C型肝炎の新規治療薬...C E1 E2 p7 NS2 NS3 NS4A NS4B NS5A NS5B NS3/NS4A NS5A NS5B...
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C型肝炎ウイルスの疫学
全世界で毎年300~400万人が感染
急性感染後、3割は自己治癒するが、7割は慢性C型肝炎となる
感染経路は輸血、医療行為、麻薬常用者の回し打ちなど
→ 輸血後感染は原因の約40%のみ
原因不明であることも多い
全HCV抗体陽性者のうち、65歳以上は54.2%(2005年時点)
慢性C型肝炎
HCVの持続感染により、肝障害が6カ月以上継続した状態
感染から平均20~40年の経過で肝硬変や肝癌を発症する
徐々に肝臓の線維化が進行し、進行とともに発癌率が上昇
肝細胞癌の70~75%はC型肝炎が原因とされる
血小板 10万以下
肝線維化ステージとヹ間肝癌発生率
血小板 ヹ間発癌率
慢性肝炎
F1 18万 0.5%
F2 15万 1.5%
F3 13万 5%
肝硬変 F4 10万以下 8%
F4 = 肝硬変まで至った患者は5年で40%がガン化 10年経てば80%がガン化する!!
C型肝炎診断の流れ C型肝炎ウイルス抗体検査
陽性
現在HCVに感染している可能性が高い
現在HCVに感染している可能性が低い
陰性
肝機能検査
異常
治療時期、方法を検討
正常 3~4カ月に1回程度の検査
必要に応じて治療
HCV-Ab
消化器内科にコンサルト!
肝機能検査
検査項目 目的
AST (GOT) ALT (GPT)
肝臓の炎症の程度
血小板数 慢性肝炎の進行度
Ⅳ型コラーゲン ヒアルロン酸 M2BPGi(Mac2蛋白)
肝臓の線維化の進行度
PT Alb
肝臓の蛋白合成能力の評価
AFP (AFP-L3) PIVKA-Ⅱ
肝細胞癌の腫瘍マーカー
肝機能検査
検査項目 目的
AST (GOT) ALT (GPT)
肝臓の炎症の程度
血小板数 慢性肝炎の進行度
Ⅳ型コラーゲン ヒアルロン酸 M2BPGi(Mac2蛋白)
肝臓の線維化の進行度
PT Alb
肝臓の蛋白合成能力の評価
AFP (AFP-L3) PIVKA-Ⅱ
肝細胞癌の腫瘍マーカー
抗ウイルス療法の治療対象と早期必要性
治療対象
ALT(>30IU/L) あるいは血小板数(<15万/μl)
抗ウイルス療法の早期必要性
• 高発癌リスク群(高齢者、線維化進展例) 治療への認容性が許せば、可及的速やかに抗ウイルス療法を導入する。
• 低発癌リスク群(非高齢者、非線維化進展例) 速やかな抗ウイルス療法の導入は必ずしも必要ない。治療効果、副作用、ならびに肝発癌リスクを考慮に入れて治療を検討する。
※高齢者は65歳以上を指す。線維化進展例はF2以上を指す。
ALT≧31 あるいは、血小板数<15万は原則治療、 65歳以上も早期治療
インターフェロン(IFN)治療
従来のIFN製剤の半減期は3~8時間
→ 週3回の投与が必要
投与後に血中濃度が急上昇し、発熱・悪寒などのインフルエンザ様症状
重篤な副作用に間質性肺炎、うつ病
血中半減期を長くした製剤がペグインターフェロン (PEG-IFN)
→ 週1回で十分な抗ウイルス効果を発揮
PEG-IFNは一旦投与すると、一定の血中濃度が長時間持続する
→ 副作用が出現すれば長時間持続、重篤化の危険性
0 10 20 30 40 50 60 70 80
副作用が心配
お金がかかる
症状がなく必要と思わない
多忙
不安だから
他人に知られたくない
高齢なので
今すぐ治療する必要なし
他の病院にいきたくない
今の治療で満足
家族が反対
合併症がある
通院回数が増えて面倒
自分には効かないと判断
注射は嫌い
医師の説明が不十分
医師の説明を理解できず
その他
無回答医薬品産業政策研究所 リサーチペーパーシリーズNo.32
患者がIFN治療に同意しない理由 n = 32 【複数回答】】
(%)
インターフェロンの治療効果
40
60
20
80
100
0 インターフェロン
+リバビリン併用療法 24週間
(2001ヹ12月)
(%)
ウイルス陰性化率
インターフェロン 単独療法 24週間
(1992ヹ)
2%
1型高ウイルス量のC型肝炎に対する治療効果
16%
ペグインターフェロン 単独投与 48週間
(2003ヹ12月)
ペグインターフェロン +リバビリン +テラプレビル
3剤併用療法、24週間 (2011ヹ11月)
ペグインターフェロン +リバビリン +シメプレビル
3剤併用療法、24週間 (2013ヹ12月)
インターフェロンのみ
2剤併用療法
経口の抗ウイルス薬 (一般名:リバビリン)
注射の抗ウイルス薬 (一般名:ペグインターフェロン)
3~5錠/ヷ 分2(朝、夕食後)
週1回 皮下注(交互の腕に)
MSD (旧シェリングプラウ)
中外製薬
リバビリン(RBV)
合成核酸アナログの1種
広範囲のRNAおよびDNAウイルスに対して抗ウイルス活性を示す経口薬剤
単独ではHCVを排除する効果はない
→ IFNもしくはPEG-IFNとの併用で、抗HCV効果を増強
副作用に、溶血性貧血や催奇形性、食欲不振がある
インターフェロンの治療効果
40
60
20
80
50~60%
100
0
ペグインターフェロン + リバビリン併用療法
48-72週間 (2004ヹ12月)
インターフェロン +リバビリン併用療法
24週間 (2001ヹ12月)
20% (%)
ウイルス陰性化率
インターフェロン 単独療法 24週間
(1992ヹ)
2%
1型高ウイルス量のC型肝炎に対する治療効果
16%
ペグインターフェロン 単独投与 48週間
(2003ヹ12月)
ペグインターフェロン +リバビリン +テラプレビル
3剤併用療法、24週間 (2011ヹ11月)
ペグインターフェロン +リバビリン +シメプレビル
3剤併用療法、24週間 (2013ヹ12月)
インターフェロンのみ
2剤併用
約4年前から飲み薬+飲み薬+インターフェロンの
3剤併用療法が用いられている
テラビック®
一般名:テラプレビル
第1世代プロテアーゼ阻害薬 第2世代プロテアーゼ阻害薬
ソブリアード®
一般名:シメプレビル バニペップ®
一般名:バニプレビル
iPhoneやiPad同様に、世代が進むと問題点が改善されています!
C型肝炎の新しい薬 (インターフェロンとの併用で使用する飲み薬)
インターフェロンの治療効果
40
60
20
80
50~60%
100
0
ペグインターフェロン + リバビリン併用療法
48-72週間 (2004ヹ12月)
インターフェロン +リバビリン併用療法
24週間 (2001ヹ12月)
20% (%)
ウイルス陰性化率
インターフェロン 単独療法 24週間
(1992ヹ)
2%
1型高ウイルス量のC型肝炎に対する治療効果
16%
ペグインターフェロン 単独投与 48週間
(2003ヹ12月)
ペグインターフェロン +リバビリン +テラプレビル
3剤併用療法、24週間 (2011ヹ11月)
70~80%
ペグインターフェロン +リバビリン +シメプレビル
3剤併用療法、24週間 (2013ヹ12月)
80~90%
インターフェロンのみ
2剤併用
3剤併用
4ヹ前に販売されたDAAを用いることで
どのタイプのC型肝炎も80-90%は
治る時代になった(IFNは必要)
DAA:新薬の直接作用型抗ウイルス薬
(Direct Acting Antivirals)
http://www-yoshi.biken.osaka-u.ac.jp/research/
NS3:HCVの蛋白を適切に切断するプロテアーゼ NS5A: HCV複製過程の複合体形成で主役となる NS5B: HCVのRNAの複製を司るポリメラーゼ
NS3, NS5A, NS5Bのどこを阻害しても抗ウイルス効果を強力に作用
C E1 E2 p7 NS2 NS3 NS4A NS4B NS5A NS5B
NS3/NS4A NS5A NS5B
テラビック® ソブリアード® バニヘップ®
スンベプラ®
ダクルインザ®
(レジパスビル)
ソバルディ® (ソホスブビル)
必ずIFNと併用
ヴィキラックス®
ハーボニー®
DAAの分類と作用機序
内服のみの抗ウイルス療法の組み合わせ (3組を覚えるだけ!)
NS5A NS5B
アスナプレビル (スンベプラ®)
パリタプレビル ソホスブビル
(ソバルディ®)
ダクラタスビル (ダクルインザ®) オムビタスビル
レジパスビル
リバビリン (DAAではない)
NS3/NS4A
内服のみの抗ウイルス療法の組み合わせ (3組を覚えるだけ!)
NS5A NS5B
アスナプレビル (スンベプラ®)
パリタプレビル ソホスブビル
(ソバルディ®)
1ヷ1回 1ヷ2回
ダクラタスビル (ダクルインザ®) オムビタスビル
レジパスビル
リバビリン (DAAではない)
1型
NS3/NS4A
・最初のインターフェロンフリーの薬 ・奏効率は約85% ・治療期間は24週間 ・耐性変異の問題あり ・腎障害があっても使用可能(HD症例)
内服のみの抗ウイルス療法の組み合わせ (3組を覚えるだけ!)
NS5A NS5B
ソホスブビル (ソバルディ®)
リバビリン (DAAではない)
〒 or
2型
NS3/NS4A
・2型の唯一のインターフェロンフリーの薬 ・奏効率は約97% ・治療期間は12週間 ・RBVを使うため貧血症例には困難 ・腎障害には使えない(eGFR<30未満は禁忌)
2型
アスナプレビル (スンベプラ®)
パリタプレビル
ダクラタスビル (ダクルインザ®) オムビタスビル
レジパスビル
・1型のインターフェロンフリーの薬 ・奏効率は治験では100% ・治療期間は12週間 ・耐性変異があっても使える(成績良好) ・腎障害には使えない(eGFR<30未満は禁忌)
内服のみの抗ウイルス療法の組み合わせ (3組を覚えるだけ!)
NS5A NS5B
アスナプレビル (スンベプラ®)
パリタプレビル ソホスブビル
(ソバルディ®)
ダクラタスビル (ダクルインザ®) オムビタスビル
レジパスビル
リバビリン (DAAではない)
1型
NS3/NS4A
内服のみの抗ウイルス療法の組み合わせ (3組を覚えるだけ!)
NS5A NS5B
アスナプレビル (スンベプラ®)
パリタプレビル ソホスブビル
(ソバルディ®)
ダクラタスビル (ダクルインザ®) オムビタスビル
レジパスビル
リバビリン (DAAではない)
NS3/NS4A
・1型のインターフェロンフリーの薬 ・奏効率は治験では約95% ・耐性がなければ99% ・治療期間は12週間 ・腎障害にも使える
1型
HCV RNAとDAAの標的蛋白
耐性変異として問題となりやすいのは
D168E L31M Y93H
C E1 E2 p7 NS2 NS3 NS4A NS4B NS5A NS5B
NS3/NS4A NS5A NS5B
Q80 R155
A156 D168
L31
Y93
S282
DAA導入前の注意点
HCV感染者のうち、 10数%はDAA効果不良の薬剤耐性HCVに感染
↓
治療前には、使用するDAAの標的領域における遺伝子変異を確認する!
ただし、薬剤耐性変異の測定は保険適用外
もし耐性のある患者に、効果不良と予測されるDAAを使用すると?
特に耐性変異が問題となるNS3/NS4A,
NS5Aの組み合わせで
DAA導入前の注意点
HCV感染者のうち、10数%はDAA効果不良の薬剤耐性HCVに感染
↓
治療前には、使用するDAAの標的領域における遺伝子変異を確認する!
ただし、薬剤耐性変異の測定は保険適用外
もし耐性のある患者に、効果不良と予測されるDAAを使用すると?
→ 抗ウイルス療法失敗の可能性ヸ
多重、多剤耐性変異ウイルスの出現が高頻度に起こる
薬剤耐性変異を測定する重要性は ガイドラインにも明記されている!
特に耐性変異が問題となるNS3/NS4A,
NS5Aの組み合わせで
実際の薬剤耐性の採血結果 (耐性あり)
D168E、L31M、Y93Hの3ヶ所で薬剤耐性が陽性で、ダクルインザ®〒スンベプラ®の経口2剤療法では難治性と考えられた。今回は治療を行わず
さらに詳細に調べると、一番重要なY93Hは99%以上の変異を有していることが判明
実際の薬剤耐性の採血結果 (耐性あり)
D168E、L31M、Y93Hの3ヶ所で薬剤耐性が陽性で、ダクルインザ®〒スンベプラ®の経口2剤療法では難治性と考えられた。今回は治療を行わず
さらに詳細に調べると、一番重要なY93Hは99%以上の変異を有していることが判明
どのような症例を紹介すれば?
➡治療の有無に関係なくUSは必要です
何歳くらいまでが適応?
➡認知症が無く希望があれば85歳位
➡通院可能で、内服がきっちりできる
注意点は?
➡腎機能障害や、2型は高度の貧血症例
答え
肝硬変症例でも治療可能?
➡肝硬変の初期(Child-Pugh A)は可能
1-2万/月の助成金制度って?
➡条件を満たし専門医が申請すれば認可
どの病院であれば処方できる?
➡原則は肝臓専門医のいる病院
香川県でも10施設程度
答え
1点 2点 3点
肝性脳症 なし Ⅰ~Ⅱ度 Ⅲ~Ⅳ度
腹水 なし 軽度 中等度
血清ビリルビン(mg/dl)
<2.0 2.0~3.0 >3.0
血清アルブミン(g/dl)
>3.5 2.8~3.5 <2.8
プロトロンビン時間(%)
>70 40-70 <40
Grade A:5~6点、Grade B:7~9点、Grade C:10~15点
初期の肝硬変【Child-Pugh A(5点 or 6点)】であれば、治療可能 黄疸があったり、コントロールできない腹水があれば不可
Child-Pugh分類
ところで、薬の値段は?
ダグルインザ® 9186円/錠/日
スンべプラ® 3280円/錠/日 = 6561.4円/日
→ 2剤まとめて 1万5747.4円/日
→ 約260万円/ 24週
ハーボニー® 8万171.3円/錠/日
→ 673万4389.2円/ 12週
ヴィキラックス® 2万6801.2円/錠×2錠 = 5万3602.4円/日
→ 450万2601.6円/ 12週
1型
階層区分 世帯あたり
市町村民税(所得割)課税年額
自己負担額の上限(月額)
甲 235,000円以上 20,000円
乙 235,000円未満 10,000円
※住民票上の世帯の収入が原則ですが、患者さんと同一生計にない方(税制上および医療保険上の扶養関係にないと認め られた方)については、課税年額を合算せずに区分けされます。
助成金制度
現在のC型肝炎の治療は非常に高額ですが、1ヵ月 1(-2)万×3ヵ月分で治療可能
(薬剤代、検査代、外来代すべてが対象です)
ソバルディ® 6万1799円/錠
ハーボニー® 8万171円/錠
173万372円/ボトル
224万4788円/ボトル
まとめ
これまでの治療 DAAによる治療
副作用の多いインターフェロンが中心
副作用のほとんどない内服薬が中心
難治性で、著効率は40~50% ほぼ100%に近い著効率が得られる
治療は入院を要する 外来にて可能
高額な治療費がかかる 助成金で、月に1~2万円で治療が受けられる
適応はC型慢性肝炎まで 肝硬変の初期まで治療対象