再生可能エネルギーの主力電源化...

33
再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 201935経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課 山下 健太

Transcript of 再生可能エネルギーの主力電源化...

Page 1: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

再生可能エネルギーの主力電源化に向けた課題と展望

2019年3月5日経済産業省 資源エネルギー庁

新エネルギー課山下 健太

Page 2: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

1.再生可能エネルギーの主力電源化に向けた課題と対応

2.住宅用太陽光発電設備のFIT買取期間終了に向けた対応

Page 3: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

出典: IEA Renewables 2017

再生可能エネルギーのコストダウン:世界

0

50

100

150

200

250

300

350

400

2008 2010 2012 2014 2016 2018 2020 2022

USD 2016/MWh

Onshore wind averageauction priceSolar PV averageauction priceSolar PV - utility scaleLCOEOnshore wind LCOE

Japan FIT - PV-utility

2

太陽光・風力ともに、10円/kWh以下での売電契約が広がる。

Page 4: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

再エネ(水力除く), 30.5 再エネ(水力除く), 25.5

再エネ(水力除く), 27.9

再エネ(水力除く), 7.5

再エネ(水力除く), 23.3

再エネ(水力除く), 9.9 再エネ(水力除く), 7.2

再エネ(水力除く), 6.1 再エネ(水力除く), 8.1

水力, 3.1 水力, 6.9 水力, 1.8

水力, 9.0

水力, 12.3

水力, 7.1

水力, 58.5

水力, 18.8 水力, 8.0

石炭, 38.9

石炭, 17.2

石炭, 7.0

石炭, 2.5

石炭, 11.9

石炭, 31.1

石炭, 9.0

石炭, 68.6

石炭, 32.3

石油その他, 2.3

石油その他, 6.1

石油その他, 2.2

石油その他, 1.2

石油その他, 5.0 石油その他, 1.1

石油その他, 1.3

石油その他, 0.4

石油その他, 8.7

天然ガス, 13.4

天然ガス, 23.0

天然ガス, 40.0

天然ガス, 7.2

天然ガス, 47.5

天然ガス, 31.0

天然ガス, 9.2

天然ガス, 2.8

天然ガス, 39.8

原子力, 11.8

原子力, 21.3 原子力, 21.1

原子力, 72.6

原子力, 0.0

原子力, 19.8 原子力, 14.7

原子力, 3.5 原子力, 3.1

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

主要再エネ※水力除く

風力16.4%

風力18.0%

風力14.9%

風力4.4%

太陽光8.6%

風力6.1%

風力4.7%

風力3.8%

太陽光5.2%※

目標年①2025年②2035年 2020年 2030年 2030年 2020年 2035年 -

(国家レベルでは定めていない)

2020年 2030年

再エネ導入

目標比率

①40~45%②55~60%

総電力比率

40%総電力比率

44%(※)総電力比率

40%総電力比率

35~38%総電力比率

80%クリーンエネルギー(原発含む)総電力比率

-(国家レベルでは定め

ていない)

15%1次エネルギーに占める非化石比率

22~24%総電力比率

イタリア(2017年) カナダ(2017年)ドイツ(2017年) スペイン(2017年) イギリス(2017年) フランス(2017年) アメリカ(2017年) 日本(2017年)

(発電電力量に占める割合)

再エネ33.6%

再エネ32.4%

再エネ17.0% 再エネ

16.1%

再エネ29.7%

再エネ16.5%

再エネ35.6%

再エネ65.7%

主要国の再エネ発電比率

再エネ24.9%

中国(2016年)

(出典)資源エネルギー庁調べ。(※)複数存在するシナリオの1つ。

風力 0.6%

地熱0.2%

太陽光5.2%

バイオマス2.0%

※四捨五入の関係で合計が一致しない

3

Page 5: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

4

(kW)導入水準

(18年9月)

FIT前導入量+FIT認定量

(18年9月)

ミックス(2030年度)

ミックスに対する

導入進捗率

太陽光 4,710万 7,730万 6,400万 約74%

風力 360万 1,020万 1,000万 約36%

地熱 54万 60万140~155万 約37%

中小水力 970万 990万

1,090~1,170万 約86%

バイオ 370万 1,110万 602~728万

約55%

※バイオマスはバイオマス比率考慮後出力。※改正FIT法による失効分(2019年1月時点で確認できているもの)を反映済。※地熱・中小水力・バイオマスの「ミックスに対する進捗率」はミックスで示された値の中間値に対する

導入量の進捗。

エネルギーミックス実現への道のり

2010年度

水力 8.8~9.2%程度

風力 1.7%程度

地熱 1.0~1.1%程度

太陽光7.0%程度

バイオマス3.7~4.6%程度

2030年度

ベースロード比率:56%程度

10,650億kWh(電力需要+送配電ロス等)

<電源構成>

火力全体:65%LNG 29%

石油 9%石炭 28%

原子力 25%

再エネ 9%

2017年度

再エネ 16%

原子力 3%

原子力22~20%程度

火力全体:56%程度LNG 27%程度石油 3%程度石炭 26%程度

再エネ22~24%程度

火力全体:81%LNG 40%

石油 9%石炭 32%

Page 6: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

紛争処理システムの構築

発電コスト

系統制約

調整力

事業環境

中間整理(第1次)

国際水準を目指した徹底的なコストダウン

入札制・中長期目標による価格低減

「新・系統利用ルール」の創設

~ルールに基づく系統の開放へ~

規制のリバランス長期安定電源化

既存系統の「すき間」の更なる活用

再エネ大量導入時代におけるNWコスト改革

徹底した情報公開・開示

適正な事業実施/地域との共生

洋上風力のための海域利用ルールの整備

広域的・柔軟な調整発・送・小の役割分担

調整力のカーボン・フリー化

新たな再エネ活用モデル/再投資支援

再生可能エネルギーの

主力電源化

再エネの大量導入を支える

次世代電力ネットワークの構築

火力の柔軟性/再エネ自身の調整機能確保

市場機能/連系線/新たな調整機能の活用

競争力ある蓄電池開発・水素の活用

ゲームチェンジャーとなりうる技術開発自立化を促す支援制度の在り方検討

中間整理(第2次)

コストダウンの加速化とFITからの自立化

長期安定的な事業運営の確保

アクションプランの着実な実行

産業競争力と技術革新の追求

(日本版コネクト&マネージ)

事業用太陽光・風力の入札対象拡大等

既認定案件による国民負担の抑制未稼働案件に対する適正価格の適用等

洋上風力のための海域利用ルール整備再エネ海域利用法

徹底した情報公開・開示の具体化

競争力を高める支援の在り方FIT法抜本見直しを見据えた支援制度

地域分散型電源活用促進の方策

自立化を促す支援制度の継続検討「需給一体型」再エネ活用モデルの環境整備

日本版コネクト&マネージの具体化

事業規律の確保に向けた対応安全の確保/地域との共生/適切な廃棄

5

NWコスト改革の具体化仕様統一化と取組状況の定期的レビュー等

系統整備・増強を含めた次世代電力NW形成の在り方

発電予測精度向上・調整力の費用負担の見直し

中長期目標の見直し・入札対象の拡大事業用・家庭用太陽光の目標前倒し・明確化

再エネの出力制御量の低減に向けた方策

第5次エネルギー基本計画を踏まえた検討の視点と今後の対応(2019年1月)

2019卒FITの取扱いの明確化

Page 7: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

6

<FIT買取費用>世界的にはコスト低減

(注)2016年度・2018年度の買取費用総額・賦課金総額は試算ベース。2030年度賦課金総額は、買取費用総額と賦課金総額の割合が2030年度と2016年度が同一と仮定して算出。kWh当たりの買取金額・賦課金は、(1)2016年度については、買取費用と賦課金については実績ベースで算出し、(2)2030年度までの増加分については、追加で発電した再エネが全てFIT対象と仮定して機械的に、①買取費用は総買取費用を総再エネ電力量で除したものとし、②賦課金は賦課金総額を全電力量で除して算出。

※資源エネルギー庁作成。太陽光は2,000kW、風力は20,000kWの初年度価格。欧州の価格は運転開始年である。入札対象電源となっている場合、落札価格の加重平均。

対応1:コストダウンの加速化とFITからの自立化 再生可能エネルギーを「主力電源」とするには、国際水準を目指して、他の電源と比較して競争力

のある水準までコストを低減させることが必要。 既にFITによる国民負担(賦課金総額)は2.4兆円/年に達している中、FIT認定を取得し買取

価格を確定させたまま長期間未稼働となっている案件に対する対応が急務。 また、2019年11月以降、住宅用太陽光を皮切りにFIT買取期間終了という環境変化に直面す

るが、将来を見据えて、FITからの自立化に向けた方向性を具体化することが必要。

Page 8: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

価格目標については、コスト低減を加速化させるため、国内外のコスト動向を踏まえ、

事業用太陽光は「2030年発電コスト7円/kWh」という現行目標を5年間前倒すとともに、

陸上風力・洋上風力は現行の「2030年発電コスト8~9円/kWh」という目標を据え置き、目標実現に向け、コスト低減の取組を深掘りを行う。

事業用太陽光発電の入札対象範囲は、事業者間の競争を促すため、海外の事例等を踏まえ、将来的な拡大を見据えつつ、2019年度は500kW以上とした。(2018年度は2,000kW以上)※2019年度の募集容量:上期300MW・下期原則450MW(上期の応札容量が300MWを下回った場合は、その下回った分を下期の募集容量(450MW)から差し引く。)

事業用太陽光の入札対象範囲外の調達価格については、より効率的な水準(上位25%⇒上位17.5%)に照準を合わせ、2019年度は14円/kWhとした。(2018年は18円/kWh)

05

10152025303540

2012

2013

2014

2015

2016

2017

2018

2019

2020

2021

2022

2023

2024

2025

2026

2027

2028

2029

2030

(円/kWh)

(※)割引率(IRR)は現在の調達価格の想定(5%)を用いており、この水準が変動する場合、価格目標を達成するための価格は変わりうる。

現行の価格目標(発電コスト7円)に相当する価格(※)

8.5円

5年前倒し運転開始期限3年

40円

18円

8.5円価格低減率

3.7円/年

価格低減率2.4円/年

<事業用太陽光の価格目標のイメージ> <主な調達価格・入札対象範囲>

2017年度 2018年度 2019年度

入札制(2,000kW以上)

21円 18円

入札制(500kW以上)

14円

2016年度

24円事業用太陽光

洋上風力(着床式) 36円 36円

36円 36円※一般海域の海域利用ルールの適用案件は

そのルール開始に合わせて入札制移行

バイオマス(※1) 24円

24円(20,000kW以上)

21円(20,000kW未満)

入札制(※2)

24円

(※1)一般木材等及びバイオマス液体燃料(※2)10,000kW以上の一般木材等及び全規模のバイオマス液体燃料

24円

7(参考)調達価格等算定委員会における主な決定事項

Page 9: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

電源【調達期間】

2012年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 価格目標

事業用太陽光(10kW以上)

【20年】

住宅用太陽光(10kW未満)

【10年】

風力【20年】

バイオマス【20年】

※6 ※7

地熱【15年】

水力【20年】

22円(20kW以上)

40円 36円 32円 29円27円

26円(15,000kW以上)

40円(15,000kW未満)

24円(1,000kW以上30,000kW未満)

29円(200kW以上1,000kW未満)

34円(200kW未満)

42円 38円 37円 33円35円

39円(メタン発酵バイオガス発電 ※7)

32円(未利用材)

24円(一般木材等)

13円(建設資材廃棄物)

17円(一般廃棄物その他バイオマス)

40円(2,000kW未満)

32円(2,000kW以上)

※1

31円33円

24円

※2

21円(10kW以上2,000kW未満)

28円30円※2

26円28円※2

24円26円※2

21円(20kW以上)

※3

※3

20円(5,000kW以上30,000kW未満)

27円 (1,000kW以上5,000kW未満)※3 ※3

※3

※3 風力・地熱・水力のリプレースについては、別途、新規認定より低い買取価格を適用。※5 新規燃料は、副産物も含めて、持続可能性に関する専門的・技術的な検討において持続可能性の確認方法が決定されたもののみをFIT制度の対象とし、この専門的・技術的な検討の結果を踏まえ、調達価格等算定委員会で取扱いを検討。※6 石炭混焼案件について、一般木材等・未利用材・建設資材廃棄物との混焼を行うものは、2019年度よりFIT制度の新規認定対象とならないことを明確化し、2018年度以前に既に認定を受けた案件が容量市場の適用を受ける場合はFIT制度の対象から外す。

一般廃棄物その他バイオマスとの混焼を行うものは、2021年度よりFIT制度の新規認定対象から除き、2020年度以前に認定を受けた案件が容量市場の適用を受ける場合はFIT制度の対象から外す。※7 主産物・副産物を原料とするメタン発酵バイオガス発電は、具体的な事業計画に基づく詳細なコストデータが得られるまでの当面の間、FIT制度の新規認定を行わない。

24円

※3

※3

※3

※1 7/1~(利潤配慮期間終了後)18円

(10kW以上2,000kW未満)

55円(20kW未満)18円

※5

36円(浮体式)

入札制(2,000kW以上)

※2 出力制御対応機器設置義務あり(2020年度以降は設置義務の有無にかかわらず同区分)

24円24円

(20,000kW未満)

21円(20,000kW以上)

(10,000kW未満)

入札制(10,000kW以上)

24円(バイオマス液体燃料)

24円

入札制

36円(洋上風力(着床式・浮体式))

20円 19円※3 ※3

8~9円(2030年)

FIT制度からの中長期的な自立化を目指す

※3

※3

※2

24円(20,000kW未満)

(20,000kW以上)21円24円

急速なコストダウンが

見込まれる電源

地域との共生を図りつつ

緩やかに自立化に向かう電源

14円(10kW以上500kW未満)

入札制(500kW以上) 7円

(2025年)

卸電力市場価格

(2025年)

36円(着床式)

入札制

(20,000kW以上)24円 入札制

(10,000kW以上)

24円(10,000kW未満)

40円32円13円17円39円

26円40円20円27円29円

34円

※4一般海域利用ルールの適用案件は、入札制移行。

8(参考)2019年度以降の調達価格等(調達価格等算定委員会意見)

Page 10: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

(参考)太陽光発電の未稼働案件への対応

①過去(認定時点)の高いコストではなく、運転開始時点でのコストを反映した適正な調達価格を適用。→ 一定の期限までに運転開始準備段階に入ったものは、従来の調達価格を維持。他方、間に合わなかったものは、運転開始準備段階に入った時点の2

年前の調達価格(例:2019年度に運転開始準備段階に入ったもの ⇒ 2017年度21円/kWh)を適用。

②更に早期の運転開始を担保するための措置を講じる。 → 新たに運転開始期限(原則として1年間)を設定

これまでの措置改正FIT法(2017年4月)により、以下の措置を講じてきた。①原則として2017年3月末までに接続契約を締結できていない案件を失効。これにより約1,700万kWが失効。②2016年8月以降の接続契約では「認定から3年」の運転開始期限を設定し、超過分は調達期間(20年間)を短縮。

追加的な措置

問題点〇未稼働高額案件の滞留を放置する場合、以下のような問題が発生する。国民負担:高額案件が稼働することで、国民負担が増大。(一方、それが事業者の過剰な利益に。)コストダウンに歯止め:事業者は、入札対象となる新規開発より、未稼働高額案件の発掘・開発を優先する。系統容量:未稼働案件に、系統が押さえられていることにより、新規案件の開発が停滞。

〇再エネの最大限の導入と国民負担の抑制との両立を図るための措置が必要。

上記の措置等を通じて接続契約の締結を促してきたが、接続契約を締結してもなお未稼働の案件が大量に存在

9

Page 11: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

西日本豪雨による太陽光発電設備の被害例

FIT認定基準に基づく柵塀の設置に関する事例(適切な柵塀設置の事例) (不適切な柵塀設置の事例)(柵塀未設置の事例)

対応2:長期安定的な事業運営の確保 10

再生可能エネルギーを「主力電源」とするためには、責任ある長期安定的な電源となることが必要。 急速に参入が拡大した太陽光を中心に、工事の不備等による安全面の不安や、景観や環境への影

響等をめぐる地元との調整における課題、太陽光発電設備の廃棄対策等、地域の懸念が顕在化。 一方、風力(特に洋上風力)・水力・地熱のような、立地制約の強い電源の新規導入は限定的。

Page 12: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

(参考)安全確保/地域との共生/太陽光発電設備の廃棄対策

技術基準が定めた「性能」を満たす「仕様」を設定し、原則化

(知識不足でもクリアしやすく。外部からの適合性確認も容易に)

設置環境に応じた技術基準の検討

(斜面等に設置する際はより厳しい基準を課すなど)

電気事業法に基づく技術基準の適合性に疑義ある案件の取締り

(違反した場合はFIT認定取消へ) FIT認定基準に基づく標識・柵塀の設置義務に違反する案件の取締り

(違反した場合FIT認定取消へ)

地方自治体の条例等の先進事例を共有する情報連絡会の設置

(条例策定等の地域の取組をサポート)

安全の確保 地域との共生

廃棄費用の積立計画と進捗状況の報告を義務化し、

実施状況を公表する(悪質な事例には、報告徴収・

指導・改善命令を行う)

原則として外部積立を求め、発電事業者の売電収入から源泉徴収的に積立てを行う

方向性で専門的な検討を進める

太陽光発電設備の廃棄対策

11

Page 13: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

(参考)太陽光発電設備の廃棄対策

①放置・不法投棄 ②有害物質 ③リサイクル〇太陽光パネルには有害物質(鉛、セ

レン等)を使用しているものもある。

〇製品ごとに濃度の異なる有害物質の情報が排出事業者から産廃処理業者に伝わっていない。⇒製品によっては、望ましい最終処分

方法で処理されていない。

〇多くはガラスだが、有価取引の金属(アルミ、銀等)も使用。

〇将来(2035年頃)の排出量は、ピーク時に産業廃棄物の最終処分量の約1.7~2.7%(約17~28万トン)⇒リサイクルして埋立量を減らす

べきとの指摘。

〇自己所有地での事業用太陽光を中心に、放置される懸念、全般的に不法投棄される懸念あり。・廃掃法では、排出事業者(発電事業者、解体事業者等)に責任。⇒しかし、「廃棄物ではない」と主張された場合、不法投棄された場合に対

応が困難。〇FIT法では、調達価格の中で資本費の5%を廃棄等費用として計上。

廃棄等費用の積立を実施する事業者は少なく、昨年4月より発電事業者による廃棄等費用の積立てを義務化。⇒しかし、積立ての時期等が事業者の判断に委ねられており、懸念が残る。

その他の懸念への対応〇 有害物質については、パネルメーカーと産廃事業者の情報共有ガイドラインの実施を徹底(現在22社が対応(※)。今後、輸入メー

カーを含め対応を徹底。)(※)ガイドラインに基づき自社ウェブサイトに情報提供を行っている旨をJPEA宛に連絡した企業数(2019年1月時点)〇 リサイクルについては、経済合理的に実現可能かを見極めるため、実態調査を実施(現在需要があるのはフレームのアルミのみ。セルに

含まれる銀などの回収には高コスト処理が必要。)

発電事業者による廃棄等費用の積立てを担保するために必要な施策について、検討を開始。

①廃棄等費用については、原則として発電事業者の売電収入から源泉徴収的に積立金を差し引く方法による外部積立を求めつつ、長期安定発電の責任・能力を担うことが可能と認められる事業者に対しては内部積立を認めることを検討する。

②具体的な制度設計については、今後、専門的な検討の場を設け、検討を深めていく。

並行して、2018年度からすぐに出来ることに着手(現行FIT制度の執行強化)

①廃棄等費用の積立計画・進捗状況の報告義務化・公表制度の導入(昨年7月より報告義務化。2018度中に公表予定。)

②悪質な事例には、報告徴収・指導・改善命令を検討

<現状と課題>

<今後の施策の方向性>

0 12

Page 14: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

洋上風力発電について、海域利用のルール整備などの必要性が指摘されていたところ。 第197回国会において「海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用の促進に関す

る法律(再エネ海域利用法)」が成立(12月7日公布。公布から4月を超えない範囲で施行予定)。 今後、関係府省が連携し、制度の円滑な施行に向けた準備を進める。

課題① 占用に関する統一的なルールがない【課題】

課題② 先行利用者との調整の枠組みが不明確

【対応】

• 海域の大半を占める一般海域は海域利用(占用)の統一ルールなし(都道府県の占用許可は通常3~5年と短期)

• 中長期的な事業予見可能性が低く、資金調達が困難。

• 海運や漁業等の地域の先行利用者との調整に係る枠組みが存在しない。

• FIT価格が欧州と比べ36円/kWhと高額。• 国内に経験ある事業者が不足。

課題③ 高コスト

再エネ海域利用法の創設により実現

課題⑤ 基地となる港湾が必要• 洋上風力発電の導入計画に比べて洋上風力発電設備の設

置及び維持管理の基地となる港湾が限定的。

課題④ 系統につなげない・負担が大きい• 洋上風力発電に適した地域において、系統枠が確保できな

い懸念。系統の負担が過大。

13(参考)再エネ海域利用法

• 洋上風力発電に取り組もうとしている事業者や港湾管理者の意見を聞きながら基地となる港湾の整備のあり方を検討。

• 日本版コネクト&マネージによる系統制約の解消や次世代電力ネットワークへの転換(託送制度改革等)に取り組む。この成果を洋上風力発電にも活用可能。

• 価格等により事業者を公募・選定。→ 競争を促してコストを低減。

• 関係者間の協議の場である協議会を設置。地元調整を円滑化。

• 区域指定の際、関係省庁とも協議。他の公益との整合性を確認。

→ 事業者の予見可能性を向上、負担を軽減。

• 国が、洋上風力発電事業を実施可能な促進区域を指定し、公募を行って事業者を選定、長期占用を可能とする制度を創設。

→ FIT期間とその前後に必要な工事期間を合わせ、十分な占用期間(30年間)を担保し、事業の安定性を確保。

Page 15: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

14

「つなげない」(送電線の平均利用率が

10%未満でもつなげない)

「高い」(接続に必要な負担が大きすぎる)

「遅い」(接続に要する時間が長すぎる)

<発電事業者の声・指摘>

<実態>「送電容量が空いている」のではなく、停電防止のため一定の余裕が必要• 50%=「上限」(単純2回線)• 「平均」ではなく「ピーク時」で評価

欧州の多くも、日本と同様の一部特定負担(発電事業者負担)

• モラルハザード防止のため、大半の国は一般負担と特定負担のハイブリッド

増設になればどの国でも一定の時間が必要

• ドイツでも工事の遅れで南北間の送電線が容量不足

対応3:系統制約の克服 我が国の既存電力系統は、再エネ電源の立地ポテンシャルのある地域とは必ずしも一致せず、再生

可能エネルギーの導入量増加に伴い、系統制約が顕在化。 欧州でも、日本と同様、系統増強となれば一定の時間が必要になるが、他方で一定の条件の下で

系統接続を認める制度も存在。 日本では、人口減少に伴う需要減少や高経年化対策等も構造的課題に。 北海道胆振東部地震による大規模停電や再エネ海域利用法の成立を契機に、レジリエンスや再エ

ネの規模・特性に応じた系統形成の在り方についても十分な留意が必要。

Page 16: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

(参考)日本版「コネクト&マネージ」の進捗状況 15

従来の運用 見直しの方向性 実施状況(2018年12月時点)

①空き容量の算定

全電源フル稼働 実態に近い想定(再エネは最大実績値)

2018年4月から実施約590万kWの空容量拡大を確認

②緊急時用の枠

半分程度を確保 事故時に瞬時遮断する装置の設置により、枠を開放

2018年10月から一部実施約4,040万kWの接続可能容量を確認

③出力制御前提の接続

通常は想定せず 混雑時の出力制御を前提とした、新規接続を許容

制度設計中

【緊急時用に確保】

設備容量

運用容量

従来の運用 見直しの方向性

②①風力

火力

太陽光

【緊急時用に確保】

太陽光火力

風力

※1最上位電圧の変電所単位で評価したものであり、全ての系統の効果を詳細に評価したものではない。※2速報値であり、数値が変わる場合がある。

Page 17: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

16

フェーズ1:系統に対して顕著な負荷無しフェーズ2:オペレーターが認識できる負荷が発生

<各国の変動再エネ比率と運用上のフェーズ(2016)>

(出所)IEA「System Integration of Renewables」を基に作成

<2018年5月3日の九州の電力需給実績>

フェーズ4:特定の時間に再エネの割合が大きくなり安定性が重要になるフェーズ3:需給の変動に対応できる調整力が必要となる

各フェーズの特徴

対応4:適切な調整力の確保 自然変動再エネ(太陽光・風力)の導入拡大により、「調整力」を効率的かつ効果的に確保するこ

とが、国際的に見ても課題に。 日本においては、「火力発電等の調整力に依存するモデル」から、「再エネ自身も一定の調整力を具

備し、市場等を活用した効率的な調整が行われるモデル」への転換を図るとともに、九州エリアにおける出力制御から得られた示唆も踏まえた、調整力の確保・調整手法の高度化に向けた検討も必要。

将来的には、調整力のカーボン・フリー化を進めていくことも重要。

Page 18: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

再エネの大量導入を支える

次世代電力ネットワーク

の構築

再生可能エネルギー政策の次なるステップ

発電コスト

系統制約

調整力

事業環境

課題・エネ基の方向性

• 既存系統と再エネ立地ポテンシャルの不一致

• 系統需要の構造的減少• 変動再エネの導入拡大

• 長期安定発電を支える環境が未成熟

• 洋上風力等の立地制約

• 欧州の2倍• これまで国民負担年額

2兆円/年で再エネ+5%(10%→15%)

→ 今後+1兆円/年で+9%(15%→24%)が必要

未稼働案件への対応

既存系統の「すき間」の更なる活用

再エネ海域利用法を通じた一般海域の利用ルール整備

地域共生を図る情報連絡会の設置

再生可能エネルギーの

主力電源化

価格目標の前倒し・入札対象範囲の拡大

コストダウンの加速化とFITからの自立化

長期安定的な事業運営の確保

アクションプランの着実な実行

エネ基~これまでの主な取組 今後の方向性

①再エネ電源の開発促進⇒ 電源特性に応じたインセンティブ付与

・急速コストダウン再エネ(太陽光 風力 大規模バイオ)はコストダウン加速化を促進しつつ、市場への統合を図る制度の在り方を検討

・地域共生再エネ(地熱 中小水力 地域バイオ)はFITに限らない新規開発促進の在り方を検討

②事業規律の強化⇒ 長期安定電源化に向けた責任体制の強化

・FIT法と協調して電気事業法の執行を強化・条例策定など先進的自治体の事例を横展開・廃棄費用担保方法について専門的視点で検討

(原則外部積立て、例外的に内部積立ての方向)

③再エネ事業環境の整備⇒ 再エネ最大限導入をサポート

・立地制約克服の深掘り=再エネ海域利用法の具体化等

・系統制約克服の深掘り=日本版コネクト&マネージの実現+託送見直し等を含めた必要な系統投資確保

• 一定時期までに運転開始準備段階に至らない未稼働太陽光は価格減額

• 加えて早期運転開始を担保する措置

• 事業用太陽光の目標は2025年7円へ• 事業用太陽光の入札対象範囲は

「2,000kW以上」⇒「500kW以上」

• 条例作成等の先進事例を自治体間で共有

• 洋上風力導入拡大へ、価格入札と合わせ、一般海域の長期占用ルールを整備

• 緊急時用の枠を解放する取組を一部実施(約4,040万kWの接続可能容量を確認)

再エネ大量導入時代のNWコスト改革

• NWコストの徹底的な削減を促す仕組み• 次世代NW転換に向け制度環境整備の検討 17

Page 19: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

1.再生可能エネルギーの主力電源化に向けた課題と対応

2.住宅用太陽光発電設備のFIT買取期間終了に向けた対応

Page 20: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

住宅用太陽光のFIT買取期間終了をめぐる状況 19

2009年から余剰電力買取制度の適用を受けた住宅用太陽光発電は、2019年11月以降、10年間のFIT買取期間が順次終了。2019年の11月・12月だけで約53万件が対象。

累積では、2023年までに約165万件・670万kWに達し、これらが①自家消費又は②余剰電力の自由売電に移行していくこととなる。

FITを卒業する住宅用太陽光発電の推移(年別)

(出典)費用負担調整機関への交付金申請情報、設備認定公表データをもとに作成。一部推定値を含む

FITを卒業する住宅用太陽光発電の推移(累積)

200万kW

82万kW

114万kW139万kW 135万kW

53万件

20万件

27万件

34万件31万件

0万件

10万件

20万件

30万件

40万件

50万件

60万件

0万kW

50万kW

100万kW

150万kW

200万kW

250万kW

300万kW

2019年卒 2020年卒 2021年卒 2022年卒 2023年卒

200万kW282万kW

396万kW

535万kW

670万kW

53万件

73万件

100万件

134万件

165万件

0万件

20万件

40万件

60万件

80万件

100万件

120万件

140万件

160万件

180万件

0万kW

100万kW

200万kW

300万kW

400万kW

500万kW

600万kW

700万kW

800万kW

900万kW

2019年 2020年 2021年 2022年 2023年(11月・12月分) (11月・12月分)

Page 21: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

2019年以降の住宅用太陽光発電のFIT買取期間終了に向けた動き 20

FIT制度による買取期間が終了した電源については、①自家消費をするか、②相対・自由契約で余剰電力を売電することが基本となる。

買取期間が終了する住宅用太陽光発電設備が現れ始めるまであと1年を前に、既に具体的な買取メニューを発表して営業活動を展開する事業者や、(買取メニューは公表していないものの)買取り行うことを表明する事業者も出て来ている。

買取メニューを公表している事業者の例シェアリングエネルギー • 具体的な余剰電力買取プランと蓄電池の購入プランを発表昭和シェル石油ソーラーフロンティア

• 余剰電力の買取りとそれを活用したCO2低排出電力プランの提供、太陽光発電予測ノウハウの提供等について発表。

スマートテック • 2018年6月に、卒FIT買取メニューを発表し、営業活動を展開積水ハウス • 同社が建てた住宅購入者を対象に余剰電力の買取メニューを発表

買取メニューは公表していないものの、買取りに向けた検討をしている事業者の例TOKAIホールディングス • みんな電力(株)と提携し、FIT買取期間が終了する太陽光発電設備を

活用した新サービスを検討NTTスマイルエナジー • 同社がアグリゲーターとなり、エネット(株)に余剰電力を供給イオン • 中部電力と提携し、余剰電力に応じてWAONポイントを提供各大手電力会社 • FIT買取期間終了後も、新たな単価で買取を継続することを公表。具体的

なメニューは2019年4月以降に発表。(出典)各社HP・プレスリリースより資源エネルギー庁作成

Page 22: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

(参考)FITに頼らない再生可能エネルギー発電事業のビジネスモデルの構築 21

FIT卒業電源が現れ始めるという環境変化の中、自家消費による活用と組み合わせながら、住宅用太陽光発電を投資回収が済んだ再生可能エネルギー電源として活用するビジネスモデルが登場しつつある。

こうしたモデルが自立化の先駆けとなって、FITに頼らないビジネスモデルの構築が加速化されるよう、事業環境整備を進めていくことが重要。

(出典)みんな電力株式会社より提供

Page 23: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

住宅用太陽光発電設備の意義とFIT買取期間終了の位置づけ 22

太陽光発電は、温室効果ガスを排出せず、国内で生産できることでエネルギー安全保障にも寄与できることに加え、燃料費が不要であり、自家消費を行い、非常用電源としても利用可能な分散型電源となり得る特徴がある。

一般に、太陽光パネルは20~30年間、又はそれ以上発電し続けることが可能であり、特に住宅に設置されたパネルは改築・解体等をするまで設備が維持されて稼働し続けることが期待される。

2019年11月以降生じる買取期間の満了は、支援制度に基づく10年間の買取が終了するに過ぎず、その後も10年・20年にわたって自立的な電源として発電していくという役割が期待される。

また、買取期間が終了し投資回収が済んだ再生可能エネルギー電源を活用するビジネスモデルが自立化の先駆けとなって、FIT制度が無くとも再生可能エネルギー発電事業への継続的な新規投資が生まれる事業環境が醸成されることが期待される。

住宅用太陽光発電設備のFIT買取期間終了に向けた対応の方向性 住宅用太陽光発電設備の設置者は、発電・売電を行う供給者であると同時に、情報量や交渉力に

劣る消費者でもあるため、買取期間の終了を迎える対象者がその事実を認知し、その後の太陽光発電設備の使い方を積極的に選択するようになるための工夫が必要。

既に、買取期間終了後も買取り行うことを表明する事業者や、蓄電池等の営業販売を行う事業者も出て来ている。他方で、小売全面自由化時とは異なり、誰がターゲットであるか(どの世帯が、いつ買取期間終了を迎えるか)が第三者からは特定できないため、現在買取りを行っている事業者とそれ以外との間の競争上の公平性の確保が必要。

Page 24: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

【対応①】政府による広報等 23

資源エネルギー庁としての広報は、2018年10月から本格稼働。資源エネルギー庁Webサイト内に、制度に関する情報提供等を行う専用サイトを設置(10/25開設)。さらに、全国紙・ブロック紙・地方紙による新聞広告に加え、Web広告、各種イベント等を多面的に実施していく。

また、この制度移行期に生じ得る消費者トラブルに対しては、消費者庁や電力・ガス取引監視等委員会とも連携して対応していく。

経済産業省資源エネルギー庁HP「なっとく!再生可能エネルギー」サイト内に専用サイトを設置(2018.10.25)http://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/solar-2019after/index.html

専用サイト(どうする?ソーラー) 専用サイトのコンテンツ

制度の説明

• 10年間経過した電源から順次買取期間が終了する旨を始め、正確な情報を提供。

• 自家消費の仕組みや、売電先変更の仕組みをわかりやすく解説。

事業者情報

• FIT卒業電源の買取事業者(サイトへの掲載希望者)を一元的に掲載。

注意喚起• 「FIT卒業後は無償買取りになるから、当社

の○○がお得」といったような誤った情報による営業に騙されないよう、注意喚起。

地域別の卒FIT件数

• 2019年~2023年に買取期間終了を迎える予定件数を市町村別に公開。

Page 25: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

(参考)政府による広報・周知 24

新聞広告 消費者向けの注意喚起チラシ買取期間満了1年前(2018年11月)に、全国紙(日経、読売)及び地方紙(34紙)に新聞広告を掲載し、広く周知を実施。

全国の消費生活センターや、地方経済産業局等に配布。買取期間満了に伴う誤った情報等に対して注意喚起。

Page 26: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

(参考)市町村別FIT卒業世帯件数 25

2019年~2023年までの累積件数(概数)を、資源エネルギー庁の専用ポータルサイト「どうする?ソーラー」に掲載中。

愛知県 名古屋市 ナゴヤシ 18,000以上~19,000未満愛知県 豊橋市 トヨハシシ 7,000以上~8,000未満愛知県 岡崎市 オカザキシ 7,000以上~8,000未満愛知県 一宮市 イチノミヤシ 6,000以上~7,000未満愛知県 瀬戸市 セトシ 2,000以上~3,000未満愛知県 半田市 ハンダシ 1,000以上~2,000未満愛知県 春日井市 カスガイシ 4,000以上~5,000未満愛知県 豊川市 トヨカワシ 3,000以上~4,000未満愛知県 津島市 ツシマシ 1,000以上~2,000未満愛知県 碧南市 ヘキナンシ 1,000以上~2,000未満愛知県 刈谷市 カリヤシ 2,000以上~3,000未満愛知県 豊田市 トヨタシ 10,000以上~11,000未満愛知県 安城市 アンジョウシ 4,000以上~5,000未満愛知県 西尾市 ニシオシ 3,000以上~4,000未満愛知県 蒲郡市 ガマゴオリシ 1,000以上~2,000未満愛知県 犬山市 イヌヤマシ 1,000以上~2,000未満愛知県 常滑市 トコナメシ 1,000以上~2,000未満愛知県 江南市 コウナンシ 2,000以上~3,000未満愛知県 小牧市 コマキシ 2,000以上~3,000未満愛知県 稲沢市 イナザワシ 2,000以上~3,000未満愛知県 新城市 シンシロシ 500以上~1,000未満愛知県 東海市 トウカイシ 2,000以上~3,000未満愛知県 大府市 オオブシ 1,000以上~2,000未満愛知県 知多市 チタシ 1 000以上 2 000未満

Page 27: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

【対応②】自治体による対応 26

地域における再生可能エネルギーの導入促進のため、自治体においても、発電設備の導入補助や、地域の再生可能エネルギー等を電源とした自治体出資の新電力の設立が進められてきた。

これらを通じ、FIT買取期間が終了する電源を把握しているいくつかの自治体では、対象者への個別通知などの対応を検討しているほか、自治体新電力での買取りを検討するといった動きがある。

地域に賦存するエネルギー資源を有効活用し、自立・分散型のエネルギーシステムを構築することは、地域経済の活性化や、防災などの強靭化につながる。政府による広報・周知や、現在の買取事業者による個別通知だけなく、こうした地域の動きとも連携していく。

自治体による取組の例浜松市 • 2015年に浜松市及び地域内外の8社が出資し、地域の再生可能

エネルギー由来の電源の地産地消を進める地域新電力として浜松新電力を設立。

• 市内の再生可能エネルギー由来の電源16MWを、市内の学校や公共施設などに電力として供給。

• 今後、2019年問題に対応し、一般家庭の「余剰買取制度」による買取期間終了の太陽光発電の買電や電力供給を2019年度より開始する予定。

(出典)浜松市SDGs未来都市計画(2018年8月)から引用

Page 28: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

【対応③】大手電力会社による買取メニュー等の発表時期 27

FIT買取期間の終了を迎える住宅用太陽光発電設備の余剰電力は、現在、その大宗を大手電力会社(旧一般電気事業者の小売部門)が買い取っている状況。

こうした中、対象者が選択肢の具体的な検討をできるようにする観点からは、大手電力会社がなるべく早期にFIT買取期間終了後の買取メニュー等を提示することが重要。(一部の新電力からも、大手電力会社による早期の買取メニュー等の提示を望む声あり。)

2018/9

10 11 12 2019/1

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

旧一電小売

FIT卒業

具体的なメニューの発表(7~4ヶ月前)

メニュー発表時期の公表

具体的なメニューの発表(任意)

4ヶ月前契約締結解禁(大手電力会社のみ)

※具体的な買取メニュー等の設計に当たっては、非FIT電源に係る非化石価値の取扱いも考慮が必要となる見通し。

審議会でのとりまとめ内容 大手電力会社は、年内に買取メニュー等の発表時期を公表 十分な検討期間を設ける観点から、2019年4月から6月末までには具体的な買取メニュー等

を発表。(それ以前のメニュー発表も推奨。) 公平な競争の観点から、大手電力会社による契約の締結の解禁は2019年4月以降。

Page 29: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

(参考)各社の買取メニュー等の発表時期 28

再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会でのとりまとめ結果を踏まえ、大手電力会社(旧一般電気事業者の小売部門)から、FIT買取期間終了後の住宅用太陽光発電の買取メニュー等の発表時期を2018年内に公表済み。

大手電力会社による買取メニュー等の発表時期(各社公表資料より抜粋)

北海道 買取だけではなく、お客さまのご要望にお応えできるサービスについても検討しており、契約条件等につきまして、2019年6月を目途に、当社ホームページで公表いたします。

東北 電力の購入単価、サービスメニュー等の詳細につきましては、2019年6月頃を目途にあらためてお知らせいたします。

東京 買取期間満了後の新しい契約条件(買取単価)等については、2019年6月頃に公表の予定です。

中部 このたび、新たな買取プランにおける買取価格やサービスの詳細等につきまして、2019年4月を目途に公表することといたしましたのでお知らせいたします。

北陸 現在、お客さまニーズを踏まえたサービスの検討を進めており、具体的な買取メニューについては、2019年4月頃の発表を予定しております。

関西 買取期間終了後の新しい契約条件(買取料金等)や契約手続き方法等については、2019年4月頃に公表する予定です。

中国 具体的な購入単価等のご契約条件、ご契約に関するお手続き等については、2019年4月を目途に、改めてお知らせします。

四国 具体的な内容は、2019年4月を目途に、新たな買取単価と合わせてお知らせいたします。

九州 具体的なプランの詳細につきましては、2019年5~6月を目途に公表いたします。

沖縄 具体的な買取条件等につきましては、2019年6月頃に公表を予定しております。

Page 30: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

【対応④】現在の買取者による個別通知 29審議会でのとりまとめ内容 買取期間が終了する旨の個別通知を行うことを現在の全ての買取者に要請。 通知時期は、原則、各対象者の買取期間終了の6ヶ月前~4ヶ月前。 新たにFIT卒業電源の買取り等を希望する事業者と大手電力会社の間の情報格差の観点から、個別通知の際

には競争上の配慮。➜ 大手電力会社が個別通知で自社の買取メニュー等を提示する場合は、

①買取期間終了時期、②様々な選択肢が存在することや公的な相談窓口の紹介、③買取期間終了後に放置した場合の取扱いなど、中立的な記載と必ずセットにすることを求める。

① FIT買取期間の終了時期を明示。

② 余剰電力の活用について様々な選択肢が存在すること/政府の相談窓口を明記。 EVや蓄電池等を併用すれば自家消費を拡大できる=「売電だけが選択肢ではない」 これまでの契約先とは異なる電力会社への売電も可能=「売電先は選べる」

③ 買取期間終了後、何ら対応を行わない場合はどうなるかを記載。 例1:現行買取者が、新たに定めた価格で余剰電力の買取が継続されることとなる。 例2:一時的に買い手が不在となり、一般送配電事業者が余剰電力を無償で引き受けることとなる。

④ 自社の買取メニューを提示する場合には、必ず上記の中立的な記載とセット。➜ 自社メニューの宣伝のみを目的とした個別通知は行わない➜ 「当社に継続的に売電しなければ、無償で引き取られてしまう」と誤認させるような記載をしない

中立的な記載

自社メニュー※紙面上は中立的

記載と必ずセット

Page 31: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

30(参考)余剰電力の一時的な買手不在時の対応

売電先の小売電気事業者Aが倒産し、一時的に無契約状態に

小売A相対・自由契約

逆潮流を認める(解列はせず、一般送配電事業者が無償で引き受ける)

小売B相対・自由契約

その間に、小売電気事業者Bと売電契約を締結

FIT買取期間終了後の新たな市場環境の下でも、 完全な自家消費が難しい中、小売電気事業者やアグリゲーターとの売電契約の切替が滞ってしまった 売電契約を締結していた小売電気事業者やアグリゲーターが倒産してしまったといった場合に、一時的に余剰電力の買手が不在(無契約での逆潮流)になるケースが生じる可能性がある。

こうした場合、無契約だからという理由で余剰電力の系統への逆潮流ができないよう解列すると、住宅用太陽光発電設備の場合は、宅内配線状況によっては小売供給まで遮断される懸念があるなど、需要家に対して過大な不利益をもたらし得ることから、当該余剰電力については一般送配電事業者に引受けを要請することとしてはどうか。

ただし、一般送配電事業者による引受けはあくまで一時的・例外的な措置であるべきであり、小売電気事業者やアグリゲーターによる再生可能エネルギーを活用したビジネスを促進するような設計であることが重要。

また、住宅用太陽光の余剰電力は小売電気事業者やアグリゲーターにとって有効な電源として活用されることが期待される一方、一般送配電事業は売手と買手が決まっている電気を運ぶこと(託送供給)をその業務とするものであるとともに、買手不在の余剰電力は周波数調整の負担を増す可能性があることにも留意が必要。

このため、前述の広報・周知の取組の徹底を前提に、無契約の逆潮流による買手不在の余剰電力については、一般送配電事業者に無償で引き受けることを要請してはどうか。ただし、引受量の増大により一般送配電事業の負担が増加し支障が生じ得る場合には、必要に応じ仕組みを見直すこととしてはどうか。

商用系統 商用系統

第1回 再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会 資料4

Page 32: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

大手電力会社の営業活動・契約条項で制限すべき事項

競争上の地位を利用した営業活動の例

• 「必ず他社よりも高く買い取る」など、大手電力会社の競争上の地位を利用して自己のサービスに誘導しようとすること

契約の解除の著しい制限の例

• FIT卒業電源の買取等契約の解除を著しく制約する内容の契約条項(例)

① 契約の解除を一切許容しない期間の設定② 契約の解除に関して、不当に高額な違約金等の設定※ 少なくとも、当該消費者にとってFIT買取期間終了後最初の契約については、違約金その

ものの設定をしない(大手電力会社の負担による相当程度の設備投資(蓄電池等の機器設置)が必要なメニューの場合を除く)

③ 契約期間終了時に自動的に更新するという契約において、更新を不要と考えた場合に、容易に更新を拒否することができないような契約条項の設定

【対応⑤】大手電力会社による営業・契約 31

審議会でのとりまとめ内容 住宅用太陽光発電設備の余剰電力の買取りにおける現在の大手電力会社の競争力を踏まえれ

ば、その営業活動や契約において、一定の制約を設けることが適当。 買取期間終了当初は「とりあえずこれまでと同じ買取先で」と考えてしまう消費者が一定数存在す

る可能性があることに加え、現在の買取者以外はFIT買取期間が終了する世帯を正確に捕捉できないことを踏まえれば、大手電力会社については、少なくとも当該消費者にとってFIT買取期間終了後1回目の買取り等の契約において、違約金など契約の解除を制限する条項は設けない。

Page 33: 再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望再生可能エネルギーの主力電源化 に向けた課題と展望 2019 年 3 月 5 日 経済産業省資源エネルギー庁

32FIT買取期間終了に向けた対応とスケジュール

2018/9

10 11 12 2019/1

2 3 4 5 6 7 8 9 10 11

資源エネルギー庁

自治体

大手電力会社

その他現行の買取者

FIT卒業

広報Webサイト、Web広告、関連業界との共催イベント等新聞広告

個別通知(6~4ヶ月前)

メニュー発表時期の公表

広報・営業(任意)

具体的なメニューの発表(任意)

個別通知(6~4ヶ月前)

先行的な個別通知(任意)

不特定多数向けの広報・営業(任意)

具体的なメニューの発表(7~4ヶ月前)

契約締結解禁(大手電力会社のみ)2019.4~

広報WebサイトOpen

広報等(任意)