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群論入門 3群論入門 3

-ラグランジュの定理・バーンサイドの定理・フェルマーの小定理-

(p449-p457)

いくぞー

ふぁーい

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ラグランジュの定理の直感的な証明

有限群Gの部分群をHとするとき、Gの位数 は Hの位数 で割り切れる

いよいよラグランジュの定理!まず 群マシン で、

直感的な証明をするわよ。

ゆえに

0

987

65

4 3 21

1011 8

52

117

41

10

0

9

6

3

= ++

#G #(H★2)・・・#(H★1)#(H★0) + + =

12 444 + +=

=

=

#H×r

3 × 4

r個

ある群Gから 部分群Hをつくったら 位数が等しい、r 個の異なる剰余類に分けられる。

ラグランジュの定理

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1.Hの異なる元をh1,, h2,…, hn とする。

2.H★aの元は h1★a, h2★a , … , hn★a だが、これらはみな異なる。

3.ゆえに #H = # (H★a1) = # (H★a2) = … = # (H★ar)

4.群Gは部分群Hによって

G=H★a1 + H★a2 + … + H★ar

と分割されるので、

#G = #(H★a1 )+ #(H★a2)+ … +#(H★ar)

= #H × r

ゆえに #G / #H = r となって、#G は #H で割り切れる。

r個

ラグランジュの定理の正式な証明

有限群Gの部分群をHとするとき、#G は #H で割り切れる

もしhj★a,= hk★a なら、両辺に右側からa-1を

かけるとhj= hk になるが、これは「h1とh2は異なる」

という仮定に矛盾。よってhj★a,= hk★a

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群Aの部分群Bの 指数 は(A:B) って書くってこと、まだ覚えてる?

Gの位数は (G:{e})Hの位数は (H:{e})

だから、ラグランジュの定理 は

(G:{e}) = (G:H) (H:{e})

って書けるの。覚えやすいでしょ?

ラグランジュの定理のおまけ その1

有限群Gの部分群をHとするとき、#G は #H で割り切れる

この r を 指数 (index)という。

群Gを部分群Hで割ったときの、剰余類の数が 指数 だから、

G / H とでも書きたいところだが、ま、 (G:H) と書いてほしい。

2章の24ページ目「指数」を参照のこと

異なる剰余類の数

(分割後の円盤数)

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ラグランジュの定理のおまけ その2

#Gが素数なら、群Gは巡回群である。

1.有限群Gの単位元でない元をaとする。2.元aを生成元として、巡回群Hをつくる。

3.巡回群Hは群Gの部分群となる。

4.HはGの部分群なので、#Hはpの約数である。

5.ところがpは素数なので、約数は1かpしかない。6.a≠eなので、#H≠1。よって#H=p。7.#G=#Hなので、G=H。8.すなわち群Gはaを生成元とする巡回群である。

an★am = an+m と閉じているが、部分集合Hが有限なら、

閉じていれば部分群なので(2章6ページ目を参照のこと)

ラグランジュの定理

この定理が簡単に証明できます。

位数が素数なら巡回群だから、

群マシン1台でOKってことさ!

群マシンって本当にお得だね!

…しつこい?

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バーンサイドの定理の前に「同値」について再確認

(1)反射律(a~a)(2)対象律 (a~bならb~a)(3)推移律 (a~bかつ b~cならa~c)

左の3つを満たす関係を同値関係といいます。

3つを満たす/満たさない関係は23の8通りあります。

列挙してみましょう。(少しあやしいですが…)

反射律 対称律 推移律

けっこう苦労しました... 反射律…reflex law

対称律…symmetric law

推移律…transitive law

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同値関係は表にするとブロックになる

同値関係を表にすると、どうなるでしょう?

(「離散数学…」p148のおさらい)

(1)反射律(a~a)(2)対象律 (a~bならb~a)(3)推移律 (a~bかつ b~cならa~c)

(3)推移律により、「凹み」が許されません。

(2)対称律により、対角線に対称です。

(1)反射律により、対角は必ず埋まります。

A B C D E FA ∨ ∨ ∨B ∨ ∨ ∨C ∨ ∨ ∨D ∨E ∨ ∨F ∨ ∨

よって、同値関係の図はブロック状になります。

ブロックの数を「同値類の個数」

といいます。

この場合、同値類は3個です。 同値である…equivalent

同値関係 …equivalence relation

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群カードで同値関係の具体例を知る

群カードの4枚、

(1)(12)(34)(12)(34)

を用意してください。

(1) (12)(34)(34)(12)

この4枚は群になってるの。有限集合で、しかも閉じてるでしょ。

(2章5ページ「部分群の判定法」参照のこと)

つまり、どの2枚の組み合わせも、どれかの1枚と同じなのね。

この群を群Cと呼ぶことにします。Card の略よ。

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群カードでいえば、点xから点yに「行ける」かどうかってことだね。

「行ける」関係を定義する

(1) (12)(34)(34)(12)

群Cの場合、点1と点2、点3と点4が「行ける」関係よ。

1 2 3 41 ∨ ∨2 ∨ ∨3 ∨ ∨4 ∨ ∨

置換群Gに、「要素aを要素bに移す置換がある」場合、

元aと元bは「行ける」(関係が存在する)、と呼ぶことにします。

「行ける」関係の表よ。

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点xから点xへは、もちろん「行ける」。カード(1)があるからね。だから反射律はOK!

「行ける」関係は同値関係である

(1) (12)(34)(34)(12)

(1)反射律(a~a)(2)対象律 (a~bならb~a)(3)推移律 (a~bかつ b~cならa~c)

わかったかい?「行ける」関係は

同値関係

なんだ。

点xから点yへ「行ける」なら、群Cにはかならず逆元があるから、

点yから点xへも「行ける」の。だから対称律もOK!

点xから点yへカードpで「行け」て、点yから点zへカードqで「行ける」なら、

カードpにqをくっつければ点xから点zに「行ける」でしょ?

だから推移律もOK!

群C

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グループはいくつか?

この場合、「行ける」関係による同値類は2個だ。

つまり点1~点4は2つのグループに分けられる。1 2 3 4

1 ∨ ∨2 ∨ ∨3 ∨ ∨4 ∨ ∨

実はこれ、私たち4人がお互いの家に「行ける」かどうかの関係表だったの。

私たち4人は、2つのカップルなのね。

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バーンサイドの定理の直感的な意味

この場合は簡単だったけど、一般に、n人が「行ける」関係で

何グループに分けられるかを調べるうまい方法がある。

各カードの横線の平均本数 が グループ数 なの。

…びっくりした? これこそバーンサイドの定理 よ!

(1) (12)(34)(34)(12)

4 2 2 0 =+++ 8

ゆえに平均は 8本/4枚 = 2(グループ数)

Burnside’s theorem

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それじゃバーンサイドの定理 を出していい?

遠慮せず来たまえ

ふっ、退屈ねぇ

いらして…

かかってこーい!

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バーンサイドの定理

集合S={a,b,・・・}の置換群(G,○)によって誘導される

同値関係によるSの同値類の個数は、次の式によって与えられる。

ここでψ(π)とは、置換πのもとで不変な、Sの要素の個数である。

GΣπ∈G

ψ(π)

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…何か見た? ののの! 気のせいよ♪ そうだな

バーンサイドの定理集合S={a,b,・・・}の置換群(G,○)によって誘導される

同値関係によるSの同値類の個数は、次の式によって与えられる。

ここでψ(π)とは、置換πのもとで不変な、Sの要素の個数である。

GΣπ∈G

ψ(π)

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バーンサイドの定理!集合S={a,b,・・・}の置換群(G,○)によって誘導される

同値関係によるSの同値類の個数は、次の式によって与えられる。

ここでψ(π)とは、置換πのもとで不変な、Sの要素の個数である。

GΣπ∈G

ψ(π)

うわー

怒ってる怒ってる!ちっ と゚ うしましょう? 仕方ない、

解読するか…

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バーンサイドの定理 の前半

集合S={a,b,・・・}の置換群 (G,○)

によって誘導される同値関係による

Sの同値類の個数は、

集合Sとは点1~点4のこと。

置換群 (G,○)とは群C(カード4枚)のことだね。

「行ける」関係のことね。

「お互いに行けるグループ」の数。

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次の式によって与えられる。

ここでψ(π)とは、置換πのもとで不変な、Sの要素の個数である。

群Cのすべての元、

つまり

すべての群カードについて

置換πで不変な点の数

つまり

真横の線の本数を 足して

GΣπ∈G

ψ(π)

Gの位数

つまり

カード枚数で割れ

バーンサイドの定理 の後半

解読終わり!

いよいよ証明しよう!

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ある1点だけに注目したときの、横線になっているカードの枚数のことね。

バーンサイドの定理の証明 その1

Sの任意の要素sに対して、sを不変にする置換の個数をη(s)とする。

(1) (12)(34)(34)(12)

2枚

(1) (12)(34)(34)(12)

4 2 2 0 =+++ 8

2+2+2+2

横線はカードごとに数えても、点ごとに数えても、

結果は同じ…ってことさ。

このとき、次の等式が成り立つ。

Σπ∈G

ψ(π) Σs∈S

η(s)=

点ごとカードごと

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点1から点2に行くカードが少なくとも1枚は存在するはずなの。

でないと同じグループじゃないでしょ?

バーンサイドの定理の証明 その2

Sの要素 a,b は同じ同値類とする。

このとき、aをbにうつす置換がある。

(1) (12) (34) (12)(34)

(12)

πx

そのカードの1枚をπx とする。

(34)

π1

(1)

π2

η(a) 枚

また、aを不変にする置換の集合Aを

π1 , π2 , π3, … とする。

ここで集合Aの数をη(a)とする。

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バーンサイドの定理の証明 その3

このとき、集合(A○πx)の η(a) 個の置換は、すべてaをbにうつす置換である。

なぜなら、もしπx ○ π1 = πx ○ π2なら、両辺の左からπx

-1をかけるとπ1 =π2 となるが、

これはπ1 ≠π2 に矛盾するから。

これらの置換はすべて異なっている。(12)

πx

(34)

π1

(1)

π2

(12)

πx

(12)(34)

(12)

A πx

集合(A○πx)≠

η(a) = 「点1を変えないカードの枚数」

集合A = 「点1を変えないカード」

πx = 「点1から点2へのカードの1枚」

a,b は同じ同値類

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バーンサイドの定理の証明 その4

また、集合(A ○ πx)以外に、aをbにうつす置換はない。

なぜなら、もし集合(A○πx )以外に、aをbにうつす置換 πy があると、πx

-1 は b をa にうつすから、πx

-1 ○ πy は aをbに移したのちに(πy の効果)、bをaにうつす(πx-1 の効果)。

つまり置換 πx-1 ○ πy は、aをaに移す。

これはπx-1 ○ πy は集合Aということである。

ゆえにπx ○(πx-1 ○ πy )=πy は、集合(A○ πx)の元になるが、

これは置換πy が(A○ πx)ではないという仮定に矛盾する。

(12)

π x

(34)

π 1

(1)

π 2

(12)

π x

(12)(34)

(12)

ゆえにaをbにうつす置換は、集合(A○ πx)だけである。

集合A = 「点1を変えないカード」

πx = 「点1から点2へのカードの1枚」

A○ πxA πx

a,b は同じ同値類

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バーンサイドの定理の証明 その5

aをbにうつす置換は、集合(A○ πx)の

η(a)個の置換だけである。

Gのすべての置換は、

aをaにうつすもの

aをbにうつすもの

aをhにうつすもの

に分かれる。

Sのある1つの同値類に含まれる

すべての要素をa, b,…, hとする。

(12)(34) (12)

集合(A○πx)

点1と点2ね。

(1) (34) (12) (12)(34)

1を1にうつすもの 1を2にうつすもの

(1) (12) (34) (12)(34)

群G

η(a) = 「点1を変えないカードの枚数」

集合A = 「点1を変えないカード」

πx = 「点1から点2へのカードの1枚」

つまり、aをbにうつす置換はつねにη(a)個a,b は同じ同値類

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バーンサイドの定理の証明 その6

ここらへんが最難関! 頑張って!

すでに、aをaにうつすもの、aをbにうつすもの…

の各クラスには、それぞれ

η(a)個の置換がある

ことがわかっているので、

η(a) = 「点1を変えないカードの枚数」

(1) (34) (12) (12)(34)

1を1にうつすもの 1を2にうつすもの

(1) (12) (34) (12)(34)

群G

η(a)個 η(a)個

|G| = aと同じグループの要素数 × η(a)

(1) (34)

{1,2}だから要素数は2

1を1にうつす

カードの枚数

(1) (12) (34) (12)(34)

群Gの枚数

= ×

これらの矢印を

逆に見るという発想

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バーンサイドの定理の証明 その7

あと一息だ!

同様な論法で次がなりたつ。

η(b) = η(c) = … = η(h) =aと同じグループの要素数

|G|

η(b) = 「点2を変えないカードの枚数」

a, b,・・・h は同じグループ

(1) (12)(34)(34)(12)

同じグループに属するなら、

横線の数は同じで、

|G|

同じグループのメンバー数

ということだね!

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バーンサイドの定理の証明 その8

(1) (12)(34)(34)(12)

ここの合計は

|G|になる。Σ同値類に含まれるすべてのs

η(s) = |G|

Σs∈S

η(s) = |G|

(1) (12)(34)(34)(12)

ここの合計は|G|

ここの合計も|G|

グループの数×|G|

Sの同値類

の個数×

(1) (34) (12) (12)(34)

1を1にうつすもの 1を2にうつすもの

(1) (12) (34) (12)(34)

群G

このとき、次の等式が成り立つ。

ゆえに

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=Sの同値類

の個数Σ

s∈S

η(s)|G|

1=

点ごとの横線 カードごとの横線

Σπ∈G

ψ(π)

|G|

バーンサイドの定理の証明 その9

「その1」の等式を利用してるの!

そんなもの、とっくに忘れてるわよねぇ…。

Sの同値類

の個数

…ふぅ…やっと終わった…

Sの同値類

の個数

Sの同値類

の個数= Σ

π∈G

ψ(π)|G|

1おめでとう…疲れたね。

したがって次の等式が成り立つ。

ゆえに

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バーンサイドの定理の余韻にひたる

Sの同値類

の個数

S の同値類

の個数=

Sの同値類

の個数

S の同値類

の個数=

Sの同値類

の個数

S の同値類

の個数=

暗記のために書いてみよう!3回書けば、定理は一生、君のものさ!

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腕輪問題

バーンサイドの定理は、証明は大変だが、使うのはそれほど難しくない。利用してみよう!

5個の宝石を正五角形の頂点にちりばめた腕輪をつくる。宝石はダイヤ・サファイヤ・エメラルドを使える。(重複OK)

このとき、腕輪は何種類つくれるか?

回転させると同じなら「同じ」腕輪とみなす。ただ簡単のために、腕輪は裏返せないものとする。

ダ サ

サ ダ

エサ

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腕輪問題を解く その1

いろんな腕輪の「状態」を集合Sにしよう。この場合、Sは35=243通りある。

置換群は、時計と逆まわりの (360/5)度回転をp とすると、

({e, p1, p2, p3, p4}, ○ ) となる。

静止eでは、どんな状態の腕輪も元どおり。よって243本の横線があるはず。あとの4枚はどうなのかしら?

群カードは5枚ってことね。1枚のカードには、点が243個あるの。

e

・・・・・・

p1

・・・・・・?

p2

・・・・・・?

p3

・・・・・・?

p4

・・・・・・?

243

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腕輪問題を解く その2

p1で考えよう。頂点を1~5と名づければ、回転p1で1が2、2が3、3が4、4が5、5が1に行くから、

もし回転前と回転後が同じなら、宝石は 1=2,2=3,3=4,4=5,5=1。

つまり1=2=3=4=5…すべての頂点は同じでなくてはいけない。(これはp2~p4でも同じことだ)

つまり残りの4枚には、横線は3本あるんだ。

すべての頂点が同じとき、つまり、5つとも、ダイヤか

エメラルドかサファイヤのときだけ、回転後も変わらないのね。

e

・・・・・・

p1

・・・・・・?

p2

・・・・・・?

p3

・・・・・・?

p4

・・・・・・?

243 3 3 3 3

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腕輪問題を解く その3

あとは簡単。カード1枚あたりの横線の平均本数が

同値類の数だから…。

どんな回転にも不変な、給料15ヶ月分の腕輪!

Sの同値類

の個数

Sの同値類

の個数= Σ

π∈G

ψ(π)|G|

e

・・・・・・

p1

・・・・・・?

p2

・・・・・・?

p3

・・・・・・?

p4

・・・・・・?

243 3 3 3 3

まーかせて。(243+3+3+3+3)÷5=51

つまり51種類の腕輪があるのね!

この51種類の腕輪のうち、いちばん君が欲しいのは?

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つまり腕輪の種類は(ap+a+a+…+a)÷p

ap+(p-1)ap

p角形の腕輪に、a種類の宝石 その1

p角形の腕輪に、a種類の宝石をちりばめよう。

pが素数なら、静止以外の回転をすると、1つでも異なる宝石があるときに、回転前と違った腕輪になる。

=e

・・・・・・

p1

・・・・・・?

p2

・・・・・・?

pp

・・・・・・?

(p - 1)枚

aaaap

ap + (p-1)aそれがどうかしたの?

これをカード枚数pで割る

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p角形の腕輪に、a種類の宝石 その2

p は ap+(p-1)a 、つまり ap - ap -a を割り切るの。この式中の ap はpで割り切れるに決まってるでしょ?

だから消去すると、a(ap-1-1) 。これをpは割り切るの。

だから、aか、(ap-1-1)のどっちかはpで割り切れるわけ。もしaがpで割り切れないなら、

(ap-1-1) が pで割り切れるしかないでしょ。

それが…どうかしたの?

腕輪の種類はn種類(nは自然数)のはずだ。だから、

ap+(p-1)ap

は、割り切れるはずだ。

ap-1をpで割ると1余るってことは、

ap-1 ≡ 1(mod p) ってことでしょ。だから…。

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フェルマーの小定理

たとえば 123の456乗を7 で割った余りは?

これをフェルマーの小定理(Fermat’s little theorem)という。

123 は 7 で割り切れないから、1236 ≡1(mod 7)。

両辺を2乗して12312≡1(mod 7)。

両辺を3乗して12318≡1(mod 7)。

・・・つまり1236 も12312 も12318 も…

1236n はすべて7で割ると1余るの。

だから123456≡12336≡1230≡1 (mod 7)

pが素数であり、aがpで割り切れないならap-1 ≡ 1(mod p)

456 から、ロクシチ42の10倍を引いたの

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九去法 その1

3章も終わり。付き合ってくれてありがとう。

最後にみんなにプレゼント!

計算ミスを見抜くすごいテクニック、

九去法 (くきょほう)を伝授するよ!

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計算、計算…。ええっと…

これでよし。その計算、違ってるわ!

あ…ホントに違ってたわ。なぜわかったの?

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九去法 その2

9で割った余りに注目すればいい!

計算が正しければ、

上の3行を足した数字と下の数字は同じだから、

9で割った余りも同じはずだ。

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9で割った余りは簡単に求まるの。たとえば

1465=1+4+6+5=17だから、8が余るわけ。

1ケタの足し算だけでも大変じゃない?

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九去法 その3

まず無条件で9を消す。次に足すと9になるペアを消す。

上は1+2+3+0=6ね。下は7+6+1=14

これを9で割ると…。 9を引いてもいいけど、14から 1 + 4 = 5 のほうがスマート。とにかく、上は6余るのに、下は5。

だから絶対、計算まちがいってわかるの。

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3章の終わり

九去法は掛け算でも、割り算でも、もちろん適用が可能だ。

詳しくは中村義作「速算100のテクニック」講談社、を読んでくれ。

・・・それでは3章も終わり。お疲れさま!

まだまだ続くわよ

なごり惜しいけど…。

ひとまず、あばよっ!