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Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism 建設産業戦略会議で指摘された 建設産業をとりまく現状、当面の課題・対策について 資料3

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Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

建設産業戦略会議で指摘された建設産業をとりまく現状、当面の課題・対策について

資料3

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1出所:国土交通省調べ、総務省「労働力調査」、文部科学省「学校基本調査」

H4年度 H23年度 増減率

建設投資84兆円

(ピーク時)42兆円 ▲50%

許可業者 約53万業者 約48万業者 ▲9%

特定建設業者(大規模工事の元請)

38315業者 43753業者 +14%

就業者 619万人 497万人 ▲20%

就業者(営業職) 27万人 31万人 +15%

就業者(技能労働者) 408万人 316万人 ▲23%

入職者(新規高卒) 3.4万人 1.4万人 ▲60%

入職者(新規大卒・院卒等) 2.9万人 1.8万人 ▲37%

受注競争の激化

○ 建設投資はピーク時と比べて約5割減となる一方、許可業者は約1割減にとどまるなど、建設産業は過剰供給構造となっており、受注競争が激化。

○ 工事現場を支える技能労働者・技術者の入職者が激減。○ 少なくとも今後10年程度以内に、技能労働者の不足が恒常化するとの懸念(推計)。

○ 若手入職者の減少が高卒約6割減、大卒・院卒等約4割減と著しく、特に技能者や技能労働者の人材となる理工系の減少幅が大きくなっている。

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H21.4調査基準価格引き上げ

H20.4調査基準価格引き上げ

H19.1特別重点調査の試行

2

(国土交通省調べ)

(備考)低入札価格調査基準価格又は最低制限価格を設定した案件に対し、当該価格よりも応札額が下回った案件の発生割合

都道府県における低価格入札の発生割合(H17~H22)

8.310.5

3.9 4.73.3 3.0

4.77.4

12.0

17.4

25.3

28.5

0

5

10

15

20

25

30

17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度

国土交通省地方整備局発注工事

都道府県発注工事

(%)

※港湾空港関係を除く

低価格入札の発生率

○ 地方公共団体の発注工事で、低入札価格調査基準価格や最低制限価格を下回る額で応札される案件の割合が年々増加。

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販管費

経費

完成工事原価

外注費

労務費

材料費

営業利益

(20~30%)素材、半製品、材料等

(5~15%)

直接雇用の作業員の賃金、給与等

(40~60%)下請契約支払額

(10~20%)その他工事に係る経費工事に従事した従業員の給与等

売上総利益

(10~20%)

役員、間接部門の給与、福利厚生費、事務費、広報宣伝費、賃料、償却費、租税公課等

16.4

17.0

17.5 17.5

17.017.0

16.5

16.917.117.117.0

17.2

16.516.6

17.5

16.916.6

17.3

16.5

18.1

12.5

13.0

13.7

14.314.4

14.8

14.4

15.2

15.515.715.5

15.8

15.315.2

15.8

15.4

14.9

15.715.5

17.0

3.94.0

3.8

3.2

2.6

2.22.1

1.71.5

1.41.6

1.41.3

1.4

1.71.5

1.71.6

1.0 1.1

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0

4.5

12.0

13.0

14.0

15.0

16.0

17.0

18.0

19.0

H2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21

売上高総利益率

売上高販管費率

売上高営業利益率

建設業の売上高総利益率、販管費率、営業利益率(%)

(年度)

(%)

売上高総利益率・販管費率

売上高営業利益率

3

(下請企業の労務費を含む)

出所:財務省「法人企業統計」

その他原価

売上高

兼業部門の原価

※( )内は売上高に占める各項目の標準的な割合 ※資本金10億円以上の企業では、総利益率は13%程度から11%程度に

低下、販管費率は8%前後で安定的に推移

営業利益率は低下

販管費率は上昇

売上高総利益率、販管費率、営業利益率の関係

○ 建設産業全体としては、売上高総利益率は概ね16~18%程度の範囲で推移している。

○ 競争の激化により間接経費である販管費(販売費、一般管理費)の比率は低下せず、売上高営業利益率は下落、低迷。

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-55.0%

-50.0%

-45.0%

-40.0%

-35.0%

-30.0%

-25.0%

-20.0%

-15.0%

-10.0%

-5.0%

0.0%1~4人の事業所 5~9人 10~19人 20~29人 30人~

地方圏の事業所数の減少率(H11→H21)【H11事業所・企業統計調査、H21経済センサス(総務省)より】

秋田県

富山県

鳥取県

高知県

佐賀県

-50.0%

-45.0%

-40.0%

-35.0%

-30.0%

-25.0%

-20.0%

-15.0%

-10.0%

-5.0%

0.0%

5.0%

10.0%

15.0%

20.0%1~4人の事業所 5~9人 10~19人 20~29人 30人~

大都市圏の事業所数の減少率(H11→H21)【H11事業所・企業統計調査、H21経済センサス(総務省)より】

東京都

大阪府

愛知県

神奈川県

埼玉県

許可業者の減少率(地方圏)秋田▲19.1% 富山▲13.9% 鳥取▲16.4% 高知▲15.3% 佐賀▲18.3%

4

建設企業の小規模化

○ 中規模(従業者10人)以上の建設企業の数が大幅に減少し、小規模の建設企業の割合が増加しており、その傾向は特に地方圏で顕著。

○ 建設企業の小規模化、軽量化が進行しており、特に地方圏において十分な労働者や機械を確保している施工力、災害対応力のある企業が不足してきている可能性。

許可業者の減少率(都市圏)東京 ▲15.6% 大阪 ▲23.5% 愛知 ▲7.6% 神奈川▲12.2% 埼玉 ▲13.1%

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○社会保険等の加入状況(公共事業の現場労働者)<雇用保険、健康保険、厚生年金保険>

・土木71% ・建築64%

出所:国土交通省「公共事業労務費調査」(H22)

社会保険等の加入状況等

○ 社会保険等の法定福利費など、将来的な建設産業の継続に不可欠な経費までも対象とした行き過ぎた競争が発生。

○ 保険未加入企業の存在により、適正に法定福利費を負担し、人材育成を行っている企業ほどコスト高となり、競争上不利になるという矛盾した状況の発生。

○就労形態等の変化<常雇の割合>81%(H9)→64 %(H20)<月給制の割合>58%(H9)→29 % (H20)

出所:国土交通省「建設技能労働者の就労状況等に関する調査」(H20)

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20.220.9

21.321.6 21.6

21.922.2

22.8 23.1

23.7 23.5

23.123.7

24.6

25.6

26.527.0

27.928.2 28.4 28.5 28.6

20.9

21.722.3 22.3 23.1 23.2

23.7

24.1 24.224.5

24.8

23.9

24.8

26.0

28.1

29.4

30.2

31.3

32.232.5

33.132.8

22.823.1 23.2 23.4 23.6 23.5 23.8

23.5 23.3

22.922.8

22.321.5

20.920.2

19.719.4

18.618.3

17.817.5

17.3

16.8

17.918.4

19.8

20.5

21.121.8 22.0

21.6

21.020.5

19.619.1

17.7

16.1

15.515.0

13.8

13.0 12.8

11.611.8

10.0

12.0

14.0

16.0

18.0

20.0

22.0

24.0

26.0

28.0

30.0

32.0

34.0

36.0

平成2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23

(%)

(年)

建設業(55歳以上)

全産業(55歳以上)

建設業(29歳以下)

全産業(29歳以下)

出所:総務省「労働力調査」6

建設業就業者の年齢構成の推移

○ 建設業就業者は、3人に1人(33%)が55歳以上、8人に1人(12%)が29歳以下であり、高齢化が進行しており、次世代への技術継承が大きな課題。

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出所:国土交通省「公共工事設計労務単価」

23,318 23,17222,510

20,21019,693

19,117

18,361

17,649

17,332

17,22716,970

16,720 16,70516,375 16,357

16,504

23,330 23,570

22,243

19,551

19,032

18,555

17,604

16,866

16,45116,189

16,015 15,832 15,76815,511

15,22615,504

25,045

25,000

24,266

20,136

19,755

19,091

18,181

17,40216,966 16,777 16,564

16,15116,034

15,66215,470

15,717

25,153

24,574

23,874

20,989

20,553

19,674

18,815

17,953

17,440

17,19616,960

16,52316,315

15,915 15,70415,896

14,000

16,000

18,000

20,000

22,000

24,000

26,000

H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24

全職種単純平均

鉄筋工

型わく工

大工

H9→H24▲37%

H9→H24▲37%

H9→H24▲34%

H9→H24▲29%

(円)

7

公共工事設計労務単価の推移

○ 公共工事設計労務単価も全体として低下傾向にある。

○ 競争の激化により、技能労働者等の賃金を含む工事原価へのしわ寄せ(圧縮)が進行し、技能労働者等の就労環境が悪化。

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2521

1815 25

1511

1111

93 4 6

-8 -6 -9 -9-3

-9

-14 -14-30

-42

-69-62

-57

2318

17 16

20

16

1211 14

10 8 7 10

-6 -6 -9 -8-4 -7

-11-11 -8

-14

-24 -26 -24

8.5

7.5

4.5

3

11

3

-1.5-1.5

-9.5

-16.5

-33

-29

-25.5

8.5

6

4

4

8 4.5

0.50

3

-2

-8

-9.5

-7

-40

-30

-20

-10

0

10

20

-80

-60

-40

-20

0

20

40

「困難」と回答した企業割合

「容易」と回答した企業割合

(%)容易

困難

出所:北海道建設業信用保証(株)、東日本建設業保証(株)、西日本建設業保証(株):「建設業景況調査」より国土交通省作成

注1 被災3県のデータは国土交通省において推計注2 「どちらでもない」と回答した割合は図示していないため合計は100%にならない。注3 2012年4月~6月は見通し

被災3県

全国

2009年4~6月期

2009年7~9月期

2009年10~12月期

2010年1~3月期

2010年4~6月期

2010年7~9月期

2010年10~12月期

2011年1~3月期

2011年4~6月期

2011年7~9月期

2011年10~12月期

2012年1~3月期

1012年4~6月期

8

B.S.I値

B.S.I=(「容易」と回答した企業割合-「困難」と回答した企業割合)×1/2変化方向別回答数(「変化無し」は含まない)の構成比から全体の趨勢を判断するもの。MAX:50 min:▲50

技能労働者の確保

○ 被災3県及び全国ともに、震災後に技能労働者の確保が困難な状況がみられる。

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まとめ

建設産業は建設投資の減少を背景に厳しい状況に直面しており、建設投資の減少に比べ企業数が減少していないことや、販管費負担が重く他産業と比べ営業利益率が低迷してきていること等から、建設産業の活力が大きく低下しているとともに、企業数が過剰となっていると考えられる。また、企業数が過剰となっている一方で、売上高や利益の減少に伴う企業体力の低下、企業の

小規模化、軽量化等が進行しており、この傾向は特に地方圏を中心としてみられる(中略)。さらに、建設投資の減少に伴う工事原価の圧縮等により技能労働者の雇用環境の悪化が進ん

でおり、これが若年入職者の減少と就業者の高齢化の一因となっていると考えられ、将来的な技能労働者の不足や、建設生産を支える技能・技術が承継できないといった懸念が増している。

方策2011

建設投資の減少に伴い、一企業が抱える技術者や技能労働者の数の減少が相当程度進んでおり、専門工事業の業種によっては技能労働者の不足が強く懸念される状況となっているほか、若年入職者の減少と高齢化が著しく進行しており、優秀な技術者や技能労働者の確保・育成が喫緊の課題となっている。(中略)建設産業の基礎体力が低下している背景としては、受注競争の激化と間接経費の増加により、

下請契約の当事者間における交渉力の格差等も相まって、技能労働者等の賃金を含む工事原価へのしわ寄せ(圧縮)が進んでおり、技能労働者等の就労環境が悪化していることが挙げられる。

方策2012

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建設産業の再生と発展のための方向性(方策2011+方策2012)

将来的にも地域を支え得る足腰の強い建設産業の構築

建設産業に求められる多様なニーズ・役割への対応

将来の建設産業を見据えて優先的に取り組むべき課題

国土づくり・地域づくりの担い手として建設産業が目指すべき姿

東日本大震災への対応を次に活かす

公共工事の入札契約制度の改革等

総合的な担い手の確保・育成支援

海外展開支援策の強化時代のニーズに対応した施工技術と品質確保

過剰供給構造の是正

対策のうち、より詳細に実態を把握した上で検討を深める必要がある分野については、実務的・専門的な検討の場を設けて議論を開始。

現場の施工力の再生現場の施工力の再生(技術者や技能労働者の

確保・育成) (重層下請構造の是正)

公正な契約・

取引関係の構築(重層下請構造の是正)

多様な事業領域・

(技術力・事業企画力の発揮)

多様な事業領域・

契約形態への展開(技術力・事業企画力の発揮)

10

当面講ずべき対策

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公共工事の入札契約制度の改革等

○ 災害対応、除雪、維持管理等を担う企業が不足

○ 地域維持型の契約方式の導入・地域の実情に応じ包括発注(一括契

約、複数年契約)や地域維持型JVによる受注

○ 地域維持事業の適正な評価

○ ダンピング受注防止、専門工事業者や技能労働者等へのしわ寄せ防止、人材の育成・確保、受発注者の負担軽減に資する「適正な競争環境の整備」

○ 建設産業への多様なニーズ、役割に応えるための新たな契約手法等の整備

対策

対策

対策

課題

課題課題

○ プロジェクトに対応した円滑な契約のための支援

・新たな事業ニーズに対応した契約方式

(現行建設生産システム等を踏まえた日本型CM方式等)

・単価・数量精算契約等の活用・予定価格の算定など調達に関する課題

への対応

○ 公共調達の基本理念の明確化(個々の工事品質に加え、地域社会の担い手確保を発注者責務に)

○ 人を大切にする施工力のある企業が適正に評価される環境の整備(公正な下請契約や、技能労働者の雇用・育成を評価)

○ 専門工事業者等を評価する新たな仕組みの導入○ 適正な価格による契約の推進(ダンピング対策等)○ 不良不適格業者の排除

(保険未加入業者の排除、技術者適正配置の徹底等)○ 下請契約における支払の透明性の確保○ 段階型選抜方式の活用促進

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総合的な担い手の確保・育成支援

○ 技術者の育成支援

・技術者データベースの実現と活用・監理技術者になり得る新たなキャリア

パスの検討

○ 若者のものづくり離れ、建設

業界に対するネガティブなイメージの払拭

○ 施工管理を行える人材の継続的育成と技術者の適正配置

○ 悪化した技能労働者の処遇の改善

対策

課題

対策

課題

対策

課題

○ 建設産業への就業促進のための戦略的広報

○ 入札契約制度の改革等によりダンピングや下請へのしわ寄せを防止し、給与水準を改善

○ 社会保険等未加入対策(行政、元請、下請による一体的な取組により5年後を目途に許可業者加入率100%、労働者単位では製造業相当の加入状況を目指す)

○ 技能に見合った処遇が受けられ、多様なキャ

リアパスが実現される就労環境づくり(技能労

働者の資格や工事経験データのIT管理による

技能評価の推進)

○ 登録基幹技能者制度の更なる普及

○ 公共工事設計労務単価の公表に際し、雇用に伴う必要経費を含む金額を参考公表

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