簿記検定 合格講座 簿記2級・工業2 本書の目的...

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簿記 2 級・工業 簿記検定 合格講座

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Page 1: 簿記検定 合格講座 簿記2級・工業2 本書の目的 本書の目的は、日商簿記検定2級に、最も容易に、かつ、確実に合格するということ です。最も容易に試験に合格するには、テキストは薄い方が好ましいです。しかし、

簿記2級・工業簿記検定 合格講座

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本書の目的

本 書の目的は、日商簿記検定2級に、最も容易に、かつ、確実に合格するということです。最も容易に試験に合格するには、テキストは薄い方が好ましいです。しかし、

確実に試験に合格するためには、一定の情報量が必要です。そこで、本書を作成する際には、載せる情報について何度も何度も吟味しました。そのような地道な作業を経て完成したのが本書です。そのため、本書を講義に従って読破すれば、最も容易に、かつ、確実に日商簿記検定2級の合格圏に入ることができるものと確信しています。

本書の特色・使い方

❶ 文章は簡潔に、かつ、わかりやすくしました。少ない時間で全範囲を勉強するには、楽に読める必要があります。そのため、本書は、

なるべく文章を簡潔に、かつ、わかりやすくしました。

❷ 具体例を通じて学習できるようにしました。試験において抽象的な知識は不要。むしろ、有害です。そこで、本書は生きた具体

例を通じて、必要な知識をしっかり身につけることができるように構成しました。

❸ 難解な簿記用語には、すべてふりがなをつけ、解説をつけました。簿記の世界は、難解な用語だらけです。そのような簿記の世界を、みなさんが、難

なく学習できるように、本書では、難解な簿記の用語には、ふりがなをつけ、解説をつけました。

❹ 試験に出題されるか、否かの重要度を各事項のはじめに明示しました。試験にあまり出ないところを一生懸命やっても無意味です。そこで、どこに力を入

れて学習すべきかを各事項のはじめに、

  超重要        重要        必須       

の3段階で示しました。

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ゾーンB

ゾーンC

はじめに

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❺ テキスト内の内容にも重要度を示し、確認のためのチェックボックスを設けました。▪�黄色枠で5つ星マークが記してある箇所は、最重要事項です。テキストの本文中や事項の最後にポイントとしてまとめてある場合があります。

▪�テキストの本文中の必須学習項目は、黄色以外の色枠で囲み、1〜4つの星マークで重要度を示しています。

▪�必須学習項目に関する参考項目については、同色で下記のように表示しています。

▪�テキスト右ページ上部には、学習日の記録欄を設けました。学習進捗状況などの確認に役立ててください。

▪�テキストの各ページの下に「メモ欄」を設けました。講義を聞きながら、またテキストを読みながら、必要なことはどんどんメモ欄に書き込み、自分だけのオリジナルテキストに仕上げていきましょう。

本書の利用により、一人でも多くの方が簿記検定2級試験に合格されることを、心より切望します。

フォーサイト教材作成室

星マーク1~4で重要度を表記チェックボックス

色枠は学習意欲向上の一助として、カラフルな色使いにしています。

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労働基準法の適用対象

⑴ 適用範囲(法112条、法116条、別表第1ほか)

原 則

 労働者を使用する事業は、その種類・規模に関係なく労働基準法の適用を受けます。

労働基準法別表1

労働基準法は事業の種類に関係なく適用されますが、労働時間など一部の規定については、事業の種類によって特例が設けられています。そこで労働基準法は、「別表1」において一定の業種の区分を列挙したうえで、特例の箇所でそれを引用するという形をとっています。

工業的業種 非工業的業種

1号 製造業2号 鉱業3号 建設業4号 運輸交通業5号 貨物取扱業

6号 農林業 7号 畜産・養蚕・水産業 8号 商業 9号 金融・広告業10号 映画・演劇業

11号 郵便通信業12号 教育研究業13号 保健衛生業14号 接客娯楽業15号 焼却・清掃業

属地主義

労働基準法は、日本国内にある事業にのみ適用されるので、国外にある支店等であって事業としての実態を備えるものについては適用されません。また、日本国内で行われる事業であれば、事業主が外国人であっても適用されます。

ゾーンB

総則I

この場合、 「原則」に関する参考項目です。

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STEP 1 工業簿記をはじめよう! . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 6

STEP 2 勘定科目の流れを概観してみよう! . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .10

STEP 3 材料費を詳しく学習しよう! . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .18

STEP 4 労務費を詳しく学習しよう! . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .26

STEP 5 経費を詳しく学習しよう! . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .34

STEP 6 製造間接費をマスターしよう! . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .38

STEP 7 部門別原価計算をマスターしよう! . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .52

STEP 8 個別原価計算をマスターしよう! . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .64

STEP 9 総合原価計算をマスターしよう! . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .70

STEP 10 財務諸表を作成しよう! . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .94

STEP 11 標準原価計算をマスターしよう! . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .100

目 次

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STEP 12 直接原価計算をマスターしよう! . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .116

STEP 13 本社・工場会計をマスターしよう! . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .126

  演習問題 解答 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .128

  索 引 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .136

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なぜ、工業簿記を学ぶのか?

企業にとって、もっとも重要な関心事は、利益をあげることです。

この利益については、商業簿記で学習したように 収益から費用を引くことにより、計算されます。

この点、商品を販売して利益をあげる企業では、 商品原価は一定なので、売上を伸ばしたり、

あるいは、費用を削減したりして、利益を大きくします。

これに対して、製品を製造する工場では、 材料・人件費などの費用を削減して製品原価を下げることにより、

利益を大きくすることができます。

そのため、工場では、材料費・人件費などの費用を把握 することが必要になってきます。

そこで、材料費・人件費などの費用を把握するために、 工場では、「工業簿記」という特別な簿記を設けます。

この工業簿記をつけるためのルールを学ぶことが、 「工業簿記」を学ぶことの意義です。

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STEP工業簿記をはじめよう!1

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商品と製品の違い

卸売商や小売商では、外部から仕入れた品物を販売します。この場合の品物を商品といいます。これに対して工業簿記を行う製造業では、自社で加工を行った品物を販売します。この

品物を製品といいます。

工業簿記では、何を学ぶのか?

▪�工業簿記では、材料費や人件費などの費用を把握して、製品を作るのに、いくらかかったかを計算する方法を学びます。

   ➡▪�工業簿記では、製品を製造するためにかかった費用のことを「製

せい品ひん

原げん

価か」と言います。

   ➡▪�また、製品原価を計算するための計算手続を「原

げん価か

計けい

算さん」と言います。

   ➡▪�そこで、工業簿記では、❶�工業簿記のつけ方と�❷�原価計算について学習します。

製品原価と製造原価

「製せいひん

品原価」のことを「製造原価」と表現することもあります。

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形態別分類

❶�材ざいりょうひ

料費……製品を製造するために消費した物品に関する費用のことを言います。

❷�労ろう

務む

費ひ

……製品を製造するために働いた人に支払った人件費のことを言います。

❸�経けい

費ひ

………材料費、労務費以外のもののことを言います。

製造原価の分類

製品との関係による分類

❶�製せいぞうちょくせつひ

造直接費ある製品を製造するためにどれくらいの金額がかかったかを個別に計算できる製造原

価のことを言います。

❷�製せい

造ぞう

間かん

接せつ

費ひ

各種製品のために共通に消費されるか、または特定の製品ごとにどれくらい消費されたかが個別に計算できない製造原価のことを言います。

ポイント 

製造直接費 製造間接費

材料費 直接材料費 間接材料費

労務費 直接労務費 間接労務費

経 費 直 接 経 費 間 接 経 費

ゾーンC

工業簿記をはじめよう !STEP 1

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「自分なりの“勉強方法”を作れだなんて、今さらそんなこと言われたって…」

と思われるかもしれません。でも、今からでも遅くありませんよ。“勉強

方法”はどんな場面にも活用できるのですから。

簿記の資格を取得するまでにあなた自身の“勉強方法”を作り上げることはでき

ないかもしれません。でも、あなたの勉強は簿記の資格取得で終わるわけでもあり

ませんし、むしろ、簿記の資格を取得した後にもっとたくさん勉強しなければなら

ないでしょう。仕事上、できるようにならなければならないことも増えてくるで

しょう。そんなとき、徐々にあなたの中に作り上げられた“勉強方法”がじわじわ

と威力を発揮します。今回の簿記の学習を機会に、あなたなりの“勉強方法”を作

り上げてみてください。

では、自分なりの“勉強方法”を作り上げるためには何をすればいいのでしょう?

 実はとても簡単です。“勉強方法”を作り上げるまで毎日続ければいいのです。

 松下幸之助(パナソニック創業者)はこう言いました。

  失敗したところで辞めてしまうから失敗になる。

  成功するところまで続ければ、それは成功になる。

う~ん、こう言われると何も反論できませんね。

要するに継続しなさいということですね。

継続することはとても難しいことです。ただ、ちょっとした工夫で継続すること

が少し楽になります。私がやっている工夫は、常に様々な事柄と関連づけることで

す。

テキストのそのページだけを暗記して勉強を終えるのではなく、「そういえば似

たようなことがちょっと前にも出てきたな」、「どんな関連があるのかな」などと、

関連づけて考えてみましょう。また、世の中の動きとも関連づけてみましょう。「そ

ういえばこの言葉はこの前新聞で見たけど、何に関する記事だったっけ」なんてこ

とを考えてみてください。

やはり、継続は力なり!コラム

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ケース 1 

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10

材料を購入した場合は、「材料」勘定を用いて処理します。

材料の購入

材料300円を掛けで購入した。

借   方 貸   方

材   料   300 買 掛 金   300

材料の購入と消費 ゾーンC

STEP 勘定科目の流れを 概観してみよう!2

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ケース 2 

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1111

材料を消費した場合、その材料が特定の製品の製造のために直接使われたものであれば、直接材料費に分類されます。これに対して、複数の製品に共通して使われたものであれば、間接材料費に分類されます。

▪直接材料費�➡�「材料」勘定から「仕掛品」勘定に振り替えます。▪間接材料費�➡�「材料」勘定から「製造間接費」勘定に振り替えます。

※「仕しかかりひん

掛品」とは、製造途中の製品のことを言います。

材料の消費

材料300円を消費した。その内訳は、直接材料費200円、間接材料費100円であった。

借   方 貸   方

仕 掛 品   200 材  料   300

製造間接費   100

材   料

支 払 額300

直 接 費200

間 接 費100

仕 掛 品直接材料費200

製造間接費間接材料費100

借方=支払額 貸方=消費額

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1212

労務費の支払いと消費

労務費の支払い

労務費を支払った場合は、「賃金」勘定を用いて処理します。

ケース 3 

労務費300円を現金で支払った。

借   方 貸   方

賃   金   300 現   金   300

労務費の消費

労務費を消費した場合、その労務費が特定の製品の製造のために直接使われたものであれば、直接労務費に分類されます。これに対して、複数の製品に共通して使われたものであれば、間接労務費に分類されます。

▪直接労務費�➡�「賃金」勘定から「仕掛品」勘定に振り替えます。▪間接労務費�➡�「賃金」勘定から「製造間接費」勘定に振り替えます。

賃   金

支 払 額300

直 接 費200

間 接 費100

仕 掛 品直接労務費200

製造間接費間接労務費100

借方=支払額 貸方=消費額

ゾーンC

勘定科目の流れを概観してみよう!STEP 2

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ケース 4 

賃金300円を消費した。その内訳は、直接労務費200円、間接労務費100円であった。

借   方 貸   方

仕 掛 品   200 賃   金   300

製造間接費   100

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経費の支払いと消費

経費の支払い

経費を支払った場合は、「経費」勘定を用いて処理します。

ケース 5 

経費300円を現金で支払った。

借   方 貸   方

経   費   300 現   金   300

経費の消費

経費を消費した場合、その経費が特定の製品の製造のために直接使われたものであれば、直接経費に分類されます。これに対して、複数の製品に共通して使われたものであれば、間接経費に分類されます。

▪直接経費�➡�「経費」勘定から「仕掛品」勘定に振り替えます。▪間接経費�➡�「経費」勘定から「製造間接費」勘定に振り替えます。

経   費

支 払 額300

直 接 費200

間 接 費100

仕 掛 品直接経費200

製造間接費間接経費100

借方=支払額 貸方=消費額

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勘定科目の流れを概観してみよう!STEP 2

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ケース 6 

経費300円を消費した。その内訳は、直接経費200円、間接経費100円であった。

借   方 貸   方

仕 掛 品   200 経   費   300

製造間接費   100

製造間接費の配はい

賦ふ

製造間接費の配賦とは、製造間接費を一定の基準によって各製品に振り分けることを言います。

製造間接費間接材料費100

配 賦 額300

間接労務費100

間接経費100

仕 掛 品

製造間接費300

ケース 7 

A製品に製造間接費300円を配賦した。

借   方 貸   方

仕 掛 品   300 製造間接費   300

ゾーンC

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製品の完成

製品が完成した場合、「仕掛品」勘定から「製品」勘定に振り替えます。

仕 掛 品直接材料費200

完成品原価900

直接労務費200

直接経費200

製造間接費300

製   品

完成品原価900

ケース 8 

製品900円が完成した。

借   方 貸   方

製  品   900 仕 掛 品  900

ゾーンC

勘定科目の流れを概観してみよう!STEP 2

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勘定科目の流れの全体像

以上をまとめると、次のようになります。

材   料

支払額直接費間接費

仕 掛 品直接材料費

完成品原価直接労務費直�接�経�費製造間接費

製   品

完成品原価 売上原価

売上原価

売上原価 売上原価

月次損益

売上原価売上高

製造間接費間接材料費

配賦額間接労務費間�接�経�費

賃   金

支払額直接費間接費

経   費

支払額直接費間接費

製品甲の製造に関して、以下の仕訳を作成しなさい。

□□ ❶ 材料400円を掛けで購入した。

□□ ❷ 材料400円を消費した。その内訳は直接材料費350円、間接材料費50円であった。

□□ ❸ 経費200円を消費した。その内訳は直接経費180円、間接経費20円であった。

□□ ❹ 甲製品に製造間接費70円を配賦した。

□□ ❺ 製品甲600円が完成した。

演習問題

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材料費の分類

内  容 製品との 関連による分類

素材費

製品の主要な構成部分となる物 具体例  パン製造業における小麦粉

直接材料費

買入部品費外部から買入れ、そのまま製品に取り付けられて製品の構成部分となる物 具体例  自動車製造業におけるタイヤ

燃料費 燃料として消費された物 具体例  ガス・石炭・灯油

間接材料費工場消耗品費 製品の製造のために補助的に使用される物 具体例  ネジ・釘・塗料

消耗工具器具 備品費

耐用年数が一年未満または少額な工具・器具・備品 具体例  ハンマー・ドライバー

ゾーンB

STEP

3材料費を 詳しく学習しよう!

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ケース 1 

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材料の購入

材料を購入した場合は、購入代価に引取費用などの付随費用を加算した「購入原価」を帳簿に記入します。

材料の購入原価�=�購入代価�+�引取費用などの付随費用

材料500円を掛け購入した。購入時に引取費用100円を現金で支払った。

借   方 貸   方

材   料   600 買 掛 金   500

現   金   100

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材料費の計算

材料費は、材料の消費数量に材料の消費単価を掛けて計算します。

材料の消費数量の計算

材料の消費数量とは、使った材料の数量のことを言います。消費数量の計算方法には、「継続記録法」と「棚卸計算法」があります。

❶�継続記録法とは材料の受け入れ、払い出しのたびに、材料有高帳に入庫数量、出庫数量、在庫数量を

記入し、これに基づいて消費数量を計算する方法のことを言います。

入庫 出庫

(記録)

100個

70個

(記録)40個70個

(記録)在庫数量60個

消費数量

110個

❷ 棚卸計算法とは月末に実地棚卸を行い、月末在庫量を把握して、納品書などで判明している当月購入

量との差額により消費量を求める方法のことを言います。

入庫 出庫

(記録)

100個

70個

(差引)110個

(実地棚卸)在庫数量60個

消費数量

110個

ゾーンB

材料費を詳しく学習しよう!STEP 3

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2121

材料の消費単価の計算

材料の消費単価の計算方法としては、「実際価格法」と「予定価格法」の2つがあります。

❶ 実際価格法とは実際の購入価格に基づいて消費単価を計算する方法のことを言います。計算方法とし

ては、次の4つの計算方法があります。

内  容

先入先出法 先に購入した物から先に使っていくという計算方法

後入先出法 後に購入した新しいものから先に使っていくという計算方法

移動平均法 単価の異なる材料を購入するごとに、残高欄の総額を数量で除して平均単価を計算する方法

総平均法 1ヶ月間の平均単価を計算する方法

❷ 予定価格法とは

▪�材料の消費単価は、実際価格法を用いて計算するのが原則です。   ➡▪�しかし、実際価格法には、次のようなデメリットがあります。すなわち、⑴�計算に手間と時間がかかり、材料費の計算が遅れます。また、⑵�材料の購入価格が季節によって変動があると、製造時期によって材料費にばらつきが生じてしまいます。

   ➡▪�そこで、実際価格法のデメリットを克服するために、1年間の材料の予定単価を決定して、この予定消費単価を用いて毎月の材料費を計算していく方法があります。

   ➡▪�この方法のことを「予定価格法」と言います。

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2222

材ざいりょう

料消しょうひ

費価か

格かく

差さ い

材料消費価格差異

予定価格法により計算したときの消費額を 「予定消費額」と言います。

しかし、この予定消費額は、実際の材料費の計算が終わり次第、 予定消費額と実際消費額の差額分を修正しなければなりません。

そのときの差額を「材料消費価格差異」と言います。

なお、材料消費価格差異には、借方差異(不利差異)の場合と 貸方差異(有利差異)の場合があります。

材料消費価格差異���=���予定消費額��-��実際消費額      ���������=(予定消費単価�-�実際消費単価)×�実際消費数量

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材料費を詳しく学習しよう!STEP 3

イメージ 

予定消費単価

実際消費数量

実際消費単価 材料消費価格差異

予定消費額

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ケース 2 

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2323

材料の予定消費額は600円であった。しかし、材料の実際消費額は800円であった。そこで、予定消費額と実際消費額との差額を材料消費価格差異勘定へ振り替えた。

借   方 貸   方

材料消費価格差異 200※ 材   料   200

※600円 - 800円 = -200円(借方差異)

借方差異(不利差異)とは

材料の予定消費額よりも実際消費額の方が大きかった場合のことを言います。このように借方差異と言われるのは、「材料消費価格差異」勘定の借方に金額が振り替えられるからです。

材   料

実際消費額

予定消費額

材料消費価格差異

材料消費価格差異

借方差異

貸方差異(有利差異)とは

材料の予定消費額よりも実際消費額の方が小さかった場合のことを言います。このように貸方差異と言われるのは、「材料消費価格差異」勘定の貸方に金額が振り替えられるからです。

材   料実際消費額

予定消費額材料消費価格差異

材料消費価格差異

貸方差異

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ケース 3 

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2424

材料の棚卸減耗損

材料の棚卸減耗損

▪企業は、定期的に実地棚卸を行い、材料の実際有高を調査します。   ➡▪その結果、帳簿上の残高より実地棚卸の残高が少ない場合があります。   ➡▪この材料の帳簿残高と実際有高の差額を「棚卸減耗損」と言います。

棚卸減耗費の処理

材料の減耗が、通常発生する範囲のものであれば、この金額を間接経費として「製造間接費」勘定を用いて処理します。

A材料の月末帳簿棚卸高は600円(6�kg ×100円)であった。また、月末に材料の実地棚卸を行ったところ、月末実地在庫量は5�kg であることがわかった。材料の棚卸減耗は、正常な数量である。棚卸減耗について、仕訳しなさい。

借   方 貸   方

製造間接費   100 材  料   100※

※棚卸減耗損:100円 × (6 kg-5 kg) =100円

ゾーンC

材料費を詳しく学習しよう!STEP 3

イメージ 

➡�面積全体 �@100円╳6�kg =600円

帳簿棚卸高��6�kg

単価�@100円実際月末材料残高

500円棚卸減耗損

100円

実地棚卸高��5�kg

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2525

以下の仕訳を作成しなさい。

□□ ❶ 材料300円を掛け購入した。購入時に引取費用50円を現金で支払った。

□□ ❷ 材料の予定消費額は400円であった。しかし、材料の実際消費額は380円であった。そこで、予定消費額と実際消費額との差額を材料消費価格差異勘定へ振り替えた。

□□ ❸ 甲材料の月末帳簿棚卸高は500円(10 kg ×50円)であった。また、月末に材料の実地棚卸を行ったところ、月末実地在庫量は8 kg であることがわかった。材料の棚卸減耗は、正常な数量である。棚卸減耗について、仕訳しなさい。

演習問題

1 / 2 / 3 / 4 / 5 /

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26

労務費の分類

内  容 製品との 関連による分類

賃 金 工員に対して支払われる給与 直接労務費

間接労務費

給 料 工員以外に対して支払われる給与

雑 給 パート・アルバイトなど臨時に雇った工員や事務員に対して支払われる給与

従業員 賞与・手当

工場の従業員に対して支払われるボーナスや住宅手当、通勤手当などの諸手当

法定福利費 健康保険料、雇用保険料などの社会保険料のうち、会社負担分の費用

ゾーンB

直接工の作業時間について

STEP

4労務費を 詳しく学習しよう!

直接作業 間接作業 手待 休憩

間接労務費直接労務費

就業時間

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ケース 1 

2727

賃金の支払い

賃金・給与の支払額は、「給与支給帳」で計算します。

次の給与支給帳に基づいて、仕訳しなさい。

給与支給帳

従業員名 支給総額控   除   額

正味支給額源泉所得税 健康保険料 合計

900 200 100 300 600

借   方 貸   方

賃   金   900 現   金   600

預 り 金   300

ゾーンC

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2828

賃金の支払額と消費額の計算期間のズレ

消費賃金�=�当月賃金支払額�+�当月賃金未払額�-�前月賃金未払額

消費賃金は、「原価計算期間」で計算されます。 この「原価計算期間」とは、月初から月末までのことを指します

(たとえば、3月なら1日から31日まで)。

これに対して、支払賃金は、「給与計算期間」で計算されます。 この給与計算期間は、例えば、毎月20日締めの25日払いと

いうようになっていることがあり、このとき、給与計算期間は21日から 翌月の20日までということになります。

そのため、「原価計算期間」と「給与計算期間」が ズレるときがあります。

このようなズレが生じた場合、 当月賃金支払額に当月賃金未払額を足して、前月賃金未払額を引きます。

ゾーンB

労務費を詳しく学習しよう!STEP 4

給料日 月初 給料日 月末

前月賃金未払額 消費賃金(原価計算期間)

当月賃金未払額支払賃金(給与計算期間)

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ケース 2 

2929

未払賃金に関する勘定記入

賃金に未払額がある場合の処理方法としては、❶�「賃金」勘定と「未払賃金」勘定で処理する方法と、❷�「賃金」勘定のみで処理する方法があります。

「賃金」勘定と「未払賃金」勘定で処理する方法

次の取引について、4月の賃金勘定の記入を行うための仕訳をしなさい。4/1� 前月未払額は200円であった。4/25� 当月支払賃金800円を現金で支払った。4/30� 当月未払額は、300円であった。4/30� 当月の消費賃金は900円(直接労務費600円、間接労務費300円)であった。

4/1� 借 ��未�払�賃�金   200� 貸 ��賃   金   2004/25� 借 ��賃   金   800� 貸 ��現   金   8004/30� 借 ��賃   金   300� 貸 ��未�払�賃�金   3004/30� 借 ��仕 掛 品   600� 貸 ��賃   金   900� 製造間接費 �� �300

ゾーンB

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Page 30: 簿記検定 合格講座 簿記2級・工業2 本書の目的 本書の目的は、日商簿記検定2級に、最も容易に、かつ、確実に合格するということ です。最も容易に試験に合格するには、テキストは薄い方が好ましいです。しかし、

ケース 3 

3030

「賃金」勘定のみで処理する方法

次の取引について、仕訳しなさい。4/1� 前月未払額は200円であった。4/25� 当月支払賃金800円を現金で支払った。4/30� 当月未払額は、300円であった。4/30� 当月の消費賃金は900円(直接労務費600円、間接労務費300円)であった。

4/1� 仕訳なし4/25� 借 ��賃   金   800� 貸 ��現   金   8004/30� � 仕訳なし4/30� 借 ��仕 掛 品   600� 貸 ��賃   金   900� � 製造間接費  ���300

※「賃金」勘定と「未払賃金」勘定賃 金

4/25 現  金 800 4/1 未払賃金 200

4/30 未払賃金 300 4/30 諸  口 900

※「賃金」勘定のみ賃 金

4/25 現  金 800 4/30 諸  口 900

労務費を詳しく学習しよう!STEP 4

Page 31: 簿記検定 合格講座 簿記2級・工業2 本書の目的 本書の目的は、日商簿記検定2級に、最も容易に、かつ、確実に合格するということ です。最も容易に試験に合格するには、テキストは薄い方が好ましいです。しかし、

ケース 4 

3131

労務費の計算

直接工の賃金消費額は、作業時間を分けて計算する必要があります。

なお、消費賃率は、次のように求めます。

製品の加工作業以外の間接的な作業を行う「間接工」の賃金消費額は、  すべて「間接労務費」になります。

これに対して、製品の加工作業を行う「直接工」の賃金消費額は、 「直接労務費」となる分と「間接労務費」になる分に分けられます。

具体的には、消費賃率に直接作業時間あるいは間接作業時間を 掛けて、直接工の賃金消費額を求めます。

消費賃率 =  一定期間の直接工の賃金 

       同期間の直接工の総作業時間

次の直接工の資料に基づき、労務費の計算を行いなさい。  当月の賃金の消費額� :�1,000円  当月の作業時間の内訳�:�直接作業時間 8時間  間接作業時間 2時間

直接労務費�:�800円*1   間接労務費�:�200円*2

ゾーンB

1 / 2 / 3 / 4 / 5 /

1,000円※当月の消費賃率:8時間+2時間 = 100円/時間

*1 100円/時間 × 8時間 = 800円*2 100円/時間 × 2時間 = 200円

Page 32: 簿記検定 合格講座 簿記2級・工業2 本書の目的 本書の目的は、日商簿記検定2級に、最も容易に、かつ、確実に合格するということ です。最も容易に試験に合格するには、テキストは薄い方が好ましいです。しかし、

ケース 5 

3232

予よ

定てい

消しょうひ

費賃ちんりつ

労務費の計算でも、材料費と同様に、実際消費賃率に代えて予定消費賃率を用いることがあります。この予定消費賃率を用いる場合、予定消費賃金と実際消費賃金との間に生じた差額を

「賃率差異」勘定を用いて処理します。

   賃率差異�=��予定消費賃金�-�実際消費賃金       �=(予定消費賃率�-�実際消費賃率)×�実際作業時間

賃金の予定消費額は600円であった。しかし、賃金の実際消費額は800円であった。そこで、予定消費額と実際消費額との差額を賃率差異勘定へ振り替えた。

借   方 貸   方

賃�率�差�異   200※ 賃   金   200

※600円-800円 =-200円(借方差異)

ゾーンB

労務費を詳しく学習しよう!STEP 4

イメージ 

予定消費賃率

実際作業時間

実際消費賃率 賃率差異

予定消費賃金

Page 33: 簿記検定 合格講座 簿記2級・工業2 本書の目的 本書の目的は、日商簿記検定2級に、最も容易に、かつ、確実に合格するということ です。最も容易に試験に合格するには、テキストは薄い方が好ましいです。しかし、

3333

□□ ❶ 賃金勘定と未払賃金勘定を使用して、以下の当月の仕訳を作成しなさい。⑴ 前月未払額は、350円であった。⑵ 当月支払賃金1,200円を現金で支払った。⑶ 当月未払額は、200円であった。⑷ 当月の消費賃金は、1,050円(直接労務費950円、間接労務費100円)であった。

□□ ❷ 賃金の予定消費額は400円であった。しかし、賃金の実際消費額は380円であった。そこで、予定消費額と実際消費額との差額を賃率差異勘定へ振り替える仕訳を作成しなさい。

演習問題

1 / 2 / 3 / 4 / 5 /

Page 34: 簿記検定 合格講座 簿記2級・工業2 本書の目的 本書の目的は、日商簿記検定2級に、最も容易に、かつ、確実に合格するということ です。最も容易に試験に合格するには、テキストは薄い方が好ましいです。しかし、

34

経費の分類

内  容 製品との 関連による分類

外注加工賃 材料を外部業者に提供し加工を委託した場合の加工賃直接経費

特許権使用料 他人の特許を利用した場合の使用料

減価償却費 工場建物・機械などの減価償却費

間接経費

租税公課 工場建物・機械などの固定資産税など

賃借料 工場建物・機械などの賃借料

電気・ガス・水道代 工場で使用する電気・ガス・水道代

福利厚生費 工場従業員のための福利厚生

棚卸減耗損 材料について生じた棚卸減耗損

ゾーンB

STEP

5経費を 詳しく学習しよう!

Page 35: 簿記検定 合格講座 簿記2級・工業2 本書の目的 本書の目的は、日商簿記検定2級に、最も容易に、かつ、確実に合格するということ です。最も容易に試験に合格するには、テキストは薄い方が好ましいです。しかし、

3535

経費の消費

内           容 具体例

支払経費 実際の支払額がそのまま消費額となる経費 外注加工賃、特許権使用料、福利厚生費

月割経費 年間の費用発生額を月割にすることによって把握される経費

減価償却費、租税公課、賃借料など

測定経費 計量器、検針器などで測定された消費量に基づいて消費高が計算される経費

電気代、ガス代、水道代など

発生経費 実際の発生額をそのまま消費額とする経費 棚卸減耗損など

経費は、その消費額の計算方法の違いから、次の4つに分類できます。

ゾーンC

1 / 2 / 3 / 4 / 5 /

Page 36: 簿記検定 合格講座 簿記2級・工業2 本書の目的 本書の目的は、日商簿記検定2級に、最も容易に、かつ、確実に合格するということ です。最も容易に試験に合格するには、テキストは薄い方が好ましいです。しかし、

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3636

経費の仕訳

経費の仕訳の方法には、�「経費」勘定を用いる方法と�「経費」勘定を用いない方法があります。

﹁経費﹂ 勘定を用いる方法

各経費をいったん「経費」勘定に記入しておき、改めて直接経費は「仕掛品」勘定へ、間接経費は「製造間接費」勘定へ振り替える方法のことを言います。

外注加工費外注加工費

租税公課租税公課

電気代電気代

経  費外注加工費 直接経費

租税公課 間接経費電気代

仕 掛 品直接経費

製造間接費

間接経費

ゾーンC

経費を詳しく学習しよう!STEP 5

Page 37: 簿記検定 合格講座 簿記2級・工業2 本書の目的 本書の目的は、日商簿記検定2級に、最も容易に、かつ、確実に合格するということ です。最も容易に試験に合格するには、テキストは薄い方が好ましいです。しかし、

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3737

﹁経費﹂ 勘定を用いない方法

「経費」勘定を全く設けず、各経費を直接経費は「仕掛品」勘定へ、間接経費は「製造間接費」勘定へ振り替える方法のことを言います。

外注加工費外注加工費

仕 掛 品直接経費

租税公課租税公課

電気代電気代

製造間接費間接経費

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38

製造間接費の実際配はい

賦ふ

製造間接費の配賦とは、製造間接費を一定の基準によって各製品に振り分けることを言います。つまり、製造間接費勘定の借方に集計された金額を、一定の基準を使って仕掛品に振り替えることです。製品別に製造間接費を配賦するには、�配賦基準を

決める�➡�配賦率を求める�➡�配賦額を計算するという3段階で行います。

配賦基準

配賦基準には、次の5つがあります。

内    容

直接材料費基準 各製品の直接材料費の金額の割合によって配賦

直接労務費基準 各製品の直接労務費の金額の割合によって配賦

直接作業時間基準 各製品の直接作業時間の割合によって配賦

機械運転時間基準 各製品の機械運転時間の割合によって配賦

生産量基準 各製品の生産量の割合によって配賦

ゾーンB

STEP

6製造間接費を マスターしよう!

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3939

配賦率

次の計算式で求めます。

配賦率 = ��製造間接費の総額 

    ��� 配賦基準数値の合計

配賦額

次の計算式で求めます。

配賦額�=�配賦率�×�各製品の配賦基準数値

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ケース 1 

4040

次の資料に基づいて、直接作業時間基準により、それぞれの製造間接費の実際配賦率を計算し、原価計算表を完成させなさい。

 〈資 料〉直接材料費  :� 1,000円(製品A:600円���製品 B:400円)直接労務費  :� 500円(製品A:300円���製品 B:200円)製造間接費  :� 600円直接作業時間 :� 6時間(製品A:4時間���製品 B:2時間)

実際配賦率�:�100円/時間※1

原価計算表(単位:円)

費  目 製 品 A 製 品 B 合   計直接材料費 600 400 1,000直接労務費 300 200 500製造間接費 400※2 200※3 600合  計 1,300 800 2,100

600円※1 4時間 + 2時間

= 100円/時間

※2 100円/時間 × 4時間 = 400円※3 100円/時間 × 2時間 = 200円

製造間接費をマスターしよう!STEP 6

Page 41: 簿記検定 合格講座 簿記2級・工業2 本書の目的 本書の目的は、日商簿記検定2級に、最も容易に、かつ、確実に合格するということ です。最も容易に試験に合格するには、テキストは薄い方が好ましいです。しかし、

4141

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Page 42: 簿記検定 合格講座 簿記2級・工業2 本書の目的 本書の目的は、日商簿記検定2級に、最も容易に、かつ、確実に合格するということ です。最も容易に試験に合格するには、テキストは薄い方が好ましいです。しかし、

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check

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4242

製造間接費の予定配はい

賦ふ

製造間接費の予定配賦

▪�製造間接費の配賦は、実際配賦を行うのが原則です。   ➡▪�しかし、実際配賦を行う場合、次のようなデメリットがあります。すなわち、❶�製造間接費の実際発生額がすべて集計できるまで配賦計算ができません。また、�❷ 製造間接費の実際発生額や実際配賦基準数値は毎月変動するので、製造時期によって配賦額にばらつきが生じてしまいます。

   ➡▪�そこで、実際配賦のデメリットを克服するために、予定配賦率を用いて製造間接費の配賦額を計算していく方法があります。

   ➡▪�これを「製造間接費の予定配賦」と言います。

製造間接費の予定配賦率

製造間接費の予定配賦率は、1年間の予定製造間接費である「製造間接費予算」を、1年間の予定配賦基準数値である「基準操業度(予定操業度)」で割って求めます。

予定配賦率 = 製造間接費予算 

       基準操業度

製造間接費の配賦額

次の計算式で求めます。

予定配賦額�=�予定配賦率�×�各製品の実際配賦基準数値

ゾーンA

製造間接費をマスターしよう!STEP 6

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ケース 2 

4343

次の資料に基づき、製造間接費の予定配賦率および予定配賦額を求めなさい。なお、製造間接費は直接作業時間を基準に予定配賦している。

 〈資 料〉製造間接費年間予算額�:�10,000円 年間予定直接作業時間�:� 1,000時間当月実際作業時間�������:� 100時間

予定配賦率�:� 10円/時間※1

予定配賦額�:�1,000円※2

※1 10,000円

= 10円/時間   1,000時間

※2 10円/時間 × 100時間 = 1,000円

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Page 44: 簿記検定 合格講座 簿記2級・工業2 本書の目的 本書の目的は、日商簿記検定2級に、最も容易に、かつ、確実に合格するということ です。最も容易に試験に合格するには、テキストは薄い方が好ましいです。しかし、

check

check

check

4444

製造間接費配賦差異

製造間接費配賦差異とは

予定配賦額と実際発生額の差額のことを言います。

製造間接費配賦差異�=�予定配賦額�-�実際発生額

借かり

方かた

差さ

異い

(不利差異)とは

製造間接費の予定配賦額よりも実際発生額の方が大きかった場合のことを言います。このように借方差異と言われるのは、「製造間接費配賦差異」勘定の借方に金額が振り替えられるからです。

貸かし

方かた

差さ

異い

(有利差異)とは

製造間接費の予定配賦額よりも実際発生額の方が小さかった場合のことを言います。このように貸方差異と言われるのは、「製造間接費配賦差異」勘定の貸方に金額が振り替えられるからです。

製造間接費

実際発生額

予定配賦額

製造間接費配賦差異

製造間接費配賦差異

借方差異

製造間接費実際発生額

予定配賦額製造間接費配賦差異

製造間接費配賦差異

貸方差異

ゾーンA

製造間接費をマスターしよう!STEP 6

Page 45: 簿記検定 合格講座 簿記2級・工業2 本書の目的 本書の目的は、日商簿記検定2級に、最も容易に、かつ、確実に合格するということ です。最も容易に試験に合格するには、テキストは薄い方が好ましいです。しかし、

ケース 3 

4545

次の資料に基づき、製造間接費配賦差異を求めなさい。なお、( )内は、借方差異(不利差異)ならば「-」、貸方差異(有利差異)ならば「+」を記入しなさい。

 〈資 料〉製造間接費予定配賦額   : 1,000円当月製造間接費実際発生額 : 1,200円

製造間接費配賦差異�:�(-)200円※�

※1,000円 - 1,200円 = -200円

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