緊急度判定支援システムCTAS2008日本語版・JTASプロトタイプとCPASの概要

日本小児救急医学会日本小児救急医学会日本救急看護学会日本救急看護学会日本救急医学会日本救急医学会 日本臨床救急医学会日本臨床救急医学会

参考資料２－１

1

富山大学医学部 救急・災害医学講座 工廣紀斗司

日本 アメリカ 英国 カナダ

トリアージナース教育プログラム

まだ普及していない

あり (病院ごとに異なる) あり あり

救急部での専任トリアージナース

専任者がいることは少い

あり 通常あり あり

病院トリアージの標準化

国内標準化(JTAS)開発中

ESI (救急重症度指標) または

CTAS

マンチェスタートリアージ (様々な使用法)

CTAS (カナダ国内標準として普及)

病院トリアージシステムの比較病院トリアージシステムの比較

2

緊急度判定支援システムCTAS 2008 日本語版JTASプロトタイプ

日本小児救急医学会日本小児救急医学会日本救急看護学会日本救急看護学会日本救急医学会日本救急医学会 日本臨床救急医学会日本臨床救急医学会

3

レベル 1 ‒ 蘇生レベル

レベル 2 ‒ 緊急

レベル 3 ‒ 準緊急

レベル 4 ‒ 低緊急

レベル 5 ‒ 非緊急

CTASの５段階レベルトリアージ

4

症候別トリアージ症候別トリアージ–– 緊急度判定支援システム（緊急度判定支援システム（CTAS2008CTAS2008日本語版）日本語版）

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ﾓﾃﾞｨﾌﾓﾃﾞｨﾌｧｲｱｧｲｱ

意識意識

循環循環

呼吸呼吸

体温体温

疼痛疼痛

出血出血

受傷受傷機転機転

神経系神経系 呼吸器呼吸器 心血管心血管 消化器消化器 泌尿器泌尿器産科産科

婦人科婦人科整形整形 皮膚皮膚眼科系眼科系 耳耳鼻鼻

その他その他耳鼻科耳鼻科

外傷外傷メンメンタルタル

薬物薬物

乱用乱用環境環境因子因子

一般一般

成人成人

症候別トリアージ

症候別トリアージ

小児症状トリアージへ

成人症状トリアージへ

用語用語

メンタルヘルスおよび心理社会学的問題

抑うつ ・ 自殺行為・ 自傷行為

不安 ・ 状況的危機 （Situational crisis）

幻覚 ・ 妄想

不眠

暴力的 ・ 殺人的行為

社会的問題

奇異な行動

福祉の問題

小児の破壊的行動

表紙へ戻る表紙へ戻る

薬物乱用

薬物誤飲・ 中毒

薬物過量摂取

薬物離脱

神経系

意識障害

不穏状態 （Confusion）

回転性めまい （Vertigo）

頭痛

けいれん

歩行障害・失調歩行

頭部外傷

振戦

四肢の脱力・ 脳血管障害の症状

知覚麻痺・ 知覚異常

フロッピーチャイルド（筋緊張低下児）

眼科系

眼への化学物質曝露

眼の異物

視力障害

眼の疼痛

充血、眼脂

羞明

複視

眼窩周囲の腫脹

眼外傷

視力の再検査

耳鼻科系-鼻

鼻出血

鼻閉・花粉症

鼻内異物

上気道感染症状

鼻の外傷

耳鼻科系-耳

耳痛

耳内異物

聴力障害

耳鳴

耳だれ

耳の外傷

耳鼻科系 ‒口腔, 咽頭, 頸部

歯 ・ 歯肉の問題

顔面外傷

咽頭痛

頚部腫脹・ 頚部痛

頚部外傷

嚥下困難・ 嚥下障害

顔面痛（外傷、歯痛以外のもの）

呼吸器系

息切れ

呼吸停止

咳嗽 ・ 鼻閉

過換気

喀血

気道異物

アレルギー反応

吸気性喘鳴 （stridor）

呼気性喘鳴 （wheezing） ‒他に症状なし

乳児無呼吸発作

心血管系

心停止（非外傷性）

心停止（外傷性）

胸痛（心原性）

胸痛（非心原性）

動悸・不整脈

高血圧

全身倦怠感

失神・失神前状態

浮腫,全身性

両側下肢腫脹・浮腫

冷たく、脈を触れない四肢

片側性に発赤、熱感のある四肢

消化器系

腹痛

食思不振

便秘

下痢

直腸異物

鼠径部痛・ 腫瘤

嘔吐・嘔気

直腸 ・ 会陰部痛

吐血

血便・ 下血

黄疸

しゃっくり

腹部腫瘤・ 膨隆

肛門 ・直腸外傷

口腔 ・ 食道異物

新生児の哺乳障害

新生児黄疸

泌尿器

側腹部痛

血尿

性器分泌物・ 性器病変

陰茎腫脹

陰嚢痛・腫脹

尿閉

尿路感染に関する症状

乏尿

多尿

生殖器の外傷

整形系

腰背部痛

腰背部・ 脊椎外傷

四肢の切断

上肢痛

下肢痛

上肢外傷

下肢外傷

関節腫脹

小児の歩行障害・ 歩行時痛

ギプスの確認

外傷

重症外傷‒ 穿通性

重症外傷‒ 鈍的

単独胸部外傷‒ 穿通性

単独胸部外傷‒ 鈍的

単独腹部外傷 ‒ 穿通性

単独腹部外傷‒ 鈍的

環境因子

凍傷 ・ 寒冷障害

有害物吸入

電撃傷

化学物質曝露

低体温

溺水

皮膚

咬傷

刺傷（虫、動物、植物）

擦過傷

裂創・挫創, 刺創

熱傷

血液や体液への曝露

そう痒症

皮疹

限局性腫脹・発赤

創処置

他の皮膚異常

腫瘤, 瘤, 胼胝

乳房の発赤 ・ 圧痛

（疥癬・シラミ等の）寄生の確認

チアノーゼ

自然にできる皮下出血（紫斑）

皮膚内異物

抜鉤 ・ 抜糸

一般的問題 、その他

感染性疾患への曝露

発熱

高血糖

低血糖

直接紹介による受診

包帯交換

画像診断目的

医療機器の問題

処方箋 ・ 投薬希望

（抜けなくなった）指輪はずし

検査値異常

顔色不良 ・ 貧血

手術後の合併症

あやしても泣きやまない乳児

小児の先天性疾患の問題

特定不能の軽度の症状

産科、婦人科

月経異常

腟内異物

帯下

性的暴行

性器出血

陰唇腫脹

妊娠に関する問題< 20 週

妊娠に関する問題> 20 週

外陰部痛・ そう痒

5

ﾓﾃﾞｨﾌﾓﾃﾞｨﾌｧｲｱｧｲｱ

意識意識

循環循環

呼吸呼吸

体温体温

疼痛疼痛

出血出血

受傷受傷機転機転

神経系神経系 呼吸器呼吸器 心血管心血管 消化器消化器 泌尿器泌尿器産科産科

婦人科婦人科整形整形 皮膚皮膚眼科系眼科系 耳耳鼻鼻

その他その他耳鼻科耳鼻科

外傷外傷メンメンタルタル

薬物薬物

乱用乱用環境環境因子因子

一般一般

小児小児

症候別トリアージ

症候別トリアージ

重症感重症感

前スライドに戻る 用語用語

小児症状トリアージへ

成人症状トリアージへ

症候別トリアージ症候別トリアージ–– 緊急度判定支援システム（緊急度判定支援システム（CTAS2008CTAS2008日本語版）日本語版）表紙へ戻る表紙へ戻る

メンタルヘルスおよび心理社会学的問題

抑うつ ・ 自殺行為・ 自傷行為

不安 ・ 状況的危機 （Situational crisis）

幻覚 ・ 妄想

不眠

暴力的 ・ 殺人的行為

社会的問題

奇異な行動

福祉の問題

小児の破壊的行動

薬物乱用

薬物誤飲・ 中毒

薬物過量摂取

薬物離脱

神経系

意識障害

不穏状態 （Confusion）

回転性めまい （Vertigo）

頭痛

けいれん

歩行障害・失調歩行

頭部外傷

振戦

四肢の脱力・ 脳血管障害の症状

知覚麻痺・ 知覚異常

フロッピーチャイルド（筋緊張低下児）

眼科系

眼への化学物質曝露

眼の異物

視力障害

眼の疼痛

充血、眼脂

羞明

複視

眼窩周囲の腫脹

眼外傷

視力の再検査

耳鼻科系-鼻

鼻出血

鼻閉・花粉症

鼻内異物

上気道感染症状

鼻の外傷

耳鼻科系-耳

耳痛

耳内異物

聴力障害

耳鳴

耳だれ

耳の外傷

耳鼻科系 ‒口腔, 咽頭, 頸部

歯 ・ 歯肉の問題

顔面外傷

咽頭痛

頚部腫脹・ 頚部痛

頚部外傷

嚥下困難・ 嚥下障害

顔面痛（外傷、歯痛以外のもの）

呼吸器系

息切れ

呼吸停止

咳嗽 ・ 鼻閉

過換気

喀血

気道異物

アレルギー反応

吸気性喘鳴 （stridor）

呼気性喘鳴 （wheezing） ‒他に症状なし

乳児無呼吸発作

心血管系

心停止（非外傷性）

心停止（外傷性）

胸痛（心原性）

胸痛（非心原性）

動悸・不整脈

高血圧

全身倦怠感

失神・失神前状態

浮腫,全身性

両側下肢腫脹・浮腫

冷たく、脈を触れない四肢

片側性に発赤、熱感のある四肢

消化器系

腹痛

食思不振

便秘

下痢

直腸異物

鼠径部痛・ 腫瘤

嘔吐・嘔気

直腸 ・ 会陰部痛

吐血

血便・ 下血

黄疸

しゃっくり

腹部腫瘤・ 膨隆

肛門 ・直腸外傷

口腔 ・ 食道異物

新生児の哺乳障害

新生児黄疸

泌尿器

側腹部痛

血尿

性器分泌物・ 性器病変

陰茎腫脹

陰嚢痛・腫脹

尿閉

尿路感染に関する症状

乏尿

多尿

生殖器の外傷

整形系

腰背部痛

腰背部・ 脊椎外傷

四肢の切断

上肢痛

下肢痛

上肢外傷

下肢外傷

関節腫脹

小児の歩行障害・ 歩行時痛

ギプスの確認

外傷

重症外傷‒ 穿通性

重症外傷‒ 鈍的

単独胸部外傷‒ 穿通性

単独胸部外傷‒ 鈍的

単独腹部外傷 ‒ 穿通性

単独腹部外傷‒ 鈍的

環境因子

凍傷 ・ 寒冷障害

有害物吸入

電撃傷

化学物質曝露

低体温

溺水

皮膚

咬傷

刺傷（虫、動物、植物）

擦過傷

裂創・挫創, 刺創

熱傷

血液や体液への曝露

そう痒症

皮疹

限局性腫脹・発赤

創処置

他の皮膚異常

腫瘤, 瘤, 胼胝

乳房の発赤 ・ 圧痛

（疥癬・シラミ等の）寄生の確認

チアノーゼ

自然にできる皮下出血（紫斑）

皮膚内異物

抜鉤 ・ 抜糸

一般的問題 、その他

感染性疾患への曝露

発熱

高血糖

低血糖

直接紹介による受診

包帯交換

画像診断目的

医療機器の問題

処方箋 ・ 投薬希望

（抜けなくなった）指輪はずし

検査値異常

顔色不良 ・ 貧血

手術後の合併症

あやしても泣きやまない乳児

小児の先天性疾患の問題

特定不能の軽度の症状

産科、婦人科

月経異常

腟内異物

帯下

性的暴行

性器出血

陰唇腫脹

妊娠に関する問題< 20 週

妊娠に関する問題> 20 週

外陰部痛・ そう痒

6

CTASでの救急外来トリアージの過程

CTASレベルは以下の項目に基づき決定:1. 第一印象2. 最適な主訴（CEDIS）の選択、

および3. 緊急度をより正確に反映さ

せるためにモディファイアを適応する。

重症感- 視覚による迅速な評価

来院時の症状- 既往歴・感染管理

バイタルサイン ‒ 生理学的な指標の評価(1次モディファイア : 第1段階)

付加的な手がかり ‒ 非生理学的な指標(1次モディファイア: 第2段階)

特異的なモディファイア‒ 症状に基づく(2次モディファイア)

CTASレベル‒ トリアージレベルを割り当てる

再評価

重症感 感染管理 来院時症状 バイタルサイン他の

モディファイア

7

病院前緊急度判定支援システムCPAS 2010 日本語版（仮称）JPASプロトタイプ

2010年第1.0版©日本臨床救急医学会

©カナダ救急医学会

カナダ病院前緊急度スケールThe Canadian Prehospital Acuity Scale

日本小児救急医学会日本小児救急医学会日本救急看護学会日本救急看護学会日本救急医学会日本救急医学会 日本臨床救急医学会日本臨床救急医学会

8

CPASの起源 ナショナルトリアージスケール ‒ オースラリア（ACEM ） 1994

CAEPトリアージおよび緊急度スケール‒ カナダ 1995

CTAS ‒ カナダ(CAEP, NENA, AMUQ ) 1999

小児 CTAS (上記+カナダ小児科学会,カナダ農村医学会) 2001

成人 CTAS 改訂 2004

CEDIS 症状リスト(+ 改訂) 2003 & 2008

成人 CTAS 改訂 2008

小児 CTAS 改訂 2008

ACEM：オーストラリア救急医学会、CTAS：カナダトリアージおよび緊急度スケール CAEP：カナダ救急医学会、NENA：カナダ救急看護学会、AMUQ：ケベック救急医学会 CEDIS ：カナダ救急部情報システム

9

病院前緊急度判定支援システムCPAS 2010 日本語版（仮称）

現場に合わせた109のCEDIS症状リスト

搬送先に関する意思決定プロセス

から構成された病院前トリアージシステム

10

米国

オーストラリア

カナダ

日本版救急医療情報システム日本版救急医療情報システム

データベースの必要性データベースの必要性Japan Emergency Department Information Systems

11

考察：来院患者数に変化はないが来院患者の緊急度が高くなる明らかなエビデンスを認める。それに従い看護師・医師などの人的資源、診断・治療に必要な医療資源が増加している。このことがCTASレベル３患者の待ち時間の増加に影響を与えている可能性がある。

UAH Adult ED ED Patient CTAS Acuity By Fiscal Year and Percent of Total Visits

CTAS １ ２ ３ ４ ５

JEDISによるデータ捕捉により救急医療が

抱える様々な問題点解決の方策を検討できる

日本ではこれと同じ現象が形態は異なるが、“2次救急患者の受け入れ困難”として発生していると考察される。問題解決への手法はカナダと同じであろう。

患者の緊急度の増加・医療の高度化

12

??

病院前トリアージ病院トリアージ

今ある医療資源の有効活用による問題解決

CTAS JTAS ProjectJEDIS

CTAS

CPAS第１段階第１段階

CTASCTASととCPASCPASによる連携による連携

JEDISJEDISデータベースの設立データベースの設立

13

1

心血管系

心停止（非外傷性）

心停止（外傷性）

胸痛（心原性）

胸痛（非心原性）

冷たく、脈を触れない四肢

浮腫,全身性

全身倦怠感

高血圧

動悸・不整脈

失神・失神前状態

片側性に発赤、熱感のある四肢

耳鼻科系-耳

耳痛

耳鼻科系 –口腔, 咽頭, 頸部

嚥下困難・ 嚥下障害

顔面外傷

頚部腫脹・ 頚部痛

頚部外傷

耳鼻科系-鼻

鼻出血

上気道感染症状

環境因子

化学物質曝露

電撃傷

凍傷 ・ 寒冷障害

低体温

有害物吸入

溺水

消化器系

腹部腫瘤・ 膨隆

腹痛

肛門 ・直腸外傷

血便・下血

便秘

下痢

新生児の哺乳障害

口腔 ・ 食道異物

嘔吐・嘔気

吐血

泌尿器

側腹部痛

生殖器の外傷

血尿

乏尿

陰嚢痛・腫脹

尿閉

尿路感染に関する症状

メンタルヘルス

不安 ・ 状況的危機 (Situational crisis)

奇異な行動

福祉の問題

抑うつ ・ 自殺行為・ 自傷行為

幻覚 ・ 妄想

小児の破壊的行動

暴力的 ・ 殺人的行為

神経系

意識障害

不穏状態 (Confusion)

四肢の脱力・ 脳血管障害の症状

フロッピーチャイルド（筋緊張低下児）

歩行障害・失調歩行

頭部外傷

頭痛

けいれん

知覚麻痺・ 知覚異常

回転性めまい (Vertigo)

産科、婦人科

妊娠に関する問題< 20 週

妊娠に関する問題> 20 週

性的暴行

性器出血

CPAS 用修正版 CEDIS症状リスト翻訳案（109症状） 富山大学医学部 救急・災害医学講座 工廣紀斗司

参考資料２－２

2

眼科系

眼への化学物質曝露

複視

眼の疼痛

眼外傷

眼の異物

視力障害

整形系

四肢の切断

腰背部痛

下肢外傷

下肢痛

腰背部・ 脊椎外傷

上肢外傷

上肢痛

呼吸器系

アレルギー反応

乳児無呼吸発作

咳嗽 ・ 鼻閉

喀血

過換気

呼吸停止

気道異物

息切れ

吸気性喘鳴 (stridor)

呼気性喘鳴 (wheezing) –他に症状なし

皮膚

擦過傷

咬傷

熱傷

チアノーゼ

裂創・挫創, 刺創

刺傷（虫、動物、植物）

薬物乱用

薬物過量摂取

薬物誤飲・ 中毒

薬物離脱

外傷

単独腹部外傷– 鈍的

単独腹部外傷 – 穿通性

単独胸部外傷– 鈍的

単独胸部外傷– 穿通性

重症外傷– 鈍的

重症外傷– 穿通性

一般的問題 、その他

小児の先天性疾患の問題

専門医への紹介受診

発熱

高血糖

低血糖

あやしても泣きやまない乳児

医療機器の問題

顔色不良 ・ 貧血

手術後の合併症

カナダ視察報告～アルバータ州救急搬送サービスとCTAS～

平成22年11月18日

総務省消防庁救急企画室

救急専門官 長谷川 学

参考資料３

1

カナダの医療制度＜歴史＞

1968年 連邦基金を受け皿とした皆保険制度（メディケア法）制定1995年 保健・福祉財源及び権限を連邦政府から各州に移管

政策・事業は州独自で設定

＜「カナダ保健法」基本5原則＞○Public Administration （公的機関による運営） →原則非営利。○Comprehensiveness （包括的サービス） → 全ての医療サービスを公費でカバー。○Universality （普遍 ） → 全ての住人は医療サービスを受けることができる。○Portability （全国的受給権） → 住人は、カナダ全州で医療サービスを受けることが可能。○Accessibility （平等的受給権） →住人は、経済的負担無く、可能な限りすみやかに、医療

サービスを受けることが出来る。

＜医療費財源＞一般税が主体（雇用主への社会保障税、州の一般財源、連邦政府補助金）

＜日本との違い＞○政策立案の主体が州（州の実情に応じた政策立案・変更が容易）○公的病院が主体（約95％）

○原則、窓口支払いなし○ファミリー・ドクター制○救急搬送は保健省が所管 2

アルバータ州の救急搬送＜概要＞○救急搬送の所管に関して、アルバータ州では2005年に地方自治体（市町村消防本部）から州保健福

祉省に移管。※移管の理由

救急搬送業務の高度化によるもの（メディカルコントロールのさらなる充実、救急救命士の処置範囲拡大、医療機関とのさらなる連携）

＜所管＞○緊急通報指令センター：市町村消防の所管○救急搬送業務 ：アルバータ州保健福祉省医療庁が実施。

※ 救急搬送に関する政策・事業内容は州独自で設定。

＜体制＞公的救急車550台＋民間救急車250台（保健福祉省と契約）救急ヘリ（10基地）救急隊員数3,000人

※ 救急通報（９１１）回数 40万回/年 うち40％は病院間搬送

＜搬送費用＞救急搬送 ：1回3～5万円（距離に応じて）

病院間搬送：無料

3

症状例示 酸素飽和度の場合

循環動態の場合

意識レベルの場合

体温の場合

レベルⅠ

蘇生レベル

心停止、けいれん持続、ショック

＜90％ ショック 中等度以上の意識障害（GCS3-9)

レベルⅡ

緊急 心原性胸痛、激しい頭痛、急性腹症

＜92％ 循環不全 軽度意識障害（GCS10-13)

38.5度以上＋免疫不全疑い or 敗血

症う疑い

レベルⅢ

準緊急 高血圧、下痢 92％～94％

正常の上限、下限

正常 38.5度以上＋具合

が悪そう

レベルⅣ

低緊急 軽い外傷、尿路感染、便秘

＞94％ バイタルサイン正常

正常 38.5度以上＋具合

がよさそう

レベルⅤ

非緊急 アレルギー性鼻炎、皮膚発赤

＞94％ バイタルサイン正常

正常

CTAS(Canadian Triage and Acuity Scale)カナダ緊急度・重症度判定スケールのこと。限られた医療資源を有効に活用するため、患者を緊急度で判定し、診療の優先順位をつけるツール。カナダにおいては、救急搬送、救急外来において使用されている。

モディファイアから抜粋※詳細は「緊急度判定支援システム（CTAS2008日本語版/JTASプロトタイプ）」を参照のこと 4

各ステージにおける対応（CTAS・CPAS）コール・トリアージ

（緊急通報指令センター）

救急現場でトリアージ判定（CPAS）

救急搬送司令センター（ディスパッチ

センター）

医療機関においてトリアージ判定（CTAS）

救急外来診察開始又はCTAS再評

価までの時間

緊急PA連携、緊急走行（到着目標時間8分未満）

レベルⅠ

(蘇生レベ

ル）

即座に受け入れ先医療機関を選択、

司令

レベルⅠ

(蘇生レベル）

即座にCTAS１レベ

ルの処置室に入室

即座

レベルⅡ

（緊急）

レベルⅡ

（緊急）

速やかにCTAS２レ

ベルの処置室に入室

15分

レベルⅢ

（準緊急）

レベルⅢ

（準緊急）

速やかにCTAS３レ

ベルの処置室に入室

30分

レベルⅣ

（低緊急）

レベルⅣ

（低緊急）

診察室が空いた時点で入室

60分

非緊急電話相談センター

紹介

レベルⅤ

（非緊急）

受け入れ先医療機関を調整（診療

所も含めて）

レベルⅤ

（非緊急）

診察室が空いた時点で入室

120分

現在はEMDプロトコール（将来的にCPASを使用）

CTASCPAS（CTASの救急搬送バージョン）

5

エドモントン市消防局緊急通報指令センター（９１１）

所管は地方自治体消防（エドモントン市消防局）

センター員は消防職員、救急職員が半数ずつ

6

緊急通報対応プロトコール

質問

トリアージ判定＋対応

（救急車出動or

電話相談

センター紹介）

通報内容を聞きながら入力↓

質問項目を埋めていく↓

トリアージ判定↓

救急車出動 or 電話相談セン

ター紹介

EMDプロトコール（米国National Academy of Emergency Medical dispatch of Americaが開発）を使用。33種類の

症状別プロトコール。将来的にはCPASに切り

替え

7

保健所○救急車出動拠点

救急隊員が待機

○救急隊員用研修施設も設置

○メディカルディレクター（救急医）が常駐

救急隊に対する指示・指導（メディカル・コントロール）を実施

救急隊帰所後に実際に行った傷病者観察・処置内容について指導

8

救急搬送司令センター（ディスパッチセンター）

受け入れ先医療機関を選定

スタッフ：アルバータ医療庁職員＋救急隊員

＜設置の背景＞○以前は救急車が個々の医療機関と受け入れ交渉を行っていたが、調整に時間がかかることが問題となっていた。

○更に救急救命士の処置範囲が拡大したため、傷病者対応に集中する必要が出てきた。

○救急搬送司令センターには病院選定の権限が与えられている。○受け入れ医療機関が納得して受け入れることが出来る情報システムを構築

9

アルバータ大学病院

アレキサンドリア病院

○○病院

○○病院

ER空床情報（CTASレベ

ルごと）

救急車待ち台数 CTAS3

CTAS1 CTAS4

CTAS2 CTAS4

救急車受け入れ情報

救急車 到着 経過 CTAS所属 時刻 時間 レベル

救急搬送先整理表

医療機関の救急外来の空き状況、救急車の受け入れ状況をリアルタイムで把握可能医療機関の救急外来にも掲示。

病院スタッフ、患者も閲覧可能 10

エドモントン大学救急医療センター

救急隊用資材戸

待機する救急車群

各病院には救急隊用資材庫があり、各病院から現場出発が可能

患者搬送車○病院間搬送は無料（救急医療センターの重症用ベッドを明けるため）○アルバータ医療庁が運営

11

カナダ・アルバータ州における救急医療とトリアージ

自力通院

緊急通報のアドバイス 医療機関案内

自身の症状について困ったとき

緊急性高

緊急性低

医療機関

院内トリアージ

救急現場911番

通報コールトリアージ

家庭での自己診断

住民

電話相談センター（ヘルスリンク）（24時間、看護師対応）

電話救急相談

病院選定

緊急走行出動

救急ディスパッチセン

ター

緊急性高

緊急性低

緊急走行

CTASホームページを閲覧

CPASトリアージシステム CTASトリアージシステム

○電話相談センター（ヘルスリンク）を設置○ディスパッチセンターで病院選定○共通のトリアージシステムを使用○救急車の走行をトリアージレベルに応じて対応

電話相談紹介

12