[特集] 伊達な地域創生戦略 伊達市の人口は、戦後から減少し続け … ·...

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1 10 退28 ◉「せっかくどうも」とは? 伊達市には「せっか くどうも」という方言 があります。これは「こ んにちは」「わざわざあ りがとう」といった意 味を含む深みのある言 葉です。 ◉人口の見通し 国や県の施策と共に、 この戦略を進めること で、2060年(平成72年) の市の人口を 46,000 人 を見通すことが可能と なります。 195025 1970198560 19957 201527 201931 伊達市の人口は、戦後から減少し続けており、 近年はさらに加速している。 市民一人一人が人口減少を考え、新たなまちづくり に取り組むことが重要です。 そのために、市では将来の方向性と地域創生の確 立に向け、『伊達な地域創生戦略~「せっかくどう も」が地域の合言葉~』を策定。 全市民での取り組みから新たなまちづくりを考える。 [特集] 伊達な地域創生戦略 人口減少の克服へ 『チーム伊達』 新たなまちづくりにチャレンジ! 30,000 35,000 45,000 55,000 65,000 46,334 高位パターン (国の人口ビジョンに示された 出生率+純移動率ゼロ) 低位パターン (現状の趨勢で推移) 人口シミュレーション 30,670 40,000 50,000 60,000 70,000 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 2045年 2050年 2055年 2060年 1.5万人の増加 30,670 80,527 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 90,000 0 10,000 20,000 30,000 40,000 50,000 60,000 70,000 80,000 90,000 1950 S25 西暦 和暦 総人口 1955 S30 1960 S35 1965 S40 1970 S45 1975 S50 1980 S55 総人口 年少人口 (0~14歳) 生産年齢人口 (15~64歳) 老年人口 (65歳以上) 1985 S60 1990 H2 1995 H7 2000 H12 2005 H17 2010 H22 2015 H27 2020 H32 2025 H37 2030 H42 2035 H47 2040 H52 2045 H57 2050 H62 2055 H67 2060 H72 66,027 48,383 国勢調査を基に独自で算出した人口 ◉伊達の人口 伊達市は、国や県よ りも早いスピードで人 口減少と少子高齢化が 進展しています。将来 の人口は、2035 年(平 成 47 年 ) に は 5 万 人 を切り、2060 年(平成 72 年)には、3 万人と なると推計されます。 伊達市の人口推計 人口減少は、消費市場の規模縮小だけではな く、人材不足や地域コミュニティの停滞など、 地域社会のさまざまな側面に影響を及ぼす可 能性があります。 はじめに 0 特 集  伊達な地域創生戦略 5 4

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1

概要

「せっかくどうも」が

地域の合言葉

少子高齢社会への対応を目指し、合併をして10年。

一定の成果を得ることはできたが、まだまだ十分とは言えない。

さらに市民が一つとなって活力ある伊達市を目指す。

人口減少問題克服のため策定

の人口は、戦後から減

少し続けており、近年

の状況ではさらに減少が加速

している状況です。人口の減

少は地域経済の低迷を招き、

伊達市の活力を衰退させるこ

とから、人口減少問題を克服

する必要があります。

 

これを克服するためには、

誰もが人口減少を自分のこと

と考えて、主体的に取り組む

ことが重要です。

 

そのため、目指すべき将来

の方向性と伊達市の地域創生

の確立に向け、今後5カ年の

取り組みを示した『伊達な地

域創生戦略~「せっかくどう

も」が地域の合言葉~』を平

成28年1月に策定しました。

チーム伊達として全市民の

総力を結集し、その実現に

向け取り組んでいきます。

◉「せっかくどうも」とは? 伊達市には「せっか

くどうも」という方言

があります。これは「こ

んにちは」「わざわざあ

りがとう」といった意

味を含む深みのある言

葉です。

◉人口の見通し 国や県の施策と共に、

この戦略を進めること

で、2060 年(平成 72 年)

の市の人口を 46,000 人

を見通すことが可能と

なります。

目指すべき将来の方向性

口が減少すると地域内の

消費活動も減少してしま

うため、地域産業や雇用の場な

どの縮小へとつながり、人口流

出が加速する悪循環を起こす

ことにもつながります。また、

人口減少と高齢化は、さまざま

な分野で大きな影響を及ぼす

ことが懸念されています。

 

伊達市は、1950年

(昭和25年)をピークに急激

な人口減少が続いており、

1970年代から一時人口

が回復したものの、以降毎

年人口が減り続けています。

1985年(昭和60年)以外は、

転出数が転入数を上回る社会

減が一貫して続いています。

 

特に高校卒業後の進学や就

職に伴った転出が目立ち、若

い世代の流出が続いています。

 

また、1995年(平成7

年)以降は、死亡数が出生数

を上回る自然減に転じており、

現在も出生数は減少傾向にあ

る一方、死亡数は増加傾向で

推移しています。人口減少の

抑制や地域社会を維持してい

くためには、これらの課題解

決が不可欠です。

 

市では、この「人口分析結

果」に基づき作成した「伊達な

地域創生戦略~「せっかくどう

も」が地域の合言葉~」を策定

しました。「伊達な地域創生戦

略」は、2015年(平成27

年)から2019年(平成31

年)までの5カ年の数値目標と

その具体策をまとめています。

伊達市の人口は、戦後から減少し続けており、

近年はさらに加速している。

市民一人一人が人口減少を考え、新たなまちづくり

に取り組むことが重要です。

そのために、市では将来の方向性と地域創生の確

立に向け、『伊達な地域創生戦略~「せっかくどう

も」が地域の合言葉~』を策定。

全市民での取り組みから新たなまちづくりを考える。

[特集] 伊達な地域創生戦略

人口減少の克服へ

『チーム伊達』新たなまちづくりにチャレンジ!

30,000

35,000

45,000

55,000

65,000

46,334

高位パターン(国の人口ビジョンに示された 出生率+純移動率ゼロ)

低位パターン(現状の趨勢で推移)

人口シミュレーション

30,670

40,000

50,000

60,000

70,000

2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 2045年 2050年 2055年 2060年

1.5万人の増加

30,670

80,527

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

0

10,000

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30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

80,000

90,000

1950S25

西暦和暦

総人口

1955S30

1960S35

1965S40

1970S45

1975S50

1980S55

総人口年少人口

(0~14歳)生産年齢人口(15~64歳)

老年人口(65歳以上)

1985S60

1990H2

1995H7

2000H12

2005H17

2010H22

2015H27

2020H32

2025H37

2030H42

2035H47

2040H52

2045H57

2050H62

2055H67

2060H72

66,027

48,383

国勢調査を基に独自で算出した人口

◉伊達の人口 伊達市は、国や県よ

りも早いスピードで人

口減少と少子高齢化が

進展しています。将来

の人口は、2035 年(平

成 47 年 ) に は 5 万 人

を切り、2060 年(平成

72 年)には、3 万人と

なると推計されます。

伊達市の人口推計人口減少は、消費市場の規模縮小だけではな

く、人材不足や地域コミュニティの停滞など、

地域社会のさまざまな側面に影響を及ぼす可

能性があります。

増やすのは誇りと愛着

達市の目指すべき地域

創生は、人口減少を憂

うことなく、人口減少下にお

いても生活の質を高め、市民

が誇りと愛着を持てる地域を

目指していきます。

はじめに0

特 集  伊達な地域創生戦略

5 4

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1.伊達にきてくなんしょ

2.おらほの子育て日本一

3.せっかくどうもない

伊達にきてくなんしょ

「地域が家族」地域で子どもを育てる環境づくり

伊達な地域創生戦略伊達な

地域創生戦略

子育てしながら仕事ができる社会づくり

地域の特色を生かした生業づくり

おらほの子育て日本一

せっかくどうもない

しごと×子育てコラボ

地域づくり×しごと  コラボ

子育て×地域づくりコラボ

2

基本目標

何を目指し取り組むのか?

市民へのアンケートやヒアリング、伊達市地域創生有識者会議を実施。

検討を経て、市民に寄り添った3つの基本目標を設定し、

市民協働による「地域創生」を進める。

戦略は伊達らしい3つの柱

略では、「伊達にきてく

なんしょ」「おらほの子

育て日本一」「せっかくどう

もない」の3つの柱を立て

ました。

 

具体的には、「伊達にきて

くなんしょ」は、新しいしご

とを生むイノベーションの強

化と支援、地域特産を活用し

た産業の振興による仕事の創

出や交流拠点を整備するとと

もに、人口の増加に向けた移

住定住に取り組みます。

 「おらほの子育て日本一」

は、出会いから結婚・妊娠・

出産・子育てへの切れ目のな

い支援を行い、若い世代の希

望が実現できる環境づくりを

目指します。

 「せっかくどうもない」は、

健幸都市の実現に向け、「地

域全体が家族」となる環境

づくりを目指し、「健康」を

切り口に、雇用の創出を目

指します。

 

この3つの柱を「目指す

べき将来の方向性」として、

しごとの創出に重点を置き

ながら、社会減の抑制や出

生数の向上などに取り組み

ます。

起業支援と新しいしごとを

生むイノベーションの推進

①企業誘致を行い、経済規模

の拡大を図ります。

②産業の振興支援や人材育成

を進め、地域における雇用の

創出を実現します。

③空き店舗の利活用や家賃な

どの優遇支援を推進し、産学

官連携による多様な起業・第

二創業を後押しします。

④研修や就業体験を強化しな

がら、特に女性の活躍を応援

します。

地域特産を活かした

産業の振興

①製品開発力の強化や未利用

自然地域資源の有効活用を通

じ新たな事業の創出を支援し

ます。

②移住者と市内企業が連携し

た事業の創出や起業を支援し

ます。

しごとをつくり、新しいひとの流れをつくる

③農地の集約化や設備の共同

利用などを進め、経営力を高

めていきます。

④豊富な農産物の「伊達ブラ

ンド」をそろえ販路拡大を強

化します。

交流による移住定住の推進

①伊達の魅力の発信と移住に

係る受入体制を整備し、移住

促進を強化します。

②若者が学校を卒業後も市内

に定住できる環境の整備を推

進します。

③伊達氏発祥の地を活かした

「伊達氏ブランド」の発信と周

遊滞在型観光のプログラムづ

くりに取り組みます。

※ 1:平成 25 年度 ※ 2:70%程度に抑制

指標項目基準値

(※ 1)

目標値

(平成 31 年度)20 歳から 39 歳

までの人口移動数

(転出者超過数)

331 人230 人

(※ 2)

観光入込客数 523,838 人 700,000 人

1. 伊達にきてくなんしょの数値目標

結婚の希望をかなえ、安心し

て産み育てられる環境づくり

①若い世代が安心して働き、

出会い・結婚・妊娠・出産・

子育てがしやすい環境整備に

取り組みます。

②住宅支援や多彩な雇用の創

出などの施策を推進します。

③育児や介護などによる休暇

取得促進とワーク・ライフ・

バランスを推奨する取り組み

を支援します。

感性豊かな子どもの

「生きる力」を育む環境の充実

①「生きる力」を身に付け、

社会に貢献する自立した人

間を育成する取り組みを推

進します。

②学校だけでなく、さまざま

な主体の連携により、絵本の

読み聞かせなどをテーマとし

た子どもの居場所づくりを進

め、個性豊かな「感性」を育

むしくみを構築します。

③子どもの立場と発育・発達

の視点に立ち、製品・環境サー

ビスをとらえた新たな事業の

創出を目指します。

ふるさとへの愛着心と

誇りの醸成

①ふるさとの魅力を実感でき

る地域づくりを推進します。

②学校を地域のコミュニティ

の拠点として位置付け、コミュ

ニティを高め、多くの人が伊

達市の魅力を伝え、高めてい

ける地域づくりを推進します。

③自分が生まれ育つ地域、自

分が暮らす地域の魅力を醸成

する人づくりを推進します。

生涯元気な市民を増やす

健幸都市の推進

①住み慣れた地域の中で高齢

者が元気に住み続けられる環

境を整備していきます。

②元気な市民が暮らしやすい

まちの実現を通じて、首都圏

のアクティブシニアの移住や

二地域居住ができる「生涯活

躍のまち(日本版CCRC

)」

構想について、実現の可能な

地域を選定します。

多様な連携による世代間地域

づくりの推進

①高齢者と子どもが、世代間

交流を通じて共生できるよう

な環境を作ります。

②高齢者のノウハウ・知見を

活用し、子どもをのびのびと

育てることができる環境を構

築します。

③地域全体で子育てを支えあ

う体制づくりを強化します。

④近隣市町村との連携を強化

し、共通する施策をより効率

的に推進していきます。

地域を紡ぐコミュニティづく

りの進展

①小学校区など、複数の集落

が集まる地域において生活機

能を集約した「小さな拠点」

の形成に努めます。

②「小さな拠点」と周辺集落

を結ぶ公共交通の整備を通じ

て持続可能な地域づくりを進

めます。

③市民や各種団体が自ら考え

実践する、協働型のまちづく

りを推進します。

指標項目基準値

(※ 1)

目標値

(平成 31 年度)

婚姻件数 210 件 5 年間で 1,600 件以上

出生数 342 人 5 年間で 2,000 人以上

2.おらほの子育て日本一の数値目標

※ 1:平成 25 年度

若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる

生きがいをもって暮らす健幸都市をつくる

指標項目 基準値目標値

(平成 31 年度)

健康寿命の延伸 ー 向上

小さな拠点の形成数

(常に人が集う拠点)ー 2 カ所

3.せっかくどうもないの数値目標

特 集  伊達な地域創生戦略

7 6

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  ふるさとティーチャリング

  プロジェクト事業

 

現代社会では、ふるさとの

ない若者が増えており、自分

のふるさと、帰れる場所を求

めています。そういった都市

部の若者たちは、縁もゆかり

もない田舎でも気に入ったり、

人と人の結びつきができると

「第2のふるさと」として常に

応援してくれ交流が続きます。

このような首都圏の大学生た

ちを、中山間地域の小学校区

で、寺子屋の講師となっても

らったり、自然を楽しみたい

家族に農業を体験を通して本

市を知ってもらい「第二のふ

るさと」づくりを推進します。

3

先行事業

未来のために

伊達市の地域創生確立に向けて、新しい取り組みを始める。

これからの5年、そして10年、20年後の

明るい未来のために、5つの事業が歩みだした。

  伊達市地域創生

  総合戦略策定事業

 

国は、「まち・ひと・しご

と創生法」(平成26年法律第

136号)を制定し、国民

一人一人が夢や希望を持ち、

潤いある豊かな生活を安心し

て営むことのできる地域社会

を形成すること、地域社会を

担う個性豊かで多様な人材に

ついて確保を図ることおよび

地域社会における魅力ある多

様な就業の機会を創出するこ

との一体的な推進を図ること

としています。

 

市では、法に基づく地方

版総合戦略として、平成27

年1月から伊達市地域創生

  

 

全国でいち早く過疎化現象

の起きた中国地方では、都市

部からの移住定住の動きが活

発化しています。この「田園

回帰志向」の全国的な高まり

を踏まえ、Uターンや大都市

圏の人々のIターンなどの移

住者の相談窓口を設け、移住

者の受け入れを促進します。

 

伊達市では、自然や文化、

農業体験などを通して魅力に

触れ、定住人口や交流人口の

増加につなげるため、これま

でに4回のツアーを開催。

41人が参加をし、うち2人

が伊達市へ移住しました。

1

本部会議を立ち上げ、伊達

市地域創生有識者会議を開

き、市民ワークショップや

アンケートなど、多くの市

民からさまざまな視点で意

見を集め、その視点ごとに

人口シミュレーションなど

を行い、「伊達な地域創生戦

略」を策定しました。

  産前産後子育て

  支援ヘルパー派遣事業

 

家事、育児などについて家

族などの援助が受けられない

妊娠中の人または3歳児未満

の子どもを養育する人に対

し、家事や育児などの支援を

行うホームヘルパーを派遣

し、子育て家庭を支援します。

 

この事業は、利用前に登録

をすれば、9時から20時まで

の間で、一日3時間までの支

援を無料で利用することがで

きます。調理、衣類の洗濯、

部屋の掃除などの家事や、授

乳、おむつ交換、沐浴援助な

ど、妊婦や小さな子どものい

る保護者を支援します。

チラシを見て楽しそうだなと思い、家族 4 人で参加しました。

伊達市の農産物は新鮮で、とても素材がよく、安心して食べることができます。イチゴ狩りでは農家さんが一つのハウスを丸ごと開放していただき、とてもありがたかったです。今度は、霊山のハイキングなどしてみたいです。

「伊達市産の農産物は安心」

東京から参加 古川 久貴さん親子

特 集  伊達な地域創生戦略

35   伊達田園回帰支援事業

4

  

 

イノシシの革を活用し、

商品開発や販売を行い、地

域資源のブランド化と地域

の雇用創出を目指します。

 

この事業は、平成25年度

に試験的に始まり、平成27

年度に猪革プロジェクト事

業として本格的にスタート

しました。伊達市全体で年

間約1000頭のイノシシ

が捕獲されいますが、イノ

シシの革には、放射能の影

響がないことがわかり、そ

の革は耐久性や撥水性に優

れています。また質感も野

性味を感じさせるような上

資源はありますが、製品までにかかるコストを考えて、どの

くらいの規模で進めていけばいいのか、そのバランスを大事に進めています。イノシシの革製品のブランド名が「ino DATE」と決まり、ネット販売も開始します。少しずつですが、販路を拡大して、伊達市の地域資源を復興につなげていきたいです。

「ino DATE を広めたい」

伊達市農林業振興公社 梅津 善幸

質な革なので、「イノシシ革」

を活用した製品を開発し、

伊達市の特産品として発信

していきます。今後は、福

島市のコラッセや、東京の

ミデッテなどで販売する予

定です。

イノシシの革製品

  猪革プロジェクト事業

2

地域おこし支援員の河村さんのお友達から声をかけてもらっ

て参加しました。子どもたちは私ぐらいの年代でも無邪気に接して楽しんでくれます。伊達の人たちはみんな温かくて、東京とは違うし、協力し合っている姿が印象に残りました。今後もこの関係を続けて、伊達市の四季を感じてデザインをしてみたい。

「伊達の人はみんな温かい」

東京工芸大学 加藤 日向さん

若者と子どもたちの交流

 

この事業の一つとして「ふ

くしまティーチャリングツ

アー」が2月24日から27日に

行われ、首都圏などの大学生

や福島学院大の学生9人が参

加しました。このツアーでは、

富成小学校で、児童と一緒に

給食を食べたり、図工の時間

では、大学生が先生となって

子どもたちと一緒に勉強をし

ました。放課後には震災後に

始めたさんまの会(※)で子

どもたちと一緒に運動でふれ

あいました。

2 月 24 日~ 27 日に行われた「ふくしまティーチャリングツアー」

2 月 20 日、21 日に行われた「だてなイチゴ狩りツアー」

※さんまの会:時間・空間・仲間の3つの間の意味からとった放課後の運動教室。

子育て支援ヘルパー(イメージ) 平成 27 年 7 月 25 日に行われた「桃収穫実習」

交流を通してサポーターに

 

田舎暮らしや農業体験を

通して、伊達市の魅力に触

れ、定住や交流人口の増加に

つなげようと2月20日から

21日に「だてなイチゴ狩りツ

アー」が行われ、首都圏など

から23人が参加しました。こ

のツアーでは、霊山町山戸田

地区の農家でのイチゴ狩りや

交流、田舎料理教室などの体

験を行いました。真っ赤なイ

チゴを食べた参加者が「とて

も甘くておいしい」と伊達市

の魅力を堪能しました。

9 8

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笑顔あふれる伊達市

魅力

4地域の交流と魅力を学ぶ

原小学校では、保原ス

クールコミュニティと

地域のボランティアの協力を

得て、総合学習の時間を利用

して、地域の歴史文化の魅力

を調べています。

 

今年度は、6年生131

人が21班に分かれて実施。6

月18日に地域のボランティア

の協力を得て、保原町の長谷

寺や薬師堂など10カ所の歴史

的な文化財などを班ごとに選

んでフィールドワークを行い

ました。

 

その後、班ごとに調べたも

のをまとめ、2月15日、17日

いつも見ている風景、知っているはずの伊達市の魅力。

でも、いざ思い浮かべるとなかなか出てこない。

身近すぎて、そばにある魅力を忘れているのかもしれない。

子どもたちの学習から伊達市の魅力を見つめ直す。

に、ボランティアで協力いた

だいたゲストティーチャーを

招待して、歴史フィールド

ワーク発表会が行われまし

た。班ごとに大きな模造紙や

スケッチブックなどにまとめ

たものを発表。神明宮のお祭

りは、約300年前から続

いていること、厳島神社を調

べ「つつこ引き」は尾張藩主

徳川宗春が、領民に種もみを

分け与え大豊作になったこと

から始まったこと、旧亀岡邸

のガラスはイタリアから輸入

されたものなどが発表されま

した。また、それぞれにクイ

特 集  伊達な地域創生戦略

亀岡 邸 が 一 番印 象 に 残 っ

ています。それは、洋風の外見なのに中は書院造の和風で驚きました。また、 使 わ れ て いるガラスがイタリアから輸入されたもので、とても素

晴らしいものだと思いました。今回のフィールドワークで保原町をたくさん知ることができてうれしかったし、驚きの連続でした。大人になっても、未来のためにこの歴史的文化財を残していきたいです。

6 年 2 組 長ちょうなん

南 宥ゆ う い

生さん

「亀岡邸に驚きました」

フィールドワーク で、 い ろ

い ろ 調 べ ま し たが、一番驚いたのは、神明宮は元々上保原にあったけど、洪水で現在の辺りに流され、村人たちが協力してもう一度建てたこ

とです。昔の人たちの努力があるから、現在もお祭りが続いていると知ることができました。そういった思いでお祭りを見ると、歴史的に続いていくことの素晴らしさを改めて感じました。ずっと続いて欲しいです。

「お祭りが続いていって欲しい」

保 原 町 の 魅 力 を 聞 い た ・ 魅 力 を 紹 介

Vo i c e & A t t r a c t i v e n e s s o f t h e r e g i o n

私は、 亀 岡 邸の 中 が 書 院

造というもので、とても歴史があるのに、今も残っていてすごいと思いました。そのほかに、使われている木材が太いものや高級なものが使わ

れていて、亀岡家はとても裕福だったことがわかりました。このフィールドワークで、未来のために残してくれた人たちがいてくれたから、学ぶことができました。私も大人になったら、残すことに協力したい。

「私も未来のために協力したい」Voice

6 年 3 組 木幡 凜り ん か

果さん

6 年 2 組 井間 翼さん

ズを出題し、発表を聞く子ど

もたちと一体となって理解を

深めました。

 

発表後には、「フィールド

ワークの後も、疑問に思っ

たことを電話で聞いてきた

り、とても熱心に勉強して

くれた」「歴史をつないで

いきたいと言ってくれてう

れしかった」など、ゲスト

ティーチャーが感心するほ

ど、子どもたちは保原地域

の歴史文化の魅力に真っ直

ぐに向き合い、新たな発見

を重ねることで、その歴史

をつなぐ意識を高めました。

1. 班ごとにまとめたものを、手作りの指し棒を使い、わかりやすく発表 /2. フィールドワークでゲストティーチャーから学ぶ(平成 27 年 6 月)/3. 発表を真剣に聞きながらメモを取る子どもたち /4. 発表後にゲストティーチャーから「よく調べています。素晴らしい発表でした」と講評

子ど も た ち に郷 土 愛 を 育

ん で も ら い た いと 思 い、 先 生 方と協力してゲストティーチャーを引き受けました。子どもたちは、興味津々で、目の色が輝いていました。

保原町は蚕都として栄えました。子どもたちはその成り立ちを一生懸命に理解しようとしてくれ、発表も素晴らしい内容で、とてもうれしかったです。私自身もとても勉強になりました。

「歴史文化から郷土愛を」

ゲストティーチャー 遠藤 利夫さん

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「旧亀岡家住宅」

明治 30 年ごろ、伊達崎村(現桑折町)の亀岡正元により建築された。外見はモダンな洋風、内部は純和風の書院造りとなっている。平成 7 年に現在の保原総合公園内に移築復元された。

Attractive「天照神明宮」

今から遡ること千年余りの昔から、保原地域に鎮座していると言われています。毎年 10 月に、秋季例大祭が行われ、山車が練り歩き伊達地方独特の太いバチで迫力のある太鼓の音が響き渡ります。

Attractive

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Page 5: [特集] 伊達な地域創生戦略 伊達市の人口は、戦後から減少し続け … · 2010年 2015年 2020年 2025年 2030年 2035年 2040年 2045年 2050年 2055年 2060年

伊達こそ日本一のふるさと「せっかくどうも」の合言葉のような地域

の特色を生かした伊達にしかできない、

伊達らしいまちづくりを。

地域が好き!地域を好きという気持ちが大事。

自分の住んでいる地域のいいところを見

つけよう。そこから誇りが生まれてくる。

「せっかくどうも」と

あいさつや

 

感謝の気持ちが

   飛び交うまちに。

 人口減少は、伊達市だけの問

題ではなく日本全体の問題で

もあります。しかし、ただ待っ

ていても何も解決できません。

元気で活気あふれるまちをつ

くるのは人です。市民一人一

人が意識をもって考えて行動

することで、伊達らしい誇りや

愛着が生まれるのではないで

しょうか。そして人と人が助け

合うことで、感謝の気持ちが生

まれ、「せっかくどうも」と親

しみのあるあいさつが広がり、

飛び交っていくでしょう。

 伊達らしいふるさとを目指

して。

 伊達な地域創生戦略の詳細

については、伊達市ホーム

ページをご覧くいただくか、

総合政策課(市役所保原本庁

舎2階)または各総合支所

で配布しています。

問総合政策課政策調整係

 ☎575‐1142

特 集  伊達な地域創生戦略

自分たちの力を信じること

 

東京だけが日本ではない!

「伊達こそどこにも負けないふ

るさと」と誇りを持てるよう座

長として委員の人たちの熱意

が結集できるよう努めました。

 「地域づくりに王道なし」と言

います。早急に結果を求めるの

ではなく、直実に必要な政策を

実行していくことが大事な点で

す。「せっかくどうも」の合言

葉に象徴されるように地域の特

色を活かした伊達でしかできな

い、伊達らしい、全国に誇れる

戦略と評価されると思います。

 

市民は傍観者ではありませ

ん。市民自らの戦略として何

が自分たちでできるかを考え

自分で行うことが大切です。

市長や市議会はこの戦略に即

して政策を実行してくれるで

しょう。しかし、行政に依存

するのではなく自らの力を信

じて誇りをもって進んでもら

いたいと思います。問題点を

一つ一つ着実に解決していく

地道な努力にこそ「明日の伊

達」があると思います。「伊達

こそ日本一のふるさとだ。」と

胸を張って頑張ってください。

話策 定 に 携 わ っ た ひ と に 聞 い た

S P E C I A L I N T E R V I E W

ないき・しげる●帝京大学教授(法学博士)英国バーミンガム大学名誉フェロー。旧自治省に入省し、大分県「一村一品運動」、竹下内閣「ふるさと創生事業」を立案。また、英国に外交官や自治体の代表として地方自治の交流に努めの JET 事業を創設。国・自治体の審議会会長を務める。

内貴 滋さん

伊達市地域創生有識者会議座長帝京大学経済学部地域経済学科教授

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子どもは親の背中を見ている

 

私は農業に携わっているの

で、この会議に参加して、「農

業」という産業がもっと活発

になっていけば、そこに雇用

が生まれ、人が集まってくる

と考えました。生産だけでは

なく、売ることまで考えるこ

とで、生産意欲が湧き、活気

が出てくると思います。

 

子育て支援に取り組むのは

もちろんですが、親の支援、

特に親の教育に力を入れて

いって欲しいです。セミナー

などを開いて親として子ども

とどう向き合えばいいのか考

えることで、人として地域の

ために活動し、その姿を子ど

もたちに見せることで、きっ

と子どもたちが伊達市を好き

になると思います。

 

何もないではなく、自分の住

んでいる地域の良いところを発

見することで、地域の自慢とな

り、誇りになり、良い循環を生

むのではないでしょうか。小さ

な子どもからお年寄りまで、笑

顔の絶えない伊達市「せっかく

どうも」が常に聞こえるまちに

なって欲しいです。

おおはし・しょうたろう● 1984 年伊達市霊山町生まれ。福島県立農業短期大学卒業。短大卒業と同時に栃木県壬生町のイチゴの先進農家で修行し、その後、家業のイチゴの栽培に従事。平成 26 年に農業法人株式会社松葉園を設立し、代表として父から経営を引き継ぐ。現在は、未来ある農業を目指して奮闘中。

大橋 松太郎さん

伊達市地域創生有識者会議委員農業法人株式会社松葉園代表

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