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1 京都大学 防災研究所 技術室通信 No. 53 Technical information 199 6/10/28 平成8年度技術研究会の開催について ――――――――― 1 インドネシアの火山 ――――――――――――――――― 2 現在進行中,第9回桜島火山の集中総合観測 ―――――― 9 ―――――――――――――――――――――――――――――――― 平成8年度技術研究会の開催について 名古屋分科会(装置開発等) 1)日時:平成9年2月6日(木) 13:30~17:30分科会 18:00~20:00懇親会 2月7日(金) 9:30~15:30分科会 2)場所:名古屋大学 (名古屋市千種区不老町) 3)技術分野(1)装置開発技術(機械工作、装置設計、工作一般) (2)ガラス工作技術 岡崎分科会(生物技術等) 1)日時:平成9年3月13日(木)13:00~17:30技術発表 18:00~20:00懇親会 3月14日(金) 9:00~15:00技術発表 15:00~16:00所内見学 2)場所:岡崎日立共同研究桟神, 基礎生物研究所 3)技術分野 (1)遺伝子/ペプチド/タンパク質の解析 (2)形態/組織の解析 (3)培養/飼育/栽培など (4)コンピュータの運用 (5)機器分析/測定技術 (6)研究室/研究施設/特殊な装置等の紹介 申し込み締切日 名古屋分科会:平成8年11月19日(火)まで 岡崎分科会:平成8年11月11日(月)まで なお、参加申込書等 詳細は技術室までお問い合わせ下さい, 次回(11月中旬)は、中尾・矢部両技官にお願いします。

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京都大学 防災研究所

技術室通信 No.53 Technical information 1996/10/28

目 次

平成8年度技術研究会の開催について ――――――――― 1

インドネシアの火山 ――――――――――――――――― 2

現在進行中,第9回桜島火山の集中総合観測 ―――――― 9

――――――――――――――――――――――――――――――――

平成8年度技術研究会の開催について

名古屋分科会(装置開発等)

1)日時:平成9年2月6日(木) 13:30~17:30分科会

18:00~20:00懇親会

2月7日(金) 9:30~15:30分科会

2)場所:名古屋大学 (名古屋市千種区不老町)

3)技術分野(1)装置開発技術(機械工作、装置設計、工作一般)

(2)ガラス工作技術

岡崎分科会(生物技術等)

1)日時:平成9年3月13日(木)13:00~17:30技術発表

18:00~20:00懇親会

3月14日(金) 9:00~15:00技術発表

15:00~16:00所内見学

2)場所:岡崎日立共同研究桟神, 基礎生物研究所

3)技術分野 (1)遺伝子/ペプチド/タンパク質の解析

(2)形態/組織の解析 (3)培養/飼育/栽培など

(4)コンピュータの運用 (5)機器分析/測定技術

(6)研究室/研究施設/特殊な装置等の紹介

申し込み締切日 名古屋分科会:平成8年11月19日(火)まで

岡崎分科会:平成8年11月11日(月)まで

なお、参加申込書等 詳細は技術室までお問い合わせ下さい,

次回(11月中旬)は、中尾・矢部両技官にお願いします。

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インドネシアの火山

火山活動研究センター

園田 忠惟

今回は国際共同研究事業によるインドネシアでの火山、地震観測の観測施設の充実化に

協力のもと傾斜計・地震計など外8個口計160kgの観測機器を搬入したのである。S

VOの井口先生が御指導に行かれるのを機会にAさんと2人で同行した。

9月17日(火)

朝6時フェリー08 時の関西空港行Aさんと関空にて 10 時集合関空発EG221 便デンパ

サール国際空港(バリ島)経由ジャカルタ行きまでの問、観測機器の手続きをする。予定

時刻12時 10 分発(99%日本人)デンパサールヘ 18 時 45 分着、1時間程空港待機のあと

人口1400 万のジャカルタへ19時 30分到着(現地時間日本より2時間程遅い)。やはり95%

は日本人であった。約1時間通関手続きが終わり、いよいよバンドンへ火山調査所の官用

車ジープ2台で、機器、トランク等満載して、20時 30分ジャカルタを出発1時間程高速道

路を走行した。高速道路はとても照明が明るかった。走行して行くうちに道路が狭くなり

車道が1車線になり追い越し自由で我が道を行くといった運転である。PANGRANG

O火山(3019m)の麓の峠を通り過ぎてから食事をとる。初めてのインドネシアの食事に

少し不安であったが・・・ようやく 18 日の 01 時到着。ホテルに入り井口先生とAさん3

人共長時間の旅で疲れた。各個々部屋に入りホットした。

9月18日(水)

バンドン(人口 400 万)の朝を迎える。朝8時朝食ナシゴレン(焼き飯)と油で揚げた

煎餅、果物と紅茶で朝食し、火山調査所へ行く、徒歩で10分程であるが途中いろいろ見

聞して行くがびっくり、建築工事現場で足場がなんと木製であった。又バンドンは人口が

多いので、市内の交通網が色々である。市電、市バスは居ないので、代わるのが自家用車

(国産車はない日本車が 80%程度)一番多く居るのがアンコタンコタ(普通車と軽自動車

で乗り合い自動車)で何処でも乗車でき何処でも降車できる。それとペチャ(2人乗り自

転車)や、単車、これで道路一杯で走行していた。信号がほとんど無いので、車道を横断

する時は車等の合間を見て行動する。火山調査所は、防災研究所と良く似ていて、5部門

があり、我々はその火山観測と解析を担当している部課へ訪問した。所長は不在であった

が火山解析部長のスクヒャール博士(以前SVOで面識)に会い、いろいろ井口先生と行っ

ていると、JICA研修生だったサウト氏、グディ氏、オニィ氏(文部省国費留学生)と

懐かしい面々と会い嬉しいかぎりであった。観測機器を井口先生とAさんと3人で3ヶ所

の観測所へ機器の配分を行った。それからオニィ氏に同行してもらい先ず、MONEY C

HANGERである。日本円の約20分の1で良いと思いますが、RP(ルピア)に換算す

ると大金物になったとAさんと大笑いした。バンドンの北側に位置するタングバンパラウ

火山(2076 m)を視察1830m迄車で行ける。天気が良く火口を隅々まで見る事が出来素

晴らし

かった。しかし観光化しているので土産売りの売人がものすごく群がってくるのである。

何故か日本人と見ると多く寄ってくる。下山途中観測所に1ヶ所寄るインク書きの地震モ

ニターが1台あった。少し寄り道し温泉公園を視察した。途中広大な茶畑が見る事が出来、

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印象に残る。本日約50km行き来したでしょうか。

9月19日(木)

08 時、昨日と同じナシゴレンにて朝食し次の目的地ガルートヘ、オニィ氏に同行しても

らい約 50kmの道程だが交通量がものすごい。1車線だがアンコタンコタと大型バスが多

く自由自在の追い越し走行で、日本では絶対考えられない交通ルールで走行する中央線を

追い越しするので対面車が避けなければならない。交差点は、信号が 98%ないロータリー

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か又は、直進するには一旦左折しUターンし又左折して直進するのである。また途中ロバ

車が多く見られた。2時間程で、やっとグントール観測所に到着した。この観測所は、S

VOで観測網(地震計等)無線テレメーター化しているグントール火山(2249m)の山麓

に展開しているので電源は太陽電池を使用している。3人の観測者が維持管理し2人宿直

するので大変である。搬入したパソコン等でデータ解析を行う為井口先生が指導している。

観測所よりホテル迄は未舗装の道路が多く大変だ、途中道路工事現場を通行したが重機等

なく人夫は草履か素足でのんびり工事していた。インドネシアでも有名な温泉地域のホテ

ルに宿泊出来1寸ゆっくりした。

9月20日(金)

08 時洋食にて朝食、オニィ氏が迎えに来てもらいグントール観測所へ行く。本日はイン

ドネシアに来て初めての上天気グントール火山が、素晴らしいここは海抜600 m程で朝夕

はとっても気持ちが良い但し早朝のお祈りで目覚める。ホテルに居ても、何処に居てもス

ピーカーで流すので1寸おどろいた。観測所には国際共同研究事業の観測機器があるので

Aさんと物品検査をした。

井口先生が観測打ち合わせを行っている間我々は観測所付近を散歩した。電灯の引き込み

柱が屋根の真ん中か棟に有る。しかも瓦屋根なのにびっくり、又洗濯物は垣根等に干して

いた、それから小さな店が点々とあるインドネシアは我々が、今迄視察した所では瓦屋根

が多く日本風であり馴染みを感じた。

9月21日(土)

08時朝食は和食にする。昨夜は個室の温泉に入りすがすがしい朝を迎える事ができ、そ

れに曇り日和リにも関らずグントール火山が見る事ができ嬉しい。グントール観測所へ行

く井口先生は、観測機器等の打ち合わせ、昼前観測所を出発バンドンヘオニィ氏の運転で

空港へ相変わらず大型バスやアンコタンコタ、ロバ車が多い空港付近は小雨日和である1

時間前に到着したが、出発ロービーには案内板もない国内線MERPATI航空の40人乗

りプロペラ機で出発しょうとするが、予定が遅れる30分程整備しているが作業服でなくワ

イシャツ、ネクタイ姿でコツコツ整備している。遅れる事など何も放送しない、やっとの

思いで、ジョグジャカルタ(人口150万)のホテルに着く。高級ホテルで外国人が多い。

9月22日(日)

08 時バイキング料理、日本人に良く会う料理が豊富であった。ホテルより35km離れた

遺跡公園ボロブドゥールへ中部ジャワ州マグラン郡ボロブドール村の四方を山々に囲まれ

た地に有り海抜270m、仏教の神聖な建物で7世紀から8世紀に掛けて建てられた物である。

2百万個近くのアンデシツトと言う四角石から出来ている。 (1)地上郡の高さ:35.29

m、 (2)一辺の長さ:119m、(3)底面積:14161m2、(4)装飾用ストゥーバと

石像の数:1464 個、(5)基壇の体積:1275m3、(6)本体の体積:42250m3、(7)

全体積:55000m3、(8)安山岩ブロック200 万百固、(9)物語の場面を描いたレリー

フパネルの数:1460 枚、(10)装飾レリーフパネルの数:1212 枚、(11)全レリーフ総画

積:2500m2、(12)遺跡総重量:350 万トン。今後 1000 年存続の願いを込めて行われた

第2回の修復事業も完成した。世界7大不思議の一つと言われている。しかし観光公園故

土産品の売人が、ハエみたいに寄って少しいやになった。次に約 45km離れたプランパナ

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ツ公園へ、プランパナツとはクラトンボコと言う昔栄えた王国の都があった土地であるる。

シワ寺院を中心 237 物の寺院から成り立っていてヒンズー教の寺院であるブランパナツ寺

院郡の中心となってシワの名にちなんで信仰で崇拝する。3人の神であるシワ神、ウィス

ヌ神、ブラーマ神の中でシワ神がもっともあがめられている。ここもやはり安山岩のブロッ

クで作られ、レリーフパネルもありボロブドゥールと良く作りが似ている。夜はインドネ

シアの有名なラーマヤナ(物語を踊りながらする)を見物出来た。

9月23日(月)

ジョグジャカルタ市内に有るメラピ火山観測所へ訪問、技術主任のスハルナ氏(SVO

で面識)に会える、井口先生がいろいろ研究打ち合わせがある間我々はTAXIで2時間

程市内見学に出かける。最初に宮殿に行ったがとても広大な所でびっくりした。ジョグジャ

カルタまで来ると良く日本人観光ツアーと会う、宮殿を中心に市内でも有名なMALIO

BORO通りが有る。ここは京都の三条、四条通りのような繁華街である。土産品の下見

をして昼前研究所に帰り、最後のメラピ火山視察である。ブルボ博士(SVOで面識)案

内で火災流、土石流の現場視察メラピ火山(2911m)

のスケールの大きさにびっくり。インドネシアの視察した火山は2000~3000m級の火山で

あるので、それだけ裾野が広い、カリウラン観測所へ観測者は3人常時地震観測は、1点

1成分らしい次に約40km程走行したのか、海抜1278mメラピの北西側ババダン観測所へ、

何処にメラピ火山が有るかわからなかったが、突然晴れて5分間程見る事が出来た。プル

ボ博士も10日間全然見ていない、又井口先生がメラピ火山を全部見る事が出来るのは希

であると言われ、2度びっくりAさんと幸福だったと大喜びした。

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9月24日(火)

井口先生は研究所へ 我々は誰も案内人が居ない井口先生が同行して居たから安心して

いたが、2人で1人前で有る。しかしなんとかしてMALIOBORO通りに行けた。歩

道迄出店が有り歩く事もなかなか困難である。1ヶ所MATAHARIと言うデパートが

有り買い物が楽であった。ホテルで 13 時、井口先生との約束だったので帰る。帰国準備、

TAXIにて空港へ行く途中果物の王様ドリィアン(10 月より旬)を食べる事が出来た。

GARUDA航空のジェット機で約1時間ジャカルタ空港へ此処で井口先生と別れた。出

国手続きをとりEG222便ジャカルタ発21時 20分(98%日本人)発関西空港着06 時で帰

国した。最後に注意して頂きたいポイントを記します。生水、水道水、生野莱、あらかじ

めカットされた果物、生の魚介類、屋台の食べ物等避けましょう。

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現在進行中,第9回桜島火山の集中総合観測

火山活動研究センター 桜島火山観測所

高山 鉄朗

桜島の集中総合観測は1974年の第1回から2~4年毎に実施され,今回で第9回を

数える。

主要な観測項目(参加機関)は以下のとおりである.

1.地震観測(京大・防災研,気象庁)

2,地盤変動観測(名大・理,九大・理,京大・防災研)

3. (赤外線)熱映像(京大・防災研)

4.重力(北大,理,東大・地震研,京大・防災研)

5.地磁気(気象庁,地磁気観,京大・理)

6.火山ガス・温泉ガス(東工大・工,鹿大・理,京大・防災研)

7.噴出物(東大・地震研,鹿大・理)

その他にも年によって違うが,噴煙柱の電気的・化学的性質,比抵抗構造,噴火機構の観

測も実施される.ここでは10月2日から実施されている地盤変動観測の中の水準測量(1

等水準測量)について簡単に述べる.

水準測量は火山活動に伴う地盤の上下変動を解明する手段として最も重要視されている

測地観測法の1つである(図1).図2に桜島周辺の水準測量路線を示した.ベンチマー

ク(水準点)は約lkmおきに設置してある.今回測量する路線の総延長は92km(実

働36日)で,これを往復測定(誤差をみるため)するから約180km測量することに

なる.今回は初めて桜島1周班,錦江湾沿班,それに桜島登山路と磯街道を受け持つ3班

構成で行っている.参加者は名大・理3名,九大・理・島原地震火山観測所3名,桜島5

名の混成である.(その内技官は名大・理・地震火山観測地域センターの宮島力雄氏(takumi

登録者),九大・理・島原地震火山観測所の内田和也氏(takumi 登録勧誘中)それに私の

3人である.(インドネシア・中国・日本の院生も3名参加している,)

使用している器材は,Wild 製自動水準儀NAK2(10mmマイクロメータを装備)と3

mインバール標尺(2本,写真1)が2組,自動読み取り・記録方式のデジタルレベルWild

製NA3002とバーコード標尺(3mインバール2本,写真2)が1組の計3組である.

1班の人員構成は自動水準儀が測量手1名,記録手1名,標尺手2名の計4名であり(写

真3),デジタルレベルは自動記録方式(機器自身が備えた記録モジュールに記録される)

のため記録手を省いた計3名である.(本当は自動記録方式でも記録手が居たほうが良い

のであるが,人手不足のため3名で行っている.)

測量方法は尺とり虫方式である.例えばベンチマーク間の距離が平坦地でlkmあ

る所をNAK2で測量をする場合には,

1.標尺手Aがベンチマークの上に2本の支え棒を使って標尺を垂直に立てる.

(標尺は写真1で示すように読み違いを防ぐため,左右に目盛りがありその差

は 3m01cm5.50mm ある.)

2.測量手は進行方向に約30mの距離(歩測)を置いて水準儀をセットする.

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3.標尺手Bは測量手より更に30mの距離を置いて重さ5.5kgの標尺台(鉄

製)の上に2本の支え棒を使って標尺を垂直に立てる.

4.測量手は標尺Aの左目盛りの高さを読み取り,記録手が測量手簿(表1)に記

録する.測量手は更に標尺Aの右目盛りの高さを読み取り,記録手が記録する.

その時記録手は左右の読定値の差が3m01cm5.50mm±10分のlmm以内に

収っていることを確認する,誤差がそれ以上あれば,測量手は再び左右の目盛り

を読み,差を1/10mm 以内に収める.熟練すれば0あるいは1とか2,つまり0

から100分の1・2㎜まで容易に読めるようになる.これで標尺手Aは1回目

が終了で,標尺を担いで標尺手Bより30mの所(次に水準儀をセットする所)

にマークを置き,更に30m行って標尺を立てる.(標尺手Aが移動中に測量手

は標尺Bを読み取る).標尺Bの測定が終了し1サーブ終了である. 1サーブ

約60mであるからlkmでは尺とり虫を16回繰り返す事になる.

1サーブの時間は熟練した人で2分(8km/日),ある程度経験した人で5(4㎞/日)

である.平坦地に比べ急な坂の登山道などでは,1サーブ16~20mに短縮されるので

1日の距離も極端に短くなる.デジタルレベルの場合NAK2の熟練者と同じ位であるが,

勿論相当の訓練を要する.往復誤差の許容範囲は,1等水準測量では水準点問の距離(L

km)に対し2.5√L㎜以内,つまりlkmの場合2.5㎜以内であれば合格で,それ以上の

場合は再測になる.誤差はその日の天気の状態(強風下では標尺が揺れ,日差しの強い日

は陽炎がでる)や,測量手の体調等に左右される.特に桜島では降灰の時の測量は最悪で

ある.

測量中は夫々受け持ちの責任がある.標尺手は測定が終わっていないのに標尺台を持っ

て移動始めたり,測量手や記録手には読み間違いや書き間違いが生じる.この種のミスは

測定開始直後と終了間際に多く,それまでの測定が全く無駄になる.

記録手も単に記録するだけではなく,周囲の状況に目を配り,特に狭い道での交通

安全に充分配慮して測量のリズムを崩さないようにしなければならない.

図1に今回の測量結果と爆発回数,降下火山灰量の関係を示した.

1991年・1995年の水準測量の結果から,深部からのマグマの供給量に対し

放出量が追いつかない状況が続いている事が解るが,今回の測量でもそれがより明

確になった.水準測量は非常に重労働であるが今後も全国の火山で実施されるであ

ろう.ちなみに過去に火山活動研究センターで水準測量を実施した火山は,有珠山,

北海道駒ヶ岳,浅間山,伊豆大島,三宅島,雲仙岳,阿蘇山,九重山,桜島,薩摩

硫黄島,口永良部島,(インドネシア)グントール火山等である.

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