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経営基盤強化のための

経営基盤強化のための

建設業における組織再編・事業再編について

2004. 1.30(金)

14:00~16:30

(社)沖縄県建設業協会

(財)建設業振興基金

公認会計士・税理士

井村 登

TEL 06(6944)3924

FAX 06(6944)5924

E-mail [email protected]

目  次

1.建設投資と建設業就業者数(ハイライト)…………………………………P 2

2.建設産業での再編の必要性…………・……………………………………・P 3

3.会社再編及び会社整理の区分と法的手法…………………………・・……P 4

4.法的手法の主な改正…………………・……………………………………・P 4

5.各再編手法とその主な特徴…………………………………………………P 5

6.合併と持株会社の比較………………………………………………………P 7

7.企業組織再編手法のイメージ図……………………………………………P 7

8.各会社整理手法とその主な特徴……………………………………………P 8

9.組織再編と税制………………………………………………………………P 9

10.債務超過の会社の合併について他…………………………………………P14

11.組織再編と労務………………………………………………………………P16

12.再生・再編に向けた国交省基本指針及び組織再編と建設産業制度の状況…・・P18

13.給付金・助成金の主な制度と窓口紹介等…………………………………P20

14.組織再編・整理のまとめ(フローチャート)………………………………P22

15.各建設業協会等の取組紹介…………………………………………………P23

16.参考図書等……………………………………………………………………P24

17.質疑応答………………………………………………………………………P24

18.個別事例相談 他…………………………………………・…………………P24

1.建設投資と建設業就業者数(ハイライト)

年度

投資・雇用等

S55

S63

H4

H9

H12

H13

H14

投資額(兆円)

民間

29.9

43.3

51.7

42.2

36.2

33.0

31.6

公共

19.6

23.4

32.3

33

30.0

27.8

25.0

49.5

66.7

84

75.2

66.1

60.8

56.6

(対S63年度比 兆円)

(17.3)

( 8.5)

(▲0.6)

(▲5.9)

(▲10.1)

( 同上    % )

(126)

(113)

( 99)

( 91)

( 85)

(対H 4年度比 兆円)

(▲8.5)

(▲17.9)

(▲23.2)

(▲27.4)

( 同上    % )

( 89)

( 79)

( 72)

( 67)

許可業者数(万)

51.0

52.2

56.5

60.1

58.6

57.1

(対H 4年度比 %)

(108)

(115)

(112)

(109)

建設業就業者数(万人)

548

560

619

685

653

632

618

(対S63年度比 万人)

59

125

93

72

58

( 同上    % )

(111)

(122)

(117)

(113)

(110)

(対H 4年度比 万人)

66

34

13

-1

( 同上    % )

(111)

(105)

(102)

(100)

全産業に占める建設就業者(%)

( 9.6)

( 10.4)

( 10.1)

( 9.9)

( 9.8)

企業倒産状況

全産業に占める建設業(金額%)

( 17.1)

( 6.1)

( 12.5)

( 18.1)

資料:労働力調査(総務省)・建設投資見通し(国土交通省)H13.H14は見込値

全国許可業者数調べ(国土交通省)

2.建設産業での再編の必要性

環境の激変

・人口問題

全般的減少によるキャパシティの不要化(全産業)

少子高齢化による新規住宅需要の減少・人口減での公共資本の縮少(建設業)

・国際化

産業空洞化による国内投資の減少

・財政

財政悪化による公共投資の減少

経審改正の方向

・キャッシュ・フローの導入

・有利子負債の企業評価へ反映

・自己資本関係のウエート大

財務・労務リストラ等個別企業での対応限界

企業

個別企業での枠組みを超えてさまざまな形での再編が不可避(選択と集中)

行政

・基本的には市場を通じた淘汰で供給過剰の解消

・組織再編の法的環境整備

・建設産業制度の強化によるインセンティブ付与

3.会社再編及び会社整理の区分と法的手法

区分

法的手法

環境適応・活性化

会社再編

集中型

合併

株式交換

株式移転

営業譲受

分散型

会社分割

営業譲渡

会社整理

再建型

会社更生法

セフティーネット

民事再生法

会社整理(商法)

産業再生法

清算型

清算(商法)

特別清算(商法)

破産法

4.法的手法の主な改正

改正時期

法制

主な内容

再編

再建・整理

平成9年5月

商法改正

合併手続の簡素化

平成9年6月

独禁法改正

原則持株会社の解禁

平成11年6月

商法改正

株式交換・株式移転

平成11年10月

産業再生法

法制・税制の支援時限立法(~H20.3)

平成12年4月

税制改正

株式交換・株式移転

税制整備

平成12年4月

民事再生法

旧和議法より民事再生法へ

平成12年5月

商法改正

会社分割

平成13年4月

税制改正

組織再編税制整備

平成15年4月

会社更生法

全面改正

平成15年5月

税制改正

連結納税制度

(H15/3期より)

5.各再編手法とその主な特徴

手法

特徴

合併

株式交換

株式移転

会社分割

営業譲渡(譲受)

法的行為の意味

法人格の違う2社以上が一緒になって1つの法人を作る手法(集中)

100%子会社創出手法

(集中)

持株会社創出手法

(集中)

営業等分社手法

(分散)(集中)

営業の全部又は一部の他社への譲渡手法(分散)(集中)

モデル

(1)吸収分割

(2)新設合併

(1)新設分割

(2)吸収分割

従来手法

・甲・乙合併し、新設乙社に旧乙社資産負債の現物出資する。

(総会・検査役選任・流通諸税等手間とコスト)

・甲社が株主Bより乙社株式の買取る。

(甲社に資金、株主Bに課税問題)

・甲・乙・丙を新設合併し丁社を設立後、旧甲・乙・丙資産・負債を又新設甲・乙・丙社へ現物出資し、丁社を「ぬけがら」持株会社とする。

・法的手続、流通諸税の負担

・分離事業の現物出資分社手法があるがこの株式を株主Aに配当する手法(分割)がなかった。

メリット

・資産負債の包括的承継で個別手続不要

・甲社で資金不要(自己株式手当も可)

・法人間契約で強制的に全ての株主を拘束可

・株式発行以外の流通諸税不要

・債権者保護手続不要

・株式交換と同じ

・営業の包括的移転のため個別手続不要

・検査役の調査不要

・ターゲットを絞った営業のみ譲り受けれる

・簿外債務の引き継ぎ心配がない

デメリット

・包括的承継のため簿外負債も承継するリスク

・流通諸税の負担

・総会、債権者保護手続、公正取引委員会届出等手続が煩雑

・常に自社の株価を高め有利な交換比率を確保する必要

・株式交換と同じ

・労働承継法での制約

・資産・負債の個別移転手続が必要

・原則課税で税の繰延手法がない

(時価での譲渡損益)

手法

特徴

合併

株式交換

株式移転

会社分割

営業譲渡(譲受)

利用

・競争力を高めてシェアを拡大

・重機部門・経理・総務・財務等補助・間接部門集約による合理化

・他社救済

・ベンチャー企業、後継者不在企業を売り渡す(消滅会社側)

・ターゲット会社をキャッシュレスで子会社化できる

・ベンチャー企業後継者不在企業を売り渡す(子会社側)

・将来の売却も視野に入れて事業売却より株式売却の方が機動力あり

・最適規模を確保しながらグループとしての組織力を発揮したい

・グループとしての重複部門等のリストラ(株式移転後会社分割の利用)

・丁社(経営の意思決定、財務、総務、重機)

甲社(土木)

乙社(建築)

丙社(不動産)

・経営の効率化(ユーザー接近)

・責任の明確化

・不採算部門の切り離し

・イニシャルコストのカバー(受入側)

・イニシャルコスト(初期投資)を回避する営業戦略(譲受)

・不採算部門の切り離し(譲渡)

その他

・簡易合併制度(一定要件)有

合併法人による合併契約書承認総会省略

被合併法人の合併承認総会省略

・簡易株式交換(一定要件)

完全親会社の株主総会省略

・第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行

(みずほフィナンシャルグループH12.10.1)

・東京三菱銀行・三菱信託銀行・日本信託銀行

(三菱東京フィナンシャルグループH13.4.1)

・三和銀行・東海銀行・東洋信託銀行

(UFJホールディングスH13.4.1)

6.合併と持株会社の比較

合併は「1つの法人」への集中であり、持株会社は「グループ」への集中と考えられます。ともに集中の概念ですが、この2つの経営組織を比較すると一般的には次のような特徴があります。

経営組織

特徴

合併

持株会社

各社独立性の維持

なし

あり

最適規模の確保

なし/あり

あり

規模のメリット

あり

あり(グループを通じて)

コスト

当期費用各種合併関連費用あり

少ない

機動力

なし

あり(ポートフォリオを通じて)

求心力

あり

なし(グループ経営目標の要設定)

※ポートフォリオ…複数の組織を再編し、その組織の効率運用を行なうこと。

7.企業組織再編手法のイメージ図

企業組織再編手法のイメージを示すと下記のとおりです。自社の現状・問題点を正確に把握し、用意された再編手法の中から選択的に採用し、自社の最適組織を入手するというイメージです。

法制(商法)支援

合併

(完全集中)

株式交換

(100%子会社の創出・グループ集中)

株式移転

(持株会社設立・グループ集中)

会社分割

営業譲渡(譲受)

(ダウンサイジング・分散)

(不良部門の切り離し)

(集中、イニシャルコスト回避)

一定要件での課税の繰延

(税法支援)

8.各会社整理手法とその主な特徴

手法

特徴

会社更生法

民事再生法

会社整理

(商法)

産業再生法

清算・特別清算

(商法)

破産法

適用対象

・再建見込の

株式会社

・社会的影響の

大きい大会社

・再建見込の

個人・法人

・中小中心で

大会社も

・継続可能な

株式会社で、

破産より配当

見込大のケース

・計画認定法人

事業再構築計画注1)

共同事業再編計画

経営資源再活用計画

事業革新設備等

導入計画

・継続不可

・債務超過

(特別清算)

・倒産法の基本

・個人は免責

決定入手

経営者と

第三者

原則退陣

(管財人)

存続

(監督委員)

存続

(監督員)

存続

(―)

退陣

(―)

退陣

(―)

法的強制力

(1)租税債権

(2)担保債権

非常に強い

一般と同じ

更生担保債権で

更生手続の中で

強い

優先

独立優先

(但し一定期間の

中止命令可)

弱い

優先

独立優先

弱い

優先

独立優先

弱い

優先

独立優先

議決

・債権額の1/2以上

・更生担保債権は

債権額の3/4以上

出席債権者の1/2超

かつ

1/2以上の

債権額の同意

90%以上の債権者の同意

出席債権者の1/2超

かつ

債権額の3/4

以上の同意

裁判所の破産終結決定

特徴

・不良部門の切り捨て、債権カットで、

主たる事業の再生が可能な場合

・積極的存続

・消極的存続

・税制・金融等支援

・平等配当で原則無配当

・平等配当で

一部配当か

その他

更生・再生見込なし(裁判所判断)

破産移行

(注1)①生産性向上基準

次のいずれかを達成

自己資本の額

当期純利益

(ROE)が2%以上向上

有形固定資産

売上高

(有形固定資産回転率)が5%以上向上

eq \o\ac(○,ハ)従業員1人当りの付加価値額(営業利益+人件費+減価償却費)が6%以上向上

②財務内容健全化基準

次のいずれも達成

(イ)

有利子負債-現預金-有価証券-運転資金(純有利子負債)

≦10%

留保利益+減価償却費+引当金増減(C/F)

(ロ)経常収入>経常支出

9.組織再編と税制

(1)イメージ

商法で各種組織再編手法が用意されていることは、既に述べました。

商法の目的は配当可能利益の制限等債権者保護が中心です。しかし、税法の目的は違います。課税の公平・税収の確保ということです。したがって商法で認められた各種組織再編の中で、税法では課税の繰延べを認める税制適格と課税の繰延べを認めない税制非適格に区分されます。

商法

税法

・企業活性化の技術的手法の提供

・株主保護・債権者保護

・課税の公平・租税回避の防止・税収の確保

組織再編

従来の税制

改正

合併

個々の税法規定

統一的な判断基準

分割

税制適格

組織再編

税制非適格

組織再編

課税の繰延

課税

課税の繰延

課税

強制的に

帳簿価額を引継

移転させた法人において

譲渡損益認識

株式交換・移転

個々規定

個々規定

営業譲渡

原則課税

原則課税

(2)交換・移転の課税繰延要件(税制適格要件)

次の株式交換を例にとって、特定子会社の株主~個人及び法人~の課税繰延(一定部分譲渡なし)要件について説明します。なお、株式移転も基本的に同様です。

<株式交換のイメージ>

(イ)特定子会社の株主(個人:株主B)

以下の2つの要件をすべて満たすことが必要です。

①特定子会社個人株主取得金額以下要件

特定親会社(甲社)の特定子会社(乙社)株式受入価額

≦特定子会社個人株主(株主B)の交換時直前における特定子会社株式(乙社株式)の取得金額相当額(注)

つまり、株主Bの乙社株式取得価額を引き継ぐことで、課税が繰り延べられることとなります。

(以下次頁(ロ)に同じ)

②割当新株価額95%以上要件

イ)割当新株総額

≧割当新株総額+(交付金銭総額+交付資産総額))×95%

これは、株式交換に伴い交付される資産のうち、95%以上が株式の入れ替え(乙株式から甲株式へ)である必要性を意味しています。(以下次頁(ロ)に同じ)

【課税の組合せ】

特定子会社

個人株主取得金額以下要件

×

割当新株価額

95%以上要件

一定部分、譲渡なしとする

全部、譲渡したものとする

×

全部譲渡したものとする

全部、譲渡したものとする

(注)取得価額規定(甲社の乙社株式取得価額)

特定子会社の株主(株主B)の数

50人未満

50人以上

・その個人のその特定子会社株式(乙社株式)の1株当たりの取得価額

(実額)

・特定子会社(乙社)の

1株当たりの簿価純資産価額

(計算値)

課税の繰延を完全にするためには、50人未満にあるように旧株主の株式取得価額(実額)を引き継ぐことを原則としているのですが、株主数が多い(50人以上)ときは実額を調べることが困難なため、便宜的な方法として計算値(1株当りの簿価純資産価額)でよしとする規定です。(以下(ロ)に同じ)

(ロ)特定子会社の株主(法人)

特定子会社の株主が法人の場合でも、以下の2つの要件をすべて満たすことが税制繰延要件となります。

ここでも株式交換で説明しますが、株式移転も基本的に同様です。

①特定子会社法人株主簿価以下要件

特定親会社(甲社)の特定子会社株式(乙社株式)受入価額

≦特定子会社法人株主(株主B法人)の交換時直前における特定子会社株式(乙社株式)の簿価相当額(注)

②割当新株価額95%以上要件

割当新株総額

≧(割当新株総額+ (交付金銭総額+交付資産総額))×95%

【課税の組合せ】

特定子会社

法人株主簿価以下要件

×

割当新株価額

95%以上要件

一定部分、譲渡なしとする

×

全部譲渡したものとする

全部、譲渡したものとする

(注)簿価相当額(甲社が乙社株式取得価額)

特定子会社の株主(株主B)の数

50人未満

50人以上

・その法人のその特定子会社株式(乙社株式)の1株当たりの帳簿価額

(実額)

・特定子会社(乙社)の

1株当たりの簿価純資産価額

(計算値)

(3)合併・会社分割における税制適格の統一的判断基準

先に見えてきた株式交換や移転は実質株式の入れ替えにすぎないのですが、実際は会社資産が移動する合併・会社分割における税制繰延要件(税制適格)は、下記のとおりで株式交換や株式移転に伴うそれとは趣を異にします。

(イ)適格前提要件

①株式交付要件

以下の場合を除き、組織再編の対価として金銭等の株式以外の資産が交付されないこと

〇端数株の売却による清算の場合(端株調整金)

〇反対株主の買取り請求の場合

〇配当見合いとして交付する場合(配当調整金)

②按分型要件

分割の場合は非按分型(旧株主の持株割合以外での割当)でないこと

(ロ)適格要件

①企業グループ内(個人グループ内をも含む)の組織再編成である場合

上記の適格前提要件に加え、次の要件を満たすことが必要となります。

(a)100%の持分関係下の場合………追加要件なし

(b)50%超100%未満の持分関係下の場合……独立事業単位要件(※)を満たすことが必要

(※)独立事業単位要件

(ⅰ)主要資産・負債引継ぎ要件

(ⅱ)主要(80%以上)従業員引継ぎ見込み要件

(ⅲ)事業継続見込み要件(合併の場合は主要なもののみで可)

②共同事業である場合

上記の要件全てに加え、次の要件を満たすことが必要です。

(a)独立事業単位要件

(b)株式継続保有見込み要件(資産移転法人の株主数が50人未満の場合のみ)

(c)共同事業要件

(ⅰ)事業関連性要件

(ⅱ)規模類似要件または経営者参加要件のいずれか

(4)適格要件のまとめ

上記(2)(3)の適格要件をまとめると次のようになります。

合併・分割

100%持分関係

50%超100%未満

持分関係

左記以外の持分関係

(共同事業)

適格前提要件

株式交付要件

按分型要件

独立事業単位要件

資産負債要件

従業員要件

事業継続要件

株式継続保有要件

共同要件

事業関連性要件

規模・経営者要件

10.債務超過の会社の合併について 他

(1)債務超過

B/S     (万円)

例えば、合併では

資産17,000-負債24,000=△7,000

これを受け入れて資本金(株式)を発行できない。

資産

17,000

負債 24,000

資本金  1,000

欠損金 △ 8,000

合計  17,000

合計  17,000

(2)手法

(注1)

分割前のB/S (単位:万円)

建設部門

建設部門資産

8,000

建設部門負債

2,000

資産

8,000

負債

2,000

不動産部門負債

22,000

不動産部門資産

9,000

自己資本

6,000

債務超過 7,000

不動産部門

資産

9,000

負債

22,000

譲渡対価 6,000

債務超過

7,000

(注意)

①営業譲渡は可能だが、商法上の会社分割は不可(不動産部門で債務超過だから)

②実施に当っては部門財務の透明性の確保、金融機関等債権者の協力がポイント

③経営者の恣意的な行為については、債権者詐害行為及び同族会社の行為計算否認の規定で行為自体が法的(商法・税法)に否定される恐れあり。

(3)基本的に対等合併はない

A社

B社

簿価純資産

1,000万円

1,000万円

発行株式

20,000株

20,000株

時価純資産

2,000万円

1,000万円

1株当り時価純資産

1,000円/1株

500円/1株

株主

[合併後の株主構成]

11.組織再編と労務

組織再編には必ず「人」の異動が伴います。又組織再編が成功するか否かの大きなポイントは「人」の問題にあるといえます。

企業組織再編と労務について簡単にみておきます。

(1)合併

・合併は包括承継ですから、乙社の全従業員は全員甲社に引き継がれます。

・又乙社での労働契約(会社と労働者個人)も労働協約(労働組合)もそのまま引き継がれ個別同意は不要です。

・但し合併後の労働契約・労働協約の変更は個別交渉となります。実際は結局甲社ベースとなるでしょう。

・甲社の人事・労務政策の良し悪しがキーポイントです。

(2)営業譲渡

・Y部門の承継は特定承継ですから、甲社Y部門労働者の引き継ぎ、労働契約、労働協約も全て個別交渉となります。

・実際は結局乙社ベースとなるでしょう。

・乙社の人事・労務政策の良し悪しがキーポイントです。

(3)株式交換・移転

・ここでは、「人」の異動は基本的にありませんから、労働契約や労働協約の承継問題はおこりません。

・しかし、やがてグループ全体で統一的な労働契約・労働協約が締結されることとなるでしょう。

・甲社、丙社の人事・労務政策の良し悪しがキーポイントです。

(4)会社分割

・乙部門を分割する場合の労働契約承継

会社分割による労働契約承継の対象者

(個別の同意)

[営業部門]

乙部門に従事

甲乙兼務

甲部門に従事

主に乙部門に従事

主に甲部門に従事

[総務部門]

乙部門のため

甲乙両方のため

甲部門のため

主に乙部門のため

主に甲部門のため

・分割会社は分割計画書等への記載に関係なく、本人へ通知する義務がある。

・残留者は異議申立により移籍可。

・分割会社は分割計画書等に記載した場合、本人へ通知する義務がある。

・移籍者は異議申立により残留可。

・労働契約や労働協約は包括的に承継される。

・分割後の人事・労務政策は各々の会社の中で個別交渉となります。

(5)その他

健康保険、厚生年金保険、雇用保険・労災保険、厚生年金基金、適格退職年金、健康保険組合等の問題も生じますので各検討が必要です。

12.再生・再編に向けた国交省基本指針及び組織再編と建設産業制度の状況

(1)国交省基本指針

①不良・不適格業者の排除徹底

・総合的情報交換システムの構築等

②経営革新の推進

・新規成長分野への進出支援

・中小中堅向IT推進

・事業再生支援の経営相談窓口設置(地方整備局内)

③企業間連携の促進

・モデル的取組支援

・組織再編のための建設産業制度の見直し、企業評価の適正化

④セーフティーネットの整備

・下請セーフティーネット債務保証事業の民間工事への拡大

・人材流動化の円滑化

(2)組織再編と建設産業制度の状況

(資料 13/12国交省検討委員会資料より)

許可等

組織再編

許可

経審

技術者

その他

分社・分割

甲社

甲社

・許可の乙社分割は不可

・甲社は継続

新設乙社は新規取得

・甲社はX部門

新設乙社は甲社Y部門の実績継承を検討

・監理・主任技術者は甲社・乙社直接的恒常的雇用関係が必要

・甲社がY部門を廃業

した場合に限り、

分社後3年以内に限り

甲社社員が乙社Y部門

に出向し、監理・主任

技術者可

・甲社からY部門の発注は一括下請に該当する可能性あり

・逆の乙社からX部門の甲社への発注も同じ

or

合併

・吸収合併の場合

甲社の許可が継続

・新設合併は丙社で新規要取得

・消滅会社の実績を存続会社

及び新設会社の実績に加算

・国交省事業ではP点加算

3年未満 15%

3~5年未満10%

・存続会社(吸収合併では甲社、新設合併では丙社)が引き継ぎ

営業譲渡

・甲・乙社の許可は継続

・甲社はZ部門の実績を加算

・P点加算は合併と同じ

・原則分社化と同じ

・但し、乙社がZ部門を廃業した場合に限り営業譲渡日から3年以内に限り乙社社員が甲社に出向し、監理・主任技術者可

許可等

組織再編

許可

経審

技術者

その他

株式交換

(子会社化)

・甲・乙社の許可はそのまま

・甲・乙両社単体で経審

・甲・乙社間の技術者出向は不可

株式移転

(持株会社化)

・甲社・乙社の既存の許可はそのまま

・甲社はX’部門

乙社はY’部門の

実績加算を検討中

・丙社は純粋持株会社で許可・経審を受けない

・甲・乙社間での技術者出向は不可

・甲・乙社間の元請・下請は一括下請の可能性あり

[参考]親・子会社間の技術者移動制度

H15.1運用開始で、国交省の「企業集団確認」を受けた企業集団では親・子間での技術者移動(出向)が認められている。しかし、適用要件が親会社が上場企業又は連結財務諸表提出企業で、親・子の一方が経審を受けてないことが要件となっており、現在数件にとどまっている。

13.給付金・助成金の主な制度と窓口紹介等

テーマ

どんなとき

給付(概要)

問合せ先

創業・異業種進出等

・創業や異業種進出で、社員を雇い入れた時

(中小企業雇用創出人材確保助成金)

・雇い入れ社員の賃金の1/2

・最高1年間

雇用・能力開発機構

・創業や異業種進出で、社員教育をしたとき

(中小企業雇用創出等能力開発給付金)

・教育訓練費用の3/4

その間の賃金の3/4

・教育訓練のための長期休暇制度を導入・利用したとき

(長期教育訓練休暇制度導入奨励金)

・40万円+休暇賃金の1/3

テーマ

どんなとき

給付(概要)

問合せ先

創業・異業種進出等

・社員に技能を習得させるための職業訓練

(認定訓練派遣等給付金)

・期間中の賃金の1/3

雇用・能力開発機構

・介護関連事業主が新サービスの

提供等に伴い社員を雇い入れたとき

(介護人材確保助成金)

・雇い入れ社員の賃金の1/2

・最高1年間

再編関連

・会社が社員の失業なき労働移動を

考えた施策を行ったとき

(人材移動特別助成金)

・受け入れ側の支払賃金の1/2

・最高1年間

再編関連

・特定不況業種の会社が社員の配置転換などした場合等

(労働者移動雇用安定助成金)

・配置転換社員の賃金の1/2

・最高1年間

雇用・能力開発機構

公共職業安定所

・事業縮小のため、社員を休業・教育訓練等したとき

(雇用調整助成金)

・失業給付の2/3等

公共職業安定所

●主な問合せ先

雇用・能力開発機構 本部  045-683-1111(代)

各都道府県センター 兵庫県 078-333-7635

          沖縄県 098-862-3212

           愛媛県 089-947-6623

●中小企業支援センター

各種助成金、給付金の紹介、申請サポート

兵庫県 (財)兵庫県中小企業振興公社 078-361-8040

神戸市 産業振興局中小企業指導センター 078-360-3209

沖縄県 (財)沖縄県産業振興公社 098-866-1180

  愛媛県 (財)愛媛県産業技術振興財団 089-960-1100

●パンフレット

中小企業施策利用ガイドブック (通産省・中小企業庁)

14.組織再編・整理のまとめ(フローチャート)

15.各建設業協会等の取組紹介

(1)福島県建設業協会

●福島県建設業協会経営活性化研究会の発足(H14.2.19)

・研究テーマは下記モデルの研究で(ニ)に重点

(イ)経営と技術に優れた企業の連携の将来性有効性を探る「積極的再編型モデル」

(ロ)地場産業として高い利益率をめざす「健全経営維持型モデル」

(ハ)会員企業が県内外や業種を問わずM&Aを行う「M&A型モデル」

(ニ)整理法令及び清算、再建などを研究する「経営再建型モデル」

●国土交通省への建設産業再編促進策のインセンティブ要求の研究

●新規事業の開発(介護)

(2)愛媛県建設業協会

●企業再構築ワーキンググループの発足(H14.3.22)

(国土交通省の補正予算助成事業)

●13支部代表委員の組織再編手法の勉強会

●主たる支部での同勉強会

●個別案件相談会

●行政側対応についての意見交換会

●新規事業の教育(介護事業資格取得講習会)及び紹介

(3)関東地方建設産業再生協議会

●メンバー

関東地方整備局建政部 ・各県の土木部管理課 ・各県の建設業協会

(財)建設業振興基金 構造改善センター

●リーフレット

・建設業の現況 ・建設業の経営基盤強化・再生に向けて ・助成・支援措置一覧

16.参考図書等

事業再編なるほどQ&A

中央経済社

蓮見 正純

2,600円+税

企業組織再編の法実務

(建設業経営革新のために)

建設産業経理研究所

弥永 真生 他

1,600円+税

企業再編の実務

東洋経済新報社

みずほ総合研究所

3,400円+税

会社分割経審評点アップ対策

日本法令

成迫 升敏

2,667円+税

建設業の新分野進出

東洋経済新報社

米田 雅子

1,500円+税

建設業の再生特集

税理2003.5月号

17.質疑応答

18.個別事例相談 他

X事業

甲社

株主A

既存事業

Y事業

X事業

甲社

株主A

Y事業

既存乙社

X事業

甲社

株主A

株式(分割)

株式(分社)

X事業

甲社

株主A

Y事業

Y事業

新設乙社

X事業

甲社

株主A

株式(分割)

株式(分社)

株主A・B・C

持株会社丁社

丙社

乙社

甲社

株主A

乙社

株主B

乙社

甲社

株主A・B

甲社

株主A

100%

丙社

株主C

甲社

乙社

株主B

消滅会社

乙社

株主B

存続会社

甲社

株主A・B

存続会社

甲社

株主A

消滅会社

乙社

株主B

新設

丙社

株主A・B

消滅会社

甲社

株主A

Y事業

環境

激変

X事業

甲社

株主A

既存事業

乙社

Y事業

金銭

環境

激変

環境

激変

会計士

自社の生き残りをかけて最適な経営組織を選択する必要がありますね。

社長

国は組織再編にいくつかのメニューを用意していて、組織選択に法は中立(法での有利・不利の差別なし)の立場で支援しています。

環境

激変

環境

激変

取下

乙社

株主B

甲社

株主A

乙社

株主B

甲社

株主A

100%

債務超過を解消する含み益はありますか

土地

営業権

オーナーが債務超過を補てんできますか

優良部門はありますか

優良部門

営業譲渡○(注1)

会社分割×(注1)

職場の確保・

労働債権の保護

整理

(破産等)

個人も同時破産・免責

不良部門

個人も同時破産・免責

整理

(破産等)

合併

はい

はい

はい

いいえ

いいえ

いいえ

20,000株

(2/3)

A社資本金2,000万円

100%

10,000株

(1/3)

甲社・乙社従業員

存続会社

甲社

株主A・B

乙社

株主B

甲社

株主A

Y部門

従業員

存続会社

甲社従業員

乙社従業員

消滅会社

Y部門

既存部門

従業員

既存部門

Y部門

従業員

甲社

Y部門

乙社

株主B

X部門

従業員

X部門

甲社

株主A

甲社従業員

乙社

乙社従業員

乙社従業員

甲社従業員

(交換)

甲社

株主A・B

乙社

株主B

甲社

株主A

(移転)

乙社従業員

甲社従業員

乙社

株主B

甲社

株主A

丙社

乙部門

従業員

乙部門

甲部門

従業員

甲部門

A社

株主A

又は

B社

乙部門

甲部門

A社

株主A

労働契約承継法

兼務

従業員

X部門

Y部門

X部門

新設子会社乙社

Y部門

乙社

消滅

会社

存続

会社

甲社又は丙社

Y部門

乙社

X部門

甲社

甲社

Y部門

X部門

U部門

乙社

甲社

Z部門

Y部門

X部門

甲社

Z部門

乙社

乙社

甲社

Y’部門

乙社

持株会社・丙社

X’部門

甲社

X部門

甲社

乙社

Y’部門

X’部門

Y部門

X部門

乙社

甲社

Y部門

100%

100%

U部門

拡大(新部門への進出等多角化)

・経営者の理念は明確か

・選択と集中は徹底できるか(不採算、ノンコア事業からの撤退及び経営資源の集中)

・従業員、取引先、B/Kの支援・協力は得られるか

良好

悪化

環境適応・活性化

コアか?多角化か

会社整理(商法)

特別清算(商法)

破産(法人・個人)

私的整理

廃業

労務問題のクリア

発注側行政の動向

公的支援制度の利用

労務問題のクリア

建設産業制度との関係

コア事業への資源集中

営業譲渡

会社分割

グループ強化

営業譲渡受入(イニシャルコスト削減)

会社分割受入(  〃  )

持株会社(  〃  )

公的支援制度の利用

労務問題のクリア

発注側行政の動向

建設業産業制度との関係

他グループ傘下での再建

合併・営業譲渡

株式交換(子会社としての生残り)

後継者がいないケースなど

発注側行政の動向

公的支援制度の利用

労務問題のクリア

建設産業制度との関係

独自再建

一部(不採算部門等)営業譲渡

会社分割(不得手部門等)

単独再生可能か

悪化要因の除去、改善は可能か

経営者・後継者・人材

営業力・技術力・不採算部門

設備投資・不良債権・関連会社

内的

要因

経済・業界・競争・規制

金融機関等

の現状及び将来予測

外的

要因

悪化要因の分析

・経常損益の推移

・キャッシュフローの推移

・部門別B/S・P/L・C/Fの推移

経営の状況の判断

いいえ

はい

合理的計画案の立案

いいえ

はい

選択と集中・最適規模(コア)

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