階段室型住棟における エレベーターの新設 - UR都 …...12345678910111213...

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路地廊下 ルーフテラス 縁側デ ッ キ EV EV 増築部分 既存部分 ルーフテラス 路地廊下 縁側 デッキ EV 4階平面図 2階平面図 断面図 フロントコート EV EV 増築部分 既存部分 断面図 3階平面図 階段室型住棟における エレベーターの新設 基本概念図 昭和40年代から50年代前半に供給した中層階段室型住棟には エレベーターがなく、高齢化の進展とともに、その改善が求められて います。 バリアフリー化に当たり片廊下型に改修するのではなく、コミュニティ 形成の場を担う階段室と居室の開放性を活かしながらエレベーター を設置する手法に取り組みました。 26号棟 27号棟 26号棟 27号棟 コミュニティ形成の場を担う 階段室を残しながら、住戸 部分を路地廊下やルーフ テラス等の共用空間に改修 することにより、エレベーター から各住戸への動線を設け ました。 多くのストックのバリアフリー化を 推進するためには居住中においても エレベーターを設置していくことが 求められています。ここでは、居住中 に階段室を改修してバリアフリー化 を行う手法を検証しました。 3階に設けたフロントコートは、1基 のエレベーターをより多くの住戸が 利用するための動線となります。 1層分の上り下りを許容すれば エレベーターの着床を3階のみとし、 4階のアクセシビリティを2階と同等 に高めることも可能です。 26号棟・27号棟 検証位置

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Page 1: 階段室型住棟における エレベーターの新設 - UR都 …...12345678910111213 間柱・受梁設置 コア 開孔 間柱 設置 準備 1~2 階 2~3 階 3~4 階 通路設置

路地廊下

ルーフテラス

縁側デッキ

路地廊下

EV

EV

増築部分 既存部分

ルーフテラス

路地廊下 縁側デッキ

EV

4階平面図

2階平面図

断面図

フロン ト コー ト

EV

EV

増築部分 既存部分

断面図

3階平面図

階段室型住棟におけるエレベーターの新設

基本概念図

昭和40年代から50年代前半に供給した中層階段室型住棟には

エレベーターがなく、高齢化の進展とともに、その改善が求められて

います。

バリアフリー化に当たり片廊下型に改修するのではなく、コミュニティ

形成の場を担う階段室と居室の開放性を活かしながらエレベーター

を設置する手法に取り組みました。

26号棟

27号棟

26号棟 27号棟

コミュニティ形成の場を担う

階段室を残しながら、住戸

部分を路地廊下やルーフ

テラス等の共用空間に改修

することにより、エレベーター

から各住戸への動線を設け

ました。

多くのストックのバリアフリー化を

推進するためには居住中においても

エレベーターを設置していくことが

求められています。ここでは、居住中

に階段室を改修してバリアフリー化

を行う手法を検証しました。

3階に設けたフロントコートは、1基

のエレベーターをより多くの住戸が

利用するための動線となります。

1層分の上り下りを許容すれば

エレベーターの着床を3階のみとし、

4階のアクセシビリティを2階と同等

に高めることも可能です。

26号棟・27号棟検証位置

Page 2: 階段室型住棟における エレベーターの新設 - UR都 …...12345678910111213 間柱・受梁設置 コア 開孔 間柱 設置 準備 1~2 階 2~3 階 3~4 階 通路設置

解体材搬出ルート

3~4階居住者動線

2~4階居住者動線

1階平面図

1階居住者動線

2階居住者動線

PS

解体部分の仮囲い設置

既存階段の一部撤去

UP

UP

UP

UP

3~4階居住者動線

1階居住者動線2~4階居住者動線

1階平面図

2階居住者動線

EXP . J

PS

通路の設置UP

UP

UP UP

1階平面図

居住者動線

PS

間柱 ・ 受梁設置

E Vシャフ ト フ レーム

仮設階段

UP

UP

UP UP

エン ト ランスホールへ

2~4階居住者動線

1階居住者動線

1階平面図

EXP . J

PS

E Vシャフ ト

EV

■ STEP-1 増築工事/仮設階段による居住者動線の確保

間柱・受梁は、踊り場及び新設通路を支持。

■ STEP-2 既存階段の一部撤去

■ STEP-3 階段撤去部分への通路の設置

■ STEP-4 エレベーターの設置

27号棟 居住中の施工を想定した工事の手順

仮設階段より階段室を見る鉄骨躯体建方既存部分増築部分

既存部分増築部分

既存部分増築部分

既存部分増築部分既存部分増築部分

既存部分増築部分

既存部分増築部分

既存部分増築部分

工事完成時仮設階段撤去

通路設置後の状況通路部分鉄骨取付

切断した階段の吊り下ろしウォールソーによる既存階段の切断

Page 3: 階段室型住棟における エレベーターの新設 - UR都 …...12345678910111213 間柱・受梁設置 コア 開孔 間柱 設置 準備 1~2 階 2~3 階 3~4 階 通路設置

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13

間柱・受梁設置コア開孔

間柱設置

準備1~2階

2~3階

3~4階

通路設置CON打設

既存階段撤去

鉄骨取付・配筋

墨出し・アンカーボルト設置

※間柱・受梁設置 5日→3日 既存階段撤去  4日→3日

玄関の出入りに特に影響する作業 9日間

6日間に短縮可能※

既存部分増築部分

居住者出入口

片持ち部分

掘削範囲

■ 階段室の改修工程について

居住中における階段室の改修工事はできるだけ短い

工期とすることが求められます。今回の試験施工に

おいては、間柱・受梁の設置に5日間、既存階段撤去

に4日間、通路設置に4日間を要しましたが、居住者

動線に影響する間柱・受梁設置~既存階段解体まで

の工事期間は実働6日程度で可能と思われます。

解体工具については、騒音による居住者への影響が小さいウォールソーを使用しました。撤去は解体部を上階から吊り、下階から順に解体することで、

支保工や仮設足場を使用しない工事計画としました。吊り出し後の解体材は、ニブラーで分割して搬出しました。なお、ウォールソーの使用に当たっては、

切断水の流出対応策が重要です。

居住中の工事では、居住者の安全のための

工事計画だけではなく、設計上の工夫も重要

です。今回の検証では、掘削や杭工事を伴う

基礎部分を既存建物から遠ざけて、増築

部分を片持ち形式とすることで、居住者通路

を確保することとしました。

■ 階段室の撤去工事について

■ 工事中の居住者の安全確保について

27号棟 バリアフリー化工事の詳細について

階段端部の切断電動チェーンブロック

ささら切断間柱・受梁設置

居住者通路(通路工事中)居住者通路(増築工事中)

切断面の状況解体材の引き出し

ニブラーによる解体材の分割切断後の吊り下ろし