州、中国) (欧州)山口 勝義(中国)王 雷軒

◎市場概況 (7/10~7/16)

【欧州】

感染症治療薬やワクチンの開発に向けた楽観的な見方とスペインなどでの新規感染者の増加が交錯し、

また企業の決算発表や ECB 理事会(16 日)、EU 首脳会議(17、18 日)を控え、方向感に乏しい動きが続い

た。主要な経済指標では、景気回復の困難さを示す指標が目立った。ユーロ圏の 5月の鉱工業生産(14日)

や英国の同月のGDP(14日)は、それぞれ前月からは回復したものの予想を下回った。また、ドイツの 7月の

ZEW 指数(14 日)も、現状指数は前月からは回復したものの予想を下回り、期待指数は予想以上に前月から

低下した。なお ECB は 16 日、政策を据え置いた。期間を通じ 10 年債で、ドイツ国債は変わらずの水準。一

方、株式市場では、ストックス欧州600指数は2.3%上昇。このうち主要セクター別では、銀行が5.3%、石油・

ガスが 4.7%、旅行・レジャーが 4.4%、の各上昇、テクノロジーが 0.7%の下落、などであった。

【中国】

注目されていた 4~6 月期の実質 GDP(16 日、速報)は前年比 3.2%と市場予想を上回ったものの、株式

市場は大幅な下落となった。国の投資機関が投資先の株式を売却すると発表したほか、金融当局(銀保会)

も違法な外部信用取引(場外配資)への取り締まりを強化するなど、これまで急上昇してきた市場に対する当

局の警戒姿勢が鮮明となり、10 日の上海総合指数は 9 営業日ぶりの下落に転じた。その後、景気回復への

期待などから一旦反発したものの、香港情勢などをめぐる米中摩擦の激化や中国の大手通信機器メーカー

であるファーウェイへの制裁を受けて英中関係の悪化懸念が強まったほか、利益確定売りや大手半導体企

業の IPO もあり、3 営業日続落、16 日の終値は前日比 4.5%安の 3,210.1 ポイントとなった。期間を通じては

7.0%の急落となった。

▲ 5

0

5

10

15

フランス

イタリア

スペイン

ギリシャ

アイル

ランド

ポルトガル

英国

(参考)米国

(参考)日本

(bp)

ドイツ国債との利回りスプレッド変動幅

(10年債)(直近1週間)

50

100

150

200

250

250

300

350

400

450

20/1 20/2 20/3 20/4 20/5 20/6 20/7

(ポイント) 欧州の株価指数

ストックス欧州600指数(左軸) うち銀行セクター(右軸)

6.8

6.9

7.0

7.1

7.22,600

2,700

2,800

2,900

3,000

3,100

3,200

3,300

3,400

3,500

20/1 20/2 20/3 20/4 20/5 20/6 20/7

↑人民元高

(人民元/ドル)(ポイント)上海総合指数/人民元レート

上海総合指数(左軸) USD/CNY(右軸)

▲ 1

0

1

2

3

20/1 20/2 20/3 20/4 20/5 20/6 20/7

(%)

欧州の国債利回り(10年債)

イタリア スペイン 英国 ドイツ

(資料)Bloomberg より農中総研作成