お客様を知り、ともに成長していく - Ricoh ·...

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従業員の地域別構成比 お客様を知り、ともに成長していく リコーグループは、「お客様へのお役立ち」をすべての意思決定の起点として活動しています。 製品の開発から製造、販売、サービス・サポートの提供に至るまで、常にお客様ファーストを意識 して、新たな価値創出を目指します。 お客様の潜在的なニーズを先取りし、 自ら変革する グローバル化の進展、新興国経済の拡大、ネット ワーク技術の進化など、私たちを取り巻く社会・経済 環境は大きく変化しつづけています。お客様の経営 環境やニーズも多様化し、ビジネス上の関心事も働 き 方 変 革 や 、ワークフ ロー 変 革、トータ ル コ スト (TCO)削減、コンプライアンス遵守など、さまざまな 方向にむけられています。 一方で、お客様のニーズはすべてが明確な声とし て表れるわけではありません。お客様も気づいてい ない一歩先のニーズを見出すことを意識し、まだ言 葉に表されていない想いや気持ちまで感じ取り、お 客様の側に立った積極的な提案が求められます。そ のため、全社員がお客様への「お役立ち」を起点とし て意思決定を行い行動し続けることを目指し、お客様 ファーストマインドの浸透と仕組みの構築に取り組ん でいます。2018年1月には、Customer Firstセン ターを設立。お客様の生の声を設計・生産部門にも 届け、それを元に商品・サービスや社内プロセスを短 期間で改善する活動に取り組んでいます。2月には リコー創立記念イベント「Foundation day 2018 Customer first」を開催し、お 客様ファーストの精神をグロー バ ル で 共 有 しました。One Global Ricohの総力を結集し て、お客様の声を経営と事業展 開に着実につなげることで、お 客様の期待にお応えし続けて いきます。 グローバルに展開する事業活動と サプライチェーンの構築 販売・サ ービスにおいては 、日本、米州、欧州、ア ジア・パシフィックの4 極に統括会社を配置し、世界 約200の国と地域におよぶグローバルネットワー クを整えています。事業別に開発から販売・サービ スまで一貫したマネジメントを進め、お客様に近い 現場でお客様とともに商品を開発する体制を強化し ています。また、各地域の販売部門をグローバル最 適の視点で支援・統括する販売本部を設け、成長市 場に対し優先的にリソースを配分しています。 研究開発では 、日本・米国・中国・インドに研究開 発拠点を設け、グローバルで戦略的な技術開発を行 いながら、地域の市場特性を活かした技術開発も同 時に行うことで、お客様や社会が直面する課題解決 に寄与する技術開発に取り組んでいます。 製品・サービスの供給にあたっては、世界4極に 生産拠点を配置しており、リコー製品をグローバル に供給する生産体制を整えています。また、組立工 程の省人化や、構内搬送の自動化などの最新のロ ボット技術も導入しながら、コスト競争力の高い商 品を迅速にお客様にお届けする生産オペレーション の改善にも取り組んでいます。 欧 州・中 東・アフリカ 17.0% 16,680人 アジア・パシフィック 20.8% 20,407人 米州 27.6% 26,995人 日本 34.5% 33,796人 リコー創立記念イベント「Foundation day 2018 Customer first」 総従業員数 97,878⼈ 2018 年 3月末 47 Ricoh Group Integrated Report 2018 お客様接点力

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Page 1: お客様を知り、ともに成長していく - Ricoh · 共有するとともに、技術革新の取り組みに効果的に 対応できるようお客様を支援します。2018年は

従業員の地域別構成比

お客様を知り、ともに成長していく

リコーグループは、「お客様へのお役立ち」をすべての意思決定の起点として活動しています。製品の開発から製造、販売、サービス・サポートの提供に至るまで、常にお客様ファーストを意識して、新たな価値創出を目指します。

お客様の潜在的なニーズを先取りし、 自ら変革する

 グローバル化の進展、新興国経済の拡大、ネット

ワーク技術の進化など、私たちを取り巻く社会・経済

環境は大きく変化しつづけています。お客様の経営

環境やニーズも多様化し、ビジネス上の関心事も働

き方変革や、ワークフロー変革、トータルコスト

(TCO)削減、コンプライアンス遵守など、さまざまな

方向にむけられています。

 一方で、お客様のニーズはすべてが明確な声とし

て表れるわけではありません。お客様も気づいてい

ない一歩先のニーズを見出すことを意識し、まだ言

葉に表されていない想いや気持ちまで感じ取り、お

客様の側に立った積極的な提案が求められます。そ

のため、全社員がお客様への「お役立ち」を起点とし

て意思決定を行い行動し続けることを目指し、お客様

ファーストマインドの浸透と仕組みの構築に取り組ん

でいます。2018年1月には、Customer Firstセン

ターを設立。お客様の生の声を設計・生産部門にも

届け、それを元に商品・サービスや社内プロセスを短

期間で改善する活動に取り組んでいます。2月には

リコー創立記念イベント「Foundation day 2018

Customer first」を開催し、お

客様ファーストの精神をグロー

バ ル で 共 有 しました。One

Global Ricohの総力を結集し

て、お客様の声を経営と事業展

開に着実につなげることで、お

客様の期待にお応えし続けて

いきます。

グローバルに展開する事業活動と サプライチェーンの構築

 販売・サービスにおいては、日本、米州、欧州、ア

ジア・パシフィックの4極に統括会社を配置し、世界

約200の国と地域におよぶグローバルネットワー

クを整えています。事業別に開発から販売・サービ

スまで一貫したマネジメントを進め、お客様に近い

現場でお客様とともに商品を開発する体制を強化し

ています。また、各地域の販売部門をグローバル最

適の視点で支援・統括する販売本部を設け、成長市

場に対し優先的にリソースを配分しています。

 研究開発では、日本・米国・中国・インドに研究開

発拠点を設け、グローバルで戦略的な技術開発を行

いながら、地域の市場特性を活かした技術開発も同

時に行うことで、お客様や社会が直面する課題解決

に寄与する技術開発に取り組んでいます。

 製品・サービスの供給にあたっては、世界4極に

生産拠点を配置しており、リコー製品をグローバル

に供給する生産体制を整えています。また、組立工

程の省人化や、構内搬送の自動化などの最新のロ

ボット技術も導入しながら、コスト競争力の高い商

品を迅速にお客様にお届けする生産オペレーション

の改善にも取り組んでいます。

欧州・中東・アフリカ 17.0%16,680人

アジア・パシフィック 20.8%20,407人

米州 27.6% 26,995人

日本 34.5% 33,796人

リコー創立記念イベント「Foundation day 2018 Customer first」

総従業員数97,878⼈2018年3月末

47 Ricoh Group Integrated Report 2018

お客様接点力

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グローバル拠点

 一方、災害などの有事に際しても、お客様の業務

を極力⽌めないためのサプライチェーンを構築し

ています。リコーグループでは、生産拠点や部品調

達系列の二重化、材料や部品在庫の積み増しなどに

より、事業継続能力の向上を図っています。さらに、

サプライチェーンにおける社会的責任を果たすた

めに「児童労働問題」や「CSR調達」「紛争鉱物問題」

にも積極的に取り組んでいます。このように、お客

様起点のサプライチェーンマネジメント 1 を通じて

お客様満足の向上を図ることで、事業成長の同時実

現を図っていきます。

お客様に「いつまでも安心・満足、使い続けて感動」していただくために

 リコーグループは、お客様に安心してご利用いた

だける製品・サービスを提供するとともに、お客様

が期待されている以上の価値を感じていただくこ

とが重要であると考えています。その想いを「いつ

までも安心・満足、使い続けて感動」の言葉に込め

てRICOH Qualityと定義し、安全性や信頼性など

の品質の確保に取り組んでいます。

お客様満足 2 を追求するための継続的改善

 お客様の機器情報・保守実績などについては、お

客様と直接接点のある各国の販売会社ごとにカス

タマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)

データベースにて運用・管理しています。それぞれ

のお客様接点の現場では、CRMデータベースを活

用し、ニーズの調査・分析を重ね、課題を抽出し、未

来のニーズまで描いた製品・ソリューション提案を

行っています。導入後も、オンサイト保守やリモー

ト管理システム「@Remote」 3 による24時間体制

の運用・管理を行い、お客様にダウンタイムなく安

心して製品をお使いいただくための遠隔診断保守

サービスを提供しています。さらに、「@Remote」

を利用して機器の稼働状況を検証し、その結果に基

づいてお客様ごとに継続的な改善提案を行い、経

営効率向上に貢献しています。

 また、「お客様満足度調査」 1 の分析から製品改

善ポイントを抽出し、さらなる使いやすさ向上を目

指した改善活動を実施し、その成果をものづくりに

反映しています。

Ricoh Asia Pacific Pte, Ltd.(アジア・パシフィック極 統括会社)

Ricoh Europe PLC(欧州極 統括会社)

Ricoh USA, Inc.(米州極 統括会社)

米州極

アジア・パシフィック

欧州極 日本極

株式会社リコーリコージャパン株式会社

販売・サポート

研究開発生産

お客様の声を聞き、それを活かす仕組み

• CRMデータベース• @Remote• お客様満足度調査• コールセンター

• お客様相談センター• テクノロジーセンター• 技術アドバイザリー会議• Customer Firstセンター

安心・安全を実現するための基準・仕組み

• 製品安全活動基本方針• 製品安全活動行動指針• 多面的な市場品質情報管理• 品質マネジメントシステム

詳しくは本誌

1 J.D.パワー日本カラーコピー機顧客満⾜度調査P22

48Ricoh Group Integrated Report 2018

Value Creation Business Strategy Value Drivers Governance Data & Profile

詳しくはWEB

1 サプライチェーンマネジメントjp.ricoh.com/sustainability/report/action/supplychain.html2 お客様満⾜のためにjp.ricoh.com/csr/consumer/3 出⼒機器のリモート管理サービス「@Remote」www.ricoh.co.jp/remote/

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お客様中心のイノベーションを推進する 「技術アドバイザリー会議」

 

 2018年6月20〜21日、毎年恒例で今年で12

回目となる eTAC (ヨーロッパ技術アドバイザリー

会議)をロンドンで開催しました。このイベントを通

じて、変化するお客様のニーズを見極め、お客様中

心のイノベーションを発展させます。

 技術的知見を共有するための基調討論では、ヨー

ロッパおよびフォーチュン・グローバル500社の主

要なお客様をお招きし、共通のビジネス課題を探究・

共有するとともに、技術革新の取り組みに効果的に

対応できるようお客様を支援します。2018年は

36社からの代表者に参加いただき、リコーからは

欧州各社の責任者や米国・日本の技術者たちも参加

しました。

 初日には、リコーの目指す方向性や戦略、通信

サービスやグローバルなモバイル印刷ソリューショ

ンに関する近況を報告しました。また、MFPのセキュ

リティ、統合ドキュメント管理システム「Streamline

NX」とデジタルワークプレイスプラットフォームお

よびサービスの機能拡張計画についても説明しま

した。

 2日目には、イノベーションへのアプローチ、IT

サービスのポートフォリオ、セキュリティと印刷の安

全性に関する課題、クラウド対応企業の将来のニー

ズについてのリコーの進捗が強調されました。また、

企業の社会的責任を果たすためのソリューション設

計のあり方についても共有しました。

 eTACを通じて、お客様はリコーの最新ソリュー

ションに精通するとともに、複合機やプリンターの

操作パネルの拡張について学びました。また、オフィ

スAI、エッジデバイス、スマートな接続性と協働の

ためのプラットフォーム、音声・映像認識、疲労検出

システムのプロトタイプが初めて披露されました。

 事後のアンケートでは、参加者の88%がこのイ

ベントに満足し、全員から今後のeTACイベントに

参加したいという感想を寄せられ、リコーのお客様

中心のイノベーションのコミットメントをさらに強め

るものとなりました。

eTAC 2018本会議

eTAC 2018出席者

49 Ricoh Group Integrated Report 2018

お客様接点力

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詳しくは本誌

1 オフィスサービスP25-26

視覚に障がいのある⼈がMFPを使いこなすためにアクセシビリティ対応アプリケーションの開発

事例:

視覚に障がいのあるユーザーに最適なソリューションを提供するために、リコーヨーロッパを中心とする8カ国にまたがるプロジェクトチームを結成し、大きな成果を導きました。

フランス、スペイン、オランダのNPOの協力による概念実証実験で、多様なユーザー視点を取り入れました

使いたくなる、愛着の持てるパネルデザインを目指し、操作のしやすさだけでなくグラフィックの美しさにもこだわっています

視覚障がいを持つユーザーの意見を取り入れた開発プロセスや、感覚的な操作による安心感などが評価され、「2017年度グッドデザイン賞」を受賞しました

外部との交流で得た⼤きな気づき プロジェクトの発端は、2015年5月にフランス財務省からリコーフランス(RFR)に寄せられた要望でした。同省では、視覚障がいのある従業員が健常者と対等の立場で業務に貢献できるためのソリューションを求めていました。 当時のRFRには視覚障がい者のニーズに関するノウハウが不足していたため、まずはフランス視覚障がい者連盟の協力を仰ぎました。そこでわかったのは、ほとんどの視覚障がい者はすでに点字を利用しておらず、代わりにスマートフォンやタブレットの音声技術を積極的に活用しているということでした。これはRFRのメンバーにとって予想外の事実で、最終的にプロジェクトを成功に導く大きな要因にもなっています。

視覚障がい者の意⾒を改善につなげる リコーのデジタル複合機(MFP)には現在、Android OSを搭載したタッチスクリーンのスマートオペレーションパネルが導入されています。これは、パネル用の独自アプリを開発できるだけでなく、視覚障がい者が使い慣れている音声技術「Google TalkBack」を活用できるという利点もありました。また、既存顧客が使用している製品にパネルが搭載されていれば、MFPを買い替えることなくソリューションを提供することも可能です。

 2015年夏からプロジェクトチームが結成され、10月から試作機の開発がスタート。開発の過程ではNPOと連携し、すべての設計段階で視覚障がい者のフィードバックを取り入れて改善を重ねました。そうして完成したアクセシビリティ対応アプリケーションは、カード等の個人認証によってユーザーのプロフィールを読み込み、各ユーザーに適切なインターフェースを自動で提供するものになりました。目の見えないユーザーにはTalkBackを、視力の弱いユーザーにはコントラストの強いユーザーインターフェイス(UI)を、それ以外のユーザーには標準のUIを表示します。

世界に広がるモデルケースへ このアプリケーションの持つ価値が認められ、2016年10月、オランダの視覚障がい者支援団体がリコーのMFPの導入を決定。2017年1月に正式販売となってからフランス公共部門の大型入札も勝ち取り、世界各地で関心が寄せられています。このアプリケーションの開発は、新しい価値提供のあり方として、力強いモデルケースになるものとリコーグループでは考えています。

50Ricoh Group Integrated Report 2018

Value Creation Business Strategy Value Drivers Governance Data & Profile