線形代数・演習Ⅰ - math.ryukoku.ac.jptsutomu/LA1/07/LA1076.pdf · 線形代数・演習Ⅰ コンピュータ・グラフィックス,2次曲面と線形代数 指南書第六の巻
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経済統計Ⅰ第12回:指数について(2)
──数量指数(復習)と鉱工業指数2016年6月27日
元山斉
石田和彦・吉野克文・美添泰人
1
数量指数の例:生産量の変化をどう測るか
• 単純な設例:
自動車の生産量:第0期(基準時点) 100台→ 第t期(比較時点) 200台 (2倍に増加)
テレビの生産量: 第0期(基準時点)1,000台→ 第t期(比較時点) 1,500台 (50%増加)
① 単純平均算式
自動車の生産量増加率:200/100-1 =1 (%表記では 100%(=2倍) の増加)
テレビの生産量増加率: 1500/1000-1 =0.5 (%表記では 50% の増加)
→ 平均の生産量増加率: (1+0.5)/2 =0.75 (%表記では 75% の増加)
→ どのような意味のある数字か?
② 自動車とテレビの「合計生産台数」は、第0期 1,100台→ 第t期 1,700台
→ 生産量の増加率: 1,700/1,100=1.5454 (%表記では、54.5%の増加)
→ ほとんど意味のない数字
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数量指数の例:生産量の変化をどう測るか(続き)
③ (金額指数)
:仮に、両期中の自動車とテレビの価格が以下のようにわかっていたとする:
第0期:自動車1台100万円、テレビ1台10万円→生産額:100×100+1,000×10=20,000万円第t期: 自動車1台105万円、テレビ1台11万円→生産額:105×200+1,500×11=37,500万円
→ 生産額の比率は 37,500/20,000=1.875 → 生産額の増加率は87.5%
→ これを、生産量の増加率とみなすことは適切か?
→ 生産量の変化ではなく、価格の変化による生産額の変化が混入しているので、生産量の増加率とは言い難い・・・
④ラスパイレス算式(ラスパイレス指数): 「基準時点(第0期)の価格で、比較時点(第t期)の生産額を評価した」とすれば、
生産額はどの位増加するか
→ 第0期の価格は、自動車1台100万円、テレビ1台10万円 → 生産額:20,000万円
→ 第t期も価格が同じだったとすると → 生産額: 100×200+1,500×10=35,000万円
→ 生産額の比率は 35,000/20,000=1.75 → 生産額の増加率は75%
→ これを、生産量の増加とみなすことができる(価格の変化による生産額の変化は混入していないことに注意)
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数量指数の例:生産量の変化をどう測るか(続き2)
⑤ パーシェ算式(パーシェ指数)
: 「比較時点(第t期)の価格で基準時点(第0期)の生産量も評価する」とすれば、
生産額はどの程度増加するか
第0期の価格が、「もし、自動車1台105万円、テレビ1台11万円であったとしたら」
→ 生産額は 100×105+1,000×11=21,500万円、第t期の「実際の」生産額は 37,500万円
→ 生産額の比率は 37,500/21,500=1.7442 生産額の増加率は74.4%
→ これを生産量の増加率とみなすことができる
(この場合も価格変化による生産額の変化は混入していない)
⑥ ラスパイレス算式の変形
: 基準時点の自動車の生産額=10,000万円、テレビの生産額=10,000万円
なので両者の生産額の比率は 1/2:1/2 (50%:50% )
→それぞれの生産量増加をこのウェイトで加重平均すると
2×0.5+1.5×0.5=1.75(加重平均の)生産量増加率は 75% ラスパイレス指数に一致
ラスパイレス指数
= ∑(各品目の生産量増加率)×(基準時点の各品目の生産額ウェイト)
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ラスパイレス数量指数算式
基準時点(第0期)と比較時点(第t期)での生産、出荷、購入等の数量を基準時点の価格で
評価したら、基準時点に比べて生産額、出荷額、購入額等はどの程度変化しているかを測
る
── 𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖:比較時点(第t期)における第i品目の価格
𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖:比較時点(第t期)における第i品目の消費量 (以下、同様)
⇒∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖
= 𝑃𝑃1𝑖𝑄𝑄1𝑖𝑖+𝑃𝑃2𝑖𝑄𝑄2𝑖𝑖+⋯+𝑃𝑃𝑛𝑛𝑖𝑄𝑄𝑛𝑛𝑖𝑖𝑃𝑃1𝑖𝑄𝑄1𝑖+𝑃𝑃2𝑖𝑄𝑄2𝑖+⋯+𝑃𝑃𝑛𝑛𝑖𝑄𝑄𝑛𝑛𝑖
⇒ これを変形すると:
∑ ⁄𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖 ∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖 × ⁄𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖 𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖 = ∑𝑤𝑤𝑖𝑖𝑖 × ( ⁄𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖 𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖)ただし 𝑤𝑤𝑖𝑖𝑖 = 𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖/∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖 : 基準時点の生産額等のウェイト
⇒ 「基準時点からの数量変化を、基準時点の生産額、出荷額等のウェイトで
加重平均する」という、通常用いられるラスパイレス数量指数算式が導出される
• 鉱工業指数、第3次産業活動指数、等
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パーシェ数量指数算式
基準時点(第0期)と比較時点(第t期)での生産、出荷、購入等の数量を比較時点の価格で評価したとき、基準時点に比べて生産額、出荷額、購入額等はどの程度変化しているかを測る
⇒∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖
= 𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖+𝑃𝑃2𝑖𝑖𝑄𝑄2𝑖𝑖+⋯+𝑃𝑃𝑛𝑛𝑖𝑖𝑄𝑄𝑛𝑛𝑖𝑖𝑃𝑃1𝑖𝑖𝑄𝑄1𝑖+𝑃𝑃2𝑖𝑖𝑄𝑄2𝑖+⋯+𝑃𝑃𝑛𝑛𝑖𝑖𝑄𝑄𝑛𝑛𝑖
⇒ これを変形すると:
∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖
= ∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖×
𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖
= 1
∑𝑤𝑤𝑖𝑖𝑖𝑖×𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖
ただし𝑤𝑤𝑖𝑖𝑖𝑖 = 𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖/∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖 :比較時点(第t 期)の生産額等のウェイト
6
(参考)ラスパイレス価格指数算式:
• 基準時点(第0期)の数量を、基準時点と比較時点(第t期)の価格でそれぞれ購入・消費したら、支出額は基準時点に比べてどの程度変化するかを測る
⇒∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖
= 𝑃𝑃1𝑖𝑖𝑄𝑄1𝑖+𝑃𝑃2𝑖𝑖𝑄𝑄2𝑖+⋯+𝑃𝑃𝑛𝑛𝑖𝑖𝑄𝑄𝑛𝑛𝑖𝑃𝑃1𝑖𝑄𝑄1𝑖+𝑃𝑃2𝑖𝑄𝑄2𝑖+⋯+𝑃𝑃𝑛𝑛𝑖𝑄𝑄𝑛𝑛𝑖
⇒ これを変形すると:∑ ⁄𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖 ∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖 × 𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖/𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖 = ∑𝑤𝑤𝑖𝑖𝑖 × ( ⁄𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖 𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖)
ただし 𝑤𝑤𝑖𝑖𝑖 = 𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖 𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖/∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖 : 基準時点の支出ウェイト
⇒ 「基準時点からの価格変化を、基準時点の支出ウェイトで加重平均する」という、通常用いられるラスパイレス価格指数算式が導出される
• 消費者物価指数、企業物価指数、企業向けサービス価格指数、等の物価指数
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(参考)パーシェ価格指数算式:
• 比較時点(第t期)の数量を、基準時点(第0期)と比較時点の価格でそれぞれ購入・消費したとするとき、支出額は基準時に比べてどの程度変化するかを測る
⇒∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖
= 𝑃𝑃1𝑖𝑖𝑄𝑄1𝑖𝑖+𝑃𝑃2𝑖𝑖𝑄𝑄2𝑖𝑖+⋯+𝑃𝑃𝑛𝑛𝑖𝑖𝑄𝑄𝑛𝑛𝑖𝑖𝑃𝑃1𝑖𝑄𝑄1𝑖𝑖+𝑃𝑃2𝑖𝑄𝑄2𝑖𝑖+⋯+𝑃𝑃𝑛𝑛𝑖𝑄𝑄𝑛𝑛𝑖𝑖
⇒ これを変形すると:
∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖
= ∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖∑ 𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖 ×
𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖
= 1
∑𝑤𝑤𝑖𝑖𝑖𝑖×𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖
ただし 𝑤𝑤𝑖𝑖𝑖𝑖 = 𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖/∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖 : t 時点(直近時)の支出ウェイト
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金額条件
金額指数(2つの時点における生産額の変化)∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖
= 𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖+𝑃𝑃2𝑖𝑖𝑄𝑄2𝑖𝑖+⋯+𝑃𝑃𝑛𝑛𝑖𝑖𝑄𝑄𝑛𝑛𝑖𝑖𝑃𝑃1𝑖𝑄𝑄1𝑖+𝑃𝑃2𝑖𝑄𝑄2𝑖+⋯+𝑃𝑃𝑛𝑛𝑖𝑄𝑄𝑛𝑛𝑖
金額条件:金額指数=価格指数×数量指数
:生産額の変化が価格の変化と数量の変化に分離
金額指数
=ラスパイレス価格指数×パーシェ数量指数
=パーシェ価格指数×ラスパイレス数量指数
⇒このような関係式から決まる指数を「暗黙の指数」(implicit index)、金額指数/数量指数で決まる価格指数を「インプリシット・デフレータ」と呼ぶ(GDPデフレータなど)
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QUIZ(第12回講義関連)
• 以下の簡単な数値例において、「ラスパイレス算式」と「パーシェ算式」による「比較時点」での生産指数、および、その基準時対比の変化率を計算せよ。
• 余白に、本日の講義の感想等を記入して下さい。
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自動車 テレビ スーツ
価格(万円) 生産量(台) 価格(万円) 生産量(台) 価格(万円) 生産量(着)
基準時点 100 30 50 50 5 500比較時点 120 40 25 100 4 400
QUIZ(第12回講義関連)の解答例
• ラスパイレス生産指数
基準時点の生産額:
100×30+50×50+5×500=8000(万円)・・・①
基準時点の価格で、比較時点の生産量を評価した場合の生産額:
100×40+50×100+5×400= 11000 (万円)・・・②
→ ラスパイレス生産指数: ②/①×100=137.5→ 基準時対比37.5%の生産増加
• パーシェ生産指数
基準時点の生産量を、比較時点の価格で評価した場合の生産額:
120×30+25×50+4×500= 6850 (万円)・・・③
比較時点の生産額:
120×40+25×100+4×400= 8900 (万円)・・・④
→ パーシェ生産指数 ④/③×100≒129.927→ 基準時対比約29.9%の生産増加
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「鉱工業指数」
1. 統計の目的: 「鉱工業製品を生産する国内の事業所における生産、出荷、在庫に係る諸活動、製造工業の設備の稼働状況、各種設備の生産能力の動向、生産の先行き2ヶ月の予測の把握を行う」(経済産業省が作成する加工統計で、基幹統計に指定)
2. 統計作成方法(平成22年<2010年>基準):
(1) 生産・出荷指数
① 生産・出荷指数の採用系列数は487品目(そのうち経済産業省所管品目は447品目)
② 数量は、主に「経済産業省生産動態統計」を利用(所管外品目は、他省庁及び業界団体で作成している統計を利用)
③ ウェイトは、生産指数は付加価値額ウェイトと生産額ウェイトの2種類、出荷指数は出荷額ウェイトを使用
── ウェイトは、「工業統計調査」、「経済センサス-活動調査」等を基礎データとして作成
④ 品目毎の一月当たりの生産(出荷)量を、基準年=100.0として指数化し、品目別指数を基準年の各ウェイトで加重平均することにより鉱工業全体や業種別・財別などの総合指数を求めるラスパイレス算式で算出
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(参考) 鉱工業指数の計算方法
品目毎の一月当たりの生産(出荷)量を、基準年=100.0として指数化し、品目別指数を基準年の各ウェイトで加重平均することにより、
鉱工業全体や業種別・財別などの総合指数を求めるラスパイレス算式。
𝑄𝑄𝑖𝑖𝐿𝐿 = �𝑖𝑖
𝑝𝑝𝑖𝑖𝑖𝑞𝑞𝑖𝑖𝑖∑𝑖𝑖 𝑝𝑝𝑖𝑖𝑖𝑞𝑞𝑖𝑖𝑖
×𝑞𝑞𝑖𝑖𝑖𝑖𝑞𝑞𝑖𝑖𝑖
=∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖𝑖∑𝑃𝑃𝑖𝑖𝑖𝑄𝑄𝑖𝑖𝑖
𝑄𝑄𝑖𝑖𝐿𝐿: t時点における生産(出荷)総合指数
𝑝𝑝𝑖𝑖𝑖:基準時点における品目𝑖𝑖の価格(または単位あたりの付加価値額)𝑞𝑞𝑖𝑖𝑖:基準時点における品目𝑖𝑖の出荷数量𝑞𝑞𝑖𝑖𝑖𝑖:𝑡𝑡時点における品目𝑖𝑖の出荷数量
(簡単な数値例:基準年=2010年)
2010年中の平均生産量 2015年6月の生産量 2010年中の付加価値額
鉄鋼 100t 150t 4,000万円(ウェイト4/10)自動車 50台 100台 6,000万円(ウェイト6/10)
→ 2015年6月の鉄鋼の品目指数=(150/100)*100=1502015年6月の自動車の品目指数=(100/50)*100=200
→ 2015年6月の総合生産指数(付加価値ウェイト)=150*(4/10)+200*(6/10)=180
「鉱工業指数」(続き)
(2) その他の指数
① 在庫指数:品目(348)毎の月末の在庫量を指数化し、基準年の在庫額ウェイト(基礎データは「工業統計調査」)で加重平均して、鉱工業全体や業種別・財別などの総合指数を求める(ラスパイレス算式)
② 在庫率指数:品目(336)毎の1月当たりの在庫率(在庫量/出荷量)を指数化し、基準年の在庫額ウェイトで加重平均することにより、鉱工業全体や業種別・財別などの総合指数を求める(ラスパイレス算式)
③ 生産能力指数: 「経済産業省生産動態統計」における品目別生産能力を用い(品目によっては能力調査が困難なものもあるため、対象は160品目と、生産指数に比べ少ない)、基準年の付加価値額ウェイトを加工して求めた、能力付加価値額ウェイト(品目別単位当たり付加価値額×生産能力量)で加重平均(ラスパイレス算式)
④ 稼働率指数: 「経済産業省生産動態統計」における品目別生産能力と生産量を用いて品目別稼働率を算出し(対象は、生産能力指数と同様に160品目)、付加価値額ウェイトで加重平均(ラスパイレス算式)
⑤ 生産予測指数: 生産予測指数の採用系列数は195品目で、「製造工業生産予測調査」における生産数量(対象は195品目)を、鉱工業生産指数の付加価値額ウェイトを流用して加重平均(ラスパイレス算式)
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「鉱工業指数」の利用
・ 景気指標としての利用度、注目度は非常に高い
① 生産・出荷指数: 生産・出荷面から景気の動きを捉える
② 生産予測指数: 先行きの生産動向の予測
③ 業種別生産: 需要面との関連付け
④ 財別出荷: 需要面との関連付け
⑤ 稼働率指数: 稼働率→設備投資、雇用・賃金、物価
⑥ 在庫・在庫率指数: 在庫循環の分析・判断(→在庫循環図)
・ 景気判断に用いる上での留意点
① 財の生産のみしかカバーしていない
② 「生産動態統計」のカバレッジ問題(裾切り抽出のため、小企業が脱落)
③ 各指数ごとに採用品目が異なること等から、必ずしも整合的な動きをしない
── 生産-出荷=在庫の増加、といった関係が成立しない場合も
── 生産指数と生産予測指数も、厳密には接続しない
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鉱工業指数の推移
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出所: 経済産業省HP『鉱工業(生産・出荷・在庫)指数速報』平成28年2月分 平成28年3月
鉱工業指数を用いた分析の例:生産の業種別寄与度
17出所: 経済産業省HP『鉱工業指数参考資料(平成28年度2月)』
鉱工業指数を用いた分析の例:在庫循環図
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出所: 経済産業省HP『鉱工業指数参考資料(平成28年度2月速報)』
(出典)経済産業省HP 「経済解析室ひと言解説集」