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- 1 - 平成 27 10 保税検査第2部門 保税工場及び製造工場について

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平成 27年 10月

保 税 研 修 資 料 保税検査第2部門

保税工場及び製造工場について

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Ⅰ 保税工場についての概要

1.保税工場とは

税関長の許可を受けて、外国貨物についての加工若しくはこれを原料とする製造(混合

を含む)又は改装、仕分け、その他の手入をすることができる工場です。

【関税法第 56条第1項】

また、保税工場には、基本的に保税蔵置場機能(輸出入貨物の蔵置・通関機能)はあり

ませんが、保税工場の許可を受けたものは、当該保税工場において使用する輸入貨物につ

いては、当該貨物を当該保税工場に入れた日から3か月間に限り、当該保税工場につき保

税蔵置場の許可を併せて受けているものとみなされます。【関税法第 56条第2項】

(みなし蔵置が認められる貨物)【関税法基本通達 56-16】

・保税作業に使用する外貨原料品

・保税工場において輸入の許可を受けて保税作業に使用する原料品

・これらの原料品と同種の輸入原料品で輸入許可を受けて、内貨作業に使用されるもの

なお、当該貨物は3か月以内か、保税作業に使用するまでに「移入承認」あるいは、「輸

入許可」を受けることが必要です。

<みなし蔵置が認められない貨物>

① 輸出貨物

② 保税工場の建設、施設等に要する資材、工具又は事務機器その他保税工場の稼動に

使用される燃料等の外国貨物

③ 保税工場外で使用する外国貨物

(工場敷地内であっても、保税工場許可区域以外であれば保税工場外となります。)

2.許可期間

許可期間は、6年間を超えないものとされています。【関税法基本通達 61の 4-1】

なお、保税業務検査結果が著しく不良である場合、関税法違反があった場合、債務超過

又はこれに準ずる場合、貨物取扱見込量が僅かな場合には、その許可期間が短縮されるこ

とがあります。

3.併設蔵置場

上記1における「みなし蔵置場」の対象となる貨物には限度があるので、保税工場の一

部について保税蔵置場の許可を受けることができます。【関税法第 56条第3項】

なお、当該保税蔵置場の手数料は、通常の蔵置場の半額とされています。

【税関関係手数料令第2条第1項】

4.保税作業に使用できる貨物【関税法基本通達 56-2】

・直接原料(製品に化体される全ての貨物)

・消耗的補助原料で消費数量が確実に把握できるもの。【関税法基本通達 56-3】

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5.外貨単独作業と内外貨混合使用作業

(1) 外貨単独作業

保税作業に外国貨物と内国貨物を使用した時、この保税作業で発生する全てのもの

(製品、副産物、くず等)は、外国貨物となります。【関法第 59条第1項】

(2)内外貨混合使用作業

内外貨混合使用承認を受けて、外国貨物と内国貨物を混じて使用したときは、当該外

国貨物の数量に対応する製品を外国貨物とみなします。【関法第 59条第2項】

また、内外貨混合使用においては、実際の製造量が確定している歩留り(指定歩留又

は査定歩留)と相違した場合でも、歩留どおりに外貨数量を確定します。

なお、内外貨混合使用承認を受けることができる場合は、外国貨物に同種の内国貨物

を混じて使用し(外貨作業と内貨作業を区別することなく同時に行う場合を含む。)、そ

の外国貨物のみを原料として製造した場合の製品と等質の製品を製造する場合で、作業

の性質、工程等を勘案して、混合使用することについて、やむを得ない理由があり、か

つ、原料品の数量に対応する製品の数量の割合が明らかである場合に限られます。

★外貨特定の一例

A:外貨単独作業の場合(内外貨混合使用承認を受けていない場合)

⇒ 製品「菓子(290㎏)」及び副産物「菓子粉(10㎏)」の全てが外貨製品となる。

① 外貨製品「菓子」290㎏ … 積戻し

② 副産物「菓子粉」 10㎏ … IMW(移出輸入)

B:内外貨混合使用の場合(内外貨混合使用承認を受けている場合)

① 外貨製品数量:外貨「砂糖」50㎏ × 300/100 = 150kg … 積戻し

② 内貨製品数量:内貨「砂糖」50㎏ × 300/100 = 150kg … 内 貨(副産物を含む)

⇒ 副産物については、国内へ引取るため内貨製品に含める。

[参考]

端数処理については、原料から製品の算出は切上げ、製品から原料の算出は切捨てとなる。

6.個別管理と総量管理

(1)個別管理

個別管理とは、外国貨物を区分蔵置し、原料、仕掛品、製品のほか副産物等について

も移入承認毎に管理することであり、実際の貨物の動きに従って保税台帳に記帳します。

※砂糖 100 ㎏及び小麦粉 200 ㎏から製品「菓子」290 ㎏,副産物「菓子粉」10 ㎏が製造さ

れる場合の外貨製品数量の特定(副産物は、国内に引取る。)

① 外貨「砂 糖」 50㎏

② 内貨「砂 糖」 50㎏ → 菓子 290㎏ + 菓子粉 10㎏

③ 内貨「小麦粉」200㎏

原料 製 品 副産物

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(2)総量管理

① 総量管理とは

移入承認済外国貨物と内国貨物の区分蔵置を不要とし、外国貨物が搬入の順序に従

って蔵置、加工・製造、搬出されるものとして取り扱い、使用及び加工製造に係る記

帳は不要とされており、実際の貨物の動きにかかわらず、移入承認済外貨原料が搬入

日の古い順に使用されて製造された製品を、その順に従って搬出するものとして保税

台帳に記帳します。【関税法基本通達 61の2-6】

② 総量管理のメリット

・移入承認済外国貨物の区分蔵置が不要。

・入口と出口のみの記帳をすればよく、外貨原料の使用、加工・製造及び場外作業の項

目について記帳が不要。(「使用内訳表」を利用して、歩留により算出した外貨原料所

要数量を記入し、原料の引落しを行う)

・原料として引落とし可能な「内貨原料」があれば、製品を内貨品として取扱うことが

できますし、貨物が亡失した場合も、内国貨物が亡失したものとして取扱うことがで

きます。

ただし、当該製品が原料として引落とし可能な「内貨原料」の数量を上回った場合

は、上回った数量分は外国貨物と判じられて、関税の納付義務が生じます。

★総量管理の一例

①IM承認後に搬入された外貨「アルミインゴット」100㎏ 搬入日 01月 10日

②IM承認後に搬入された外貨「アルミインゴット」100㎏ 搬入日 01月 20日

③内国貨物である 「アルミインゴット」100㎏ 搬入日 01月 25日

アルミインゴット搬入数量合計 300㎏

(外貨原料残高 200㎏)

⇒01月 30日:アルミ製品 300㎏の生産を終了

※歩留=査定歩留 100%(アルミ製品 100㎏当たりの原料重量は 100㎏)

※移入承認済外国貨物の区分蔵置は不要であり、①~③のどれが使用されたかを把握する必要

はない。

⇒02月 01日:アルミ製品 50㎏について、積戻申告し許可を受けて搬出

・上記①~③のどれが使用されたかにかかわらず、保税台帳上は①から 50㎏引落す。

・保税台帳上の外貨原料残高は 150㎏となる。(外貨原料残高:250㎏)

⇒02月 02日:アルミ製品 100㎏について、国内引取りのため搬出(輸入許可不要)

・上記①~③のどれが使用されたかにかかわらず、保税台帳上の外貨原料残高からは引落

さず、③の内国貨物原料が使用されたアルミ製品と認定される。(内貨原料は 0㎏となる。)

・保税台帳上の外貨原料残高は 150 ㎏のままなので、原料残高合計の 150 ㎏は全部外貨原

料となる。

【注】 例えば、02月 03日にアルミ製品 50㎏について、国内引取りのため搬出する必要が生じた場合

は、内国貨物原料による製品の補填ができないため、在庫として所在する外貨製品 150 ㎏のうち、

50㎏について、輸入許可を受けて引取る必要があります。(できうる限り、原料として引落し可

能な「内貨原料数量」が「外貨原料数量」を常に上回っている状態が望まれます。)

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7.移入承認及び蔵置期間

(1)移入承認

外国貨物を搬入後3か月を超えて保税作業のために置こうとする場合又は3か月以

内に保税作業に使用しようとする場合は、あらかじめ移入承認を受ける必要があります。

【関税法第 61条の4(第 43条の3第1項の準用)】

(2)蔵置期間

原則として保税作業に使用する外貨原料品が移入承認された日から2年間(その原料

品から製造された製品、仕掛品、副産物等を含む)です。【関税法第 57条】

また、移入承認日が異なる原料品を同時に使用して、保税作業を行った場合の外国貨

物の蔵置期間は、最後の移入承認日から2年間となる。【関税法基本通達 57-1(1)】

なお、外国貨物について、移入承認を受けずに保税工場に3か月を超えて蔵置した場

合、又は移入承認日から2年間(延長承認されればその期間)を超えて保税工場に蔵置

した場合は、税関により収容されることがあります。【関税法第 80条第 3項】

8.保税作業の開始と終了

(1)保税作業開始届及び終了届けの提出

保税作業の開始及び終了の際は、税関に届け出なければなりませんが、現行としては、

保税作業開始届は原則不要としています。【関税法第 58条(基本通達 58-1&2)】

(2)指定保税工場について

外貨原料品と製品が特定できることから、当該保税工場が『指定保税工場』に指定さ

れた場合は、保税作業開始届及び終了届の代わりに、毎月の加工製造実績を記載した「外

国貨物加工製造等報告書」を作成し、翌月 10日までに税関に提出します。

【関税法第 61条の2】

また、保税工場は、次の場合を除き原則として指定保税工場に指定します。(ただ、次

の場合であっても取締り上支障がなければ指定保税工場に指定できるとされています。)

【関税法基本通達 61の 2-1】

① 保税製品数量を製造歩留により数値的に把握することが困難で、かつ、保持作業過

程又は終了の都度製品数量を確認する必要があるもの

② 外貨原料を組み立て又は取り付ける保税作業で、製品完成後にその取り付け事実を

確認することが困難で、かつ、保税作業過程又は終了の段階で確認する必要がある

もの

③ 保税作業の届出件数が2月を通じて1件程度であり、都度「保税作業終了届」を提

出した方が手続上の負担が少ない場合

④ 石油精製を行う保税作業である場合

9.同一の法人が許可を受けた保税工場間における一貫作業の簡易手続き

同一の法人が許可を受けた保税工場が2以上の場所にある場合において、各工程間におけ

る作業工程が連結しており、一貫して保税作業を必要とするときは、外国貨物の各工場間の

移送については、保税運送承認及び移入承認の手続きを要せず、工場側で作成した移送伝票

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により取り扱うことが出きます。【関税法基本通達 61の4-6】

なお、この場合の外国貨物の蔵置期間は、第1次保税作業が行われた保税工場における移

入承認日から計算します。【関税基本通達 57-1(2)】

10.保税工場外における保税作業(場外作業)

貿易の振興に資し、関税法の実施を確保するうえに支障がないと認めるときは、場外作業を許

可することができる【関税法第 61 条第1項】が、場外作業の許可を受けるには、【関税法

基本通達 61-1】に規定された、各種の条件を満たさなければなりません。

また、原則として、外貨原料は保税工場へ搬入後、場外作業場へ搬入しなければならない

こととされていますが、【関税法基本通達 61-7】に合致していれば、その規定に従って、外

貨原料に係る場外作業場への直接搬入が認められます。

なお、場外作業でできた製品が巨大重量貨物で、保税工場に戻し入れることが経済的に著

しく不利で、かつ、他の保税地域に入れることが困難と認められる場合は、願書により場

外作業場からの積戻し申告を認められる場合があります。【関税法基本通達 61-8】

11.さ細な副産物の引取り

保税作業により発生するさ細な副産物で課税上問題がない場合は、品名、数量を記載した

願書2通を保税工場の許可・更新申請の際に併せて提出し、税関がこれを認めた場合は、

引取りの都度記帳することにより国内引取りができます。【関税法基本通達 61の 3-2】

また、場外作業場からの引き取りについては、引取りの都度、願書を税関に提出し、税関

がこれを認めた場合は、国内引取りができます。【関税法基本通達 61-9】

12.古包装材料の引取り

貨物を積戻しする場合等において、その古包装材料のみを引取ろうとする際、関税が無

税であり、包装材料としての経済価値がほとんどないと認められるものについては、あら

かじめ品名、数量等を記載した適宜の書面を提出することにより、関税を課することなく

その引取りが認められます。【関税法基本通達 67-4-16(3)】

13.見本の一時持出

保税地域にある外国貨物(外貨原料品・仕掛品・製品)を見本として一時的に持ち出そ

うとする者は、税関長の許可を受けなければならない。【関税法第 32条】【基本通達 32-1】

14.滅却及び廃棄

(1)滅却【関税法第 61条の4(第 45条「ただし書」の準用)】

滅却とは、焼却等により貨物の形態をとどめなくすること。【基本通達 23-9(4)】

(2)廃棄【関税法第 34条】

廃棄とは、貨物を滅却(【基本通達 23-9】参照)し、又は腐敗、変質等により本来の

用途に供されなくなった外国貨物をくずとして処分すること。【基本通達 34-1(1)】

貨物を廃棄する場合は、あらかじめ「外国貨物廃棄届」を税関に提出する必要があり

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ます。

廃棄のうち、外国貨物を滅却する場合は、あらかじめ税関に「滅却(廃棄)承認申請

書」を提出し承認を受ければ、輸入手続きは免除され課税されません。

また、滅却以外の廃棄であるときは、その廃棄貨物の現況により経済価値が残存する

場合は、輸入手続を要することとなります。

なお、恒常的に滅却貨物があり、申請者、貨物、方法及び場所が一定しており、取締

り上支障がないと認められるときは、包括的に滅却承認を受けられる場合もあります。

15.保税作業による製品が積戻しできなくなった場合の取扱い

港頭地区保税地域においてに、契約キャンセル等の理由で、次の契約待ちのため、当該

積戻貨物をもとの保税工場で保管する必要が生じた場合は、改めて移入承認を受けること

なく、便宜、保税運送によりもとの保税工場への搬入を認めて差し支えない。帳簿には製

品の再搬入として記帳し管理し、蔵置期間は当該保税製品の製造に使用した外貨原料の移

入承認日から2年間です。【関税法基本通達 61の 4-7(3)】

16.許可の取消し等の処分等

保税工場の業務において関税法違反があった場合又は許可要件を充足しなくなった場合

は、外国貨物の搬入停止、保税作業停止又は許可の取消処分を行うことができます。

【関税法第 61条の4(第 48条の準用)】

17.倉主責任

蔵置中の外国貨物が亡失又は税関長の承認を受けずに滅却された場合は、被許可者から関

税等を徴収します。【関税法第 61条の 4(第 45条の準用)】

18.記帳義務

(1)「記帳項目」については、毎日の実績を確実に記帳する。

(2)様式は適宜の様式で差し支えなく、営業上の帳簿に所要の事項を追記しても良い。

(3)保税作業に係る製造計画表、入荷伝票、蔵出伝票、作業日報その他の伝票類、見本の一

時持出許可書、内外貨混合使用承認書、保税工場外保税作業許可書その他の許可・承認・

届出書、願書も保存して下さい。(税関検査の際に提示を求めることがあります)

(4)電磁的記録により帳簿を保存しようとする場合は、税関保税担当部門に「保税台帳の電

磁的記録による保存に関する届出書」を提出する。【基本通達 34の2-4】

19.被許可者の義務(その責任は多岐にわたっておりまので、遺漏のないようお願いします。)

(1)倉主責任【関税法第 61条の4(第 45条第1項の準用)】

(2)外国貨物の亡失に係る義務【関税法第 61条の4(第 45条第 3項の準用)】

(3)記帳義務【関税法第 61条の3】

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(3) 貨物収容能力の増減等の届【関税法第 61条の4(第 44条の準用)】

(4) 休業・廃業届【関税法第 61条の4(第 46条の準用)】

※業務の再開届【関税法施行令第 50条の2(第 39条第2項の準用)】

(6)許可手数料の納付【関税法第 100条・税関関係手数料令第3条及び第4条)

(7)許可条件の履行【関税法施行令第 50条の2(第 35条第3項の準用)】

(8)石油精製に係る納税申告等

※保税作業終了後遅滞なく輸入許可を受ける。【(関税法第 58条の2】

【参考】

1 自社の CPを理解している。

2 自社の保税担当者を知っている。

3 保税工場とは何であるかを理解している。

4 自社の保税工場のエリアを承知している。

5 自社の保税工場で IMが許可された貨物の種類を知っている。

6 非違とは何かを知っている。

7 役員自らの法令違反が保税に与える影響を理解している。

[後注](特定保税承認者及び総合保税地域に係る記載ついては省略いたしました。)

7つのチェック

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Ⅱ 保税工場における「よくあるミス」について

1 二重チェックは励行していますか。

帳簿(原料台帳、製品整理簿等)及び加工製造報告書における誤りは、確認不足による単純な転

記ミスに起因するものが非常に多いので、常にチェック体制の構築を心掛けましょう。

2 CPに係る「貨物管理規則」及び「社内管理体制」は現状と一致していますか。

また、直接の担当者の方は、常に最新の「社内管理規定」及び「保税関係組織図」を掌握され

ていますか(例えば、社内管理体制組織図に異動のため存在してない人が、記載されたままであ

ったりすることは、連絡の遅れにつながることが考えられます。)

(1) 人事異動及び組織変更の際などには、必ずチェックを実施し、速やかに対応する。

(2) 「社内管理体制組織図」は、事務室及び現場等に最新のものを掲示する。

3 原料台帳等は、確実に記載されていますか。(日別管理)

原料台帳等の台帳は、毎日の実績を確実に記載する必要があり、根拠となる社内帳票に基づき正

確な記載と確認をお願いします。

4 各種届出等は遺漏なく提出されていますか。

社内における各種の変更については、税関に承認を受けたり、届け出たりする必要がある場合も

多いことから、必ずその要否を確認してください。

【主な例】(歩留り部門への届出が必要な場合もあるので注意する。)

・保税工場の増改築に伴う場合…「貨物収容能力の増減等の届(C-3160)」(工事届)

・作業工程の機械設備を更新又は撤去する場合(新しいラインを含む)

・許可・承認区域外にテントを設置し製品を蔵置する場合

・保税工場の面積変更する場合

・製造方法(主要な機械設備を含む)等を変更しようとする場合

・新製品の製造に伴う場合…「保税作業の種類等の変更承認申請書」

5 届出ていない原料品を使用し、届出ていない製品を製造していませんか。

6 個別管理においては、各貨物の「区分」は、はっきりさせていますか。

7 総量管理においては、製品に対する外貨原料の把握等が適格になされていますか。

8 古包装材料(包括)引取りについて、一種の輸入行為であるとの認識はありますか。

9 移入承認(IM)された貨物の蔵置期限(2年)管理は適正になされていますか。

10 外貨原料配合割合等で規格変更に伴う歩留り変更があった場合、計算式の変更はいいですか

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11 保税工場の許可区域外で保税作業工程を行っていませんか。

12 許可を受けずに、保税工場外の関連企業等で保税作業を委託していませんか。

13 保税原料あるいは製品を保税工場外に蔵置していませんか。

14 外貨原料の過大引き落としをしていませんか。

【主な例】

・外貨原料配合割合が変更されていたが、パソコンの訂正を忘れた

・歩留通知書が新たに発出されたが、旧適用値のままであった。

・製品中の成分含有率を誤ってパソコンに入力していた。

・外貨原料引き落としの際、製品重量のグロス重量を用いて計算していた。

15 端数処理は的確になされていますか。

(1)製品数量から原料数量を算出している場合~ 原料数量の単位未満の単位未満切捨て

(2)外貨原料品使用数量から外貨製品数量を特定する場合~ 製品数量の単位未満切上げ

16 外国貨物(外貨製品を含む)の蔵置期間は IM承認日から2年間を超えていませんか。

17 その貨物は外貨製品ですか、内貨製品ですか、貨物管理は大丈夫ですか。

18 その廃棄貨物は外貨が含まれていませんか、確実に確認しましたか。

19 コンテナで搬入された貨物は、外貨原材料以外にも外貨があるかも知れません。

【例】外貨原料品の運搬用に使用されるつり具を内国貨物と錯誤して引き取った。(無許可輸入)

20 総量管理においては、特に外貨原料品の確定が重要ですが、数量把握は大丈夫ですか。

・製品量に見合う「外貨・内貨」の原料残高数量が確保されているか。

・内貨原料がないのに、外貨原料で製造した製品を内貨製品として国内に出荷していないか。

21 税関の手続きをうけることなく、保税製品を他の保税地域に運送していませんか。

日頃から、お世話になっております。

税関としても、よりよい行政を目指して

がんばりたいと考えています。

少しでも皆様の一助となれば幸いです。

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Ⅲ 飼料製造承認工場についての概要

【関税定率法第 13条関係】

1.製造用原料品の減免税

こうりゃん、グレーンソルガム、とうもろこし(配合飼料の場合は、他にライ麦、バナナの粉、砂糖、

糖みつ、カッサバ芋、甘しょ生切干)を輸入して、輸入許可後1年以内に、税関長の承認を受けた工場

で、配合飼料又は単体飼料を製造が終了するものについて関税を免税する。【関税定率法第 13条第1項】

2.用途外使用の禁止

輸入許可から1年以内に、税関長の承認を得ず、免税原料品を用途外使用すること及び用途外使用に

供するための譲渡はできない。【関税定率法第 13条第6項】

3.同種原料品の混用使用の制限

税関長が製造の確認に支障がないと認めて混用使用承認した場合を除き、輸入免税製造用原料品に同

種の他の原料品(輸入課税済製造用原料品又は国産製造用原料品)を混じて使用してはならない。【関

税定率法第 13条第4項】

4.関税の徴収

次の場合に該当することとなった場合には、関税徴収の原因となる理由に該当する者から関税を直ち

に徴収する。(納税義務者は、関税徴収の原因となる理由に該当することとなった者)【関税定率法第

13条第7項】

(1)製造用原料品を用途外使用又は用途外使用に供することについて税関長の承認を受けた場合(第1

号)

(2)税関長の承認を受けないで製造用原料品を用途外使用又は用途外使用に供するために譲渡した場合

(第1号)

(3)輸入許可後1年以内に製造終了届を提出せず、又は製造を終えなかったとき

(第1号)

(4)製造用原料品の数量に対する製品の数量が、合理的と認められる割合を下回る場合は、その下回っ

た部分に課税する(第1号)

(5)税関長の承認を受けないで、製造用原料品に同種の他の原料品(課税済輸入原料品及び国産原料品)

を混じて使用した場合(第2号)

(6)製造用原料品について、承認を受けた製造工場以外の場所で製造の用に供した場合

(第2号)

わが国の畜産農家に対し、良質かつ低廉な飼料を継続して安定供給するため、国内生産の

少ないとうもろこし等の飼料製造原料品を外国から輸入する際、本来課されるべき関税を軽

減又は免除するものです。

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5.製造終了の届出及び製品検査

製造用原料品による製造が終了したときは、製造終了届を税関に提出するとともにその製品につ

いて検査を受けなければなりません。【関税定率法第 13条第5項】

(1)第1種承認工場については、毎月分の製造終了届を提出させ、必要に応じて製品見本を提出さ

せて検査を行う。

現行、原則として現品検査は省略しており、現在の製造工場は全て第1種となっている。

『第1種承認工場』

製品を連続的に生産及び出荷する工場で届出の都度検査が必要でないと税関が認めた工場

(2)第2種承認工場については、製造用原料品の全量が製造終了したときに製造終了届を税関に提

出させ、原則として現品検査を行う。

『第2種承認工場』

製品の製造が間けつ的で、製造がおおむね1か月以内に終了し、製品の一括引取りを行う

工場

6.記帳義務

承認工場ごとに帳簿を備え、原料の搬入、使用・製造、搬出等を記帳しなければならない。

様式は適宜の様式で差し支えなく、所要の事項が記載されていれば工場で使用している関係帳簿を利用してもよい。 飼料製造に係る製造計画表、入荷伝票、出荷伝票、作業日報その他の伝票類、許可・承認・届出

書も保存して下さい。(税関検査の際に提示を求めることがあります) (定率基本通達 13-23で準用する関基本通達 61の 3-1(6)、(7))

◎ 記帳項目

区 分 記 帳 項 目

原 料 の 搬 入 原料の品名、数量、搬入年月日、輸入許可税関、輸入許可年月日、 輸入許可番号

原 料 の 使 用 原料の品名、数量、使用年月日

同種原料の混用 混用した同種原料の品名、数量、使用年月日

製 品 の 製 造 製品・副産物の品名、数量、製造年月日

税 関 検 査 税関検査を受けた製品・副産物の品名、数量、検査年月日

搬 出 搬出した原料品・製品・副産物の品名、数量、搬出先、搬出年月日

亡失又は滅却 亡失又は滅却された原料品・製品・副産物の品名、数量、 亡失又は滅却の年月日、場所、事由

※ 税関長は、必要がないと認める項目の記帳を省略させることができる。

【注意事項】

1. 製造終了届の製造歩留に異常値があった場合は、税関に報告するとともに、原因を究明します。

2. 他の製造工場で免税原料をもって製造した配合飼料(2種混)及び単体飼料を原料として使用

した場合に、当該原料は「免税原料品とうもろこし」として製造終了届に計上しません。

以 上

Page 13: 保税工場及び製造工場について...- 2 - Ⅰ 保税工場についての概要 1.保税工場とは 税関長の許可を受けて、外国貨物についての加工若しくはこれを原料とする製造(混合

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Ⅳ 飼料製造工場における「よくあるミス」について

1 二重チェックは励行していますか。

帳簿(原料台帳、製品整理簿等)及び加工製造報告書における誤りは、確認不足による単純な転記ミ

スに起因するものが非常に多いので、 常に二重チェック(チェック体制の構築)を心掛けましょう。

2 CPに係る「貨物管理規則」及び「社内管理体制」は現状と一致していますか。

また、直接の担当者の方には、常に最新の「社内管理規定」及び「保税関係組織図」を確実に掌握さ

れていますか。(例えば、社内管理体制組織図に異動のため存在してない人が、記載されたままであっ

たりすることは、連絡の遅れにつながることが考えられます。)

(1)人事異動及び組織変更の際などには、必ずチェックを実施し、速やかに対応する。

(2)「社内管理体制組織図」事務室及び現場等における掲示をお願いします。

3 原料台帳等は、確実に記載されていますか。(日別管理)

原料台帳等の台帳は、毎日の実績を確実に記載する必要があり、根拠となる社内帳票に基づき正確な

記載と確認をお願いします。

4 各種届出等は遺漏なく提出されていますか。

社内における変更事項については、税関に承認を受けたり、届け出たりする必要がある場合も多いこ

とから、必ずその要否を確認してください。

【主な例】(歩留部門への届出も必要とする場合もあるので注意する。)

・工場の増改築に伴う場合…「貨物収容能力の増減等の届(C-3160)」(工事届)

・作業工程の機械設備を更新又は撤去する場合(新しいラインを含む)

・製造工場の面積を変更する場合

・製造方法(主要な機械設備を含む)等を変更しようとする場合

・承認された工場内の倉庫を解体・新築などする場合

5 届出ていない免税原料品を使用していませんか。届出ていない製品を製造していませんか。

6 棚卸を毎月行っていますか。

⇒ 取扱量が少なくても、毎月実施してください。(使用量と在庫量の整合性を確認)

7 原料使用数量は、製品数量に社内歩留数値を乗じて算出していませんか。

⇒ 原料使用数量は、日々実質計量された投入原料の数値を記帳しなければなりません。

8 製品出来高は、作業指図書の数量(計画数量)をもって記載していませんか。

⇒ 製品出来高は、実質計量された生産数量を記帳しなければなりません。

9 返品された製品の再投入(同一銘柄)に係る記帳処理はいいですか。

⇒当該分は、飼料製造終了届「明細票」の再製造分の欄に記載してください。 (了)