現代における子どもと音楽とのかかわりヤマハ音楽研究所...

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1 Copyright © 2013 YAMAHA MUSIC FOUNDATION. All rights reserved. 【調査結果の概要】 家庭における子どもの音楽活動の中では、「母親」とともに、「音楽を聴く」あるい は「歌を歌う」という機会が多い。 メディアが多様化し、子どもが家庭で音楽を聴く際の使用機器として 20%以上がスマ ートフォンを用いている。 今回 2013 年調査では、2011 年調査より家庭での非楽器保有率が増えた。 2011年調査と比べると、音楽的な諸活動を「ほとんどしない」、あるいはそうした 活動を子どもが「ひとりで行う」、家庭で「楽器をもたない」といった回答が増加 し、全体的に親子での音楽活動に積極的な層とそうでない層との違いが表れたととら えられる。 家庭において子どもがよく聴く音楽ジャンルは「アニメソング」と「童謡」、保護者 の場合は「J-POP」が多い。 家庭や幼稚園・保育所以外の場で、子どもがコンサートや参加型イベントなどを通し て音楽に触れる機会の有無は、保護者自身のコンサートなどへの参加機会に関する結 果と同じ傾向を示す。 音楽系の習い事を「既習」あるいは「習う展望がある」とする回答では、開始時期を 45 歳」あるいは「小学 12 年生」までとするものが多い。一方「リトミック」 では「3 歳児以前」という回答が多く、幼少期の習い事ととらえられていると推察さ れ、「通信教育」や「体操」にも同様の傾向がみられる。 各種習い事の中で「既習」または将来的に「習う展望がある」とする回答が最も多い のは「学習塾」で、「スイミング」がそれに次ぐ。ただし 2011 年調査と比較する と、ほとんどの習い事で「既習」あるいは「習う展望がある」とする回答の割合が下 がっている。 現代における子どもと音楽とのかかわり 45歳児の保護者へのアンケート調査結果から― ヤマハ音楽研究所 調査レポート 20135

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【調査結果の概要】

① 家庭における子どもの音楽活動の中では、「母親」とともに、「音楽を聴く」あるい

は「歌を歌う」という機会が多い。

② メディアが多様化し、子どもが家庭で音楽を聴く際の使用機器として 20%以上がスマ

ートフォンを用いている。

③ 今回 2013年調査では、2011年調査より家庭での非楽器保有率が増えた。

2011年調査と比べると、音楽的な諸活動を「ほとんどしない」、あるいはそうした

活動を子どもが「ひとりで行う」、家庭で「楽器をもたない」といった回答が増加

し、全体的に親子での音楽活動に積極的な層とそうでない層との違いが表れたととら

えられる。

④ 家庭において子どもがよく聴く音楽ジャンルは「アニメソング」と「童謡」、保護者

の場合は「J-POP」が多い。

⑤ 家庭や幼稚園・保育所以外の場で、子どもがコンサートや参加型イベントなどを通し

て音楽に触れる機会の有無は、保護者自身のコンサートなどへの参加機会に関する結

果と同じ傾向を示す。

⑥ 音楽系の習い事を「既習」あるいは「習う展望がある」とする回答では、開始時期を

「4、5 歳」あるいは「小学 1、2 年生」までとするものが多い。一方「リトミック」

では「3 歳児以前」という回答が多く、幼少期の習い事ととらえられていると推察さ

れ、「通信教育」や「体操」にも同様の傾向がみられる。

⑦ 各種習い事の中で「既習」または将来的に「習う展望がある」とする回答が最も多い

のは「学習塾」で、「スイミング」がそれに次ぐ。ただし 2011 年調査と比較する

と、ほとんどの習い事で「既習」あるいは「習う展望がある」とする回答の割合が下

がっている。

現代における子どもと音楽とのかかわり ―4、5歳児の保護者へのアンケート調査結果から―

ヤマハ音楽研究所 調査レポート

2013年5月

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ヤマハ音楽研究所 調査レポート「現代における子どもと音楽とのかかわり」

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1 アンケート調査の概要

【調査テーマと目的】

ヤマハ音楽研究所では、現代における子どもと音楽とのかかわりを多角的にとらえ、子

どもの音楽生活や音楽を取り巻く環境の実態と、保護者の考え方を把握することを目的と

して2011年と2013年にアンケート調査を実施した。対象となっている子どもの年齢は4~5

歳で、それはヤマハ音楽教育システムでは幼児科を開始する時期に当たる。本レポートで

は、経年変化をたどるべく前回2011年調査結果と2013年の調査結果との比較分析を試みる。

【調査方法】

本アンケート調査はヤマハ音楽研究所研究開発室スタッフが企画・実施したもので、実

務の一部はNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社へ委託した。

調査方式はgooリサーチを通したインターネット調査を用いた。

【対象と抽出方法】

調査会社のモニター母集団に予備調査を実施し、このうち 4 歳児ないし 5 歳児の子ども

がいて、家族で同居しているとした回答者にアンケート調査の協力を依頼した。

【調査時期】2013年3月4日から10日

【主な調査項目】

(音楽活動)家庭での音楽活動/家庭で音楽を聴くときに使用する機器/子どもが家庭で

親しむ楽器/よく聴く音楽のジャンル/同居家族の音楽体験/家庭、幼稚園、保育所等以

外での音楽イベントやコンサートへの参加機会

(習い事)(0 歳~4、5 歳まで)ある習い事を開始した年齢/(4、5 歳以降)ある習い事

を開始したいと考える年齢/習い事にかかる費用 ほか

【回答者の基本属性】

調査対象は 4 歳児または 5 歳児の保護者とし、今回調査の総サンプル数は 1,030 名であ

った。そのうち 353 名が男性(父親)、677 名が女性(母親)で、525 名が主婦(主夫)を

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専業としている。回答者の子どもは、517 名が男の子、513 名が女の子で、子どもの

92.8%は幼稚園あるいは保育所へ通っていた。(図 1-1~1-2)

【参考:前回調査】

実施時期:2011 年 2月 3日から 10日/対象:4歳児または 5歳児の子どもと同居する保護

者 1,042 名/調査方法:gooリサーチを通したインターネット調査

1042

616

426

1030

677

353

0 200 400 600 800 1000 1200

図1-1 サンプル数(保護者)

2013年 2011年

1042

519

523

1030

513

517

0 200 400 600 800 1000 1200

女子

男子

図1-2 サンプル数(子ども)

2013年 2011年

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2 社会的背景とその変化

はじめに――東日本大震災の発生とその後

前回の調査から今回調査の実施まで、2 年というスパンがあった。その間、2011 年 3 月

11 日に東日本大震災が起きて、東北地方を中心として各地に甚大な被害をもたらすと同時

に、世界にも大きな衝撃を与えた。この震災と福島第一の原発事故は日常生活に目に見え

ない不安感をもたらし、社会の在り方、政治・経済の方向性、家族との時間や余暇の過ご

し方といったものに対する価値観に影響を与えた。その大きさを測ることはできないが、

決して小さくはないだろう。それでは、子育てや教育、あるいは芸術文化や音楽をめぐる

状況に関して、2年という短い間に顕著な変化はみられるのだろうか。

進む少子化と子ども向けビジネスの拡大

総務省統計局による推計によると、2011 年において 4歳児の人口は 1,070千人(男:548

千人、女:522 千人)、5 歳児の人口は 1,062 千人(男:544 千人、女:518 千人)であっ

た。4、5 歳児を含む年少人口(0~14 歳)が総人口に占める割合は、1975 年(24.3%)以

降一貫して低下を続け、2012年(13.0%)には過去最低を記録している。

このような少子化を背景として、子ども 1 人あたりに投じられる支出の家計における比

重は大きくなる傾向が、震災以前からたびたび指摘されてきた。近年では親の支出以外に

も祖父母から孫への援助も増加傾向にあるといわれている。こうして消費が低迷する中に

あっても、子どもに関連するビジネスの総市場は堅調を維持してきた。しかし、矢野経済

研究所の調査によればそのピークは 2006 年で、それ以降はマイナス基調での推移が続い

ている1。この調査の対象は 15 歳以下の中学生までの世代を対象としたマーケットで、ヤ

マハ音楽教室を含む「子供習い事教室」は「教育サービス・用品」(2012 年市場規模 2 兆

4,379 億円)に位置付けられる2。

ここで、参考に「子供習い事教室」市場の推移と動向を確認しておこう。子ども関連市

場全体の推移と同様に、習い事教室市場も 2006 年をピークに 2007 年以降は縮小傾向が続

1 2012年の市場規模は11兆3,505億円。この調査は基本的に15歳以下の中学生までの世代を対象

としたマーケットを取り扱っており、玩具をはじめとする「娯楽用品・レジャー」や「ベビ

ー・子供向けサービス」等、幅広く調査を行っている。(矢野経済研究所『子供市場総合マー

ケティング年鑑 2012年版』)。 2 同調査では「学習塾」「幼児・子供英会話教室」「幼児・学生向け通信教育」は、「子供習

い事教室」とは別項目として取り扱われている。

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き、2012 年は前年度比 0.7%減の 4,190 億円と推計されている。特に 2011 年には震災の影

響で、家計の習い事への消費支出は大幅に抑制された。しかし、ヤマハ、カワイの音楽教

室の生徒数は横ばいを維持し、それが市場を下支えしていると、同調査は分析している。

また、習い事教室の内容は科学教室、工作教室、お料理教室というように多様化が進んで

おり、サービスの充実が図られていると言えるだろう。

スマートフォンの急速な普及

今日の芸術文化活動について考える上では、私たちが音楽を楽しむ際に使用しているメ

ディアの多様化が進んでいることにも留意する必要があるだろう。博報堂 DY グループ・

スマートデバイス・ビジネスセンターが、2012 年に行った「全国スマートフォンユーザー

1000 人定期調査」の第 4 回調査結果によれば、国内スマートフォン保有率は 39.1%であっ

た3。この調査は同年 11 月 23~25 日の間、高校生~69 歳の男女のスマートフォンユーザ

ー1,000 人(スクリーニング調査 1 万人)を対象に、インターネットアンケートにて行わ

れたもので、2011 年 2 月の初回調査時こそ 5.3%だったものが、約 2 年弱で急速な伸びを

みせ、2012 年までに約 4 割に迫ったことを示している。また、総務省も平成 24 年度版情

報通信白書を通じ、「スマートフォン等の急速な普及は、世界の移動体通信事業及びその

関連産業の視界を一変させつつある4」として、スマートフォン世界市場の拡大見通しを示

している。スマートフォン用に、音楽に関連するゲームをはじめ多種多様なアプリが開発

されているのも周知のとおりである。

そのため今回調査では、質問項目および回答の選択肢を原則的に 2011年調査の際のもの

を踏襲しつつ、「子どもが音楽を聴くとき、あるいは保護者が子どもに音楽を聴かせると

きに使用する機器」に関する質問で「スマートフォン・携帯電話」および「タブレット端

末(iPad 等)」の選択肢を新たに追加した。詳細は後述するが、結果、20%超える保護者

からスマートフォン等をオーディオ再生機器として活用しているという回答が得られた。

本レポートは「子どもの音楽とのかかわり」をテーマとすると同時に、4、5 歳児の生活に

おいて家庭で過ごす時間の比重の大きさから、保護者の嗜好が子どもに与える影響を勘案

し、家庭での子どもの音楽環境をつくる保護者自身の音楽の楽しみ方や意識についても一

部言及していく。

3 http://www.hakuhodody-holdings.co.jp/news/pdf/HDYnews130212.pdf(最終閲覧日:2013年5月1日)。

4 http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h24/html/nc122110.html(最終閲覧日:2013年5月1日)。

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子ども向けコンサートや参加型イベントなど、音楽を楽しむ場の多様化

以上の他、芸術文化を取り巻く状況に関して言えば、近年の特徴として、公立文化施設

をはじめとする公的機関などによる、対価を支払うことを前提とした習い事や教育サービ

スとは異なる形態の子ども向け企画が増加傾向にある。これらは必ずしも無料ではないが、

廉価である場合がほとんどで、目的は子育て支援や芸術文化振興などさまざまである。代

表例として挙げられるのが、公立の劇場やコンサートホールが行うアウトリーチの事業で、

地域創造の調査によれば、全国の専用ホールでは 25.9%(974 施設中 251 施設)もの施設

が何らかの手法を用いてアウトリーチを実施している5。これらは学校やコミュニティ・福

祉施設等を訪問する形態のものが多いので、4、5 歳児には直接的に影響がないように思わ

れるかもしれない。しかし、今回の調査でも、専門の音楽家ないしアーティストによる活

動が幼稚園や保育所で行われることも事例も少数ではあるが確認されている。

なお、乳幼児の習い事として人気の高いリトミックも、カルチャーセンターや地域の文

化施設に講師が派遣される形でしばしば実施されている。また、専用ホールにおいても、

従来の親子コンサートが発展し、「0 歳児からのコンサート」のような企画もよく目にする

ようになった。これは、教育サービス全体が、その対象年齢を低年齢化し、対象年齢の拡

大を図っている傾向とも一致している。

5 (財)地域創造「平成19年度 地域の効率文化施設実態調査」報告書。「アウトリーチ」とは、ホール

外で実施するワークショップなどの体験型事業やミニコンサートなどを、「専用ホール」とは、「コンサ

ートホール、劇場、多目的文化ホール、能楽堂、オペラハウス、映像ホールなど、舞台芸術の公演を主用

途とする施設」を指す。

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3 現代における子どもと音楽

3.1.家庭における子どもの音楽活動

【音楽活動に費やす時間】(図 3-1-1~3-1-5)

図 3-1-1~3-1-5 は、家庭において「音楽を聴く」「歌を歌う」「楽器を演奏する」「音楽遊

びをする」「音楽ゲームをする」といった音楽的な活動に費やす時間を図示したものであ

る。

上記 5 つの活動のうち、一定の活動の機会をもつとする割合が最も高いのが「歌を歌

う」、次いで「音楽を聴く」が高く、「音楽遊びをする」「楽器を演奏する」「音楽ゲー

ムをする」の順となる。

「音楽を聴く」「歌を歌う」「音楽遊びをする」では、前回と同様、今回の調査でも

「週に 2時間未満」が最も多い。

「楽器を演奏する」「音楽ゲームをする」では、前回と同様、今回の調査でも「ほと

んどしない」が最も多く、一定の機会をもっているとする回答の中では、「週に 2 時

間未満」が多い。

今回の調査では、どの活動においても「2 時間以上」とする回答が前回より少なくな

っている。

今回の調査では、「音楽ゲームをする」を除く 4 つの活動で「ほとんどしない」が前

回より多くなった。

「楽器を演奏する」と「音楽遊びをする」では子どもの性別による違いが大きく、そ

れらを「ほとんどしない」とする割合は「男の子」の方が「女の子」より 20 ポイン

ト以上高い(楽器の演奏:男の子 67.9%、女の子 44.1%、音楽遊び:男の子 52.4%、

女の子 31.8%)。

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※一週間あたりの時間数(h=hour)

35.0

51.1

11.0

2.0

1.0

27.5

52.3

14.7

3.9

1.5

0% 20% 40% 60% 80%

ほとんどしない

2h未満

2h以上5h未満

5h以上10h未満

10h以上

図3-1-1 音楽を聴く

18.3

62.5

12.8

3.8

2.5

14.7

59.7

17.9

4.5

3.2

0% 20% 40% 60% 80%

ほとんどしない

2h未満

2h以上5h未満

5h以上10h未満

10h以上

図3-1-2 歌を歌う

56.0

36.8

6.0

0.8

0.4

52.1

37.5

7.9

2.1

0.4

0% 20% 40% 60% 80%

ほとんどしない

2h未満

2h以上5h未満

5h以上10h未満

10h以上

図3-1-3 楽器を演奏する

42.1

45.1

9.2

2.0

1.5

36.8

44.0

13.8

3.6

1.9

0% 20% 40% 60% 80%

ほとんどしない

2h未満

2h以上5h未満

5h以上10h未満

10h以上

図3-1-4 音楽遊びをする

71.3

21.0

5.2

1.5

1.1

72.4

18.5

6.9

1.1

1.2

0% 20% 40% 60% 80%

ほとんどしない

2h未満

2h以上5h未満

5h以上10h未満

10h以上

図3-1-5 音楽ゲームをする

2011年

2013年

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【音楽活動をともにする相手】(図 3-2-1~3-2-5)

また、図 3-2-1~3-2-5 は、「音楽を聴く」「歌を歌う」「楽器を演奏する」「音楽遊びをす

る」「音楽ゲームをする」といった音楽的な活動を子どもが誰と一緒に行っているかを示

している。

今回の調査では、上記 5 つの活動のすべてにおいて「ひとりで」の割合が前回より高

くなっている。

「音楽ゲームをする」を除く 4 つの活動では、前回と同様、今回の調査でも「母」が

最も多い。ただしいずれにおいても前回よりポイントは低くなっている。

今回の調査では、「音楽を聴く」「歌を歌う」で「母」の次に「父」が多い。

きょうだいに関する結果については、どの活動においても前回と同様に「弟妹」より

も「兄姉」の方が多い。調査対象となる子どもが 4、5歳児という年齢で、その「弟

妹」も乳幼児であることを考えると、ごく妥当な結果である。

今回の調査では、どの活動においても「祖父母」の回答も前回より少なくなっている。

以上から、前回と比べて、家庭において親子や家族で音楽活動をして過ごす機会は

減少傾向にあると推察される。

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0.1

6.9

2.1

22.1

27.5

79.1

48.2

0.0

4.4

4.8

24.0

32.7

84.5

50.1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

その他

ひとりで

祖父母

弟妹

兄姉

図3-2-1 音楽を聴く

0.1

17.1

5.6

19.5

25.9

66.5

26.0

0.0

13.3

7.0

22.7

29.9

70.2

26.2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

その他

ひとりで

祖父母

弟妹

兄姉

図3-2-2 歌を歌う

0.2

24.7

2.4

15.2

24.1

52.1

18.5

0.2

18.2

4.4

16.6

27.7

55.9

19.8

0% 20% 40% 60% 80% 100%

その他

ひとりで

祖父母

弟妹

兄姉

図3-2-3 楽器を演奏する

0.0

18.0

4.4

21.6

25.3

61.6

20.8

0.6

15.6

7.3

25.9

26.3

64.0

22.6

0% 20% 40% 60% 80% 100%

その他

ひとりで

祖父母

弟妹

兄姉

図3-2-4 音楽遊びをする

0.0

14.5

1.4

17.2

42.9

44.6

41.6

0.3

8.7

2.8

17.0

53.5

50.3

44.1

0% 20% 40% 60% 80% 100%

その他

ひとりで

祖父母

弟妹

兄姉

図3-2-5 音楽ゲームをする

2011年

2013年

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【子どもが音楽を聴くとき、あるいは保護者が子どもに音楽を聴かせるときに使用する機

器】(図 3-3)

家庭で音楽を聴くときに使用される機器の中では、前回と同様、今回の調査でも「カ

ーオーディオ」が最も多い。移動中に音楽を聴くというライフスタイルが推察される。

今回の調査で追加された選択肢である「スマートフォン・携帯電話」は 23.1%を占め

ていた。この「スマートフォン・携帯電話」や「携帯型プレーヤー」などを通して音

楽を聴く場合、コンポなどオーディオ機器に接続するのか、ヘッドホンやイヤホンを

用いるのかといった方法について今回の調査では明らかにしていないが、子どもがひ

とりで音楽を聴いている可能性は十分考えられる。

*2013年調査の際に新たに追加した選択肢

1.1

9.0

6.5

12.2

23.1

42.4

46.3

47.5

49.7

1.2

10.7

13.0

45.6

57.1

61.4

62.4

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

その他

タブレット端末(iPadなど)*

ラジオ

携帯型プレーヤー

スマートフォン・携帯*

パソコン

テレビ(DVD等の再生含む)

家庭用オーディオ

カーオーディオ

図3-3 子どもが音楽を聴くときに使用する機器

2011年

2013年

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【子どもが家庭で親しむ楽器】(図 3-4)

子どもが家庭で親しんでいる楽器では、前回と同様、今回の調査でも「おもちゃ楽器」

が最も多い。ただし前回より今回は 10ポイント以上下がっている。

「おもちゃ楽器」以下、割合の高かった順に楽器を並べると、前回と同じ傾向を示し

た。しかし、「ピアノ」と「和楽器」を除くほとんどの楽器において、前回よりも所

有率が下がっている。

今回の調査では、「家に楽器なし」が前回より 5ポイント以上増えて 26.4%だった。

ここでは子どもの性別による違いが大きく、「男の子」では 35.4%にのぼっており、

「女の子」との差は前回の 13.5 から 18.1 ポイントに広がった。

以上、前回と比較すると全体的に、家庭における音楽活動に積極的な関心を示す層とそ

うでない層、あるいは親子で音楽活動の時間をもつ層ともたない層とのあいだに、やや

開きがあると推察される結果となった。

26.4

1.8

0.7

0.3

1.5

2.0

2.7

15.5

15.8

14.7

14.8

44.2

19.3

4.0

0.5

0.6

2.5

3.0

3.9

13.3

17.1

17.6

18.9

55.7

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60%

家に楽器なし

その他

和楽器

バイオリン

パーカッション

電子オルガン

ギター

ピアノ

電子ピアノ

キーボード

鍵盤ハーモニカ

おもちゃ楽器

図3-4 子どもが家庭で親しむ楽器

2011年

2013年

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3.2.保護者の音楽活動

これまで述べてきたような家庭における子どもの音楽活動は、調査対象の子どもが 4、5

歳という年齢であることから、日常生活をともにする家族の影響をおおいに受け得るもの

と考えられる。ここでは保護者自身の音楽活動の傾向について触れておきたい。

【同居家族の音楽体験】(図 3-5)

図 3-5は、同居家族の中に音楽の習い事をしている、あるいは音楽を趣味としている方

がいるかどうかを示したものである。

今回の調査では、前回と同様、「いない」が最も多く、前回よりポイントも上がって

いる。

家族に音楽を愛好するひとがいるとする回答の中では「母」、次いで「父」が多い。

また、「兄」よりも「姉」、「祖父」よりも「祖母」が多いというように性差による違

いがみられる。

今回の調査では、「兄」を除くどの項目でも、前回よりも割合が下がっている。

62.9

0.2

0.8

0.4

0.9

0.5

6.5

2.8

22.9

17.5

56.8

0.6

2.1

1.2

1.1

0.8

7.7

2.3

25.2

18.6

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

いない

その他

祖母

祖父

図3-5 音楽を習う/趣味とする同居家族

2011年

2013年

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【保護者の音楽活動に費やす時間】(図 3-6-1~3-6-5)

図 3-6-1~3-6-5 は、アンケートに回答した保護者自身が「音楽を聴く」「歌を歌う」「楽

器を演奏する」「音楽遊びをする」「音楽ゲームをする」といった音楽的な活動に費やす時

間を図示したものである。

全体的な傾向として今回と前回とでは、大きな変化はみられない。

5 つの活動のうち、一定の活動の機会をもつとする割合が最も高いのが「音楽を聴く」、

次いで「歌を歌う」が高く、「楽器を演奏する」「音楽ゲームをする」「音楽に合わせ

てダンスをする」の順となる。

「音楽を聴く」を除く 4 つの活動では、前回と同様、今回も「ほとんどしない」が最

も多い。

今回の調査では、どの活動においても「ほとんどしない」の割合が前回より高くなっ

ている。中でも「音楽を聴く」では、10ポイント近く「ほとんどしない」が増えた。

今回の調査では、どの活動においても、一定の機会をもっているとする回答の中では

「週に 2時間未満」が多い。

「2 時間以上」とする回答については、ほとんどの活動において前回より割合が下が

っている。

子どもに関する結果と同様に、今回の調査結果では保護者自身の音楽活動に費やす

時間にも短縮傾向がみられた。

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※一週間あたりの時間数(h=hour)

32.6

42.5

15.0

5.9

3.9

21.8

43.5

22.6

6.7

5.4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ほとんどしない

2h未満

2h以上5h未満

5h以上10h未満

10h以上

図3-6-1 音楽を聴く

67.4

28.7

2.5

0.9

0.5

62.2

30.5

5.4

1.1

0.9

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ほとんどしない

2h未満

2h以上5h未満

5h以上10h未満

10h以上

図3-6-2 歌を歌う

84.2

13.2

1.7

0.4

0.6

80.9

14.2

3.4

0.9

0.7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ほとんどしない

2h未満

2h以上5h未満

5h以上10h未満

10h以上

図3-6-3 楽器を演奏する

93.3

5.3

0.9

0.2

0.3

90.4

7.7

1.2

0.5

0.3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ほとんどしない

2h未満

2h以上5h未満

5h以上10h未満

10h以上

図3-6-4 音楽に合わせダンス

85.7

11.3

1.7

0.7

0.7

81.4

13.5

3.6

0.7

0.9

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ほとんどしない

2h未満

2h以上5h未満

5h以上10h未満

10h以上

図3-6-5 音楽ゲームをする

2011年

2013年

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3.3.親子の音楽的嗜好

子どもと保護者の音楽的な諸活動の中で、特に「ほとんどしない」という回答の少なか

った活動は「音楽を聴く」であった。それでは、日頃家庭でどのような音楽を聴いている

のだろうか。

【家庭でよく聴く音楽ジャンル】(図 3-7-1~3-7-2)

今回の調査では、「童謡」「アニメソング」「クラシック」「ジャズ」「J-POP」「洋楽(ポ

ップス・ロック・ラテン等)」「クラブミュージック(ヒップホップ、R&B、ハウス、テク

ノ、レゲエ等)」から、「日頃聴く音楽ジャンル」と、その中で「最もよく聴く音楽ジャン

ル」について、子どもと保護者にそれぞれ質問した。その結果を図 3-7-1~3-7-2 に示した。

全体的な傾向として今回と前回とでは、大きな変化はみられない。

今回の調査では、前回同様、子どもの「日頃聴く音楽ジャンル」で「アニメソング」

と「童謡」が多く、保護者の「日頃聴く音楽ジャンル」では「J-POP」が最も多い。

「日頃から聴く音楽ジャンル」と「最もよく聴く音楽ジャンル」の結果は、ほとんど

同じような傾向を示す。子どもでは「アニメソング」と「童謡」が多く、保護者では

「J-POP」が多い。

子どもと保護者で比較しても、「童謡」と「アニメソング」を除けば大きな違いはみ

られない。今回の調査では、「子どもの最もよく聴く音楽ジャンルを J-POP」とする保

護者の 88.6%は自身のそれも「J-POP」としており、「洋楽」についても「子どもがそ

れを最もよく聴く」とした保護者の 66.7%が、自身の回答でも「洋楽」を選択してい

る。「子どもの最もよく聴く音楽ジャンル」で「アニメソング」ないし「童謡」を選

択した保護者の多くも、自身のそれを「J-POP」ないし「洋楽」を選択しているため、

保護者の回答では「J-POP」と「洋楽」が高比率を占める分布となる。

「クラブミュージック」と「ジャズ」では子どもと保護者の「最もよく聴く音楽ジャ

ンル」は 100%一致する。

「子どもの最もよく聴く音楽ジャンルをクラシック」とする保護者の回答では、

38.9%が自身も「クラシック」を、同率の 38.9%が「洋楽」を「最もよく聴く」とし

ている。

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81.4

71.7

44.2

12.3 9.6

4.6 2.6 2.3

84.1

74.6

54.0

17.2

12.1

5.2 3.4 2.8

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

図3-7-1 子どもの聴く音楽ジャンル

2013年

2011年

最もよく聴く(2013)

最もよく聴く(2011)

25.4

18.5

82.4

44.2

20.9

14.2 12.3

2.7

32.3

21.2

86.1

50.7

23.5

15.6 14.7

2.7

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

図3-7-2 保護者の聴く音楽ジャンル

2013年

2011年

最もよく聴く(2013)

最もよく聴く(2011)

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3.4.親子の音楽活動の場と機会

前述のとおり、近年ではさまざまな社会サービスが生まれ、子どもの音楽活動の場や機

会も多様化している。

【幼稚園・保育所での専門家による音楽活動の機会】(図 3-8)

今日、プロの音楽家や芸術団体が、主な活動拠点だったコンサートホール以外の場所に

自ら赴いて演奏活動することが増えた(これを一般にアウトリーチという)。その訪問先

には幼稚園や保育所も含まれる。「幼稚園や保育所における専門家による音楽の時間」に

関する結果を示したのが図 3-8である。

全体的な傾向として今回と前回とでは大きな変化はみられず、「ない」が最も多い。

一定の活動機会をもっているとする回答の中では、「週 1 回」が最も多い。定期的に

幼稚園ないし保育所のプログラムに組み込まれていると推察され、その割合は前回と

同様に今回の調査でも 10%前後だった。しかし、「月 1 回」から「週 2 回以上」まで

の回答を合わせると、今回の調査では前回よりポイントが微減している。

2.7

2.7

9.4

10.8

5.9

4.8

3.3

5.4

9.8

8.3

4.9

4.4

64.0

63.5

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2013年

2011年

図3-8 幼稚園・保育所における専門家による音楽の時間

週2回以上 週1回 月2,3回程度 月1回程度 年数回 年1回 ない

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【家族で参加型イベントやコンサートに行く機会】(図 3-9-1~3-9-3)

近年では、幼い子どもでも楽しむことのできるさまざまな工夫のなされたコンサートや

ワークショップの企画が増えた。かつては多くの音楽イベントに未就学児は参加・鑑賞不

可能であった。現在、こうした活動はどのくらい広まっているのだろうか。図 3-9-1 は家

族で音楽イベント等の参加型の催しに行く頻度を、図 3-9-2 と 3-9-3 は子どもおよび保護者

のコンサートへ行く頻度をそれぞれ示している。

全体的な傾向として今回と前回とでは大きな変化はみられず、いずれも「ない」が最

も多い。

前回の調査における「家族で参加型の催し物に行く頻度」と「子どもがコンサートへ

行く頻度」では、「男の子」の回答の方が「女の子」より「ない」の割合が高かった。

しかし、今回の調査では「女の子」の方でも「ない」の割合が高くなったことにより、

全体的にも「ない」が微増した。

一定の活動機会をもっているとする回答の中では、いずれも「年 1 回」が最も多い。

それは前回も今回も同じ結果であった。「保護者がコンサートへ行く頻度」で「年 1

回」が微増しているが、ほかの 2 項目における「年 1 回」では前回より割合が下がっ

ている。

「保護者がコンサートへ行く機会」の結果は、「子どもがコンサートへ行く頻度」と

ほぼ同じ傾向を示す。このことは、今回も前回も共通している。基本的に 4、5 歳児

が単独でコンサートへ行くことは考えづらいので、当然のことながら保護者の鑑賞活

動や音楽への関心が、とりわけ家庭以外での子どもの鑑賞活動に影響を及ぼしている

と推察される。

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20

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0.3

0.5

0.9

1.1

1.2

0.6

2.0

3.7

16.1

17.5

16.0

17.2

63.5

59.5

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2013年

2011年

図3-9-1 家族で参加型の催し物に行く頻度

週2回以上 週1回 月2,3回程度 月1回程度 年数回 年1回 ない

0.6

0.2

1.1

1.5

0.9

1.2

7.5

9.6

18.7

21.1

71.3

66.3

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2013年

2011年

図3-9-2 子どもがコンサートへ行く頻度

月2,3回程度 月1回程度 年5回程度 年2,3回程度 年1回 ない

0.9

0.2

0.8

1.2

1.5

1.7

7.4

10.9

21.8

21.3

67.7

64.7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

2013年

2011年

図3-9-3 保護者がコンサートへ行く頻度

月2,3回程度 月1回程度 年5回程度 年2,3回程度 年1回 ない

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3.5.子どもの習い事と音楽

これまで述べてきたような家庭での音楽との触れ合いや、親子でのコンサート等での鑑

賞活動のほかに、子どもが音楽に親しむ活動の形態のひとつとして習い事が考えられる。

【習い事にかける費用】(図 3-10)

図 3-10は子どもの習い事にかける費用を示したものである。

前回の調査では「3 千円以上 6 千円未満」が最も多く、次に「6 千円以上 1 万円未満」

が多かったのに対し、今回では「6 千円以上 1 万円未満」が最も多い。前回より 7 ポ

イント前後上がっている。

習い事に「費用をかけていない」という回答は、前回より今回の方が多く 11.9%だっ

た。

11.9

10.2

13.2

19.0

24.8

26.9

30.2

22.8

12.1

12.6

4.3

5.7

3.5

2.9

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

2013年

2011年

図3-10 習い事にかける費用

費用をかけていない 3千円未満 3千円以上6千円未満

6千円以上1万円未満 1万円以上1,5万円未満 1,5万円以上2万円未満

2万円以上

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【子どもがすでに習っている/習わせる予定のある習い事】(図 3-11)

図 3-11 はそれぞれの習い事における「既習、あるいは今後いずれかの時期で習わせる予

定がある」という回答の割合を示している6。

前回と今回の調査でともに「既習、あるいは今後いずれかの時期で習わせる予定があ

る」とする回答が 50%を超えたのは、「学習塾」「スイミング」「通信教育」である。

しかし 3 つとも前回と比べるとポイントが下がっており、「英語・英会話」も前回は

50%以上だったが今回の調査では 45.9%に下がった。芸術やスポーツに親しむ機会は、

習い事というかたちでなくても実現可能ではあるが、「習い事」として保護者の強い

関心が学習に向いていることを改めて示す結果と言えるだろう。

*スポーツ=サッカー、野球、テニス、ゴルフ等/**武道=剣道、柔道、空手/

***各種ダンス=ヒップホップ、チアリーディング等

6 図3-11に挙げた習い事のほか、「クラシックバレエ」「美術(絵画・造形等)」「バイオリ

ン」「電子オルガン個人」「合唱」「その他音楽レッスン」についても質問したが、本レポー

トでは割愛する。

14.0

11.0

18.0

25.1

22.7

34.8

30.7

36.9

51.0

59.6

58.3

59.8

9.1

10.9

13.1

19.0

23.0

27.8

29.7

35.5

45.9

51.0

52.7

55.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

リトミック

各種ダンス***

音楽のグループレッスン

武道**

体操

スポーツ*

ピアノ個人

習字

英語・英会話

通信教育

スイミング

学習塾

図3-11 既習/習わせる予定のある習い事

2013年

2011年

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【習い事を開始する年齢】(図 3-12-1~3-12-3)

図 3-12-1~3-12-3 は、4、5 歳までに既に習い始めている習い事について、それを開始し

た年齢を示したものである。ここでは「ピアノ個人」「音楽教室(グループレッスン)」

「リトミック」を「音楽系」としてまとめ、それ以外の各種習い事については図 3-11 で挙

げた習い事のうち今回の調査で 20%以上が「既習あるいは習う予定あり」としたものを

「学習系」と「スポーツ系」に分類した。

図 3-12 で挙げた習い事のうち、前回と今回の調査でともに 4、5 歳児までの既習率が

最も高かったのは「スイミング」である。

音楽系では、「ピアノ個人」では年齢とともに習っている層が増え、開始した年齢と

して「4、5 歳」が最も多い。「音楽教室(グループ)」では前回は「3 歳」にピークが

あったが、今回では「4、5歳」が最も多かった。

「リトミック」では、前回と同様に今回も「2 歳」が最も多く、次に「1 歳」が多い。

ピアノなど他の習い事と比較して、早い年齢で開始時期のピークがある点が特徴的で

ある。しかし、今回は前回に比べて「1 歳」(3.5%→1.9%)と「2 歳」(4.4%→2.6%)

の両方の年齢でポイントが下がっている。

学習系の習い事のうち、「英語・英会話」「学習塾」「習字」では「ピアノ個人」と同

様、年齢が上がるにつれて「習い始めた」とする回答が増える。それに対して「通信

教育」では「リトミック」と同様に早い年齢から習い始める傾向がみられ、0~2 歳ま

でにおいては他のどの習い事と比較しても高い割合を示している。しかし、ここでも

「リトミック」のように前回よりポイントが下がっており、0~3 歳時までの回答の合

計では 6.6 ポイントもマイナスとなっている(33.1%→26.5%)。

スポーツ系の習い事では、どれも習い事を開始した年齢として「4、5 歳」が最も多い。

「スイミング」は「3 歳」で割合が高くなり、「4、5 歳児」では 10%を超える。また

今回の調査では、「4、5 歳児」の時点において「体操」が 5.2%から 7.8%に増加して

いた。

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0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

0歳 1歳 2歳 3歳 4,5歳

図3-12-1:習い事の開始年齢(音楽系)

2011/ピアノ個人 2013/ピアノ個人

2011/音楽教室(グループ) 2013/音楽教室(グループ)

2011/リトミック 2013/リトミック

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

0歳 1歳 2歳 3歳 4,5歳

図3-12-2:習い事の開始年齢(学習系)

2011/学習塾 2013/学習塾

2011/通信教育 2013/通信教育

2011/英語・英会話 2013/英語・英会話

2011/習字 2013/習字

0%

2%

4%

6%

8%

10%

12%

0歳 1歳 2歳 3歳 4,5歳

図3-12-3:習い事の開始年齢(スポーツ系)

2011/スイミング 2013/スイミング

2011/体操 2013/体操

2011/スポーツ* 2013/スポーツ*

*スポーツ=サッカー、野球、テニス、ゴルフ等

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【習い事を開始させたい年齢】(図 3-13-1~3-13-3)

図 3-13-1~3-13-3 は、4、5 歳以降、子どもに習わせたいという展望のある習い事につい

て、それを開始させたい年齢を示したものである。

図 3-13 で挙げたほとんどの習い事については、前回と今回の調査でともに習い事の開

始時期として「小学 1、2 年生」が最も多く、次に「4、5 歳」が多い。ただし、「習字」

を除くほとんど習い事で「小学 1、2 年生」における割合が前回より微減している。

小学 3、4 年生以降に「習わせたい」とする回答が増えるのは、前回と同様に今回の

調査でも「学習塾」と「英語・英会話」のみであった。子どもの成長に伴い、保護者

の関心が勉強にシフトしていくものと推察される。

音楽系では、「ピアノ個人」では開始時期として「小学 1、2 年生」が最も多く、それ

以降は激減する。「音楽教室(グループ)」では「4、5 歳」が多く、「小学 1、2 年生」

でもわずかに割合が高くなるものの、それ以降は 1%未満となる。

幼少期に人気の高いとみられる「リトミック」では、「4、5 歳」の時点で「習わせた

い」とする回答が 1%前後で、それ以降も 1%未満となる。保護者の意識として、音

楽系の習い事の開始時期は小学 1、2 年生までという傾向がうかがえる。

学習系の習い事のうち、「習字」「英語・英会話」「通信教育」では「ピアノ個人」と

同様、開始時期として「小学 1、2 年生」が最も多い。特に「習字」では 20%以上と

いう大きなニーズがあることを示している。

それに対して「学習塾」では年齢とともに「習わせたい」とする回答が大幅に増え、

「中学生以上」の時期で 20%を超える。「小学 3、4 年生」以降の時期では、他のどの

習い事と比較しても高い割合である。

スポーツ系の習い事では、「スイミング」と「各種スポーツ」で開始時期として「小

学 1、2 年生」が最も多い。「スイミング」は 4、5 歳までの時点で 10%以上が既習と

回答していること(図 3-12-3)から、習い事としてとても高い関心を向けられている

ことがわかる。

「体操」では「リトミック」と同様に「4、5 歳」以降、「習わせたい」とする回答が

減少していく傾向がみられる。体を動かす習い事として「体操」は幼少期に始めるも

のと考えられているようである。

以上、習い事の内容によって保護者の意識はさまざまであるものの、小学校入学が

習い事の開始を検討するひとつの重要なタイミングとなっていると推察される。

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0%

4%

8%

12%

16%

20%

24%

図3-13-1:習い事の開始予定年齢(音楽系)

2011/ピアノ個人 2013/ピアノ個人

2011/音楽教室(グループ) 2013/音楽教室(グループ)

2011/リトミック 2013/リトミック

0%

4%

8%

12%

16%

20%

24%

図3-13-2:開始予定年齢(学習系)

2011/学習塾 2013/学習塾

2011/通信教育 2013/通信教育

2011/英語・英会話 2013/英語・英会話

2011/習字 2013/習字

0%

4%

8%

12%

16%

20%

24%

図3-13-3:開始予定年齢(スポーツ系)

2011/スイミング 2013/スイミング

2011/体操 2013/体操

2011/スポーツ* 2013/スポーツ*

*スポーツ=サッカー、野球、テニス、ゴルフ等