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ごみっと SUN 発行 ごみ・環境ビジョン 21(ごみかん)    2018.7.26 ▶ 02 ダイジェスト 第 10 回 生ごみリサイクル交流集会 in 多摩 2018 ▶ 08 脱使い捨てプラスチックに向けた世界の取り組▶ 12 ごみ減量へ!がんばる自治体【名古屋市】 「環境首都なごや」を目指して! ▶ 14 田口理穂*ドイツのエコあれこれ  № 8 「バイオマスで日独交流と地域活性化」 ▶ 15 注目資料都道府県のごみ処理経費の比較(2016 円年度ごみ・環境ビジョン21 〒 184-0013 東京都小金井市前原町 4-11-15 井上方 tel 080-9291-3623  fax 042-383-1668 e-mail : [email protected] ホームページ:http://gomikan21.com vol. 8 イラスト  井上ヤスミチ

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    ごみっと ・ SUN   vol.8   1   

ごみっと・SUN発行 ごみ・環境ビジョン 21(ごみかん)         2018.7.26

▶ 02 ダイジェスト    第 10 回 生ごみリサイクル交流集会 in 多摩 2018

▶ 08 脱使い捨てプラスチックに向けた世界の取り組み

▶ 12 ごみ減量へ!がんばる自治体【名古屋市】           「環境首都なごや」を目指して!

▶ 14 田口理穂*ドイツのエコあれこれ № 8        「バイオマスで日独交流と地域活性化」      ▶ 15 注目資料「都道府県のごみ処理経費の比較(2016 円年度)」

ごみ・環境ビジョン21〒 184-0013東京都小金井市前原町 4-11-15 井上方tel 080-9291-3623  fax 042-383-1668e-mail : [email protected]ホームページ :http://gomikan21.com

vol. 8

イラスト  井上ヤスミチ

 

 

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生ごみリサイクル交流集会 in 多摩2018

生ごみを地域で活かそう!

地域の資源循環ネットワークをつくろう!

第10回

 「生ごみリサイクル交流集会 in 多摩」は毎年 6 月に開催してきて、今年は 10 回目になります。

ここまで続けてこられたのは、実行委員のみなさまを始め、講師として発表していただいた方々や参加してくださった方々のおかげであり、改めて心からお礼申し上げます。 今回は、2 つの事業者と 3 つの市民団体に発表をお願いしました。

 事業者には、セブン&アイ(総務部 藤乗照幸さん)から、食品ロス削減に向けた取り組みを、また、日本フードエコロジーセンター

(代表取締役 高橋巧一さん)からは、食品廃棄物の飼料化の取り組みを紹介していただきました。 一方、市民団体には、川崎市の環境を考え行動する会(代表 天野悦子さん)と八王子市生ごみリサイクルリーダー(赤木省三さん)から、ダンボールコンポストの普及活動を、また、ひの・まちの生ごみを考える会(代表 佐藤美千代さん)から、コミュニティ農園や幼稚園などでの生ごみによる野菜作りを紹介していただきました。

ダイジェスト

6月9日 ( 土 )国分寺労政会館

食品ロス削減に向けた企業の取り組み

株式会社 セブン&アイHLDGS.総務部資源リサイクルオフィサー 藤とうじょう

乗照幸 さん

 食品ロス対策とその優先順位

 食品ロスの削減は、食品関連企業として最も優先すべき取り組み。食品ロス対策としては、次のような優先順位での取り組みが求められています。

①食品ロスの発生抑制(売れ残った賞味期限前食品の値下げ販売など)

②売れ残り食品の有効利用(売れ残った賞味期限前食品の寄付)

③食品リサイクル(食品残渣の飼料化、肥料化など)

  食品ロスの発生抑制(イトーヨーカドー)

● 即食商品の開発・提案

 「即食商品」とは、食品ロスを出さないように、調理可能な状態に準備された商品。キムチ鍋用セットや寄せ鍋用セットを開発。

● お客様の声を活かした少量販売

 生産者ブランド「顔が見えるお肉」のハーフカットや、「顔が見えるお魚」の1人用刺身を販売。

● 納品・販売期限の緩和

 加工食品では、製造日から賞味期限までの期間を 3 等分し、メーカーから小売店への納品期限が 1/3、小売店での販売期限が 1/3、消費者の賞味期限が 1/3 と設定されており、この商習慣は「3 分の 1 ルール」と呼ばれています。これは食品廃棄の一因とされていることから、飲料・菓子については、2013 年 9 月から納品期限が 1/2 に延長され、残りの 1/2 のうち販売期限は各小売店において設定されることになりました。

● 在庫の見直し

 発注精度を高め、在庫の適正化を進めていきます

 

 

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● 売れ残り食品の値下げ販売

 売れ残った賞味期限前食品を売り場の1か所に集め、値下げして販売。その際に、「買わないなんてもったいない!」

「賞味期限はおいしく食べられる目安です。」といった農林水産省が作成した啓発ポスターを掲示。

●「食べきりげんまん」キャンペーン

 セブン&アイ・フードシステムズでは、九都県市主催の食品ロス削減の普及啓発キャンペーン事業「食べきりげんまんプロジェクト」に賛同し、その「フォト&ムービーコンテスト」にデニーズとファミールが参画しています。店舗で食事を残さず食べた「空の食器と笑顔」の写真を募集し、入選者に賞品を贈るものです。

 売れ残り食品の有効利用(イトーヨーカドー)

● 売れ残り食品はフードバンクへ寄付

 フードバンクとは、売れ残った賞味期限前食品など、品質に問題がないにもかかわらず、市場で流通できなくなった食品を企業から寄付を受け、福祉施設や生活困窮者などに配給する活動およびその活動を行う団体。当社は、その1つであるセカンドハーベスト・ジャパンに寄付。

● フードバンク活動の支援

 フードバンクに対しては、売れ残り食品の寄付のほかに、人的支援、改装等で発生する雑貨商品等の寄付、寄付金、備品・什器の寄付、倉庫・拠点の提供などの支援を実施。

 食品リサイクル(イトーヨーカドー)

● セブンファームについて

<(株)セブンファーム> 食品リサイクルの推進と農業のお手伝いを目的として、2010 年 7 月にイトーヨーカドーが 100%出資して設立。各地のセブンファーム拠点を統括。<セブンファーム拠点> (株)セブンファームと各地域のJAや生産者などとの共同出資で設立。法人形態は農業生産法人方式もしくは事業会社方式。現在 11 拠点(富里、深谷、新潟、新潟市、つくば、三浦、北海道、東海、東京、湘南、銚子)。栽培面積は合計約 200 ヘクタール。<循環型農業を推進>(右図) ①イトーヨーカドーの店舗で発生した食品残渣を地元の堆肥工場で堆肥化し、②その堆肥を使ってセブンファーム拠点農場で作物を栽培、③収穫した作物をイトーヨーカドーの店舗で販売。

● セブンファームの取り組み事例

<社員パートナー研修> 店舗で販売に携わっている社員が、生産現場を体験することによって、商品や産地の知識を深めるとともに、商品に愛着を持ってもらうための研修の場としても活用。<顔が見える野菜の取り組み> 生産者とお客様との距離を縮めるため、生産者のこだわりなどがダイレクトにお客様に伝わるように、生産者の味へのこだわり、安全性へのこだわり、栽培状況、プロフィールといった情報をインターネット上で公開しています。 商品パッケージのID番号やQRコードを用いてアクセスします。<JGAP認証の取得> JGAP認証とは、農林水産省が推奨する農業生産工程管理手法の一つで、食の安全や環境保全に取り組む農場に与えられる認証。現在 5 拠点農場が認証を取得。今後とも認証取得を支援。<規格外品の販売> 従来廃棄してしまっている規格外品を有効活用し、規格外品として販売したり、ジュースに加工して販売したりしています。これは、生産者、お客様の双方にメリットがある取り組みとなっています。<地域との交流と食育> 店舗のお客様や地域の小学生に農業体験の場を提供し、食育などで地域に貢献。

● その他リサイクルの事例

<コーヒーかすをリサイクルして消臭除菌剤に> セブンーイレブンでは、セブンカフェのコーヒーかすを回収し、消臭成分を抽出してできる消臭除菌剤を開発して、セブンーイレブン全店で店舗清掃用に使用。 

● 食品リサイクル率

 農林水産省が設定している食品小売業の平成 31 年度までの達成目標 55%に対して、平成 16 年度の実績は、イトーヨーカ堂 52.1%、セブンーイレブン 53.4%。           

             ≡まとめ:小野寺 勲≡

    

    

 

 

 

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食品廃棄物の飼料化とループリサイクルの取り組み

株式会社 日本フードエコロジーセンター 代表取締役 高橋 功一 さん(獣医師)

 SDGs の世界的な潮流と当社の事業の背景

 本日は「食品廃棄物の飼料化」という話をさせていただきます。当社は、食品廃棄物の問題解決と畜産経営問題の解決というふたつのコンセプトで立ち上げた会社です。 昨年、ベルギーの G 7とニューヨークの国連本部で話をする機会がありましたが、そこで SDGs ( エスディージーズ=持続可能開発目標 ) への取り組みが一番遅れているのは日本だな、と思いました。世界的な企業は SDGsの活動をやっていかないと投資してもらえません。 日本のごみ焼却場で燃やされるごみの半分は食品廃棄物であると言われています。全国の焼却場への税金の投入額は約2兆円ですが、この半分の約1兆円は食べ物を燃やすために使われていることになり、もったいないです。 かつての日本の養豚に使っていた残飯は衛生面で問題がありました。今は牛・豚・鶏の飼料を輸入穀物に頼っており、生産コストを豚で見ますと 63%が餌代であり、輸入穀物が年々値上がりする一方で豚肉や卵の値段は 30 年前とほとんど変わっておらず、経営が大変ひっ迫しています。 従って資源小国の日本では「食品廃棄物の飼料化」が必要です。農水省では食品廃棄物の飼料化を「エコフィード」という言葉を使い推進しています。

 食品廃棄物の飼料化の流れ

 2005 年に稼働した工場は神奈川県の相模原市にあり、39t/ 日の食品廃棄物(弊社では「食品循環資源」と呼んでいます)を受け入れられます(7月からは 49 tにスケールアップ)。現在、180 以上の食品の関連事業所から平均で 35 tほどの食品廃棄物が毎日入ってきます。 内容は、食品工場での作り過ぎや余り、スーパーや百貨店での売れ残りや賞味期限切れです。排出現場では、残飯を入れない、異物の混入がないことを守って、回収専用容器に入れてもらいます。容器には「豚さんのお弁当箱」と名前をつけて、餌の原料であることを強調しています。 これを専用保冷車で工場に搬入。回収容器につけられたバーコードを読み取って入荷原料の構成をつかみ、餌としての栄養価管理をして、出荷後の問題に備えたトレーサビリティ ( 追跡可能性 ) を確立しています。回収専用容器は中身の投入後、高圧洗浄機で洗い、食品会社に返却します。 目視と金属探知機で異物のチェックを行い、その後、破砕機にかけます。破砕されると食品は水分がほとんどで

すので、ジューサーで処理したようなどろどろの液体 ( リキッド発酵飼料 ) となります。 これを 80 ~ 90℃で高熱処理してサルモネラ菌や大腸菌を殺し、発酵タンクで乳酸発酵、PH を4位まで下げます。PH 4となりますと菌が繁殖できないので、夏場の常温でも2週間くらいは腐敗しません。これをタンクローリーに入れ、契約農家に運びます。

 リキッド発酵飼料のメリット

 飼料というと、とうもろこしなどの乾燥したもののイメージがあるかと思いますが、実はヨーロッパでは液体の餌が普通です。乾燥系の飼料は水を飛ばすために膨大なエネルギーコストがかかってしまいます。リキッド発酵飼料ならば、牛乳、ヨーグルト、シロップなどの良質な食品循環資源の水分もそのまま利用することができます。 その結果、輸入穀物の半額から6掛けの餌代で供給しています。現在、全国にリキッド発酵飼料の技術展開を図っていますが、我々が取り組み始めた 10 数年前は液状の餌を使っていた農家は全国に3軒くらいしかなかった。現在は日本の養豚の1割以上は液状飼料を使っています。

 ループリサイクル

 当社では 15 軒の契約農家にリキッド発酵飼料を出荷していますが、餌を売っておしまいではなく、我が社の餌で育った豚肉を「食品循環資源を排出した食品会社に買ってもらう」こともやっています。これをループサイクルと言い、継続性の高い取り組みになる新しいやり方です。 こうしてできた豚肉を小田急グループでは「優とん」と名づけてグループ内の各販売店に販売しています。またエコスグループでは「旨

う ま か ぶ た

香豚」を 81 店舗で販売しています。県立中央農業高校とも同様の取り組みを行っています。

 日本はリサイクルより発生抑制を

 日本は世界に先駆けて 2001 年に食品リサイクル法を作り、リサイクルという観点では確かに進んでいますが、発生抑制という観点では日本は世界に遅れをとっています。

「MOTTAINAI」という言葉を世界に発信している国なのですから、世界のイニシアチブを取って行かなければならないと思います。 ≡まとめ:志賀和男≡

 

 

 

 

 

 

 

 

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ダンボールコンポストを軸に

   「たのしい循環生活」をすすめる

環境を考え行動する会 代表 天野 悦子 さん

 川崎市でダンボールコンポストの普及活動をして 10 年になりました。福岡にある循環生活研究所(循生研)と連携してやっています。5 年前にもこの交流集会で発表し、最初の 4 年間は助成金をもらってパンフレットを作ったりして基礎を固めて、その後の 6 年間は全く助成金も取らずに、自分たちでコツコツやってきたという感じです。

 スターターキットの普及

 ダンボールやテキストは循生研、基材は福祉作業所しらかし園に毎月 60 個ぐらい作ってもらっています。月 60個が 10 年間変わらずです。 基材が身近なところで手に入らないと継続できないので、市内 28 か所の取扱所(店舗・団体・個人宅)に置かせてもらい、川崎は南北に長いので 1 時間ほどかけて補充にいく、などということをやっています。

 実践者フォロー 

 購入した方に登録してもらい、2 か月後にお手紙を出してアドバイスし、メール通信を年4、5回出して、継続できる仕組みを作っています。9 年半で登録者が 2000 名になり、メール通信は 67 号を 1100 名に発信しました。 また手弁当で、川崎市温暖化防止活動推進センターの一角で週 1 回の相談の場を開設。その後 3 年間はプロジェクトに入って交通費と電話代は出るようになり通算 4 年間やりました。2 年間のブランク後、昨年から中原区市民活動センターの一角で月1回、会独自に再開しました。「川崎市の生ごみ相談窓口」というのは高くて遠い夢です。

 ダンボールコンポスト講座

 昨年は市内外で入門講座やアフターフォロー講座を 25回開催。循生研では 365 日、700 回ぐらい講座しているんです。どちらもスタッフ 6 ~ 7 人ですが、私たちは月 2回ぐらいが限界かなぁと思いながら 10 年間続けています。

 イベントなどでアピール

 王禅寺環境館をはじめさまざまな機会に展示する他、循生研のダンボールネットワーク(全国のアドバイザーの集まり)を経由して、代々木公園のアースデイに出たりもしています。

 小学校サポート

 延べ 23 校に。子どもたちが家庭から持参した生ごみで1 か月間実践して、半月熟成のためにかきまぜるという 1か月半の取り組みです。サポートに行く交通費や実践のキット代など最初は会が負担していましたが、一昨年は 1校分、昨年は 2 校分、川崎市が負担するようになりました。

 川崎市の取り組み

①川崎市生ごみリサイクルリーダー派遣制度…市民はこの制度を使って講習会を無料で開けます。川崎市にはダンボールコンポストの購入補助金はなく、市民は全額自腹で買うので長続きして継続率が高いように思います。

②川崎市生ごみリサイクル活動助成金制度…生ごみ由来の堆肥を畑や花壇に投入する 10 人以上のグループには最大 10 万円、3 年間補助する制度。麻生区の「吹込交差点花壇」は今までに賞をたくさん取得。生ごみ堆肥使用で後続の「はるひ野駅前花壇」も受賞し、花壇グループからの講習会の要請が増えています。

③かわさき生ごみリサイクル交流会…昨年が 6 回目で吉田俊道さんと地元農家の皆さん、今年は循生研のたいら由以子さんを講師に、幸市民館で 12 月 1 日に開催します。福岡での斬新な取り組みを聞きに来て下さい。

 新しい取り組み「菜園講座」

 川崎市と明治大学黒川農場とは 4 年間連携事業があり、そこに携わった藤原俊六郎先生がこの 4 月に退官されて、念願だった「生ごみ堆肥を使った菜園講座」を 8 月 23 日から先生の指導で開校できることになりました。

 福岡のアイランドシティでの取り組み

 3000 世帯の新しい街で 76 世帯が参加して、街全体を資源化 100%にしようという取り組みが経済人も行政も企業も一丸となって始まっています。コンポストを回収、還元農地で野菜を作り、ポイントに応じて野菜がもらえる「Local Food Cycling たのしい循環生活」は、若い人やおしゃれな人たちにも受け入れられ、いま茅ケ崎でも始まろうとしているところです。             ≡まとめ:江川美穂子≡

 

 

 

 

 

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八王子市の生ごみ資源化対策とダンボールコンポスト普及活動

八王子市生ごみリサイクルリーダー 赤木 省三 さん

 私どもは生ごみリサイクル普及の最前線部隊として、ダンボールコンポストの方法論を、今日ご一緒させていただいている川崎の天野さんたちからご教授いただき、また日野の佐藤さんにも勉強させてもらい、いろいろと吸収しながら現在に至っております。 八王子市は東京の市部の中では一番大きな自治体。面積18 万 6 千㎡、人口 58 万 8 千人、世帯数 25 万 6 千。山あり谷あり川あり、非常に起伏に富み、ある面では住みやすいんですが、大きなイベントをするには非常に力が要ります。

 生ごみ資源化モデル事業と循環型都市八王子プラン

 平成 23、24 年度に市がモデル事業を実施しました。家庭で生ごみをバケツに溜めて、収集、民間処理施設で堆肥化、これを試験的に行った結果、市民の協力度が非常に高かったと聞いております。ただこういう土地柄なのでコストが課題であると。 それで平成 25 年度に制定した「循環型都市八王子プラン」の重点取り組みの一つとして生ごみ減量・資源化の地域特性に応じた取り組みを上げ、その具体方針の中でダンボールコンポストの普及拡大と生ごみリサイクルリーダーの養成、ごみ処理施設の更新と合わせて最終年度(34 年度)には生ごみ資源化に 10%の世帯が取り組んでいることを目指しています。

 エコひろばを拠点に

 その実現に向けての活動は「エコひろば」という公共施設で、NPO法人環境活動センター八王子が運営管理を担っています。主な業務はダンボールコンポスト講習会の企画運営や相談受付、生ごみリサイクルリーダーの養成、イベントの出展など。  リーダーの認定と活動

 26 年度から生ごみリサイクルリーダーを八王子市が認定し、現在 8 人のリーダーがいます。 活動①【講習会】 初心者向け講習会で基本だけ教わって、1 か月後の経験者向け講習会で、これから起こるであろうトラブル、起こったトラブル解決を中心にやっています。29 年度実績はそれぞれ 12 回 177 名、13 回 138 名。 活動②【出前講座】 7 回。

 ①、②をあわせて 10 日に 1 回というペースで計 406 人の参加。八王子市には畑、庭、菜園をお持ちの方が多く、こうした関連の質問も多く出ます。こうした活動を続けている方をリーダーに指名して、コンポスター、密閉式容器の講習会も行っています。 活動③【小学校での普及活動】 総合学習の一環でもあり、「子どもたちが家庭で話をしてくれれば、ダンボールコンポストに理解が深まるということもあって、計画的に行っています。  29 年 度 は 市 内 3 校 で、183 人の児童が授業を受けました。夏休み親子講習会もやっています。 活動④【イベントへの参加】 通りすがりの方に気づきをしてもらう場として有効です。例えば環境フェスティバルでは 6 万人近い入場者があり、アンケートをとって実際にダンボールコンポストを見て理解を深めてもらう、そしてチラシを渡して近くの講習会に誘います。

 堆肥の引取りと活用、補助金の積み増し

 出来上がった堆肥はいらないという方には清掃担当者を派遣し、新しい基材と作った堆肥を無料で交換し、いただいた堆肥は八王子駅南口の花壇などで使っています。 また、購入補助金を積み増しして取り組みやすい費用にしてもらうなど細かく地道にやってきています。

 市民への浸透度推定より

 器材の購入数について、市内を西部、北部、中央、西南部、東南部、東部と分けて調べたら、土地柄の特徴がよく出ました。そして意外にも土地を持っている方が購入し、最近は講習会にも戸建住宅の方の参加率が高く集合住宅に特化した仕組みというよりは、場所場所に応じたメニューを自分たちで作って詰めていくことが必要だなと思います。 しかし点を面にしていくにはまだ力が足りません。新しいリーダーの参加を待ちながら、それをテコにして精力的に横に普及を行ってみたいと考えているところです。

≡まとめ:江川美穂子≡

 

 

 

 

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教育現場で広がる「生ごみリサイクル 菌ちゃん野菜作り」

ひの・まちの生ごみを考える会 代表 佐藤 美千代 さん

 可燃ごみの 40%を占める生ごみを減らし、浮いたごみ処理費用を福祉や教育施設などに回せたら、と夢をもって活動をしております。せせらぎ農園をきっかけとして、菌ちゃん野菜作りを実践する教育施設も広がってきました。

 生ごみリサイクル 菌ちゃん野菜作り

 「菌ちゃん野菜作り」とは、大地といのちの会 ( 佐世保市 )の吉田俊道さんが提唱する方法です。家庭の生ごみや雑草を土に混ぜて、微生物 ( 私たちは『菌ちゃん』と呼んでいます)を増やし、完全に土を発酵させてから野菜を育てます。 私たちの活動拠点「せせらぎ農園」は約 1000 坪。200世帯の生ごみを回収し、1㎡あたり約 10kg の生ごみを広げ、直接土に入れます。耕運機でよくかき混ぜたうえ水分の調整剤として、落ち葉・枯葉・雑草を敷いた上に動物除けにビニールシートを敷いています。 土の中では、白い糸状菌がたくさん増えて発酵が進み、生ごみが分解されます。1~ 3 か月ですっかり分解したら野菜を植え付けます。生ごみ肥料 ( 元肥 ) だけでスクスク野菜が育っています。元気な野菜ができたら地域のみんなで分け合ったり、その日農作業に来た人たちにお持ち帰りいただくというシステムを続けております。

 園児も大学生も老人会も、農園で異世代交流

 2008 年より日野市ごみゼロ推進課の委託事業として継続しているせせらぎ農園ですが、地域の保育園や幼稚園、学校施設に広がって、たくさんの人たちが訪れるようになりました。保育園児も毎月1回、ここで環境学習をやっています。近所の八小の小学生や、最近では中学生や高校生も訪れるようになっています。中央大学、明星大学、実践女子大学などが近くにあり、大学でも授業としてやっております。 小学生や中高生、近くの自治会の方たちや老人会のおじいちゃんおばあちゃん…知らない人同士、みんなで同じ農作業を教え合いながら仲良くなっていくという異世代交流ができています。 せせらぎ農園は生ごみを減量するために始まったのですが、地産地消、地産地活、地域資源の活用、緑農地の保全、生物多

様性、景観美観保全、防災などなど、近くに農地があるということはいろんなメリットがあります。 他にもコミュニティ形成、障害者の方たちの就労支援、一人暮らしの高齢者の方や心身に病のある方の癒しなど、農園の役割は多岐にわたっています。 27 年度には年間約 45 tの生ごみを減量し、来訪者は延べ 5000 人になりました。

 幼稚園での菌ちゃん野菜作りからの展開

 始まりは 2010 年。近くにある第五幼稚園の園庭で菌ちゃん野菜作りをやってみたところ、体験を通して命の循環を子どもたちに教えられる、食育として最適ということで、瞬く間にいろんな幼稚園へと広がりました。幼稚園の先生たちは熱心で、せせらぎ農園がサポートはしますが、今では自主的に野菜作りをしています。 今年 2 月には4つの公立幼稚園の取り組み報告会があり、子どもたちは菌ちゃん野菜作りで「土づくり」「野菜を育てる」「野菜をいただく」を楽しみながら食べものへの感謝、命の大切さ、命の循環を頭ではなく体で学ぶことができた、との報告がありました。保護者も参加している幼稚園では、保護者にとっても「安全安心な食の見直し」「ごみの減量につながる」など意識改革が進んだといいます。 報告会には教育委員会も参加し、公立保育園や小学校でも菌ちゃん野菜作りが始まりました。

 ひろがれコミュニティ農園!

 こうして、生ごみリサイクルから始まったコミュニティガーデン「せせらぎ農園」が、地域の課題解決の場として機能しています。そこで、日野市内の中学校区に一つはコミュニティ農園を作りたいと、まちづくり条例に基づく「農のある暮らしづくり協議会」を立ち上げたところです。 ただとても残念なことに、せせらぎ農園周辺一帯に区画整理事業準備会が立ち上がり、もしかしたら来年なくなる

可能性がでてきました。そのため多方面に働きかけて、ここを何とかコミュニティ農園という新しい形で残して行こうという運動を始めています。 それについてはまた機が熟したらお話しさせていただきたいと思っています。

≡まとめ:多田 眞≡

2 EUのプラスチック製品の規制

1 EUの「プラスチック戦略」

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ごみ・環境ビジョン 21 運営委員 小野寺 勲

深刻さを増すプラスチックごみによる海洋汚染に対する危機感から、世界は脱使い捨てプラスチックに向けて大きく動いています。ここ 4、5年の世界の取り組みのトピックスを整理してみたところ 10 項目にのぼりました。それらの概要を以下に紹介します。

脱使い捨てプラスチックに向けた

世界の取り組み

た原材料から有害物質を除去する技術の開発などを支援するため、1億ユーロを投資する。

⑤EU域外への政策拡大 プラスチックごみに関する世界共通の解決策や国際基準の構築を目指し、国際協力をしていく。

 なお、日本でも、6 月に閣議決定された「第四次循環型社会形成推進基本計画」に、新たに「プラスチック資源循環戦略」を策定し、これに基づく施策を進めていくことが盛り込まれました。2019 年 6 月に日本で開催されるG 20 までに策定する予定です。使い捨てプラスチックの削減にどこまで踏み込めるか注目したい。

 EU の欧州委員会は 2018 年 5 月、1 月に発表した「プラスチック戦略」の実現に向けた具体策として、使い捨てプラスチック製品の流通禁止などを盛り込んだ新規制案を、EU加盟国と欧州議会に提案しました。 この規制を実施するには、加盟国と欧州議会の承認を得る必要があり、欧州委員会は、欧州議会選挙が行われる 2019 年 5 月までに承認を得たいとしています。 今回の規制案の対象は、使い捨てプラスチック製品と漁具ですが、これらを一律に禁止するのではなく、代替素材の有無などを考慮し、以下のように製品別に規制方法を定めています。欧州委員会によると、これらの規制対象製品でEU域内の海や海岸のごみの 7 割をカバーできます。

①カトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン)、皿、ストロー、飲料をかき混ぜるマドラーなどの食器類、軸がプラスチックの綿棒、風船を結び付ける棒などの使い捨てプラスチック製品については、流通を禁止し、サスティナブルな ( 長持ちする ) 素材を使った代替品に切り替えるよう求める。

 EUの欧州委員会は、2015 年 12 月に循環型経済の実現に向けた「循環型経済パッケージ」を採択したのに続き、2018 年 1 月 16 日に、プラスチックごみによる海洋汚染を食い止めるため、プラスチック分野での循環型経済への移行を推進する「プラスチック戦略」を発表しました。   2030 年までにEU域内で使用されるすべてのプラスチック容器包装をリユースまたはリサイクルすると同時に、使い捨てプラスチック製品を段階的にゼロにすることを目指すというものです。域内では年間約 2,500 万tのプラスチックごみが発生しますが、リサイクルされるのは 30%以下にとどまっています。 この計画の背景には、中国が 2017 年 7 月に海外からの資源ごみの輸入を 2017 年末をもって禁止すると発表したことがあります。EUでは、分別収集したプラスチックの半分を輸出し、そのうちの 85%が中国向けでした。 この戦略では、以下の 5 つの目標を柱にしています。

①リサイクルビジネスの収益性向上 容器包装に使われるプラスチックのリサイクルの効率性を高めるとともに、リサイクルされた材料への需要を増やし、利益を生み出す仕組みに変えていく。

②プラスチックごみの削減 使用規制対象をレジ袋から他の使い捨てプラスチック製品や漁具、マイクロビーズへと広げる。

③プラスチックごみの海洋投棄の削減 船上で発生したごみや海で集められたごみが陸上で適切に処理されるよう、港のごみ受け入れ施設に関する新たなルールを定める。

④イノベーションへの投資 リサイクルしやすいプラスチック素材の開発、効率的なリサイクル方法の開発、リサイクルされ

EUのプラスチック容器包装への課税

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レジ袋の使用規制

ペットボトル飲料水の禁止

英国の「今後 25 年間の環境計画」

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②食品容器、飲料カップについては、その削減を目指し、加盟国に有料化の措置を課す。

③食品容器、飲料カップ、スナック菓子などの袋、あめなどの小袋、たばこのフィルター、レジ袋などの使い捨てプラスチック製品と漁具については、生産者に廃棄物の収集・処理や海の清掃の費用負担を求める。

④ペットボトルについては、加盟国に対して、2025年までに回収率を 90%に引き上げることを義務付ける。

 EUの欧州委員会は、2018 年 1 月 10 日、プラスチック容器包装に対する課税を検討していることを明らかにしました。英国のEU離脱で生じるEU予算の財源の穴を埋める方策の一環ですが、プラスチック容器包装の削減を促すことも目的としています。 英国は 2019 年 3 月末をもってEUを離脱する予定であり、欧州委員会は、独仏に次ぐ拠出国である英国の離脱に伴い、年間約 1,500 億ユーロ(約 19 兆 5,000 億円)のEU予算に 120 億ユーロ(約 1 兆 5,600 億円)以上の穴が開くと見ています。 欧州委員会は近く、「プラスチック税」の導入を正式に加盟国に提案する予定です。7 年間の次期中期予算の期間が始まる 2021 年までに導入したい考えです。

  英国は、2018 年 1 月、環境保護を目的とした「今後25 年間の環境計画」を発表しました。同計画は 6 つの柱から成り、柱の一つとして、海を汚染しているプラスチックごみを 2042 年末までに可能な限り削減することを掲げています。メイ首相は「プラスチックごみは、世界が直面している最も深刻な環境問題の一つである」と述べています。 具体策として、イングランドで 2015 年 10 月から実施されていたレジ袋の有料化では、その対象を従業員250 人以上の大規模小売店に限定していたのを、小規模小売店にも広げることなどが盛り込まれています。 続いて 3 月に、イングランドでペットボトル、びん、缶などの使い捨て飲料容器にデポジット制を導入すると発表しました。 さらに翌 4 月には、プラスチックごみの削減を加速するため、使い捨てのプラスチック製ストローやマドラー、軸がプラスチックの綿棒などの販売を禁止すると発表しています。早ければ 2019 年にも実施される見通しです。

 世界中の海や陸地でレジ袋などのプラスチックごみによる汚染が急速に進んでいることから、多くの国が国単位でレジ袋の使用を規制しています。規制方法としては、有料化、課税、使用禁止といった方法が採られています。 EUは 2015 年 4 月の欧州議会本会議で、厚さ 0.05 mm未満の使い捨てのレジ袋の削減措置を加盟国に義務付けるための包装・包装廃棄物指令改正案を承認しました。 加盟国は、削減措置として、削減目標の設定かレジ袋の有料化のいずれかを選択することを義務付けられました。削減目標については、国民1人当たりの年間使用量

(2010 年時点での域内の平均は 198 枚)を 2019 年末までに 90 枚以下に、2025 年末までに 40 枚以下に削減すること、また、有料化については 2018 年末までに実施することが求められています。 EUでは、西ヨーロッパの各国は早くから国単位で使用規制を行っていました。削減措置が義務付けられてからは、残りの地域でも使用規制の導入が始まっています。 これに対し、日本では国として規制を行っておらず、地域単位や企業単位で有料化が実施されています。しかし、自主的な取り組みであるため、有料化を実施している地域や業態は限られています。

■ バンダヌーン(オーストラリア・ニューサウスウェールス州) シドニー南西にある人口約 2,500 人の町。観光地。2009 年 9 月からペットボトル飲料水の販売禁止条例が施行されました。飲料メーカーによる同町で地下水を汲み上げる計画に反対する運動が繰り広げられ、同年 7 月に住民集会での投票でペットボトル飲料水の販売禁止が決議されたことがもとになっています。水飲み場が設置され、水筒の販売も始まりました。

国単位でのレジ袋使用規制状況 ( 年 月現在)

規制方法 地域・国

有料化 (欧州)スウェーデン、オランダ、ドイツ、オーストリア、イギ

リス、ポーランド、チェコ、スペイン、ポルトガルなど ヵ国

(アフリカ)モザンビーク、(アジア)韓国、中国、香港、台湾

課税 (欧州)デンマーク、アイルランド、マルタ、ギリシャ

(アフリカ)ボツワナ、南アフリカ

使用禁止 (欧州)フランス、ベルギー、イタリア、セルビア、ルーマニア

(アフリカ)モロッコ、カメルーン、ルワンダ、エチオピア、ケ

ニア、ウガンダ、タンザニア、マダガスカルなど ヵ国

(アジア)ブータン、バングラデシュ

(米国)カリフォルニア州、ハワイ州

* 等のウェブサイト

情報をもとに筆者作成。

台湾の使い捨てプラスチック食器類の規制

現在 年 年 年

プラ製ストロー 年、大手飲

食チェーンでの

飲食で提供禁止

すべての飲食

店での飲食で

提供禁止

テイクア

ウト用を

有料化

全面禁止

テイクアウト用

カップ

容器持参割引 容器持参割引

の引き上げ

有料化 全面禁止

使い捨て食器 公共機関や学校

で禁止

すべての飲食

店での飲食で

提供禁止

テイクア

ウト用を

有料化

全面禁止

8

7

マイクロビーズの禁止

米国での発泡スチロール容器の禁止

10   ごみっと ・ SUN   vol.8

■ コンコード(米国・マサチューセッツ州) ボストン郊外にある人口約 15,000 人の町。2012 年 4月に町議会でペットボトル飲料水の販売を禁止する条例が採択され、翌 2013 年 1 月から施行されました。水道水の利用推進とペットボトルごみの削減が目的です。対象は、1ℓ以下の非炭酸飲料のボトル。水飲み場のマップを作成し、水筒の販売を推進しています。

■ サンフランシスコ(米国・カリフォルニア州) 2014 年 3 月に市議会で公共の場所でのペットボトル飲料水の販売を禁止する条例が可決され、同年 10 月から施行されました。市は、2020 年を目標にゼロ・ウェイスト(埋立ごみゼロ)を目指しており、その取り組みの一環です。対象は、21 オンス(621 mℓ)以下の水のボトル。水飲み場を増やし、水筒の使用を呼びかけています。

■ ニューヨーク市 米国最大の都市ニューヨーク市では、2015 年 1 月に、市議会で飲食店でのテイクアウト用発泡スチロール容器の使用を禁止する条例が成立し、同年 7 月から施行されました。紙や生分解性プラスチックに切り替わりました。 環境保護団体が長年にわたり、使用後は埋め立てられている発泡スチロールの使用禁止を訴えていました。 これに対し、製造業大手のダート・コンテナ社や米国化学工業協会は「発泡スチロールはリサイクルが可能であり、使用を禁止する必要はない」と、激しく反対していましたが、環境保護団体の「発泡スチロールのリサイクルは経済的に実行不可能である」という主張が議会で認められました。

■ サンフランシスコ市など

 サンフランシスコ市では、2007 年 6 月から飲食店でのテイクアウト用発泡スチロール容器の使用を禁止していましたが、2016 年 6 月からは対象を拡大し、すべて

の発泡スチロール容器の使用を禁止しました。ゼロ・ウェイストを目指した取り組みを一歩進めるためです。 米国では現在、サンフランシスコのほかにも、ロサンゼルス、サンノゼ、オークランド、バークレー、ポートランド、シアトル、ミネアポリス、ワシントンD . C.、オールバニなど 70 以上の都市が発泡スチロール容器の使用を禁止しています。 

 マイクロビーズとは、汚れを落とす目的で洗顔料、ボディソープ、歯磨きなどの化粧品にスクラブ(研磨剤)として配合される直径 1 mm以下の球形の微粒子。素材はポリエチレンやポリプロピレンなどのプラスチック。  

 海に漂い、生態系への影響が懸念されているマイクロプラスチックの 1 割程度は、下水道や河川を通って海に流れ込んだマイクロビーズと見られており、マイクロビーズの使用を禁止する動きが国際的に広がっています。それと同時に、セルロースなど代替素材の開発も進んでいます。 米国では、2015 年 12 月に、米国連邦議会でマイクロビーズの使用を段階的に禁止する法律が成立し、2017年 7 月からマイクロビーズ入り製品の製造が禁止され、2018 年 7 月からは販売も禁止されました。 その後、韓国、ニュージーランド、英国、フランス、カナダ、台湾などもマイクロビーズの使用を禁止しています。 一方、ロレアル(仏)、ユニリーバ(蘭・英)、P&G(米)など世界的な化粧品・日用品メーカーもマイクロビーズの使用を段階的に中止していくと発表しています。 日本は、2016 年 3 月に、日本化粧品工業連合会が会員企業約 1,100 社に対しマイクロビーズの使用中止を要請し、花王が 2016 年に使用を全面的に中止しました。日本では、法規制を行っておらず、業界による自主規制頼みとなっています。

9 使い捨てプラスチック食器類の禁止

10 ドイツでのテイクアウト用 コーヒーカップのリユース

    ごみっと ・ SUN   vol.8   11   

■ フランス フランスは、2016 年 9 月に、使い捨てプラスチック食器類の販売を禁止する法律を制定しました。2020 年1 月から施行される予定です。 規制対象は、プラスチック製のカトラリー(ナイフ、フォーク、スプーン)、カップ、皿など使い捨て食器類です。使い捨て食器類は、生分解性プラスチック、もしくはバイオプラスチック(バイオマス由来の原料の割合50%以上を義務付け)でできているものに切り替える必要があります。 フランスは、2015 年 7 月に「エネルギー転換法」を制定していて、今回の法律は、その中の使い捨てプラスチック製品の削減を目指すという条項の追加措置。

■ 台湾 台湾は、2018 年 2 月、飲食店での使い捨てプラスチック食器類の提供を 2030 年までに全面的に禁止すると発表しました。プラスチック製のストロー、テイクアウト用カップ、使い捨て食器などの提供を 2020 年、2025 年、2030 年の 3 段階で規制していく計画です。

■ 英国

 英国政府は、2018 年 4 月、プラスチック製ストローや飲料をかき混ぜるマドラーの販売を禁止すると発表しました。早ければ 2019 年にも実施される見通しです。

■ 米国 カリフォルニア州は、2018 年 6 月から飲食店でプラスチック製ストローを提供することを全面的に禁止しました。 スターバックス発祥の地シアトル市では、2018 年 7月 1 日からレストランやカフェ、その他の飲食店でのプラスチック製のストローやカトラリーの提供が禁止されました。ストローやカトラリーは、2008 年に制定されたプラスチック製品を段階的に禁止する条例では適用が免除されていましたが、2018 年 6 月 30 日をもって、

それが期限切れとなったものです。 ニューヨーク市でも、2018 年 5 月に、市議会にカフェやレストランなどでプラスチック製ストローやマドラーを提供することを禁止する法案が提出されました。

■ インド インドは、「プラスチック汚染をなくそう」をテーマとした、2018 年の世界環境デーのホスト国を務めており、6 月 5 日の世界環境デーに際し、2022 年までに使い捨てプラスチック製品を全土で廃止することを宣言しました。

■ 企業 マクドナルドは、2018 年 6 月、英国とアイルランドの全店舗で 9 月よりプラスチック製ストローから紙製ストローに順次切り替え、2019 年までに切り替えを完了させると発表しました。 スターバックスは、2018 年 7 月、2020 年までに世界の全店舗でプラスチック製ストローを段階的に廃止すると発表しました。今後は、飲み口がついたプラスチックのフタや、紙製のストローなどを提供。

  ドイツ第 2 の都市ハンブルグは、2016 年2 月に、使い捨てのテイクアウト用コーヒーカップ(素材は紙、プラスチック)の使用を禁止しました。  そして、同年 11 月からテイクアウト用コーヒーカップにデポジット制を導入し、そのリユースを推進するプロジェクトをスタートさせました。 同様のプロジェクトがベルリン、ミュン

ヘン、フランクフルト、ハノーファー、フライブルグ、ローゼンハイムなど、ドイツの主要都市に広がっています。 このプロジェクトは、自治体が推進し、運営費用も負担していて、プロジェクトに賛同するコーヒーショップ

がそれに加盟しています。 デポジット(預かり金)は、市によって異なり、1個につき 1 ~ 4 ユ ー ロ ( 約 130 ~520 円 )。リユースカップの素材は、生分解性プラスチックなど。 加盟店舗やリユースカップ利用者が徐々に増えています。

台湾の使い捨てプラスチック食器類の規制

現在 年 年 年

プラスチック製

ストロー 年、大手飲

食チェーンでの

飲食で提供禁止

すべての飲食

店での飲食で

提供禁止

テイクア

ウト用を

有料化

全面禁止

テイクアウト用

カップ 容器持参割引 容器持参割引

の引き上げ 有料化 全面禁止

使い捨て食器 公共機関や学校

で禁止 すべての飲食

店での飲食で

提供禁止

テイクア

ウト用を

有料化

全面禁止

リユースカップ

12   ごみっと ・ SUN   vol.8

ごみ減量へ!

  がんばる

    自治体

 1 広報・啓発

 「なごやのごみ減量・資源化ガイド」を作成し、全世帯に配布しました(平成 29年 10 月)。ガイドは資源・ごみの分け方や出し方について、イラスト等を多用し、

ごみ非常事態宣言から20 年

「環境首都なごや」を目指して!

名古屋市環境局減量推進室 主査 谷川浩之

わかりやすく伝えるデザインとしています。ごみの減量の意義や効果についても丁寧に説明しています。 学生や外国人等、市政の情報が伝わりにくい市民や、転出入が激しく分別ルールが定着しにくいワンルームマンション・共同住宅の居住者等を重点対象に位置づけ、スマートフォン用分別アプリ「さんあ~る」や若年層向けにイラストを多用した分別啓発の冊子等を活用し、職員が周知・説明する機会を設け、効果的な広報・啓発を展開しています。 「資源・ごみ分別アプリ ” さんあ~る ( 3R )”」は、分別方法を手軽に検索したり、資源・ごみの収集日をお知らせする機能がついたアプリです。

名古屋市

 今から 20年前、名古屋市ではごみ処理量が右肩上がりに増加する中、渡り鳥の重要な飛来地である藤前干潟の埋め立て計画を断念し、平成 11年 2月に「ごみ非常事態宣言」を発表しました。 20世紀中に 20%、20 万 t という大幅なごみ減量目標をたて、市民・事業者との協働による徹底した分別・リサイクルに取り組んだ結果、平成 10年度に 100 万 t に迫っていたごみ処理量は平成 12年に 76.5 万 t となり、目標を達成することができました。 平成 14年 11 月には、埋め立て計画を断念して保全した藤前干潟がラムサール条約登録湿地として認定され、平成 15年には名古屋市と 220 万名古屋市民が連名で「自治体環境グランプリ」を受賞しています。その後もごみ減量の取り組みを進め、現在ではピーク時に比べ、ごみ処理量は約 4割減、埋立量は約 8割減となっています。 来年 2月に「ごみ非常事態宣言」20周年を迎えることを契機として、分別・資源化の意識を高め、さらなるごみ減量を進めていきたいと考えています。

 平成 28年3月に策定した「第5次一般廃棄物処理基本計画」に掲げた「市民・事業者・行政がともに学び、ともに行動し、持続可能な循環型都市を目指します。」という基本理念に基づいて、2R(リデュース・リユース)や分別・リサイクルの取り組みを進めています。以下に主な取り組みについて説明します。

    ごみっと ・ SUN   vol.8   13   

2 レジ袋有料化

 市民団体、事業者団体、学識経験者、名古屋市で構成する「2R推進実行委員会」でレジ袋の削減に取り組んでいます。平成 21年4月より全市でレジ袋有料化を実施しており、平成 30 年3月時点で 824 店舗が協定により有料化に取り組み、レジ袋辞退率は約9割を維持しています。累計のレジ袋削減実績は 25億枚以上となっています。 また「レジ袋有料化還元基金」を設置し、事業者よりレジ袋有料化による収益金の寄付を受けつけています。基金は環境保全活動や地域貢献活動などへの還元に活用することとしており、これまでに幼稚園・保育園の園庭の芝生化や緑のカーテン事業などを実施しています。

3 マイボトル・マイカップ運動

 レジ袋以外の容器包装削減の取り組みとして、マイボトル・マイカップの普及事業を展開しています。 マイボトル・マイカップのメリットを市民に伝え、持ち歩くことが習慣となるライフスタイルへの転換をめざし、店舗での販売促進キャンペーンやマイボトル・マイカップに飲料を提供する店舗の紹介、無料給水スポットの設置などを行っています。

4 古紙、衣類、布類のリサイクルの推進

 地域の集団資源回収活動の実態を把握し、一層の活性化を図るため、実施団体の登録制度を実施し、事業協力金を支給するとともに、集団資源回収活動に関する情報提供を行っています。 また、市民団体がスーパーの駐車場等を利用して行うリサイクルステーション活動に対しても、事業協力金を支給しています。平成 28年度の回収実績は合計で80,657 tとなっています。

園庭に芝生を植える園児たち

5 小型家電・食用油のリサイクル

 平成 26 年から総合スーパー、区役所等市内 57 か所(平成 29年 12 月末)に回収ボックスを設置し、小型家電を回収し、有用金属等をリサイクルしています。   また、本市は東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の実施する「都市鉱山からつくる!みんなのメダルプロジェクト」に参加しています。 家庭から出る使用済み天ぷら油の回収を市内のスーパー店舗 78(平成 29 年 12 月末)で実施しています。回収した天ぷら油はバイオディーゼル燃料に精製し、ごみ収集車や市営バスの燃料として使用しています。

6 生ごみの発生抑制

 食品ロスを削減するため、「3ない運動(買いすぎない、作りすぎない、食べ残さない)」や「30・10 運動」などの啓発を行うほか、食品ロス削減に取り組まれている市内の飲食店等を「食べ残しゼロ協力店」として登録し、本市の専用ホームページ「食べ残しゼロ協力店-お皿ぴかぴか!ごちそうさま!―マップ」に掲載して、利用を呼びかけています。 また、ご家庭で消費しない食品を集め、フードバンクを通じて地域の福祉団体や施設、生活に困っている方などに届けるフードドライブを実施しています。

 今後も「環境首都なごや」を目指し、「ごみ非常事態宣言」後の大幅なごみ減量を実現した市民・事業者と

の協働をベースとして、さらなるごみ減量を推進していきたいと考えています。

「食べ残しゼロ協力店」ステッカー

【シャチのじゅんちゃん】

 「資源循環型社会」を目指す名古屋をイメージしたマスコットキャラクターです。名古屋のシンボルである金のしゃちほこが、青い地球を抱いたイメージで作成しました。

14   ごみっと ・ SUN   vol.8

Bericht aus Deutschland田口理穂*ドイツのエコあれこれ

 再生可能エネルギーの日独協力があ

ちこちで生まれているが、その一つが

ドイツ中西部のブリロン市と、大阪府

の能勢町。両自治体は面積がほぼ同じ

で、どちらも森林資源に恵まれている

ことから、バイオマスをキーワードに

交流が始まった。

 ブリロンは人口約 2 万 5000 人で、

世界的に有名な家具用の木版製造会社

があるなど、木材加工や製材が盛んで

ある。ドイツ最大の市営林(7750ha)

のを有するが、市として活用するよう

になったのはわりと最近。

バイオマスで日独交流と地域活性化 

 市には「シュタットベルケ」といわ

れる都市公社があり、電力やガス、熱、

水など公共サービスを提供している。

再生可能エネルギーを推進しており、

その一環として地元の森林のバイオマ

スをいかそうと 2010 年、木チップに

よる熱供給所を建設した。発電発熱を

同時に行う施設で、近隣に暖房やお湯

用の熱を供給する一方、生まれた電力

は売電している。

 この設備は 1、4 MW/ 時の容量を誇

り、35%の水分を含む木チップを利用

している。熱供給はいわゆる地域暖房

といわれるもので、総計 2、5 km にわた

る地下パイプに湯を巡らせ、 学校

や介護施設、集合住宅、商業用

建物、温水プール、体育館など

に提供している。 65 ~ 95 度の

湯を絶えず循環させるため、木

チップの燃焼室は最大 1050 度と

なる。 電力と熱を両方活用でき

るため、エネルギー効率は 88%

と高い。

同市の位置するノルドライン・

ヴェストファーレン州ではペレット

や木チップなどの木質バイオマごみかんドイツ特派員 田口 理穂

№ 8

スの見本や、それを燃料とする暖房器

具の展示室、バイオマス促進のための

セミナー室を有するセンターを設け、

森林資源の利用を呼びかけている。

 能勢町はブリロンの取り組みを参考

に木質バイオマス利用を促進しよう

と、高校生による日独交流が始まった。  

 その一環として、今年 5 月能勢高校

で、ドイツの日本大使館勤務の川又孝

太郎参事官がドイツのエネルギー政策

や地域活性化策について講演した。

 全 1 年生 33 人とワークショップを

し「能勢町で再生可能エネルギーを増

やすべきか」について議論した。来年

は高校生によるブリロン視察を計画し

ており、若い世代の交流が新しい風を

吹き込むきっかけになりそうだ。

 地元の森林資源を利用することは、

石油や石炭など外部の依存をなくし、

気候保護に貢献する。地元にお金が回

るため、 地域活性化につながるなどい

いことづくめ。能勢町も日本版シュ

タットベルケ設立を検討しており、森

林利用に期待が高まっている。

市営林から切り出した材木を砕いて木チップにする

   6月末から長野に里帰りし、明は3週間5年生のクラスに混ぜてもらいました。初めて担任が男の先生になり「面白い先生なんだよー。ちょっと忘れっぽ

いけどね」とうれしそう。水泳の授業は週 3 回ですが、暑くなると 4 回あり、クロールや平泳ぎを習っています。 ドイツの学校にプールはなく、1、2 月の体育の授業で雪の中徒歩15分かけて温水プールに行っていました。  タツノオトシゴ、銅、銀、金と水泳のレベルがあり、たいていの子は学外の水泳教室で練習して取ります。4,5 年生で銅を取るのが一般的で、明も春休みの集中講座

で獲得。200 mを泳ぎ、水深 3 mにある輪を拾い、1 mの高さの台から飛び込みました。 それにしても日本の暑いこと! 日本はどこの学校にもプールがあり便利だなーと思っていたけど、それは暑さのあまり普通の体育の授業ができないからか。必要に迫られてのことだと今回、認識しました。

AKIRA

成長記録の

    ごみっと ・ SUN   vol.8   15   

注目資料をダイジェストで

 本稿では、環境省の『一般廃棄物処理実態調査結果(平成 28 年度実績)』をもとに、都道府県の人

口1人当たりとごみ 1 t当たりのごみ処理経費を算出し、比較を行いました。

 人口1人当たりごみ処理経費ベスト 10 は、①富山県、②山形県、③沖縄県、④長野県、⑤岩手県、

⑥青森県、⑦熊本県、⑧鹿児島県、⑨栃木県、⑩静岡県。東北と九州が 3 つずつ入っています。

 ごみ 1 t当たりごみ処理経費ベスト 10 は、①富山県、②山形県、③沖縄県、④青森県、⑤宮崎県、

⑥鹿児島県、⑦岩手県、⑧新潟県、⑨長野県、⑩鳥取県。同様に、東北と九州が 3 つずつ入っています。

 地域差が大きく、1 位と最下位では 3 倍ほどの差があります。全般的には西高東低となっています。

都道府県のごみ処理経費の比較(2016 年度)

まとめ:ごみかん運営委員 小野寺 勲

<注目資料ダイジェスト>

都道府県のごみ処理経費の比較( 年度)

まとめ:ごみかん運営委員 小野寺 勲

本稿では、環境省の『一般廃棄物処理実態調査結果(平成 年度実績)』をもとに、都道府県の人口

1人当たりとごみ t当たりのごみ処理経費を算出し、比較を行いました。

人口1人当たりごみ処理経費ベスト は、①富山県、②山形県、③沖縄県、④長野県、⑤岩手県、

⑥青森県、⑦熊本県、⑧鹿児島県、⑨栃木県、⑩静岡県。東北と九州が つずつ入っています。

ごみ t当たりごみ処理経費ベスト は、①富山県、②山形県、③沖縄県、④青森県、⑤宮崎県、⑥

鹿児島県、⑦岩手県、⑧新潟県、⑨長野県、⑩鳥取県。同様に、東北と九州が つずつ入っています。

地域差が大きく、 位と最下位では 倍ほどの差があります。全般的には西高東低。

都道府県名 1人当たり

処理経費

(円 人)

順位 t当たり

処理経費

(円 t)

順位 都道府県名 1人当たり

処理経費

(円 人)

順位 t当たり

処理経費

(円 t)

順位

北海道 滋賀県

青森県 6 4 京都府

岩手県 5 7 大阪府

宮城県 兵庫県

秋田県 奈良県

山形県 2 2 和歌山県

福島県 鳥取県 10

茨城県 島根県

栃木県 9 岡山県

群馬県 広島県

埼玉県 山口県

千葉県 徳島県

東京都 香川県

神奈川県 愛媛県

新潟県 8 高知県

富山県 1 1 福岡県

石川県 佐賀県

福井県 長崎県

山梨県 熊本県 7

長野県 4 9 大分県

岐阜県 宮崎県 5

静岡県 10 鹿児島県 8 6

愛知県 沖縄県 3 3

三重県 全国

※1.人口1人当たりごみ処理経費=ごみ処理経費総額(組合分担金を含む)÷総人口

※2.ごみ t当たりごみ処理経費=ごみ処理経費総額(組合分担金を含む)÷ごみ総排出量(集団回収量を除く)

16   ごみっと ・ SUN   vol.8

郵便振替 口座名:ごみ・環境ビジョン 21 

     口座番号:00130-1-603521

年会費= 個人会員 3,000 円 団体会員 6,000 円

     賛助会員 10,000 円(一口)  

◆ごみっと・SUNのお受け取り方法は  ①ヤマト運輸の DM 便  ②メール添付でのPDF配信  の二つがあります。     ②をご希望の方はメールにてお申し込みください。

◆振替用紙にはご住所・お名前・お電話番号 (FAX ) をご記入ください。また、住所変更があった場合はお知らせください。DM 便は移転先へ転送されませんので戻ってきてしまいます。

◆記事を転載する場合はご連絡ください。

ごみかんよりお知らせ

ごみ・環境ビジョン21

 

毎日増えて行く熱中症の死亡者数。中でも

ずっと心に残りそうなのは、豊田市で野外授

業に出かけた小学1年生の死ではないでしょ

うか。校長の会見から、彼は「行きたくない」

と訴えていたことがわかっています。

 

ひと月ほど前に、私は津波で74名の児童が

犠牲になった石巻市の大川小学校の跡地へ行

きました。震災からまだ2、3日という頃、

テレビのインタビューを受ける坊主頭の小学

5年生の男の子から発せられた言葉に耳を疑

いました。只野哲也君は、助かった4人の児

童のうちのひとり。彼はその時何が起こりど

うやって助かったのか話した後で「ぼくはこ

のことをずっと話し続ける」と言ったのです。

彼は助かったけれど、一緒にいた妹と自宅に

いた母親、祖父を亡くしています。なのにこ

の覚悟はいったい何だろう、と驚きました。

 

震災の遺構が「遺族にとっては辛いから」

と取り壊されることが多い中で、大川小学校

は津波に破壊されたままそこにあり、手作りの

パネルで、訪れた人に多くのことを教えてくれ

ます。パネルは一昨年6月に只野君のお父さん

ら遺族の一部が立ち上げた「大川伝承の会」に

よるもの。大学生になった哲也君は今、あの言

葉通り語り部として活動しています。

 

そして大川小学校が、反対も多い中で遺構

として残されたのも、哲也君の強い意志によ

るものでした。あと百年したら、もう震災を

語る人はいません。でも遺構は雄弁です。山

側の体育館(

の残骸)

まで行って、心底驚きま

した。すぐ脇には裏山へ上がる整備された緩

やかな山道があったのです! 

哲也くんたち

高学年は、この道を登って椎茸栽培をしてい

たそう。だからあの時、子どもたちは「山さ

逃げっぺ」と言ったがおとなに否定された。

列を抜けて勝手に登り、引き戻された子もい

たという。子どもの「違う」「イヤだ」を聞け

なかったことで命が失われるのは、もうやめ

にしたい。哲也君はそのことを知らしめるた

めに神様が遣わした子ではないでしょうか。

つぶや記 

*いの*の

 夏休み最中の 7月~ 8月は、ごみかんもお休み…といきたいところですが、10月の市民ごみ大学セミナーに向けて、内容とタイトル決定、会場の抽選&確定、講師依頼…と、気分的にはのんびりできない月です。そして奇数月に発行のごみっと・SUNの原稿書きと編集作業も。印刷・帳合・封入作業は、府中市にある多摩交流センターで行ない、そのまま井上編集長がバイクでビューンとヤマト運輸へ持ち込むのです。元気でないとやっていけませんね。 それにしても、今月の記録的な豪雨の被災地の厳しい状況を知るにつけ、真夏の体育館で避難されている方々にどうぞ二次被害が出ませんように、と祈る毎日です。そして、この国の政策が経済や企業の利益優先ではなく、何よりまず人命優先に!と当たり前のことなのにそうなっていない現状に憤り、ますます不快指数が上がってしまいます。(E)

東京MXテレビ(9ch) の番組「トウキョウもっと!2 元気計画研究所」 7 月 21 日のテーマは

≪もっと東京の食品ロスを減らすために!≫

冒頭で、武蔵野市のクリーンセンター屋上での生ごみ堆肥を使った菜園活動や生ごみの共同堆肥場などの活動が紹介されました。見逃された方も多いと思いますが、7 月 29 日(日)17:00 ~ 18:00 に再放送があります!ぜひご覧ください。

*ごみっとが 29 日までにお手元に届いているといいのですが。メールニュースでは放送日は 7 月 22 日とご紹介しましたが、その後 21 日に変更されました。

  

東京・三鷹市市議会で「全ての命を守るためプラスチック海洋ごみの

      発生抑制・削減を求める意見書」 採択されました!

三鷹市議会では、6 月議会で上記の議員提出議案が採択され、意見書が国に上がることになりました。詳しくは、「三鷹市議会いのちが大事」6/26 で検索を。6 月 26 日の記事です。世界が積極的に海ごみのプラスチック対策で動いている中、日本の消極的な姿勢は本当に理解に苦しみます。地方議会から国に意見書を上げましょう!  

  秋の市民ごみ大学セミナー

 10 月 20 日(土) 13:30 ~ 16:30         国分寺労政会館

海外輸出 STOP !

あふれる廃プラスチックの問題 

 ~どうなる?国内循環と発生抑制~

             (仮題)

 いま、廃プラスチックは、中国をはじめとしたアジア諸国に受け入れを拒否され、国内に溢れている状況です。自国内での循環を基本に据え、そしてこれを機に発生抑制の視点を組み込んだ生産の在り方にチェンジしてほしいものです。現状と展望を伺います。 講師はただ今交渉中。内容が確定しだい、メールニュースやフェイスブックでお知らせします。

クリーンむさしのを推進する会

    (東京・武蔵野市)より

予告