算数・数学を 活用する力を はぐくむ問題例...単元別構成表(中学校)...

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算数・数学を 活用する力を はぐくむ問題例 中学校編

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  • 算数・数学を活用する力をはぐくむ問題例

    中学校編

  • 単 元 別 構 成 表 (中 学 校)

    【第1学年】

    単 元 平成22年度 平成21年度(問題・趣旨は平成21年度版参照)

    正の数・負の数 魔方陣の規則を考えよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例

    文字を用いた式

    一元一次方程式 追いつくまでの時間を求めよう授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

    比例,反比例 速さの違いとかかる時間を考えよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例

    ランドルト環の中にある規則を見つけよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例

    平面図形 どんな模様ができるだろう授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

    空間図形 溶けたアイスがあふれないか考えよう 移動した後の図形について考えよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例 授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

    資料の散らばり 読書調べの結果について考えよう授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

    【第2学年】

    単 元 平成22年度 平成21年度(問題・趣旨は平成21年度版参照)

    文字を用いた式 カードに書かれた自然数の規則性を考えようの四則計算 授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

    連立二元一次方 回転寿司を何皿食べたのか考えよう程式 問題・趣旨 ~ 授業アイディア例

    一次関数 水そうの水について考えよう 電話料金をくらべよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例 授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

    基本的な平面図形と平行線の性質

    図形の合同 球のはね返りを考えよう 平行四辺形を作図しよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例 授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

    角の和を求めよう授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

    確率 すごろくのあがりを考えよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例

    【第3学年】

    単 元 平成22年度 平成21年度(問題・趣旨は平成21年度版参照)

    平方根

    式の展開と因数 碁石は何個ずつ増えるいくのか考えよう 並んだカードの条件から,わからない数を求めよう分解 問題・趣旨 ~ 授業アイディア例 授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

    二次方程式

    関数 標準体重を求めよう ピザのサイズから価格を考えよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例 授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

    図形の相似 街灯の電球までの高さと影の面積を求めよう授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

    円周角と中心角 円の半径を求めよう授業アイディア例 (問題・趣旨は平成 年度版参照)

    三平方の定理 水がたくさん入るのはどちらか考えよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例

    標本調査 人出を調べてみよう問題・趣旨 ~ 授業アイディア例

    ― 73 ―

  • 魔方陣の規則を考えよう

    問 太郎さんは,次のような問題を考えています。

    正方形のマスの中に異なる数を つずつ入れて,縦,横,斜めに

    並んだ数の和をどれも同じにする遊びを魔方陣といいます。ま ほうじん

    右の図のような,縦,横がそれぞれ つの正方形のマスの中に,

    から までの 個の整数を つずつ入れて,魔方陣を完成させな

    さい。

    この魔方陣を完成させるために,太郎さんは次のような手順で考えました。

    (1) 太郎さんは,右の図のように から までの 個の整数

    を左上から小さい順に並べてア~エの行に注目してみました。

    ア~エのそれぞれの行について,整数の和を求めなさい。

    ア イ ウ エ

    (2) 太郎さんは,(1)の結果からアの行とエの行に注目しなが

    ら,縦に並んだ数の和のことを考えて, と , と を

    入れかえてみました。アの行,エのそれぞれの行について,整

    数の和を求めなさい。

    ア エ

    ア 8 5

    エ -4 -7

    ― 74 ―

  • (3) 太郎さんは,(2)のように, すみの整数を対角線方向で

    入れかえた後に,Aの列とDの列に注目して,それぞれの列に

    ついて整数の和が になっていることに気づきました。また,

    斜めに並んだ つの整数の和も になっていることに気づきま

    した。

    そこで,中央の つの整数を入れかえることによって魔方陣

    が完成すると予想しました。

    太郎さんが予想したことをふまえて,魔方陣を完成させなさ

    い。

    (4) 太郎さんは,友達から「数を変えてもできそうな気がする」と言われました。そこで,整数

    を つ置きにした の中の 個の整数で魔方陣を完成することにしました。

    ,,,,,,,, , , , , , , ,

    ① の中の 個の整数で魔方陣を完成させなさい。

    ② 差が一定で変化する 個の他の数の場合でも活用できるように,(1)~(3)で考えた

    ことをもとにして,魔方陣を完成させる方法を説明しなさい。

    【説明】

    A B C D

    イ -2 -1

    ウ 2 3

    ― 75 ―

  • 中学校 第1学年 A 数と式 「魔方陣の規則を考えよう」

    1 出題の趣旨

    小学校では,第 学年までに整数についての四則計算の意味や四則計算に関して成り立つ性質な

    どを取り扱い,その定着と活用を図っている。また,第 学年までに小数,分数についてその意味

    と四則計算,四則計算に関して成り立つ性質を学習し,数についての感覚や見方を広げ,第 学年

    においてその定着と活用を図っている。

    その上で,中学校第 学年では,数の範囲を正の数と負の数まで拡張し,その四則計算ができる

    ようにするとともに,具体的な場面で正の数と負の数を用いて表したり処理したりできるようにす

    ることがねらいである。

    この問題では,負の数を含んだ 個の整数で の魔方陣を完成させることを通して,身に付

    けた正の数と負の数の加法,加法に関する交換法則,結合法則を活用するとともに,魔方陣を完成

    させる方法を読み取ることをねらいとしている。また,読み取った魔方陣を完成させる方法につい

    て,自分なりに説明することをねらいとしている。

    さらに,この問題は,魔方陣が自然数だけではなく,負の数を含んでも成り立つことを考察する

    ことを通して,小学校第 学年から漸次指導してきた数の範囲を拡張することの理解にもつながる

    ものである。また,第 学年における「文字を用いた式」や第 学年における「平方根」の学習へ

    と直接つながるものであり,特に「平方根」の学習では,数の拡張についても対象となる。

    [四つの観点との対応]

    物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

    目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

    こと したりすること りすること

    ○ ○ ○

    2 各問題の趣旨

    評価の観点

    学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

    領域・内容

    (1) 第 学年 A 数と式 同符号の数について加法の計算

    ()具体的な場面を通して正の数 ができる。○

    と負の数について理解し,その

    (2) 四則計算ができるようにすると 異符号の数について加法の計算

    ともに,正の数と負の数を用い ができる。○

    て表現し考察することができる

    (3) ようにする。 正の数と負の数の加法を利用し

    ウ 正の数と負の数の四則計算 て,さまざまな場合について調べ, ○ ○

    をすること。 適するものを見つけることができ

    エ 具体的な場面で正の数と負 る。

    の数を用いて表したり処理し

    (4)① たりすること。 魔方陣を完成させる方法を理解

    し,別の数字で確かめることがで ○

    きる。

    (4)② 魔方陣を完成させる方法を自分

    なりに説明することができる。○

    数学的な見方や考え

    方数学的な技能

    数量や図形などにつ

    いての知識・理解

    ― 76 ―

  • 3 正答と解説

    問題番号 正 答 (例) 解 説

    (1) ア (考え方)

    イ ア ()()()()

    ウ イ ()()()

    エ ウ

    (2) ア (考え方)

    エ ア ()()

    エ ()()

    (3) (考え方)

    ・斜めの つの整数の和が で合っている

    ので,中央の つの数を対角線方向で入

    れかえて縦,横の和が合うか確かめてみ

    る。

    イ ()

    ウ ()()

    B ()()

    C ()()

    (4)① (補足)

    ・差が一定で変化する 個の数であれば,

    整数でなくても成立する。文字の式の学

    習の後であれば,文字で確かめることも

    できる。

    (4)② ) 左上から小さい順に数を入れる。 ・表現が違っても内容が正しければ正答と

    ) すみの数を対角線方向で入れかえる。 する。

    ) 中央の つの数を対角線方向で入れか

    える。

    - -

    - -

    - -

    - -

    - -

    ― 77 ―

  • 溶けたアイスがあふれないか考えよう

    問 太郎さんと花子さんはアイスクリームを買いに行き,半球のアイスを つのせた「ダブル」を注文しました。

    太郎さん: もしこのアイスがすべて溶けたとしたら,溶け

    たアイスはコーンからあふれてしまうのかな。

    花子さん: うーん,そうね。わたしはあふれると思うわ。

    太郎さん: 体積を求めるしか,方法はないのかな。

    花子さん: そんなことはないわよ。

    (1) 太郎さんは,体積を求めるために店のパンフレットを見なが

    らアイスクリームのサイズを確認しました。アイスの部分を半

    球が つとみなしてその半径は ,コーンの部分を円錐とすい

    みなしてその底面の半径は で高さは でした。

    太郎さんが確認したサイズをもとに,どちらの体積がどれだ

    け大きいか,その差を,円周率 を用いて表しなさい。ただ

    し,アイスは溶けても体積は変わらない,コーンにしみこまな

    いものとします。

    ― 78 ―

  • (2) 花子さんは,店のパンフレットを見ながらアイスクリームのサイズを確認すると,コーンの

    高さはアイスの半径の 倍でした。体積が何倍になるかを考えるために,花子さんは,半径と

    高さが同じ長さの円柱を基準に,次のような図をかきました。花子さんのかいた図を利用して,

    アイスの部分の球とコーンの部分の円錐の体積はどちらが大きいといえるか説明しなさい。

    花子さんのかいた図

    【説明】

    (3) コーンの底面の半径を変えないで溶けたアイスがあふれないようにするためには,コーンの

    高さを何 以上にすればよいか求めなさい。

    ? 倍 ? 倍 ? 倍 アイスの部分

    コーンの部分 ④

    ① ② ③

    ? 倍

    ― 79 ―

  • 中学校 第1学年 B 図形 「溶けたアイスがあふれないか考えよう」

    1 出題の趣旨

    小学校では,第 学年までに立方体や直方体及び角柱や円柱の体積を求めることを学習している。

    特に柱体の体積は底面積と高さの積として求められることを押さえてきている。

    中学校第 学年では,小学校で学習したことに加え,錐体の体積は底面積と高さが等しい柱体の

    体積の 球の体積はそれがぴったりと入る円柱の体積の であることなど,既習の立体と関連

    付けながら学習する。

    この問題では,アイスクリームをモデル化し,アイスの部分を半球二つ,コーンの部分を円錐と

    みなして,異なる二つの立体の体積を,具体的な数値や文字で比較したり体積を差の関係や比の関

    係で比較したりして,同じものをいろいろな観点から考察することをねらいとしている。また,学

    校で学んだことを日常生活の中で積極的に使い,直観的に結果を見通したり,既習の立体について

    体積の比を根拠に演繹的に考察したりしていく態度を培うことをねらいとしている。

    さらに,この問題は立体の底面の半径や高さに着目し考察することを通して,第 学年における

    「相似比と体積比」,また「三平方の定理」を利用して錐体の高さを求める学習へとつながるもの

    である。

    [四つの観点との対応]

    物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

    目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

    こと したりすること りすること

    ○ ○

    2 各問題の趣旨

    評価の観点

    学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

    領域・内容

    (1) 第 学年 B 図形 アイスクリームのアイスの部分

    ()観察,操作や実験などの活動 を半球が二つ,コーンの部分を円

    を通して,空間図形についての 錐としてみなし,具体的数値で二 ○

    理解を深めるとともに,図形の つの部分の体積を求めることによ

    計量についての能力を伸ばす。 って,差で比較することができる。

    ウ 扇形の弧の長さと面積並び

    (2) に基本的な柱体,錐体及び球 コーンの高さがアイスの半径の

    の表面積と体積を求めること。 倍であることを確認し,半径と

    高さが等しい円柱を基準として,○ ○

    アイスの部分とコーンの部分の体

    積を比で比較し,説明することが

    できる。

    (3) 溶けたアイスがあふれないよう

    にするため,コーンの高さに着目○

    して,どのようにすればいいのか

    を求めることができる。

    数学的な見方や考え

    方数学的な技能

    数量や図形などにつ

    いての知識・理解

    ― 80 ―

  • 3 正答と解説

    問題番号 正 答 (例) 解 説

    (1) アイスの部分の体積は

    ( )

    コーンの部分の体積は

    ()

    したがって,

    よって,アイスの部分が 大きい。

    (2) 倍 倍 倍

    ① ② ③

    上の図から,アイスの部分の体積はコーンの部分の体積の 倍となる。

    だから,アイスの部分の体積のほうが大きい。

    (別解)

    半径を とすると,それぞれの立体の体積を求める公式から

    (コーンの部分の体積)

    (アイスの部分の体積)

    上の つの結果から,アイスの部分の体積はコーンの部分の体積の 倍となる。

    だから,アイスの部分の体積のほうが大きい。

    (3) (以上) (考え方)

    ・アイスの部分の体積がコーンの体積の

    倍であることから,高さも 倍になれば

    よい。

    ― 81 ―

  • 速さの違いとかかる時間を考えよう

    問 太郎さんの家族は,お父さんの車で,盛岡を通って仙台まで旅行することにしました。旅行の計画を立てるために,車の速さとかかる時間について考えています。自宅から仙台まで一般道

    と高速道路が両方通じているものとし,自宅から盛岡までの道のりを ,盛岡から仙台ま

    での道のりを として考えました。

    (1) 時速 の速さで進んだとき,自宅から仙台に着くまでにかかる時間を 時間として,

    を の式で表しなさい。

    (2) 太郎さんは,自宅から仙台まで,車の速さを変えることによってかかる時間がどれだけ違う

    か考えています。

    ① 高速道路だけを利用して時速 で進む場合と時速 で進む場合で,速さを時速

    変えることによってかかる時間がどれだけ違うのか求めなさい。

    ② 一般道だけを利用して時速 で進む場合と時速 で進む場合で,速さを時速

    変えることによってかかる時間がどれだけ違うのか求めなさい。

    (3) 太郎さんは,速度規制があり遅くなった分を,車の速さを変えることによって取り戻せるか

    考えています。

    高速道路だけを利用して,自宅から仙台まで予定どおり時速 で進むのに対し,速度

    規制があり自宅から盛岡までを時速 で,遅れを取り戻すために盛岡から仙台までを,

    速さを時速 変えて時速 で進む場合,遅れを取り戻せるか書きなさい。また,そ

    の理由を書きなさい。

    【理由】

    ― 82 ―

  • (4) 太郎さんは,(1)~(3)で考えたことをふまえ,速さの違いが同じであっても,速いと

    きと遅いときで時間のかかり方が違うことを,グラフを用いて説明しようと考えています。

    ① 時速 の速さで進んだとき,自宅から仙台に着くまでにかかる時間を 時間として,

    と の関係をグラフに表しなさい。

    ② 太郎さんは(2)で考えたことをもとに,①のグラフを使って次のような説明をしました。

    太郎さんの説明の空欄部分に,途中の説明を書いて完成させなさい。必要であれば,グラフ

    に記号や線をかき入れ,それを用いて説明してもかまいません。

    自宅から仙台までを,時速 と時速 で進む場合にかかる時間の違いは,

    だから,遅いときには時間の差は大きいが,

    速いときには時間の差は小さいといえる。

    (時間)

    速 さ(時)

    ― 83 ―

  • 中学校 第1学年 C 関数 「速さの違いとかかる時間を考えよう」

    1 出題の趣旨

    小学校では,第 , 学年で比例の関係について学習し,簡単な場合について表やグラフなどを

    用いてその特徴を調べている。また,第 学年で比例の理解をより深めるため,反比例についても

    ふれている。

    これらの学習の上に立って,中学校第 学年では,比例,反比例を,変域を負の数にまで拡張し,

    文字を用いた や という式で表し,座標を用いてグラフに表す。また,具体的な事象

    を比例,反比例とみなすことによって,問題を解決することがねらいである。

    この問題では,速さ,時間,道のりの関係を用いて,身近な事象の中に反比例の関係を見いだし,

    反比例の式や変化の様子をもとにして考察していくことをねらいとしている。また,比例定数が正

    のとき,第 象限では, の絶対値が小さい区間では の値の変化が大きく, の絶対値が大きい

    区間では, の値の変化が小さいという反比例特有の性質を実感を伴って理解することをねらいと

    している。

    さらに,この問題は,反比例において,の増加量に対する の増加量を考察することを通して,

    第 学年における「一次関数」で学習する変化の割合につながっていくものであり,逆に,変化の

    割合の学習をする際,学び直しの対象となるものである。

    [四つの観点との対応]

    物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

    目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

    こと したりすること りすること

    ○ ○

    2 各問題の趣旨

    評価の観点

    学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

    領域・内容

    (1) 第 学年 C 関数 と の関係を式で表すことが○

    ()具体的な事象の中から二つの できる。

    数量を取り出し,それらの変化

    (2)① や対応を調べることを通して, 二つの違う速さでかかる時間を

    ② 比例,反比例の関係についての 求め,かかる時間の差を求めるこ ○

    理解を深めるとともに,関数関 とができる。

    係を見いだし表現し考察する能

    (3) 力を培う。 状況を判断し,その理由を自分

    エ 比例,反比例を表,式,グ なりにまとめることができる。○

    ラフなどで表し,それらの特

    (4)① 徴を理解すること。 速さと時間の関係をグラフに表○

    オ 比例,反比例を用いて具体 すことができる。

    的な事象をとらえ説明するこ

    (4)② と。 計算結果やグラフ,反比例の性

    質などを根拠にして状況を判断○

    し,考えたことを自分なりに説明

    することができる。

    数学的な見方や考え

    方数学的な技能

    数量や図形などにつ

    いての知識・理解

    ― 84 ―

  • 3 正答と解説

    問題番号 正 答 (例) 解 説

    (1)

    (2)① 時間 (考え方)

    時速 時間

    時速 時間

    (2)② 時間(時間 分)

    (考え方)

    時速 時間

    時速

    時間(時間 分)

    (3) ・遅れは取り戻せない

    【理由】

    自宅から盛岡までかかる時間は,

    (時間)

    盛岡から仙台までは,

    = (時間)

    合計

    + =

    (時間)

    予定では,

    = (時間)

    予定より

    時間(分)多くかかる。

    (4)①

    ・表現が違っても内容が正しければ正答と

    する。

    (別解)

    ・グラフを利用して,速さが同じ時速

    の違いであるウとエに対して,時間はア

    とイのように違うことを説明してもよい。

    (4)②

    時間である。

    時速 と時速 で進む場合

    にかかる時間の違いは,

    時間である。

    速さが同じ時速 の違いであっ

    てもかかる時間が違う。

    ― 85 ―

  • ランドルト環の中にある規則を見つけよう

    問 ランドルト環は,視力を判定するためにつくられた図形です。

    たとえば, 離れた所から切れ目

    の幅 のランドルト環の開いて

    いる方向を見分けることができると視

    力は と判定されます。

    太郎さんは視力検査の後,ランドル

    ト環に興味をもち,サイズを調べてそ

    の結果を表にまとめ,数量の関係を調

    べたいと思いました。

    視 力 …

    全体の直径() …

    太 さ() ? …

    切れ目の幅() ? …

    (1) 太郎さんは,ランドルト環の「全体の直径」

    は,「切れ目の幅」にともなって変わること

    に気づき,どんな関係といえるかグラフに表

    そうと思いました。

    ① 右の図に「切れ目の幅」と「全体の直径」

    の関係を表す点をかき入れなさい。

    ② 「切れ目の幅」と「全体の直径」はどん

    な関係といえるか書きなさい。また,なぜ

    そういえるか説明しなさい。

    の関係

    【説明】

    全体の直径

    太さ

    切れ目の幅

    全体の直径

    ()

    切れ目の幅()

    ― 86 ―

  • (2) 次に太郎さんは,「視力」は,ランドルト

    環の開いている方向を見分けることができる

    「切れ目の幅」にともなって変わることに気

    づき,どんな関係といえるかグラフに表そう

    と思いました。

    ① 右の図に「切れ目の幅」と「視力」の関

    係を表す点をかき入れなさい。

    ② 「切れ目の幅」と「視力」はどんな関係

    といえるか書きなさい。また,なぜそうい

    えるか説明しなさい。

    の関係

    【説明】

    (3) 太郎さんは視力検査の結果,両眼とも でした。太郎

    さんは視力が のランドルト環を,コンパスを使って実

    際にかいてみることにしました。切れ目の方向を下にして,

    右の 方眼にかきなさい。

    (4) 太郎さんは,(3)でかいたランドルト環 つで視力検査ができないか調べたところ,ラン

    ドルト環との距離で視力を判定することができることがわかりました。そこで,距離と視力の

    関係を調べてその結果を表にまとめました。

    距 離() …

    視 力 …

    ① 距離を ,視力を とするとき,を の

    式で表しなさい。

    ② 大草原で生活している人の中には,視力が 以上の人もいると言われています。視力が

    の人は,太郎さんがかいたランドルト環の開いている方向をどれくらい離れた所から見

    分けることができることになるのか求めなさい。

    切れ目の幅()

    ― 87 ―

  • 中学校 第1学年 C 関数 「ランドルト環の中にある規則を見つけよう」

    1 出題の趣旨

    小学校では,第 , 学年で比例の関係について学習し,簡単な場合について表やグラフなどを

    用いてその特徴を調べている。また,第 学年で比例の理解をより深めるため,反比例についても

    ふれている。

    これらの学習の上に立って,中学校第 学年では,比例,反比例を,変域を負の数にまで拡張し,

    文字を用いた や という式で表し,座標を用いてグラフに表す。また,具体的な事象

    を比例,反比例とみなすことによって,問題を解決することがねらいである。

    この問題では,学校の視力検査で扱われるランドルト環を素材とし,その中から二つの数量を取

    り出して,その関係をグラフに表すことにより比例や反比例の関係にあると判断し,自分なりに説

    明することをねらいとしている。また,同じ素材の中に比例するものと反比例するものが混在して

    いること,一つのランドルト環を使って距離で視力を判定できることを理解し,そのことを利用し

    て視力が の人のすごさに気付かせることをねらいとしている。

    さらに,二つの数量の関係を比例,反比例とみなし,変化や対応する様子について考察すること

    は,第 学年における「一次関数」,第 学年における「関数 」の学習へとつながるもので

    ある。

    [四つの観点との対応]

    物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

    目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

    こと したりすること りすること

    ○ ○ ○

    2 各問題の趣旨

    評価の観点

    学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

    領域・内容

    (1)① 第 学年 C 関数 ランドルト環の「切れ目の幅」

    ()具体的な事象の中から二つの と「全体の直径」の関係をグラフ ○

    数量を取り出し,それらの変化 に表すことができる。

    (1)② や対応を調べることを通して, 表やグラフから,二つの数量が

    比例,反比例の関係についての 比例の関係であると判断し,その ○ ○

    理解を深めるとともに,関数関 ことを説明できる。

    (2)① 係を見いだし表現し考察する能 ランドルト環の「切れ目の幅」

    力を培う。 と「視力」の関係をグラフに表す ○

    ア 関数関係の意味を理解する ことができる。

    (2)② こと。 表やグラフから,二つの数量が

    イ 比例,反比例の意味を理解 反比例の関係であると判断し,そ ○ ○

    すること。 のことを説明できる。

    (3) ウ 座標の意味を理解すること。 視力が のランドルト環の大

    エ 比例,反比例を表,式,グ きさを表,グラフ,式から求め,コ ○

    ラフなどで表し,それらの特 ンパスを使ってかくことができる。

    (4)① 徴を理解すること。 距離と視力の関係を式で表すこ○

    オ 比例,反比例を用いて具体 とができる。

    (4)② 的な事象をとらえ説明するこ 式を利用して,視力が の人

    と。 が の切れ目をどれくらい○

    離れた所から見分けることができ

    るかを求めることができる。

    数学的な見方や考え

    方数学的な技能

    数量や図形などにつ

    いての知識・理解

    ― 88 ―

  • ( )

    ( )

    3 正答と解説

    問題番号 正 答 (例) 解 説

    (1)① (1)①のグラフ (2)①のグラフ

    (2)①

    (1)② 比例(の関係)

    【説明】 ・【説明】については,表,式,グラフか

    ・グラフが原点を通る 直線上にあるか ら比例であることを説明できていれば正

    ら。 答とする。

    ・「切れ目の幅」を ,「全体の直径」 (補足)

    を とすると で表されるか 視力 のときは,およそ 倍ととらえ

    ら。 ることができる。

    ・「全体の直径」はどこも「切れ目の幅」

    の 倍となるから。

    (2)② 反比例(の関係)

    【説明】 ・【説明】については,表,式,グラフか

    ・「切れ目の幅」を ,「視力」をと ら反比例であることを説明できていれば

    すると で表されるから。 正答とする。

    ・「視力」と「切れ目の幅」の積がどこも (補足)

    となるから。 視力 のときは,積がおよそ ととら

    ・「切れ目の幅」を ,「視力」をと えることができる。

    すると,グラフが の双曲

    線上にあるから。

    (3) ・切れ目の部分が多少ずれていても正答と

    する。

    (4)①

    (4)② (考え方)

    ①で求めた式を利用すると

    全体の直径

    ()

    切れ目の幅()

    切れ目の幅()

    ― 89 ―

  • 回転寿司を何皿食べたのか考えよう

    問 太郎さんは,家族で回転寿司を食べに行きました。本日のおすすめメニューは,次のとおりです。

    本日のおすすめメニュー

    (1) 太郎さんが,「いくら」 皿と「うに」 皿と,「まぐろ」と「サーモン」をそれぞれ何皿か

    を食べたところ,合計 皿で,合計金額は 円になりました。「まぐろ」と「サーモン」

    をそれぞれ何皿食べたか求めなさい。

    まぐろ 皿,サーモン 皿

    まぐろ

    え び

    サーモン

    いくら

    う に

    中とろ

    あわび

    ― 90 ―

  • (2) お父さんが,「まぐろ」 皿と「あわび」 皿と,「えび」と「中とろ」をそれぞれ 皿以上

    食べたところ,全摂取カロリーは になりました。「えび」と「中とろ」をそれぞれ

    何皿食べたか,考えられる組み合わせをすべて求めなさい。

    えび 皿,中とろ 皿

    (3) (2)の問題で,お父さんが食べた寿司の合計金額がいちばん安い場合,「えび」と「中と

    ろ」をそれぞれ何皿ずつ食べたか求めなさい。また,そのときの合計金額を,途中計算を書い

    て求めなさい。

    【途中計算】

    えび 皿,中とろ 皿,合計金額 円

    ― 91 ―

  • 中学校 第2学年 A 数と式 「回転寿司を何皿食べたのか考えよう」

    1 出題の趣旨

    小学校では,第 学年で数量を表す言葉や□,△などの代わりに,, などの文字を用いて式

    に表したり,文字に数を当てはめて調べたりすることを学習している。

    中学校では,第 学年で一元一次方程式について,その中の文字や解の意味を理解し,その解き

    方の学習をしている。

    第 学年では,これらの学習の上に立って,二元一次方程式とその解の意味や二元一次方程式を

    連立させることの必要性と意味及び連立二元一次方程式の解の意味を理解し,解を求めることがで

    きるようにする。さらに,具体的な場面で連立二元一次方程式を活用する能力を育てることをねら

    いとしている。

    この問題では,回転寿司を食べるという日常の場面で,メニューにある寿司の値段とカロリーと

    いう情報を分類整理し,必要なものを適切に選択し,その関係を二元一次方程式に表して問題を解

    決することをねらいとしている。また,条件に合った解を求めるために,目的に応じて二元一次方

    程式を連立させたり,式を変形することをねらいとしている。

    さらに,この問題は,数量の関係や法則などを文字を用いた式や方程式に表して処理し,問題を

    能率よく解決していく学習を進めることによって,代数的な処理に関する能力が次第に高められ,

    それが他の領域の学習にも活用される。直接的には,発展的な内容として「連立三元一次方程式」,

    第 学年における「二次方程式」の学習へとつながっていくものである。

    [四つの観点との対応]

    物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

    目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

    こと したりすること りすること

    ○ ○ ○

    2 各問題の趣旨

    評価の観点

    学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

    領域・内容

    (1) 第 学年 A 数と式 与えられた情報の中から必要な

    ()具体的な事象の中に数量の関 ものを適切に取り出し,連立二元

    係を見いだし,それを文字を用 一次方程式に表して解を求めるこ ○

    いて式に表現したり式の意味を とができる。

    読み取ったりする能力を養うと

    ともに,文字を用いた式の四則

    (2) 計算ができるようにする。 二元一次方程式に表し,目的に

    ウ 目的に応じて,簡単な式を 応じて変形したり,等式を成り立

    変形すること。 たせる値の組を表に表したりし ○

    ()連立二元一次方程式について て,与えられた条件に合う解を求

    理解し,それを用いて考察する めることができる。

    ことができるようにする。

    (3) ア 二元一次方程式とその解の 条件に合う解を求めることに,

    意味を理解すること。 二元一次方程式を活用することが

    ウ 簡単な連立二元一次方程式 できる。 ○ ○

    を解くこと及びそれを具体的

    な場面で活用すること。

    数学的な見方や考え

    方数学的な技能

    数量や図形などにつ

    いての知識・理解

    ― 92 ―

  • 3 正答と解説

    問題番号 正 答 (例) 解 説

    (1) まぐろ 皿,サーモン 皿 (考え方)

    「まぐろ」の皿の数を 皿,

    「サーモン」の皿の数を 皿とすると

    (2) えび 皿,中とろ 皿 (考え方)

    えび 皿,中とろ 皿 「えび」の皿の数を 皿,

    えび 皿,中とろ 皿 「中とろ」の皿の数を 皿とすると

    ,ともに自然数でなければならないので,

    が の倍数となる , の組み合わ

    せを考えて,

    (,)(,)

    (,)(,)

    (,)(,)

    (別解)

    上の式 を利用して,これを成

    り立たせる ,の組み合わせを表にする。

    (3) 【途中計算】 ・表現が違っても,意味があっていれば正

    「えび」は 皿 円, 答とする。

    「中とろ」は 皿 円だから,

    ①「えび」皿,「中とろ」皿の場合

    ②「えび」皿,「中とろ」皿の場合

    ③「えび」皿,「中とろ」皿の場合

    という結果から,

    「えび」皿,「中とろ」皿のとき,合計

    金額がいちばん安い。

    そのときの合計金額は,

    えび 皿,中とろ 皿,合計金額 円

    ― 93 ―

  • 球のはね返りを考えよう

    問 花子さんは初めてビリヤードをするので,太郎さんから球の打ち方を聞いています。

    太郎さん:ビリヤードの球は台の壁にあ 花子さん:それじゃ,もし白球を打って壁

    たってはね返るとき,あたる前 にあててから,黒球にあてたいときは

    の角とあたった後の角がほぼ一 どこをねらって打てばいいの?

    致しているんだよ。

    太郎さん:白球と壁 について対称となる位置

    に球があると考えるんだよ。その対称と

    なる位置の球と黒球を直線で結び,直線

    と壁 と交わっている点 に向かって

    打てば黒球にあたるよ。

    (1) 白球を点 に向かって打つと,なぜ黒球にあたるのかを花子さんは考えて太郎さんに説明

    しました。花子さんの説明を完成させなさい。ただし,白球の位置を点 , と線分 につ

    いて線対称の点を ,線分 と の交点を ,黒球の位置を点 とします。

    花子さんの説明

    ∠ と∠ が等しくなることを示せばいいから,

    △ と△ において

    だから,白球を点 に向かって打つと黒球にあたる。

    あたる あたった前の角 後の角

    ― 94 ―

  • (2) 太郎さんは,白球を打つと長方形の台の つの壁にあたって元の位置に戻ってくることがあ

    ることを花子さんに話しました。

    太郎さん:対角線 上でないところに白球を

    おいて,対角線 に平行に球を打つ

    と ,,, とあたって元の場所に

    戻ってくるよ。球の動いた後は平行四

    辺形になるんだよ。

    ① 四角形 がなぜ平行四辺形になるかを花子さんは考えて,太郎さんに説明しました。

    ア ~ カ にはあてはまる式を, キ には平行四辺形になるための条件を書き

    なさい。

    ∠=∠とする。

    ∠ ,∠ を,∠ を使ってそれぞれ表

    すと,

    ∠= ア ,∠= イ

    これを利用して,∠ と∠ を,∠ を

    使ってそれぞれ表すと,

    ∠= ウ ,∠= エ … ①

    同様にして,∠=∠= ア

    ∠=∠= イ

    これより,∠ ,∠ を∠ を使って表

    すと,

    ∠= オ ,∠= カ … ②

    ①,②より∠=∠,∠=∠

    よって, キ から

    四角形 は平行四辺形となる。

    ア イ ウ

    エ オ カ

    ② = , = , = であるとき,平行四辺形 の周の長さを求めな

    さい。

    ― 95 ―

  • 中学校 第2学年 B 図形 「球のはね返りを考えよう」

    1 出題の趣旨

    小学校では,第 学年で図形の対称性について学習している。

    中学校では,第 学年で図形の作図や移動を取り扱うとともに,空間図形を直線や平面図形の運

    動によって構成されているものととらえたり,平面上に表現したり読み取ったりしている。これら

    の学習を通して,図形についての豊かな感覚をはぐくみ,図形についての理解を深めるとともに,

    論理的に考察し表現する能力を培ってきている。

    第 学年では,平面図形の角に関する性質を,平行線の性質を使って導き確かな根拠を基にして

    筋道立てて考え説明することとともに,三角形の合同条件を使って,図形の性質を演繹的に確かめ,

    論理的に考察し表現する能力を養うことがねらいである。また,操作や実験などの活動を通して,

    その推論の過程を他者に伝わるように,分かりやすく表現することがねらいである。

    この問題では,ビリヤードの球のはね返りについて,根拠を明らかにして筋道を立てて考えるこ

    とをねらいとしている。最短距離の考え方を利用する部分は,第 学年で学習した内容を第 学年

    の三角形の合同を利用して論理的に説明することを,また,球の軌跡である平行四辺形の周の長さ

    は,二等辺三角形の性質や平行四辺形の性質を利用して解決することをねらいとしている。

    さらに,この問題は,図形の性質に関する考察を通して,数学的な推論の必要性や意味及び方法

    についての理解を深め,論理的に考察し表現する力を伸ばすとともに,第 学年における「図形の

    相似」,「円の性質」や「三平方の定理」の学習へとつながるものである。

    [四つの観点との対応]

    物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

    目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

    こと したりすること りすること

    ○ ○ ○

    2 各問題の趣旨

    評価の観点

    学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

    領域・内容

    (1) 第 学年 B 図形 最短距離の問題のときに利用し

    ()図形の合同について理解し図 た対称移動の考え方を,二つの角

    形についての見方を深めるとと が等しくなることに利用して証明 ○

    もに,図形の性質を三角形の合 することができる。

    同条件などを基にして確かめ,

    論理的に考察し表現する能力を

    (2)① 養う。 四角形が,平行四辺形になるこ

    ア 平面図形の合同の意味及び とを文字を使って説明することが ○ ○

    三角形の合同条件について理 できる。

    解すること。

    イ 証明の必要性と意味及びそ

    (2)② の方法について理解すること。 平行四辺形の周の長さを求める

    ウ 三角形の合同条件などを基 ために,二等辺三角形の性質や平

    にして三角形や平行四辺形の 行四辺形の性質を利用することが

    基本的な性質を論理的に確か できる。

    めたり,図形の性質の証明を○ ○

    読んで新たな性質を見いだし

    たりすること。

    数学的な見方や考え

    方数学的な技能

    数量や図形などにつ

    いての知識・理解

    ― 96 ―

  • 3 正答と解説

    問題番号 正 答 (例) 解 説

    (1) (△ と△ において) ・表現が違っても内容が正しければ正答と

    する。点,は線分について対称なので

    … ①

    共通な辺だから (参考)

    … ② 「ゆえに」,「または」,「かつ」,「したが

    線分 が線対称の軸だから って」,「一方」,「よって」などの言葉を

    ∠∠゜… ③ 使うことに慣れるようにし,漸次,推論

    ①,②,③より の過程を正確に,分かりやすく表現する

    辺とその間の角がそれぞれ等しいので 能力を高めていく。

    △ △

    対応する角は等しいから

    ∠ ∠ … ④

    また,対頂角は等しいから

    ∠ ∠ … ⑤

    よって,④,⑤より

    ∠ ∠

    (だから,白球を点 に向かって打つと

    黒球にあたる。)

    (2)① ア ∠ ・表現が違っても内容が正しければ正答と

    イ ゚ -∠ する。

    ウ ゚ - ∠

    エ ∠

    オ ゚ - ∠

    カ ∠ ・キは,「 組の向かい合う角がそれぞれ等

    キ 組の対角がそれぞれ等しい しい」も正答とする。

    (2)② (考え方)

    (2)より四角形 は平行四辺形であ

    り,それぞれの辺が対角線と平行であるこ

    とから,内側の つの四角形はすべて平行

    四辺形である。

    よって,

    △ ,△ は,底角がそれぞれ等し

    いので,二等辺三角形である。

    よって,,

    これらのことから,

    同様にして

    つまり,長方形の対角線の長さの 倍にな

    る。

    ― 97 ―

  • ()

    (分)

    時間

    図2

    高さ

    水そうの水について考えよう

    問 図1のように,内側の高さが の直方体の水そうに,高さが の仕切りを垂直に入れます。その仕切りによってできる,左側の部分を ,右側の部分を とし, の部分の底面積

    は の部分の底面積の 倍です。また,この水そうの底面は棚の上の面から だけ下にあ

    ります。この水そうの の部分の上には給水管 , の部分の上には給水管 があり,どちら

    も 分間あたり同じ量で給水することができます。

    ただし,仕切りの厚さは考えないものとします。

    (1) 給水管 だけを使い,水そうが空の状態から満水になるまで給水しました。図2は, の

    部分について,給水を始めてから 分後の,棚の上の面を基準としたときの水面までの高さ

    を とし,その関係を途中までグラフに表したものです。

    棚の上の面

    図1

    ― 98 ―

  • ① 給水を始めてから 分後の,棚の上の面を基準としたときの水面までの高さを求めなさい。

    ② 分後から 分後のグラフは 軸に平行になっています。グラフのこの部分は水そうの

    水がどういう状態を表しているのか書きなさい。

    ③ 分後から,この水そうが満水になるまでのグラフを図2にかき入れなさい。

    (2) 給水管 , の つを同時に使い,水そうが空の状態から給水を始めます。このとき,

    の部分で,棚の上の面を基準としたときの水面までの高さが になるのは,給水を始めて

    から何分何秒後か求めなさい。

    分 秒後

    ― 99 ―

  • 中学校 第2学年 C 関数 「水そうの水について考えよう」

    1 出題の趣旨

    小学校では,第 , 学年で比例の関係について学習し,簡単な場合について表やグラフなどを

    用いてその特徴を調べている。また,第 学年で比例の理解をより深めるため,反比例についても

    ふれている。

    中学校では,第 学年で具体的な事象における二つの数量の変化や対応を調べ,関数関係につい

    て理解し,比例,反比例を関数としてとらえ直した。そこでは,変数と変域や座標について理解す

    るとともに,比例,反比例の関係を表,式,グラフなどで表し,それらの特徴を理解し,比例,反

    比例を用いて具体的な事象をとらえ説明することを学習している。

    第 学年では,第 学年と同様に具体的な事象における二つの数量の変化や対応を調べることを

    通して,一次関数について考察する。これらの学習を通して,関数関係を見いだし表現し考察する

    能力を養うことがねらいである。

    この問題では,中にしきりがある直方体の水そうに, 分間あたり同じ量で給水することを素材

    とし,時間と水面までの高さの関係をとらえ,表現し考察することをねらいとしている。時間と水

    面までの高さの関係をグラフから読み取り,数学的に解釈し説明したりグラフに表したり,また,

    変化の割合など関数的な見方や考え方を用いて解決を図ることをねらいとしている。

    さらに,この問題は,具体的な事象における二つの数量の変化や対応をグラフに表すことだけで

    はなく,グラフから具体的な事象の変化の様子をとらえ説明する能力を養うともに,第 学年にお

    ける「関数 」の学習へとつながるものである。

    [四つの観点との対応]

    物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

    目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

    こと したりすること りすること

    ○ ○ ○

    2 各問題の趣旨

    評価の観点

    学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

    領域・内容

    (1)① 第 学年 C 関数 グラフが直線で傾き一定である

    ()具体的な事象の中から二つの ことから,基準面から水面までの ○

    数量を取り出し,それらの変化 高さを求めることができる。

    や対応を調べることを通して,

    (1)② 一次関数について理解するとと 変化の様子をグラフから読み取

    もに,関数関係を見いだし表現 り,水そうの水の状態を説明する ○

    し考察する能力を養う。 ことができる。

    ア 事象の中には一次関数とし

    (1)③ てとらえられるものがあるこ 変化の様子を的確にとらえ,グ

    とを知ること。 ラフをかくことができる。 ○

    イ 一次関数について,表,式,

    グラフを相互に関連付けて理

    (2) 解すること。 水面までの高さについて,変化

    エ 一次関数を用いて具体的な の様子を変化の割合に着目して立 ○ ○

    事象をとらえ説明すること。 式し,解を求めることができる。

    数学的な見方や考え

    方数学的な技能

    数量や図形などにつ

    いての知識・理解

    ― 100 ―

  • ()

    (分)

    3 正答と解説

    問題番号 正 答 (例) 解 説

    (1)① (考え方)

    グラフから, 分間で 高くなってい

    るから,分間で の割合で高くなる。

    よって,

    の高さから 高くなって

    (1)② の部分に水が流れている状態 ・表現が違っても,意味があっていれば正

    答とする。

    (1)③ (考え方)

    の部分が 分間で の高

    さになったので,底面積が半分

    である の部分は 分間で

    の高さとなる。だから,

    分後から水面はまた上昇する。

    上昇する割合は,, の両方

    の部分だから 分間で ,

    つまり,分間で である。

    この割合で,満水となる

    までグラフをかく。

    (他の考え方)

    分後からは,仕切りがなかっ

    たときと増え方が同じになるの

    で,原点と(,)を結ぶ直

    線を,高さ のところまで

    延長する。

    (2) 分 秒 (考え方)

    の部分の底面積は,の部分の底面積の

    半分だから,給水管 によって, の部分

    の高さが になるのに要する時間は,

    の部分の半分,つまり 分である。

    分後からは,の部分からあふれた水が

    の部分に入るので,給水管 と の分で水

    面が上昇する。これは, 分間で の

    倍だから,分間で である。

    したがって, の高さから 分後の高さ

    である をひいて 分間当たりの上

    昇する量である で割り,給水管 だ

    けから入っていた時間 分をたして求める。

    {()}= (分)

    ― 101 ―

  • すごろくのあがりを考えよう

    問 太郎さんと次郎さんが,すごろくで遊んでいます。すごろくのルールは次のとおりです。

    (1) ゴールまであと マスのところに太郎さんのコマがあるとき,太郎さんが 巡目であがる確

    率を求めなさい。

    (2) さいころを 回ずつ投げて,太郎さんは 巡目であがり 巡目でボーナス点をもらい,次郎

    さんは 巡目であがるとき,太郎さんが勝つためには 巡目で何以上の目が出るといいか求め

    なさい。

    以上

    ゴ ー ル

    順位点(あがった順)

    番目……… 点

    番目……… 点

    番目以降… 点

    ボーナス点

    出た目の数× 点

    すごろくのルール

    ① さいころは 個使い, 交代で投げます。

    ② さいころの目の数がちょうどのときだけあがることができ,あがった順に順位点を

    もらいます。

    ③ ゴールまでのマスの数より,さいころの目の数が大きい場合は,余った目の数の分

    だけ後戻りします。

    ④ 先にあがった人は,全員があがるまで自分の順番でさいころを投げ,出た目の数に

    応じてボーナス点をもらいます。

    ⑤ 順位点とボーナス点の合計で点数の多い順に勝ちとします。

    ― 102 ―

  • (3) さいころの目が ,,の順に出るとあがるところに次郎さんのコマがあるとき,そのコマ

    はゴールから何マス目の所にあるか,すべて求めなさい。

    ゴールから マス目

    (4) 花子さんが,途中からすごろくに参加することになり,太郎さんに「好きな場所に自分のコ

    マを置いていいよ」と言われました。

    巡目であがりたいと考えるとき,花子さんはゴールから何マス目の所に置くと,あがる確

    率がもっとも高いですか。どのように考えて求めたのか説明も書きなさい。

    ゴールから マス目

    【説明】

    ― 103 ―

  • 中学校 第2学年 D 資料の活用 「すごろくのあがりを考えよう」

    1 出題の趣旨

    小学校では,第 学年で具体的な事柄について起こり得る場合を順序よく整理して調べることを

    学習している。

    中学校では,第 学年で相対度数は,全体(総度数)に対する部分(各階級の度数)の割合を示

    す値で,各階級の頻度とみなされることを学習している。

    第 学年では,これらの学習を受けて,不確定な事象についての観察や実験などの活動を通して,

    統計的確率と数学的確率の関係について理解する。また,確定した事象を表すのに用いられてきた

    数が,さいころの目の出方など不確定な事象の起こりやすさの程度を表すためにも用いられること

    を知り,確率を用いて不確定な事象をとらえ説明できるようにする。

    この問題では,与えられた情報を分類整理し,その意味を理解した上で事象を数学的に考察する

    ことをねらいの一つとしている。また,さいころを 回投げるときに起こり得る場合について,数

    学的な表現を用いて順序よく整理し正しく数え上げることで確率を求めることなど,不確定な事象

    に関する問題の解決に確率を根拠として説明し,数を用いて考えたり判断したりできることを理解

    することをねらいとしている。

    さらに,この問題は,第 学年における「標本調査」の学習へとつながるものである。また,高

    等学校における「場合の数」や「確率」の学習へとつながるものであり,高等学校数学とのなだら

    かな接続という観点から,その見方や考え方を育てる意味を含んでいる。

    [四つの観点との対応]

    物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

    目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

    こと したりすること りすること

    ○ ○ ○

    2 各問題の趣旨

    評価の観点

    学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

    領域・内容

    (1) 第 学年 D 資料の活用 さいころを 回投げたとき,

    ()不確定な事象についての観察 巡目であがる場合の数を正しく見○

    や実験などの活動を通して,確 つけ,その確率を求めることがで

    率について理解し,それを用い きる。

    て考察し表現することができる

    (2) ようにする。 勝敗のつけ方を理解し,勝つた

    ア 確率の必要性と意味を理解 めには,何以上の目を出せばいい ○

    し,簡単な場合について確率 のかを求めることができる。

    を求めること。

    (3) イ 確率を用いて不確定な事象 さいころを 回投げたとき,コ

    をとらえ説明すること。 マの動く位置を正しく求めること ○

    ができる。

    (4) さいころを 回投げたとき,ど

    の場所にコマを置くとあがる確率

    がもっとも高いのか,数学的な表 ○

    現を工夫して説明することができ

    る。

    数学的な見方や考え

    方数学的な技能

    数量や図形などにつ

    いての知識・理解

    ― 104 ―

  • 回 目 の 目 の 数

    回 ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦

    目 ①③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧

    の ②④ ①⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨

    目 ③⑤ ②⑥ ①⑦ ⑧ ⑨ ⑩

    の ④⑥ ③⑦ ②⑧ ①⑨ ⑩ ⑪

    数 ⑤⑦ ④⑧ ③⑨ ②⑩ ①⑪ ⑫

    3 正答と解説

    問題番号 正 答 (例) 解 説

    (1) (考え方) 巡目であがるときのさいころの目の出方

    を,( 回目の目の数, 回目の目の数)で

    表すと

    (,),(,),(,),(,),(,)

    (2) (考え方)

    太郎さんの 回目に出るさいころの目の数

    を とすると

    太郎さんの得点は,(点)

    次郎さんの得点は,(点)

    ≧ で,太郎さんの得点が次郎さんの得

    点より多くなる。

    (3) ,, (考え方)

    回目にさいころを投げるときの位置を❶,

    回目を②,回目を③と表すと

    残り

    ゴール○○③○○○○○②○○○○❶

    ゴール○○③

    ○○○○❶②

    ゴール○❶③②

    (4) ゴールから マス目 (参考)

    【説明】 ・マス目・・・通り

    さいころを 回投げたとき,あがれる所を,(),(),(),(),()

    ゴールからのコマ数が の場合①のように ・マス目・・・通り

    表すと (),(),(),(),()

    ・マス目・・・通り

    (),(),(),(),()

    ・マス目・・・通り

    (),(),(),(),()

    ・マス目・・・通り

    (),(),(),(),()

    ・マス目・・・通り

    (),(),(),(),()

    ・マス目・・・通り

    (),(),(),(),(),()

    ・マス目・・・通り

    (),(),(),(),()

    ・マス目・・・通り

    (),(),(),()

    ・ ~ マス目 通り ・マス目・・・通り

    ・ マス目 通り (),(),()

    ・ マス目 通り ・マス目・・・通り

    ・ マス目 通り (),()

    ・マス目 通り ・マス目・・・通り

    ・マス目 通り ()

    ・マス目 通り

    よって,ゴールから マス目の所に置くと

    あがる確率がもっとも高い。

    ― 105 ―

  • 碁石は何個ずつ増えていくのか考えよう

    問 花子さんたちは,数学の時間に碁石を規則的に並べて,その増え方について考えました。

    (1) 花子さんと太郎さんは,下の図のように, 個の碁石からスタートして,まわりを囲むよう

    に碁石を並べ,何個ずつ増えていくのか考えました。

    花子さん: 番目から 番目では 個,番目から 番目では 個,番目から 番目

    では 個増えているわ。たぶん 番目から 番目では ア 個増えそう。

    太郎さん: うん。増える碁石の個数は イ の倍数になりそうだね。

    花子さん: どうして イ の倍数になるのかな。

    太郎さん: 一緒に考えてみようよ。並べた碁石の形を正方形と考えると 番から 番目

    まで,辺に並べた碁石の個数は,全部奇数になっているよね。

    花子さん: 増える碁石の個数は,

    番目から 番目だったら

    番目から 番目だったら というように求められそう。

    太郎さん: うん。()() とか,

    ()() というようにも考えられそうだね。

    ① ア , イ にあてはまる数を答えなさい。

    ア 個 イ の倍数

    ② 太郎さんは, 辺に並べた碁石の個数が奇数となることから,増える碁石の個数を次のよ

    うに表しました。 ウ に,あてはまる式を答えなさい。

    を自然数として, 番目に並べた碁石の 辺の個数を 個と表すと, 番

    目に並べた碁石の 辺の個数は ウ 個と表すことができる。

    このとき,増える碁石の個数は,( ウ )() と表すことができる。

    番目 番目 番目 番目 番目

    ― 106 ―

  • ③ 「増える碁石の個数は イ の倍数になりそうだね。」という太郎さんの予想が正しい

    ことを,花子さんか太郎さんの考えを参考に,②の式を利用して説明しなさい。

    【説明】

    (2) 次郎さんは,下の図のように, 個の碁石からスタートして,まわりを囲むように碁石を並

    べてみました。増える碁石の個数はどんな数になるか説明しなさい。

    【説明】

    番目 番目 番目 番目

    ― 107 ―

  • 中学校 第3学年 A 数と式 「碁石は何個ずつ増えていくのか考えよう」

    1 出題の趣旨

    中学校では,第 学年で事象の中に数量の関係を見いだし,それを文字を用いて式に表現したり

    式の意味を読み取ったりする能力を養うとともに,簡単な数式の加法・減法,単項式の乗法・除法

    の計算を学習している。また,数量や数量の関係をとらえ説明するのに文字を用いた式が活用でき

    ることや,目的に応じて簡単な式を変形することを学習している。

    第 学年では,これらの学習の上に立って,単項式と多項式の乗法,多項式を単項式で割る除法

    及び簡単な一次式の乗法の計算ができるようにする。また,公式を用いる簡単な式の展開と因数分

    解を取り扱い,これによって,目的に応じて式を変形したり,その意味を読み取ったりする能力を

    伸ばすことがねらいである。

    この問題では,数の性質が成り立つことを文字式を用いて表現する能力と,乗法公式や因数分解

    の公式を利用して変形し,その意味を読み取る能力を身に付けることをねらいとしている。また,

    条件に応じた形に式を変形し数学的な表現を用いることで,数量の意味をとらえ,根拠を明らかに

    し筋道立てて相手に分かりやすく説明できるようにすることをねらいとしている。

    さらに,この問題は,高等学校における「式の展開と因数分解」,「式と証明」や「高次方程式」

    へとつながるものであり,高等学校数学とのなだらかな接続という観点から,その見方や考え方を

    育てる意味を含んでいる。

    [四つの観点との対応]

    物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

    目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

    こと したりすること りすること

    ○ ○ ○

    2 各問題の趣旨

    評価の観点

    学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

    領域・内容

    (1)① 第 学年 A 数と式 規則的に増える碁石の個数や,

    ()文字を用いた簡単な多項式に その数が何の倍数になるかを予想 ○

    ついて,式の展開や因数分解が することができる。

    できるようにするとともに,目

    (1)② 的に応じて式を変形したりその 碁石の個数が奇数であるとき,

    意味を読み取ったりする能力を それを文字を用いて表すことがで ○

    伸ばす。 きる。

    イ 簡単な一次式の乗法の計算

    (1)③ 及び次の公式を用いる簡単な 問題の内容を文字を用いた式で

    式の展開や因数分解をするこ 表し,展開や因数分解を使って計○ ○

    と。(公式省略) 算し,その意味を読み取ることが

    ウ 文字を用いた式で数量及び できる。

    数量の関係をとらえ説明する

    (2) こと。 辺に並べた碁石の個数が偶数

    の場合について考察することがで ○ ○

    きる。

    数学的な見方や考え

    方数学的な技能

    数量や図形などにつ

    いての知識・理解

    ― 108 ―

  • 3 正答と解説

    問題番号 正 答 (例) 解 説

    (1)① ア

    (1)② ウ

    (1)③ ()() (別解)

    ()() ()()

    {()()}{()()}

    よって の倍数になる。

    よって の倍数になる。

    (2) を整数として,小さいほうの偶数を ・の倍数に をたした数,つの偶数の間

    と表す。 にある奇数の 倍,つの偶数の和を 倍

    ()() した数など,式変形と表現があっていれ

    () ば正答とする。

    (別解)

    () ()()

    よって の倍数になる。 …

    よって の倍数に をたした数になる。

    (別解)

    ()()

    ()

    よって つの偶数の間にある奇数の 倍に

    なる。

    (別解)

    ()()

    {()}{()}

    {()}

    よって,つの偶数の和を 倍した数にな

    る。

    ― 109 ―

  • 水がたくさん入るのはどちらか考えよう

    問 花子さんと太郎さんは,次の問題を考えています。

    下の図のような つの容器があります。容器 は底面の直径が ,母線が の円錐すい

    で,容器 は底面の 辺が ,母線が の正四角錐です。容器 と容器 では,ど

    ちらに水がたくさん入るでしょうか。

    容器 容器

    ※母線とは,側面を構成する線のこと(上の つの図であれば の長さの部分)

    この問題を解くために,花子さんと太郎さんは次のように考えました。

    花子さんの考え

    つの容器の体積をくらべるために,容器の底面に着目しました。

    容器 の円錐の底面は直径が の円で,容器 の正四角錐

    の底面は 辺が の正方形です。だから,底面だけをくらべる

    と,の円と の正方形は右の図のようになります。

    つの立体の母線の長さは同じなので,高さも同じになります。

    だから,底面積が大きい容器 のほうが体積は大きくなります。

    太郎さんの考え

    考えやすいように,まず容器 を逆さにして,見取図をかきま

    した。

    容器 の円錐は,底面の円の半径が ア ,

    母線が なので,高さは イ になります。

    次に,容器 の正四角錐について,同じように見取図をかいて,

    高さを求めてみればいいと思います。

    (1) 太郎さんの考えの, ア , イ の長さを答えなさい。

    ア イ

    ― 110 ―

  • (2) 太郎さんは,容器 の正四角錐について,同じように見取図をかいて,高さを求めてみれ

    ばいいと考えています。

    ① 容器 の正四角錐の見取図をかきなさい。また,その正四角錐の見取図に高さを実線で

    かき入れなさい。

    見取図 と 高さ

    ② 容器 の正四角錐の高さを求めなさい。

    (3) 容器 と容器 では,どちらがどれだけ大きいのか答えなさい。

    が だけ大きい

    (4) 花子さんは,太郎さんの考えをきいて自分の考えがまちがっていたと思いました。何がまち

    がっていたのか説明しなさい。

    【説明】

    ― 111 ―

  • 中学校 第3学年 B 図形 「水がたくさん入るのはどちらか考えよう」

    1 出題の趣旨

    中学校では,第 学年で「空間図形」,「立体の体積と表面積」,「見取図」を学んでいる。

    第 学年では,「三平方の定理」について学び,代数的処理も施すため「平方根」とも関連する。

    また,その利用において,第 学年で習った図形の性質に加え,平面図形や空間図形の求積など,

    中学校で学習してきたさまざまな内容と関連している。

    この問題では,これらの知識を総合的に利用して,母線の長さが等しく,円の直径と底面の正方

    形の 辺が等しい円錐と正四角錐の体積を比較する。見取図をかき,三平方の定理を利用して立体

    の高さを出し,体積を求めることをねらいとしている。また,三平方の定理を用いて長さや体積を

    求めるだけではなく,二つの立体の体積の大きさを比較する際に,πや根号を含んだ数の大きさに

    ついて考察するなど,数学的な見方や考え方をはぐくむことをねらいとしている。

    さらに,この問題は,高等学校における「三角比」,「図形の計量」の学習へとつながるもので

    あり,高等学校数学とのなだらかな接続という観点から,その見方や考え方を育てる意味を含んで

    いる。

    [四つの観点との対応]

    物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

    目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

    こと したりすること りすること

    ○ ○ ○

    2 各問題の趣旨

    評価の観点

    学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

    領域・内容

    (1) 第 学年 B 図形 三平方の定理を利用して,円錐○

    ()観察,操作や実験などの活動 の高さを求めることができる。○

    を通して,三平方の定理を見い

    (2)① だして理解し,それを用いて考 正四角錐の見取図をかき,その

    察することができるようにする。図に高さをかき入れることができ ○ ○

    イ 三平方の定理を具体的な場 る。

    面で活用すること。

    (2)② 三平方の定理を利用して,正四

    角錐の高さを求めることができ ○ ○

    る。

    (3) 三平方の定理を利用して求めた

    高さを使って,立体の体積を求め

    ることができる。 ○ ○

    πや根号を含んだ数の大きさを

    見積もることができる。

    (4) 円錐と正四角錐の母線の長さが

    同じでも,高さが同じになるとは ○ ○

    限らないことを指摘できる。

    数学的な見方や考え

    方数学的な技能

    数量や図形などにつ

    いての知識・理解

    ― 112 ―

  • 3 正答と解説

    問題番号 正 答 (例) 解 説

    (1) ア (考え方)

    イ ・底面の半径が ,母線が 。

    高さを とすると

    > だから

    (2)① 見取図と高さ ・高さの図示は,垂直の記号を記入してい

    るか,対角線の交点と結んでいるかどち

    らかがあれば正答とする。

    (2)② (考え方)

    高さを とすると

    ( )

    >だから

    (3) 容器 (が) (考え方)

    ( だけ大きい) 容器 の体積は

    容器 の体積は

    (4) ・容器 と容器 の母線の長さが同じで ・同様の内容が書かれてあれば正答とする。

    あれば,高さが同じということ。

    ・母線の長さが同じとき,底面積が大きい

    ほうが,体積が大きいということ。

    ― 113 ―

  • 標準体重を求めよう (計算機使用可)

    問 花子さんは保健体育の授業で,標準体重の求め方を習いました。標準体重の求め方は次のとおりです。

    ○標準体重の求め方

    標準体重()=身長()×身長()×

    ※ とは体格指数( )のことである

    ・の判定基準

    普通体重:が 以上 未満

    ・の標準

    が のとき

    ※統計的にもっとも病気にかかりにくいとされている

    (1) 身長 の花子さんが「普通体重」と判定されるのは,体重が何 以上何 未満の

    ときですか。小数第 位を四捨五入して答えなさい。

    以上 未満

    (2) この求め方を習ったことで,花子さんはお父さんの最近の体重が気になり始め,友達の陽子

    さんのお父さんの例も出して次のように話し,ダイエットするようにお願いしました。 ①

    と ② に入る適切な数字をア~ウの中からそれぞれ つずつ選びなさい。

    <花子さんのお父さん> <陽子さんのお父さん>

    身長 身長

    体重 体重

    花子さん: お父さんの最近の体重なら, を標準の とすると,身長が約 ①

    なければならないんだよ。このままだと,お父さんの体が心配だから,

    せめて を陽子さんのお父さんぐらいにしてよ。

    お父さん: そうだな,最近気になっていたんだ。じゃあ,何 減らせばいいんだ?

    花子さん: 約 ② だよ。

    お父さん: よし,じゃあ,がんばってみるか。

    ① ア イ ウ

    ② ア イ ウ

    ① ②

    ― 114 ―

  • (3) 身長 の花子さんは,現在 が標準の です。が標準の のままで,花子

    さんの将来の理想身長である まで伸びたらいいなと考えています。

    ① 身長 あたりの体重の増加量が約何 になるかを次のように計算してみました。

    ア ~ カ にあてはまる整数を書きなさい。

    現在の体重を,身長 ,を使って計算し直すと ア 。

    将来の理想体重を,身長 ,を使って計算すると イ 。

    よって,体重の増加量は ウ 。

    また,身長の増加量は エ 。

    だから,身長 あたりの体重の増加量は オ 。

    つまり,身長 あたりの体重の増加量は約 カ である。

    ア イ ウ

    エ オ カ

    ② 花子さんは試しに, が標準の のままで身長が まで伸びるとしたら,身長

    あたりの体重の増加量は約何 になるかも計算してみました。すると, まで伸

    びるときの身長 あたりの体重の増加量と違う値が出てきて,とても不思議に感じまし

    た。

    種類の身長の増加量に対して,身長 あたりの体重の増加量に違いが見られた理由

    を,身長を ,体重を として,関数 の性質をもとに説明しなさい。

    【説明】

    ― 115 ―

  • 中学校 第3学年 C 関数 「標準体重を求めよう」

    1 出題の趣旨

    中学校では,第 学年で比例,反比例を取り扱い,第 学年で一次関数を取り扱っている。

    第 学年では,第 , 学年と同様に,具体的な事象における二つの数量の変化や対応を調べる

    ことを通して,関数 について考察する。その際,表,式,グラフを相互に関連付けながら,

    変化の割合やグラフの特徴など関数の理解を一層深め,これらの学習を通して,関数関係を見いだ

    し表現し考察する能力を伸ばすことがねらいである。

    この問題では,身近な素材である身長()と標準体重()の二つの数量に対して,標準体重()

    が身長()の 乗に比例する関数であることに気付き,その考え方を活用することをねらいとして

    いる。また,身長の伸びの区間の違いにより,身長 あたりの体重の増加量に違いが出ること

    を,変化の割合の違いによることからと,関数的に判断し,根拠を明らかにし説明できることをね

    らいとしている。

    さらに,この問題は,高等学校における「二次関数」の学習へつながるものであり,関数

    を一般的な二次関数 へと理解をつなげ,高等学校で学習する関数概念の基礎となる

    ものである。

    [四つの観点との対応]

    物事を数・量・図形などに着 与えられた情報を分類整理し 筋道を立てて考えたり振り返 事象を数学的に解釈したり自

    目して観察し的確にとらえる たり必要なものを適切に選択 って考えたりすること 分の考えを数学的に表現した

    こと したりすること りすること

    ○ ○ ○

    2 各問題の趣旨

    評価の観点

    学習指導要領における問題番号 出 題 の ね ら い

    領域・内容

    (1) 第 学年 C 関数 与えられた式に,身長の値を代

    ()具体的な事象の中から二つの 入して,普通体重の範囲を求める ○

    数量を取り出し,それらの変化 ことができる。

    や対応を調べることを通して,

    (2) 関数 について理解すると 与えられた式にある身長と標準

    ともに,関数関係を見いだし表 体重の二つの数量が「 が の

    現し考察する能力を伸ばす。 乗に比例する関数」であることに ○

    ア 事象の中には関数 と 気付き,それを利用して値を求め

    してとらえられるものがある ることができる。

    ことを知ること。

    (3)① ウ 関数 を用いて具体的 変化の割合の求め方を利用し○

    な事象をとらえ説明すること。て,値を求めることができる。

    (3)② 関数 の変化の割合の特

    徴を基にして説明することができ ○ ○

    る。

    数学的な見方や考え

    方数学的な技能

    数量や図形などにつ

    いての知識・理解

    ― 116 ―

  • 3 正答と解説

    問題番号 正 答 (例) 解 説

    (1) 以上 未満 (考え方)

    (2) ① ウ ① (考え方)

    ② ア 身長を とすると,

    よって ② (考え方)

    陽子さんのお父さんの 値を

    とすると

    花子さんのお父さんの目標とする体重は

    よって

    (3)① ア (考え方)

    イ ア

    ウ イ

    エ ウ

    オ エ

    カ オ

    (3)② 関数 は変化の割合が一定でないた ・標準体重が身長の 乗に比例する関数で

    め。 あり,変化の割合が一定でないことに触

    れていれば正答とする。

    (参考)

    関数 = で変化の割合を比較すると

    変化の割合

    変化の割合

    ※計算をする際には,計算機を使用してもよ�