大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより...

32
大阪大学 薬友会だより 221 今年は、大阪大学薬学部の創設 70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが ここで、これまでの歴史を同窓会組織であります大阪 大学薬友会の観点から俯瞰したいと思います。 大阪大学薬学部は 1949 年に創設され、53 3 月に 1 期生が巣立っております。その間、同窓会組織の 大阪大学薬友会もスタートし、“大阪大学薬友会誌” も不定期ではありますが数回作られておりました。そ の後、1968 年になって、同窓会組織をより公式なも のとすることになり、名称はそのままですが、1 期の 林 信一先生を会長、 2 期の近藤雅臣教授(現名誉教授) を代表幹事としてオール阪大薬学の同窓会として活動 することになりました。それに伴って、各種の役割を 担当する役員組織(学外:会長、副会長、理事、最高 顧問、顧問/学内:幹事長、幹事、監事)も順次整備 され現在に至っております。 また、会の活動報告として、 「大阪大学薬友会だより」 を年 1 回発行しており、1998 年の第 1 号から、この たびお送り致しました今年度号までで 22 号を数えま す。また、大阪大学薬友会のホームページも開設して おり、ここから薬友会だよりのバックナンバーにもア クセスし閲覧することができます。 また、本学出身者のご支援による大阪大学沢井記念 薬友会賞が、研究職員から学部学生までを対象に創設 され、職員、学生の大きな励みになっております。 さらに、本薬学研究科と薬友会が主催し、本学卒業 生有志もお世話をしてくださっている “卒後研修会” は、聴講することによって日本薬剤師研修センター、 大阪府病院薬剤師会並びに大阪府薬剤師会より認定研 修として単位が与えられるというすばらしいものです。 このほか、薬学部創立 10 年ごとに大阪大学薬友会 総会を開催しておりますが、本年度はその 70 周年に あたります。祝賀行事の内容が決まりましたらホーム ページ、薬友会だよりなど、各種メディアを通じてご 案内いたしますので、大阪大学薬学部・大学院医薬研 究科の広報と合わせてご注目ください。 終りになりましたが、会員の皆様の益々のご発展と ご健康をお祈りいたします。 以 上 薬友会会長 萬 年  成 泰  大阪大学 薬友会だより 大阪大学 薬友会だより 22 2019.7.30 発行 大阪大学薬友会〔565-0871 大阪府吹田市山田丘 1-6 大阪大学薬学部内〕 TEL: 06-6879-8246 E-mail: [email protected] 薬友会会長ご挨拶 薬友会HP ご案内[http://www.phs.osaka-u.ac.jp/homepage/yaku/] 大阪大学薬友会 HP では、薬友会の活動や卒後研修会、同窓会のお知らせなど、様々な情報を発信しています。ぜひご覧ください。 ご希望の方には HP 更新情報をメール配信しております。下記の要領にて薬友会事務局へお申し込みください。 メール宛先 : 薬友会事務局 [email protected] タイトル(件名):HP更新情報の配信申し込み メール本文 :「氏名」「期数」「配信希望先メールアドレス」

Transcript of 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより...

Page 1: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  1

今年は、大阪大学薬学部の創設 70周年にあたります。そのために、色々な行事が予定されておりますがここで、これまでの歴史を同窓会組織であります大阪大学薬友会の観点から俯瞰したいと思います。大阪大学薬学部は 1949年に創設され、53年 3月に

第 1期生が巣立っております。その間、同窓会組織の大阪大学薬友会もスタートし、“大阪大学薬友会誌”も不定期ではありますが数回作られておりました。その後、1968年になって、同窓会組織をより公式なものとすることになり、名称はそのままですが、1期の林 信一先生を会長、2期の近藤雅臣教授(現名誉教授)を代表幹事としてオール阪大薬学の同窓会として活動することになりました。それに伴って、各種の役割を担当する役員組織(学外:会長、副会長、理事、最高顧問、顧問/学内:幹事長、幹事、監事)も順次整備され現在に至っております。また、会の活動報告として、「大阪大学薬友会だより」を年 1回発行しており、1998年の第 1号から、このたびお送り致しました今年度号までで 22号を数えます。また、大阪大学薬友会のホームページも開設して

おり、ここから薬友会だよりのバックナンバーにもアクセスし閲覧することができます。また、本学出身者のご支援による大阪大学沢井記念薬友会賞が、研究職員から学部学生までを対象に創設され、職員、学生の大きな励みになっております。さらに、本薬学研究科と薬友会が主催し、本学卒業生有志もお世話をしてくださっている “卒後研修会”は、聴講することによって日本薬剤師研修センター、大阪府病院薬剤師会並びに大阪府薬剤師会より認定研修として単位が与えられるというすばらしいものです。このほか、薬学部創立 10年ごとに大阪大学薬友会総会を開催しておりますが、本年度はその 70周年にあたります。祝賀行事の内容が決まりましたらホームページ、薬友会だよりなど、各種メディアを通じてご案内いたしますので、大阪大学薬学部・大学院医薬研究科の広報と合わせてご注目ください。終りになりましたが、会員の皆様の益々のご発展とご健康をお祈りいたします。

以 上

薬友会会長

萬 年  成 泰  9期

大阪大学

薬友会だより大阪大学

薬友会だより 第22号

2019.7.30 発行

大阪大学薬友会〔〒565-0871 大阪府吹田市山田丘 1-6 大阪大学薬学部内〕TEL: 06-6879-8246 E-mail: [email protected]

薬友会会長ご挨拶

薬友会HPのご案内[http://www.phs.osaka-u.ac.jp/homepage/yaku/]大阪大学薬友会HPでは、薬友会の活動や卒後研修会、同窓会のお知らせなど、様々な情報を発信しています。ぜひご覧ください。ご希望の方にはHP更新情報をメール配信しております。下記の要領にて薬友会事務局へお申し込みください。

メール宛先 :薬友会事務局 [email protected]タイトル(件名): HP更新情報の配信申し込みメール本文 :「氏名」「期数」「配信希望先メールアドレス」

Page 2: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

2  大阪大学 薬友会だより 第22号

大阪大学薬友会の会員の皆様におかれましては、ま

すますお元気でご活躍のこととお慶び申し上げます。

薬学部は、今年度入学生から 4年制学科をなくし 6

年制学科のみの新全 6年制をスタートさせました。今

年度は初めの年にあたるため、応募者数に特に注目を

していましたが、推薦入試(10年一貫の先進研究コー

ス)(15名)に対し、4倍近い応募があり、また、一

般入試(PharmDコース、薬学研究コース)(65名)

にも、国公立大学薬学部では軒並み競争率が低下しま

したが、大阪大学薬学部については昨年の平均倍率を

上回る応募がありました。我々の新全 6年制は、全国

の大学、官庁からも大きな注目が集まっていますが、

この競争率が意味するのは、受験生、関係者から高い

関心を持っていただき、プラスの評価をいただけたも

のと思っています。これからが新全 6年制教育の本番

ですので、教職員一同、世界で活躍できる人材を育て

るために、より一層努力していく所存です。

さて、2018年度は大阪大学が指定国立大学に指定

された年でした。また、卓越大学院についても、大阪

大学から 1件、医学系研究科、歯学研究科、薬学研究

科、生命機能研究科等の組織連携で提案しましたが、

それが認められ、2019年度からスタートしました。

薬学研究科からも 4名が卓越大学院生として入学し、

勉学、研究、社会実装に臨んでいるところです。

人の動きとしては、2019年 3月末をもって医療薬

学分野の上島悦子教授がご退職されました。薬学部 6

年制教育に、始まった当初から多大なご貢献をいただ

きました。改めて感謝申し上げる次第です。上島先生

には新全 6年制と旧制度が並行して進むこともあり、

4月からも特任教授として、一部教育に携わっていた

だいています。また、昨年度 2名の先生に教授に着任

いただきました。2018年 10月に徳島大学教授の齊藤

達哉先生が生体応答制御学分野の教授に、2018年 11

月には大阪大学工学研究科教授の井上豪先生が生体構

造機能分析学分野の教授に、それぞれご着任いただき

ました。齊藤先生の研究室には武村直紀講師が、井上

先生の研究室には、淺原時泰特任准教授、福田庸太助

教が加わっていただいています。

さて、大阪大学薬学部はこの 5月をもって、創立

70周年を迎えました。

これを記念して、2019年 10月 26日(土)13時 30

分から千里阪急ホテルにおいて、記念式典、講演会、

および祝賀会を開催いたします。今年度から、新全 6

年制をスタートしたこともあり、新たな門出を機に皆

様と一緒にますます薬学部・薬学研究科を発展させ、

社会に貢献する人材を輩出していきたいと思っていま

す。多くの皆様のご参加をお待ちしています。

また、革新的な取り組みとしてスタートした「新全

6年制薬学教育システム」では、先に述べた 3コース

(「Pharmacist-Scientist(薬剤師博士)」を養成する「先

進研究コース」、「研究型高度薬剤師」を育成する

「Pharm.Dコース」、「創薬研究者」を養成する「薬学

研究コース」)を設けていますが、このシステムにお

いて、研究力を減速させることなく効率良く薬学教育

を実施するために、新たな建物を構築したいと考えて

います。そのために皆様方からのご寄付をお願いする

次第です。どうぞ宜しくお願い致します。

一つの節目を迎えた薬学研究科・薬学部ですが、新

全 6年制の成功と研究力向上のために、これからも全

力を尽くしてまいります。どうか今後とも引き続きご

支援いただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

薬学研究科長・薬学部長薬友会幹事長

土 井  健 史 27期

研究科長ご挨拶

Page 3: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  3

大阪大学薬学部は、昨年度まで 2学科制(6年制教育により薬剤師国家試験受験資格が得られる薬学科と

4年制教育の薬科学科)でしたが、本年度より新たに薬学科のみの全 6年制を始動させました。この我が国

の国立大学では初となる「新全 6年制薬学教育システム」は、従前の 4年制の薬学基礎研究教育と 6年制

の薬学臨床研究教育・薬剤師養成教育制度を発展的に融合させるとともに、さらに数歩進んで大学院薬学

研究科と一体となりグローバルで活躍する人材育成も目指しており、次の特徴的な 3つのコースを設置し

ました。まず、推薦入試を活用した「先進研究コース」は、飛び級制度を導入し、学部 4年生と 5年生の

間に 4年制の大学院博士課程を組み込んで 10年一貫の薬学研究教育を行う大阪大学のみの特有なコースと

なっています。臨床力と研究力を習得し、多様な先進的教育を受けて広い創薬の視野と総合力を持った学

生を育てます。このコースの卒業生は薬剤師資格と博士(薬学)の学位を取得できることから、薬剤師博

士(Pharmacist-Scientist)として我が国の薬学・医学研究、薬事行政、医療等を牽引し、グローバルで活躍

する薬学研究者になると期待できます。また一般入試は、臨床や医療の経験を有し、その経験を基盤とし

て基礎研究や創薬などの応用研究を展開できる薬剤師創薬研究者を養成する「薬学研究コース」と、早期

から臨床力を高めるための研究教育を行い未来医療に貢献できる研究型高度薬剤師を養成する「Pharm.D

コース」の学生の募集としています。

本年実施された推薦入試では、募集人員 15名に対して昨年度を超える 57名(倍率 3.8倍)の応募があり、

大阪大学独自の 10年一貫コースへの学生やご父兄の希望や期待が倍率に表れたものと思います。一方、一

般入試も募集人員 65名に対して 223名の志願者数がありました。薬学部として募集している旧帝国大学で

は前年度より志願者数が減る中、大阪大学は志願者数増となったことは、この「新全 6年制薬学教育シス

テム」に大きな期待がかけられたものと考えられます。

このように薬剤師博士(Pharmacist-Scientist)と薬剤師創薬研究者、研究型高度薬剤師を重点養成すると

の強い決意で始動した大阪大学薬学部・薬学研究科の「新全 6年制薬学教育システム」に今後もご期待願

います。 文責:辻川和丈

大阪大学薬学部・薬学研究科 「新全 6年制薬学教育システム」の始動

⼤阪⼤学薬学部「新全6年制」薬学教育システムと⼤学院薬学研究科と⼀体化した薬学教育改⾰

Page 4: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

4  大阪大学 薬友会だより 第22号

上島悦子教授 最終講義(2019年2月18日)/定年退職記念祝賀会(2019年3月9日)の開催

2019年 3月 31日をもって定年退職されました上島悦子教授の定年退職記念最終講義が 2月 18日(月)に薬学研究科沢井ホールにて行われました。土井健史研究科長のご挨拶の後、教職員・卒業生・在校生が「臨床薬学―見果てぬ夢を追いかけて」と題した講義を拝聴しました。大阪大学医学部附属病院薬剤部における臨床薬剤師としての先駆的な取り組みに加え、6年制薬学教育の立ち上げから現在に至るまでのご功績を幅広くお話しいただきました。講義の最後には、“基礎と臨床の強固な連携” “専門領域で卓越した能力を持つ薬剤師の養成” など、これからの臨床薬学にとって非常に重要となるメッセージを残されました。最後の卒業生のひとりである松尾彩華さんより花束贈呈があり、盛大な拍手で上島先生の最終講義が締めくくられました。また 3月 9日(土)に定年退職記念祝賀会がホテル阪急インターナショナルで開催されました。

上島先生と阪大病院薬剤部時代に苦楽を共にされた先生方や、2006年に上島先生が薬学部教授に就任されて以降の卒業生に呼びかけ、上島先生のご定年退職をお祝いしました。市立芦屋病院薬剤科部長、岡本禎晃先生のご祝辞、滋慶医療科学大学院大学教授、大石雅子先生の乾杯ご発声で華やかに祝宴を始めさせていただきました。宴の中では卒業生の中真由美様、安田宗一郎様および中尾祐輔様からスピーチをいただき、懐かしいお話で祝宴が大いに盛り上がりました。記念撮影のあと、約 2時間半の会が瞬く間に終了しました。上島先生は 4月より大阪大学特任教授として、引き続き薬学教育の発展・推進にお力を貸してくださることになっております。最後になりますが、今後の上島先生のご健勝を祈念し、最終講義・定年退職記念祝賀会の報告とさせていただきます。

(文責:上田幹子)

新任教授紹介井 上  豪(大阪大学大学院薬学研究科創成薬学専攻生体構造機能分析分野)

薬友会会員の皆様方におかれましては、益々ご清祥のことと存じます。平成 30年 11月 1日付けをもちまして、分子反応解析学分野を主宰されておられました故宇野公之教授の後任として、生体構造機能分析分野を主宰させていただ

いております。この場をお借りしまして薬友会の皆様方にご挨拶を申しあげます。私は、平成元年に本学工学部応用精密化学科を卒業し、

大学院博士課程の前期・後期の計 5年間、工学研究科応用精密化学専攻物理化学講座において蛋白質のⅩ線結晶構造解析を習得し、主にアズリン、シュードアズリン、プラストシアニンなどの銅含有電子伝達タンパク質の構造機能相関に関する研究や、亜硝酸還元酵素のほかPEPCや RuBisCOなどの炭酸固定酵素の構造に基づく反応機構に関する研究に従事しました。1997年頃からプロスタグランジン合成酵素の構造に基づく阻害剤の分子設計に携わり、2000年に、フラグメントの分子設計を提唱して Astex社を起業した創始者の一人、英国ケンブ

Page 5: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  5

リッジ大学の Tom Blundell教授の下でパントテン酸合成酵素を標的とした分子設計に従事しました。帰国後は、マラリア、リーシュマニア、トリパノソーマなどの寄生虫由来の創薬標的タンパク質のⅩ線構造解析と化合物探索を進める一方で、大学発ベンチャーである株式会社創晶を立ち上げ、創薬研究に関わって参りました。

2009年に最先端研究開発支援プログラム(FIRST、代表:東大先端研 児玉龍彦教授)に参画したのを機に、抗原–

抗体のⅩ線構造を基にした分子設計に従事すると共に、天然型ビオチンには結合せず、非天然型のイミノビオチンにのみ結合性を有する改変型ストレプトアビジンを用いた薬物送達技術の開発や、これを応用した血管内皮に特化したプロテオミクス研究を開始し、抗体の標的となる膜蛋白質の同定に関する研究にも注力しております。一方、学外では日本医療研究開発機構(AMED)の創薬等先端技術支援基盤プラットフォーム(BINDS)のプ

ログラムオフィサーとして、学内では学部横断的な組織である先導的学際研究機構の創薬サイエンス部門(2012

年 12月設置)の副部門長(部門長は土井健史教授)としてアカデミア創薬に深く関わる機会を頂きました。そんな中で最近、創薬相談が基で常温・常圧下でメタンガスをメタノールとギ酸に簡便に変換できる化学反応の発見に貢献しました。現在は、これを高分子表面の酸化修飾に応用し、NMR、X線、クライオ電子顕微鏡等の様々な蛋白質の構造研究に応用できるか検討しているところです。薬友会の皆様方との新たな出会いをベースに新しいものの考え方や捉え方、解釈ができるようになり、さらに新たなイノベーションを起こすことができればと期待しておりますし、心機一転、薬学研究科の教育・研究に少しでも貢献できるよう精進して参りたいと存じます。今後とも皆様方からの温かいご支援とご指導、ご鞭撻のほど宜しくお願い申しあげます。

新任教授紹介齊 藤  達 哉(大阪大学大学院薬学研究科生体応答制御学分野)

2018年 10月 1日付をもちまして教授を拝命し、生体応答制御学分野を担当することになりました。この場をお借り致しまして、薬友会の皆様方にご挨拶申し上げます。私は、千葉大学薬学部を卒業後、東京医科歯科大学大学院医歯学総

合研究科に進学し、2005年に学位を取得しました。現在専門としている免疫学に初めて触れたのは大学院生時代であり、サイトカインやインターフェロンの研究に取り組みました。学位取得後は、自然免疫に興味を持ったことから審良静男先生(大阪大学微生物病研究所・免疫学フロンティア研究センター)の研究室の門をたたき、本格的に免疫研究に足を踏み入れました。審良先生の研究室では、日本学術振興会特別研究員、助教、特任准教授、准教授を務め、計 9年間お世話になりました。2015

年には、徳島大学疾患酵素学研究センター(酵素研)において、自らの研究室を初めて立ち上げました。酵素研は、勝沼信彦先生、市原明先生、田中啓二先生といった高名な研究者を輩出し、藤井節郎先生が設立・運営にご尽力された、歴史ある組織です。恵まれた研究環境の下で、酵素の観点から免疫応答について研究することができました。また、副所長として、微力ながら組織の運営にも携わりました。そして 2018年、縁あって、大阪大学大学院薬学研究科において研究室を主宰する機会に恵まれた次第です。私たちが生存していくためには、病原体やがん細胞と

いった危険な異物を体内から排除することが必要です。この異物排除のための生体応答が、免疫応答です。適切な対象に、適切な強度で、適切な場所において、適切な期間に渡り免疫応答が誘導されることにより、病原体やがん細胞が排除されます。一方で、免疫応答には負の側面もあります。誤って誘導されると、私たちの体を傷つけてしまいます。免疫制御の破綻は、自己免疫疾患だけでなく、神経変性疾患や生活習慣病など様々な疾患の発症に深く関わることが近年明らかになっています。私の主宰する研究室では、免疫応答についての理解を深め、免疫の関連する様々な疾患の発症メカニズムを明らかにするとともに、当該疾患の治療に貢献できるよう、化合物や抗体により免疫応答を制御する手法の開発に取り組んでいきます。また、新全 6年制という意欲的な教育システムがスタートした大阪大学薬学部において、創薬臨床力を有する「研究型薬剤師」および、創薬の最先端を担う「薬剤師博士」の育成に少しでも貢献できるよう、教育にも尽力いたします。学生が主体的に学び、優れた薬剤師・研究者に成長する基盤を整えるため、免疫の重要性はもちろん、免疫の面白さを一人でも多くの学生に伝えていきます。薬学の世界に戻ってきたのはおおよそ 20年ぶりとい

うことで不安もありますが、当研究科・当学部に少しでも貢献できるよう、研究・教育に邁進する所存です。末筆ではありますが、薬友会の皆様方には末永くご指導・ご鞭撻を賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

Page 6: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

6  大阪大学 薬友会だより 第22号

薬学部・大学院薬学研究科の組織

Page 7: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  7

薬学研究科 組織構成概念図

Page 8: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

8  大阪大学 薬友会だより 第22号

6期生還暦同窓会開催日 2018年10月17日場 所 京都グランヴィアホテル

私共 6期生は今年、平成 30年が薬学部を卒業して 60年の還暦の年に当たります。今まで毎年同窓会をしていたのですが、全体の同窓会としては今年が最終の還暦同窓会にしようということになりました。そこで平成 30年10月17日(水)京都グランヴィアホテルで、還暦同窓会をいたしました(写真)。最後の同窓会という案内が効いて、卒業生 53名、お亡くなりなった方 16名おられる中で、21名(医学部卒の方 1名、歯学部卒の方 1名)集まってくださって、終始和やかに時を

忘れて歓談し、有終の美を飾ることができました。その折に、昔私共が学生だった頃、諸先生方、先輩の方々にご親切なご指導を受けたことを今更ながら感謝いたしました。それでささやかながら、薬学部にご寄付をしようということになり、145,000円あつまりました。それに加えて、同窓会の残金、ゴルフ同好会からと有志の食事会のミミズク会からのお金も加えて、173,524円寄付させていただくことになりました。後輩の方の何らかのお役にたてていただけたらと思っております。最後に、将来阪大薬学から、ノーベル賞受賞の方がでたらいいねということになって、散会いたしました。

(岩田宙造)

2期同窓会開催日 2019年6月5日場 所 ホテルグランビア大阪

阪大薬友会 2期会を昨年に引き続き大阪駅前のホテルグランビア 21階で開催した。昨年の夏に今村俊三が死去し、東京府中の小西も体調不良で欠席。しかし昨年の 6名に加えて、現在も大谷学園で活躍中の入谷信子さんが加わり 1名増となった。席上で 1期~ 10期位を集めた会を開く事を萬年会長に提案する事にした。

写真起立(後列):森田、塚本、抱写真着座(前列):松本(著者)、入谷、園田、近藤

Page 9: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  9

14期ミニ同窓会(万博記念公園でのお花見会)開催日 2019年4月1日場 所 万博記念公園

2025年の大阪・関西万博の開催決定を記念して、半世紀前の大阪万博の青春時代の思い出を語りながらのお花見ミニ同窓会をメール案内し 13名が参加しました。太陽の塔(記念写真)を通り、自然文化園、日本庭園の 5分咲の桜を鑑賞しました。散策途中に新しい元号「令和」の発表があり、明るい未来を願いました。地元在住の長村幹事おすすめの食事処「和ごころ・いけうち」で落ち着いた雰囲気で美味しい和食と地酒を楽しみました。今回の平成最後のお花見会で、歩くこと(約 10,000歩)、食べること(飲むこと?)、しゃべることができ、後期高齢者の認知症予防の一助になりました。 (山路 昭)

16期同窓会開催日 2018年10月17日~18日場 所 KKR京都くに荘(国家公務員共済組合)

毎年開催していた同窓会も、今年は、卒後 50周年を記念して、1泊 2日で盛大に開催されました。24名もの出席でした。下岡君と鶴田君のスライドを交えたお話、出席者全員の近況報告、卒後 50周年記念文集の回覧と内容は盛りだくさんでした。また同窓会幹事を永年務めた原田君に対して感謝状と相坂君の銅版画が贈呈されました。会が盛り上がったところで写真撮影した後、懇親会が持たれ、夜更けまで歓談の花を咲かせました。そして翌日には有志で天竜寺を見学し、精進料理も楽しんだ後、来年もまた元気で大阪で再会することを約束して解散しました。

(山中すみえ・原田昌弘)

2017年版薬友会名簿の販売について

2018 年 4月に 2017 年度版薬友会名簿を発行いたしました。1冊あたり 5,000 円(消費税、送料込み)で販売いたしておりますので、ご購入を希望される方は下記までお問い合わせください。

⼤阪⼤学 薬友会 事務支局E-mail: [email protected]

Page 10: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

10  大阪大学 薬友会だより 第22号

17期同窓会開催日 2019年4月21日場 所 千里阪急ホテル

2019年 4月 21日(日)千里阪急ホテルにて 17期同窓会を開催した。前回は全員が古希を迎えた時期で節目の同窓会であった。還暦を過ぎてからは 2年毎の開催ということで平成最後の同窓会は 26名の参加となった。三浦貞彦さんの元気な乾杯の音頭で賑やかに始まり、各テーブルで話が弾んだが、中盤頃から西原亨さんの進行によりそれぞれの近況報告があった。現役並みに活躍している人のお話、定年後の第 2の仕事について、そして何よりも多かったのは家族や自分の健康に関することであり、さすが卒後50年と感じられた。また有志で催行されている万葉旅行が6月にも行われるとの報告もいただいた。

次回も 2年後の開催で幹事は西村和夫さんと石井道子さんにお願いし、お互い元気な再会を誓った。 (今西裕子)

17期 万葉を愛する会開催日 2018年6月2日~3日場 所 松山(熱田津)

17期「万葉を愛する会」は、6月 2~ 3日、額田王の伊予の熱田津を訪ねた。東京・千葉・名古屋・大阪・奈良より 12名が広島県の JR

呉駅に集合し、まず海上自衛隊呉資料館「てつのくじら館:潜水艦の見学が面白い」を見学した後、呉港から船で音戸の瀬戸を通り松山港へ向かった。これは額田王も坊ちゃんも「伊予松山には船で入った」ことを模した経路である。JR松山駅から下灘駅に向かい、静かな瀬戸内の海辺の景色に浸った。この日は道後温泉にて宿泊。翌朝、8番歌の歌碑が立つ護国神社の万葉苑をめざす。

熱田津(にきたつ)に 舟乗りせむと 月待てば  潮もかなひぬ 今は漕ぎ出でな(万葉集 8)

額田王の絶唱である。この歌を知って、万葉のファンになった人も多い。山部赤人もその一人である。我々も額田王の歌とその舞台を、射狭庭神社(伊佐爾波神社)の境内に立ち偲んだ。松山と言えば子規を思い浮かべる方が多かろう。しかし、自由律俳句を提唱した山頭火が暮らした所でもある。彼の終の棲家「一草庵」で、純真な句の心に沁みる深さを感じた。

鉄鉢の中にも霰後ろ姿の時雨て行くか

今治城を見学の後、バス「しまなみライナー」にて広島県福山へ。島々と行き交う船、所々で小さく波立つ海の変化に見入った。福山駅で「珍辨たこ飯」をゲットして、新幹線に帰路を託した。 (西村和夫)

Page 11: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  11

20期同窓会開催日 2019年3月30日場 所 大阪大学会館(旧教養部イ号館) アセンブリーホール

今回の同窓会は、大学入学から 50年ということもあり、入学から 2年間過ごした阪大豊中キャンパスの大阪大学会館(旧教養部イ号館)のアセンブリーホールにおいて行いました。31名が参加し、千里阪急ホテルのケータリングを使って、とても楽しいひと時となりました。旧教養部イ号館は、平成 16年に、国の登録有形文化財建

造物に指定され、阪大創立 80周年の平成 23年に、大阪大学会館として、外観はそのままに、内部が整備されました。石橋阪大下からの坂は、50年前こんなにきつかったかなと思いましたが、若者たちが、スイスイ歩いているのを見て、50年の体力の違いを実感させられました。谷口の司会で、まず、前回の同窓会の後、亡くなられた羽田(平野)妙子さんに黙祷を捧げ、ついで西島(本多)さんの開会の挨拶、福森君の発声による乾杯、そして、しばし歓談、次に稲田(倉本)さんの進行で全員が近況報告をし、しばし歓談、次に井内(伊庭)さんの進行で、あの頃の青春ポップス(若者たち、学生時代、学生街の喫茶店、岬めぐり、思い出の渚、いつでも夢を、銀色の道、青春時代、虹と雪のバラード、上を向いて歩こう)をみんなで歌い、しばし歓談、最後に中村さんの閉会の挨拶の後、「今日の日はさようなら」をみんな

で歌って、あっという間の 3時間でした。千里阪急ホテルの担当者からのメール、「不思議なもので年をとっていても同級生たちと話している間は学生に戻っている。みなさんそんな姿に見えました」次回幹事は、米田(太田)さん、森(佐藤)久美子さん、大浦

(本條)さん、田村(森井)さん、武藤君、米田君にお願いしました。また、元気で、多くのみなさまにお会いできることを楽しみにしています。 (谷口 博)

21期ミニ同窓会開催日 2018年9月29日場 所 東京:過門香・點東京有楽町店

2018年 9月 29日、過門香・點東京有楽町店にて、21期ミニ同窓会を開催しました。東京での会合も 3回目となります。今回、関東圏のみならず鳥取、神戸からも来ていただきましたが、あいにく台風 24号接近のため福岡、愛媛からの希望者は出席を断念せざるをえませんでした。いつも出席の方々も行事が重なったため 11名と幾分少なめの会でしたが、昔の写真を見て盛り上がったり、最近の薬事情に耳を傾けたり、各自の近況に花を咲かせ、大変楽しい濃い時間を共有できました。来年は「大学入学後 50周年」という記念の年で、大同窓会を 2019年 9月 28日(土)正午~午後 3時頃まで(大阪大学中之島センター交流サロンにて)武野君を中心に計画進行中です。是非多数の方の出席を期待しています。 (西川 諭)

Page 12: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

12  大阪大学 薬友会だより 第22号

22期同窓会開催日 2019年5月26日場 所 ホテルグランヴィア大阪・孔雀の間

令和元年(2019)5月 26日(日)ホテルグランヴィア大阪・孔雀の間にて、5年ぶりに 2学科合同の全体同窓会を開催しました。80名の入学者のうち 70名が連絡可、63名から出欠の返信が届き、関西圏外の遠方からも 8名を含む、計 34名が参加されました。今年は私達 22回生が入学して半世紀・50周年ということもあって、入学や卒業当時の姿、学舎跡の様子など想い出のアルバムが流されました。約 3時間、終始談笑が途切れることなく、また一人ひとりの近況報告も聴いて和やかに過ごしました。5年前からの大きな違いは、現役を終え退職後の生活に入り、自由な時間をたっぷり楽しんでいる方が多くなりました。一方、欠席者の理由として、親の介護、自身の体調不良などが増えました。次回は約 3年後を開催予定とし、元気に再会できることを約し合いました。 (松永和樹)

23期ミニ同窓会開催日 2019年4月20日場 所 中之島センター9F 交流サロン

2019年 4月 20日(土)平成最後の集いを中之島センター 9F

交流サロンにて 1971年入学生のミニ同窓会を開催しました。23期は 2015年からは毎年 4月に同期会を開催、今回で 5

回目(参加者 15名)、常連も多数です。親の介護、孫のお世話、健康管理、趣味、脳トレ等、皆さん話の話題はつきません。定年後も時間を調節しながら仕事を継続、趣味も兼ねて相応な体力作り、晴耕雨読(?)、お遍路さん、現役の薬剤師も多数、まだ実験室で分液ロートを振っているつわものもいます。各自の近況報告、昔の思い出話など楽しく、懐かしい時間を過ごすことができました。また来年話の続きを聞く事が楽しみです。本会は Eメールを中心に連絡をしていますが、併せて各人のネットワークを活用して仲間の輪を拡げています。メール連絡網に登録を希望される方は幹事の八木さん(yagi@phs.

osaka-u.ac.jp )にご連絡下さい。

次回は 2020年 4月 18日(土)12:00~開催することが決定しています。場所は大阪駅近辺、未定です。おすすめの店があれば幹事までご一報下さい。皆様お誘いあわせの上、多くの方の出席をお待ちしています。 (西川富美子)

Page 13: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  13

副 島 太 啓 院 39期(製造) (株式会社カン研究所)

1996年に博士後期課程を修了し、エーザイ株式会社つくば研究所に入社後、約 20年間、メディシナルケミストとして低分子創薬に邁進し、現在はエーザイの研究子会社であるカン研究所にて基礎研究から創薬テーマまでの幅広い研究のプログラムマネージメントを担当しています。つくば研究所に入った当初は、私の知っている関東在住の製造 OB・OGは数名ほどでしたが、「製造関東組の会」なる情報交換の場を創設し、今でも夏冬の年 2回の飲み会を継続開催しています。若手からまあまあな熟年まで多くの企業から OB・OGが参加して時に真面目な近況報告まじえて毎回楽しくやっています。関東に就職・転職・移動された皆さまの新規参入をお待ちしております。

角 田 慎 一 42 期(薬剤) (神戸学院大学薬学部生体機能制御学研究室)

私は 1999年に真弓忠範先生、中川晋作先生、堤 康央先生のご指導のもと、博士後期課程(薬剤学分野)を修了しました。その後、産業技術総合研究所、国立医薬品食品衛生研究所、医薬基盤・健康・栄養研究所を経て、2016年に神戸学院大学薬学部に赴任、2019年 4

月に教授に就任しました。生体機能制御学研究室では、タンパク質工学の手法を駆使することによる、サイトカインシグナルの機能解明及び免疫疾患やがん治療への応用について研究を推進しています。一方では、私立大学薬学部において、より魅力があって学び甲斐のある学部とするための教育はどうあるべきか日々模索しているところです。薬友会の皆様におかれましては、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

永 富 康 司  43 期(旧合成) (アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱)

2000年に薬品合成化学(北先生、藤岡先生)を卒業してから 20年近くが経ちました。卒業後、万有製薬(現:MSD)で合成を朝から晩まで 8年間行った後、アサヒビールに移って分析技術開発に 10年間携わりました。今は、研究開発戦略の立案を行っています。その間ずっと茨城の「つくば」に住んでいますが、広い関東平野は居心地がよく、すっかり関西人を卒業してしまいました。しかし、約 20年のサラリーマン人生を振り返ってみると、研究室時代に

身に付けた基礎知識や技術が自分の支えであったなと、感じています。先日は、藤岡先生の薬学会賞受賞祝賀会を弊社の本社で開催させて頂き、先生方を含め懐かしい先輩や後輩にも会うことが出来ました。40代も後半ですが、活躍している同門生の皆さんに負けない様、あと 10数年は頑張ります!

一 條 知 昭 51 期(薬情) (大阪樟蔭女子大学健康栄養学部 准教授)

2008年 3月に学位を取得後、総合地球環境学研究所での博士研究員を経て、2010年より大阪大学大学院薬学研究科で特任研究員、助教(衛生・微生物学分野(那須教授)、情報・計量薬学分野(高木達也教授))として勤務いたしました。本年 4月からは大阪樟蔭女子大学健康栄養学部で勤務し、医療を中心とした現場で栄養教育や指導ができる管理栄養士の育成等を目的とした教育を進めています。新たな環境での教育・研究活動は大変なことも多いですが、このような現状も楽しみながら日々過ごしております。これからも、教育、研究に邁進し、学生とともに成長していけるよう頑張ってまいります。

近 況 報 告 ——– 卒業生の方々の近況をご紹介させていただきます。–——

Page 14: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

14  大阪大学 薬友会だより 第22号

住 井 裕 司 54 期(生薬) (名古屋工業大学工学部 助教)

2011年に小林資正先生のご指導のもと博士後期課程を修了し、アメリカで博士研究員を経た後、生薬に戻って特任研究員を 2年半務めた後、2015年 8月より名古屋工業大学工学部の柴田研究室(柴田哲男教授)に助教として着任しました。現在は有機フッ素化学の研究分野を進めており、含フッ素機能性分子やフッ素官能基の新規導入反応の開発を行っています。生薬で学んできた天然物化学やケミカルバイオロジーの知識や経験とフッ素化学を融合させて、今後も面白い「ものづくり」を進めていきたいと思います。

大 澤 昂 志 58 期(薬化) (大阪大学薬学部生物有機化学分野 特任助教)

私は小比賀聡先生にご指導賜り、2015年に博士後期課程を修了しました。その後 1年間、米国 Alnylam社の博士研究員として siRNA医薬の開発研究に携わったのち、昨年までの約 3

年間、徳島文理大学薬学部放射薬品学教室(張功幸先生)の助教として勤めました。徳島文理大学に赴任した当初は、特に大学院時代の専門とは異なる分野(放射化学など)を学生に教えることに苦労しましたが、自由な発想で研究できることに満足し、充実した日々を送っていました。その後、今年 1月に現職に就き、再び小比賀先生のもとで研究を進めることになりました。まだ異動したばかりで落ち着いていませんが、これからは学生たちとともに私自身も研鑽を積みつつ、核酸医薬の発展に貢献していきたいと思います。

尾 中 勇 祐 58 期(薬理) (摂南大学薬学部)

私は 2014年まで学生として神経薬理学分野に所属し、現在は摂南大学薬学部にて、研究・教育に携わっています。研究では、高次脳機能障害におけるプロスタノイドシグナルの役割の解明を目指すとともに、がん患者さんで認められる高次脳機能障害のメカニズムの解明にも取り組んでいます。私の研究テーマには、1学年当たり 2~ 3人の学生がついてくれていますが、彼らは忙しい授業や実習の合間の時間にも関わらず、精力的に実験を行ってくれています。学生の個々の能力は様々ですが、どの学生にも、実験やディスカッションを進めていくにつれて、その成長を感じることができる瞬間があり、その度に喜びを感じます。今後、自分の研究・教育能力をさらに伸ばして、良い研究者・良い先生になれるよう、精進していきたいと考えています。

町 谷 充 洋 58 期(生化) (国立がん研究センター研究所)

私は、2015年 3月に分子生物学分野にて博士後期課程を修了し、1年間特任研究員として同分野で研究に従事しました。その後、京都大学ウイルス再生医科学研究所で日本学術振興会特別研究員 PDとして 3年間、RNAの発現制御、及び、その異常に関する研究を進めてきました。分子生物学のセントラルドグマに関わる基礎中の基礎研究に携わることができ、「研究の何たるか」がほんの少し見えた気がします。2019年春からは、国立がん研究センターに赴任することになったので、さらに研究を発展できるように邁進したいと思います。どこかで聞いた気もしますが、Number oneより Only oneになれるように。

Page 15: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  15

江 川 博 院 59期(微生) (小野薬品工業オンコロジー研究センター第 2G)

私は 2016年に辻川和丈先生、神宮司健太郎先生のご指導の下、細胞生理学分野で博士号を取得し、小野薬品工業に入社しました。現在はがん領域における新規治療標的の探索と機能解析に従事しております。近年、がん領域では免疫チェックポイント阻害剤の登場により、治療成績が劇的に改善されつつあります。このため、次世代がん治療薬はそれと同等以上の臨床インパクトが求められており、研究開発の難易度は格段に高まっております。こうした状況下で有望な標的を見出すことは至難の業ですが、世界中の研究機関やベンチャー企業と連携し、チーム一丸となってこの難題に挑戦しています。微生での経験を糧に、今後もがんに苦しむ患者さんに新薬を届けるべく尽力して参ります。

青 山 道 彦 60 期(毒性) (国立医薬品食品衛生研究所)

私は堤 康央先生(毒性学分野・教授:39期)に御指導賜り、2017年 3月に博士後期課程を修了、同年 4月に国立医薬品食品衛生研究所 生物薬品部に入所しました。現在は、抗体医薬品を中心としたバイオ医薬品の品質・安全性の評価に関する研究に従事しております。生物薬品部では、産官学連携によるレギュラトリーサイエンス研究への参画などを通じ、レギュラトリーサイエンスの推進における官の研究機関の役割・責務を実感し、非常に大きな使命感をもって研究に取り組んでおります。今後も大阪大学薬学研究科の先生方にご指導いただいた研究者としての基礎を基に成長していきたいと念じておりますので、今後とも御指導・御鞭撻の程、何卒、宜しくお願い申し上げます。

宮 脇 昭 光 60 期(薬効) (武田薬品工業薬剤安全性研究所)

卒業後は武蔵野大学薬学部で 1年 2か月ほど助教を務めた後、武田薬品工業に移り現在に至ります。会社では新薬候補化合物の毒性評価を行っています。懸念される毒性はその新薬のモダリティ(低分子・抗体・核酸など)や標的とするターゲットによって異なるため、それに合わせたアッセイ系を構築していくことが必要です。大阪大学にいた頃は心臓の再生の研究をしており、毒性研究は専門外でしたので最初は不安も大きかったですが、日々やりがいをもって研究に励んでいます。所属していた臨床薬効解析学分野はとても明るい研究室で楽しく過ごさせて頂きましたが、そこで学んだ基礎、研究における考え方は今になって生きていると実感でき、感謝の念に堪えません。

花 井 舜 平 61 期(旧分析) (大阪府環境農林水産部エネルギー政策課)

私は 2018年 3月に宇野公之先生、堤康央先生のご指導の下、博士後期課程を修了しました。現在は、大阪府庁にて暑さ対策を担当しております。2018年の夏は記録的な猛暑であったため、熱中症の救急搬送者数や日中最高気温、搬送された方の情報など様々なデータを分析して効果的な熱中症対策を検討し、熱中症対策セミナーの開催に向けて教育や福祉などの関係部署と横断的な調整を行いました。薬学研究科での研究と専門を超えて学ぶ超域イノベーション博士課程プログラムを通して培った論理的思考や分野横断的な考えが現在の仕事に役立っていると感じています。社会人になってからも好奇心を持って学び続け、今後も人の健康に関わりたいと考えております。

Page 16: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

16  大阪大学 薬友会だより 第22号

那 須 雄 大 63 期(応環) (マルホ株式会社)

私は 2017年に薬学研究科を修了し、現在はマルホ株式会社の彦根工場で品質管理の業務に携わっています。医薬品及びその原料について、試験を実施し、高品質な医薬品の安定的な供給に努めています。しかしただ試験を繰り返しているわけではなく、日々刻々と変化する医薬品業界の法令や常識に対応するべく、試験環境の改善や新規技術の導入も求められています。医薬品の工場では一つの部署のみで完結できる仕事は少なく、工場内の多く部署や CMC部門に至るまで一丸となり業務にあたる必要があります。まだ入社から 3年目ですが、様々な経験をさせていただき、目まぐるしくも充実した日々を過ごしています。これからも医薬品業界への貢献のため、精進を続けたいと思います。

東 咲 子 63 期(蛋白) (田辺三菱製薬株式会社)

私は 2017年 3月に博士前期課程を修了後、田辺三菱製薬株式会社に入社し、3年目となりました。入社後は創薬本部に配属され、感染症予防ワクチン開発のプロジェクトメンバーとして、日々研究に取り組んでおります。学生の頃の専攻分野と全く異なるので、ワクチンや感染症に関する基礎知識や、実験ストラテジーの構築方法等、新しく学ぶことが多く、毎日が勉強の日々です。その中でも、自身で考えた実験系が上手くワークし、新しい結果を出すことができたり、喜びややりがいを感じる瞬間も少しずつ出てきました。今後も専門性を磨き、自身が研究に携わったワクチンが世界中の多くの方々の感染症予防に貢献できるよう、精進してまいります。

棟 朝 亮 太 63 期(物化) (大鵬薬品工業株式会社)

私は 2017年に博士前期課程を修了し、大鵬薬品工業株式会社で製剤研究に携わっております。製剤研究は、探索研究により創成された薬物候補化合物をクスリの形にして患者さんへと届ける役目を担っております。現在の業務は、これまで大学で取り組んできた研究内容とは大きく異なりますが、研究室で培った経験や課題解決に向けた考え方が活かされております。また、研究所のある徳島では毎年 8月に阿波踊りが開催され、私も会社の連(踊りのチーム)から参加いたしました。当日は、地元の方々からの熱い声援を受け、様々な社会貢献の形があると実感した次第です。最後になりますが、薬学研究科の益々のご発展を祈念しまして、近況報告とさせて頂きます。

加 藤 千 晴 64 期(先進) (大阪大学医学部附属病院薬剤部)

在学中は Pharm.Dコース(大阪大学)を選択し、長期間の病棟実習や臨床開発に関する実習、海外研修などを通じて未来の薬剤師像についてじっくり考えることができました。現在は附属病院の泌尿器科病棟の担当薬剤師として、入院患者さんに服薬指導や化学療法の説明を行ったり、抗がん剤の混合調製、調剤などの業務を行ったりしています。日々学ぶことばかりで大変ではありますが、患者さん一人ひとりに適切な薬物治療を行うため、薬剤師の立場から他の医療従事者に提案できるところにやりがいを感じています。これからも在学中に学んだことを生かしながら頑張っていきます。

Page 17: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  17

森 田 こ の み 64 期(療薬) (小野薬品工業株式会社)

2018年に薬学部薬学科を卒業し、現在小野薬品工業株式会社にて、ファーマコヴィジランス部という部署で働いています。副作用などの安全性情報を基に、医薬品リスク管理計画(RMP)の策定や添付文書の改訂、医療機関への情報提供などの安全対策の検討を行い、医薬品のリスクを低減する仕事に携わっています。安全対策の検討においては迅速に対応できているかどうか、医療機関へ情報提供する資材の作成などにおいては注意喚起したい内容を正しく伝えられているかどうかなど、日々難しさを感じています。周囲の方々に助けられながらではありますが、私の仕事が少しでも薬の安心・安全に繋がるよう、日々頑張りたいと思います。

大阪大学薬学部創立70周年記念行事のご案内

令和元年 5月に⼤阪⼤学薬学部・薬学研究科は創立 70周年を迎えました。これを記念して、式典、薬業界や教育研究機関で御活躍の皆様による講演会ならびに祝賀会を開催いたします。多くの薬友会会員の皆様のご参加をお待ちしております。記念祝賀会は事前登録制となっております。詳細は薬友会だよりに同封の案内をご確認ください。

日  時:令和元年 10月 26日(土)午後 1時 30分より場  所:千里阪急ホテル 仙寿の間     地下鉄御堂筋線(北⼤阪急行電鉄)『千里中央駅』下車 徒歩約 5分     ⼤阪モノレール『千里中央駅』下車 徒歩約 5分祝賀会会費:10,000 円

大阪大学薬友会総会のご案内

創立 70周年記念行事に先立ち、薬友会総会を開催いたします。記念行事にご参加の皆様には総会よりご出席いただきますようお願いいたします。総会におきましては、薬友会の運営活動状況についての忌憚のないご意見をお願いいたします。

日  時:令和元年 10月 26日(土)午後 12時 30分より場  所:千里阪急ホテル 仙寿の間

Page 18: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

18  大阪大学 薬友会だより 第22号

大阪大学沢井記念薬友会賞受賞

岡 田 欣 晃46期  大阪大学大学院薬学研究科生命情報解析学分野 准教授

この度、「血管特異的タンパク質 Robo4の炎症における役割の解明」という研究課題にて、平成30年度大阪大学沢井記念薬友会賞研究部門賞を拝受いたしました。この場をお借りし、萬年成泰会長をはじめ薬友会の皆様に厚く御礼申し上げます。

血管は、全身に栄養や酸素を運ぶためのチューブ(管)ですが、単なる血液の通り道ではなく、生体の恒常性維持と疾患に深く関与してます。例えば、生体に細菌などの外敵が侵入すると、血管は炎症性サイトカインの放出や透過性の亢進などの炎症応答を介して、免疫細胞を侵入部に適切に動員し外敵を除去させます。今回私は、血管の内側を覆う内皮細胞に発現するタンパク質 Robo4の機能を解析し、炎症時に Robo4がサイトカイン産生と血管透過性を制御することを発見しました。サイトカイン産生についての研究では、内皮細胞と免疫細胞がサイトカインを投げあうキャッチボールをしながら、血液中の炎症性サイトカインを増加させていくこと、また Robo4がこのサイクルを促進することを示しました。また、血管透過性についての研究から、Robo4が内皮細胞間の接着を強め、透過性を低く保つことで、炎症性疾患の病態を緩和させることを見出しました。本研究から Robo4が、血管のみならず、免疫細胞の機能をも制御すること、また Robo4が炎症性疾患の創薬標的となりうることが示されました。現在、本研究を発展させ、Robo4を標的とする炎症性疾患の治療薬開発に取り組んでいます。最後になりましたが、本研究は、本研究科と Harvard Medical Schoolと共同で実施した研究です。直接のご指導を頂きました土井健史先生、William Aird先生、ご支援を頂きました藤尾慈先生をはじめとする本研究科の諸先生方、難航を極めた研究を我慢強く一緒に進めてくれた白倉圭佑君ら学生さん達に、心から感謝申し上げます。

中 島 輝 恵先端化粧品化学(マンダム)共同研究講座 特任研究員(常勤)

この度、「ヒト汗腺の高解像度 3次元ライブ観察法の確立および発汗収縮動態の解明」という研究課題にて、平成 30年度大阪大学沢井記念薬友会賞研究部門賞をいただき、大変嬉しく思います。この場をお借りして、萬年成康会長をはじめ薬友会の皆様に厚く御礼申し上げます。また、本研

究の遂行にあたり岡田文裕招へい教授、関口清俊教授(蛋白質研究所)、ならびに各機関で研究をサポートしてくださった先生方や学生の皆様に深く感謝申し上げます。発汗は、体温の恒常性維持に働く唯一の冷却機構として必要不可欠です。しかし、ストレス社会や超高齢化社会に伴って多汗症や熱中症患者の増加が社会問題になっています。その解決には、発汗機構の根本的な理解が重要です。発汗は非常に小さな皮膚付属器官である汗腺によっておこります。汗腺は長い単一管状腺で、真皮内において絡まった糸のようなコイル構造をしています。コイル部位に存在する分泌腺の周囲には、コイルの捻れ方向に沿うように筋上皮細胞が取り巻いています。この筋上皮細胞が分泌腺を圧縮し、汗を分泌すると考えられていますが、小さく複雑な構造の汗腺は観察が難しく、収縮動態やその機構は明らかになっていませんでした。そこで、私が大学院での研究で培ってきた神経発生ライブ観察技術を応用し、ヒト汗腺の高解像度 3次元ライブ観察法を確立しました。そして、発汗誘導剤添加直後に汗腺の管そのものがダイナミックに動きだす過程を描出することに成功しました。筋上皮細胞は管の長軸に沿って捻れを作る方向に収縮し、同時に管の内腔が圧搾され、管の内腔が狭まり汗を押し出していることが強く示唆されました。この新規の観察法を応用することで、汗腺の動きから発汗、制汗効果をもつ有効薬剤の探索と効果評価を行い、熱中症をはじめとする発汗異常症の治療薬や、これまでとは違う作用機序で働く次世代制汗剤の開発につなげていきたいと考えています。今回の受賞を励みとして、さらに独創的な研究を行っていくとともに、分野をリードしていく所存です。

研究部門賞

Page 19: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  19

奨励賞

博士課程 博士後期

川 西 真 司薬品製造化学分野・博士後期課程 3年[2019.4.1以降の所属]EAファーマ株式会社

この度、「固定化オキソバナジウムとリパーゼを併用する動的光学分割の応用展開」というテーマの研究で薬友会奨励賞を拝受致しました。このような賞を頂きましたこと、大変光栄に存じます。薬友会の皆様に厚く御礼申し上げます。リパーゼを用いた第二級アルコールの速度論的光学分割(KR)や動的光学分割(DKR)は操作の簡便さやエナンチオ選択性の高さなどを特徴とする有用な合成法です。私たちの研究室では独自の触媒を用いた新たなDKR法を確立しました。私はこの DKR法の応用として、一つ目に、構築困難な不斉第四級炭素構築法を開発しました。本手法では DKRで得た光学活性エステルに対して Claisen転位を行い、不斉第四級炭素を構築しました。この特徴は DKRで導入したアシル基を次の反応に直接利用した点であり、アトムエコノミーに優れた手法です。また、本法を応用してアルカロイド (–)-crinaneの不斉全合成も達成しました。続いて二つ目として、合成中間体として有用な光学活性プロパルギル化合物の両エナンチオマーの選択的合成を行いました。リパーゼは R体アルコールを選択的にエステル化する特徴を持つため、リパーゼ触媒 DKRでは R体エステルのみが得られます。すなわち、S体エステルの合成は非常に困難です。私はリパーゼのエナンチオ選択性の由来に着目し、基質に工夫を施すことで、リパーゼの立体認識が逆転するのではないかと考えました。リパーゼのスクリーニングなど、条件を精査することにより、目的であったS体プロパルギルエステルの合成を達成しました。本手法はまだ適用範囲が狭いですが、リパーゼの改変などを行うことで、より有用な手法に消化すると思っています。最後になりましたが、御指導御鞭撻を賜りました赤井周司先生をはじめとする薬品製造化学分野の皆様、心を支えて下さった家族や友人に、心より感謝申し上げます。

博士課程 博士後期

若 林 圭 作分子生物学分野・博士後期課程 3年[2019.4.1以降の所属]塩野義製薬株式会社

この度、平成 30年度博士論文発表会におきまして、「アデノウイルス由来小分子 RNAによるウイルス増殖促進メカニズムの解明」という演題で、薬友会賞奨励賞を拝受いたしました。このような素晴らしい賞を頂くことができ、大変嬉しく思っております。この場をお借りして、薬友会関係者の皆様や審査員の先生方に厚く御礼申し上げます。アデノウイルス(Ad)は、いわゆる「風邪症候群」の主要病原ウイルスでありますが、近年では、遺伝子操作によって有益な特性を有したウイルスを創出するウイルス工学がめざましい発展を遂げており、Adを基本骨格としたウイルスベクターや腫瘍溶解性ウイルスが開発されてきました。これらのバイオ技術は、がんや遺伝性の難治性疾患の新規治療法となることが期待される一方で、臨床応用に向けては克服すべき課題も残されており、さらなる技術開発の進展に向けた基礎研究が必要不可欠であります。本研究では、そのような基礎研究の一環として、Adが発現する小分子 RNA(Virus-Associated RNA; VA-RNA)に着目し、VA-RNAが切断されることで産生されるマイクロ RNAが、Adの増殖に寄与すること、およびその作用メカニズムを明らかとしました。さらに本知見を応用し、腫瘍溶解性Adの殺細胞効果を向上させることにも成功しました。これらの研究成果が、今後のウイルス学研究や、次世代型Adの開発研究の一助となれば幸いです。最後になりましたが、本研究を遂行するにあたり、多大なるご指導、ご支援を賜りました大阪大学大学院薬学研究科分子生物学分野 水口裕之教授、櫻井文教准教授をはじめとする研究室の皆様、および京都大学ウイルス・再生医科学研究所 町谷充洋博士に、厚く御礼申し上げます。また、大学院博士後期課程において経済的援助を賜りました独立行政法人日本学術振興会に心より御礼申し上げます。そして、長い学生生活を見守り、応援して頂きました家族に感謝申し上げます。

Page 20: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

20  大阪大学 薬友会だより 第22号

若手奨励賞

学部 6年生

田 沼 将 人神経薬理学分野・学部 6年生[2019.4.1以降の所属]大阪大学大学院薬学研究科博士課程 1年

この度、平成 30年度長期課題研究発表会におきまして、「表面増強ラマン散乱およびアルキニル基導入によるエスシタロプラムの脳内での可視化」と題した研究を発表し、薬友会賞若手奨励賞を拝受いたしました。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)は、うつ病や不安障害の第一選択薬として用いられていますが、治療効果の発現には数週間を要し、作用機序について不明な点が残っています。標的とするセロトニン神経系は様々な脳領域に投射するため、作用機序の解明には脳内分布の解析が重要と考えられます。そこで本研究では、SSRIであるエスシタロプラムにアルキニル基を導入し、表面増強ラマン散乱用いて、脳内でのエスシタロプラム検出を試みました。その結果、背側縫線核という脳領域から、アルキニル化エスシタロプラム由来のラマン散乱の検出に成功しました。今後はこの系を用いて、薬物の脳血管と脳実質の分布を明らかにしていきたいと考えています。最後になりますが、本研究を追行するにあたり、ご指導を受け賜りました神経薬理学分野の橋本均先生、笠井淳司先生、ならびに神経薬理学分野の皆さま、また本研究にご協力を頂きました多くの共同研究者の方々に感謝申し上げます。

博士前期

孫 靖 凱薬品製造化学分野・博士前期課程 2年[2019.4.1以降の所属]大阪大学大学院薬学研究科研究生  [2019.9.1以降の所属]アルバータ大学、department of chemistry

この度、平成 30年度修士論文研究発表会におきまして、「市販のフェニルボロン酸からの新規ベンザイン発生法の開発」という演題で薬友会若手奨励賞を拝受いたしました。ベンザインは、有機合成に有用な反応中間体として広く知られています。現在、最も広く利用されるシリルトリフラート型前駆体は、フッ素アニオンを用いた温和な反応条件でベンザインを発生することができますが、官能化されたシリルトリフラート型前駆体の内、市販されているものは限られています。従って、市販されている化合物群をそのまま利用してベンザインを発生することができれば、より簡便で有力な手法となります。そこで我々は、ビルディングブロックとして数多く市販されているフェニルボロン酸誘導体をベンザイン前駆体として利用しようと考え、研究を開始しました。種々検討の結果、2-ヒドロキシフェニルボロン酸から one-potでベンザインを発生することに成功しました。また、置換基を有する市販の 2-ヒドロキシフェニルボロン酸誘導体からも同様にベンザインが効率よく発生することが分かりました。現在、100種類以上の置換 2-ヒドロキシフェニルボロン酸が市販されており、これらからベンザインを一挙に合

成することができます。最後になりましたが、本研究を遂行するにあたり、ご指導賜りました井川貴詞先生、赤井周司先生並びに、学生生活をご支援、ご協力くださいました同分野の皆様、家族に感謝いたします。

博士前期

藤 井 茜生物有機化学分野・博士前期課程 2年[2019.4.1以降の所属]大阪大学大学院薬学研究科科目等履修生

この度、平成 30年度修士論文研究発表会におきまして、「多様な金属錯体型塩基対形成を可能にするアザフェノキサジン人工塩基核酸の創成」という演題で薬友会若手奨励賞を拝受いたしました。金属錯体型塩基対とは、核酸塩基間の水素結合を金属配位結合に置換した塩基対で、DNAに導電性や磁性といった金属の特性を付与できるこ

Page 21: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  21

とから DNAナノテクノロジー分野への応用が期待されています。しかし報告されている核酸では、媒介できる金属イオンが一種類のみであることや、金属イオンの数も最大二つであるなど制限があります。本研究では、金属錯体型塩基対の応用の幅を広げるべく、1,3,9-triaza-2-oxophenoxazine人工塩基核酸(9-TAP)を設計、合成しました。結果として 9-TAPは、3種類の金属イオンを識別し、それぞれ特異的に天然核酸と金属錯体型塩基対を形成するとともに、3つの銀イオンを介して驚異的安定性を誇る 9-TAP同士の金属錯体型塩基対を形成できることが示されました。9-TAPは今後、DNAナノロボットや、DNAナノワイヤーへ活用されることが期待されます。この度の受賞で本研究が評価されたことを嬉しく思い、日々努力することの大切さを実感しました。最後になりましたが、本研究を遂行するにあたり、小比賀 聡先生、中川 治先生を始めとする生物有機化学分野の皆様と、家族に心より感謝申し上げます。

博士前期

三 宅 芳 明臨床薬効解析学分野・博士前期課程 2年[2019.4.1以降の所属]大阪大学大学院薬学研究科博士後期課程 1年

この度、平成 30年度修士論文研究発表会におきまして、「Podocytesにおける転写因子 OASISによる糖尿病性腎臓病進展機構の解明」という題目で薬友会賞若手奨励賞を拝受いたしました。糖尿病性腎臓病(DKD)は末期腎不全や心血管疾患の強力なリスクファクターです。しかしながら、DKD発症・進展の機序には不明な点が多く、根本的な治療法は未だ確立されておりません。本研究では、腎臓において機能が未知である転写因子 OASISに着目し、新規 DKD治療標的としての可能性を追究しました。その結果、マウス DKDモデルでは、OASISは糸球体において濾過機能を担う podocytesで発現上昇すること、またその OASISが、尿細管間質の傷害を増悪させることで DKD進展に寄与することを明らかにしました。博士後期課程では、OASISによるDKD進展機構の分子メカニズムをより詳細に解明し、DKD治療法の開発に貢献していく所存です。今回の受賞は、多大なる御指導・御鞭撻を賜りました藤尾慈先生、尾花理徳先生をはじめとした研究室の皆様、御助力を賜りました共同研究者の皆様、加えて日頃より励まし支えてくれた友人や家族のおかげです。心より感謝申し上げます。

博士前期

吉 岡 祥 平生物有機化学分野・博士前期課程 2年[2019.4.1以降の所属]大阪大学大学院薬学研究科博士後期課程 1年

この度、私は修士論文「アリールジメチルプロぺニルシランのメタセシス反応」に対し、薬友会賞若手奨励賞を拝受しました。メタセシス反応は様々なヘテロ環化合物や生物活性化合物の合成に用いられており、ルテニウムカルベン錯体である Grubbs触媒が頻繁に利用されます。一方、ヘテロ原子直結型オレフィンのメタセシス反応は難しく、特にトリアルキルビニルシランのメタセシス反応の報告例はありませんでした。私は、トリアルキルビニルシランのメタセシス反応を開発すれば、高い蛍光量子収率を持つ環状シリコン化合物を簡便に合成できるようになるのではないかと考え、本研究に着手しました。既に知られていた通り、ビニルシラン体のメタセシス反応は困難でした。そこで、ビニル基の等価体であるプロぺニル基を用いたところ、クロスメタセシス反応が進行することを見出しました。本方法は閉環メタセシス反応やエンインメタセシス反応にも有効で、これを利用して多環式含ケイ素蛍光化合物を合成することにも成功しました。さらに、ビニルシランのメタセシス反応が困難な理由についても調べました。その結果、Grubbs触媒がカーバイド錯体に変化し、不活化されていることが分かりました。最後に、有澤光弘准教授、村井健一助教をはじめとする生物有機化学分野(旧分子合成化学分野)の皆様と家族に感謝します。

 

Page 22: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

22  大阪大学 薬友会だより 第22号

スタートアップ賞(学部 4年生)

出 口 清 香分子生物学分野・学部 4年[2019.4.1以降の所属] 大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程 1年

この度、平成 30年度卒業研究発表会におきまして、「ゲノム編集技術を用いた CYP2C19 poor metabolizerのモデルとなるヒト iPS細胞由来肝細胞の作製」という演題で薬友会賞スタートアップ賞を拝受いたしました。

CYP2C19 poor metabolizer(PM)では、肝臓での薬物代謝に関わる重要な薬物代謝酵素である CYP2C19の活性が消失しており、基質となる薬物が予想外の毒性を生じる恐れがあります。しかし、CYP2C19 PM のモデル細胞は入手困難なため、CYP2C19 PM に適した毒性試験は現状不可能です。そこで本研究では、ヒトiPS細胞及びゲノム編集技術を用いて、CYP2C19 PM のモデルとなる肝細胞を作出し、毒性試験への応用に成功しました。最後になりましたが、本研究を遂行するにあたりご指導、ご支援を賜りました水口裕之先生、高山和雄先生をはじめとする分子生物学分野の皆様、また支えてくれた家族や友人に心より感謝申し上げます。

升 谷 美 月薬剤学分野(ワクチン・免疫制御学プロジェクト)・学部 4年[2019.4.1以降の所属] 大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程 1年

この度、平成 30年度卒業研究発表会におきまして、「キメラ抗原受容体の scFv構造と膜発現強度との連関解析」という題目で、薬友会賞スタートアップ賞を頂きました。一本鎖抗体(scFv)と細胞内領域からなるキメラ抗原受容体(CAR)を発現させた T細胞(CAR-T細胞)は、任意の抗原に対して反応し抗腫瘍効果を発揮します。本研究では CAR-T細胞の scFv最適化に関する基礎情報を収集すべく、scFv構造の改変が CARの膜発現強度や抗原親和性に及ぼす影響を精査しました。各種 scFv cloneを用いて構築した CARの中にはほとんど膜発現しない CARが見られましたが、scFv改変としてCDR graftingを行うことで CARの膜発現強度の顕著な改善が可能であると見出しました。本研究成果が、新たな CAR-T細胞開発に向けた一助となれば幸いです。最後になりますが、本研究を遂行するにあたり、ご指導、ご鞭撻を賜りました、岡田直貴教授、立花雅史特任准教授、ならびに薬剤学分野ワクチン・免疫制御学プロジェクトの皆様方、また本研究にご協力を頂きました共同研究者の鎌田春彦先生に心より御礼申し上げます。

堀 修 平薬品製造化学分野・学部 4年[2019.4.1以降の所属] 大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程 1年

この度、平成 30年度卒業研究発表会におきまして、「ビリジンの合成研究」という演題に対し栄えある薬友会賞スタートアップ賞を顕彰していただき、大変嬉しく思います。近年、がんの原因として製薬業界や学術研究において PIK3CA遺伝子の変異に注目が集まっています。日本の癌罹患者における罹患部位の上位の多くがそれを原因とする場合が多く、その治療にはホスファチジルイノシトール -3-キナーゼ阻害薬が有用であると知られています。その一つとして期待されるのが本研究対象のビリジンです。しかし、ビリジンの全合成達成報告は 2例のみであり、様々なアプローチでの合成法の確立が急務です。私はその一端を担い、一進一退を繰り返す日々の中、目標達成まで着々と歩みを進めることに責任感を持ち、今後も惜しまぬ努力を重ねてまいりたいと思います。最後になりますが、本研究を遂行するにあたりご指導、ご鞭撻を賜りました赤井教授、井川准教授、八幡助教授並びに薬品製造化学分野の皆様方に心より御礼申し上げます。

三 上 敦 士生物有機化学分野・学部 4年[2019.4.1以降の所属] 大阪大学大学院薬学研究科博士前期課程 1年

この度、平成 30年度卒業研究発表会におきまして、「siRNAへの応用を志向した 5ʹ-メチルグアノシンの合成とヌクレアーゼ耐性能評価」という題目で、薬友会賞スタートアップ賞を頂きました。このような賞を頂きましたこと、大変光栄に存じております。本研究ではグアノシンの 5ʹ位にメチル基を修飾した 5ʹ-メチルグアノシン人工核酸を合成・オリゴ鎖へ導入し、その酵素耐性能を評価しております。研究していく中で 5ʹ-メチルグアノシンは天然のグアノシンよりも高い酵素耐性能を有していることが判明し、興味深いことに 5ʹ-R体は 5ʹ-エキソヌクレアーゼに高い耐性を示した一方で、5ʹ-S体は 3ʹ-エキソヌクレアーゼに高い耐性を示しました。優れた酵素耐性能を有する 5ʹ-メチルグアノシンは siRNAの修飾分子としての応用が期待できます。最後になりましたが本研究を遂行するにあたり、ご指導を賜りましたMano Manoharan博士(米国アルナイラム社)、小比賀聡先生をはじめとする生物有機化学分野の皆様、家族に心より感謝申し上げます。

Page 23: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  23

「2019年度日本薬学会賞」を受賞して

藤 岡 弘 道  23期

大阪大学産業科学研究所 特任教授

この度、「酸素原子の孤立電子対を利用した斬新的反応の開発とその展開」と

題して今までの研究成果を取り纏め、2019年度日本薬学会賞受賞の名誉にあず

かることができまし た。この場をお借りして、薬友会の皆様にご報告申し上げ

ます。

酸素原子は、その孤立電子対により、高いキレーション能力・高い求核能力・

隣接カチオン安定化能力を示します。今回の受賞は、酸素原子のこれらの特徴的な反応性を利用し

て独創的な新規反応を開発し、それらを基軸として天然物の効率的合成を行ってきた成果に与えら

れたものです。

まず斬新的反応として、不斉四級炭素中心の絶対配置が容易に決定できる新規な方法論、光学活

性三級水酸基の簡便合成法や遠隔位複数不斉中心の一段階構築法、ピリジニウム塩やホスホニウム

塩などの活性塩化学種を利用する新奇な合成反応などを開発しました。さらに開発した反応を基軸

として 20種以上の天然物の効率的合成を達成し、新反応の有用性を示しました。開発した反応は、

いずれも古くから知られている酸素原子特有の反応性を利用したものですが、これまでに多くの化

学者が挑みながらもその絶対配置が決定されていなかった抗がん活性天然物の不斉四級炭素の絶対

配置決定と世界初の不斉全合成、さらには新たな天然物合成概念の創出に貢献し、また有機化学の

常識を覆す現在でも世界で唯一の手法、従来法とは逆の順番で進行する反応、化合物合成に当たっ

て現在広く利用されているレトロシンセシス(逆合成)の考え方と変えることができる実用的手法

など、いずれも類例の無い独創性の高いものです。これらは実験結果を深く考察し展開した結果で

あり、深く考察することが大事であると改めて実感しています。

私は昭和 46年 4月に大阪大学薬学部に入学し、大学院を経て、米国留学後、大阪大学薬学部の

職員となり、昨年の平成 30年に退職しました。その間、学部・大学院時代は生薬学教室で北川 

勲先生にご指導を頂き、薬品合成化学研究室(改組により、後に分子合成化学と改名)の職員とし

ては、田村恭光先生、北泰行先生から薫陶を受けました。この三名の先生方は、いずれも薬学会賞

を受賞されています。その後に続くことが出来、今回の受賞を大変うれしく思っています。

今回の受賞は、ご指導くださいました先生方、ご協力頂きました共同研究者・学生諸氏のお陰で

あり、心より感謝申し上げます。

Page 24: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

24  大阪大学 薬友会だより 第22号

「2019年度日本薬学会学術振興賞」の受賞にあたって

滝 澤 忍  院43期

大阪大学産業科学研究所 准教授

このたび、「グリーンケミストリー志向型不斉合成反応の開発と多官能性複素

環骨格構築への応用」の研究に対して、2019年度日本薬学会学術振興賞を受賞

いたしました。大変光栄に存じており、薬友会だよりでご報告できることを嬉し

く感じます。

省資源かつ環境調和型有機合成反応プロセスの開発は、社会の発展・維持のた

めにも重要な研究課題の一つとなっています。中でも高活性遷移貴金属不斉触媒は、極微量の使用

で液晶や農薬等の有用な光学活性化合物を大量に供給可能なことから工業プロセスにも利用されて

います。しかしながら、毒性の高い金属触媒は、金属残渣が製品を汚染する危険を伴うことから医

薬品合成への使用は困難です。そのような背景下、私は、2000年から環境調和型不斉触媒の創製

に取り組み、『反応基質の活性化に金属を必要としない酸塩基型有機分子不斉触媒』及び『空気中

の酸素を共酸化剤とする二核卑金属不斉触媒』といった多機能不斉触媒を開発しています(本研究

成果により 2009年度日本薬学会奨励賞を受賞)。一つの素反応が別の部分に活性基を生成し、それ

が「ドミノ倒し」のように連鎖的に反応が進行するドミノ反応は、生じた中間体が不安定で分解し

やすい場合でも直ちに次の反応に供されるため、従来の多段階合成法では得ることが難しい化合物

も合成可能です。ドミノ反応は、中間体の単離精製を必要とせず、時間、シリカゲルや溶媒等の試

薬類、労働力を軽減できる省エネルギー合成プロセスとして注目されています。

今回、私は、医薬資源合成に有効な新規ドミノ反応を多数デザインし、多機能有機分子不斉触媒

にて自在にドミノ反応を制御することで、毒性の高い金属触媒を使用せずに有害な廃棄物を副生す

ること無くキラル多官能性複素環骨格を構築することに成功しました。省資源かつ環境調和型有機

合成反応プロセスの開拓を私なりにこれまで取り組んでまいりましたことを、このたびの受賞とい

うかたちで評価をしていただいたものと思います。そのことを、とても嬉しく思っております。本

研究を行う上で苦楽をともにしてきた共同研究者の皆様にあらためて感謝の意を表したいと思いま

す。また、学生時代に研究者になるための心構えをご教授くださいました恩師、大阪大学名誉教授

北泰行先生にこの場をお借りしまして深く感謝いたします。

薬友会員の皆様の益々のご健康とご多幸をお祈りし、末筆とさせていただきます。

Page 25: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  25

 齊藤 達哉特別会員 大阪大学大学院薬学研究科 教授学会名  創薬シーズ事業化コンペティション課題名  微粒子による健康被害に対する治療薬・予防薬の開発受賞の名称  優秀賞受賞日  平成 31年 2月 12日

 櫻井 文教特別会員 大阪大学大学院薬学研究科 准教授学会名  日本遺伝子細胞治療学会課題名  Neonatal Gene Therapy for Hemophilia B by a Novel Adenovirus

Vector Showing Reduced Leaky Expression of Viral Genes

受賞の名称  第 9回遺伝子治療研究奨励賞(タカラバイオ賞)受賞日  平成 30年 7月 26日

 窪田 均30期 田辺三菱製薬株式会社学会名  第 36回日本薬学会メディシナルケミストリーシンポジウム課題名  世界最強の作用を有するCETP阻害剤TA-8995(obicetrapib)

の創製受賞の名称  優秀賞受賞日  平成 30年 11月 30日

 柴田 哲男院 36期 名古屋工業大学大学院工学研究科 教授学会名  アメリカ化学会受賞の名称  ACS Award for Creative Work in Fluorine Chemistry

受賞日  平成 31年 4月 2日

 岡田 直貴40期 大阪大学大学院薬学研究科 教授学会名  日本薬学会第 139年会課題名  皮膚を標的とする免疫制御技術の開発と経皮ワクチン・

免疫療法の実用化推進研究受賞の名称  日本薬学会学術振興賞受賞日  平成 31年 3月 20日

 鎌田 春彦43期 医薬基盤・健康・栄養研究所学会名  創薬シーズ事業化コンペティション課題名  膜タンパク質を標的とした抗がん抗体医薬候補分子の創製受賞の名称  最優秀賞受賞日  平成 31年 2月 12日

 國澤 純44期 医薬基盤・健康・栄養研究所学会名  一般財団法人バイオインダストリー協会課題名  腸を起点に形成される免疫環境の理解とヘルスケアへの

新展開受賞の名称  第 2回バイオインダストリー奨励賞受賞日  平成 30年 7月 18日

学会名  日本ワクチン学会課題名  粘膜ワクチンの実用化に向けた粘膜免疫システムの基礎

的解明とワクチンデリバリー・アジュバントの開発受賞の名称  第 7回高橋奨励賞受賞日  平成 30年 12月 8日

 南部 寿則48期 富山大学大学院医学薬学研究部(薬学) 准教授学会名  有機合成化学協会課題名  スピロシクロプロパンの環ひずみを活用した複素環化合

物の高効率的合成法の開発受賞の名称  第 16回(2018年度)有機合成化学協会関西支部賞受賞日  平成 30年 12月 4日

 澤間 善成49期 岐阜薬科大学薬学部薬品化学研究室 准教授学会名  有機合成化学協会課題名  水素抽出型化学変換法の開発と応用展開受賞の名称  平成 30年度有機合成化学奨励賞受賞日  平成 31年 2月 14日

 山口 卓男院 51期 大阪大学大学院薬学研究科 講師学会名  日本薬学会近畿支部課題名  薬物標的タンパク質の同定を志向した新規アフィニ

ティーラベル化法の開発受賞の名称  平成 30年度日本薬学会近畿支部奨励賞受賞日  平成 31年 1月 11日

 長野 一也院 53期 大阪大学大学院薬学研究科 准教授学会名  第 24回日本食品化学学会課題名  高水溶性非晶質クルクミンの開発と水溶性向上機序の解析受賞の名称  若手優秀発表章受賞日  平成 30年 5月 18日

 高山 和雄58期 大阪大学大学院薬学研究科 助教学会名  一般財団法人バイオインダストリー協会課題名  ヒト多能性幹細胞由来肝細胞と小腸細胞の作製と創薬応用受賞の名称  バイオインダストリー奨励賞受賞日  平成 30年 10月 10日

学会名  公益社団法人日本薬学会課題名  iPS細胞技術とゲノム編集技術を用いた肝疾患に対する

創薬研究受賞の名称  奨励賞受賞日  平成 31年 3月 20日

Page 26: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

26  大阪大学 薬友会だより 第22号

 勢力 薫59期 大阪大学国際共創大学院学位プログラム推進機構 特任助教学会名  日本薬学会近畿支部課題名  高精細全脳イメージング技術 FASTの開発と精神疾患モデ

ルマウスの病態解析受賞の名称  平成 30年度日本薬学会近畿支部奨励賞受賞日  平成 31年 1月 11日

 松本 浩太朗61期 大阪大学国際共創大学院学位プログラム推進機構 特任助教学会名  第 2回日本循環器学会基礎研究フォーラム課題名  Blockade of NKG2D / NKG2D Ligand Interaction Attenuated

Post-infarct Myocardial Injury

受賞の名称  優秀賞受賞日  平成 30年 9月 22日

学会名  第 92回日本薬理学会年会課題名  Runx2-expressing myeloid cells ameliorate post-infarct cardiac

remodeling as a novel cardioprotective subset

受賞の名称  年会優秀発表賞受賞日  平成 31年 3月 16日

 三谷 成二院 62期 奈良県立医科大学血栓止血先端医学講座 助教学会名  第 68回 日本薬学会近畿支部総会・大会課題名  ヒト iPS細胞から zone特異的肝細胞の作製―薬物性肝

障害の効率的な予測に向けて―受賞の名称  平成 30年度 日本薬学会近畿支部奨励賞受賞日  平成 31年 1月 11日

 川西 真司62期 EAファーマ株式会社学会名  第 44回反応と合成の進歩シンポジウム課題名  リパーゼ触媒動的光学分割法によるプロパルギルアル

コールの両エナンチオマーの選択的合成法の開発受賞の名称  優秀発表賞受賞日  平成 30年 11月 6日

 伊藤 沙耶美院 63期 大阪大学大学院薬学研究科 博士後期課程 3年学会名  日本薬剤学会第 33年会課題名  マイクロニードル製剤の貼付に伴って誘導される経皮免

疫応答メカニズム関する基礎的検討受賞の名称  最優秀発表者賞受賞日  平成 30年 5月 31日

学会名  日本薬学会第 139年会課題名  経皮免疫誘導における炎症性サイトカインおよび Alarmin

の寄与に関する基礎的検討受賞の名称  学生優秀発表賞(ポスター発表の部)受賞日  平成 31年 4月 23日

 関 夏未院 64期 第一三共ヘルスケア株式会社学会名  第 16回次世代を担う若手のためのフィジカル・ファーマ

フォーラム課題名  LAIRファミリーの III型コラーゲン認識機構の解明

受賞の名称  若手研究者奨励賞受賞日  平成 30年 9月 4日

 堀江 直宏64期 大阪大学大学院薬学研究科 博士後期課程 2年学会名  日本化学会 第 99春季年会(2019)課題名  Facile synthesis of oligonucleotides modified with guanidine-

bridged nucleic acids

受賞の名称  学生講演賞受賞日  平成 31年 3月 16~ 19日

 木部 友貴院 65期 キョーリン製薬株式会社学会名  第 25回肝細胞研究会課題名  腫瘍溶解性ウイルス製剤であるレオウイルスのドラッグ

リポジショニングによる肝線維化抑制機構に関する検討受賞の名称  優秀ポスター賞受賞日  平成 30年 7月 13日

 謝 智奇院 65期 大阪大学大学院薬学研究科 博士後期課程 1年学会名  留日中国人生命科学協会 2018年学術大会課題名  Valproic acid reduces the immunosuppressive activity and

migration capacity of myeloid-derived suppressor cells,

inhibiting tumor growth

受賞の名称  最優秀ポスター賞受賞日  平成 30年 10月 21日

 鳥羽 由希子院 65期 大阪大学大学院薬学研究科 博士後期課程 1年学会名  第 65回 日本生化学会 近畿支部例会課題名  ヒト iPS細胞から肝幹前駆細胞への分化に FGFは不要

である受賞の名称  優秀発表賞受賞日  平成 30年 5月 26日

 衛藤 舜一65期 大阪大学大学院薬学研究科 博士後期課程 1年学会名  第 25回日本免疫毒性学会学術年会課題名  非晶質ナノシリカ誘導性の肝障害が、事前曝露により獲

得免疫系を介して増悪する受賞の名称  若手優秀発表賞受賞日  平成 30年 9月 18日

学会名  日本薬学会第 139年会課題名  細胞性免疫が非晶質ナノシリカ誘導性の肝障害を増悪する受賞の名称  学生優秀発表賞(口頭発表の部)受賞日  平成 31年 4月 22日

 Taracena Gandara Marcos Andres65期 アステラス製薬株式会社学会名  第 65回日本生化学会近畿支部例会課題名  NASH/NAFLD関連マイクロ RNA miR-27bの新規標的遺

伝子の機能解析受賞の名称  学生優秀発表賞(口頭発表の部)受賞日  平成 30年 5月 26日

Page 27: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  27

 羽渕 貴紀65期 日本触媒株式会社学会名  日本核酸医薬学会第 4回年会課題名  チオアミド架橋型人工核酸 thioAmNAの合成と物性評価受賞の名称  優秀発表者賞(川原賞)受賞日  平成 30年 7月 9~ 11日

 三上 敦士65期 大阪大学大学院薬学研究科 博士前期課程 1年学会名  XXIII INTERNATIONAL ROUNDTABLE ON NUCLEO-

SIDES, NUCLEOTIDES AND NUCLEIC ACIDS

課題名  Oligonucleotide Building Blocks Containing 5’-(R)- and

(S)-C-Methyl Guanosine

受賞の名称  Poster Awards

受賞日  平成 30年 8月 26~ 30日

 三宅 芳明65期 大阪大学大学院薬学研究科 博士後期課程 1年学会名  第 133回日本薬理学会近畿部会課題名  Podocyteにおける転写因子 OASISは糖尿病性腎症進展に

寄与する受賞の名称  学生優秀発表賞受賞日  平成 30年 6月 1日

 我喜屋 良行院 66期学会名  第 16回日本免疫治療学会学術集会課題名  肉腫に対する腫瘍血管傷害型 CAR-T細胞療法の開発受賞の名称  優秀演題賞(江川賞)受賞日  平成 31年 2月 23日

 小西 博尭66期 大阪大学大学院薬学研究科 博士前期課程 2年学会名  第 5回血管生物若手研究会課題名  炎症時の血管透過性を制御する Robo4-TRAF7シグナルの

解析受賞の名称  血管生物医学若手優秀賞受賞日  平成 31年 3月 8日

 竹内 修斗66期 大阪大学大学院薬学研究科 博士前期課程 2年学会名  第 40回日本生物学的精神医学会・第 61回日本神経化学

会大会 合同年会課題名  VPAC2 receptor overactivation implicated in schizophrenia

susceptibility causes alterations in dendritic morphology of

cortical neurons and cognitive impairments in mice

受賞の名称  Wakate Dojo 優秀発表賞受賞日  平成 30年 9月 9日

 竹村 美穂66期 大阪大学薬学部 薬学科 6年学会名  日本薬学会第 139年会課題名  「課題解決型高度医療人材養成プログラム」薬薬学連携

地域医療実務実習(八尾モデル)―エピペン教室の実施により得られる効果と課題点の検討―

受賞の名称  学生優秀発表賞(口頭発表の部)受賞日  平成 31年 4月 23日

 豊田 麻人66期 大阪大学大学院薬学研究科博士 前期課程 2年学会名  日本薬学会第 139年会課題名  心不全病態における細胞骨格系蛋白質の発現変動とその

機能解明受賞の名称  学生優秀発表賞(ポスター発表の部)受賞日  平成 31年 4月 22日

 山本 果奈66期 大阪大学大学院薬学研究科 博士前期課程 2年学会名  次世代を担う創薬・医療薬理シンポジウム 2018

課題名  多発家系患者の iPS分化神経細胞を用いた統合失調症の分子病態解析

受賞の名称  優秀ポスター発表賞受賞日  平成 30年 8月 25日

 笠原 杜大67期 大阪大学薬学部 5年学会名  第 68回日本薬学会近畿支部総会・大会課題名  脂質ナノディスク複合体を用いたシトクロム P450の薬

物結合評価受賞の名称  ポスター賞受賞日  平成 30年 10月 13日

 野崎 夏実67期 大阪大学薬学部 薬学科 5年学会名  第 68回日本薬学会近畿支部総会・大会課題名  9位に異なる電子的性質の置換基を有するフェノキサジ

ン人工核酸の合成と評価受賞の名称  ポスター賞受賞日  平成 30年 10月 13日

 升谷 美月67期 大阪大学大学院薬学研究科 博士前期課程 1年学会名  日本薬学会第 139年会課題名  ファージライブラリ由来 scFv cloneを用いたキメラ抗原

受容体の構造最適化検討受賞の名称  学生優秀発表賞(口頭発表の部)受賞日  平成 31年 4月 23日

 泉沢 航平68期 大阪大学薬学部 4年学会名  日本薬学会第 139年会課題名  非小細胞肺がんにおける EGFR-TKI耐性化機構の解明に

関する研究受賞の名称  学生優秀発表賞(ポスター発表の部)受賞日  平成 31年 4月 22日

Page 28: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

28  大阪大学 薬友会だより 第22号

鳥 羽 由 希 子  博士前期課程1年

目  的:“INTERNATIONAL SOCIETY FOR STEM CELL RESEARCH,

2018 Annual Meeting in Melbourne” でポスター発表を行う。派遣期間:H30.6.18~ H30.6.25

派 遣 先:オーストラリア

根 来 亮 介  博士課程4年

目  的:“INTERNATIONAL SOCIETY FOR STEM CELL RESEARCH,

2018 Annual Meeting in Melbourne” でポスター発表を行う。派遣期間:H30.6.18~ H30.6.25

派 遣 先:オーストラリア

山 下 智 起  博士前期課程1年

目  的:“INTERNATIONAL SOCIETY FOR STEM CELL RESEARCH,

2018 Annual Meeting in Melbourne” でポスター発表を行う。派遣期間:H30.6.18~ H30.6.25

派 遣 先:オーストラリア

秋 山 敏 穀  博士後期課程1年

目  的:“28th International Conference on Organometallic Chemistry” でポスター発表を行う。

派遣期間:H30.7.13~ H30.7.22

派 遣 先:イタリア

吉 岡 祥 平  博士前期課程1年

目  的:“28th International Conference on Organometallic Chemistry” で口頭発表を行う。

派遣期間:H30.7.13~ H30.7.22

派 遣 先:イタリア

松 本 朋 子  博士前期課程2年

目  的:“78th FIP World Congress of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences”でポスター発表を行う。

派遣期間:H30.8.31~ H30.9.8

派 遣 先:イギリス

松 本 浩 太 朗  博士後期課程3年

目  的:“American Heart Association Scientific sessions 2018” において、研究成果を口頭発表する。

派遣期間:H30.11.9~ H30.11.14

派 遣 先:アメリカ

大 野 祥 平  博士後期課程2年

目  的:“257th ACS National Meeting” に参加し、これまでに得られた研究成果をポスター発表する。

派遣期間:H31.3.30~ H31.4.6

派 遣 先:アメリカ

加 藤 結 女  博士前期課程2年

目  的:“2nd Epigenetics and Bioengineering Conference (EpiBio 2018)”でのポスター発表を行う。

派遣期間:H30.10.3~ H30.10.8

派 遣 先:アメリカ

森 七 海  薬学科6年生

目  的:“19th International Conference on Medicinal Chemistry & Multi

Targeted Drug Delivery” でのポスター発表を行う。派遣期間:H30.11.4~ H30.11.9

派 遣 先:アメリカ

笹 野 真 紀  博士後期課程3年

目  的:“The American Heart Association’s Scientific Sessions” での

ポスター発表を行う。派遣期間:H30.11.11~ H30.11.14

派 遣 先:アメリカ

清 水 瑠 加  薬学科5年生

目  的:アリゾナ大学及び、アリゾナ大学付属病院を訪問し、 国際共同研究の為の情報収集し、意見交換を行う。

派遣期間:H31.2.2~ H31.2.8

派 遣 先:アメリカ

高 橋 侑 里  薬学科5年生

目  的:アリゾナ大学及び、アリゾナ大学付属病院を訪問し、 国際共同研究の為の情報収集し、意見交換を行う。

派遣期間:H31.2.2~ H31.2.8

派 遣 先:アメリカ

北 川 響 祐  薬学科5年生

目  的:アリゾナ大学及び、アリゾナ大学付属病院を訪問し、 国際共同研究の為の情報収集し、意見交換を行う。

派遣期間:H31.2.2~ H31.2.8

派 遣 先:アメリカ

竹 村 美 穂  薬学科5年生

目  的:アリゾナ大学及び、アリゾナ大学付属病院を訪問し、 国際共同研究の為の情報収集し、意見交換を行う。

派遣期間:H31.2.2~ H31.2.8

派 遣 先:アメリカ

平成30年度マルホ大学院生等海外派遣平成30年度大阪大学薬学部・大学院薬学研究科海外研修助成制度

「大学院生海外派遣」採択者一覧

Page 29: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  29

終身会費納入者山下 幸祐 (59)金川 峻幸 (63)四尾 康徳 (67)西本 隆志 (67)宮司 渓汰 (68)北原  剛 (69)横田 洸成 (69)泉谷 里奈 (70)加藤  楓 (70)加藤 澄晴 (70)禿  宏保 (70)齊藤茉莉佳 (70)佐藤 航平 (70)杉中 亮太 (70)西鍜治大樹 (70)西田 朱里 (70)野田 雅寛 (70)藤本 柚香 (70)山根 章寛 (70)

荒居 千遥 (71)飯田 眞大 (71)市川 彩夏 (71)馬部 幹大 (71)大塚 奈々 (71)大西二千夏 (71)岡田健太郎 (71)奥村  萌 (71)梶浦 僚太 (71)加藤 大樹 (71)金子 瑞季 (71)久世 春樹 (71)熊谷  陸 (71)児嶋 励央 (71)近藤 優義 (71)田中 千花 (71)中原 佳苗 (71)野木 隼輔 (71)野崎 志帆 (71)

橋本壮一郎 (71)馬場 太陽 (71)林井  章 (71)平尾 栞奈 (71)廣田 真衣 (71)藤本 梨花 (71)細美友里瑛 (71)馬渕はづき (71)水谷 祐輔 (71)水野 花鈴 (71)宮川 水来 (71)安田 颯志 (71)山口 祐亮 (71)山﨑 詩織 (71)山本有希子 (院 51)植田 哲嗣 (院 53)根来 亮介 (院 63)岡田 佳那 (院 65)孫  靖凱 (院 65)

山岸 亜美 (院 65)上町  昊 (院 66)許  鄒蘭 (院 66)Ramon Francisco Bernardino Avena

(院 66)乾  純平 (院 67)乾  達也 (院 67)緒方  開 (院 67)各務 雄基 (院 67)杉山綾里紗 (院 67)鈴木 晴菜 (院 67)永野 雅之 (院 67)長町 萌香 (院 67)平戸 祐充 (院 67)矢倉 泰雄 (院 67)中島 輝恵 (終身会費納入済)

寄付納入者辻本清日出 (1)稲津 邦平 (2)今村 俊三 (2)小村 典子 (3)武田 嘉子 (7)西島 真森 (7)川端 常樹 (8)藤井 悦子 (9)萬年 成泰 (9)南  郁子 (9)川路 晴子 (10)

眞弓 邦子 (12)眞弓 忠範 (12)谷野 勝則 (14)中西 信子 (14)山路  昭 (14)相坂  晄 (16)青山 清美 (16)岩田 悦子 (16)五十嵐理慧 (17)植木 明廣 (17)宇野 貞子 (17)

北澤 恵子 (17)田村 光代 (17)吉田 和子 (17)北川  好 (18)神杉 和男 (19)米田眞理子 (20)垣内 信子 (22)今西 一郎 (25)西畑 洋子 (26)竹本 靖子 (35)松井 裕大 (69)

山崎 太輔 (70)溝口  正 (院 6)国友  勝 (院 13)布施 晴子 (院 20)久保田晴久 (院 22)牟   宇 (院 44)丸川 貴史 (院 53)北尾 達哉 (院 54)

薬友会では 48期生以降については終身会費制※をとっていますが、それ以前の卒業生には、会費に代わってご寄付

をいただくことにしております。下記の一覧は 2018年 5月 1日より 2019年 4月 30日の間に終身会費とご寄付をい

ただいた方です。ご寄付いただいた会員諸兄姉にお礼申し上げます。また、終身会費をこれまで支払われていない方

は、この機会に是非お納めください。

※終身会費は、48期生(2000年の春に学部卒業または大学院入学)以降の会員に、入会時にお支払い頂いております。

6期生有志の皆様から薬学部へご寄付をいただきました。

Page 30: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

30  大阪大学 薬友会だより 第22号

令和元年度 卒後研修会のご案内

薬学部 6 年制教育がスタートし、薬学部出身者に寄せられる期待は益々大きくなってきております。 本研修会では薬学関係者として各方面で活躍しておられる卒業生に、最先端の医薬・医療情報を提供することを目的としております。 多数ご参加賜りますようお願い申し上げます。

〈会 場〉 大阪大学中之島センター http://www.onc.osaka-u.ac.jp/     大阪市北区中之島 4-3-53(旧医学部跡地 Tel. 06-6444-2100)〈参加費〉 無 料(参加申し込みは必要ありません。当日、直接会場までお越しください。)     ※日本薬剤師研修センター認定集合研修 1単位(第 1,3,5,6,7,8 回)/ 2単位(第 2,4 回)     ※大阪府病院薬剤師会認定集合研修   1単位     ※大阪府薬剤師会薬剤師生涯教育認定研修(認定ご希望の方は IC チップ内蔵の薬剤師章をご持参ください)

令和元年度 年間予定表  テーマ:基礎から臨床まで薬物治療の最前線

回 日 時 講 師 演 題 会 場

16月23日(日)

14時~16時岡本 禎晃 先生

(市立芦屋病院薬剤部)薬物治療の最前線(緩和医療) 703号室

27月28日(日)

14時~17時岡本 禎晃 先生

(市立芦屋病院薬剤部)症例検討(緩和症例への対応) 703号室

38月17日(土)

14時~16時藤澤 智巳 先生

(堺市立総合医療センター)薬物治療の最前線(糖尿病治療) 703号室

49月14日(土)

14時~17時藤澤 智巳 先生

(堺市立総合医療センター)症例検討(糖尿病症例への対応) 703号室

510月12日(土)

14時~16時

仁木 一順 先生上田 幹子 先生

(大阪大学大学院薬学研究科)

高齢者に対するケア ~ポリファーマシー・非薬物療法を大学の立場から考える~ 薬学から “おくすりを飲む” を考える

507号室

611月2日(土)

14時~16時

朝野 和典 先生(大阪大学医学部附属病院 感染制御部)

感染症治療の最前線 507号室

71月25日(土)

14時~16時

工藤 喬 先生(大阪大学キャンパスライフ 健康支援センター)

認知症の疾患修飾薬と症状改善薬 703号室

82月22日(土)

14時~16時宮下 洋平 先生

(大阪大学医学系研究科法医学教室)最近の心疾患薬物治療 703号室

※なお、都合により会場が変更になる場合があります。必ず、大阪大学薬友会ホームページにて最新情報をご確認の上、ご参集下さい。http://www.phs.osaka-u.ac.jp/homepage/yaku/sotugo/sotugo-index.html

Page 31: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学 薬友会だより 第22号  31

平成30年度 卒業者の進路

卒業者総数 進 学 企 業 病 院 官公庁 教 育 その他薬科学科 49 46 1 0 0 0 2

薬 学 科 27 2 16 5 1 0 3

博士前期 73 20 46 0 0 0 7

博士後期 15 0 10 1 0 3 1

博  士 4 0 0 1 0 2 1

平成31年度薬学部および薬学研究科学生在籍数(令和元年5月1日現在)

薬学部定員 1年生 2年生 3年生 4年生 5年生 6年生 計

薬科学科(4年制) 165 65 56 68 189

薬 学 科(6年制) 205 85 27 27 28 23 27 217

計 370 85 92 83 96 23 27 406

薬学研究科修士課程(博士前期) 博士課程(博士後期) 研究生

定員 1年生 2年生 計 定員 1年生 2年生 3年生 4年生 計 学部 大学院創成薬学専攻 150 70 77 147 60 29 18 25 72 3 3

医療薬学専攻 40 7 2 1 3 13

計 150 70 77 147 100 36 20 26 3 85

薬友会だよりに掲載したい原稿がございましたら、辻川和丈(e-mail: [email protected])までお送りください。

薬友会役員名簿任期:2018.4.1 ~ 2022.3.31(但し、幹事長/会計/広報/研修/共催交流事業/各担当幹事は 2020.3.31 まで)

会   長 萬年成泰( 9)

副 会 長 鶴田康則(16) 馬場明道(17) 北澤恵子(17) 西川 修(21) 戸谷治雅(23)

理   事 大杉義征(15) 鍋島俊隆(16) 植木明広(17) 佐伯とも子(18) 向井睦子(18) 岡部 勝(19) 山村倫子(20) 米田真理子(20) 河合裕一(22) 春田純一(23) 八木清仁(24) 糟谷史代(25) 池渕佐知子(27) 池田かおり(32) 広川美視(35) 宇都口直樹(38) 鈴木信孝(39) 南  敬(41) 紀平哲也(41) 角田慎一(42) 鎌田春彦(43) 形山和史(47)

役付き理事 庶務担当:広川美視(35) 角田慎一(42) 会計担当: 近藤昌夫(42) 吉田卓也(特別)

吉岡靖雄(47) 東阪和馬(57) 名簿担当:伊藤浩介(57) 廣部祥子(58) 広報担当:吉田徳幸(56) 研修担当:鍋師裕美(院 55) 共催交流事業担当:鎌田春彦(43) 清水かほり(院 58)

幹 事 長 土井健史(27)

幹   事 庶務担当:近藤昌夫(42) 会計担当:堤 康央(39) 名簿担当:小比賀聡(38) 広報担当:辻川和丈(院 30) 研修担当:平田收正(院 30) 共催交流事業担当:水口裕之(39)

平 幹 事 薬学研究科専任教授全員

監   事 森岡茂夫(17)

監   事 藤岡弘道(23)

最 高 顧 問 近藤雅臣( 2)

名 誉 顧 問 眞弓忠範(12)

名 誉 理 事 抱 忠男( 2)  藤井正美( 2)  松本光雄( 2) 岩田宙造( 6)  奥田順三( 9)  西原 力(12) 田中慶一(13)  山下治夫(13)

( )内の数字は期数

Page 32: 大阪大学 薬友会だより 第22号 - Osaka University...大阪大学 薬友会だより 第22号 1 今年は、大阪大学薬学部の創設70 周年にあたりま す。そのために、色々な行事が予定されておりますが

大阪大学薬学研究科主催

Pharmaceutical Research Professionalコース医薬品開発のためのモジュール単位のコース平成 29 年度より医薬品開発のグローバル人材育成を目指した PRP コースを大阪大学薬学研究科主催で実施しています。平成 31 年度のプログラム詳細については順次大阪大学薬学研究科ホームページにアップする予定です。

開催場所 大阪会場:大阪大学中之島センター   東京会場:日本橋ライフサイエンスビル

受 講 料 7万円/ モジュール 各モジュール毎に受講生募集  アカデミア価格あり➡ 要問合わせ

コースに関する お問い合わせ

〒530-0005 大阪市北区中之島 4-3-53大阪大学薬学研究科 PRPコース事務局(一般社団法人 臨床医工情報学コンソーシアム関西内)E-mail: [email protected]

各モジュールの講義概要 (講義日は変更になる可能性があります)

1 医薬品の臨床評価の過程:入門� 講義予定日:6/8、6/15、6/22、6/29臨床試験の方法論を中心として、医薬品の臨床評価がどのような段階を経て、どのように行われるかを理解する。医薬品の臨床評価の過程は一般に、第Ⅰ相から第Ⅳ相の四つの相に分けられ、医薬品の「有効性の確認」と「安全性の評価」を最終的な目的として「臨床試験の連鎖」で成りたっている。臨床試験の目的は、あらゆる科学の実験の目的と同様に、妥当で一般化のできる、また効率よく得られた情報を提供することである。本講義で、臨床試験の方法とそれに纏わる諸種の問題を中心として、医薬品の臨床評価過程を体系的に概説する。

2 医薬品の開発計画� 講義予定日:7/6、7/20、7/27、8/3医薬品がどのような過程を経て開発されるかの全体像を、創薬、製剤化研究、薬理実験、毒性実験、および臨床開発、市販後の安全性監視の観点から理解することを目的とする。創薬の方法論、品質評価と規格の設定および非臨床試験の概要、ならびに、医薬品の臨床開発の戦略的な進め方に必要な、試験デザイン、用量反応情報の収集と評価、多地域試験、国際共同試験、グローバル開発の方法を紹介する。

3 医薬品開発における臨床薬理学の基礎� 講義予定日:8/31、9/7、9/28、10/5医薬品の臨床開発における臨床薬理学の概念 ・ 役割 ・ 意義を理解することを目的とする。医薬品の臨床開発における、薬理作用、薬物動態、医薬品の適正使用、ゲノム解析などについて概説する。

4 臨床試験デザインの基礎� 講義予定日:10/19、10/26、11/9、11/16臨床研究あるいは臨床試験を倫理的かつ科学的妥当性を確保しつつ実施するために必要な比較研究の方法を、医薬品の臨床試験の計画、実施、解析および報告における、統計的原則を中心にすえて解説する。講義では医薬品の臨床試験の方法を中心に述べる。

5 医薬品の規制と審査� 講義予定日:11/30、12/7、12/14、12/21臨床研究および医薬品の新薬承認審査の過程および関連する法律 ・ ガイドラインを体系的に理解することを目的とする。臨床研究および医薬品開発に関連する法律 ・ ガイドラインを概説した上で、医薬品審査の過程や市販後評価などで留意すべき論点 ・ 問題点を個別に紹介する。

6 医薬品ライフサイクルマネジメント� 講義予定日:1/18、1/25、2/1、2/8現在の医薬品の開発には、医療市場を分析した戦略的な開発計画が不可欠である。特に医薬品の上市後(市販後)にはいかにその製品の価値を高め育てていく(育薬)ことは、医療経済の面からも今後さらに重要視されると考えられる。本講義では、医療市場の分析および医薬品のライフサイクルマネジメント(LCM)など育薬の概念とその計画 ・ 実践の構成要素についての理解を目的とする。

※各モジュールは、それぞれ 90 分講義、16 回(土曜 4 日間コース)で構成されています。※各モジュールの申し込み期限は、各モジュール開始日の2週間前までです。

講義タイトル・講師名・申込に関してはこちらをご覧ください。

皆様の受講申し込みをお待ちしております。

PRPコース

産官学からの多彩な講師陣の講義による国際標準化されたカリキュラムにて、医薬品開発:創薬、臨床開発から市販後まで網羅した包括的な教育内容を提供。

社会人にも対応した土曜日に開催されるコース日程、大阪と東京2会場で受講可能(両会場を TV 会議システムで同時中継)。

大阪大学薬学研究科 PRP コースとして、大阪大学からの修了証も発行されます(発行手数料は無料で、要件を満たした方に郵送いたします)。