職場における腰痛予防対策指針 - mhlw.go.jp · 職場における腰痛予防対策指針 (平成6年9月6日付け厚生労働省労働基準局長通達別添) 1
腰痛を予防するために - 東近江市役所...(はじめに)...
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腰痛を予防するために ~予防と治療の考え方の実際~
東近江市湖東リハビリステーション
(はじめに) 腰痛症は人間の宿命? 人は、二本足で歩くことによって、首と腰に大きな弱点を持つようになったといわれています。特に腰の部分には、毎日の生活で想像以上の大きな力がかかっており、負担が大きくなりすぎると腰痛が出てきます。腰痛症は、ほとんどの人が一生の間に一度は経験するものとも言われています。痛みとは、体の中からの危険信号のようなものです。体に「無理な力」がかかっていることを我々に知らせてくれているとも考えられます。
痛みの原因と対策は?
腰痛の原因の一つが、体にかかる「無理な力」です。 では、その無理な力の原因は何でしょうか?それには、毎日の生活での「姿勢」と「動作」が大きく関係しています。 このパンフレットでは、日常生活での「姿勢」と「動作」を工夫し、いくつ
かの腰痛体操を実践することで、腰への負担を減らし、腰痛を予防・治療していく方法を紹介していきます。 腰痛の予防・治療では、「自らが治す」という心構えも大切になってきます。
★立っているときの2倍
【離して持つとき】
★荷物は11倍の重さに
1、姿勢と腰への負担について
体重70kgの人なら
腰 へ の 負 担 は
250kg に!
【中腰のとき】
図のように、姿勢が変わること
で、腰にかかる負担は、大きく変
化します。
例えば、体重 70kg の人が、お辞
儀をするだけで、腰には 250kg の
負担がかかるともいわれていま
す。
では、良い姿勢とは。どのよう
な姿勢のことをいうのでしょう
か?
★立っているときの1.4倍
【椅子に座っているとき】
2、正しい姿勢
(悪い姿勢) (良い姿勢)
肩が下がっている
背中が丸い
前かがみ あごを引く
胸をはる
おなかを引っ込める
背すじを伸ばす
◆毎日の生活では、いろんな姿勢や動作があります。少しの工夫で、
腰への負担はずいぶんと軽くなるものです。
長時間、椅子に腰掛
けることは、腰痛の
原因になります。
○ ×【座る】
★浅く腰掛けるとよくない。 ★背すじを伸ばし、お尻を密着させる。
★あぐらをかくときは、おしりの下に座布団などを敷く。
★正座は負担が少ない。
○
○ ×
×
★ペダルとシートが離れていると前かがみが強くなる。
★背は、シートに密着させて、深く腰掛ける。
◆腰への負担を減らすためには、長時間の同じ姿勢も禁物です。 20分から30分で立ち上がったり歩いたりし、上手に気分転換をしてみましょう。
【寝る】
★膝を伸ばしたまま寝ると、腰に負担がかかる。
★膝を立てたり、足を持ち上げると、負担が少ない。
★横になる時は、膝と股関節を曲げる。 ★うつぶせは、腰に負担かかる。
*寝具は、やや固めのもの。
枕は、高めは良くない。(6~8cm くらい。)
×
×
○
○
○
○
★体から離して
持ち上げるのは、
よくない。
★できるだけ、体に
近づけて持ち運ぶ
と良い。
【荷物を運ぶとき】
×
【買い物袋など】
★片手で持つより、 両手で持つ方が、負担は少ない。
【高いところの荷物を取るとき】
×
○ ×
○ ★急いでいるときでも、できるだけ台を使う。
3、正しい動作
【家事について】
[台所]
[掃除機]
★調理台に、近づいて立ちます。長時間の場合は、低い台を置き、片足を乗せましょう。
★よく使う食器、鍋などは背伸びをしなくてもよい位置に置きましょう。
★前かがみにならないように。また、掃除機は、細かく前後に動かし、大きな動作はしないようにしましょう。 ★雑巾かけより、柄付のモップを使いましょう。
[アイロン] [靴]
★足の付いたアイロン台を使い、背すじ伸ばして作業をしましょう。
★なるべく踵の高い靴は避けましょう。
[洗濯]
★洗濯物は、少しずつ分けて運びましょう。 ★物干し竿、ロープは低い位置に。
× ○
×
4、腰の仕組みについて
背骨は、自然にカーブしています。このカーブが崩れることが、腰への負担を増大させます。
椎間板
椎間板は、背骨のクッションです。
老化によって、弱ってきます。
背骨からは神経が出ています。
手足の筋肉とつながっています。
神経
(前方)
腰椎
1
2
3
4
5
下の図のように、腰の周りには、たくさんの筋肉があります。 筋肉は姿勢を調整するために、重要な働きをしています。
ヘルニア
◆椎間板が飛び出し、神経を圧迫します。 ◆足の痛みや、筋力低下が現れることもあります。
◆30代、40代を中心にした、青壮年に多くみられます。
◆年齢とともに、骨が変形し神経圧迫や関節炎が起こります。
◆腰痛だけでなく、しびれや冷汗などの様々な症状がでてきます。
◆40歳以上の中高年層に多く見られます。
◆骨がスカスカになり、もろくなります。 ◆骨折を起こしやすくなります。 ◆閉経後の女性に多くみられるのが特徴です。
◆脊柱間が狭くなり、神経を圧迫します。 ◆長い距離(500mくらい)を続けて歩けなくなり、しばらく休むとまた歩けるようになります。
◆50代から60代の方に多くみられます。
★その他にも様々な病気があります。痛みなどの症状が長引く
場合は、医師に相談することが大切です。
6、よくある腰の病気
腰痛体操の目的は、 ①十分な筋力をつけること ②体を柔らかくすることです。 腰痛体操を毎日根気よく続けていくことで、正しい姿勢と動作を身につけ、
人間の弱点でもある腰を長持ちさせることができます。運動は、ゆっくり、やさしく、気長に行いましょう。 効果を自覚するまでには、1~2ヶ月くらいかかります。また、症状によっ
ては、しないほうがよい場合もあります。痛みが出ているときなどは、医師に相談しましょう。 回数は、それぞれ10回。最初は5回くらいから始めましょう。
7、腰痛予防体操
(基本姿勢と腹式呼吸)
①仰向けに寝て膝を立て、両手をほおにつけます。②鼻から吸いゆっくり口から吐き出します。③慣れてきたら、最後まで息を吐ききって、おなかの筋肉を硬くしてみましょう。
①両手を腰に当てて、おなか縮めて背骨を床に押し付けます。②頭を少し持ち上げおへそをのぞきます。 ③同時にお尻に力を入れて、わずかに腰を浮かします。
(骨盤の調整)
①両手をほおにあて、肩を 15cm くらいの高さまで、ゆっくり持ち上げる。 ②7つ数えてから、ゆっくりともとに戻します。(頭は、しっかりあがらなくても、おなかに力が入っていればよい。)
(腹筋強化1)
①左手を伸ばし、右膝を触るように体をひねりながら起き上がる。 ②7つ数えてから、ゆっくりともとに戻します。 ③反対のほうも交互に行います。
(腹筋強化2) おなかを斜めに縮めるように。
おなかが硬くなるように。
腰で床を押すような感じで。
吐ききって、おなかを へこます。
①椅子に深く腰掛け、背すじを伸ばします。②両手をももの上に置き、息を吐きながら下に向かって押さえつけます。 ③7つ数えたら力を抜き休憩し繰り返します。(おなかに力の入るのを感じましょう。)
(腹筋強化3~椅子で行う体操)
①股をできるだけ開く。 ②両膝を抱え、脇の方へゆっくり引いていきます。 ③少しゆるめて、10回くらい繰り返します。
(膝かかえ~腰のストレッチ)
①両膝をたてて、リラックスします(基本姿勢)。 ②両膝をそろえたまま、片方にゆっくりと倒していき、筋肉が伸びたところで、10秒程度ストレッチします。交互に繰り返します。
(腰ひねり~腰のストレッチ)
①四つ這いになり姿勢を安定させます。②片方の足を水平に上げて、7つ数えます。 ③ゆっくりおろしたら、反対側も行います。(できる人は、反対側の手も同時に水平に上げると効果的。)
(お尻と背中の筋力強化)
つま先をあ
げるとやり
やすい。
腰の筋肉を ゆっくり伸ばすつもりで。
両肩は床から浮かさずに。
足は水平に。
◆腰痛体操は、無理をして行うものではあ
りません。
体とゆっくり対話をしていくつもりで、
①気楽に ②気長に ③気持ちよく続け
ていきましょう!
(おわりに)
腰痛を予防していくカギは、日常生活にあります。
基本は、正しい身のこなし、つまり正しい姿勢と動作を
日ごろの注意によって身につけていくことにあります。
また、腰痛体操は、日常生活の中に習慣として続けて
いくことが望ましく、そうすることで、大切な「腰」を
老化と負担から守り、腰痛を予防していくことが可能に
なります。
この冊子の内容で、わかりにくい点などがありましたら、
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