Chapter CSR経営の基盤 ステークホルダーと共 ...€¦ · CSR経営の基盤 Chapter 02...

5
CSRChapter 02 共存 公正 均衡 法・規 制・文 化・ 慣 習・倫 理 社会 社会 環境 環境 経済 経済 社会 環境 経済 ステークホルダーと共に進めるCSR ● 経営の透明性を確保するためのコーポレート・ガバナンス、内部統制の強化 ● 健全な企業経営に欠かせないコンプライアンス、人権の尊重 ● 総合商社最大の財産である「人」の育成、職場環境の整備 ● 良き企業市民としての社会貢献の推進と、地球環境保全への寄与 ● 適正な企業経営の推進による企業価値の増大 社会・環境と共存・共栄し、持続的な成長を実現する 企業となるためには、利潤を生み出す経済活動のみな らず、社会、環境を加えた3つの領域での価値・評価の バランスをとる努力を行っていく必要があります。それ がCSR経営であると考えています。 丸紅グループは、高い倫理観をもつ企業集団として CSR経営を推進することで、すべてのステークホル ダーから信頼される存在となることを目指しています。 しかし、丸紅グループのCSR経営は、グループ社員の 丸紅は社是「正・新・和」の精神に則り、公正明朗な企業活動を通じ、経済・社会の 発展、地球環境の保全に貢献する、誇りある企業グループを目指します。 高い倫理観を持ち、高潔かつ公正な企業活動を行います。 たゆまぬ自己変革を図り、飛躍に向けて挑戦します。 社会・環境との共生など、ステークホルダーと調和した企業活動を行います。 1. 公正、透明な企業活動の徹底 2. グローバル・ネットワーク企業としての発展 3. 新しい価値の創造 4. 個性の尊重と独創性の発揮 5. コーポレート・ガバナンスの推進 6. 社会貢献や地球環境への積極的な関与 丸紅グループの経営理念と指針 社 是 経営理念 丸紅 行動憲章 考えや行動のみで実現するものではありません。ステー クホルダーの意見に常に耳を傾け、共に考え、実践して いくことが不可欠と考えています。 丸紅では、以下に示すさまざまなステークホルダー の利益・満足を追求し、信頼を得ることにより、安定し た持続的なグループ企業基盤を構築しています。 なお、いずれのステークホルダーも重要であり、優先 順位を付すという考えはありません。 丸紅グループが社会を構成する一員としての責務を 果たすには、グループ経営の根幹を成す「正・新・和」の 精神に則り、グループ社員一人ひとりが高いCSR意識 をもって企業活動に携わる必要があります。また、CSR 活動に真剣に取組み、社会や環境と共生・共存できる 健全な経営を目指すことで、丸紅グループがより良き企 業市民として社会に認知され、持続的な成長を実現で きると考えています。 丸紅では、2004年4月にCSR委員会(現CSR・環境 委員会)を設置し、さまざまな分野でCSR活動の強化 に取組んできました。 中期経営計画“SG2009” (08~09年度)では、重点 施策のひとつに「CSR・環境の重視」を掲げ、「社是の実 践と、コンプライアンス、社会貢献、環境に対する高い 意識の醸成」に取組んでいます。 具体的な活動においては、特に次の分野に力を入れ ています。 Marubeni CSR Report 2009 14 13 CSR経営の基盤 Chapter 02 丸紅グループの考えるCSR CSRの考え方 持続的な発展 ニーズに づき、安 うえ、 ・サー します。また、 じて、 みます。 顧 客 引を し、 引 から される します。また、 ニーズを まえ、 ・サー く、 引 します。 取引先 員一 します。また、あらゆる し、 ける ます。 社 員 一員 して り、 か します。 にお いて 、域 ・慣 し、 する 営に めます。また、 威を える および 体に した態 みます。 地域社会/ NGO・NPO に対 し安 める一 した め、株 待に えます。また、 かつ します。 株 主 株 主 顧 客 取引先 社 員 地域社会 NGO・NPO 3つの要素の バランスをとった 持続可能な成長戦略

Transcript of Chapter CSR経営の基盤 ステークホルダーと共 ...€¦ · CSR経営の基盤 Chapter 02...

Page 1: Chapter CSR経営の基盤 ステークホルダーと共 ...€¦ · CSR経営の基盤 Chapter 02 Chapter 02 CSR経営の基盤 Marubeni CSR Report 2009 17 18 社員の声 丸紅の内部統制は、社是「正・新・和」の浸透によって完成しています。

CSR経営の基盤

Chapter

02

共存

公正

均衡

法・規制・文化・慣習・倫理

社会社会

環境環境

経済経済

社会

環境

経済

ステークホルダーと共に進めるCSR 

● 経営の透明性を確保するためのコーポレート・ガバナンス、内部統制の強化● 健全な企業経営に欠かせないコンプライアンス、人権の尊重● 総合商社最大の財産である「人」の育成、職場環境の整備● 良き企業市民としての社会貢献の推進と、地球環境保全への寄与● 適正な企業経営の推進による企業価値の増大

 社会・環境と共存・共栄し、持続的な成長を実現する企業となるためには、利潤を生み出す経済活動のみならず、社会、環境を加えた3つの領域での価値・評価のバランスをとる努力を行っていく必要があります。それがCSR経営であると考えています。 丸紅グループは、高い倫理観をもつ企業集団としてCSR経営を推進することで、すべてのステークホルダーから信頼される存在となることを目指しています。 しかし、丸紅グループのCSR経営は、グループ社員の

丸紅は社是「正・新・和」の精神に則り、公正明朗な企業活動を通じ、経済・社会の発展、地球環境の保全に貢献する、誇りある企業グループを目指します。

正 高い倫理観を持ち、高潔かつ公正な企業活動を行います。新 たゆまぬ自己変革を図り、飛躍に向けて挑戦します。和 社会・環境との共生など、ステークホルダーと調和した企業活動を行います。

1. 公正、透明な企業活動の徹底2. グローバル・ネットワーク企業としての発展3. 新しい価値の創造4. 個性の尊重と独創性の発揮5. コーポレート・ガバナンスの推進6. 社会貢献や地球環境への積極的な関与

丸紅グループの経営理念と指針

社 是

経営理念

丸紅行動憲章

考えや行動のみで実現するものではありません。ステークホルダーの意見に常に耳を傾け、共に考え、実践していくことが不可欠と考えています。 丸紅では、以下に示すさまざまなステークホルダーの利益・満足を追求し、信頼を得ることにより、安定した持続的なグループ企業基盤を構築しています。 なお、いずれのステークホルダーも重要であり、優先順位を付すという考えはありません。

 丸紅グループが社会を構成する一員としての責務を果たすには、グループ経営の根幹を成す「正・新・和」の精神に則り、グループ社員一人ひとりが高いCSR意識をもって企業活動に携わる必要があります。また、CSR活動に真剣に取組み、社会や環境と共生・共存できる健全な経営を目指すことで、丸紅グループがより良き企業市民として社会に認知され、持続的な成長を実現できると考えています。 丸紅では、2004年4月にCSR委員会(現CSR・環境

委員会)を設置し、さまざまな分野でCSR活動の強化に取組んできました。 中期経営計画“SG2009”(08~09年度)では、重点施策のひとつに「CSR・環境の重視」を掲げ、「社是の実践と、コンプライアンス、社会貢献、環境に対する高い意識の醸成」に取組んでいます。 具体的な活動においては、特に次の分野に力を入れています。

Marubeni CSR Report 2009

1413

CSR経営の基盤Chapter 02

丸紅グループの考えるCSR

CSRの考え方

持続的な発展

顧客のニーズに基づき、安全性に十分配慮のうえ、社会的に有用な商品・サービスを開発・提供します。また、誠実な対応を通じて、満足度の向上、信頼の獲得に常時取組みます。

顧 客

公正・透明な取引を推進し、取引先から信頼される企業を目指します。また、顧客のニーズを踏まえ、新商品・サービスなどを創出すべく、取引先との連携を強化します。

取引先社員一人ひとりの価値観・人生設計を尊重します。また、あらゆる差別を撤廃し、誰もが快適に働ける職場環境を整備します。

社 員

地域社会の一員として共生を図り、豊かな地域社会創造に貢献します。海外においては、地域の文化・慣習を尊重し、現地の発展に貢献する経営に努めます。また、社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体には、断固とした態度で臨みます。

地域社会/NGO・NPO

事業環境の変化に対応し安定的な収益の確保に努める一方、環境・社会的側面も重視した企業価値の向上に努め、株主の期待に応えます。また、企業情報を積極的かつ公正に開示します。

株 主

株 主顧 客 取引先 社 員 地域社会NGO・NPO

3つの要素のバランスをとった

持続可能な成長戦略

Page 2: Chapter CSR経営の基盤 ステークホルダーと共 ...€¦ · CSR経営の基盤 Chapter 02 Chapter 02 CSR経営の基盤 Marubeni CSR Report 2009 17 18 社員の声 丸紅の内部統制は、社是「正・新・和」の浸透によって完成しています。

CSR経営の基盤

Chapter

02

 丸紅のコーポレート・ガバナンスは、「社是」「経営理念」「丸紅行動憲章」などの基本精神のもと、グループ全体の経営の透明性と効率性を高め、企業価値の増大を図ることを目的としています。

 丸紅は、会社法に基づく監査役設置会社であり、会社の経営上の意思決定、執行および監督に係る経営管理組織を下図のように定めています。

Marubeni CSR Report 2009

コーポレート・ガバナンス

 丸紅グループは広範囲にわたる事業活動から、ミクロ・マクロ、定性・定量の多面的なリスク管理を行っています。マクロの視点からは、定量的手法としての統合リスク管理を推進しており、ミクロの視点からは、案件ごとのシナリオ分析の義務づけ、定量基準の厳守、モニタリング制度など、個別案件への対応を強化しています。

 定性リスクについては、内部統制システムの整備、およびコンプライアンス体制の強化を通じて未然に防止する体制を整えています。また、貿易コンプライアンスについては、貿易管理部を設置し牽制機能の強化と実務機能の充実を図っています。

リスクマネジメント

CSR経営の基盤Chapter 02

コーポレート・ガバナンス体制図

丸紅グループのリスクマネジメント

15 16

取締役会と社外取締役、監査役

 取締役会は取締役13名で構成され、経営方針その他の重要事項を決定するとともに、取締役、執行役員の職務執行を監督しています。取締役の任期は1年で、取締役会の実効性と経営の透明性を高めるために、2005年度からはうち2名を社外取締役としています。監査役会は監査役4名、うち社外監査役2名で構成されています。 社外取締役・小倉利之、同・石川重明、社外監査役・喜田理、同・工藤博司は、当社との間に人的関係、資本的関係、または取引関係その他の利害関係はありません。

取締役会、監査役会の開催

 取締役会は、08年度に20回開催され、すべての取締役会に社外取締役が出席しています。監査役会については8回開催しましたが、すべての監査役会に社外監査役が出席しています。

役員報酬

 08年度の取締役16名(2008年6月に退任した取締役3名含む)に対する報酬は881百万円で、監査役4名に対する報酬は103百万円です。なお、金銭以外の役員報酬は支払われていません。

(業務執行体制)

選任・解任 選任・解任 選任・解任

選任・解任・監督

監査

会計監査会計監査

内部監査

監査役会

(連係)

監査役4名(うち社外監査役2名)

会計監査人

監査役室取締役会

取締役13名(うち社外取締役2名)

監査部

開示委員会内部統制委員会CSR・環境委員会役員処遇委員会

コンプライアンス委員会投融資委員会

国内・海外事業所コーポレートスタッフ部門

営業部門

執行役員会部門長会

経営会議社長

リスク管理体制の整備 経営に重要な影響を及ぼすリスクの管理については、下図のような体制で取組んでいます。 重要な投融資などの個別案件については、稟議制度に基づいて投融資委員会での審議の後、経営会議に付議され、社長が決裁を行います。実施後は、主管営業部

がフォローし、重要案件については投融資委員会および取締役会に対して定期的に現状報告が行われています。さらに、全社的なリスクの分散という観点から、ポートフォリオ管理を行っています。

定 量

統合リスク管理の継続強化

業務遂行における定性リスク管理の深化

定 性

PATRAC社内格付け

新規投融資案件精査方法の厳密化案件のフォローアップ体制強化

与信管理

リスクアセットグループ全体でのエクスポージャー管理カントリーリスク管理市場リスク管理

内部統制/コンプライアンス通関管理安全保障貿易管理

マクロ ミクロコーポレート・ガバナンス

リスクマネジメントの考え方コーポレート・ガバナンス体制

リスク管理体制模式図

(意思決定)

会社法・定款規程案件・重要案件付議

審議

重要案件付議

意思決定

都度報告

定期報告(重要案件)

稟議申請

(個別案件)

営業部門

ポートフォリオ・ユニット

取締役会

取締役社長 経営会議

投融資委員会

株 主 総 会

Page 3: Chapter CSR経営の基盤 ステークホルダーと共 ...€¦ · CSR経営の基盤 Chapter 02 Chapter 02 CSR経営の基盤 Marubeni CSR Report 2009 17 18 社員の声 丸紅の内部統制は、社是「正・新・和」の浸透によって完成しています。

CSR経営の基盤

Chapter

02

Marubeni CSR Report 2009CSR経営の基盤Chapter 02

17 18

社員の声 丸紅の内部統制は、社是「正・新・和」の浸透によって完成しています。リスクマネジメント部 内部統制システム推進チーム長 小林 守

 “MARICO PROJECT”、内部統制委員会の事務局として約5年にわたり、グループのあらゆる業務の中に入り込み、業務手続きの文書化をはじめとする内部統制の整備を進めてきました。金融商品取引法に定められた内部統制報告制度は、米国SOX法に倣ったものだけに、社員が不正を犯す隙を徹底的になくすため、業務の細部にわたっての仕組みの運用と管理を要求するものです。したがって、それに対応する現場の業務には多大な手間が発生しました。 タスクにあたった私の率直な感想を言えば、社是「正・新・和」の精神で業務にあたる丸紅グループの社員にとっては、このような性悪説に立った煩雑な手続きは余分だと感じました。しかし一方で、これまで現場で個々に運用していた仕入売上の手続きやリスク管理の流れが、見える化・共有化できたため、業務の効率化などの面では活用が期待できると思います。 丸紅グループでは、常日頃から社長をはじめ経営陣が高潔かつ公正な企業活動を唱えており、社員の中にも遵法意識が根づいています。今後もこのような社風を活かし、内部統制のレベルアップに先進的に取組んでいきたいと思います。

内部統制委員会の設置

 08年4月に、内部統制委員会を設置しました。これにより、04年から取組んできた“MARICO PROJECT”と、06年から推進してきた業務全般に係る内部統制強化の活動(会社法における内部統制の基本方針)がともに基幹業務に組み込まれ、より高いレベルの包括的な統制強化が図られています。 08年度の委員会では、委員会活動趣旨、会社法・金融商品取引法への対応状況の審議、内部統制委員会規程の制定、中間報告などを行いました。

財務報告に係る内部統制

 内部統制の重要性をいち早く認識した丸紅経営トップの決断により、04年3月、財務報告の信頼性の確保を目的とした通称“MARICO PROJECT(MARubeni Internal COntrol System PROJECT)”がスタートしました。米国SOX法対応の手法に従って、業務の手続きや流れを「目に見える形」で文書化し、財務報告に関する「リスクの洗い出し」を実施しました。04年度までに文書化を完了し、05年度に「丸紅グループ全体として内部統制は有効に機能している」との結論に至り、当社グループの内部統制は完成しました。 金融商品取引法において、08年4月より財務報告に係る内部統制報告制度が上場企業に義務化されましたが、当社はこの動きに先行して、企業価値の基盤充実を目指し、自主的に内部統制に取組んできました。丸紅グループの08年度の内部統制報告書は、09年6月に有価証券報告書と併せて提出予定です。

内部統制 内部統制の目的は、業務を効率的に行うこと、ステークホルダーに会社の業績を報告するための決算が正しくつくられること、法令を遵守すること、などが挙げられます。丸紅グループでは、これらの目的を踏まえ、社内の仕組みを整備・運用して、不測の損害を未然に防ぐことを内部統制と定義しています。 また、会社法および会社法施行規則に基づき、丸紅グループの業務の適正を確保するための体制に関する

基本方針を整備しています。社会の変化に対応した、より適正かつ効率的な体制の実現を目指し、2008年4月、内部統制の基本方針を見直し、新たに以下4項目を加えました。

1. 反社会的勢力との関係遮断2. 情報流出防止体制の整備3. 事業継続計画(BCP)の策定4. 内部統制委員会・開示委員会の設置

http://www.marubeni.co.jp/company/policy/concept.html(丸紅の内部統制の基本方針)

情報セキュリティ 丸紅グループでは、01年11月「丸紅情報セキュリティ・ポリシー」を制定し、情報セキュリティ・リスクを排除した安全な事業活動を進めるために、その方針に沿った情報資産に対する保護と安全対策を実施しています。05年1月に、情報資産に対する不正アクセス、紛失、破壊、改竄、漏洩などのリスクに対する対策、および情報資産の有効利用と信頼性の保持を目的に「ITセキュリティ管理要領」「ITセキュリティ標準」を設け、情報セキュリティの重要性を全社に知らしめています。また、具体的な運用にあたっては、「文書等管理細則」「IT

利用規約」を定め、周知徹底を図っています。 これらの取組みはグループ会社でも強化しています。丸紅の規程類を参考に、事業特性に合わせたグループ会社独自のルールの策定、運用を推進しています。 さらに、08年度に始まった国の内部統制報告制度に対応するため、丸紅と主要グループ会社における統制強化の基準を位置づける「IT全般統制ガイドライン」を策定するとともに、その継続的な見直し、改善を実施しています。

公正な取引

 社是「正・新・和」の精神に則り、公正明朗な企業活動を行うことを経営理念としています。また、丸紅グループの『コンプライアンス・マニュアル』では、「独占禁止法および関連諸法の遵守」「不正競争の禁止」などの項を設けています。

反社会的勢力への対応 

 社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体に対して断固とした態度で臨み、一切の関係を遮断します。『コンプライアンス・マニュアル』では、反社会的勢力の影響力の利用の禁止やマネーロンダリングの禁止などについて、細かく定めています。

Business Continuity Plan(大規模災害時における事業継続計画)

BCP管理体制の全体像

 08年度に、Business Continuity Plan(大規模災害時における事業継続計画)を策定しました。計画には、丸紅のBCPの運用・管理体制、想定災害、事前対策、初期対応、復旧対応など、災害時の対応ポイントとフローが明記されています。今後は、この計画をもとに、ITインフラの整備、社内啓蒙、グループ会社へのBCP策定の推進を行っていきます。

■BCP推進にあたっては、全社BCPのみならず、各営業部門・ユニット、CS部門*など各組織単位で、その業務の特性 に応じたBCP構築が必要となります。■また、事業継続に不可欠な主要な経営資源・インフラの整備・運用体制構築が肝要です。

全社BCPの策定・運用・保守・見直し、社内啓蒙

経営資源・インフラの整備・運用

全社レベル(全社BCP運用管理責任者)

重要経営資源・インフラ(CS部門関係部)

各営業部門・CS部門(各組織BCP管理責任者/各組織BCPワーキングメンバー)

→BCP策定単位CS部門BCP各営業部門BCP

人的リソース/物的リソース/ITリソース/財務リソース

各営業部門・CS部門単位のBCP策定・運用

*CS部門=コーポレートスタッフ部門

Page 4: Chapter CSR経営の基盤 ステークホルダーと共 ...€¦ · CSR経営の基盤 Chapter 02 Chapter 02 CSR経営の基盤 Marubeni CSR Report 2009 17 18 社員の声 丸紅の内部統制は、社是「正・新・和」の浸透によって完成しています。

Marubeni CSR Report 2009CSR経営の基盤Chapter 02

19 20

違反件数

 このようにコンプライアンスの徹底に努めた結果、08年度において、丸紅グループに関する重大なコンプライアンス違反はありませんでした。

勇気の扉

 企業の不祥事は小さな芽のうちに解決することが大切です。何か問題があったときは、直ちに職制ラインを通じて経営トップに伝わる体制を整える必要があります。丸紅グループでは、何でも相談できる風通しの良い職場を目指していますが、内容によっては、職制ラインで報告することが難しいものもあります。 そのため、「勇気の扉」という報告・相談窓口を設置し、丸紅グループの全役員・社員が、コンプライアンス委員会または社外の弁護士に直接、相談することができる体制を整えています。報告や相談の秘密は厳守されるとともに、報告・相談したことをもって不利益な処遇がなされないことが保証されています。 06年2月からは女性弁護士を1名増やし、より相談しやすい環境を整備しました。

海外グループ会社のコンプライアンス体制

 海外でも、各国の法令や商慣習などに応じてコンプライアンス体制を構築しています。主要な海外拠点において07年度のコンプライアンス行動計画のレビュー・08年度コンプライアンス行動計画の策定を実施したほか、08年度は、コンプライアンス委員長/コンプライアンスチーム長が海外拠点およびグループ会社の米国会社、広州会社、上海会社、香港華南会社、北京会社でコンプライアンス研修を実施し、ナショナル・スタッフ(現地採用社員)を含む合計305名が参加しました。

コンプライアンス教育・研修

 05年から、丸紅グループのコンプライアンスを実践していくうえで必要な知識をまとめた「コンプライアンス e-Learning研修」を実施しています。08年9月末時点では、グループ82社、8,415名が受講しています。 また、法令の制定・改廃や経済・社会の動向などを踏まえて、個別のテーマごとのe-Learning研修や集合研修などをタイムリーに実施しています(08年度の代表的研修は次の通り)。

●「知的財産権 e-Learning」(09年3月25日現在、国内勤務者の84%が受講)●「下請法 e-Learning」(09年3月25日現在、国内勤務者の95%が受講)●「文書等管理 e-Learning」(08年11月開始)●「インサイダー取引規制 e-Learning」(09年1月開始)●「廃棄物マネジメントスキルアップセミナー」(集合研修、08年9月実施、293名出席)●「社内外のコンプライアンス違反事例に学ぶセミナー」(集合研修、09年2~3月実施、1,647名出席)●外部講師による部門のコンプライアンス推進担当者向けコンプライアンス・ケースメソッド研修

●輸送機部門向けコンプライアンスおよび『製品安全管理マニュアル』研修●金融・物流・情報部門向けコンプライアンス研修●プラント・船舶・産業機械部門向け『製品安全管理マニュアル』研修

コンプライアンスへの取組みの基本姿勢 コンプライアンスとは、法令を遵守することにとどまるものではありません。法令遵守はもとより社会の構成員である企業市民として、すべてのステークホルダーの期待に応え、その信認を得て社会的責任を全うすることが、真のコンプライアンスです。 丸紅グループは、コンプライアンスを最優先の経営課題と位置づけ、2002年に、「コンプライアンス委員会」(社長直轄)の設置、『コンプライアンス・マニュアル』の発行を行い、コンプライアンス体制を強化しました。

 08年度は、全部門・支社・支店のコンプライアンス・オフィサーが参加するコンプライアンス委員会を2回開催し、(1)08年度委員会活動計画の承認 (2)部門・支社・支店の07年度行動計画レビュー・08年度行動計画の報告 (3)下請代金支払遅延等防止法・建設業法の遵守の徹底 (4)業法の管理体制の徹底 (5)07年度監査部監査指摘事項への対応 (6)丸紅グループのコンプライアンス状況アンケート結果報告、などを行いました。

コンプライアンス

任命

報告

報告・相談

職制ラインを通じた相談・報告何らかの理由で職制ラインが機能しない場合の相談・報告結果報告

指導・助言

指示

取締役会

事務局(法務部)

監査役

コンプライアンス委員会

社長経営会議

コンプライアンス責任者

各グループ会社 社員

コンプライアンス報告・相談窓口

職制ライン(上長)

職制ライン(上長)

社員

各グループ会社社外弁護士

チーフ・コンプライアンス・オフィサー(コンプライアンス委員長)

部門等コンプライアンス・オフィサー(コンプライアンス委員)

丸紅グループのコンプライアンス体制組織図

国内グループ会社コンプライアンス体制

 グループ会社では、それぞれが事業の特性に応じてコンプライアンス体制を構築しています。また、コンプライアンス委員長が毎年主要なグループ会社を訪問し、活動報告を受けるとともに、コンプライアンスの重要性を直接話しかけています。08年度は、国内グループ会社22社を訪問し、各社の社長・コンプライアンス責任者・幹部社員らとのコンプライアンス懇談会を実施しました。 また、丸紅および国内グループ会社の役員・社員を対象にコンプライアンス活動状況アンケートを実施しました。

『コンプライアンス・マニュアル』への宣誓

 丸紅グループでは、『コンプライアンス・マニュアル』を国内の全グループ員に配信するとともに、社内の電子媒体であるイントラネット(エクストラネット)、およびホームページにもその内容を公開しています。さらに毎年、丸紅の全役員・社員がマニュアルの遵守を宣誓することによって、コンプライアンスへの意識を喚起しています。 08年度は『コンプライアンス・マニュアル』第5版発行に伴い、全役員・社員が「コンプライアンス・マニュアルを遵守する」旨の宣誓をしました。09年度においても、法令の制定や時代の流れに応じて改訂を実施し、『コンプライアンス・マニュアル』第6版を発行しました。

『製品安全管理マニュアル』と各部門の取組み

 07年度に、丸紅グループが取り扱う製品の安全管理について、部門ごとに『製品安全管理マニュアル』を策定し、08年度は各部門が順次『製品安全管理マニュアル』に基づく研修を実施し、多くの社員が参加しました。

業法管理体制の強化

 めまぐるしく変わる各種業法への対応と管理体制の強化を目的に、08年度は、各部店の「業務上適用を受ける法規制等リスト」のアップデート作業を実施するとともに、全社的に法令速報システム・法令検索システムを導入しました。

http://www.marubeni.co.jp/company/policy/compliance.html(『コンプライアンス・マニュアル』)

CSR経営の基盤

Chapter

02

『コンプライアンス・マニュアル』第6版 表紙

Page 5: Chapter CSR経営の基盤 ステークホルダーと共 ...€¦ · CSR経営の基盤 Chapter 02 Chapter 02 CSR経営の基盤 Marubeni CSR Report 2009 17 18 社員の声 丸紅の内部統制は、社是「正・新・和」の浸透によって完成しています。

Marubeni CSR Report 2009CSR経営の基盤Chapter 02

21 22

富士市(静岡県)から感謝状/興亜工業(株) 丸紅グループ会社の興亜工業(株)は、08年10月、富士市社会福祉協議会より、「興亜祭」を通じての長年の地域への福祉・寄付活動に対する感謝状の贈呈を受けました。

シンガポール大統領より環境表彰/SPL社 丸紅グループ会社のSenoko Power Limited(SPL社)は、1996年にシンガポールで初めてガス複合火力発電設備を導入するなど、最新の技術・設備を駆使した環境配慮型の電力供給事業を推進してきた実績が認められ、2008年10月にS.R.ナザン大統領より環境表彰を受けました。

気候変動:MS調査・業界第2位/丸紅 (株)インテグレックスが行った第1回「気候変動への取組みに関する企業のマネジメント調査」において、丸紅が2位に選ばれました。

「社会的責任経営の進んだ企業」に選出/丸紅 丸紅は、(株)日本総合研究所による社会的責任投資のための企業情報調査「わが国企業のCSR経営の動向調査2008」(上場企業1,663社対象)で、「社会的責任経営の進んだ企業」として選定されました。

SAM選出 持続可能性に優れた企業/丸紅 DJSI Worldへの組み入れを分析・選定する世界的な調査・格付会社であるSAM(Sustainable Asset Management)社から、丸紅が持続可能性に優れた企業として、所属する産業セクターで最も評価が高い「SAM Sector Leader」、前年度に比べ環境・社会・経済の各分野において取組みがバランスよく、最も改善をした「SAM Sector Mover」、総合評価で優れている「SAM Silver Class」 の3つのカテゴリーで選ばれ、同社の『The Sustainability Yearbook 2009』に掲載されました。

SRIインデックスへの組入れ/丸紅

FTSE4Good Global Index 丸紅は、2001年の「FTSE4Good Global Index」創設以来、継続して組み入れ企業に選ばれています。これは英国・Financial Times社とロンドン証券取引所の合弁会社Financial Times Stock Exchange社が創設した株価指標です。環境持続性への取組み、ステークホルダーとの関係構築、人権擁護、サプライチェーン労働基準の保証、贈収賄防止の基準で企業評価し、世界874社(うち日本企業は190社)が選定されています。

Dow Jones Sustainability World Index(DJSI World) 丸紅は、2008年9月にDow Jones Sustainability World Indexの組み入れ銘柄企業に選定されています。これは、Dow Jones社(米国)とSAM (Sustainable Asset Management) グループ(スイス)の提携により、世界の大手企業約2,500社の中から、環境、社会、経済の3分野において企業の持続可能性(Sustainability)を評価し、上位10%の株式銘柄を選定し組み入れた世界的な株価指標です。世界320社(うち日本企業は36社)が選定されています。

モーニングスター社会的責任投資株価指数 「モーニングスター社会的責任投資株価指数」(MS-SRI)は、モーニングスター社が国内上場約3,600社から社会性に優れた企業150社を選定し、その株価を指数化した国内初の社会的責任投資株価指数です。丸紅は、2003年のインデックス創設以来、継続して組み入れ銘柄企業に選定されています。

「サプライチェーンにおけるCSR基本方針」制定 丸紅グループは、ステークホルダーと共に進めるCSR経営の一環として、取引先を含めたCSRサプライチェーン・マネジメントを目指しています。 2008年10月、人権尊重や環境保全など、CSRに根

差した項目を盛り込んだ「サプライチェーンにおけるCSR基本方針」を制定し、取引先に向け、その内容と趣旨への理解と協力を求めています。

外部からの評価

サプライチェーンにおけるCSR基本方針

1.丸紅は、自らがCSRへの取り組みを強化するに留まらず、そのサプライチェーンにおけるCSRへの取り組み強化をサポートし、地球環境に配慮した健全で持続可能な社会の構築を目指してまいります。

2.丸紅は、次項の「サプライチェーンにおけるCSRガイドライン」を定め、取引先に対して、その順守に対する理解と協力を求め、取引先と共により実効性の高いCSRを推進してまいります。

3.サプライチェーンにおけるCSRガイドライン

1)法令順守  ・当該国および取引に係る諸国の関連法令を順守する。  2)人権尊重  ・人権を尊重し、差別・セクシャルハラスメントを行わない。  ・児童労働、強制労働、不当な賃金の減額を行わない。  ・労使間協議の実現手段としての従業員の団結権を尊重する。3)環境保全  ・自然環境を保護する。  ・環境への負荷を低減し、汚染を防止する。

4)公正取引  ・公正な取引を行い、自由な競争を阻害しない。  ・贈賄や違法な献金を行わず、腐敗を防止する。5)安全衛生  ・職場の安全・衛生を確保し、労働環境を保全する。6)品質管理  ・商品やサービスの品質・安全性を確保する。7)情報開示  ・上記を含め、会社情報を適宜適切に開示する。

以 上

CSRマネジメント

 昭和30年代からマンション分譲事業を行う丸紅・開発建設部門では、用地取得から商品企画・開発建設・販売・管理にわたりお客様ニーズにより合致した住宅づくりを目指し、さまざまな活動を推進しています。引き渡し前の内覧会の際にはチェックポイントを解説した『内覧会安心ガイドブック』、入居後の注意事項をまとめた『快適安心ノート』の配布もその一環です。さらに2005年度からはより多くのお客様の声を把握するために、モデルルーム来場者とご購入者を対象とした顧客満足度調査を行っております。08年度はモデルルームご来場者400件、ご購入者1,400件からアンケートにご回答いただきました。丸紅ではこれらお客様から寄せられた生の声を真摯に受け止め、特にご満足いただけなかった点に焦点を当て、丸紅不動産販売㈱・丸紅コミュニティ㈱、㈱つなぐネットコミュニケーションズなどマンション分譲事業にかかわるグループ会社との連携をもってさらなるサービスの向上を図り、常に顧客目線の住宅供給を続けてまいります。

お客様サービス向上と顧客満足度の把握

CSR経営の基盤

Chapter

02

(2009年6月現在)