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米国のエンロールメント...
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米国のエンロールメントマネジメントとIRについて
嶌田敏行(茨城大学評価室)
H23.9.15 大学評価担当者集会(福岡)
実例(エンロールメント・マネジメント)
• エンロールメント・マネジメントとは、「学生が大学に入学し、在学し、卒業す
るまでのフローを検査・調査し、管理しようとするIR活動と企画機能」
→ とにかく適切な学生を探してきて(学生獲得)、辞めさせずに卒業させる
(学生の流動)。そのために上手な獲得作業、在学中のいろんなフォローを
やる、という話。
• 学生の受入れ数を自身の裁量で決定できるアメリカの大学において、施設、
カリキュラム、クラス配置、教員配置、といった教学上のマネジメントにおけ
る意思決定やその決定を支える財政的な基盤は、登録学生数に依存する。
• コース間、大学間の学生移動が頻繁に起こる中で、教育プログラムの質を
どのように担保し、外部に説明するのかといった説明責任を果たす必要性
も高まっている。
それらの活動をIRオフィスがデータ収集、分析(情報への変換)、提案活動に
よって支えている。
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EMの2つの業務
■学生獲得(いい学生を探す)
• パイプライン
• いい学生=>学力が高いのではなく、fitする学生、いなくならない学生?
• 予測→予算や投資計画と連動
• 手続き率(歩留まり)
• 経済的支援
■学生フロー(いなくならない工夫)
• なぜ退学するのか
• 入試→学習準備状況(academic preparation)• 補助教育、雰囲気
• うまく配置(これはEMのもう一つの花形)、カリキュラムの工夫
• 教育アセスメントは別章だが、それも密接な関係。
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○80年代後半から、単に学生獲得から学生フローに展開
学生獲得1
1)どのくらいの学生が入学可能者として存在して、2)どのくらいが入学してくれるのか、をデータをもとに明らかにしたい。
○教育パイプライン
• 「誰を教育したいのか」「誰が入学してくるのか」を考える。
• 募集したい学生の特性を明らかにして、ターゲットを絞り込み、「働きかけ」を行う対象を決める(考える)作業。
(アドミッション・ポリシーも絞り込む手段の1つなので、アドミッション・ポリシーの明確化やその検証や再検討も重要。)
• そのためのデータ集め(18歳人口、ある閾値以上の得点の学生数など)
↓• 教育パイプラインを理解し、データを編集し、学生募集に関わるスタッフに
それを提示することがIR担当者にとって不可欠である。
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学生獲得2
○入学者予測
• 入試関連団体、業者のデータなども活用。
• 小さいユニット、短期、誤差は小さくなる。
• 過去のデータの蓄積、シナリオ・プランニングの活用。
○歩留まり
• 追跡システムの整備がIRの仕事。(データをもとにアドミッションオフォスが考える)
• 入学を許可されて、在籍した学生としなかった学生の比較。
• 学生がキャンパスの様々なオフィスと、いつごろ、どんな目的で、どのように接触したのかを蓄積。
↓• これらの点検から、より費用対効果の高い施策を実施するかどうかの検討
や、アドミッションポリシーだけでなく、パイプラインの状況変化も検討する。
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学生獲得3
○経済的支援
• 給付、貸付および学内雇用。
• 経済的支援は入試と不可分。昔は政府が決めた制度を単に展開させていただけ。
• 現在では、大学(経済的支援の担当オフィス)が独自に政策を打つが、効果の確認や分析が不十分→ IRの出番。
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学生フロー1
リテンション(学生が残っているかどうか)から学生フロー(Student Flow)へ・アウトカムと説明責任の隆盛は、学生経験(student experience)への注目
・在籍継続のみならず、卒業までにかかった時間、履修時間(単位数)についても説明が必要
・ICT技術の向上でデータ管理しやすく。カリキュラムごといろいろ分析できるようになった。(第2段階)
○退学行動の理論的解明
・相互影響論モデル(人とのつながり、integration)、自然主義的モデル(学生
の弱さ、未熟さより環境に注目)、システムモデル(大学の教育方針なども含む)
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s2
学生の流動2
○学習準備
• 入学者選抜と配置に利用。
• 高校の成績と標準テストで見るが、前者はインフレがひどく、後者は大学での学習について行けるのか、を見るのには微妙(見られない部分も多い)。
○配置
• クラス配置を間違えると学生も教員も不幸である。
• 到達度テストで配置は考える場合も多い。
○カリキュラム分析
• 「履修条件」「入門科目」「(進級を決める)キーとなる科目」などの適切性を分析。
• IRは大学がこう受けて欲しいという科目、シークエンスと学生が実際に受ける科目や順番の齟齬を分析して、学科の担当者などと話をする。
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学生の流動3
○キャンパスの雰囲気(Campus Climate)• キャンパスの雰囲気の評価とは、学生が大学と関わるあらゆる要素につい
て、これを見いだし、点検していくこと
– もし学生が大学とポジティブな関係を持つことができているならば、学生はもっともっと学びたいと思う気持ちが高まり、卒業率も高まっていくだろう。
– 大学が、学生の学習意欲をそぐようなことしていたり、キャンパスライフにあれこれと干渉が過ぎるようであれば、学生達はさっさと大学を退学していくかもしれない。
– 「個人が大学の諸環境について抱く認識」という意味でこの言葉が使われる。キャンパスの雰囲気には、キャンパスの「フィーリング」または「ムード」というニュアンスも含んでいる。
• ボイヤー(Boyer, 1990)は、好ましいキャンパスの雰囲気を形成する上で重要な6つの側面、1)大学の理念や目的がはっきりしていること、2)大学が
開放的であること、3)大学は公正であること、4)大学に秩序があること、5)大学が親身であること、そして、6)大学に知名度があること、を提示し、これらが大学の「環境(雰囲気)」を決定する重要な要素であるとした。
• これらを調査し、よい方向に向かわせる(ための報告を行うことなども)IRの仕事、である。
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EMの支援1
○組織体制
• エンロールメント・マネジメントとは入学・在学に関する計画である。
• エンロールメント・マネジメントが、大学における、特に予算や施設に関連する施策と関連する計画から切り離されると、失敗する可能性が高い。
• 現行の実施体制を考慮して、行えばよい(新しくて根本的に異なった構造を簡単に強いることはできない)。
○技術的・分析的スキル
• テレンジーニの3つは重要。とくに第一階層(技術的・分析的スキル)をしっかり理解する必要がある。
• リサーチデザインも重要。(コースワークで学び、実践で磨く)
• 統計の知識、技術は必要だが、それが本質ではない。
• 調査計画(Survey design)も、重要。→質的調査法。
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EMの支援2
○データをどう使うか
• EMの支援などでは、大学内外部の幅広いデータを必要とする。
• データが入手不可あるいは不十分であれば、単純な分析でも、重要な分析でもできなくなる。
• データの所在、データを収集する方法、データの管理者、そしてデータへのアクセス方法を理解することは、エンロールメント・マネジメントの業務における重要な側面である。
↓• データは必ずしも分析のために取られているわけではない。
→ 現場が使うため→ 場合によっては、フォーマットを変更してもらうこともある→ いかに各現場と良好な関係を保てるか、が重要。
• データシステムの更新時には、積極的にコミットしよう。
• 米国では、数多くのデータが集められ、公開されている。公開されることで切磋琢磨もしているが、それぞれの大学が他大学のデータと比較分析などを行い成果の確認などを行っている。
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EMの支援3
○情報の伝達
• 効果的なEMを行うには、関係各所で情報を共有していることが重要。
→ 効果的な情報伝達が求められる。
○効果的なコミュニケーションのために
(1)誰がデータを必要とするかを知ることである。
→特に意思決定者には、その人達が求める形式で示す。
(2)情報がいつ必要となるかを知ること
→いつ大学で重要な決定がなされているかを知り、そこを踏まえて示す。
(3)最善のフォーマットと報告様式を知る
→長くても読んでもらえないうまくやる。ITも活用しよう。
(4)内容のポイント(意思決定者に理解させるには)
・ほとんどの意思決定者は、報告されるデータの意味や彼らの行おうとする決定にとってどんな意味があるのかを知りたがる。(データ分析技法の話などは延々としない。基本的にはIRを信じてくれているので。)
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EMの支援4
○効果的なコミュニケーションのために
(5)形式について
「過ぎたるは及ばざるがごとし」という格言に従えば良い。データの過剰や情報の欠落は、意思決定者を単に失望させ、意思決定プロセスを妨げる。
(6)悪い知らせは早く伝えろ
悪い知らせに対処するための方策を考える機会を持たないで、最終確定版あるいは正式な報告書を閲覧して、その結果に驚くことを望む意思決定者はほとんどいない。
(7)情報を伝達することを成果物ではなくプロセスと考える
・そう考えてワークフローを考える。
○EMの情報に関する効果的なコミュニケーションとは、適切な人へ適切な時に適切なことをするために適切な情報を伝えるこということ。
○情報伝達をオープンで公的な持続的プロセスにすることは、学生を教育することに関わる多くの人を啓蒙する。
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EMにおける日本型IRの可能性
• 学生獲得は日本でも重要(私大>国大)– H20.2にMRIが実施した「経営課題を3つ選ぶ」調査で私大の約75%が「学生獲得」を選
択。国立、公立は約20%。私大以外では今後危機的状況とならないと、EM/AP戦略への注力は弱い?
• 学生の在籍維持は課題にならない?– メンタルな学生のモチベーション向上への視点などは調査研究が進む。
– カリキュラムの分析や学生支援体制などについて、認証評価など外側からの質保証や評価は、評価室/企画・戦略部門が担当し、内発的なものは、教育系センター、FD系センターの仕事?
• データの活用について– 明日の分科会で議論します。
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基本スタンスは支援、裏方である。
-IRは担当部門(アドミッションオフィス、教務系セクション、経済的支援オフィス)から依頼を受け、業務を行ったり、それらの部門の業務に役立つ(システム管理等)を行う。-提案はする。しかし、IRが直接、それを行うわけではない。
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