発達遅滞を契機に発見されたビタミン B12 欠乏性巨赤芽球性貧血...

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症例報告 聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 47, pp. 73–78, 2019 聖マリアンナ医科大学 小児科学 発達遅滞を契機に発見されたビタミン B12 欠乏性巨赤芽球性貧血を呈した乳児例 つか はら あゆみ けい だい どう あら がわ のり もり てつ やま もと ひとし (受付:平成 31 4 15 ) ビタミン (Vit) B12 は主に動物性食品に含まれておりDNA 合成赤血球造血神経機能の 維持に必須となる水溶性 Vit であるVitB12 は健常母体から出生した乳児においては在胎中に 肝臓で貯蔵されるためVitB12 欠乏性巨芽球性貧血は小児期発症は稀であるが貧血以外に 精神運動発達遅滞を認めることがある今回われわれは発達遅滞を契機に診断した VitB12 欠乏性巨赤芽球性貧血の乳児例を経験したので報告する症例は 10 か月女児で笑わない発達遅滞を主訴に受診した初診時まで離乳食は進まず母乳栄養母は外国人で菜食主義で あった血液検査で大球性貧血と汎血球減少骨髄検査で巨赤芽球の出現を認めた血清 VitB12 が低値でありVitB12 欠乏性巨芽球性貧血と診断し経口 VitB12 製剤の内服を開始したとこ ろ汎血球減少の改善を認めたが軽度精神発達遅滞が残存している発達遅滞の原因の鑑別に VitB12 欠乏を挙げる必要があり菜食主義者の出産母乳育児の際は VitB12 摂取の必要性を 啓発する必要があると考えられた索引用語 発達遅滞母乳栄養ビタミン B12 欠乏巨赤芽球性貧血 ビタミン (Vit) B12 は主に動物性食品に含まれてお DNA 合成赤血球造血神経機能の維持に必 須となる水溶性 Vit であるそのため VitB12 の欠乏 により脳症神経発達の遅れや貧血といった症状が 出現するVitB12 欠乏の主な原因は消化管疾患に よる吸収障害食事からの摂取不足であり成人で は胃全摘出や動物性蛋白質の摂取不足により起こる 健常母体から出生した乳児においては在胎中に 肝臓で貯蔵されており乳児期に VitB12 が欠乏す ることは稀である 1) 今回われわれは発達遅滞を契 機に診断した VitB12 欠乏性巨赤芽球性貧血の乳児 例を経験したので報告する10 か月女児笑わない出生歴 38 2 出生体重 2120g母乳栄養生児マススクリーニング (MS) 異常なし発達歴 当院で出生し定頸 4 か月寝返り 6 か月10 か月時で座位不可つかまり立ち不可既往歴 特記事項なし家族歴 けいれん性疾患神経筋疾患なしMol‐ dova 出身で菜食主義者現病歴 7 か月検診時は体重増加良好で発達遅滞な く経過していた10 か月頃に笑顔が減り離乳食を 食べず活気がないという主訴で受診となった10 21 73

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症例報告 聖マリアンナ医科大学雑誌Vol. 47, pp. 73–78, 2019

聖マリアンナ医科大学 小児科学

発達遅滞を契機に発見されたビタミン B12欠乏性巨赤芽球性貧血を呈した乳児例

塚つか

原はら

歩あゆみ

慶けい

野の

大だい

須す

藤どう

明あ

希き

菜な

新あら

井い

奈な

津つ

子こ

宇う

田だ

川がわ

紀のり

子こ

森もり

鉄てつ

也や

山やま

本もと

仁ひとし

(受付:平成 31 年 4 月 15 日)

抄 録ビタミン (Vit) B12 は主に動物性食品に含まれており,DNA 合成,赤血球造血,神経機能の

維持に必須となる水溶性 Vit である。VitB12 は健常母体から出生した乳児においては在胎中に肝臓で貯蔵されるため,VitB12 欠乏性巨芽球性貧血は,小児期発症は稀であるが,貧血以外に精神運動発達遅滞を認めることがある。今回,われわれは発達遅滞を契機に診断した VitB12

欠乏性巨赤芽球性貧血の乳児例を経験したので報告する。症例は 10 か月女児で,“笑わない”と発達遅滞を主訴に受診した。初診時まで離乳食は進まず,母乳栄養。母は外国人で菜食主義であった。血液検査で大球性貧血と汎血球減少,骨髄検査で巨赤芽球の出現を認めた。血清 VitB12

が低値であり,VitB12 欠乏性巨芽球性貧血と診断し,経口 VitB12 製剤の内服を開始したところ汎血球減少の改善を認めたが,軽度精神発達遅滞が残存している。発達遅滞の原因の鑑別にVitB12 欠乏を挙げる必要があり,菜食主義者の出産・母乳育児の際は VitB12 摂取の必要性を啓発する必要があると考えられた。

索引用語発達遅滞,母乳栄養,ビタミン B12 欠乏,巨赤芽球性貧血

緒 言

ビタミン (Vit) B12 は主に動物性食品に含まれており,DNA 合成,赤血球造血,神経機能の維持に必須となる水溶性 Vit である。そのため VitB12 の欠乏により脳症・神経発達の遅れや貧血といった症状が出現する。VitB12 欠乏の主な原因は,消化管疾患による吸収障害,食事からの摂取不足であり,成人では胃全摘出や動物性蛋白質の摂取不足により起こるが,健常母体から出生した乳児においては在胎中に肝臓で貯蔵されており,乳児期に VitB12 が欠乏することは稀である1)。今回,われわれは発達遅滞を契機に診断した VitB12 欠乏性巨赤芽球性貧血の乳児

例を経験したので報告する。

症 例

症 例: 10 か月,女児。主 訴: 笑わない。出生歴: 38 週 2 日,出生体重 2120g,母乳栄養。新生児マススクリーニング (MS) 異常なし。発達歴: 当院で出生し定頸 4 か月,寝返り 6 か月,10 か月時で座位不可・つかまり立ち不可。既往歴: 特記事項なし。家族歴: けいれん性疾患・神経筋疾患なし。母 Mol‐

dova 出身で菜食主義者。現病歴: 7 か月検診時は体重増加良好で発達遅滞なく経過していた。10 か月頃に笑顔が減り,離乳食を食べず活気がないという主訴で受診となった。10 か

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表 1 採血結果所見

WBC 5700 /µL T-Bil 0.4 mg/dL 葉酸 17.4 ng/mLRBC 226×104 /µL AST 119 IU/L VitB12 56 pg/mLHb 8.9 g/dL ALT 51 IU/L 血清鉄 155 µg/dLHct 25.3 % LDH 3858 IU/L TIBC 315 µg/dLMCV 111.9 fl Cr 0.14 mg/dL Ferritin 86.7 ng/mLMCHC 35.0 % BUN 7.3 mg/dLPlt 16.2×104 /µL Na 141mEq/LRet 18.9 ‰ K 4.3mEq/L 母 血清

Cl 109mEq/L VitB12 213 pg/mLPT 60 % Ca 9.3 mg/dLPT-INR 1.3 P 5.0 mg/dLAPTT 28.2 秒 CRP 0.10 mg/dL

≪生化学≫≪血算≫

≪凝固≫

図 1 骨髄検査所見A. ×100,B. ×400,C. ×1000

骨髄は正形成から過形成骨髄で,3 系統の造血細胞の分化はみられたが,N/

C 比の高い巨赤芽球細胞が目立つ (矢印)。

月時で自立した座位ができず発達遅滞を認めていたが,身体診察上は神経学的所見に異常なく,筋緊張低下や異常腱反射も認めなかった。血液検査で MCV

112fl と高値であったが,Hb 11.4 g/dL と貧血は認めていなかった。その後,初診から約 2 週間後の血液検査で大球性貧血の進行と汎血球減少,巨大血小板の出現を認めた。初診時現症: 体重 7800 g (-0.8SD),身長 78 cm

(-1.8SD)。体温 36.2°C,脈拍数 127 回/分,呼吸回数30 回/分,血圧 89/53 mmHg,Sat 100% (room air),追視あり,瞳孔径は 4/4mm,対光反射は両側迅速であった。大泉門は平坦・軟,呼吸音や心音に雑音な

く,腹部は平坦・軟,肝脾腫は認めなかった。筋緊張低下はなく,深部腱反射にも異常は認めなかった。血液検査所見 (表 1):大球性貧血 (RBC 226×104/µL,Hb 8.9g/dL,Hct 25.3%,MCV 111.9fl,MCHC

35.0%) を認め,WBC 5700/µL (好中球 8%),血小板数 16×104/µL であった。AST (119 IU/L) と LDH

(3853 IU/L) の上昇と VitB12 (56pg/mL) の低下を認めた。腎機能,血清鉄,フェリチンや葉酸には異常所見を認めなかった。

母の血清 VitB12 (213 pg/mL) が軽度低値であった。骨髄検査所見 (図 1):有核細胞数 33.6×104/μL,巨核

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図 2 頭部 MRI 検査所見A. T1 強調,B. T1 強調,C. T2 強調,D. FLAIR

髄鞘化は正常範囲内で,脳室周囲に明らかな異常信号は認めなかったが,前頭葉の軽度萎縮を認めた。

図 3 臨床経過当院初診時からの Hb・MCV の経過と内服・発達の経過について示す。本来生後 8 か月にはできる座位が生後 10 か月で行えず,1 歳でできるようになった。その後も正常発達から遅れてはいるが,成長を認めている。

球数 210/μL であった。正形成から過形成骨髄で 3

系統の造血細胞に分化はみられたが,N/C 比の高い巨赤芽球細胞が目立っていた。骨髄染色体分析は 46

XX で正常女性型であった。頭部MRI検査 (図 2):髄鞘化は正常範囲内で,脳室周囲に明らかな異常信号は認めなかった。前頭葉の軽度委縮を認めた。脳波検査: 背景脳波に左右差なく,睡眠波形を認めた。左右前頭に独立した棘徐波の混入を認めた。全般化はみられなかった。マススクリーニング検査と尿中有機酸分析: 初診時は C3 の上昇なし,C3/C2 比は 1.05 と高値であっ

た。Methylmalonate の排泄増加と methylcitrate,3-

OH-propionate の排泄増加を認めた。以上の検査所見から,母の菜食主義に関連する

VitB12 欠乏性巨赤芽球性貧血と推測した。臨床経過(図 3):VitB12 欠乏性巨赤芽球性貧血を考え,メコバラミン 60 µg/kg/day で内服を開始し,また,母には動物性食品摂取を勧め母乳栄養を継続したところ,約 2 週間後の血液検査で Hb (9.2g/dL),MCV (89.9 fl),白血球数 6000/µL,好中球 1560/µL

と汎血球減少の改善を認めた。その後,VitB12 の正常化と離乳食の摂取ができたことを確認し,メコバラミンの内服は約 2 か月程度で終了とした。また,

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VitB12 製剤内服後のマススクリーニング検査と尿中有機酸分析の再検では,明らかな異常所見は認めなかった。内服終了後も大球性貧血の再燃はなく経過していたが,血清鉄 (60 µg/dL),フェリチン (7.7 ng/

mL) と低下を認め,鉄剤の内服を開始した。鉄剤内服開始後は,血清鉄とフェリチンの改善を認めている。

運動発達に関しては,VitB12 製剤の内服開始後 1

週間で笑顔の出現や活気改善を認め,1 歳で座位が可能になり,1 歳 3 か月でつかまり立ち,1 歳 6 か月で伝い歩き,1 歳 8 か月時点で独歩ができるようになった。また,精神発達に関しては,1 歳半 3 か月で有意語がなく,1 歳 8 か月時点で単語が 2 語程度でるようになった。現在は母子ともにバランスの良い食事を摂取できているが,年齢に対し発達の遅れは認めており,外来経過観察を行っている。

考 察

VitB12 欠乏の主な原因は内因子の欠乏,食物からの VitB12 遊離障害や小腸病変による吸収障害,菜食主義者や VitB12 の低下している母からの母乳栄養児などの摂取不足,先天性内因子分泌不全症などの先天性コバラミン輸送代謝異常などが挙げられる。なかでも乳児期における VitB12 欠乏性巨赤芽球性貧血の発症では本症例のような菜食主義者,悪性貧血や胃全摘後の母からの母乳栄養や先天性因子によるものが報告されている2)。特に乳児期の VitB12 欠乏の症状としては,貧血よりも先に易刺激性,無関心,笑顔の消失,食欲不振や運動精神発達遅滞といった非特異的な神経症状が出現することが報告されている3,4)。本症例においても受診のきっかけは笑顔の消失や精神発達遅滞といった非特異的な神経症状であり,経過観察中に大球性貧血を認めたため,VitB12 測定をしたことで治療介入が行えた 1 例であった。

本症例の VitB12 欠乏の原因としては,VitB12 製剤の内服を開始したところ速やかに血清 VitB12 が上昇したことからも,菜食主義である母からの完全母乳栄養であったため,胎児期からの VitB12 の貯蔵が少なく,血清 VitB12 が低下に至ったと推測できる。母親は大球性貧血を認めていなかったが,母の血清 VitB12 は 213 pg/mL と軽度低値を示しており,潜在性 VitB12 欠乏の状態が考えられた。

胎児期からの VitB12 欠乏を MS で早期発見した

報告がある 5)。Vit B12 欠乏によりメチルマロニルCoA ムターゼの補酵素として働くアデノシルコバラミンの欠乏によりメチルマロニル CoA からサクシニル CoA までの代謝が進まない結果,プロピオカルニチン(C3)・C3/C2 (アセチルカルニチン) 比が上昇する6)。

本症例では出生時の MS では異常は認めていなかったが,症状出現時の再検査では C3/C2 比は高値を示し,尿中有機酸分析の結果では methylmalo‐

nate・methylcitrate・3-OH-propionate の排泄増加を認め VitB12 欠乏によるメチルマロン酸血症を呈していた。同様の変化を呈するものの中には,ムターゼ欠損症といった先天性代謝異常も鑑別に挙がる。本症例は VitB12 製剤内服を開始し 2 週間程度で速やかに血液検査や活気の改善を認め,内服終了後も再発は認めていない。症状改善時に再検した尿中有機酸分析は異常所見を認めず,VitB12 製剤内服で症状が改善していることから,代謝異常は否定的であった。

VitB12 欠乏性巨赤芽球性貧血に伴う神経学的症状を予防するためには早期診断と治療が重要である。母乳栄養児に非特異的な神経学的症状をみた場合には VitB12 欠乏も鑑別に挙げる必要がある。また,本症例のような菜食主義者の出産・母乳育児の際は,妊娠時からの VitB12 摂取の必要性を啓発する必要があると考えられた。

利益相反開示すべき利益相反はない。

参考文献

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during pregnancy, lactation and infancy. Advan‐

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5) 上野香織,清水日智,伊達木澄人,他:新生児

マススクリーニングを契機に診断に至った新生児ビタミン B12 欠乏症の 1 例.日本マススクリーニング学会誌 2016: 26; 190.

6) 日本先天代謝学会.新生児マススクリーニング対象疾患等診療ガイドライン 2015, 初版,診断と治療社,東京,2015: 50–72.

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Department of Pediatrics, St. Marianna University School of Medicine

Abstract

Vitamin B12-Deficient Megaloblastic Anemia Manifesting as Developmental

Retardation in an Infant: A Case Report

Ayumi Tsukahara, Dai Keino, Akina Sudo, Natsuko Arai, Noriko Udagawa, Tetsuya Mori, and Hitoshi Yamamoto

Vitamin B12 is a water-soluble vitamin mainly contained in animal foods and is essential for DNA synthe‐sis, erythrocyte hematopoiesis and maintenance of nerve function.

Normally, vitamin B12 in the fetus is stored in the liver. Therefore, childhood onset of megaloblastic ane‐mia caused by vitamin B12 deficiency is rare, but its deficiency may cause developmental retardation in additionto anemia. We reported a case of an infant who was diagnosed as having vitamin B12- deficient megaloblasticanemia that triggered developmental retardation.

A 10-month girl presenting with loss of smile and developmental retardation was admitted to our hospital.She had only received breast milk until the first visit and had not received sufficient baby food. Her mother wasa foreigner and vegetarian. Blood tests showed macrocytic anemia and pancytopenia, and bone marrow exami‐nation showed megaloblasts. We diagnosed megaloblastic anemia caused by vitamin B12 deficiency because herserum vitamin B12 level was low. Pancytopenia improved with the administration of vitamin B12, but mildmental retardation remained.

It is necessary to consider vitamin B12 deficiency in the differential diagnosis of the cause of developmen‐tal retardation. During pregnancy and breastfeeding, vegetarian mothers should be educated regarding the neces‐sity of vitamin B12 intake.

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