治療の希望~治療~退院後の流れ - Kanazawa...

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Klinik und Poliklinik für Nuklearmedizin www: http://www.nuklearmedizin.uk-wuerzburg.de Lu-177/Y-90-DOTATATEを用いたペ プチド放射線受容体療法(PRRT)の御案 放射線ソマトスタチン受容体療法について 当療法は 神経内分泌腫瘍(NET) * などソマトスタチン受容 体を発現した腫瘍を対象とした治療法です。ヨーロッパでは 学会のガイドラインにもとづいて、標準的に行われている治 療法ですが、現在 * 日本では行う事が困難な治療法です。 * 神経内分泌組織は、多くの器官、例えば胃、腸、唾液腺や肺 など、人体に広く存在します。神経内分泌という表現からもわか るように、神経細胞とも似た性質を持つ一方、ホルモンを産生 できることも特徴です。 この神経内分泌組織から発生する悪性腫瘍が、神経内分泌腫 瘍です。 *2014年5月時点 どのような放射性医薬品が使用され、 どのように作用するのでしょうか。 DOTATATEというタンパク分子に、放射性のあるルテシウム 177(Lu-177) を結合させて、静脈内に注射します。 神経内分泌腫瘍は、細胞の表面にソマトスタチンが結合する ソマトスタチン受容体を持っています。 ソマトスタチンと同じ物質と認識されるDOTATATEが、腫瘍細 胞のソマトスタチン受容体に結合すると、Lu-177からのβ線も しくは他の放射線核種によって、腫瘍を消滅させます。Lu-17 7は、放射線の飛ぶ距離が短く、放射線が早く無くなるという 特徴を持つため、本治療に適しています。 当療法の適否と安全性を確認するための検査 (事前に日本で検査を受けていただきます) ! 渡航の体力負担に耐えうる体力があり、安定している。 ! ガリウム68(Ga-68)-DOTATATE PET/CT(又はオクトレ オチドSPECT)という検査を事前に行い、DOTATATE療 法が可能であるかを検査します。 ! 腎機能への安全性を調べるため、腎シンチグラム検査 を行います。 ! 血液検査:末梢血、肝機能、腎機能など ※本治療にかかる費用は、事前検査も含め全て自己負担とな る見込みです。御不明な点はお問い合わせください。 ※ソマトスタチンアナログ製剤(サンドスタチン)の投与を6週 間前までに中止しなければなりません。 腫瘍細胞 ソマトスタチン受容体 ソマトスタチンがソマト スタチン受容体に結合 している ソマトスタチン 神経内分泌腫瘍 DOTATATE治療 DOTATATEがソマトスタ チン受容体に結合し、 腫瘍を攻撃 DOTATATE Lu-177 治療の希望~治療~退院後の流れ 主治医または患者様より治療・御相談の御希望があれば 、日本の提携核医学担当医を御紹介いたします。 日本の提携核医学担当医のいる病院にて、事前検査を受 けていただきます。事前検査の結果を鑑みて、Würzburg 大学病院と日本の提携核医学担当医で病態を確認し、本 治療の予定を立てます。 治療時期を決定いたします。 患者様の渡独後、 Würzburg大学病院で入院~治療~退院 退院後約14日頃に、事前検査を行った日本の病院にて事 後検査を受けていただきます。 Würzburg大学病院および事前検査を行った日本の病院 から、主治医へ治療報告と事後検査結果をお返しします。 ※主治医のもとで、患者様のアフターケアをお願いいたします。 画像読影室 病室ベットでの様子

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Page 1: 治療の希望~治療~退院後の流れ - Kanazawa …nucmed.w3.kanazawa-u.ac.jp/manage/kcfinder/upload/files/...Lu-177 治療の希望~治療~退院後の流れ ① 主治医または患者様より治療・御相談の御希望があれば

Klinik und Poliklinik für Nuklearmedizin www: http://www.nuklearmedizin.uk-wuerzburg.de

Lu-177/Y-90-DOTATATEを用いたペプチド放射線受容体療法(PRRT)の御案内�

放射線ソマトスタチン受容体療法について

当療法は 神経内分泌腫瘍(NET) * などソマトスタチン受容

体を発現した腫瘍を対象とした治療法です。ヨーロッパでは学会のガイドラインにもとづいて、標準的に行われている治療法ですが、現在

*日本では行う事が困難な治療法です。

*神経内分泌組織は、多くの器官、例えば胃、腸、唾液腺や肺など、人体に広く存在します。神経内分泌という表現からもわか

るように、神経細胞とも似た性質を持つ一方、ホルモンを産生できることも特徴です。 この神経内分泌組織から発生する悪性腫瘍が、神経内分泌腫

瘍です。 *2014年5月時点

どのような放射性医薬品が使用され、 どのように作用するのでしょうか。

DOTATATEというタンパク分子に、放射性のあるルテシウム177(Lu-177) を結合させて、静脈内に注射します。神経内分泌腫瘍は、細胞の表面にソマトスタチンが結合するソマトスタチン受容体を持っています。ソマトスタチンと同じ物質と認識されるDOTATATEが、腫瘍細胞のソマトスタチン受容体に結合すると、Lu-177からのβ線もしくは他の放射線核種によって、腫瘍を消滅させます。Lu-177は、放射線の飛ぶ距離が短く、放射線が早く無くなるという特徴を持つため、本治療に適しています。

当療法の適否と安全性を確認するための検査 (事前に日本で検査を受けていただきます)

!   渡航の体力負担に耐えうる体力があり、安定している。 !  ガリウム68(Ga-68)-DOTATATE PET/CT(又はオクトレ

オチドSPECT)という検査を事前に行い、DOTATATE療法が可能であるかを検査します。

!   腎機能への安全性を調べるため、腎シンチグラム検査を行います。

!   血液検査:末梢血、肝機能、腎機能など ※本治療にかかる費用は、事前検査も含め全て自己負担となる見込みです。御不明な点はお問い合わせください。 ※ソマトスタチンアナログ製剤(サンドスタチン)の投与を6週間前までに中止しなければなりません。

腫瘍細胞

ソマトスタチン受容体

ソマトスタチンがソマトスタチン受容体に結合

している

ソマトスタチン

神経内分泌腫瘍 DOTATATE治療

DOTATATEがソマトスタチン受容体に結合し、

腫瘍を攻撃

DOTATATE

Lu-177

治療の希望~治療~退院後の流れ

①  主治医または患者様より治療・御相談の御希望があれば、日本の提携核医学担当医を御紹介いたします。

                   ↓ ②  日本の提携核医学担当医のいる病院にて、事前検査を受

けていただきます。事前検査の結果を鑑みて、Würzburg大学病院と日本の提携核医学担当医で病態を確認し、本治療の予定を立てます。

                   ↓ ③  治療時期を決定いたします。                    ↓ ④  患者様の渡独後、 Würzburg大学病院で入院~治療~退院                    ↓ ⑤  退院後約14日頃に、事前検査を行った日本の病院にて事

後検査を受けていただきます。                    ↓ ⑥  Würzburg大学病院および事前検査を行った日本の病院

から、主治医へ治療報告と事後検査結果をお返しします。 ※主治医のもとで、患者様のアフターケアをお願いいたします。

画像読影室 病室ベットでの様子

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入院

!  入院は原則5日間の予定です。    (通常、水曜日に入院し、翌週の月曜日に退院となります)    ただし、治療後少なくとも2日以上経過し、体内の放射線量が     法で定められた限界値を下回れば退院することもできます。  !  検査開始後24時間は病棟から出ることはできません。    ただし、病室付属のテラスや管理区域内の庭にはいつでも    出ることができます。  !  2日目からは病棟から出ることができます。    例えばお見舞いの方とカフェテリアを利用することも可能で    す。  ! 医師の判断のもと、入院中の小児と御家族は同室にて滞在   することも可能です。  

日本人のスタッフ

Würzburg大学には、日本核医学会専門医を含め、日本人の常勤スタッフが数名おります。担当医はドイツの医師免許を持ったドイツ人医師ですが、説明の際も日本語でのサポートが受けられます。

バイエルン州立ビュルツブルグ大学 ( Julius-Maximilians-Universität Würzburg )

ビュルツブルグは古くからキリスト教大司教の支配する都市として栄え、大きな教会や世界遺産でもある宮殿 レジデンツ、マリエンベルク要塞などがあります。また、ドイツ屈指の観光ルートであるロマンチック街道の起点としても有名で、古き良き景観を今に引き継ぐ美しい町です。 ビュルツブルグ大学は、1402年に創立された大変歴史のある大学で、ヴィルヘルム・コンラート・レントゲンがビュルツブルグ大学でレントゲンを発見したことでも有名です。それ以来、特に放射線科は世界屈指の歴史と実績を積み上げ、最先端の環境と豊富な経験により、国内のみならず、世界中からその最新の治療を求めて患者様が多数来院されています。

Würzburg大学病院  核医学科/心不全センター  分子細胞イメージング担当教授      樋口 隆弘 (日本核医学会専門医)   Tel : +49 - 93120135455     E-mail: [email protected]

※本治療を御希望の場合には、まずは、当院にて、当治療の適応検査を受けていただきます。 �

治療

!  通常治療の1日前に入院し、当治療の適応について、最終確     認を行います。  !  治療当日は、吐き気止めと胃の制酸剤を受け取り、    治療開始30分前に、腎臓を保護する注射をします。  !  本治療(放射性薬剤の静脈内注射)には20分程かかります。  !  腫瘍に結合しなかった不要な放射性物質をできるだけ早く    排泄し、腎への負担を避けるため、十分な水分を摂取します。  !  治療の約1時間後、全身のシンチグラムの撮影を行います。    (シンチグラムは入院中何度か実施されます。)  !  病室で定期的に体内の放射線量が計測されます。  

"   天井に、身体の放射線量を測る装置が設置されて いますので、測定の際はベッドで横になります。  

"   計測は毎朝晩8時に行われます。  !  退院の日は、朝8時に放射線量の測定を行い、引き続き、最後の     全身シンチグラム検査を行います。その後、核医学科医師の回     診、説明が行われます。  !  最後に、入院中に着用した下着・パジャマ・靴下等に、多量の放    射性物質が付着していないかのチェックを行い、退院となります。  

! 最寄りの空港はフランクフルト空港で、フランクフルト空港   からWürzburg中央駅(Hautpbahnhof)までは、   高速列車ICE(Intercity-Express)で約1時間です。 !  Hautpbahnhofから病院までは、タクシーで約10分です。   又は、トラムに約5分乗車後、徒歩10分程度です。

アクセス

御問合せ先 各病室にガラス張りのテラスがあります。管理区域内に庭もあります。

病室 テラスと庭の外観 PETの様子 病室での話会いの様子

ドイツ連邦共和国  

日本からフランクフルト空港まで直行便で約12時間  

フランクフルト空港  

ビュルツブルグ  

高速列車約1時間