学び合いに重点を置いた指導案 です。数学的な思考力・表現力 ... ·...

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- 1 - 学力向上につながる小学校算数科の授業づくり 単元「たし算とひき算の筆算」【学習指導案編】 ― 小学校 第3学年 ― 平成 27 年(2015 年)3月 滋賀県総合教育センター 学び合いに重点を置いた指導案 です。数学的な思考力・表現力 を伸ばすことを目指します。

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- 1 -

学力向上につながる小学校算数科の授業づくり

単元「たし算とひき算の筆算」【学習指導案編】

― 小学校 第3学年 ―

平成 27年(2015年)3月

滋賀県総合教育センター

学び合いに重点を置いた指導案

です。数学的な思考力・表現力

を伸ばすことを目指します。

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- 2 -

第3学年

「たし算とひき算の筆算」

第2学年

「たし算とひき算の筆算」

第2学年

「10000 までの数」

第2学年

「たし算とひき算」

第2学年

「1000 までの数」

①100をこえる数

②たし算とひき算

第3学年算数科学習指導案

1 付けたい力

計算の意味や計算の仕方を言葉や数、式、図を用いて考え、表現する力

2 単元名

たし算とひき算の筆算

3 単元目標

3~4位数の加減法の筆算の仕方について理解し、計算することができる。

4 学習指導要領との関連

A 数と計算

(2)加法及び減法の計算が確実にできるようにし、それらを適切に用いる能力を伸ばす。

ア 3位数や4位数の加法及び減法の計算の仕方を考え、それらの計算が2位数などについての基

本的な計算を基にしてできることを理解すること。また、それらの筆算の仕方について理解する

こと。

イ 加法及び減法の計算が確実にでき、それらを適切に用いること。

5 内容の関連と系統

第2学年「たし算とひき算」で児童は2位

数と1位数の加法および減法の計算を学習し

てきている。「たし算とひき算の筆算」では、

2位数の加法および減法について学ぶ中で筆

算の原理や手順を学習してきている。この際、

10の束をもとに学習を進めてきている。

また、簡単な場合についての3位数±2位

数の筆算についても学習してきている。「1000

までの数・②たし算とひき算」では、2位数

や3位数をお金の図で表し、数の概念につい

て理解を深め、3位数の計算(何百)±(何百)に

ついて学習している。「10000 までの数」では、

4位数をお金の図で表し、数の概念について理解を深めている。

本単元では、4位数までの数を扱うが、桁数が増えても位ごとに計算することは変わらず基本的に十

の位への繰り上がりや十の位からの繰り下がりと同じ考えで処理することができる。そのことが理解で

きれば、桁数がどれほど大きくなっても、類推的に筆算の仕方ができるようになる。第4学年以降では、

小数および分数の加法および減法での計算で本単元の内容がつながっていく。

6 指導のポイント

・学び合いの設定

各時間のねらいを明確にし、学び合いを以下の時間に重点的に設定する。学び合いの充実のため、ペ

アやグループ学習の形態、目的意識を持てる手立てを工夫する。ただし、ペアやグループ学習の形態は、

児童の実態に合わせて柔軟に設定する。

時 ね ら い 形 態 意 図・理 由

2 一の位が繰り上がる筆算の仕方を考え

ることができる。

ペア

学級全体

考えを整理し説明する。

多様な考えの共通点・よさを見つけ、分類

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- 3 -

する。

6 3位数の加法に関心を高め、カードを

置く位置について説明することができ

る。

グループ

学級全体

活用問題を主体的協同的に解決していく

多様な考えから共通点・よさを見つける。

7 十の位が繰り下がる筆算の仕方を考え

ることができる。

ペア

学級全体

考えを整理し説明する。

多様な考えの共通点・よさを見つけ、分類

する。

12 4位数の筆算の仕方を考えることがで

きる。

ペア

学級全体

考えを整理し説明する。

考えのよさを見つける。

14 文房具が買えるかについて説明するこ

とができる。

グループ

学級全体

活用問題を主体的協同的に解決していく。

多様な考えから相違点を見つける。

表現のよさを考える。

ペア学習は、席の近くの児童との2人を基本とする。移動の必要がなく、すぐに活動に入っていくこ

とができ、短時間で全員の児童に考えを表現できる機会を保障できるからである。グループ学習は、4

人程度とする。活用問題を主体的協同的に解決していくのに相応しい人数規模であると考えるためであ

る。いずれの形態においても、交流の目的をしっかり持たせることが大事になる。そのためには、自力

解決で自分の考えを持てるように学習課題の設定でしっかり追究意欲が高まるようにしていく。また、

児童が説明したくなる場面を設定する。誤答から考えさせる場面、図や式のみを示し考えを予想させる

場面を設定する。

・学びをつなげる工夫

児童の学びがつながるように工夫する。1つ目は、既習内容とのつながりである。第2学年までに習

得した2桁±2桁の計算の仕方について、たし算およびひき算のそれぞれの単元前半の段階で取り上げ

る。学びを確認し、それらを単元を通して掲示しておく。また、第2時、(3位数)+(3位数)で繰り上

がりの意味を説明する考え方を分類する。第7時、(3位数)-(3位数)で繰り下がりの意味を説明する

考え方を分類する。

2つ目は、振り返りの活用である。本時の考えのよさや他者との関わりについての振り返りを次時の

導入で指導者が紹介をしていく。これにより、前時の学びを共有したり、活用したりして学習が展開し

ていけると考える。

・教具の工夫

本単元は、「数と計算」領域であり、数という抽象的な記号を扱う。第2学年までに2桁±2桁の計

算によって、2、3桁の数は扱ってきているが、桁数が増えることによって数の大小がとらえにくくな

ってくると考えられる。そこで、一や十、百、千といった基本量の図を活用する。また、数の機械的な

計算にならないようにするため、日常生活の買い物場面と関連付ける工夫を行う。児童に身近な文房具、

食べ物等の絵を活用し、価格の大きさによって数の大小がつかめるようにする。

・つまずきの予見と支援

単元の中で付けたい力を獲得させるために、評価問題により児童のつまずきを予見し、支援を計画す

る。それに基づき各時間のつまずきを予見し、そのための支援を設定していく。

・評価の工夫

方法や理由等を言葉や数、式を用いて説明する力を身に付けていけるようにするために、「説明のモ

デル」「評価をするときに基とするもの」を設定する。評価を行う際、目指す児童の姿や「評価をする

ときに基とするもの」の基準に満たない児童やグループに合わせて手立ての内容とタイミングを明確に

し、評価を指導につなげていく。

主体的な学びを進めるために、各時間の終末段階で、児童による振り返りを行う。1時間の自分の学

びを振り返り、児童が学びを実感したり、価値を納得したりできるようにする。児童の振り返りを次時

の導入で紹介したり、ノートにコメントを書いたりすることで、指導者からの評価を行う。

このような指導を行うことで、指導と評価を一体化させ、主体的な学びを喚起するとともに付けたい

力を身に付けさせたい。

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- 4 -

7 評価規準

算数への

関心・意欲・態度 数学的な考え方

数量や図形についての

技能

数量や図形についての

知識・理解

3、4位数の加減法の

計算の仕方を進んで考

えようとする。

2位数の計算の仕方

をもとに3、4位数の加

減法の仕方を考えるこ

とができる。

3、4位数の加減計算

を筆算で正しく計算す

ることができる。

3、4位数の加減計算

は、2位数などの基本的

な計算を基にしてでき

ることを理解している。

8 指導と評価の計画(全 14 時間) 【 】は評価の方法

時間

ねらい・学習活動

評価規準

算数への関心・

意欲・態度 数学的な考え方

数量や図形につ

いての技能

数量や図形につ

いての知識・理解

1 <導入>

文房具の買い物の場面を通

し、3位数の計算(何百)+(何

百)、 (何百)-(何百)について

考える。

文房具 の買

い物場面を通

して,3位数の

計算に関心を

持つ。

【学習活動の観

察】

100 を単位と

する数の相対的

な見方に基づい

て加減計算がで

きる。

【ノート記述の

分析】

2 <習得>

(3位数)+(3位数)で一の位

が繰り上がる筆算の仕方を考え

る。

(3位数 )+

(3位数)で一の

位が繰り上がる

筆算の仕方に関

心を持つ。【ノ

ート記述の分

析】

(3位数 )+

(3位数)で一の

位が繰り上がる

筆算の仕方を考

えることができ

る。【ノート記

述の分析】

3 <習得>

(3位数)+(3位数)で一の位

と十の位が繰り上がる筆算がで

きる。

(3位数 )+

(3位数)で一の

位と十の位が繰

り上がる筆算が

できる。【ノー

ト記述の分析】

(3位数)+

(3位数)で一の

位と十の位が繰

り上がる筆算の

仕方を理解でき

る。【ノート記

述の分析】

4 <習得>

(3位数)+(3位数)で百の位

が繰り上がる筆算ができる。

(3位数 )+

(3位数)で百の

位が繰り上がる

筆算ができる。【ノート記述の

分析】

(3位数)+

(3位数)で百の

位が繰り上がる

筆算の仕方を理

解できる。【ノ

ート記述の分

析】 5 <確認>

(3位数)+(3位数)の計算の

仕方を理解し、算数的表現を活

用して説明することができる。

(3位数 )+

(3位数)の筆算

の仕方を説明す

ることができ

る。【ノート記述

の分析】

(3位数 )+

(3位数)の計算

の仕方を理解で

きる。【ノート記

述の分析】

6 <活用>

1から9までのカードを並べ

て筆算を完成させることができ

る。

カード並べを

通して,3位数

のたし算に関心

を持つ。【学習

活動の観察】

どのカードを

〇の位置におけ

ばよいか根拠を

あげて説明する

ことができる。 【ノート記述の

分析】

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- 5 -

7 <習得>

(3位数)-(3位数)で十の位

が繰り下がる筆算の仕方を考え

る。

(3位数)-

(3位数)で十の

位が繰り下がる

筆算に関心を持

つ。【ノート記

述の分析】

(3位数 )-

(3位数)で十の

位が繰り下がる

筆算の仕方を考

えることができ

る。【ノート記

述の分析】

8 <習得>

(3位数)-(3位数)で百の位

が繰り下がる筆算の仕方を考え

る。

(3位数 )-

(3位数)で百の

位が繰り下がる

筆算ができる。

【ノート記述の

分析】

(3位数 )-

(3位数)で百の

位が繰り下がる

筆算の仕方を理

解できる。 【ノート記述の

分析】 9 <習得>

(3位数)-(3位数)で十の位

と百の位が繰り下がる筆算の仕

方を考える。

(3位数 )-

(3位数)で十の

位と百の位が繰

り下がる筆算が

できる。【ノー

ト記述の分析】

(3位数 )-

(3位数)で十の

位と百の位が繰

り下がる筆算の

仕方を理解でき

る。【ノート記

述の分析】

10 <習得>

(何百何)-(3位数)で繰り下

がりが2桁に及ぶ筆算の仕方を

考える。

(何百何 )-

(3位数)で繰り

下がりが2桁に

及ぶ筆算の仕方

を説明すること

ができる。【ノ

ート記述の分

析】

11 <確認>

既習内容の確認をする。

(3位数 )-

(3位数)の筆算

ができる。【ノ

ート記述の分

析】

(3位数 )-

(3位数)の計算

の仕方を理解で

きる。【ノート

記述の分析】

12 <習得>

(4位数)±(4位数)の加減の

筆算の仕方を考える。

(3位数)±(3

位数)の計算か

ら(4位数)±

(4位数)の計

算に関心を持

つ。【学習活動

の観察】

桁数の少ない

場合を基にし

て,(4位数)±

(4位数)の筆算

の仕方を考える

ことができる。

【ノート記述の

分析】

13 <確認>

既習内容の確認をする。

(3位数 )±

(3位数)の筆算

ができる。【ノ

ート記述の分

析】

(3位数 )±

(3位数)の計算

の仕方を理解で

きる。【ノート

記述の分析】

1

<活用>

買えるか買えないかを判断

し,その理由を根拠をあげて説

明する。

学用品を買え

るか買えないか

に関心を持ち、

既習内容を生か

して説明しよう

とする。【学習

活動の観察】

買えるか買え

ないかの理由

を,根拠をあげ

て説明すること

ができる。【ノ

ート記述の分

析】

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- 6 -

9 学び合いに重点を置いた単元計画

*示している時間は目安の時間

「学び合い」に重点を置いている部分

0 5 10 15 20 25 30 35 40 45

1関心技能

たし算・ひき算

2関心考え方

3知識技能

4知識技能

5知識考え方

6関心考え方

7関心考え方

8技能知識

9技能知識

10 考え方

11技能知識

12関心考え方

4桁の筆算

13技能知識

14関心考え方

3桁のひき算

たし算・ひき算

時ねらいの重点

内容1時間の流れ

3桁のたし算

学習課題

学習

課題

基本問題<考えを広げる>

学習課題 基本問題

学習課題 振り返り

学習課題

適用問題

学習課題 適用問題

活用問題<考えを深める>

学習課題 基本問題 適用問題

学習課題

基本問題<考えを広げる・深める>

基本問題

適用問題

評価問題

まとめ

まとめ

まとめ

まとめ

まとめ 振り返り

振り返り

振り返り

振り返り

振り返り

振り返り

振り返り

振り返り

振り返り

基本問題

学習

課題振り返り適用問題<考えを確かめる>

基本問題

基本問題<考えを広げる>

活用問題<考えを深める>

適用問題

基本問題<深める>

適用問題

適用問題

まとめ

適用問題学習課題

まとめ 適用問題

学習課題 まとめ 適用問題

学習

課題振り返り

学習課題 振り返りまとめ 適用問題

振り返り

学習課題 活用問題

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- 7 -

10 各時間の学習展開例

3年 たし算とひき算の筆算 啓林館 上P46 導入

第1時の展開例(1時間目/全 14時間) 1 本時の目標

(何百)±(何百)の計算について考え、説明する算数的活動を通して、百を単位として考え、計算することが

できる。

2 準備物

・絵カード ・百円玉の具体物 ・発表ボード

3 本時の展開 ※ 関 考 技 知 は評価の観点、【 】は評価の方法、 はつまずきの予見と支援を示す。

分 主な学習活動 指導上の留意点と評価

1 問題場面について話し合う。

文房具を買いに行きました。絵の具は 700

円、スケッチブックは 400 円、鉛筆削りは 1200

円です。絵の具とスケッチブックを合わせた

値段は何円ですか。鉛筆削りと絵の具の値段

の違いは何円ですか。

2 学習課題を持つ。

700+400、1200-700のような計算はどのよ

うにすればよいのだろうか

3 グループで課題について話し合う。

4 児童一人ひとり自分の考えで答えを求める。

5 学級全体で説明する。

Aさんは、どのように考えたのかな。

<Aさんの考え方>

図で考える方法

<Bさんの考え方>

筆算で考える方法

<Cさんの考え方>

百円玉で考える方法

・合計を求めるには、たし算、違いを求めるには、

ひき算で求められることを確認する。

関文房具の買い物場面を通して,3位数の計算に関

心を持つ。【学習活動の観察】

・絵カードを提示する。

・意味を考え、ノートに考えを書くように指導す

る。答えだけでなく言葉や図などを使って書く

ように指導する。

・机間指導により、児童の考えをつかんでおく。

・一つの方法を見つけた児童には他の方法を考え

させる。

・自力解決が難しい児童には、振り返りボードで

支援する。

・机間指導により児童の様子を観察し、説明が難

しい児童には助言する。

・複数の児童に考えを黒板に書かせる。板書の順

に発表させ、同じ考えの児童がいるか挙手で確

認をする。

・繰り上がりの1についてなぜを問う。複数の児

童の考えを合わせ、理解を深めさせる。

Bさんの考え方

700

+ 400

1100

Aさんの考え方

100を〇で表すと

〇〇〇〇〇〇〇

〇〇〇〇

〇が 10 個で 1000

あと一つあるから

合計 1100

本時の重点 関心、技能

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- 8 -

・キーワードを使う。 100のまとまり 100で考える

6 本時の学習のまとめをする。

7 適用問題を考える。

教科書 P48 3 の問題を考える。

7 本時の学習を振り返る。

・出された考えについて共通点や違いについて気

づいたことを話し合わせる。

・図と言葉を使いながら分かりやすく説明してい

る児童を賞賛する。

・児童からキーワードを引き出す。出ない場合は、

本時の板書や活動から言葉を探すように促した

り、教師が示したりする。

・まとめの書き方を指導する。

・数の大きさがとらえられない児童

⇒百円玉の図を示し、視覚的にとらえられるよ

うにする。

・加法、減法の演算でつまずいている児童

⇒図に書き込んだり、具体物を操作させたりし

て理解を促す。

技 100 を単位とする数の相対的な見方に基づいて加

減計算ができる。

【ノート記述の分析】

・買い物場面の導入を通して、児童が感じた思い

を書けるようにする。本単元では、3桁、4桁

の数の計算について学習していくことを知ら

せ、本単元への思いや疑問をもたせ、単元全体

への意欲を高められるようにする。

4 つまずきの予見と支援

本時では、何百という数の大きさがとらえられていないつまずきが予見できる。基本問題では、数の大

きさをとらえられるようにするため、百円玉を使ってその数字を示す。

適用問題では、百円玉の図を示し、視覚的にとらえられるようにする。本時の内容は、次時以降の加法、

減法で活用していく内容であり、重要であるので、図を示したり具体物を操作させたりしながら支援し、

確実な理解を目指す。

5 説明のモデル【キーワード「100のまとまり」を使った例】

700+400の計算は、100のまとまりで考えます。700は 100 が 7個、400は 100 が4個なの

で、7と4を足すと 11になります。100が 11個で 1100です。

1200-700の計算は、100 のまとまりで考えます。1200は 100が 12個、700は 100が7

個なので、12から7を引くと5になります。100が5個で500です。

6 本時で目指す習得した姿

・(何百)±(何百)の計算では、100 のまとまりで考える意味を理解し、他者に言葉や式、図を使っ

て説明することができる姿。

・(何百)±(何百)の計算が正しくできる姿。

Cさんの考え方

百円玉で考えると 7+4=11

百円玉が 11個なので 1100

今日の学習でキーワードは何でしょう。

まとめを書きましょう。

まとめの例

例(1) 100 で考えると

700+400=1100(100 が7+4)

1200-700=500(100 が 12-5)

例(2) 100 のまとまりで考えるとできる

「今日の発見」を書きましょう。

視点:学習から分かったこと、「たし算

とひき算の筆算」の学習で知りた

いこと、学びたいこと

目指す振り返り(例)

・(何百)±(何百)の計算は 100のまとまりで

考えると分かりやすいと感じました。十

や一の位がある3桁の計算について知り

たくなりました。

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- 9 -

Cさんの考え方

4+7=11

11=10+1

繰り上がり

3年 たし算とひき算の筆算 啓林館 上P46 習得

第2時の展開例(2時間目/全 14時間) 1 本時の目標

(3位数)+(3位数)で繰り上がりの意味を説明する算数的活動を通して、一の位が繰り上がる筆算の仕方を

考えることができる。

2 準備物

・絵カード ・数え棒(一、十、百の束)の図 ・具体物(数え棒等) ・発表ボード

3 本時の展開 ※ 関 考 技 知 は評価の観点、【 】は評価の方法、 はつまずきの予見と支援を示す。

分 主な学習活動 指導上の留意点と評価

1 問題場面について話し合う。

文房具を買いに行きました。算数ノートが

154 円、下敷きが 237円です。合わせて何円に

なりますか。

2 学習課題を持つ。

154+237 のような計算はどのようにすれば

よいのだろうか。

3 グループで課題について話し合う。

4 児童一人ひとり自分の考えで答えを求める。

5 ペアで自分の考えを説明し合う。

6 学級全体で説明する。

Aさんは、どのように考えたのかな。

<Aさんの考え方>

図で計算する方法

十の位の上の1は何を表しているのでしょ

う。

<Bさんの考え方>

筆算で計算する方法

<Cさんの考え方>

11 のうち 10 が繰り上がりになる

繰り上がりの1はなぜ十の位に繰り上がる

のでしょう。

・前時の振り返りから数名の児童の振り返りを紹

介、賞賛する。

・文房具の代金を求めるには、たし算で求めるこ

とを確認する。

・筆算を書かせ、一の位に繰り上がりがあること

を確認する。

・絵カードを提示する。

・繰り上がりの意味を考え、ノートに考えを書く

ように指導する。答えだけでなく言葉や図など

を使って書くように指導する。

・自力解決が難しい児童には、振り返りボードで

支援する。

関(3位数)+(3位数)で一の位が繰り上がる筆算の

仕方に関心を持つ。【ノート記述の分析】

・154、237 の大きさがとらえられていない児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の加法の仕方がとらえられていない児童

⇒振り返りボードで2桁+2桁の計算を確認す

る。

・繰り上がりの1についてなぜを問う。複数の児

童の考えを合わせ、理解を深めさせる。

Bさんの考え方

154

+ 237

391

・出された考えの共通点

について話し合う。

・図と式を関連付けて 10

のかたまりの意味を説

明した児童の分かりや

すい説明を賞賛する。

Aさんの考え方

||||

|||||||

⑩|

学び合い(グングンタイム)

本時の重点 関心、考え方

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- 10 -

・キーワードを使う。 繰り上がり 十の位 10のまとまり

7 本時の学習のまとめをする。

8 適用問題を考える。

教科書 P48 154+218

9 ペアで自分の考えを説明し合う。

10 本時の学習を振り返る。

・児童からキーワードを引き出す。出ない場合は、

本時の板書や活動から言葉を探すように促した

り、教師が示したりする。

・まとめの書き方を指導する。

・154、218 の大きさがとらえられていない児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の仕方がとらえられていない児童

⇒振り返りボードで2桁+2桁の計算を確認す

る。

・4+8の計算による繰り上がりの意味がとらえ

られていない児童

⇒4+8=12は、10 のまとまりと2に分けられ

ることを数え棒の図や具体物を活用したり操

作させたりして理解を促す。

考(3位数)+(3位数)で一の位が繰り上がる筆算の

仕方を考えることができる。【ノート記述の分析】

・3桁+3桁の計算について、学習を終えての自

分の考えや感想を書くように指示する。

4 つまずきの予見と支援

本時では、3桁の数がとらえられていなかったり、筆算の仕方がつかめていなかったり、繰り上がりの

意味が理解できていなかったりするつまずきが予見できる。3桁の数の大きさの理解のために、数字のみ

を扱って筆算させるのではなく、数え棒の図を使って一、十、百のまとまりをつかめるようにしていく。

特に、一の位が繰り上がる筆算の仕方の意味について、10のまとまりで表されることを図や具体物を活用

して確実な理解へとつなげていくことが大事である。本時の内容は、次時以降の繰り上がりの考え方の基

礎的内容であり重要であるので、図や具体物を示したり操作させたりしながら支援し、確実な理解を目指

す。

5 説明のモデル【キーワード「10のまとまり」「十の位」「繰り上がり」を使った例】

154+237の計算は、一の位から順にたし算をします。4と7を足すと 11になります。11は 10

のまとまりと1に分けられます。10 のまとまりは、十の位へ繰り上がり、1は一の位に残ります。十の

位では、5+3=8に繰り上がりの1を足して9になります。百の位は1+2で3となります。答えは、

391になります。

6 本時のグングンタイム

○ペア学習

154+237 の計算について、考えた方法をペアで交流する。自分の考えを整理したり、考えの途中の児

童が方法のきっかけをつかめたりすることをねらいとしている。

○学級全体

154+237 の計算について、考えた方法を説明し合い、多様な考え方があることを知り、図と筆算の関

連、それぞれの表現のよさを知ることをねらいとする。

今日の学習でキーワードは何でしょう。

まとめを書きましょう。

154+218 の計算の仕方を説明しましょう。

まとめの例

例(1)①一の位…4+7=11

②十の位へ1繰り上がり

③十の位…1+5+3=9

④百の位…1+2=3

例(2) 繰り上がりのある時は1つ上の位に

1繰り上げる

10のまとまり

「今日の発見」を書きましょう。

視点:今日の学習から気づいたこと、考

えたこと

目指す振り返り(例)

・3桁の筆算では、位をそろえて小さい位

から順に計算していくことが分かりまし

た。数え棒の図や○の数など、いろいろ

な表し方があると分かりました。

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- 11 -

集団討議を通して、

・お金の図で考える方法

・数え棒の図で考える方法

・筆算で考える方法

・その他

に分けられると予想される。

<目指す到達点>

・一の位は、4+7=11 合わせると①が 11個になるから繰り上がりがある。

・十の位は、1+5+3=9 ⑩が9個だから繰り上がりはない。

・百の位は、1+2=3 100 が3個だから繰り上がりはない。

・2桁+2桁の筆算と同じようにすればいい。

・図で表すと意味が分かりやすい。

・筆算で表すと早く計算ができるよさがある。

7 本時で目指す習得した姿

・一の位で繰り上がりがあるときは、10のまとまりを作り、十の位に繰り上げて足す計算ができる。

・繰り上がりの意味を理解し、他者に言葉や式、図を使って説明することができる姿。

||||

|||||||

⑩|

この⑩が十の位へ

の繰り上がりになる

この1は①が 10個

1 あるということ

154

+ 237

391

Page 12: 学び合いに重点を置いた指導案 です。数学的な思考力・表現力 ... · 2016-03-30 · - 1 - 学力向上につながる小学校算数科の授業づくり 単元「たし算とひき算の筆算」【学習指導案編】

- 12 -

Aさんの考え方

1 1

265

+ 178

443

3年 たし算とひき算の筆算 啓林館 上P49 習得

第3時の展開例(3時間目/全 14時間) 1 本時の目標

(3位数)+(3位数)で繰り上がりの意味を説明する算数的活動を通して、一の位と十の位に繰り上がりが

ある筆算をすることができる。

2 準備物

・絵カード ・数え棒(一、十、百の束)の図 ・具体物(数え棒等) ・発表ボード

3 本時の展開 ※ 関 考 技 知 は評価の観点、【 】は評価の方法、 はつまずきの予見と支援を示す。

分 主な学習活動 指導上の留意点と評価

1 問題について話し合う。

265+178の筆算の仕方を考えましょう。

2 学習課題を持つ。

265+178 のような計算はどのようにすれば

よいのだろうか

3 グループで課題について話し合う。

4 児童一人ひとり自分の考えで答えを求める。

5 学級全体で説明する。

Aさんは、どのように考えたのかな。

<Aさんの考え方>

筆算で計算する方法

十の位、百の位の上の1は何を表している

のでしょう。

繰り上がりの1はなぜ十の位、百の位に繰

り上がるのでしょう。

<Bさんの考え方>

図で考える方法

<Cさんの考え方>

13 のうち 10 が繰り上がりになる

140のうち 100 が繰り上がりになる

・前時の振り返りから数名の児童の振り返りを紹

介、賞賛する。

・絵カードを提示し、問題場面のイメージを児童

が持てるように支援する。

・本時は一の位と十の位に繰り上がりがある(前

時との違い)を確認する。

・答えだけでなく言葉や図などを使って考えを書

くように指導する。

・265、178の大きさがとらえられていない児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の加法の仕方がとらえられていない児童

⇒振り返りボードで2桁+2桁の計算を確認す

る。

・5+8の計算による繰り上がりの意味がとらえ

られていない児童

⇒5+8=13は、10のまとまりと3に分けられ

ることを数え棒の図や具体物を活用したり操

作させたりして理解を促す。

・繰り上がりの1の意味について問う。

・図と筆算との関連に着目させる。

・出された考えについ

て気付いたことを

話し合う。

・分かりやすい説明を

賞賛する。

Bさんの考え方

|||||

||||||||

⑩|||

⑩⑩⑩⑩⑩⑩

⑩⑩⑩⑩⑩⑩⑩+⑩

100 ⑩⑩⑩⑩

本時の重点 知識、技能

Page 13: 学び合いに重点を置いた指導案 です。数学的な思考力・表現力 ... · 2016-03-30 · - 1 - 学力向上につながる小学校算数科の授業づくり 単元「たし算とひき算の筆算」【学習指導案編】

- 13 -

Cさんの考え方

5+8=13

13=10+3

↪ 十の位へ

繰り上がり

60+70+10=140

140=100+40

↪ 百の位へ

繰り上がり

・キーワードを使う。 繰り上がり 十の位 10のまとまり 百の位 100のまとまり

6 本時の学習のまとめをする。

7 適用問題を考える。

教科書 P49 4・5を筆算で計算する。

8 本時の学習を振り返る。

・児童からキーワードを引き出す。出ない場合は、

本時の板書や活動から言葉を探すように促した

り、教師が示したりする。

・まとめの書き方を指導する。

・3桁の数の大きさがとらえられていない児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の仕方がとらえられていない児童

⇒振り返りボードで2桁+2桁の計算を確認す

る。

・一の位に繰り上がりがある意味がとらえられて

いない児童

⇒10 のまとまりと端数に分けられることを数え

棒の図や具体物を活用したり操作させたりし

て理解を促す。

・十の位に繰り上がりがある意味がとらえられて

いない児童

⇒100 のまとまりと端数に分けられることを数

え棒の図や具体物を活用したり操作させたり

して理解を促す。

技(3位数)+(3位数)で一の位と十の位が繰り上が

る筆算ができる。【ノート記述の分析】

知(3位数)+(3位数)で一の位と十の位が繰り上が

る筆算の仕方を理解できる。【ノート記述の分析】

・一の位と十の位に繰り上がりがある計算について

学習を終えての自分の考えや感想を書くように

指示する。

まとめを書きましょう。

今日の学習でキーワードは何でしょう。

P49 4・5を筆算で計算しましょう。

「今日の発見」を書きましょう。

視点:今日の学習から気付いたこと、考え

たこと

目指す振り返り(例)

・繰り上がりが2回あっても計算方法は同

じであることが分かりました。数え棒の

図で考えると繰り上がりの意味が分かり

やすくなりました。

まとめの例

例(1) ①一の位…5+8=13

②十の位へ1繰り上がり

③十の位…1+6+7=14<

④百の位へ1繰り上がり

⑤百の位…1+2+1=4

例(2) 繰り上がりが2つあっても計算方法は同じ

40 100 のまとまり

10のまとまり

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- 14 -

考え方の例①

十の位の上の1は①が十個ある

1 1 ということ

265

+ 178 百の位の上の1は⑩が十個ある、

443 つまり 100が 1個あるということ

考え方の例②

|||||

|||||||| この⑩は十の位への繰り上がりになる

⑩|||

⑩⑩⑩⑩⑩⑩

⑩⑩⑩⑩⑩⑩⑩+⑩ この 100は百の位への繰り上がりになる

100 ⑩⑩⑩⑩

3 つまずきの予見と支援

本時では、3桁の数がとらえられていなかったり、筆算の仕方がつかめていなかったり、繰り上がりの

意味が理解できていなかったりするつまずきが予見できる。

3桁の数の大きさの理解のために、数字のみを扱って筆算させるのではなく、数え棒の図を使って一、

十、百のまとまりをつかめるようにしていく。特に、一の位と十の位に繰り上がりがある筆算の仕方の意

味について、10 や 100のまとまりで表されることを図や具体物を活用して確実な理解へとつなげていくこ

とが大事である。図や具体物を示したり操作させたりしながら支援し、確実な理解を目指す。

4 説明のモデル【キーワード「10のまとまり」「十の位」「繰り上がり」「百のまとまり」「百の位」を使った例】

265+178 の計算は、一の位から順にたし算をします。5と8を足すと 13 になります。13 は10

のまとまりと3に分けられます。10のまとまりは、十の位へ繰り上がり、3は一の位に残ります。十の

位では、60+70=130に繰り上がりの 10を足して 140になります。140は 100のまとまりと4

0 に分けられます。100 のまとまりは、百の位へ繰り上がり、40 は十の位に残ります。百の位では2

00+100=300 に繰り上がりの 100を足して400になります。答えは、443になります。

<目指す姿>

・一の位は、5+8=13 合わせると①が 13個になるから繰り上がりがあるな。

・十の位は、1+6+7=14 ⑩が 14 個になるから繰り上がりがあるな。

・百の位は、1+2+1=4 100が4個だから繰り上がりはないと思う。

・前時の3桁+3桁の筆算と同じようにすればいいんだよ。

5 本時でめざす習得した姿

・一の位で繰り上がりがあるときは、10のまとまりを作り、十の位に繰り上げて足し、十の位で繰り

上がりがあるときは、100のまとまりを作り、百の位に繰り上げて足す計算ができる姿。

Page 15: 学び合いに重点を置いた指導案 です。数学的な思考力・表現力 ... · 2016-03-30 · - 1 - 学力向上につながる小学校算数科の授業づくり 単元「たし算とひき算の筆算」【学習指導案編】

- 15 -

Aさんの考え方

①1

724

+ 635

1359

②111

634

+ 589

1223

Bさんの考え方

100 100 100 100

100 100 100

100 100 100 100

100 100

1000 100 100 100

千の位へ繰り上がり

3年 たし算とひき算の筆算 啓林館 上P50 習得

第4時の展開例(4時間目/全 14時間) 1 本時の目標

(3位数)+(3位数)で繰り上がりの意味を説明する算数的活動を通して、百の位に繰り上がりがある筆算

ができる。

2 準備物

・絵カード ・数え棒(一、十、百の束)の図 ・具体物(数え棒等) ・発表ボード

3 本時の展開 ※ 関 考 技 知 は評価の観点、【 】は評価の方法、 はつまずきの予見と支援を示す。

分 主な学習活動 指導上の留意点と評価

1 問題について話し合う。

①724+635, ②634+589の筆算の仕方を考え

ましょう。

2 学習課題を持つ。

724+635や634+589のような計算はどのよ

うにすればよいのだろうか

3 グループで課題について話し合う。

4 児童一人ひとり自分の考えで答えを求める。

5 学級全体で説明する。

Aさんは、どのように考えたのかな。

<Aさんの考え方>

筆算で計算する方法

千の位の上の1は何を表しているのでしょ

う。

繰り上がりの1はなぜ千の位に繰り上がる

のでしょう。

<Bさんの考え方>

図で考える方法

<Cさんの考え方>

13 のうち 10 が繰り上がりになる

140のうち 100 が繰り上がりになる

・前時の振り返りから数名の児童の振り返りを紹

介、賞賛する。

・絵カードを提示し、問題場面のイメージを児童

が持てるように支援する。

・本時は百の位に繰り上がりがあること(前時と

の違い)を確認する。

・答えだけでなく言葉や図などを使って考えを書

くように指導する。

・724、635、634、589 の大きさがとらえられてい

ない児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の加法の仕方がとらえられていない児童

⇒振り返りボードで2桁+2桁の計算を確認す

る。

・700+600 の計算による繰り上がりの意味がとら

えられていない児童

⇒700+600=1300は、1000 のまとまりと 300に

分けられることを数え棒の図や具体物を活用

したり操作させたりして理解を促す。

本時の重点 知識、技能

Page 16: 学び合いに重点を置いた指導案 です。数学的な思考力・表現力 ... · 2016-03-30 · - 1 - 学力向上につながる小学校算数科の授業づくり 単元「たし算とひき算の筆算」【学習指導案編】

- 16 -

・キーワードを使う。 繰り上がり 千の位 1000のまとまり

6 本時の学習のまとめをする。

7 適用問題を考える。

教科書 P50 7・8を筆算で計算する。

8 本時の学習を振り返る。

・繰り上がりの1の意味について問う。

・図と筆算との関連に着目させる。

・出された考えについて気付いたことを話し合う。

・分かりやすい説明を賞賛する。

・児童からキーワードを引き出す。出ない場合は、

本時の板書や活動から言葉を探すように促した

り、教師が示したりする。

・まとめの書き方を指導する。

・3桁の数の大きさがとらえられていない児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の仕方がとらえられていない児童

⇒振り返りボードで2桁+2桁の計算を確認す

る。

・百の位に繰り上がりがある意味がとらえられて

いない児童

⇒1000 のまとまりと端数に分けられることを数

え棒の図や具体物を活用したり操作させたり

して理解を促す。

技(3位数)+(3位数)で百の位が繰り上がる筆算が

できる。【ノート記述の分析】

知(3位数)+(3位数)で百の位が繰り上がる筆算の

仕方を理解できる。【ノート記述の分析】

・百の位に繰り上がりがある計算について学習を終

えての自分の考えや感想を書くように指示す

る。

まとめの例

①一の位…4+5=9

②十の位…2+3=5

③百の位…7+6=13

④千の位へ1繰り上がり

まとめを書きましょう。

今日の学習でキーワードは何でしょう。

P50 7・8を筆算で計算しましょう。

「今日の発見」を書きましょう。

視点:今日の学習から気づいたこと、考え

たこと

目指す振り返り(例)

・百の位に繰り上がりがあるときも、考え

方は同じだと思いました。数え棒の図で

考えると繰り上がりの意味が分かりやす

くなりました。

Cさんの考え方

①700+600=1300

1300=1000+300

↪ 千の位へ

繰り上がり

②100+600+500=1200

1200=1000+200

↪ 千の位へ

繰り上がり

10

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- 17 -

3 つまずきの予見と支援

本時では、3桁の数がとらえられていなかったり、筆算の仕方がつかめていなかったり、繰り上がりの

意味が理解できていなかったりするつまずきが予見できる。

3桁の数の大きさの理解のために、数字のみを扱って筆算させるのではなく、数え棒の図を使って一、

十、百のまとまりをつかめるようにしていく。特に、百の位に繰り上がりがある筆算の仕方の意味につい

て、1000 や 100のまとまりで表されることを図や具体物を活用して確実な理解へとつなげていくことが大

事である。図や具体物を示したり操作させたりしながら支援し、確実な理解を目指す。

4 説明のモデル【キーワード「10のまとまり」「十の位」「繰り上がり」「百のまとまり」「百の位」を使った例】

265+178 の計算は、一の位から順にたし算をします。5と8を足すと 13 になります。13 は10

のまとまりと 3に分けられます。10のまとまりは、十の位へ繰り上がり、3は一の位に残ります。十の

位では、60+70=130に繰り上がりの 10を足して 140になります。140は 100のまとまりと

40 に分けられます。100 のまとまりは、百の位へ繰り上がり、40 は十の位に残ります。百の位では

200+100=300 に繰り上がりの 100を足して400になります。答えは、443になります。

<目指す姿>

・一の位は、4+5=9 ①が9個になるから繰り上がりはないな。

・十の位は、2+3=5 ⑩が5個になるから繰り上がりはないな。

・百の位は、7+6=13 100 が 13個だから繰り上がりがあると思う。

・100 が 10個で 1000だから千の位に1繰り上がる。

5 本時でめざす習得した姿

・一の位で繰り上がりがあるときは、10のまとまりを作り、十の位に繰り上げて足し、十の位で繰り

上がりがあるときは、100のまとまりを作り、百の位に繰り上げて足す計算ができる姿。

考え方の例①

①1 この1は

724 100が十個ある

+ 635

1359

②111 千の位の上の1は

634 100が十個ある

+ 589

1223

考え方の例②

100 100 100 100 100 100 100

100 100 100 100

100 100

1000 100 100 100

千の位へ繰り上がり

100 が十個集まるから 1000 になる

Page 18: 学び合いに重点を置いた指導案 です。数学的な思考力・表現力 ... · 2016-03-30 · - 1 - 学力向上につながる小学校算数科の授業づくり 単元「たし算とひき算の筆算」【学習指導案編】

- 18 -

Bさんの考え方

百の位に繰り上がっ

た1を忘れています。

百の位は 1+5=6に

なります。

Aさんの考え方

① 11

64

+ 539

603

3年 たし算とひき算の筆算 啓林館 上P51 習得

第5時の展開例(5時間目/全 14時間) 1 本時の目標

(3位数)+(3位数)の計算の仕方を理解し、算数的表現を活用して説明することができる。

2 準備物

・絵カード ・数え棒(一、十、百の束)の図 ・具体物(数え棒等) ・発表ボード

3 本時の展開 ※ 関 考 技 知 は評価の観点、【 】は評価の方法、 はつまずきの予見と支援を示す。

分 主な学習活動 指導上の留意点と評価

1 問題について話し合う。

教科書P51練習をしましょう。

2 学習課題を持つ。

3桁のたし算の筆算の仕方を身につけよう。

3 児童一人ひとりが適用問題に取り組む。

(ペアや近くの児童と話し合う。)

4 学級全体で説明する。

<Aさんの考え方>

筆算で計算する方法

<Bさんの考え方>

言葉で説明する方法

<Cさんの考え方>

図と言葉で説明する方法

・前時の振り返りから数名の児童の振り返りを紹

介、賞賛する。

・3桁のたし算のポイントを確認する。

・自力解決が難しい児童には、机間指導や振り返

りボードで支援する。ペアや近くの児童と必要

に応じて話し合いながら解決させる。

・2桁+3桁、3桁+1桁等の筆算で末尾がそろえ

られていない児童

⇒数え棒の図で一、十、百のまとまりを示す。

・繰り上がりがとらえられていない児童

⇒数え棒の図や具体物で 10や 100 のまとまりを

示したり、操作させたりする。

・問題3に焦点を当て、考えを出させる。

・まちがいを説明することについて着目させる。

学び合い(グングンタイム)

本時の重点 知識、考え方

Cさんの考え方

10 10 10 10 10 10 1 1 1 1

100 100 100 100 100

10 10 10 1 1 1 1 1 1 1 1 1

100 100 100 100 100

10 10 10 10 10 10 10 10 10

1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 1

⑩のかたまりになる

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- 19 -

11 十の位と百の位の繰り上がりの1を

64 記入した方がまちがいにくい。

+ 539

603

5 本時の学習を振り返る。

知(3位数)+(3位数)の計算の仕方を理解できる。

【ノート記述の分析】

考(3位数)+(3位数)の筆算の仕方を説明するこ

とができる。【ノート記述の分析】

・学習を終えての自分の考えや感想を書くように

指示する。

4 つまずきの予見と支援

本時では、2桁+3桁、3桁+1桁等の筆算で末尾がそろえられていないつまずきが予見できる。この

つまずきに対し、数え棒の図で一、十、百のまとまりを示していく。繰り上がりがとらえられていない児

童に対しては、数え棒の図や具体物で 10や 100のまとまりを示したり、操作させたりする。さらに、問題

3は、まちがいを説明する問題である。間違いを説明するのではなく、正しい計算の手順を説明する誤答

が予見できる。そこで、問われていることを明確にし、例示を参考にしながら、間違いを説明していくこ

とをおさえていくことが大事である。

5 説明のモデル【キーワード「繰り上がり」「百の位」を使った例】

64+539の計算のまちがいは、百の位に繰り上がった1を忘れていることです。百の位は、繰り上

がりの1を足して、1+5=6になります。

6 本時のグングンタイム

○学級全体

間違いについて説明するという問題の意図を理解し、間違いを説明することができることをねらいと

する。集団討議を通して、正しい計算手順を説明するのではないことに気付かせたい。どのように説明

すれば分かりやすく説明することができるかを考えさせたい。

<目指す到達点>

・間違いは、百の位に繰り上がった1を忘れていることである。

・一の位は、4+9=13 ①が 13個になるから繰り上がりがある。

・十の位は、1+6+3=10 ⑩が 10 個になるから繰り上がりがある。

・百の位は、1+5=6 100 が6個だから繰り上がりはない。

7 目指す習得した姿

・(3位数)+(3位数)の計算の仕方を理解し、正しく計算ができる姿。

・計算の間違いに気付き、他者に言葉や式、図を使って説明することができる姿。

「今日の発見」を書きましょう。

視点:今日の学習から気付いたこと、考

えたこと

目指す振り返り(例)

・まちがいを説明する問題では、間違いを

見つけることが大事だと思いました。

9+991 のような問題を筆算で計算すると

きには、位をそろえることに気を付けな

ければいけない。

Page 20: 学び合いに重点を置いた指導案 です。数学的な思考力・表現力 ... · 2016-03-30 · - 1 - 学力向上につながる小学校算数科の授業づくり 単元「たし算とひき算の筆算」【学習指導案編】

- 20 -

3年 たし算とひき算の筆算 啓林館 上P115 活用

第6時の展開例(6時間目/全 14時間) 1 本時の目標

3位数の加法の計算を活用するカード並べを通して、3位数の加法に関心を高め、カードを置く位置に

ついて説明することができる。

2 準備物

・数字カード ・発表ボード

3 本時の展開 ※ 関 考 技 知 は評価の観点、【 】は評価の方法、 はつまずきの予見と支援を示す

分 主な学習活動 指導上の留意点と評価

1 活用問題について話し合う。

1から9までの9枚のカードを右のように

並べて、たし算の筆算とその答えをつくりま

す。 1 2 4

+ 6 5 9

7 8 3

下の筆算の〇のところには、どのカードを

おけばよいですか。カードをおいて、筆算を

完成させましょう。

2 学習課題を持つ。

筆算を完成させよう。その方法を説明しよう。

3 グループで考える。

4 グループの考えを学級全体で説明する。

(問題ア)

・前時の振り返りから数名の児童の振り返りを紹

介、賞賛する。

・数字カードを活用する。

・1から9までのカードを1枚ずつ使うことをお

さえる。

・置けるかどうか考え、ノートに考えを書くよう

に指導する。答えだけでなく言葉や式、図など

を使って説明を書くように指導する。

・問題アでは、どの部分から考えるとよいか考え

させる。一の位の 9+〇=〇 の〇に入る数

を全体で求めさせ、方法の見通しが持てるよう

にする。

関カード並べを通して,3位数のたし算に関心を

持つ。【学習活動の観察】

・考えのきっかけがつかめないグループ

⇒残りの数字を確認する。どの位から考えてい

くとよいか考えさせる。困っている場合は、

例を示す。

・繰り上がりがつかめていないグループ

⇒既習内容から繰り上がりがある場合について

例を示す。

・説明で困っているグループ

⇒考えた順序、数を置いた理由を説明するよう

に促す。

学び合い(グングンタイム)

本時の重点 関心、考え方

ア 1 ○ 9

+ ○ 2 ○

7 8 ○

イ ○ 1 ○

+ 5 ○○

○ ○ 3

どのように考えたのかな。

どんなことに気をつけて考えたのかな。

百の位から考えたらどうかな。

考えの同じところや違いはどこかな。

置ける数字は何かな。

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- 21 -

(問題イ)

・発表ボードにかいたグループの考えを発表させ

る。

・複数の考えを同時に示し、共通点や違いを見付

けさせる。

・問題アとイの違いを考えさせることで、置ける

(問題ア)予想される考え方

一の位は9+〇=〇

カード1と2は使われ

ているので、3を置くと

答えの一の位は2になる

ので、4を置く。

一の位は 9+4=13

十の位に1繰り上がるの

で、1+●+2=8

●は5になる。

百の位は 1+〇=7

〇は6になる。

(問題イ)予想される考え方

一の位は〇+〇=3

カード1は使われてい

るので、1+2=3は考

えられない。

7+6=13 または

4+9=13 と考えら

れる。

<7+6の場合>

1+1+●=△

●には、2、4、8、9

が考えられる。●に2、

4、8、9を順に当ては

めていくといずれも合わ

ない。

<4+9の場合>

1+1+●=△

●には、2、6、7、

8が考えられる。

●=2の場合、△=4と

なり合わない。

●=7の場合、△=9

となり合わない。

●=8の場合、△=0

となり合わない。

よって、●=6

百の位は、2+5=7

となる。

どのように考えたのかな。

ア 1 ● 9

+ ○ 2 4

7 8 3

ア 1 5 9

+ ○ 2 4

7 8 3

ア 1 5 9

+ 6 2 4

7 8 3

イ ○ 1 ○

+ 5 ○ ○

○ ○ 3

イ 1

○ 1 7

+ 5 ● 6

○ △ 3

イ 1

○ 1 4

+ 5 ● 9

○ △ 3

イ 1

○ 1 4

+ 5 6 9

○ 8 3

イ 1

2 1 4

+ 5 6 9

7 8 3

問題アとの違いは何かな。

なぜ、一の位に1は入らないのかな。

置ける数字は何かな。

場合に分けて考えていくこと。

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- 22 -

6 本時の学習を振り返る。

数字の種類の違いに気付かせる。

・場合に分けて考えていく考え方に着目させる。

考どのカードを〇の位置におけばよいか根拠をあ

げて説明することができる。

【ノート記述の分析】

・カード並べを通して、気付いたことや考えたこ

とを書くように指示する。

4 つまずきの予見と支援

本時では、足される数、足す数、置ける数字、繰り上がりの複数の条件を考えて根拠を基に筋道立てて

考えていく必要があるため、考えのきっかけをつかめないつまずきが予見できる。よって、情報や条件を

整理し、条件を一つずつ順に考えていくことが大事である。そこで、置ける残りの数字を確認した上で、

まず、どの位から考えていけばよいかをつかませる。そして、2を置いた場合、3を置いた場合等、条件

に分けて考えていくことをおさえておく。

また、繰り上がりがつかめていないつまずきが予見できる。既習内容から繰り上がりがある計算につい

て例を示したり、1つ上の位に繰り上がることを学びの掲示から振り返らせたりしていく。

5 説明のポイント

計画を立てる時に気を付けたことを説明する。

6 説明のモデル【例】(順序、理由)

(問題ア)

置ける数字は、3、4、5、6です。繰り上がりのことを考え、一の位から順

に考えました。一の位に3を置くと、9+3=12となり、2が重なります。一の

位に4を置くと、9+4=13となり、1+○+2=8より、5となります。百の

位には、残りの6が入ります。一の位に5を置くと、9+5=14となり、1+○

+2=8より、○=5となり、5が重なります。一の位に6を置くと、9+6=

15となり、1+○+2=8より、○=5となり、5が重なります。以上のことから

右図のようになります。

(問題イ)

置ける数字は、2、4、6、7、8、9です。繰り上がりのことを考え、一の

位から順に考えました。十の位に1が置かれているため、一の位は、6+7また

は、4+9のいずれかです。

一の位が6+7の場合、十の位の計算は、1+1+●=△となり、●には、2、

4、8、9が考えられますが、●に2、4、8、9を順に当てはめていくといずれ

も合いません。

一の位が4+9の場合、十の位の計算は、1+1+●=△となり、●には、2、6、7、8が考えられ

ますが、●に2、7、8を順に当てはめていくといずれも合いません。●には、6が当てはまります。以

上のことから、右図のようになります。

「今日の発見」を書きましょう。

視点:今日の学習から気づいたこと、考え

たこと

目指す振り返り(例)

どの数字を置くかは順に考えていくこと

が大事だと思いました。○が多くなるほど

難しいと分かりました。次は、自分で問題

を考えて解いてみたいです。

ア 1

1 5 9

+ 6 2 4

7 8 3

イ 1

2 1 4

+ 5 6 9

7 8 3

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- 23 -

7 本時のグングンタイム

○グループ学習

筆算の完成を目指し、グループで考えさせる。足される数、足す数、置ける数字、繰り上がりの複数

の条件を考えて根拠を基に筋道立てて考えていく必要があるため、グループ学習を採り入れる。多人数

で考えることにより、考えのよさを採り入れたり、考えをもちにくい児童が方法の見通しをもてたりす

ることをねらいとしている。主体的・協同的に解決していきたい。

○学級全体

各グループが立てた計画を説明し合い、気付きを交流し合う。その際、どんなことに気を付けて計画

を立てたのかを問い、その考え方を広げたり、共通点を見つけたりできるようにする。また、示された

発表ボードでの表現から、表現のよさについても考えさせたい。

<目指す到達点>

・一の位から順に考えていけばよい。

・使ったカードはその後、使えないから使っていないカードから考えるとよい。

・問題アなら1、2、7、8、9は使えない。

・問題イなら、1、3、5は使えない。

8 本時で目指す活用した姿

9 評価をするときに基とするもの【根拠】

◎ ・言葉、図、式を活用し、根拠をもと

に記述して正しい数字を置くこと

ができている。

<説明例①>

一の位は9+〇=〇

カード1と2は使われているので、3を置くと答えの一の位は

2になるので、4を置く。

<説明例②>

一の位は9+4=13

十の位に1繰り上がるので、1+〇+2=8

〇は5になる。 〇 ・正しい数字を置くことができてい

る。

△ ・上記〇に満たないもの

◎…十分満足できる正答 〇…おおむね満足できる正答 △…誤答もしくは〇に満たない解答

・○に入る数を根拠をあげて説明することができる姿

・カードならべに関心を持ち、既習内容を活用して解決しようとする姿

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- 24 -

Cさんの考え方

10+4-8=6

繰り下がり

3年 たし算とひき算の筆算 啓林館 上P52 習得

第7時の展開例(7時間目/全 14時間) 1 本時の目標

(3位数)-(3位数)で繰り下がりの意味を説明する算数的活動を通して、十の位が繰り下がる筆算の仕方

を考えることができる。

2 準備物

・絵カード ・数え棒(一、十、百の束)の図 ・具体物(数え棒等) ・発表ボード

3 本時の展開 ※ 関 考 技 知 は評価の観点、【 】は評価の方法、 はつまずきの予見と支援を示す。

分 主な学習活動 指導上の留意点と評価

1 問題場面について話し合う。

クッキーが 264 円、ポテトが 128 円です。

違いは何円ですか。

2 学習課題を持つ。

264-128 のような計算はどのようにすれば

よいのだろうか。

3 グループで課題について話し合う。

4 児童一人ひとり自分の考えで答えを求める。

5 ペアで自分の考えを説明し合う。

6 学級全体で説明する。

Aさんは、どのように考えたのかな。

<Aさんの考え方>

筆算で計算する方法

十の位の上の数は、なぜ5に変わるのでし

ょう。

<Bさんの考え方>

図で考える方法

<Cさんの考え方>

十の位の 60 のうち 10 が一の位に繰り下がる。

・違いを求めるには、ひき算で求めることを確認

する。

・筆算を書かせ、一の位に繰り下がりがあること

を確認する。

・絵カードを活用する。

・繰り下がりの意味を考え、ノートに考えを書く

ように指導する。答えだけでなく言葉や図など

を使って書くように指導する。

・自力解決が難しい児童には、振り返りボードで

支援する。

関(3位数)-(3位数)で十の位が繰り下がる筆算に

関心を持つ。【ノート記述の分析】

・264、128 の大きさがとらえられていない児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の減法の仕方がとらえられていない児童

⇒振り返りボードで2桁-2桁の計算を確認す

る。

・繰り下がりの1についてなぜを問う。複数の児

童の考えを合わせ、理解を深めさせる。

Aさんの考え方

510

264

- 128

136

・出された考えの共通点に

ついて話し合う。

Bさんの考え方

||||←⑩

||||||||

||||||

学び合い(グングンタイム)

本時の重点 関心、考え方

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- 25 -

・キーワードを使う。 繰り下がり 十の位

7 本時の学習のまとめをする。

8 適用問題を考える。

教科書 P52 172-154

9 ペアで自分の考えを説明し合う。

10 本時の学習を振り返る。

・児童からキーワードを引き出す。出ない場合は、

本時の板書や活動から言葉を探すように促した

り、教師が示したりする。

・172、154 の大きさがとらえられていない児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の仕方がとらえられていない児童

⇒振り返りボードで2桁-2桁の計算を確認す

る。

・2-4の計算による繰り下がりの意味がとらえ

られていない児童

⇒十の位から 10繰り下げる意味を数え棒の図や

具体物を活用したり操作させたりして理解を

促す。

考(3位数)-(3位数)で十の位が繰り下がる筆算の

仕方を考えることができる。【ノート記述の分析】

・3桁-3桁の計算について、学習を終えての自

分の考えや感想を書くように指示する。

4 つまずきの予見と支援

本時では、3桁の数がとらえられていなかったり、筆算の仕方がつかめていなかったり、繰り下がりの

意味が理解できていなかったりするつまずきが予見できる。

3桁の数の大きさの理解のために、数字のみを扱って筆算させるのではなく、数え棒の図を使って一、

十、百のまとまりをつかめるようにしていく。特に、一の位へ繰り下がる筆算の仕方の意味について、10

のまとまりで繰り下げることを図や具体物を活用して確実な理解へとつなげていくことが大事である。本

時の内容は、次時以降の繰り下がりの考え方の基礎的内容であり重要であるので、図や具体物を示したり

操作させたりしながら支援し、確実な理解を目指す。

5 説明のモデル【キーワード「繰り下げる」「十の位」を使った例】

264-128の計算は、一の位から順にひき算をします。4から8はひけないので、十の位から 10繰

り下げます。一の位は 10+4-8=6になります。十の位は、6から5になり、5-2=3となります。

百の位は2-1=1 答えは、136になります。

6 本時のグングンタイム

○ペア学習

264-128 の計算について、考えた方法をペアで交流する。自分の考えを整理したり、考えの途中の児

童が方法のきっかけをつかめたりすることをねらいとしている。

今日の学習でキーワードは何でしょう。

まとめを書きましょう。

172-154 を筆算でしましょう。計算の仕方

を説明しましょう。

まとめの例

①一の位…4-8 ひけない

②十の位から 10繰り下がり 10+4-8=6

③十の位…6→5 5-2=3

④百の位…2-1=1

「今日の発見」を書きましょう。

視点:今日の学習から気づいたこと、考

えたこと

目指す振り返り(例)

・引けない時は 1 つ上の位から繰り下げて

計算していくことが分かりました。数え

棒の図や○の数など、いろいろな表し方

があると分かりました。

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- 26 -

○学級全体

264-128 の計算について、考えた方法を説明し合い、多様な考え方があることを知り、図と筆算の関

連、それぞれの表現のよさを知ることをねらいとする。

集団討議を通して、予想される考え方は、

・お金の図で考える方法

・数え棒の図で考える方法

・筆算で考える方法

・その他

に分けられると予想される。

<目指す到達点>

・一の位は、4-8でひけないから、十の位から 10 繰り下げてくる。

・十の位は、6から5に繰り下がる。

・百の位は、2-1=1となり繰り下がりはない。

・2桁-2桁の筆算と同じようにすればいい。

7 本時で目指す習得した姿

・十の位から一の位に 10繰り下げてひく計算ができる姿。

・繰り下がりの意味を理解し、他者に言葉や式、図を使って説明することができる姿。

この 10 は①が 10 個

510 あるということ

264

- 128

136

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- 27 -

Cさんの考え方

100+20-70=50

繰り下がり

3年 たし算とひき算の筆算 啓林館 上P53 習得

第8時の展開例(8時間目/全 14時間) 1 本時の目標

(3位数)-(3位数)で繰り下がりの意味を説明する算数的活動を通して、百の位が繰り下がる筆算の計算

ができる。

2 準備物

・絵カード ・数え棒(一、十、百の束)の図 ・具体物(数え棒等) ・発表ボード

3 本時の展開 ※ 関 考 技 知 は評価の観点、【 】は評価の方法、 はつまずきの予見と支援を示す。

分 主な学習活動 指導上の留意点と評価

1 問題場面について話し合う。

焼きそばが 324円、たこ焼きが 172 円です。

違いは何円ですか。

2 学習課題を持つ。

324-172 のような計算はどのようにすれば

よいのだろうか。

3 グループで課題について話し合う。

4 児童一人ひとり自分の考えで答えを求める。

5 ペアで自分の考えを説明し合う。

6 学級全体で説明する。

Aさんは、どのように考えたのかな。

<Aさんの考え方>

筆算で計算する方法

百の位の上の数はなぜ2に変わるのでしょ

う。

<Bさんの考え方>

図で考える方法

<Cさんの考え方>

式で考える方法

なぜ十の位に 10繰り下がるのでしょう。

・前時の振り返りから数名の児童の振り返りを紹

介、賞賛する。

・絵カードを提示し、問題場面のイメージを児童

が持てるように支援する。

・本時は十の位に繰り下がりがあること(前時と

の違い)を確認する。

・考えをノートに書くように指示する。答えだけ

でなく言葉や図などを使って書くように指導す

る。

・324、172 の大きさがとらえられていない児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の減法の仕方がとらえられていない児童

⇒振り返りボードで2桁-2桁の計算を確認す

る。

・20-70 の計算による繰り下がりの意味がとらえ

られていない児童

⇒1つ上の位より 100 繰り下げてくることを数

え棒の図や具体物を活用したり操作させたり

して理解を促す。

・繰り上がりの1についてなぜを問う。複数の児

童の考えを合わせ、理解を深めさせる。

・出された考えの共通点について話し合う。

Bさんの考え方

⑩⑩←100

⑩⑩⑩⑩⑩⑩⑩

⑩⑩⑩⑩⑩

学び合い(グングンタイム)

本時の重点 知識、技能

Aさんの考え方

210

324

- 172

152

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- 28 -

・キーワードを使う。 繰り下がり 百の位

7 本時の学習のまとめをする。

8 適用問題を考える。

9 本時の学習を振り返る。

・図と筆算を関連付けて理解させていく。

・児童からキーワードを引き出す。出ない場合は、

本時の板書や活動から言葉を探すように促した

り、教師が示したりする。

・まとめの書き方を指導する。

・2桁、3桁の数の大きさがとらえられていない

児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の仕方がとらえられていない児童

⇒振り返りボードで2桁-2桁の計算を確認す

る。

・繰り下がりの意味がとらえられていない児童

⇒百の位から 100 繰り下げる意味を数え棒の図

や具体物を活用したり操作させたりして理解

を促す。

技(3位数)-(3位数)で百の位が繰り下がる筆算

ができる。【ノート記述の分析】

・百の位が繰り下がる計算について学習を終えての

自分の考えや分かったことを書くように指示す

る。

4 つまずきの予見と支援

本時では、3桁の数がとらえられていなかったり、筆算の仕方がつかめていなかったり、繰り下がりの

意味が理解できていなかったりするつまずきが予見できる。

3桁の数の大きさの理解のために、数字のみを扱って筆算させるのではなく、数え棒の図を使って一、

十、百のまとまりをつかめるようにしていく。特に、十の位へ繰り下がる筆算の仕方の意味について、100

のまとまりで繰り下げることを図や具体物を活用して確実な理解へとつなげていくことが大事である。本

時の内容は、次時以降の繰り下がりの考え方の基礎的内容であり重要であるので、図や具体物を示したり

操作させたりしながら支援し、確実な理解を目指す。

5 説明のモデル【キーワード「繰り下げる」「百の位」「十の位」を使った例】

324-172 の計算は、一の位から順にひき算をします。一の位は4-2=2となります。十の位は、

2から7はひけないので、百の位から 10 繰り下げます。十の位は 10+2-7=5になります。百の位

は、3から2になり、2-1=1となります。答えは、152になります。

今日の学習でキーワードは何でしょう。

まとめを書きましょう。

教科書 P53 問題6を筆算でしましょう。

まとめの例

①一の位…4-2=2

②十の位…2-7 ひけない

③百の位から10繰り下がり 10+2-7=5

④百の位…3→2 2-1=1

「今日の発見」を書きましょう。

視点:今日の学習から気付いたこと、考え

たこと

目指す振り返り(例)

・一の位でも十の位でも繰り下げる場合は 1

つ上の位から繰り下げてくることが分か

りました。数え棒の図で考えると繰り下

がりの意味が分かりやすくなりました。

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- 29 -

<目指す姿>

・十の位は、2-7でひけないから、百の位から 10 繰り下げて

くる。

・百の位は、3から2に繰り下がる。

・一の位は、4-2=2となり繰り下がりはない。

・前時の3桁-3桁の筆算と同じようにすればいいんだよ。

6 本時で目指す習得した姿

・百の位から十の位に 10繰り下げてひく計算ができる姿。

・繰り下がりの意味を理解し、他者に言葉や式、図を使って説明することができる姿。

この10は⑩が 10

210 あるということ

324

- 172

152

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- 30 -

Cさんの考え方

10+1-5=6

100+10-60=50

繰り下がり

3年 たし算とひき算の筆算 啓林館 上P54 習得

第9時の展開例(9時間目/全 14時間) 1 本時の目標

(3位数)-(3位数)で繰り下がりの意味を説明する算数的活動を通して、十の位および百の位が繰り下が

る筆算の仕方を考えることができる。

2 準備物

・絵カード ・数え棒(一、十、百の束)の図 ・具体物(数え棒等) ・発表ボード

3 本時の展開 ※ 関 考 技 知 は評価の観点、【 】は評価の方法、 はつまずきの予見と支援を示す。

分 主な学習活動 指導上の留意点と評価

1 問題場面について話し合う。

筆箱が 321 円、ノートが 165 円です。違い

は何円ですか。

2 学習課題を持つ。

321-165 のような計算はどのようにすれば

よいのだろうか

3 児童一人ひとり自分の考えで答えを求める。

(ペアや近くの児童と話し合う。)

4 ペアで自分の考えを説明し合う。

5 学級全体で説明する。

Aさんは、どのように考えたのかな。

<Aさんの考え方>

筆算で計算する方法

百の位の上の数は、なぜ2に変わるのでし

ょう。

<Bさんの考え方>

図で考える方法

<Cさんの考え方>

式で考える方法

なぜ十の位に 10繰り下がるのでしょう。

・前時の振り返りから数名の児童の振り返りを紹

介、賞賛する。

・絵カードを提示し、問題場面のイメージを児童

が持てるように支援する。

・本時は一の位および十の位に繰り下がりがある

こと(前時との違い)を確認する。

・考えをノートに書くように指示する。答えだけ

でなく言葉や図などを使って書くように指導す

る。

・321、165 の大きさがとらえられていない児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の減法の仕方がとらえられていない児童

⇒振り返りボードで2桁-2桁の計算を確認す

る。

・1-5、20-60 の計算による繰り下がりの意味

がとらえられていない児童

⇒1つ上の位より 10や 100繰り下げてくること

を数え棒の図や具体物を活用したり操作させ

たりして理解を促す。

Bさんの考え方

100→⑩ ⑩|

⑩⑩⑩⑩⑩⑩

|||||

⑩⑩⑩⑩⑩

||||||

間 学び合い(グングンタイム)

本時の重点 知識、技能

Aさんの考え方

10

2110

321

- 165

156

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- 31 -

・キーワードを使う。 繰り下がり 百の位 十の位

7 本時の学習のまとめをする。

7 適用問題を考える。

教科書 P54 9

8 本時の学習を振り返る。

・繰り下がりの1についてなぜを問う。複数の児

童の考えを合わせ、理解を深めさせる。

・出された考えの共通点について話し合う。

・図と筆算を関連付けて理解させていく。

・児童からキーワードを引き出す。出ない場合は、

本時の板書や活動から言葉を探すように促した

り、教師が示したりする。

・まとめの書き方を指導する。

・2桁、3桁の数の大きさがとらえられていない

児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の仕方がとらえられていない児童

⇒振り返りボードで2桁-2桁の計算を確認す

る。

・繰り下がりの意味がとらえられていない児童

⇒百の位から 100 繰り下げる意味を数え棒の図

や具体物を活用したり操作させたりして理解

を促す。

技(3位数)-(3位数)で十の位と百の位が繰り下が

る筆算ができる。【ノート記述の分析】

知(3位数)-(3位数)で十の位と百の位が繰り下が

る筆算の仕方を理解できる。【ノート記述の分析】

・十の位および百の位が繰り下がる計算について

学習を終えての自分の考えや分かったことを書

くように指示する。

4 つまずきの予見と支援

本時では、3桁の数がとらえられていなかったり、筆算の仕方がつかめていなかったり、繰り下がりの

意味が理解できていなかったりするつまずきが予見できる。

3桁の数の大きさの理解のために、数字のみを扱って筆算させるのではなく、数え棒の図を使って一、

十、百のまとまりをつかめるようにしていく。特に、一の位および十の位へ繰り下がる筆算の仕方の意味

について、10および 100のまとまりで繰り下げることを図や具体物を活用して確実な理解へとつなげてい

くことが大事である。

今日の学習でキーワードは何でしょう。

まとめを書きましょう。

教科書 P54 9を筆算でしましょう。

まとめの例

①一の位…1-5 ひけない

②十の位から 10繰り下がり…10+1-5=6

③十の位…1-6 ひけない

④百の位から 10繰り下がり…10+1-6=5

⑤百の位…2-1=1

「今日の発見」を書きましょう。

視点:今日の学習から気づいたこと、考

えたこと

目指す振り返り(例)

・繰り下がりが2回ある場合でも 1 つ上の

位から繰り下げてくることは同じである

と分かりました。でも、繰り下がりの意

味がちがうことに気付きました。

Page 32: 学び合いに重点を置いた指導案 です。数学的な思考力・表現力 ... · 2016-03-30 · - 1 - 学力向上につながる小学校算数科の授業づくり 単元「たし算とひき算の筆算」【学習指導案編】

- 32 -

5 説明のモデル【キーワード「百の位」「十の位」「繰り下げる」を使った例】

321-165 の計算は、一の位から順にひき算をします。一の位は1から5はひけないので、十の位か

ら 10 繰り下げます。一の位は、10+1-5=6となります。十の位は、2から1になり、1から6は

ひけないので、百の位から 10 繰り下げます。十の位は 10+1-6=5になります。百の位は、3から

2になり、2-1=1となります。答えは、156になります。

<目指す姿>

・一の位は、1-5でひけないから、十の位から 10繰り下げて

くる。

・十の位は、1-6でひけないから、百の位から 10繰り下げて

くる。

・百の位は、2-1=1となり繰り下がりはない。

・前時の3桁-3桁の筆算と同じようにすればいい。

6 本時で目指す習得した姿

・百の位および十の位からそれぞれ 10繰り下げてひく計算ができる姿。

10 この 10 は⑩が 10

1 10 あるということ

321

- 165

156

Page 33: 学び合いに重点を置いた指導案 です。数学的な思考力・表現力 ... · 2016-03-30 · - 1 - 学力向上につながる小学校算数科の授業づくり 単元「たし算とひき算の筆算」【学習指導案編】

- 33 -

Cさんの考え方

10+2-5=7

90+0-60=30

繰り下がり

3年 たし算とひき算の筆算 啓林館 上P55 習得

第 10時の展開例(10時間目/全 14時間) 1 本時の目標

(何百何)-(3位数)で繰り下がりの意味を説明する算数的活動を通して、十の位および百の位が繰り下が

る筆算の仕方を説明することができる。

2 準備物

・絵カード ・数え棒(一、十、百の束)の図 ・具体物(数え棒等) ・発表ボード

3 本時の展開 ※ 関 考 技 知 は評価の観点、【 】は評価の方法、 はつまずきの予見と支援を示す。

分 主な学習活動 指導上の留意点と評価

1 問題場面について話し合う。

メロンが 302 円、リンゴが 165 円です。違

いは何円ですか。

2 学習課題を持つ。

302-165 のような計算はどのようにすれば

よいのだろうか。

3 児童一人ひとり自分の考えで答えを求める。

(ペアや近くの児童と話し合う。)

4 ペアで自分の考えを説明し合う。

5 学級全体で説明する。

Aさんは、どのように考えたのかな。

<Aさんの考え方>

筆算で計算する方法

百の位の上の数は、なぜ2に変わるのでし

ょう。

<Bさんの考え方>

図で考える方法

<Cさんの考え方>

式で考える方法

なぜ十の位に 90繰り下がるのでしょう。

・前時の振り返りから数名の児童の振り返りを紹

介、賞賛する。

・絵カードを提示し、問題場面のイメージを児童

が持てるように支援する。

・本時は十の位が空位であるひき算である(前時

との違い)ことを確認する。

・考えをノートに書くように指示する。答えだけ

でなく言葉や図などを使って書くように指導す

る。

・302、165 の大きさがとらえられていない児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の減法の仕方がとらえられていない児童

⇒振り返りボードで2桁-2桁の計算を確認す

る。

・2-5、0-60 の計算による繰り下がりの意味

がとらえられていない児童

⇒1つ上の位より 10や 100繰り下げてくること

を数え棒の図や具体物を活用したり操作させ

たりして理解を促す。

Aさんの考え方

2910

302

- 165

137

Bさんの考え方

100 100 100||

100 ⑩⑩⑩⑩⑩⑩

|||||

100 100 90 10||

100 ⑩⑩⑩⑩⑩⑩

|||||

間 学び合い(グングンタイム)

本時の重点 考え方

Page 34: 学び合いに重点を置いた指導案 です。数学的な思考力・表現力 ... · 2016-03-30 · - 1 - 学力向上につながる小学校算数科の授業づくり 単元「たし算とひき算の筆算」【学習指導案編】

- 34 -

・キーワードを使う。 繰り下がり 百の位 十の位

6 本時の学習のまとめをする。

7 適用問題を考える。

教科書 P55 12⑥

8 ペアで説明し合う。

9 本時の学習を振り返る。

・繰り下がりの1についてなぜを問う。複数の児

童の考えを合わせ、理解を深めさせる。

・出された考えの共通点について話し合う。

・図と筆算を関連付けて理解させていく。

・児童からキーワードを引き出す。出ない場合は、

本時の板書や活動から言葉を探すように促した

り、教師が示したりする。

・まとめの書き方を指導する。

・400、152 の大きさがとらえられていない児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の減法の仕方がとらえられていない児童

⇒振り返りボードで2桁-2桁の計算を確認す

る。

・0-2、0-50 の計算による繰り下がりの意味

がとらえられていない児童

⇒1つ上の位より 10や 100繰り下げてくること

を数え棒の図や具体物を活用したり操作させ

たりして理解を促す。

考(何百何)-(3位数)で繰り下がりが2桁に及ぶ筆

算の仕方を説明することができる。【ノート記述の分

析】

・(何百何)-(3位数)で十の位および百の位が繰

り下がる計算について学習を終えての自分の考

えや分かったことを書くように指示する。

4 つまずきの予見と支援

本時では、空位の意味がとらえられていなかったり、繰り下がりの意味が理解できていなかったりする

つまずきが予見できる。

3桁の数の大きさの理解のために、数字のみを扱って筆算させるのではなく、数え棒の図を使って一、

十、百のまとまりをつかめるようにしていく。特に、一の位および十の位へ繰り下がる筆算の仕方の意味

について、10および 100のまとまりで繰り下げることを図や具体物を活用して確実な理解へとつなげてい

くことが大事である。

特に、400-152のように、空位が続く計算では、繰り下がりを間違うつまずきが予見できる。段階を追

って繰り下げていくことで、それぞれが表す数の意味をとらえさせることが大事である。

今日の学習でキーワードは何でしょう。

まとめを書きましょう。

400-152 の計算の仕方を説明しましょう。

まとめの例

①一の位…2-5 ひけない

②十の位 繰り下がりできない

③百の位…100繰り下がり 3→2

④一の位…10+2-5=7

⑤十の位…90+0-60=30

⑥百の位…2-1=1

「今日の発見」を書きましょう。

視点:今日の学習から気づいたこと、考え

たこと

目指す振り返り(例)

・1つ上の位が0の時は、さらに上の位か

ら繰り下げてくることが分かりました。

繰り下がりの意味を考えることが大事だ

と思いました。

Page 35: 学び合いに重点を置いた指導案 です。数学的な思考力・表現力 ... · 2016-03-30 · - 1 - 学力向上につながる小学校算数科の授業づくり 単元「たし算とひき算の筆算」【学習指導案編】

- 35 -

5 説明のモデル【キーワード「繰り下げる」「百の位」「十の位」「90」を使った例】

302-165 の計算は、一の位から順にひき算をします。一の位は2から5はひけない。十の位は0な

ので、百の位から十の位へ 90、一の位へ 10繰り下げます。一の位は、10+2-5=7となります。十

の位は、90+0-60=30になります。百の位は2から1になり、2-1=1となります。答えは、137

になります。

6 本時のグングンタイム

<目指す姿>

○ペア学習

302-165 の計算について、考えた方法をペアで交流する。自分

の考えを整理したり、考えの途中の児童が方法のきっかけをつか

めたりすることをねらいとしている。

○学級全体

302-165 の計算について、考えた方法を説明し合い、多様な考え方があることを知り、図と筆算の関

連、それぞれの表現のよさを知ることをねらいとする。

集団討議を通して、考え方は、

・お金の図で考える方法

・数え棒の図で考える方法

・筆算で考える方法

・その他

に分けられると予想される。

<目指す到達点>

・一の位は、2-5でひけない。十の位も0だから百の位から 10 繰り下げてくる。

・十の位は、0-6でひけない。百の位から 90繰り下げてくる。

・百の位は、2-1=1となり繰り下がりはない。

・前時の3桁-3桁の筆算と同じようにすればいい。

7 本時で目指す習得した姿

・十の位から繰り下げてひけない場合は、百の位から十の位へ 90、一の位へ 10 繰り下げて計算がで

きる姿。

・繰り下がりの意味を理解し、他者に言葉や式、図を使って説明することができる姿。

この 9 は⑩が9

2 9 10 あるということ

302

- 165

137

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- 36 -

Bさんの考え方

百の位から1繰り下

がったのを忘れてい

ます。百の位は

5-2=3になりま

す。

Aさんの考え方

① 5 9 10

600

- 243

357

Cさんの考え方

100 100 100 100 100 100 (600)

100 100 100 100 100 (500)

10 10 10 10 10 10 10 10 10 (90)

1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 (10)

600を 500に繰り下げていない

3年 たし算とひき算の筆算 啓林館 上P56 確認

第 11時の展開例(11時間目/全 14時間) 1 本時の目標

(3位数)-(3位数)の計算の仕方を理解することができる。

2 準備物

・数え棒(一、十、百の束)の図 ・具体物(数え棒等) ・発表ボード

3 本時の展開 ※ 関 考 技 知 は評価の観点、【 】は評価の方法、 はつまずきの予見と支援を示す。

分 主な学習活動 指導上の留意点と評価

1 問題について話し合う。

教科書P56 練習をしましょう。

2 学習課題を持つ。

3桁のひき算の筆算の仕方を身につけよう

3 児童一人ひとりが適用問題に取り組む。

(ペアや近くの児童と話し合う。)

4 ペアで自分の考えを説明し合う。

5 学級全体で説明する。

<Aさんの考え方>

筆算で計算する方法

<Bさんの考え方>

言葉で説明する方法

<Cさんの考え方>

図と数で説明する方法

・前時の振り返りから数名の児童の振り返りを紹

介、賞賛する。

・3桁のひき算のポイントを確認する。

・自力解決が難しい児童には、振り返りボードで

支援する。ペアや近くの児童と必要に応じて話

し合いながら解決させる。

・3桁-2桁、3桁-1桁等の筆算で末尾がそろ

えられていない児童

⇒数え棒の図で一、十、百のまとまりを示す。

・繰り下がりがとらえられていない児童

⇒数え棒の図や具体物で 10や 100 のまとまりを

示したり、操作させたりする。

・問題3に焦点を当てる。

・まちがいを説明することについて着目させる。

技(3位数)-(3位数)の筆算ができる。

【ノート記述の分析】

知(3位数)-(3位数)の計算の仕方を理解できる。

【ノート記述の分析】

学び合い(グングンタイム)

本時の重点 知識、技能

Page 37: 学び合いに重点を置いた指導案 です。数学的な思考力・表現力 ... · 2016-03-30 · - 1 - 学力向上につながる小学校算数科の授業づくり 単元「たし算とひき算の筆算」【学習指導案編】

- 37 -

5 9 10 百の位と十の位、一の位に繰り下がった数を

600 記入した方がまちがいにくい。

- 243

357

6 本時の学習を振り返る。

・学習を終えての自分の考えや感想を書くように

指示する。

4 つまずきの予見と支援

本時では、3桁-2桁、3桁-1桁等の筆算で末尾がそろえられていなかったり、加法と減法の筆算の

計算の仕方で混同していたり、繰り下がりの意味が理解できていなかったりするつまずきが予見できる。

3桁の数の大きさの理解のために、数字のみを扱って筆算させるのではなく、数え棒の図を使って一、

十、百のまとまりをつかめるようにしていく。図と数字を関連させることで、正しい筆算の計算につなげ

ていく。一の位および十の位へ繰り下がる筆算の仕方の意味について、10および 100のまとまりで繰り下

げることを図や具体物を活用して確実な理解へとつなげていくことが大事である。

5 説明のモデル【キーワード「繰り下がり」「百の位」を使った例】

600-243 の計算のまちがいは、百の位から繰り下がった1を忘れていることです。百の位は、繰り

下がりの1を引いて、6-1=5になります。

<目指す姿>

・600 を図で考えると繰り下がりの意味が分かりやすい。

・600 から 200より大きい数を引いているのに答えは 400より大きい数字になるのはおかしい。

6 目指す習得した姿

・(3位数)-(3位数)の計算の仕方を理解し、正しく計算ができる姿。

・計算のまちがいに気付き、他者に言葉や式、図を使って説明することができる姿。

「今日の発見」を書きましょう。

視点:今日の学習から気づいたこと、考え

たこと

目指す振り返り(例)

・300-9 のような問題で 2 回繰り下げる時

には、その意味を考えて計算しなければ

いけない。間違いを説明する問題でかか

れていた間違いはよくしてしまうので、

気を付けようと思いました。

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- 38 -

Cさんの考え方

一の位

8+4=12

十の位へ⑩繰り上

がり

十の位

10+ 70+ 30=

110

3年 たし算とひき算の筆算 啓林館 上P57 習得

第 12時の展開例(12時間目/全 14時間) 1 本時の目標

(4位数)±(4位数)で繰り上がりおよび繰り下がりの意味を説明する算数的活動を通して、4位数の筆算

の仕方を考えることができる。

2 準備物

・数え棒(一、十、百、千の束)の図 ・具体物(数え棒等) ・発表ボード

3 本時の展開 ※ 関 考 技 知 は評価の観点、【 】は評価の方法、 はつまずきの予見と支援を示す。

分 主な学習活動 指導上の留意点と評価

1 問題場面について話し合う。

5678+1234、8912-7654 のような計算はど

のようにすればよいのだろうか。

2 学習課題を持つ。

4けたの計算はどのようにすればよいだろ

うか。

3 児童一人ひとり自分の考えで答えを求める。

(ペアや近くの児童と話し合う。)

4 ペアで自分の考えを説明し合う。

5 学級全体で説明する。

Aさんは、どのように考えたのかな。

<Aさんの考え方>

筆算で計算する方法

<Bさんの考え方>

図で考える方法

<Cさんの考え方>

式で考える方法

・前時の振り返りから数名の児童の振り返りを紹

介、賞賛する。

・本時は4桁の数の計算である(前時との違い)

ことを確認する。

・考えをノートに書くように指示する。答えだけ

でなく言葉や図などを使って書くように指導す

る。

関(3位数)±(3位数)の計算から(4位数)±(4

位数)の計算に関心を持つ。【学習活動の観察】

・5678、1234、8912、7654 の数の大きさがとらえ

られていない児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の加法・減法で混同が見られる児童

⇒振り返りボードで加法・減法の計算を確認す

る。

・繰り上がりがとらえられていない児童

⇒数え棒の図や具体物で 10や 100のまとまりを

示したり、操作させたりする。

・繰り下がりがとらえられていない児童

⇒数え棒の図や具体物で 10や 100のまとまりを

示したり、操作させたりする。

Bさんの考え方

||||||||

||||

⑩ ||

学び合い(グングンタイム)

本時の重点 関心、考え方

Aさんの考え方

11

5678

+1234

6912

Page 39: 学び合いに重点を置いた指導案 です。数学的な思考力・表現力 ... · 2016-03-30 · - 1 - 学力向上につながる小学校算数科の授業づくり 単元「たし算とひき算の筆算」【学習指導案編】

- 39 -

・キーワードを使う。 4桁 桁数

6 本時の学習のまとめをする。

7 適用問題を考える。

教科書 P57 1386+2459 8925-4819

8 本時の学習を振り返る。

・繰り上がりの1についてなぜを問う。複数の児

童の考えを合わせ、理解を深めさせる。

・出された考えの共通点について話し合う。

・児童からキーワードを引き出す。出ない場合は、

本時の板書や活動から言葉を探すように促した

り、教師が示したりする。

・まとめの書き方を指導する。

考桁数の少ない場合を基にして,(4位数)±(4位

数)の筆算の仕方を考えることができる。

【ノート記述の分析】

・1386、2459、8925、4819 の大きさがとらえられ

ていない児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の加法・減法で混同が見られる児童

⇒振り返りボードで加法・減法の計算を確認す

る。

・繰り上がりがとらえられていない児童

⇒数え棒の図や具体物で 10や 100のまとまりを

示したり、操作させたりする。

・繰り下がりがとらえられていない児童

⇒数え棒の図や具体物で 10や 100のまとまりを

示したり、操作させたりする。

・4桁の計算について、学習を終えての自分の考

えや感想を書くように指示する。

4 つまずきの予見と支援

本時では、桁数が増えることにより、4桁の数の大きさがとらえられてなかったり、4桁+2桁、4桁

-1桁等の筆算で末尾がそろえられていなかったり、加法と減法の筆算の計算の仕方で混同していたり、

千の位への繰り上がりや千の位からの繰り下がりで意味が理解できていなかったりするつまずきが予見で

きる。

4桁の数の大きさの理解のために、数字のみを扱って筆算させるのではなく、数え棒の図を使って一、

十、百、千のまとまりをつかめるようにしていく。特に、千の位へ繰り上がったり繰り下がったりする筆

算の仕方の意味について、1000 のまとまりで繰り上げたり繰り下げたりすることを図や具体物を活用して

確実な理解へとつなげていくことが大事である。本時の内容は、本単元以降の数と計算領域の考え方の基

礎的内容であり重要であるので、図や具体物を示したり操作させたりしながら支援し、確実な理解を目指

す。

5 説明のモデル【キーワード「千の位」「繰り上がり」「繰り下がり」を使った例】

5678+1234の計算は、一の位から順にたし算をします。一の位は8+4=12となり、十の位へ1

繰り上がります。十の位は、1+7+3=11となり、百の位へ1繰り上がります。百の位は、1+6+2

=9となります。千の位は、5+1=6となります。答えは、6912となります。

今日の学習でキーワードは何でしょう。

まとめを書きましょう。

1386+2459 8925-4819 の計算の仕方を

説明しましょう。

まとめの例

4桁の計算は筆算で計算ができる

桁数が増えても筆算が使える

「今日の発見」を書きましょう。

視点:今日の学習から気づいたこと、考え

たこと

目指す振り返り(例)

・桁数が増えても考え方は同じだと思いま

した。桁数が増えると位がずれないよう

に気を付けることが大事だなと思いまし

た。次は、もっと大きい数の計算にも挑

戦してみたいです。

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- 40 -

8912-7654の計算は、一の位から順にひき算をします。2から4はひけないので、十の位から 10

繰り下げます。十の位は1から0になります。一の位は、10+2-4=8となります。十の位は、0か

ら5はひけないので、百の位から10繰り下げます。百の位は8になります。十の位は、10+0-5=

5となります。百の位は、8-6=2となります。千の位は、8-7=1となります。答えは、1258

となります。

6 本時のグングンタイム

○ペア学習

5678+1234、8912-7654の計算について、考えた方法をペアで交流する。自分の考えを整理したり、

考えの途中の児童が方法のきっかけをつかめたりすることをねらいとしている。

○学級全体

5678+1234、8912-7654 の計算について、考えた方法を説明し合い、多様な考え方があることを知り、

図と筆算の関連、それぞれの表現のよさを知ることをねらいとする。

集団討議を通して、考え方は、

・お金の図で考える方法

・数え棒の図で考える方法

・筆算で考える方法

・その他

に分けられると予想される。

<目指す到達点>

・既習の3桁の筆算と同じようにすればいい。

・4桁になっても計算の仕方は変わらない。

・何桁になっても計算の仕方は変わらない。

7 本時で目指す習得した姿

・3位数までの計算と同じようにして4位数の計算ができる姿。

・4位数の加減法における繰り上がり、繰り下がりの意味を理解し、他者に言葉や式、図を使って説

明することができる姿。

Page 41: 学び合いに重点を置いた指導案 です。数学的な思考力・表現力 ... · 2016-03-30 · - 1 - 学力向上につながる小学校算数科の授業づくり 単元「たし算とひき算の筆算」【学習指導案編】

- 41 -

Bさんの考え方

十の位から1繰り下

がったのを忘れてい

ます。十の位は

9-2=7になりま

す。

Aさんの考え方

① 5 9 10

600

- 321

279

Cさんの考え方

100 100 100 100 100 100 (600)

100 100 100 100 100 (500)

10 10 10 10 10 10 10 10 10 10 (100)

1 1 1 1 1 1 1 1 1 1 (10)

100を 90に繰り下げていない

3年 たし算とひき算の筆算 啓林館 上P58 確認

第 13時の展開例(13時間目/全 14時間) 1 本時の目標

(3位数)±(3位数)、(4位数)±(4位数)の計算の仕方を理解することができる。

2 準備物

・数え棒(一、十、百、千の束)の図 ・具体物(数え棒等) ・発表ボード

3 本時の展開 ※ 関 考 技 知 は評価の観点、【 】は評価の方法、 はつまずきの予見と支援を示す。

分 主な学習活動 指導上の留意点と評価

1 問題について話し合う。

教科書P58練習をしましょう。

2 学習課題を持つ。

3・4桁の筆算の仕方を身に付けよう。

3 児童一人ひとりが適用問題に取り組む。

(ペアや近くの児童と話し合う。)

4 ペアで自分の考えを説明し合う。

5 学級全体で説明する。

<Aさんの考え方>

筆算で計算する方法

<Bさんの考え方>

言葉で説明する方法

<Cさんの考え方>

図と数で説明する方法

・前時の振り返りから数名の児童の振り返りを紹

介、賞賛する。

・3桁の筆算のポイントを確認する。

・自力解決が難しい児童には、振り返りボードで

支援する。ペアや近くの児童と必要に応じて話

し合いながら解決させる。

・3桁、4桁の数の大きさがとらえられていない

児童

⇒数え棒の図を示す。

・筆算の加法・減法で混同が見られる児童

⇒振り返りボードで加法・減法の計算を確認す

る。

・繰り上がりがとらえられていない児童

⇒数え棒の図や具体物で 10や 100 のまとまりを

示したり、操作させたりする。

・繰り下がりがとらえられていない児童

⇒数え棒の図や具体物で 10や 100 のまとまりを

示したり、操作させたりする。

・問題3に焦点を当てる。

学び合い(グングンタイム)

本時の重点 知識、技能

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5 9 10 百の位と十の位、一の位に繰り下がった数を

600 記入した方がまちがいにくい。

- 321

279

6 本時の学習を振り返る。

・まちがいを説明することについて着目させる。

技 (3位数)±(3位数)の筆算ができる。【ノート記述

の分析】

知(3位数)±(3位数)の計算の仕方を理解できる【ノ

ート記述の分析】

・学習を終えての自分の考えや感想を書くように

指示する。

4 つまずきの予見と支援

本時では、4桁の数の大きさがとらえられてなかったり、加法と減法の筆算の計算の仕方で混同してい

たり、千の位への繰り上がりや千の位からの繰り下がりで意味が理解できていなかったりするつまずきが

予見できる。

4桁の数の大きさの理解のために、数字のみを扱って筆算させるのではなく、数え棒の図を使って一、

十、百、千のまとまりをつかめるようにしていく。特に、千の位へ繰り上がったり繰り下がったりする筆

算の仕方の意味について、1000 のまとまりで繰り上げたり繰り下げたりすることを図や具体物を活用して

確実な理解へとつなげていくことが大事である。本時の内容は、本単元以降の数と計算領域の考え方の基

礎的内容であり重要であるので、図や具体物を示したり操作させたりしながら支援し、確実な理解を目指

す。

5 説明のモデル【キーワード「繰り下がり」「百の位」を使った例】

600-321 の計算のまちがいは、十の位から繰り下がった1を忘れていることです。十の位は、繰り

下がりの1を引いて、9-2=7になります。

<目指す姿>

・600 を図で考えると繰り下がりの意味が分かりやすい。

・十の位から1繰り下がっているのに 10-8=2と計算しているのはおかしい。

6 目指す習得した姿

・(3位数)±(3位数) (4位数)±(4位数)の計算の仕方を理解し、正しく計算ができる姿。

「今日の発見」を書きましょう。

視点:今日の学習から気付いたこと、考え

たこと

目指す振り返り(例)

・3桁、4桁の筆算では、位をそろえて計

算することが大事だなと思いました。間

違いを説明する問題では、間違いは何か

を見つけることが難しいと感じました。

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Bグループの考え方

98円ののり、198 円

のノート、298 円のコ

ンパスはそれぞれ 100

円、200 円、300 円で

買えるから

100+200+300=600

合計は高くても 600

円となるので買える。

Aグループの考え方

22

98

198

+ 298

594

合計は 594円となるの

で 600円で買える。

3年 たし算とひき算の筆算 啓林館 上P59 活用

第 14時の展開例(14時間目/全 14時間) 1 本時の目標

単元の内容を活用する算数的活動を通して、文房具が買えるかについて説明することができる。

2 準備物

・絵カード ・数え棒(一、十、百の束)の図 ・具体物(数え棒等) ・発表ボード

3 本時の展開 ※ 関 考 技 知 は評価の観点、【 】は評価の方法、 はつまずきの予見と支援を示す

分 主な学習活動 指導上の留意点と評価

1 活用問題について話し合う。

みさきさんは 600 円持っています。98 円の

のりと、198円のノートと 298円のコンパスの

3つを買うことができますか。

2 学習課題を持つ。

3つの文房具は買えるだろうか。説明しよう。

3 グループで答えを求める。

4 グループで説明する。

5 グループの考えを学級全体で説明する。

買える金額で見積もり合計する方法

・前時の振り返りから数名の児童の振り返りを紹

介、賞賛する。

・絵カードを提示し、問題場面のイメージを児童

が持てるように支援する。

・本時は、3つの文房具が買えるかどうかを説明

することを確認する。

・考えをノートに書くように指示する。答えだけ

でなく言葉や図などを使って書くように指導す

る。

・考えのきっかけがつかめないグループ

⇒簡単な場合の例を示す。

・繰り上がり、繰り下がりでつまずきが見られる

グループ

⇒数え棒の図や具体物で 10や 100 のまとまりを

示したり、操作させたりする。

・説明で困っているグループ

⇒考えの理由および結果からいえることを説明

するように促す。

関学用品を買えるか買えないかに関心を持ち、既習内

容を生かして説明しようとする。【学習活動の観察】

Cグループの考え方

600-98-198-298

=6

6円残るから 600円

で買える。

Bグループはなぜ、何百円として考えたのか

な。

学び合い(グングンタイム)

本時の重点 関心、考え方

考えの同じところや違いはどこかな。

○グループはどのように考えたのかな。

考えのよいところはどこかな。

表し方はどうかな。

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6 一人ひとりが活用問題を考える。

7 買えるかどうかをペアに説明する。

8 本時の学習を振り返る。

9 本単元の評価問題を考える。

・発表ボードにかいたグループの考えを示し、共

通点や違い、考えのよさを発表させる。

・Bグループの考え方は概数につながる考え方で

ある。その考えのよさを賞賛する。

・図や式等の表現のよさの違いについても取り上

げる。

・買えるか買えないかだけでなく、その説明を記

述させ、説明させる。

・基本問題との違い(持っているお金が 1000円、

クレヨンとはさみとセロハンテープを買うこ

と)を確認する。

考買えるか買えないかの理由を,根拠をあげて説明す

ることができる。【ノート記述の分析】

・考えのきっかけがつかめない児童

⇒簡単な場合の例を示す。

・考えに困っている児童

⇒活動5の各グループが立てた考え方から選択

して考えるように促す。

・繰り上がり、繰り下がりでつまずきが見られる

児童

⇒数え棒の図や具体物で 10や 100 のまとまりを

示したり、操作させたりする。。

・説明で困っている児童

⇒考えの理由および結果からいえることを説明

するように促す。

・単元全体の学習を通しての自分の考えや感想、

学んだことや生かしていきたいことを書く活動

を通して、学んだことの意味を実感したり、た

し算とひき算の筆算のよさを納得したりできる

ことを目指す。

1000 円で、525 円のクレヨンと、315 円の

はさみと、210 円のセロハンテープの3つを

買うことができますか。

「今日の発見」を書きましょう。

視点:単元全体の学習を通しての自分の考

えや感想、学んだことや生かしてい

きたいこと

目指す振り返り(例)

・買い物に行ったときに、買ったものの合

計金額を計算したり、持っているお金で

買えるかどうかを考えたりするのに苦労

したことがあった。でも、筆算の仕方が

この学習で分かったので、これからは生

かしていきたい。

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4 つまずきの予見と支援

本時では3つの文房具の値段と所持金から計算し、買えるかどうかを判断し、理由を基に説明する力が

求められる。本単元での習得事項を活用して解決する活用問題である。このため、考えのきっかけがつか

めないことが予見できる。そこで、条件を整理していき、問題の意味がとらえられるようにする。その際、

簡単な例(所持金が 200円で 100 円のジュースと 90 円のパンを買う場合等)を示して考えやすくしていく。

繰り上がり・繰り下がりが定着していないグループに対しては、数え棒の図や半具体物で 10 や 100のまと

まりを示したり、操作させたりする。説明で困っているグループには、考えの理由および結果からいえる

ことを説明するように促す。

5 説明のポイント

理由を基に買えるかどうか判断し説明する。

6 説明のモデル【理由を使った例】

98円ののり、198円のノート、298円のコンパスはそれぞれ 100円、200円、300円で買える。

100+200+300=600 より、3つの文房具の合計金額は、高くても 600 円となるので、3つを買う

ことができる。

7 本時のグングンタイム

○グループ学習

3つの文房具の値段と所持金から計算し、買えるかどうかを判断し、理由を基に説明する必要がある

ので、グループ学習を採り入れる。多人数で考えることにより、考えのよさを採り入れたり、考えを持

ちにくい児童が方法の見通しを持てたりすることをねらいとしている。主体的・協同的に解決していき

たい。

○学級全体

買えるかどうかの考え方について、考えた方法を説明し合い、多様な考え方があることを知り、図と

筆算の関連、それぞれの表現のよさを知ることをねらいとする。

集団討議を通して、考え方は、

・たし算で考える方法

・ひき算で考える方法

・概数で考える方法

・その他

に分けられると予想される。

<目指す到達点>

・いろいろな方法がある。

・3つの文房具の値段を合計してからひく方法だけではない。

・600 円から順に引いていく方法もある。

・買えるかどうかが分かればいいから、3つの文房具をそれぞれ 100円、200 円、300 円で考えることも

できる。

8 めざす活用した姿

・買える理由を理由をあげて説明することができる姿。

・買い物場面で既習内容を活用して解決しようとする姿。

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9 評価をするときに基とするもの【根拠】

◎ ・言葉、図、式を活用し、根拠を基に

分かりやすく記述している。

<説明例①>

買う物は、98円ののり、198円のノート、298 円のコンパス

である。

2 2

98

198

+ 298

594

合計は 594 円となるので 600円で買える。

<説明例②>

98円ののり、198 円のノート、298 円のコンパスはそれぞれ

100円、200 円、300 円で買えるから

100+200+300=600

合計は高くても 600 円となるので買える。

<説明例③>

持っているお金は 600 円なので、買うものをひいていく。

600-98-198-298=6

6円残るから 600 円で買える。

〇 ・言葉、図、式のいずれかを活用し、

記述している。

△ ・上記〇に満たないもの

◎…十分満足できる正答 〇…おおむね満足できる正答 △…誤答もしくは〇に満たない解答