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ガイドワイヤー“VASSALLO”を使って 血管内を泳ぐようにすすむ。 次いでATAに対してEVTを行った。貫通用カテーテルをATA閉塞近位 端にもってきて、VASSALLO G14 190cmで掘りはじめ、病変部の通過 に成功した(Fig 4A, B, C)。通過後、貫通用カテーテルを進め、ガイド ワイヤーをVASSALLO G14からVASSALLO FLOPPY 300cmに交換し た。この際、VASSALLO FLOPPYがATAのブランチを利用して容易に ナックル形状にすることができた(Fig 4D, E, F, G)。 最後にATAとTPTに対してバルーン3.0x100mmで病変部を拡張し (Fig 5A, B)、良好な血流を得て手技を終了した(Fig 6A, B)。 考察 今回我々は、SFAとBTKの高度石灰化を含む閉塞病変に対して、 0.014”ガイドワイヤー“VASSALLO”を使用したので、その率直な感想 を述べる。 ①高いトルク性能 Case1では、クロスオーバーアプローチで対側SFA遠位部の石灰化 CTOにアプローチしていた。順行性よりトルク性能が低下すること が予想されるが、術者の手元操作とガイドワイヤー先端のレスポ ンスは良好で、石灰化をメルクマールに掘り進むのにVASSALLO G14もVASSALLO G40も方向性を決めやすかった。 ②高い穿通性 Case1,2ともに、CTO遠位端の石灰化に対してVASSALLO G40によ り穿通に成功した。高度石灰化に対しても高い穿通力を実感した。 ③従順なナックル性能 VASSALLO FLOPPYを用いて複数回、ナックルワイヤーも試してみ た。血管走行に対する追従性は良好で、狭窄病変に対する通常使 用に加え、VASSALLOナックルも有用と考えられた。 まとめ 鼠径靭帯以下の閉塞病変に0.014”ガイドワイヤー“VASSALLO”を使 用した。VASSALLO FLOPPYの高い血管追従性、VASSALLO G14, G40 の高いトルク性と穿通性を経験したので報告する。 使用製品 VASSALLO 販売名:HB-IVRガイドワイヤー 承認番号:21300BZZ00438000 製造販売元:フィルメック株式会社 ※製品のご使用にあたっては、添付文書をご確認ください ©Cardinal Health Japan G.K. 2018 問い合わせ先 CHD0271-01-20184/NM OD [販売元]Cardinal Health Japan 合同会社 〒163-1034 東京都新宿区西新宿 3-7-1 新宿パークタワー はじめに Endovascular Therapy(EVT)をする上で、ガイドワイヤーの果たす 役割は大きい。病変の性状、硬さ、屈曲、閉塞の有無を評価し、それ ぞれに適したガイドワイヤーを選択し、手技を継続しなければなら ない。本邦では0.014”ガイドワイヤーがEVTにメインで使用されて おり、その操作性は極めて重要である。ガイドワイヤー操作はEVTの 基本手技であり、ワイヤーは術者の繊細な動きをワイヤー先端に伝 えるため、複雑病変では高度なトルク性能が要求される。 今回我々は、0.014”ガイドワイヤー“VASSALLO”を用いてEVTを施 行したので、その使用感を報告する。 CASE1 50代 男性 「SFA CTOをVASSALLOで抜く」 主訴 左間歇性跛行(Rutherford III) 現病歴 1年前から跛行症状あり。今年に入ってから症状進行を自覚した。 100m程度歩くと跛行が出現。近医にて左下肢の血流低下が疑われ 当科紹介となる。 既往症 高血圧・糖尿病 左ABI 0.65 クリニカルコース 対側クロスオーバーアプローチで6Frシースを挿入し、術前造影を施 行した 。左 S FA 遠 位 部 に 7 c m 程 度 の 閉 塞を認 め た( F i g 1 A )。 VASSALLO FLOPPY 235cmと貫通用カテーテルを閉塞近位端まで 近づけ、VASSALLO G14 190cmで掘り進めた。CTO遠位端近傍まで 掘り進んだ(Fig 1B, C)。CTO遠位端は石灰化が血管内を充填してお り、強固であった。そこでVASSALLO G40 190cmに変更し、閉塞病変を 貫通することに成功した(Fig 1D, E, F)。 小倉記念病院 循環器内科 曽我芳光 先生 Fig 1 Pre A D E B C Vassallo G14 Fig 4 A D E F G B C Vassallo G14 Vassallo Floppy 300 Fig 5 Balloon 3.0 ×100mm Balloon 3.0 ×100mm A B Fig 6 Pre Post A B F Vassallo G40 Clinical Update FOCUSING ON CURRENT ENDOVASCULAR CLINICAL PROCEDURES li li ical U date C C

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Page 1: Clinical Update Clili ical U date - Cordis Japan...次いでATAに対してEVTを行った。貫通用カテーテルをATA閉塞近位 端にもってきて、VASSALLO G14 190cmで掘りはじめ、病変部の通過

ガイドワイヤー“VASSALLO”を使って血管内を泳ぐようにすすむ。

次いでATAに対してEVTを行った。貫通用カテーテルをATA閉塞近位端にもってきて、VASSALLO G14 190cmで掘りはじめ、病変部の通過に成功した(Fig 4A, B, C)。通過後、貫通用カテーテルを進め、ガイドワイヤーをVASSALLO G14からVASSALLO FLOPPY 300cmに交換した。この際、VASSALLO FLOPPYがATAのブランチを利用して容易にナックル形状にすることができた(Fig 4D, E, F, G)。

最後にATAとTPTに対してバルーン3.0x100mmで病変部を拡張し(Fig 5A, B)、良好な血流を得て手技を終了した(Fig 6A, B)。

■考察今回我々は、SFAとBTKの高度石灰化を含む閉塞病変に対して、0.014”ガイドワイヤー“VASSALLO”を使用したので、その率直な感想を述べる。①高いトルク性能 Case1では、クロスオーバーアプローチで対側SFA遠位部の石灰化CTOにアプローチしていた。順行性よりトルク性能が低下することが予想されるが、術者の手元操作とガイドワイヤー先端のレスポンスは良好で、石灰化をメルクマールに掘り進むのにVASSALLO G14もVASSALLO G40も方向性を決めやすかった。②高い穿通性 Case1,2ともに、CTO遠位端の石灰化に対してVASSALLO G40により穿通に成功した。高度石灰化に対しても高い穿通力を実感した。③従順なナックル性能 VASSALLO FLOPPYを用いて複数回、ナックルワイヤーも試してみた。血管走行に対する追従性は良好で、狭窄病変に対する通常使用に加え、VASSALLOナックルも有用と考えられた。

■まとめ鼠径靭帯以下の閉塞病変に0.014”ガイドワイヤー“VASSALLO”を使用した。VASSALLO FLOPPYの高い血管追従性、VASSALLO G14, G40の高いトルク性と穿通性を経験したので報告する。

■使用製品VASSALLO販売名:HB-IVRガイドワイヤー承認番号:21300BZZ00438000製造販売元:フィルメック株式会社 ※製品のご使用にあたっては、添付文書をご確認ください

© Cardinal Health Japan G.K. 2018

問い合わせ先 :

CHD0271-01-20184/NM OD

[販売元] Cardinal Health Japan 合同会社〒163-1034 東京都新宿区西新宿 3-7-1 新宿パークタワー

■はじめにEndovascular Therapy(EVT)をする上で、ガイドワイヤーの果たす役割は大きい。病変の性状、硬さ、屈曲、閉塞の有無を評価し、それぞれに適したガイドワイヤーを選択し、手技を継続しなければならない。本邦では0.014”ガイドワイヤーがEVTにメインで使用されており、その操作性は極めて重要である。ガイドワイヤー操作はEVTの基本手技であり、ワイヤーは術者の繊細な動きをワイヤー先端に伝えるため、複雑病変では高度なトルク性能が要求される。今回我々は、0.014”ガイドワイヤー“VASSALLO”を用いてEVTを施行したので、その使用感を報告する。

 CASE1 50代 男性

「SFA CTOをVASSALLOで抜く」

■主訴左間歇性跛行(Rutherford III)

■現病歴1年前から跛行症状あり。今年に入ってから症状進行を自覚した。100m程度歩くと跛行が出現。近医にて左下肢の血流低下が疑われ当科紹介となる。

■既往症高血圧・糖尿病 左ABI 0.65

■クリニカルコース対側クロスオーバーアプローチで6Frシースを挿入し、術前造影を施行した。左SFA遠位部に7cm程度の閉塞を認めた(Fig 1A)。VASSALLO FLOPPY 235cmと貫通用カテーテルを閉塞近位端まで近づけ、VASSALLO G14 190cmで掘り進めた。CTO遠位端近傍まで掘り進んだ(Fig 1B, C)。CTO遠位端は石灰化が血管内を充填しており、強固であった。そこでVASSALLO G40 190cmに変更し、閉塞病変を貫通することに成功した(Fig 1D, E, F)。

小倉記念病院  循環器内科  曽我芳光 先生

Fig 1

Pre

A

D E

B C

Vassallo G14

Fig 4A

D E F G

B C

Vassallo G14

Vassallo Floppy 300

Fig 5

Balloon3.0 ×100mm

Balloon3.0 ×100mm

A B

Fig 6

Pre Post

A B

F

Vassallo G40

Clinical Update

F O C U S I N G O N C U R R E N T E N D O V A S C U L A R C L I N I C A L P R O C E D U R E S

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Clinical Update

まずは小径のバルーン2.0×40mmで病変を拡張し(Fig 2A, B)、次いでバルーン4.0×40mmで前拡張した(Fig 2C, D, E)。拡張後の造影は軽度の解離はあるものの良好な血流であった(Fig 2F)。

ガイドワイヤーをVASSALLO G40からサポートタイプのVASSALLO SUPPORT 300cmに変更し(Fig. 3A)、Drug-coated balloon 5.0×120mmで拡張した(Fig. 3B)。これにより良好な血流が得られたことを確認し手技を終了した(Fig. 3C, Fig. 4)。

■現病歴3か月前に右足背に熱傷。その後近医の皮膚科にて加療継続を行われるも治癒遅延あり。血流低下が疑われ精査加療目的で当科紹介となる。

■既往症大動脈弁狭窄、僧帽弁閉鎖不全症、大腸癌術後右ABI 0.75(Fig 1B)  右足背SPP 40mmHg

■クリニカルコース右鼠径部より3.3Frガイドシースを同側順向性に膝窩動脈まで挿入し、術前造影を行った(Fig 1C)。

前脛骨動脈(Anterotibial artery; ATA)は石灰化を伴う局所の閉塞、脛骨腓骨幹(Tibioperoneal Trunk; TPT)は閉塞、後脛骨動脈は長区域閉塞であった。今回の治療標的はATAとTPTとした。まずは脛骨腓骨幹閉塞からEVTを開始した。貫通用カテーテルをTPT閉塞近位端にもってきて、VASSALLO G14 190cmで掘りはじめた(Fig 2A, B)。CTO出口付近でガイドワイヤーが石灰化にはじかれてしまうため(Fig 2C)、ガイドワイヤーをVASSALLO G40 190cmに変更し、石灰化の貫通に成功した(Fig 2D, E, F)。

 CASE2 70代 女性

「BTK CTOをVASSALLOで抜く」

■主訴右難治性潰瘍(Rutherford V, Fig 1A)

通過後、貫通用カテーテルを進め、先端造影を行い、カテーテルが腓骨動脈にあることを確認し(Fig. 3A)、バルーン2.0x100mmで拡張し(Fig. 3B)、良好な血流を確認した(Fig. 3C)。

D E F

Balloon4.0x40mm

Balloon4.0x40mm

Fig 2

A

Balloon2.0×40mm

Balloon2.0×40mm

B C

Balloon4.0×40mm

A B

Vassallo SP DCB 5.0x120mm

Fig 3

AFig 1

BFig 1

C

Pre

Fig 1

CFig 3

Pre Post

Fig 4

A

D E F

B CFig 2

Vassallo G14

Vassallo G40

Fig 3

A B C

Tip injectionBalloon

2.0×100mm

ガイドワイヤー“VASSALLO”を使って血管内を泳ぐようにすすむ。