e ± 3 Q = Llabo-w/2017_01.pdf · Q, É f { X É 3 ª ¯ 3 V ¥ Z ¥ h e ± ì Î Q R J * . < â -...

17
結核菌を捕まえろ!! どこまでわかる結核検査 ~細菌検査編~ 北海道大学病院 検査・輸血部 細菌検査室 岩崎 澄央

Transcript of e ± 3 Q = Llabo-w/2017_01.pdf · Q, É f { X É 3 ª ¯ 3 V ¥ Z ¥ h e ± ì Î Q R J * . < â -...

結核菌を捕まえろ!!どこまでわかる結核検査

~細菌検査編~北海道大学病院 検査・輸血部 細菌検査室

岩崎 澄央

結核⇒結核菌による感染症

結核による感染を証明ー血液学的検査

結核菌の増殖(発病)を証明ー細菌学的検査

昔かかったことがある…?

今体の中で結核菌が増えている!!

結核感染 結核発病

一次結核(5%未満)

結核菌保菌内因性再燃二次結核(約5%)

発病しない

治療 治癒咳、倦怠感、痰、血痰、微熱

臨床症状、レントゲン検査、CT検査、結核菌検査、病理検査

IGRA検査(ツベルクリン検査)

結核の診断に必要な検査

• 結核が疑われるとX線検査、CT検査、IGRA検査、結核菌検査を行う

• X線や細菌検査は結核を発病しているかの検査• IGRAはまだ発病していない感染も検査できる

INH、RFP、EB、PZA2ヶ月

+ INH、RFP 4ヶ月

結核菌とは

莢膜

線毛

核様物質

細胞質膜細胞壁

細胞質

鞭毛

分厚い脂肪層(主成分:ミコール酸)

・酸・アルカリに対する抵抗性・塩素系消毒薬、逆性せっけんなどに対する抵抗性・乾燥などの環境変化への耐性・一般細菌感染に使われる抗結核薬以外の抗生物質に対する抵抗性

一般細菌 結核菌

結核は飛沫核(空気)感染!飛沫

直径5μm以上落下速度30~80cm/secすぐに床面に落下

飛沫核

蒸発

直径5μm未満落下速度0.06~1.5cm/sec⾧時間、空中を浮遊

結核、麻疹(はしか)、水痘(水ぼうそう)などが飛沫核(空気)感染を引き起こす

黄色ブドウ球菌、大腸菌

インフルエンザ

結核

空気感染を予防するには…通常の(サージカル)マスクでは結核菌の空気感染は防御できない…(患者からの飛沫は抑えられる)

微粒子用マスク(N95マスク)を着用する必要がある!!(結核患者さんと接する医療従事者は必須!)

細菌検査の様子

安全キャビネット

N95マスク

細菌検査1.培地を使って菌を増やして(培養)、菌の種類(菌種)を決定する

2.検体(喀痰、尿、便など)を染色して顕微鏡で観察し、菌がいるか調べる

3.目的とする菌の遺伝子が存在するか調べる

ー培養検査

ー塗抹検査

ー遺伝子検査

細菌検査の流れ

遺伝子検査

塗抹検査

検体提出

抗酸菌前処理法

培養検査

培養陽性同定検査※

薬剤感受性検査※

培養検査

培養陰性

4~5時間

1~2時間

培養検査だと時間がかかりすぎるので、塗抹検査や遺伝子検査を併用する

最大8週間

培養検査培養検査• 培地を使って菌を増やして(培養)、菌の種類(菌種)を決定する

培地ー細菌が増殖しやすい栄養素を含んだもの(寒天培地、液体培地)

検体(主に喀痰)が提出

培地に塗る

※前処理ー菌を集めたり、結核菌以外の菌を殺す処理

前処理※

培養

最大8週間

培養検査

• 塗抹検査よりも感度が高い• 効果のある薬剤がわかる(薬剤感受性検査)• 菌の種類がわかる(同定検査)• 結果が出るまで数週間かかる

培養検査

大腸菌ー17分結核菌ー792~932分

世代時間(菌が一回分裂するまでの時間)

塗抹検査

2.検体(喀痰、尿、便など)を染色して顕微鏡で観察し、菌がいるか調べる

塗抹検査

結核菌? 他の抗酸菌?

塗抹検査陽性⇒排菌している⇒他の人にうつす可能性!!

染色⇒観察まで1~2時間

塗抹検査

• 短時間で結果が得られる• 治療効果判定に有効• 結核菌かどうかの鑑別は困難• 一定以上の菌量が必要

塗抹検査

結核菌? 他の抗酸菌?

塗抹検査陽性⇒排菌している⇒他の人にうつす可能性!!

遺伝子検査3.目的とする菌の遺伝子が存在するか調べる

遺伝子検査

遺伝子抽出

PCR反応

結核菌の遺伝子を増やす

抽出⇒反応終了まで4~5時間

遺伝子検査

• 短時間で結果がわかる• 結核菌かどうかがわかる• 一定以上の菌量が必要• 死菌※かどうかの区別がつかない

遺伝子検査

耐性遺伝子(薬が効かない原因)の検出もできる!!

※死菌…過去に感染した残骸

細菌検査でわかること

• 喀痰や胃液から結核菌が検出

• 排菌の可能性

• 「他人に感染するような形で呼気から排出していること」の証明

時間がかかったり、判断が難しいものがあるので、色々な検査を組み合わせて考える

結核菌をつかまえるために• 診断が遅れると、周りの人にも感染させてしまう危険性があります。

• 結核の診断には結核菌を培養で証明するのが一番ですが、時間がかかりすぎるので、血液検査、遺伝子検査など、いろいろな方法で結核菌を探しています。

少しでも早く診断、治療を行うために適切な検査を受けることはとても大切です!!