男女共同参画をめぐる現状男女共同参画ハンドブック 1...

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男女共同参画ハンドブック 1 我が国においては、日本国憲法に個人の尊重、法の下の平等がうたわれ、男女平等の実現に向けた様々な取 組が着実に進められてきましたが、現実の社会においては、男女間の不平等を感じる人も多く、なお一層の努 力が必要とされています。 また、少子高齢化の進展など社会経済情勢の急速な変化に対応していく上でも、女性と男性が互いにその人 権を尊重し、喜びも責任も分かち合いつつ、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することがで きる男女共同参画社会の実現は、緊要の課題とされています。 このような状況にかんがみ、男女共同参画社会の実現は、21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置 付けられ、社会のあらゆる分野において男女共同参画社会の実現に向けた施策の推進を図っています。 男女共同参画をめぐる現状 1 男女共同❶参画社会とは、「男女が、❷社会の対等な構成員として❸自らの意思によって社会のあらゆる分 野における活動に参画する機会が確保され、もって❹男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享 受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」です。 (男女共同参画社会基本法第2条) 参画 「参画」とは、単なる参加ではなく、より積極的に意思決定過程に加わるという意味が込められています。 社会の対等な構成員として 男女双方とも本質的に社会の責任ある構成員であり、男女が権利、義務の対等な関係をもっていると いうことを示しています。 自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画 「活動に参画する」のは「自らの意思によって」という主体的な選択によるものであり、強要、強制さ れるものではないことを示しています。また、参画する分野は、職域、学校、地域、家庭などのあらゆ る分野のことを示しています。専業主婦を排除するものではありません。 男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共 に責任を担うべき 男女という性別によって利益に違いが生ずるのではなく、男女が個人の能力によって均等に参画する 機会が確保されることにより、個人の能力に応じて均等に利益を享受することができるとともに、責任 の担い方に違いがあるのではなく、男女が社会の対等な構成員として共に責任を担うことです。 男女共同参画社会とは

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男女共同参画ハンドブック 1

 我が国においては、日本国憲法に個人の尊重、法の下の平等がうたわれ、男女平等の実現に向けた様々な取組が着実に進められてきましたが、現実の社会においては、男女間の不平等を感じる人も多く、なお一層の努力が必要とされています。 また、少子高齢化の進展など社会経済情勢の急速な変化に対応していく上でも、女性と男性が互いにその人権を尊重し、喜びも責任も分かち合いつつ、性別にかかわりなく、その個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現は、緊要の課題とされています。 このような状況にかんがみ、男女共同参画社会の実現は、21世紀の我が国社会を決定する最重要課題と位置付けられ、社会のあらゆる分野において男女共同参画社会の実現に向けた施策の推進を図っています。

男女共同参画をめぐる現状1

 男女共同❶参画社会とは、「男女が、❷社会の対等な構成員として、❸自らの意思によって社会のあらゆる分

野における活動に参画する機会が確保され、もって❹男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享

受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」です。

(男女共同参画社会基本法第2条)

❶参画 「参画」とは、単なる参加ではなく、より積極的に意思決定過程に加わるという意味が込められています。

❷社会の対等な構成員として 男女双方とも本質的に社会の責任ある構成員であり、男女が権利、義務の対等な関係をもっているということを示しています。

❸自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画 「活動に参画する」のは「自らの意思によって」という主体的な選択によるものであり、強要、強制されるものではないことを示しています。また、参画する分野は、職域、学校、地域、家庭などのあらゆる分野のことを示しています。専業主婦を排除するものではありません。

❹ 男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき 男女という性別によって利益に違いが生ずるのではなく、男女が個人の能力によって均等に参画する機会が確保されることにより、個人の能力に応じて均等に利益を享受することができるとともに、責任の担い方に違いがあるのではなく、男女が社会の対等な構成員として共に責任を担うことです。

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 男女の人権が尊重され、かつ、少子高齢化等の社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することが必要

です。また、少子高齢化、国際化などの社会変化に対応し、豊かな社会を実現するためにも男女共同参画が不可欠であるとい

えます。

 しかし、以下に示すデータのように、我が国の実態は男女平等な社会とは言えない状況です。

男女共同参画に関する意識

 男女の地位について平等と考えている人は2割しかなく、73.2%が「男性の方が優遇されている」と考えています。この回答傾向は12年前からあまり変化していません。 また、男女別に見ると、女性の方が男性が優遇されていると考える割合が約8割と高く、男性でも7割弱の人が男性自身の方が優遇されていると考えています。

[備考]内閣府「男女共同参画社会に関する世論調査」(平成19年8月)より作成。

 固定的性別役割分担とは、男性、女性という性別を理由として、「男性は仕事・女性は家庭」、「男性は主要な業務・女性は補助的業務」等、男性・女性の役割を固定的に決めることをいいます。こういった固定的性別役割分担意識は、男女どちらにとっても個性と能力を発揮することを妨げる場合があります。 「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方についての賛否を聞いたところ、諸外国では、

「賛成」、「どちらかといえば賛成」とする割合は低く、同じアジア諸国の韓国においても2割を下回っています。これに対し、日本では賛成する割合が高くなっています。[備考]内閣府「男女共同参画社会に関する国際比較調査」(平成14年度調査)より作成。

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1 社会全体における男女の地位の平等感

 男女の地位について、4人に3人が「男性の方が優遇されている」と考えています。

2 固定的性別役割分担意識〈国際比較〉夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである

 諸外国では、「賛成」、「どちらかといえば賛成」とする割合は低く、同じアジア諸国の韓国においても2割を下回っています。これに対し、日本では「賛成」する割合が高くなっています。

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 昭和54年調査では、賛成の割合が7割を超えていましたが、平成16年調査で初めて反対(48.9%)が賛成(45.2%)を上回り、19年調査では反対が5割を超えました(52.1%)。しかし、男女別に見ると、女性は反対(56.9%)が賛成(39.9%)を上回っているのに対し、男性は賛成(50.7%)が反対(46.2%)をわずかながら上回っています。

[備考]内閣府「男女共同参画に関する世論調査」(平成19年8月)等、内閣府世論調査より作成。

 男女ともに女性の就業を肯定的にとらえる意識は着実に増加しており、特に男性で平成4年から「中断なし就業」を支持する人が急増し、「一時中断・再就職」と合わせると7割以上の男性が女性の就業に肯定的な考え方を持っています。

[備考] 「男女共同参画に関する世論調査」(平成19年8月)等、内閣府世論調査より作成。

3 固定的性別役割分担意識〈経年変化〉夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである

 平成19年調査では、初めて「反対」が「賛成」を上回りました。

4 一般的に女性が職業を持つことに対する意識変化

 男女ともに、女性の就業を肯定的にとらえる意識は着実に増加しています。

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政策・方針決定過程への女性の参画2

 日本は、「長寿」「教育」「所得」の充足度を示すHDIでは177か国中7位ですが、政治及び経済活動への女性の参画を示すGEMでは75か国中42位と大きく落ち込んでいます。 日本は、人間開発の達成度では実績を上げていますが、女性が政治経済活動に参画する機会が十分でないといえます。

HDI:人間開発指数(Human Development Index) 「長寿を全うできる健康的な生活」、「教育」及び「人間らしい生活」という人間開発の3つの側面を測定した指数です。具体的には、平均寿命、教育水準(成人識字率及び就学率)、調整済み1人当たり国民所得を用いて算出しています。

GEM:ジェンダー・エンパワーメント指数(Gender Empowerment Measure) 女性が政治及び経済活動に参加し、意思決定に参加できているかどうかを測るものです。HDIが人間開発の達成度に焦点を当てているのに対して、GEMは能力を活用する機会に焦点を当てています。 具体的には、国会議員に占める女性の割合、専門職・技術職に占める女性の割合、管理職に占める女性割合及び男女の推定所得を用いて算出しています。

1 政治・経済活動への女性の参画指数

 我が国は、人間開発の達成度では実績を上げていますが、女性が政治経済活動に参画する機会は十分ではありません。

[備考]1 国連開発計画(UNDP)[人間開発報告書」(2006年)より作成。 2 HDIは177か国中、GEMは75か国中の順位である。

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2 女性の国会議員割合

 欧米諸国では、女性の国会議員の割合が着実に増加しているのに対し、日本は1995年以降にやや上昇したものの、2006年で9.4%と低くなっています。 一方、同じアジア諸国の韓国は、1995年以降から急上昇し2006年には13.4%に達しました。

 スウェーデンでは1970年代から高い水準となっており、その後も着実に増加し、2006年では47.3%になっています。他の国は1985年までは低く差が見られませんが、ドイツ、イギリス、アメリカでは1985年以降増加し、特にドイツで伸びが大きく、2000年に30%を超えています。日本は1995年以降にやや上昇したものの、2006年で9.4%と低くなっています。一方、韓国は1995年以降から急上昇し、2006年には13.4%に達しました。

[備考]1 IPU資料より作成。2 下院又は一院における女性議員割合。3  フィリピンは、1978年の選挙までは二院制の下院。1978年から1987年の選挙

までは一院制。1987年5月の選挙以降二院制の下院。4 ドイツは1985年までは、西ドイツの数字。

[備考]1  「管理的職業従事者」について、ILO「LABORSTA」、総務省「労働力

調査」より作成。「国家公務員の上位の役職」について、米国は「Annual Report on the Federal Work Force Fiscal Year 2005」、 フ ラ ン ス は

「CEDAW第6回報告書」、ドイツは「Women in Germany」、スウェーデンは「Women in Sweden, Facts and Figures」、日本は「一般職の国家公務員の任用状況調査報告」(平成17年度)より作成。

2  「管理的職業従事者」について、2005年のデータを使用。「国家公務員の上位の役職」について、ドイツは2002年、フランスは2003年、日本は2006年、それ以外は2005年のデータを使用。

3 国により管理的職業従事者の定義は異なる。

3 管理職に占める女性の割合

 管理的職業従事者に占める女性の割合は、諸外国と比較して、日本はかなり低くなっています。

 管理的職業従事者に占める女性の割合は、諸外国で3割以上が多い一方、日本では1割に達していません。中でも国家公務員管理職の上位の役職に占める女性の割合は、日本は1.8%ときわめて低くなっています。

[備考]1 IPU「Women in Parliaments」より作成。2 調査対象国は189 ヵ国。3  二院制の場合は下院の数字。順位は、IPU発表資料を基に内閣府にてカ

ウントし直したもの。

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4 各種分野の女性割合

 多くの分野で女性の割合は低い状況です。

チャレンジ支援策の実施:社会のあらゆる分野において、2020年までに、指導的地位に女性の占める割合が、少なくとも30%程度になるよう取り組んでいます。

・女性国家公務員の採用・登用の一層の拡大を図るための取組の推進・身近なチャレンジモデルの提示・ポジティブ・アクションの積極的な推進

政府の取組の方向

[備考]「「2020年30%」の目標のフォローアップのための指標」より。 原則2007年、ただし、*は2006年、**は2005年、***は2004年のデータ。 

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教育分野における男女共同参画31 OECD「生徒の学習到達度調査」(PISA)

 OECDが2003年に実施した「生徒の学習到達度調査」(PISA)によれば、 我が国の15歳児の男女別の数学的リテラシー得点、科学的リテラシー得点に男女差はみられず、読解力得点は女子が男子よりも優位です。

 数学的リテラシー得点、科学的リテラシー得点の男女差は統計的な有意差はみられず、読解力得点の男女差は統計的に有意差があり、女子が男子よりも優位です。このことは2001年に実施された調査の結果でも同様です。 なお、有意差とは、統計でいくつかの変量の相関関係において、偶然とはいえない差のことです。この調査では、平均値間に差があるかどうかを計算し、統計的に有意差がある場合は、平均値に違いがありますが、有意差がない場合は、平均値が異なってもほぼ等しいとみなしています。 ※ プラスの数値は女子が男子よりも得点が高いことを表し、マイナスの数値は女子が男子よりも得点が低いことを表しています。

 OECD(経済協力開発機構)は、義務教育終了段階の15歳児を対象として、知識や技能を、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかどうかを評価するため、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーを主要3分野として、2000年から3年おきに調査を実施しています。2003年調査では、世界41か国・地域(うち加盟国30か国)から約27万6千人が参加しました。

PISAとは、Programme for International Student Assessmentの略です。

OECD(経済協力開発機構)「生徒の学習到達度調査」(PISA)とは

[備考]1 『生きるための知識と技能−OECD生徒の学習到達度調査(PISA)2003年調査国際結果報告書』国立教育政策研究所編より作成。2 読解力リテラシー:自らの目標を設定し、自らの知識と可能性を発揮させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを整理し、利用し、熟考する能力。3  数学的リテラシー:数学が世界で果たす役割を見つけ、理解し、現在及び将来の個人の生活、職業生活、友人や家族との社会生活、建設的で関心を持って思慮深い市

民としての生活において、確実な数学的根拠にもとづき判断を行い、数学に携わる能力。4  科学的リテラシー:自然界及び人間の活動によって起こる自然界の変化について理解し、意思決定するために、科学的知識を使用し、課題を明確にし、証拠に基づい

て結論を導き出す能力。

男女差は統計的に有意である。 男女差は統計的に有意でない。

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2 学校種類別進学率の推移

 女子の大学(学部)進学率は上昇していますが、男子の進学率より低く、近年やや伸びが鈍化しています。大学院への進学率も上昇しているものの、ここ10年程度男子の進学率の約半分で推移し、その差は縮小していません。

[備考]1 文部科学省「学校基本調査」により作成。2  高等学校等:中学校卒業者及び中等教育学校後期課程修了者のうち、高等学校等の本科・別科、高等専門学校に進学した者の占める比率。ただし、進学者には、高等

学校の通信制課程(本科)への進学者を含まない。3  大学(学部)、短期大学(本科):浪人を含む。大学学部または短期大学本科入学者数(浪人を含む。)を3年前の中学校卒業者数及び中等教育学校前期課程修了者数で

除した比率。ただし、入学者には、大学または短期大学の通信制への入学者を含まない。4 大学院:大学学部卒業者のうち、直ちに大学院に進学した者の比率(医学部、歯学部は博士課程への進学者。)。ただし、進学者には、大学院の通信制への進学者を含まない。

男女別の進学率を見ると、女子の大学(学部)進学率は上昇してきています。18年度で男子52.1%、女子38.5%となっており、男子の方が13.6ポイントほど高い。

大学院への進学率も着実に上昇していますが、女子の進学率は 男 子 の 約 半 分 となっています。

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3 高等教育における専攻分野別女性割合の国際比較

 専攻分野別にみると、工学・製造・建築分野及び、社会科学・商学・法学・サービス分野を専攻した卒業者に占める女性の割合はともに、日本はOECD各国中で最低です。

 専攻分野別にみると、工学・製造・建築の分野を専攻した卒業者に占める日本の女性の割合は、11%とOECD各国中で最低となっています。

 社会科学・商学・法学・サービスの分野を専攻した卒業者に占める女性の割合は、OECD各国では女性の割合が男性より高いのに対し、日本では37%と最低となっています。

[備考]OECD(経済協力開発機構)“Education at a Glance OECD INDICATORS 2004、2007”より作成。

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4 学部学生・院生に占める女性割合

 大学学部、大学院修士課程、博士課程に進むにつれて、在学生に占める女性の割合は減少する傾向があります。

 大学学部、大学院修士課程、博士課程に進むにつれて、在学生に占める女性の割合は減少しています。減少傾向は薬学において顕著で、理学及び農学においても学部と博士課程で10ポイント近い差が生じています。工学においては、課程による変化は見られないが、在学生に占める女性の割合が他分野と比較して低くなっています。

[備考]文部科学省「学校基本調査」(平成18年度)より作成。

5 大学教員における分野別女性割合

 分野別の教授割合は低く、職位が上がるにつれて女性割合が減少する傾向にあります。

 分野別の教授割合は、自然科学系分野において特に低くなっています。助手、講師、助教授、教授への職位が上がるにつれて女性割合が減少する傾向は、人文・社会科学系と自然科学系において共通に見られます。

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[備考]文部科学省「学校基本調査」(平成18年度)より作成。

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理科の成績や進路に関する教師や親の自分に対する期待について、女子の方が期待されていないと感じています。Columnコラム 中学2年生からみた理科の学習に対する周囲の意識

(備考)内閣府「男女共同参画白書」(平成17年版)より作成

6 研究者に占める女性割合の国際比較

 我が国の女性研究者の数は、国際的にみても非常に少なくなっています。

 我が国の女性研究者の割合は11.9%であり、フランスの27.5%、イギリスの26.0%、ドイツの15.5%等と比較しても非常に少ない状況にあります。

[備考]1  文部科学省科学技術政策研究所資料(NISTEP REPORT No.86) より作成(日本及びアメリカは除く)。    アイスランドは平成14年(2002年)、ドイツ・フランス・アイルランド・イタリア・ポーランド・スイス・イギリスは平成12年(2000年)、ギリシア・ポル

トガルは平成11年(1999年)、オーストリアは平成10年(1998年)、そのほかの国は平成13年(2001年)時点。 2 日本の数値は、総務省「平成18年科学技術研究調査報告」に基づく(平成18年(2006年)3月時点)。 3  アメリカの数値は、国立科学財団(NSF)の「Science and Engineering Indicators 2004」に基づく科学者(scientist)における女性割合(人文科学の一部及び

社会科学を含む)。平成11年(1999年)時点の数値。

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就業分野における男女共同参画41 年齢3区分別人口の推移

 生産年齢人口は減少していくと予測されており、労働力減少の影響を緩和し、日本経済の活力を維持・向上していくためには、男女問わず能力を最大限発揮できるようにしていくことが不可欠の状況となっています。

 15 〜 64歳の生産年齢人口は、1995年をピークに減少している一方、65歳以上の老年人口比率は急速に高まっています。 このように日本は現在、生産年齢人口が増え、豊富な労働力が供給される人口ボーナス期から、生産年齢人口が急速に減り、老年人口が増える時期に移行しており、労働力減少の影響を緩和し、日本経済の活力を維持・向上していくためには男女問わず能力を最大限発揮できるようにしていくことが不可欠となっています。

2 2020年ごろの労働力人口の予測

 女性の労働力率が上昇すると、労働力人口の減少を緩和することができます。

 労働力率が平成16年と同じ水準で推移した場合の平成32年の労働力人口は、6,037万人となります。これに対し、女性の労働市場参加が進む場合として、平成32年の男女の労働力率の差が、現在の半分になったと仮定して計算した場合、平成32年の労働力人口は6,608万人となります。いずれも、平成12年の実績は下回るものの、女性の労働力率が向上することで、労働力人口の減少をかなりの部分緩和することができると推測できます。

[備考]国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成18年12月推計)より作成。

年齢3区分別人口の推移

[備考]1 平成12年までは総務省「労働力調査」、平成32年(労働力横ばいケース)は厚生労働省推計(平成17年7月)より作成。 2 平成32年(女性労働力率上昇ケース)は、年齢階級別の男女の労働力率の差が半分となったと仮定して内閣府男女共同参画局において推計。

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3 女性の年齢階級別潜在的労働力率

 生産年齢人口が減少する中で、労働力人口の維持には女性の労働力率の上昇が期待されていますが、特に子育て期以降、女性の潜在的労働力率と実際の労働力率の間には乖離があり、就労を希望しながら働けない女性がいることがうかがえます。

4 女性の年齢階級別労働力率の国際比較

 日本、韓国では、労働力率にM字カーブがみられますが、アメリカ、ドイツ、スウェーデンではM字カーブはみられません。

 日本、韓国では、結婚、出産、子育て期に労働力率は低下し、M字型になります。一方、アメリカ、ドイツ、スウェーデンでは、結婚、出産、子育てによる労働力率の低下はあまり見られません。 この要因として、仕事と子育ての両立支援策の充実等女性が働きやすい環境条件の整備などが考えられます。

[備考]1  「労働力率」…15歳以上人口に占める労働人口(就業者+完全失

業者)の割合2 アメリカ、スウェーデンの「15 〜 19歳」は16 〜 19歳。3  日本は総務省「労働力調査」、その他の国はILO「LABORSTA」

より作成。4 2004年のデータ。

日本は韓国と同様、M字型がはっきりと見て取れます。

アメリカ、ドイツ、スウェーデンでは、年齢階級別労働力率にM字のくぼみがみられません。

平成18年は平成7年に比べるとM字カーブの底が上昇しており、台形に近づいています。この変化は、女性の晩婚・晩産化による子育て年齢の上昇等によると考えられます。

女性の潜在労働力率と実際の労働力率の間には乖離があり、就労を希望しながら働けない女性もいます。

男性の労働力率は極めて高くなっています。

女性の労働力率は、結婚、出産、子育て期に低下し、M字型になります。しかし、潜在的労働力率を見るとM字のくぼみは小さくなっており、就職希望はあるが、実現できていないという状況にあります。

[備考]1  総務省「労働力調査(詳細結果)」より作成。2  年齢階級別潜在的労働力率=(労働力人口(年

齢階級別)+非労働力人口のうち就業希望者(年齢階級別))/ 15歳以上人口(年齢階級別)

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5 女性の雇用形態の内訳別年齢階級別雇用者割合

 女性が再就職しても、正社員の割合に比べてパート、アルバイトの割合が高くなるのが現状です。

 子育て期にあたる30代で低い有業率は40代で回復しますが、正社員の割合よりパート、アルバイトの割合が高くなっていることから、女性の再就職においては、正社員の割合に比べてパート、アルバイトの割合が高くなっていることがわかります。

6 雇用形態別にみた役員を除く雇用者(非農林業)の構成割合の推移

 女性の非正規雇用者(パート・アルバイト、派遣社員等)が急速に増加しています。

 雇用者の雇用形態別構成の推移を見ると、近年非正規労働者の割合が上昇しており、特に女性は、昭和60年の31.9%から平成18年には52.7%まで上昇して半数を超えており、非正規雇用者が急速に増加しています。

男女共同参画をめぐる現状1

[備考]1  昭和60年から平成13年は、総務省「労働力調査特別調査」(各年2月)より、

16、18年は「労働力調査(詳細結果)」より作成。2  「労働力調査特別調査」と「労働力調査(詳細結果)」とでは、調査方法、調査

月などが相違することから、時系列比較には注意を要する。

正規の職員・従業員

パート・アルバイト

その他(労働者派遣事業者の派遣社員、契約社員、嘱託、その他)

(%)

[備考]1 総務省「就業構造基本調査」(平成14年)より作成。2 「雇用者」とは、会社、個人商店、団体、公社、官公庁などに雇用されて賃金、給料などを受けている者。会社などの役員を除く。3 「派遣社員等その他」とは、労働者派遣事業所の派遣社員、契約社員・嘱託、その他。

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7 給与階級別給与所得者の構成割合

 給与階級別の給与所得者の割合をみると、女性では300万円以下が6割以上である一方、男性では2割程度に過ぎないなど、大きな格差があります。

 1年間を通じて勤務した給与所得者を給与階級別にみると、女性では300万円以下が65.5%であるのに対し、男性では20.4%となっています。逆に700万円超の者は、女性では3.0%に過ぎない一方、男性では21.6%と大きな開きがあります。この要因として、パートタイム労働者の賃金水準の低さとそのようなパートタイム労働に女性が多く就いていることなどが男女間の収入格差に影響していると考えられます。

[備考]国税庁「民間給与実態統計調査」(平成17年度)より作成。

8 労働者の1時間当たり平均所定内給与格差の推移

 女性と男性の一般労働者の平均所定内給与額の差は年々縮小傾向にありますが、パートタイム労働者と一般労働者には依然として大きな格差があります。

 男性一般労働者を100とした場合、女性一般労働者の1時間当たりの平均所定内給与額は67.1で、男性一般労働者と比較して年々縮小傾向にあるものの、依然として大きな格差があります。 一方、女性パートタイム労働者の平均所定内給与額は、46.8にしかすぎません。

[備考]1 厚生労働省「賃金構造基本統計調査」より作成。 2 男性一般労働者の1時間当たり平均所定内給与額を100として、各区分の1時間当たり平均所定内給与額の水準を算出したものである。

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9 女性の活用と企業の業績

 女性の活用度と企業の経営の間には概ね密接な関係があります。

 課長に占める女性比率及び過去5年間の女性管理職の増減と、成長性指標と総合経営判断指標との間には概ね密接な関係がみられます(図表2)。

    総合経営判断指標 成長性指標 収益性指標

女性が占める比率「課長」 3%以上 3.16 135.3 165.6  1%以上3%未満 2.83 117.7 163.5  0%超1%未満 2.89 97.4 110.9  0% 2.70 100.8 164.8

女性管理職の比率の増減 大幅に増えた 3.46 173.7 289.8  やや増えた 2.94 110.9 144.1  現状維持 2.71 102.6 161.7  やや減った 2.64 93.1 66.5  減った 2.00 83.5 67.3

[備考]1部、2部上場企業及び店頭銘柄、生命保険、損害保険等を含む3,347社を対象とし、455社が回答。(注1)総合経営判断指標:競争相手とする企業と比べ、最近の業績はよいと思うかを5段階評価する。    良い×5+やや良い×4+ほぼ同じレベル×3+やや悪い×2+悪い×1を(総数−不明)で除した値

(注2)成長性指標:5年前の売上を100とした場合の現在の売上高(注3)収益性指標:5年前の営業利益を100とした場合の現在の営業利益資料:21世紀職業財団「企業の女性活用と経営業績に関する調査」(平成16年3月)より作成。

10 「育児休業制度」「短時間勤務制度」の利用による職場への影響

 両立支援制度の職場への影響については、「どちらかというとプラス」と答える管理職の方が「どちらかというとマイナス」と答える管理職よりも多くなっています。

[備考]1 調査対象:企業において両立支援策を利用した社員がいる部門の管理者 計7,000人 2 調査時期:2005年1月 3 少子化と男女共同参画に関する専門調査会「管理者を対象とした両立支援策に関する意識調査」

「育児休業制度」「短時間勤務制度」の利用による職場への総合的影響(単数回答 n=605)

「育児休業制度」「短時間勤務制度」の利用による職場への具体的影響(複数回答 n=764)

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11 農林漁業分野における男女共同参画の現状

 農林漁業者団体の役員等への女性の参画は低い状況です。

 女性は農業就業人口の過半を占めるなど、農林水産業や農山漁村社会において重要な担い手として大きく貢献しています。しかしながら、農林漁業者団体の役員等への女性の参画は近年増えているものの、その割合は依然として低くなっています。

農林漁業者団体の役員等における女性割合の推移

平成2年度 平成7年度 平成12年度 平成15年度 平成16年度

農 業 委 員 0.2 0.3 1.8 4.1 4.2

農 業 協 同 組 合 役 員 0.1 0.2 0.6 1.2 1.5

森 林 組 合 役 員 0.2 0.2

漁 業 協 同 組 合 役 員 0.1 0.1 0.2 0.3 0.3

[備考]農業委員:農林水産省「農業委員会及び都道府県農業会議実態調査」 農業協同組合役員:農林水産省「総合農協統計表」 森林組合役員:林野庁「森林組合統計表」より作成。 漁業協同組合役員:水産庁「水産業協同組合統計表」 農業委員については、10月1日現在。 森林組合役員については、平成2年度、7年度、12年度についてはデータなし。

 農林漁業分野の女性は、家事・育児等の負担をより多く担っています。

 農林漁業分野の女性の家事・育児等を含めた全労働時間は、全産業有業者全体の女性の労働時間と同水準となっています。その内訳をみると、農林漁業分野の女性が家事・育児等に携わる時間は、全産業有業者全体の女性よりも長くなっています。

農林漁業作業者における男女の労働時間(週全体の平均時間)の比較

単位:%

単位:時間

[備考]総務省「社会生活基本調査」(平成13年) 「家事・育児等」には、「家事」「介護・看護」「育児」が含まれる。

農林漁業作業者 全産業有業者全体

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仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)*仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の解説については、P82の男女共同参画Q&AのQ11を参照。

51 15歳以上女性人口内訳の推移(割合)

 15歳以上女性の約半数が働いています。また、家事のみを行っている女性の割合は、働いている女性の割合より低くなっています。

[備考] 1 総務省「労働力調査」(平成17年平均結果)より作成 2 労働力人口:自営業主、家族従業者、雇用労働者、完全失業者

2 性・年齢階級別就業時間(非農林業)

 男性の育児期の就業時間は長く、育児参加時間は短い。

 男女別、年齢階級別の平均週間就業時間をみると、女性は30歳代後半から40歳代後半にかけての就業時間が短くなっている一方、男性は30歳代が最も長く、約50時間となっています。また、週60時間以上働く者の割合も、男性は30歳代が最も高くなっています。 育児期の男性の就業時間は長く、女性が就業時間を調整することにより子育てを行っている状況がうかがえます。

[備考]総務省「労働力調査」(平成18年)より作成

家族従業者の割合は減少しています。

15歳以上女性人口の約5割が就業しています。

労働力人口に占める雇用労働者の割合は戦後一貫して増加しており、現在は約3分の2となっています。

家事のみを行っている女性は、戦後増加し、1975年に4割弱になりましたが、その後減少し、現在は約3割を少し下回りました。

男女共同参画をめぐる現状1

15歳以上女性人口内訳の推移(割合)

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3 夫婦の生活時間

 男性の家事・育児・介護等の時間は、女性と比べて非常に短い状況になっています。

 夫の家事・育児・介護等の時間は、共働き世帯、共働き世帯のうち夫も妻も雇用されている人の週間就業時間が35時間以上、夫が有業で妻が無業の世帯のいずれの場合でも、女性と比べて非常に短いことがうかがえます。

[備考]資料:総務省「社会生活基本調査」(平成13年)より作成。

4 育児期にある夫婦の育児等の時間の国際比較

 日本の男性の育児時間、家事時間は、各0.4時間で諸外国の中で目立って低くなっています。

 夫の家事・育児・介護等の時間は、共働き世帯、共働き世帯のうち夫も妻も雇用されている人の週間就業時間が35時間以上、夫が有業で妻が無業の世帯のいずれの場合でも、女性と比べて非常に短いことがうかがえます。

[備考]1 OECD「Employment Out Look 2001」、総務省「社会生活基本調査」(平成13年)より作成。 2 5歳未満(日本は6歳未満)の子供のいる夫婦の育児、家事及び稼得労働時間。 3 妻はフルタイム就業者(日本は有業者)の値、夫は全体の平均値。 4  「家事」は、日本以外については“Employment Outlook 2001”における「その他の無償労働」、日本については「社会生活基本調査」における「家事」、「介護、

看護」及び「買い物」の合計の値である。日本以外の「仕事」は、“Employment Outlook 2001”における「稼得労働」の値。

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5 ワーク・ライフ・バランスの希望と現実

 既婚者だけではなく、独身男女も仕事と生活のバランスをとりたいと考えていますが、希望通りになっていません。特に男性で、希望と大きく離れる形で現実は仕事優先となっています。

[備考] 「生活の中での、仕事・家事(育児)・プライベートな時間(趣味など)の優先度についてお伺いします。『現実』としての優先度と、『希望』の優先度について、あなたのお考えや現状に最も近いものを、1つお選び下さい」への回答。少子化と男女共同参画に関する専門調査会「少子化と男女共同参画に関する意識調査」(平成18年)より作成。

6 出生数及び合計特殊出生率の推移

 出生数及び合計特殊出生率は概ね毎年減少傾向にありましたが、18年度は増に転じました。

 出生数及び合計特殊出生率は概ね毎年減少傾向にあり、平成15年には、合計特殊出生率は1.29となり初めて1.3を下回りました(16年も同率)。18年は増に転じ、1.32となっています。

[備考] 厚生労働省

「人口動態統計」より作成

男女共同参画をめぐる現状1

〈希望〉

〈現実〉

女性:既婚有業(n=1079)

女性:独身有業(n=691)

男性:既婚有業(n=1929)

男性:独身有業(n=1140)

〈希望〉

〈現実〉

〈希望〉

〈現実〉

〈希望〉

〈現実〉

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7 結婚持続期間別に見た妻の就業経歴別1歳以上の子どもを持つ夫婦の平均出生子ども数

 就業経歴別にみると、就業継続型と専業主婦型には子どもの平均出生数に差はみられません。

 1歳以上の子どもがいる夫婦について、(最初の子どもの保育期間を含む)妻の就業経歴(就業継続型、再就職型、専業主婦型)と出生子ども数の関係をみると、妻の就業経歴による子どもの平均出生数には、必ずしも大きな差はみられません。

[備考]1 国立社会保障・人口問題研究所「第13回出生動向基本調査」(2005年)より作成。 2 対象は妻が結婚前に就業しており1歳以上子どもがいる初婚どうしの夫婦(子ども数不詳を除く。) 妻の就業経歴の定義は以下のとおり。   就業継続型:結婚前就業〜第1子産後就業〜現在就業   正規継続型:結婚前正規雇用〜第1子出産後正規雇用〜現在正規雇用(正規雇用には派遣・嘱託を含む)            再就職型 :結婚前就業〜第1子出産後無職〜現在就業   専業主婦型:結婚前就業〜第1子出産後無職〜現在無職 3 総数にはその他の就業経歴・就業経歴不詳を含む。

8 第1子出産前後の女性の就業状況の変化

 きょうだい数1人(本人のみ)の世帯の女性の就業状況をみると、出産を機に約7割(67.4%)の女性が仕事を辞めています。

[備考]1 きょうだい数1人(本人のみ)の母の就業状況。調査時現在、子が母と同居している場合のみ集計。   ( )内は出産1年前有職、出産半年後無職、出産半年後有職をそれぞれ100とした場合の比率。 2 厚生労働省「第1回21世紀出生児縦断調査」(平成13年度)より作成。

無職

元常勤(57) 常勤(74)

38.2% 27.3% 1.9% 23.9% 3.7% 4.6%

0.4%無職67.4%(100) 有職32.2%(100)

0 20 40 60 80 100%

0 20 40 60 80 100%

出産1年前(n=22,914)

出産半年後(現在)

(n=16,852)

25.6% 47.2%(64) 22.5%(31)

勤め(常勤)

有職73.5%(100)自営業等

不詳0.8%

3.8%

出産1年前に有職だった者の出産半年後(現在)の状況

元パートアルバイト(40)

勤め(パート・アルバイト)

きょうだい数1人(本人のみ)の世帯の出産直後の女性の就業状況の変化

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9 育児休業取得率

 育児休業取得率は年々増加していますが、男性の取得率はわずか1%に満たない。

[備考]1 厚生労働省「女性雇用管理基本調査」より作成。 2 女性の育児休業取得率は、出産した者に占める育児休業者の割合である。男性の育児休業取得率は、配偶者が出産した者に占める育児休業者の割合である。

10 子どもの出生年別、第1子出産前後の就業経歴の構成

 出産後も就業を継続する女性は増えていません。育児休業制度を利用して就業を継続した女性の割合は増加しているものの、育児休業制度を利用せずに就業を継続している女性を含めると、継続就業している女性の割合は増えていません。

[備考]国立社会保障・人口問題研究所「第13回出生動向基本調査」(2005年)より作成。

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 日本では、女性の労働力率は結婚、出産、子育て期である25 〜 34歳で低下しますが、スウェーデン等では、このような労働力率の低下はみられません。スウェーデンの労働力率の内訳をみてみると、休業者が2割を占めています。つまり、出産後も育児休業により雇用を継続して離職してないことがわかります。

Columnコラム スウェーデンと日本における女性の労働力率及び育児休業中の対応

[備考]内閣府「少子化社会白書」(平成17年版)より

 従業員が育児休業を取得した場合の職場の対応をみると、スウェーデンの事業所では、「臨時契約社員を雇う」ケースが7割を占めています。「業務を分担する」も5割ありますが、複数回答であることを考慮すると、残りの職員だけで対応するよりも、業務を分担しつつ、臨時社員を雇用して対応する場合が多いものと思われます。 一方、日本では、育児休業中の職場における代替者は「社内の人員を異動させる」が最も多く、ついで「代替者はいない」となっています。また、育児休業制度や短時間勤務制度の円滑な利用のために会社に期待するものとしては「休業中の代替要員を確保する仕組みをつくる」が最も多くあげられており、育児休業中の代替要員の確保への対応の遅れが、日本において、出産を機に離職する女性が多い原因の一つと考えられます。

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�� 男女共同参画ハンドブック

[備考]男女共同参画会議少子化と男女共同参画に関する専門調査会「管理者を対象とした両立支援策に関する意識調査」

[備考]内閣府経済社会総合研究所「スウェーデン企業におけるワーク・ライフ・バランス調査」報告書(2005年度)より作成。

[備考]日本労働研究機構「育児や介護と仕事の両立に関する調査」(平成15年)

○スウェーデンにおける育児休業中の空きへの対応(複数回答)

○日本における育児休業中の職場における代替者(複数回答)

○育児休業制度や短時間勤務制度の円滑な利用のために会社に期待するもの(複数回答)

男女共同参画をめぐる現状1

n=764

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11 女性の労働力率と出生率の国際比較              〜「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較報告書」より

◆  OECD 24カ国(1人当たりGDP1万ドル以上)のデータによれば、出生率と女性の労働力率の関係は時系列的に変化していますが、2000年時点では、女性の労働力率が高い国ほど、出生率が高いという傾向がみられます。

◆  アメリカ、オランダ、ノルウェーなどは女性労働力率を上昇させながら出生率も回復してきていますが、日本 は女性労働力率の上昇幅が24カ国中最も小さく、出生率は下がり続けています。

◆  この20年間に女性労働力率を上昇させながら出生率も回復してきている国では、男性を含めた働き方の見直しや保育所整備等の両立支援などが進んでいるという特徴があります。

図表1 OECD加盟24か国における女性労働力率と合計特殊出生率

図表2 日本とアメリカ・オランダ・ノルウェーの女性労働力率と合計特殊出生率の推移

図表3 日本とアメリカ・オランダ・ノルウェーの社会環境指標

[備考]「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国際比較報告書」より作成

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12 女性の有業率と出生率の国内分析              〜「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国内分析報告書」より

◆ 2002年時点では、女性有業率の高い都道府県のほうが出生率が高い傾向が見られます。◆  出生率の変化と水準、女性有業率の水準によって都道府県を分類すると、女性有業率が高く合計特殊出生率

の減少率も小さいグループと、女性有業率が低く出生率の減少率も大きいグループの両極に分かれていることがわかりました。

◆  女性の就労と男女が子どもを産み育てることの双方に良い影響を及ぼすためには、総合的な両立支援策が必要であること、特に長時間労働の是正等の働き方の見直しや、地域における社会的な子育て支援体制の構築が重要です。

図表1 都道府県における女性有業率と合計特殊出生率:1971年、87年、2002年

図表2 〈都道府県のタイプ別分類〉

図表3 タイプ1とタイプ7および東京都の社会環境指標

[備考]「少子化と男女共同参画に関する社会環境の国内分析報告書」より作成

男女共同参画をめぐる現状1

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女性に対する暴力61 配偶者からの被害経験

 女性の約10人に1人は、配偶者からの暴力の被害を何度も受けています。

 配偶者(事実婚や別居中の夫婦、元配偶者も含む)から、これまでに「身体に対する暴行」「精神的な嫌がらせや恐怖を感じるような脅迫」「性的な行為の強要」のいずれかを一つでも受けたことが「何度もあった」という人は、女性では10.6%、男性では2.6%となっています。

2 夫から妻への犯罪の検挙状況

 夫から妻への暴力の検挙件数は平成12年以降、大幅に増加しています。

 配偶者間における犯罪のうち、女性が被害者である場合の検挙件数の推移を罪種別にみると、暴行、傷害が平成12年以降、大幅に増加しています。18年においては、暴行が671件で前年よりも312件(86.9%)の増加、傷害が1,294件で30件(2.4%)の増加となっています。

[備考]警察庁資料より作成

[備考]内閣府「男女間における暴力に関する調査」(平成17年)より作成

33.2

17.4

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女性のライフサイクルモデル71 女性のライフサイクルモデル

 人生における有配偶者期間が増加し、男女ともにライフサイクルが変化しています。

 男女ともに長寿化が進展してライフサイクルが伸びており、それぞれのライフステージにおける人生の出来事は総じて遅くなっています。一方、晩婚化が進んでいるもののそれ以上に長寿化が進んでいることから、人生に占める有配偶者期間が46年から50年へ増加しています。結婚から子どもの出産期間はほとんど変化しておらず、末子の小学校入学後の人生は、女性で43年から48年へ、男性が36年から40年へと増加しています。 このように、男女共にライフサイクルが変化し、多様な選択が可能になってきており、いかなる人生を送るのかを主体的に考えることがますます重要になってきています。

[備考]1 厚生労働省「人口動態統計」、「生命表」、国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」より作成。 2 寿命は各年の20歳の時の平均寿命から算出。

2 子どもの年齢別母の就業割合の変化

 子どもの年齢が上がるにつれ、母親の有業割合が上昇しています。

[備考]1 厚生労働省「第4回21世紀出生児縦断調査」(平成16年)より作成。 2 全国の平成13年1月10日から17日の間及び7月10日から17日の間に出生した子が対象。 3 調査の時期 第1回調査:1月出生児は平成13年8月1日、7月出生児は平成14年2月1日(月齢6 ヶ月) 第2回調査:1月出生児は平成14年8月1日、7月出生児は平成15年2月1日(月齢1歳6 ヶ月) 第3回調査:1月出生児は平成15年8月1日、7月出生児は平成16年2月1日〔月齢:2歳6 ヶ月) 第4回調査:1月出生児は平成16年8月1日、7月出生児は平成17年2月1日(月齢:3歳6 ヶ月)

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3 育児のために転職した女性の離職期間及び離職期間別再就業形態

 育児のために転職した女性の離職期間別にみると、正社員での再就職を希望する場合は、早期に行う方が実現しやすい状況です。

 再就職に成功した女性のうち、育児のために転職した女性の離職期間をみると、3年以下の者が5割近くを占めており、離職期間が長くなるにしたがって割合が減る傾向がみられます。さらに、中断期間別に就業形態をみると、離職期間が長くなるほど正社員での再就職が減少しており、正社員での再就職を希望する場合は早期に行う方が実現しやすいといえます。

育児のために転職した女性の離職期間

[備考]総務省「就業構造基本調査」(平成14年)より作成。

女性の離職期間別再就業形態

[備考]1 (株)UFJ総合研究所「わが国の労働市場における各種制約と再就業に与える影響に関する調査研究報告書」(内閣府委託平成17年)より作成。 2 末子が4歳以上小学校までの子どもを持つ再就業した女性を対象としている。