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海外研修経験から見えた大学図書館 2019年度大学図書館職員短期研修 2019年10月3日 京都会場 西南学院大学図書館 坂本 里栄 E-mail:[email protected] 2019年度大学図書館職員短期研修

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海外研修経験から見えた大学図書館

2019年度大学図書館職員短期研修2019年10月3日 京都会場

西南学院大学図書館坂本 里栄E-mail:[email protected]

2019年度大学図書館職員短期研修

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自己紹介

Rie SAKAMOTO

• 経歴 なぜ図書館員に• 専攻は近代現代の日本文学、ふつうのOLになると思ってた。

• 超氷河期で卒業間際就職が決まっていなかった。大学在学中に司書課程を取得していたため、母校から声がかかる。

• 職歴 なぜ西南に• 公立大学の図書館員として社会人をスタート(1年) ⇒福岡市博物館の図書専門員になる(5年) ⇒西南に(9年目)

• 担当歴• システム担当、電子資料担当、庶務会計(2011)⇒雑誌担当が追加される(2013)

⇒新図書館資料移設担当が追加される、図書受入も担当する(2016)⇒システム担当、電子資料担当、雑誌契約担当(現在)

• 職場外では、国立情報学研究所これからの学術情報システム構築検討委員会の電子リソースデータ共有作業部会を1年間経験させてもらいました。

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2019年度大学図書館職員短期研修

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本日の話

1. 海外研修の目的と方法

2. 期間と訪問先

3. 訪問地域について

4. 研修内容紹介1. ALAの紹介

2. ALA年次大会

3. ニューオーリンズ図書館紹介

4. ヒューストン図書館紹介

5. 海外研修から得た問題意識1. 大きな視点から

2. 個人的な課題 SDGs

3. 日常に戻って

6. 結びに変えて

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2019年度大学図書館職員短期研修

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海外研修の目的と方法

• 目的• ALA年次大会に参加したかった。

• アメリカの様々な館種の図書館機能やサービスを知りたかった。

• 方法• 私立大学図書館協会海外認定研修(B)に応募

認定対象となる研修に参加し、成果報告をすると、研修参加への助成が受けられる。

私立大学図書館協会HP https://jaspul.org/collegium/cat3/

• 図書館相当店運営委員会企画のALA・米国図書館研修2018ツアーに参加

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期間と訪問先

日程:2018年6月23日~6月30日

場所:ニューオーリンズ、ヒューストン

●ALA年次大会

●図書館視察・ニューオーリンズ公共図書館

・ロヨラ大学図書館

・テュレーン大学図書館

・ヒューストン大学図書館(含むNASAセンターアーカイブ)

・ローンスターカレッジ図書館

・ライス大学図書館

・ヒューストン公共図書館

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同行者の属性:大学図書館員, 主催者からの参加者,図書館用品のメーカーさん, 個人で,研究者の方,図書館関係のビジネスをされている方など。20名程度。バラエティーに富んだメンバーでアメリカに行ってまいりました。

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訪問地域について

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訪問地域紹介ニューオーリンズ

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ニューオーリンズ

• ジャズの都 ルイジアナ州ニューオーリンズ

• ミシシッピ川の河口の町

• 特徴的な墓地、ブードゥーショップ、辻占い

• フランス領だったこともある フランス文化 クレオール スペイン文化

• 映画、ベンジャミンバトンの数奇な運命、The interview with vampire

• 映画の中の伝統的なアメリカ 人種のるつぼ

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Data USA https://datausa.io/profile/geo/new-orleans-la/(accessed 2019-10-2)

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訪問地域紹介ヒューストン

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ヒューストン

• NASA

• ジョンソン宇宙センター(有人宇宙飛行管制基地)がある。スペースシャトルなどは、フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられ、ジョンソン宇宙センターが管制する

• アメリカ第4の都市

• サンベルト

• 高層ビルが立ち並ぶ、現代アメリカ

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Data USA https://datausa.io/profile/geo/houston-tx/(accessed 2019-10-2)

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研修内容紹介ALA

The American Library Association (ALA , アメリカ図書館協会)

The American Library Association (ALA) is the oldest and largest library association in the world.

Founded on October 6, 1876 during the Centennial Exposition in Philadelphia, the mission of ALA is “to provide leadership for the development, promotion and improvement of library and information services and the profession of librarianship in order to enhance learning and ensure access to information for all.”

American Library Association. ”About ALA” . http://www.ala.org/aboutala/ (accessed 2018-10-18)

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ALAと日本図書館協会

ALAFINANCIAL HIGHLIGHTS FISCALYEAR 2017 より

• 流動資産 約9,359,000ドル

(約10億円)

• 長期投資 約43,542,000ドル

(約46億円)

• 運用収益 約49,000,000ドル

(約53億円)

日本図書館協会2017年度 決算資料より

• 流動資産 約1億円

• 土地・建物以外に大きな資産は無い

• 運用収益 約2億4千万円

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出典:決算報告2017年度(2017.4-2018.3)http://www.jla.or.jp/Portals/0/data/content/aboutJLA/kessan2017.pdf (accessed 2019-10-2)

出典:2017 Annual Report Financial highlights fiscal year 2017http://www.ala.org/aboutala/annualreport

1ドル=108円で算出 (accessed 2019-10-2)

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ALA年次大会ALA年次大会

(ALA Annual Conference and Exhibition)

• 日程: 2018年6月21日~26日

• 参加者数:約25,000人

• セッション数:1,000以上!

• ブース数:900以上!

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第20回図書館総合展開催報告3日間, 参加者数:31,774フォーラム数:63件,ブース出展:132件https://www.libraryfair.jp/news/8307 (accessed 2019-10-2)

2019年度大学図書館職員短期研修

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ALA年次大会

参加セッションの紹介

(1) A Pedagogical Approach to Web Scale Discovery User

Interface.

(2) New Research in Collection Management and Development

(3) How Metadata Enables or Inhibits Discovery and Access to

Diverse Communities and Concepts.

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2019年度大学図書館職員短期研修

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ALA年次大会

参加セッションの紹介

(1) A Pedagogical Approach to Web Scale Discovery User

Interface.

Web Scale DiscoveryとGoogoleとの検索結果比較による、語彙統制、シ

ソーラス、サーチエンジンについて、教育学的なアプローチでの話題提供

50人以上の参加者, 全員 scholarly library の Librarian

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ALA年次大会参加セッションの紹介

(2) New Research in Collection Management and Development

コレクション管理と形成についての調査報告

• 電子リソースの評価。利用統計やアクセスコスト以外の評価方法について(Rowan

University)

→電子リソースの利用統計情報を複数の大学間で共有し、分析した結果の報告や、利用

率を上げるための方策、ライセンス管理

• Just in case から Research-Interest-Driven に( The UCLA Library)→持続可能なコレクション形成の方法を考える

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ALA年次大会

参加セッションの紹介

(3) How Metadata Enables or Inhibits Discovery and Access to

Diverse Communities and Concepts.

メタデータに関するセッション。

特定のシステムのユーザー会のような内容だった。

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ニューオーリンズ図書館紹介

ニューオーリンズ公共図書館 ロヨラ大学図書館 テュレーン大学図書館

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当日は、視察先で撮影した写真をアルバム形式で表示し、各大学・図書館の特徴を紹介しました。

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ヒューストン図書館紹介

ヒューストン大学図書館(含むNASAセンターアーカイブ) ローンスターカレッジ図書館 ライス大学図書館 ヒューストン公共図書館

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当日は、視察先で撮影した写真をアルバム形式で表示し、各大学・図書館の特徴を紹介しました。

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海外研修から得た問題意識 1 大きな視点から

• 「海外の図書館凄い!日本は遅れている」は捨てよう。• 海外の図書館員と話してみると、案外保守的だったり、知識が担当業務に限定的

だったりする。一方、日本の図書館員は、学習意欲も高く、一人一人の知識の幅は広い。組織力は日本の方があるかもしれない。

• 国を超えて同じようなことで悩んでいる。• アメリカでも、教員との関係、教育へのかかわり方、予算の確保といった、私たちと同じような悩みに出会った。

• 社会背景の違いがあるから、海外事例が日本の図書館のソリューションになるかはよく考えよう。• 寄付は第三の予算。「寄付獲得は、図書館長のミッションなの。」(ロヨラ大学図書館長)

• 人やお金といったリソースの割り振り方。

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海外研修から得た問題意識 2 SDGS

最近日本でもよく聞くSDGs(Sustainable Development Goals

:持続可能な開発目標) ですが・・・。

• ALAに参加するとIFLAのブースで“Libraries can drive progress across the entire UN 2030 agenda”(図書館は国連の2030年アジェンダを推進できる)というカードが配布されていた。本学の図書館内に国連寄託図書館が設置されているため、興味を持ってブースの方とお話しをしてみた。

• ニューオーリンズ公共図書館、ヒューストン公共図書館では、図書館運営についての中長期目標のお話しのなかで、「サスティナビリティ」をキーワードに、いかに持続的に利用者にサービスを提供し続けて行くかということが議論されていた。

• 日本に戻ってきて、日本の図書館におけるサスティナビリティとは。持続可能な社会を支援するために、大学図書館にとって取り組むべき課題とは何か。と問題意識を持った。

• 理解するから、行動に。• 私立大学図書館協会の研究助成に応募してみた。(結果、力及ばずでした)

• 所属大学で行なわれるSDGsの活動に関与してみた。

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海外研修から得た問題意識 3 日常に戻って

• 海外の情報を継続的に収集することは必須

• こんなこと、しています• 海外のメーリングリスト ⇒IFLA, lis-e-resources など

• カレントアウェアネス

• Googleアラート

• 長いキャリアプランの中で、実際に海外に行ってみることも重要• 私立大学図書館協会の認定研修・派遣研修、研究助成(国立大学所属なら、国立大

学図書館協会の制度を調べて活用してみよう)

• 職場の海外研修制度

• 国立情報学研究所の作業部会に参加して、海外視察に積極的に手を挙げる

• 個人旅行で(私費でも、図書館員の集まりなどの団体で行くと公式訪問扱いで対応してくれることも)

色々考えると、若手の内に2~3回はチャンスがあるかも

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結びに変えて

• 期待したものは得られたのか。

• 他に得られたものは?• 自分が外国人になってみることで、留学生やサバティカルでやってくる教員の状況について、知識で知っているから、想像の範囲に変わる。

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ありがとうございました

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