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建築用仕上塗材ハンドブック 2007年版 編集 日本建築仕上材工業会

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建築用仕上塗材ハンドブック

2007年版

編集 日本建築仕上材工業会

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建築用仕上塗材ハンドブック(2007年版)の刊行に際して

日本建築仕上材工業会

会長 常山 洋

 日本建築仕上材工業会では、1973年(昭和48年)に建築吹付材ガイドブックを発刊以来、建築用仕上塗材を主体として、日進月歩の材料・工法を紹介し、その普及と業界の認識を高めるため、以下のとおりA4版のガイドブックを9版、A5版のハンドブックを2版刊行してまいりました。

ガイドブックおよびハンドブックの変遷    ガイドブック(A4版)   ハンドブック(A5版)建築吹付材ガイドブック (1973年) 建築吹付ハンドブック(1977年)建築吹付材ガイドブック (1975年) 建築吹付ハンドブック(1980年)建築用吹付材ガイドブック (1978年)建築用仕上塗材ガイドブック(1983年)建築用仕上塗材ガイドブック(1986年)建築用仕上塗材ガイドブック(1990年)建築仕上材ガイドブック (1995年)建築仕上材ガイドブック (1998年)建築仕上材ガイドブック (2006年)

 特に、近年におきましては、塗材の多様化や種類の増加に伴い、仕上塗材、下地材、左官材、補修材などの材料・施工に係る内容の充実に加え、建築ストックの増加に伴う補修・改修工法や関連法規・規格・基準類などについても、詳細な技術情報を提供すべく、定期的なガイドブックの発刊に努めてまいりました。 しかし、一方では活字ばなれの風潮や建築現場への携帯性などの観点から、ガイドブックよりもコンパクトで、ポイントを図、表、写真で分かりやすくまとめたハンドブック発行のニーズも高まってまいりました。 そこで、日本建築仕上材工業会では、2004年(平成16年)9月から約2箇年半に亘り、技術委員会の下に作業部会を設けて、原案の作成を行ってまいりましたが、今般建築用仕上塗材を対象として、「建築用仕上塗材ハンドブック2007年版」を発刊するに至りました。つきましては、本ハンドブックがガイドブックと共に、業界関係者はもとより官、学、産各界の皆様方にお役に立つことを願っております。 最後に、本ハンドブックの製作にご協力いただいた方々ならびに印刷にご協力いただいた1工文社に心から御礼申し上げます。

2007年(平成19年)9月

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建築用仕上塗材のテクスチャー

1.JIS A6909薄付け仕上塗材

(1) 砂壁状 外装薄塗材E(Si) 可とう形外装薄付塗材E

(2) さざ波状 防水形外装薄塗材E

2.JIS A6909厚付け仕上塗材

(1) 凹凸状吹き放し 外装厚塗材E

 

(2) ヘッドカット 外装厚塗材E

(砂壁状)

(さざ波状)

(凹凸状吹き放し)

(ヘッドカット)

骨材� 主材�

下  地�

主材�下塗り�

下  地�

骨材� 主材�

下塗り�

下  地�

骨材�主材�

下塗り�

下  地�

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3.JIS A6909複層仕上塗材

(1) 凹凸状吹き放し 複層塗材E(Si,RE,RS,CE)

                

(2) ヘッドカット  複層塗材E(Si,RE,RS,CE)

4.その他の仕上塗材

(凹凸状吹き放し)

(ヘッドカット)

月面状

石材調

平滑状

こて仕上げ

上塗り� 主材�

下塗り�

下  地�

上塗り� 主材�

下塗り�

下  地�

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建築用仕上塗材ハンドブック目次

1章 建築用仕上塗材の概要1.1 建築用仕上塗材 …………………………………………………………………………… 1

1.2 主な用語 …………………………………………………………………………………… 4

1.3 建築用下地調整塗材 ……………………………………………………………………… 5

1.4 建築用仕上塗材の変遷 …………………………………………………………………… 5

1.5 建築用仕上塗材の選び方 ………………………………………………………………… 6

2章 下地及び下地の管理2.1 下地の種類(成分と特徴)………………………………………………………………… 11

2.2 下地の管理(水分、pH、下地調整) ……………………………………………………… 15

2.3 下地の状態 ………………………………………………………………………………… 18

2.4 各種下地の調整法 ………………………………………………………………………… 18

2.4.1 コンクリート、プレキャストコンクリートなどの下地調整 …………………… 18

2.4.2 ALCパネルの下地調整 …………………………………………………………… 19

2.4.3 せっこうボード、スレート、合板の下地調整 …………………………………… 19

2.4.4 木毛セメント板及び木片セメント板の下地調整 ………………………………… 20

2.4.5 けい酸カルシウム板の下地調整 …………………………………………………… 20

2.5 コンクリート下地の補修例 ……………………………………………………………… 20

2.6 下地調整に用いられる材料 ……………………………………………………………… 21

3章 施工方法と管理3.1 吹付け工法 ………………………………………………………………………………… 23

3.1.1 吹付け機器 …………………………………………………………………………… 23

3.1.2 吹付け塗り操作 ……………………………………………………………………… 25

3.2 ローラー塗り工法 ………………………………………………………………………… 27

3.2.1 ローラーの種類 ……………………………………………………………………… 27

3.2.2 ローラー塗り操作 …………………………………………………………………… 28

3.3 こて塗り工法 ……………………………………………………………………………… 28

3.4 その他の用具 ……………………………………………………………………………… 28

3.5 施工及び施工管理 ………………………………………………………………………… 29

3.5.1 施工 …………………………………………………………………………………… 29

3.5.2 施工管理 ……………………………………………………………………………… 30

4章 塗替え改修4.1 仕上塗材に発生する劣化現象 …………………………………………………………… 33

4.2 劣化現象の処理方法 ……………………………………………………………………… 37

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4.3 各種塗替え工法 …………………………………………………………………………… 38

4.3.1 既存仕上塗材層の処理方法 ………………………………………………………… 38

4.3.2 塗替え仕上塗材の選定 ……………………………………………………………… 40

4.3.3 塗替え仕上げの工程 ………………………………………………………………… 42

5章 クレームになる欠陥とその対策5.1 用語の解説 ………………………………………………………………………………… 48

5.2 材料に発生する欠陥と対策 ……………………………………………………………… 50

5.3 下地の状態により発生する欠陥と対策 ………………………………………………… 52

5.4 塗装作業中に発生する欠陥と対策 ……………………………………………………… 53

5.5 塗装作業後に発生する欠陥と対策 ……………………………………………………… 56

5.6 経時で発生する欠陥と対策 ……………………………………………………………… 58

5.7 外的要因により発生する欠陥と対策 …………………………………………………… 60

6章 関連法規6.1 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)…………………………… 63

6.2 労働安全衛生法(労安法、安衛法)……………………………………………………… 65

6.3 有機溶剤中毒予防規則(有機則)………………………………………………………… 67

6.4 特定化学物質等障害予防規則(特化則)………………………………………………… 68

6.5 石綿障害予防規則(石綿則)……………………………………………………………… 69

6.6 消防法 ……………………………………………………………………………………… 70

6.7 毒物及び劇物取締法(毒劇法)…………………………………………………………… 72

6.8 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)………………………………………… 74

6.9 建築基準法 ………………………………………………………………………………… 76

6.10 水質汚濁防止法 …………………………………………………………………………… 79

6.11 下水道法 …………………………………………………………………………………… 80

6.12 大気汚染防止法(大防法)………………………………………………………………… 81

6.13 製造物責任法(PL法) …………………………………………………………………… 86

6.14 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律

   (PRTR法、化学物質管理促進法)……………………………………………………… 87

6.15 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)……………………………………… 93

付 録付録1 施工仕様例……………………………………………………………………………… 96

付録2 建物の部位と名称……………………………………………………………………… 99

付録3 足場の種類…………………………………………………………………………… 100

付録4 塗装種別の略号 ……………………………………………………………………… 102

付録5 仕上塗材の防火性能………………………………………………………………… 104

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1章 建築用仕上塗材の概要

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1章 建築用仕上塗材の概要

1.1 建築用仕上塗材 建築用仕上塗材(以下、仕上塗材という。)は、建物の内・外壁及び天井の表面に、美装又は下地の保護を目的に吹付け、ローラー塗り、こて塗りで凹凸模様やゆず肌模様などに仕上げられる材料である。 仕上塗材は、セメント、合成樹脂などの結合材、顔料、骨材を主原料としている。その施工仕様は、下塗り・主材塗り・上塗りの工程が基本となっている。 仕上塗材と一般塗料との大きな相違は、一般塗料の膜厚が数10μmであるのに対して、仕上塗材は膜厚が数mm~10mm程度になり、造形的な模様を持っていることである。 また、工事仕様書における区分の相違を表1.1に示す。なお、仕上塗材の工事仕様書例を巻末の付録1 に示す。 仕上塗材は、JIS A 6909建築用仕上塗材で規格化されており、表1.2に示す種類が規定されている。

表1.1 仕上塗材と塗料の公共工事仕様書における区分�

   公共工事の仕様書  建築用仕上塗材    塗料�

建築工事標準仕様書(※1) JASS23 吹付け工事

JASS18 塗装工事�

JASS15 左官工事 �

公共建築工事標準仕様書(※2) 左官工事

塗装工事�

(仕上塗材仕上げ) �公共建築改修工事標準仕様書

外壁改修工事 塗装改修工事�

(※3) �公共住宅建設工事共通仕様書

左官工事 塗装工事�

(※4) �

(※1)6日本建築学会�(※2)6公共建築協会(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修)�(※3) 7建築保全センター(国土交通省大臣官房官庁営繕部監修)�(※4)公共住宅事業者等連絡協議会編集(国土交通省住宅局住宅総合整備�

課監修)�

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1章 建築用仕上塗材の概要

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表1.2  建築用仕上塗材の種類及び呼び名(JIS A 6909-2003より)�

� � � � � � 薄付け�

仕上�

塗材(2)�

� � � � � � � � � 厚付け�

仕上�

塗材(2)�

� �

外装けい酸質系薄付け仕上塗材�

可とう形外装けい酸質系薄付け仕上塗材�

外装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材�

可とう形外装合成樹脂エマルション系�

薄付け仕上塗材�

防水形外装合成樹脂エマルション系薄付け�

仕上塗材�

外装合成樹脂溶液系薄付け仕上塗材�

内装セメント系薄付け仕上塗材�

内装消石灰・ドロマイトプラスター系薄付け�

仕上塗材�

内装けい酸質系薄付け仕上塗材�

内装合成樹脂エマルション系薄付け�

仕上塗材�

内装水溶性樹脂系薄付け仕上塗材(1)�

外装セメント系厚付け仕上塗材�

外装けい酸質系厚付け仕上塗材�

外装合成樹脂エマルション系厚付け仕上塗材�

内装セメント系厚付け仕上塗材�

内装消石灰・ドロマイトプラスター系厚付け�

仕上塗材�

内装せっこう系厚付け仕上塗材�

内装けい酸質系厚付け仕上塗材�

内装合成樹脂エマルション系厚付け仕上塗材�

   呼び名�

� 外装薄塗材Si�

可とう形外装薄塗材Si�

外装薄塗材E�

可とう形外装�

薄塗材E�

防水形外装薄塗材E�

� 外装薄塗材S�

内装薄塗材C�

内装薄塗材L �

� 内装薄塗材Si�

内装薄塗材E�

� 内装薄塗材W�

外装厚塗材C�

外装厚塗材Si�

外装厚塗材E�

内装厚塗材C�

内装厚塗材L�

� 内装厚塗材G�

内装厚塗材Si�

内装厚塗材E

①用途 ②層構成�

③塗り厚�

� � ①主として外装用�

②塗材+主材�

 又は主材だけ�

③3a程度以下�

� � � ①内装用 �

②下塗材+主材�

 又は主材だけ�

③3a程度以下�

� � ①外装用�

②下塗材+主材�

③4~10

a程度�

� ①内装用 �

②下塗材+主材�

 又は主材だけ�

③4~10

a程度�

主たる仕上げの�

形状�

砂壁状�

ゆず肌状�

砂壁状�

砂壁状,ゆず肌�

状�

ゆず肌状,さざ�

波状,凹凸状�

砂壁状�

砂壁状�

平たん状,ゆず�

肌状,さざ波状�

砂壁状,ゆず肌状�

砂壁状,ゆず肌�

状,さざ波状�

京壁状,繊維壁状�

� スタッコ状�

� � スタッコ状�

掻き落とし状�

平たん状�

� �

    通称(例)�

� シリカリシン�

� 樹脂リシン,アクリルリシン,陶石リシン�

弾性リシン�

� 単層弾性�

� 溶液リシン�

セメントリシン�

けい藻土塗材�

� シリカリシン�

じゅらく�

� 繊維壁,京壁,じゅらく�

セメントスタッコ�

シリカスタッコ�

樹脂スタッコ,アクリルスタッコ�

セメントスタッコ�

けい藻土塗材�

� けい藻土塗材�

シリカスタッコ�

樹脂スタッコ,アクリルスタッコ�

参考�

種類�

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1章 建築用仕上塗材の概要

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表1.2  建築用仕上塗材の種類及び呼び名(つづき)�

軽量骨材�

仕上塗材�

� � � � � � 複層�

仕上�

塗材(3)�

� � � � � � 可とう形�

改修用�

仕上�

塗材(3)�

吹付用軽量骨材仕上塗材�

こて塗用軽量骨材仕上塗材�

� ポリマーセメント系複層仕上塗材�

可とう形ポリマーセメント系複層仕上塗材�

� 防水形ポリマーセメント系複層仕上塗材(4)�

けい酸質系複層仕上塗材�

合成樹脂エマルション系複層仕上塗材�

防水形合成樹脂エマルション系�

複層仕上塗材(4)�

反応硬化形合成樹脂エマルション系�

複層仕上塗材�

防水形反応硬化形合成樹脂エマルション系�

複層仕上塗材(4)�

合成樹脂溶液系複層仕上塗材�

防水形合成樹脂溶液系複層仕上塗材(4)�

可とう形合成樹脂エマルション系�

改修用仕上塗材�

可とう形反応硬化形合成樹脂�

エマルション系改修用仕上塗材�

可とう形ポリマーセメント系改修用仕上塗材�

   呼び名�

� 吹付用軽量塗材�

こて塗用軽量塗材�

� 複層塗材CE�

可とう形複層塗材CE�

� 防水形複層塗材CE�

複層塗材Si�

複層塗材E�

防水形複層塗材E�

� 複層塗材RE�

� 防水形複層塗材RE�

� 複層塗材RS�

防水形複層塗材RS�

可とう形改修塗材E�

� 可とう形改修塗材RE�

� 可とう形改修塗材CE

①用途 ②層構成�

③塗り厚�

①主として天井用 �

②下塗材+主材�

③3~5a程度�

� � � � ①内装及び外装用�

②下塗材+主材�

 +上塗材�

③3~5a程度�

� � � � � � � ①外装用�

②主材+上塗材�

③0.5~1a程度�

主たる仕上げの�

形状�

砂壁状�

平たん状�

� � � � � ゆず肌状�

月面状�

平たん状�

凹凸状�

� � � � � � � 凹凸状�

ゆず肌状�

平たん状�

    通称(例)�

� パーライト吹付,ひる石吹付�

� � セメント系吹付タイル�

セメント系吹付タイル�

(可とう形,微弾性,柔軟形)�

� シリカタイル�

アクリルタイル�

ダンセイタイル(複層弾性)�

� 水系エポキシタイル�

� � � エポキシタイル�

参考�

種類�

(1)内装水溶性樹脂系薄付け仕上塗材には、耐湿性、 耐アルカリ性、かび抵抗性の特性を付加したものがある。�

(2)内装薄付け仕上塗材及び内装厚付け仕上塗材で吸放湿性の特性を付加したものについては、調湿形と表記する。�

(3)複層仕上塗材及び可とう形改修用仕上塗材で、耐候性を区分する場合は、耐候形1種、耐候形2種、耐候形3種とする。�

(4)防水形複層塗材で耐疲労性の特性を付加したものについては、耐疲労形と表示する。�

注�

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1章 建築用仕上塗材の概要

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1.2 主な用語(1)JASS23を参考とした用語の意味・下  地:仕上塗材が塗り付けられる面・下地調整:下地をモルタル塗りで平滑にするなど、仕上塗材仕上げに適するように行う

処理・調  合:仕上塗材が塗り付けられる状態において構成されている各材料の割合又は仕

上塗材を塗り付けられる状態に調整すること・塗 付 け: 仕上塗材の無定形の材料を吹付け機、こて又はローラーブラシによって施工

する操作の総称・吹 付 け:仕上塗材を吹付け機を用いて施工する操作・ローラー塗り:仕上塗材をローラーブラシを用いて施工する操作・基層塗り:仕上塗りにおいて、主材の模様を形成しないように均一、かつ、平たんに塗り

付ける操作・増 塗 り:基層塗り前に、出隅、入隅などの基層塗層の塗厚が小さくなると予想される部

分に、主材を塗り付け、塗厚を確保する操作・模様塗り:基層塗りの上の模様付けを主な目的とする主材上層部の塗り付け操作・凸部処理:主材、模様塗りなどによって形成される比較的大型の凹凸模様の凸部の頂部を

こて、ローラー又はサンダーによって平たんにする模様付け操作・仕上塗材: JIS A 6909(建築用仕上塗材)に規定する既調合の薄付け仕上塗材、複層仕上

塗材、厚付け仕上塗材、軽量骨材仕上塗材及び可とう形改修用仕上塗材の総称・可使時間:セメント系や反応硬化形の仕上塗材で、水又は硬化剤を加えた後、塗り付けに

適する状態を持続している時間・所 要 量:被仕上塗材仕上面の単位面積に対する仕上塗材(希釈する前)の使用質量・工程内間隔時間:塗付けの同一工程内で同一材料を塗り重ねる場合の間隔時間・工程間間隔時間:塗付けの一工程から次の工程に移るまでの間隔時間・最終養生時間:最終工程が終了した後に実用に供することができるまでの時間

(2)JIS A 6909を参考とした用語の意味・下 塗 材:主として下地に対する主材の吸い込み調整及び付着性を高める目的で使用する

もの。シーラー、プライマーとも称され、下地の多孔性による主材の過度の吸い込みや、下地のアルカリ性などによる悪影響が上層の塗膜に及ぶのを防止し、更に主材と下地との付着力を高めることなどを主な目的として使用される。

・主   材:主として仕上がり面に立体的又は平たんな模様を形成する目的で使用するもの。なお、主材には基剤及び硬化剤、又は粉体及び混和液を混合して使用するものがある。主に仕上がり面に砂壁状、ゆず肌状、スタッコ状、凹凸状などの立体的な模様を形成する目的で使用されるものである。仕上塗材の種類や目的によって比較的平たんに仕上げられる場合もある。なお、粉体と混和液を調合して使用する材料については、一般的にその粉体を主材と称している例もあるが、JIS A 6909ではそのセットを主材としている。

・上 塗 材:仕上げ面の着色、光沢の付与、耐候性の向上、吸水防止などの目的で使用するもの。なお、上塗材には基剤及び硬化剤を混合して使用するものがある。

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1章 建築用仕上塗材の概要

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     上塗材としては、水系、弱溶剤系、溶剤系などがあり、主材の上に仕上げ面の着色、光沢の付与、耐候性の付与、吸水防止などの目的で使用されている。上塗仕上げとして、つやあり、つやけし、メタリックなどがある。

1.3 建築用下地調整塗材 建築用下地調整塗材とは、内外装仕上げ工事の下地調整のために使用する材料で,JIS A6916に建築用下地調整塗材として規格化されている。建築用下地調整塗材は、セメント系下地調整塗材、合成樹脂エマルション系下地調整塗材及びセメント系下地調整厚塗材に大別される。

1.4 建築用仕上塗材の変遷 仕上塗材の歴史は、昭和の初めに左官材料の既調合品としてドイツから輸入された“リシン”という名前の材料で、“かき落としリシン”の仕上げであった。戦後、セメントリシン、セメントスタッコ、セメント系吹付けタイルなどのセメント系材料が多く使用された。その後、合成樹脂エマルション系の材料が開発され、テクスチャーも更に多様化した。複層塗材

表1.3  建築用下地調整塗材の種類及び呼び名(JIS A 6916-2000より)�

   種 類����セメント系下地�調整塗材(1)

����合成樹脂エマルション系�下地調整塗材(2)����

セメント系下地�調整厚塗材(1)

��

1種���2種�������1種����2種�

  呼び名���下地調整�塗材C-1��下地調整�塗材C-2��下地調整�塗材E���下地調整�塗材CM-1��

下地調整�塗材CM-2

膜厚�(a)��

0.5~1�程度��1~3�程度��

0.5~1�程度���

3~10�程度��

3~10�程度�

主な適用仕上材

��内装薄塗材E�外装薄塗材E�複層塗材E�塗料�すべての仕上塗材�塗料�内装薄塗材E�外装薄塗材E�複層塗材E�塗料�内装薄塗材E�外装薄塗材E�複層塗材E�塗料�すべての仕上塗材�塗料�陶磁器質タイル�

主な適用下地�

��ALCパネル�コンクリート��

コンクリート�

��ALCパネル�コンクリート���ALCパネル�コンクリート���コンクリート�

施工方法��吹付け�こて塗り�はけ塗り��こて塗り���吹付け�ローラー塗り� ��こて塗り�吹付け� �

こて塗り�吹付け�

参 考�

(1)結合材としてセメント及びセメント混和用ポリマーディスパージョン 又は再乳化形粉末樹脂を�混合したものを使用したもの。�

(2)結合材として合成樹脂エマルションを使用したもの。�

注�

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1章 建築用仕上塗材の概要

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Eが開発されてからは、建築外装での仕上塗材の使用量が一層多くなった。中性化などによるコンクリート劣化が社会問題となった頃は、躯体の亀裂追従性が仕上塗材に要求され、弾性仕上塗材(現在:防水形の仕上塗材)が多く利用された。 最近では、新築需要が激減し、塗り替えがほとんどの需要を占めるようになる中で、微弾性フィラーに上塗りをする改修工法が主流となってきた。このような背景で2003年のJIS A6909の改正では、これらの材料が可とう形改修用仕上塗材として規格化された。 また、シックハウス症候群が大きな社会問題となり、主な原因物質であるホルムアルデヒドが2003年7月施行の改正建築基準法で規制された。JIS A 6909の中でも内装に使用する仕上塗材には、ホルムアルデヒドの発生原因と考えられる原料を使用しないことと規定している。 また、環境対応が求められている中で、仕上塗材の上塗材は溶剤系から水系へ転換が進み、日本建築仕上材工業会の生産統計によると2003年から水系上塗材の生産量が溶剤系上塗材を上回っている。 表1.4に建築用仕上塗材の変遷を示す。

1.5 建築用仕上塗材の選び方 仕上塗材は、要求事項に基づいてその特性から選択される。表1.5に要求される性能を考慮した建築用仕上塗材の選び方の概要を示す。

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1章 建築用仕上塗材の概要

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表1.4 建築用仕上塗材の変遷�

      年代 1960年

1965年

1970年

1975年       1980年�

項目

S35年

S40年

S45年

S50年        S55年�

■セメントリシン

■セメントスタッコ

無機質系仕上塗材

■セメント系吹付けタイル �

 

(複層塗材C)

■シリカ系仕上塗材 �

 

(複層塗材Si) �

■スキン類

■樹脂リシン

    ■マスチック塗材A,B,C �

■複層塗材RS �

    ■複層塗材E

    ■複層塗材RE

       ■防水形外装薄塗材E

有機質系仕上塗材

■弾性仕上塗材

  (単層弾性) �

(防水形複層塗材E,RE,RS) �

(可とう形外装薄塗材E)

■合成樹脂エマルション ■合成樹脂エマルション     ■つや有り合成樹脂エマルションペイント

ペイント

模様塗料 �

� � 内装用仕上塗材

■じゅらく仕上げ

上塗材

■アクリル樹脂エナメル     ■アクリルウレタン樹脂エナメル �

下地調整・

■下地調整塗材C-1 �

改修用関係

  ■下地調整塗材E �

●中性化リフレッシュ工法�

建築関係�

●各種厚付デザインローラー工法 �

� �

� 項目

1960年

1965年

1970年

1975年        1980年�

      年代 S35年

S40年

S45年

S50年        S5 5年�

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1章 建築用仕上塗材の概要

8

表1.4 建築用仕上塗材の変遷(つづき)�

      年代 1985年

1990年

1995年

2000年       2005年�

項目

S60年

H2年

H7年

H12年        H17年�

無機質系仕上塗材�

■透湿性仕上塗材 �

有機質系仕上塗材

 

    

■各種こて塗り仕上塗材

��

■結露防止塗材�

内装用仕上塗材   ■クロス用塗料

■けい藻土塗材�

■FC関係

■調湿形内装仕上塗材

上塗材

  ■ふっ素樹脂エナメル

■弱溶剤形エナメル

  ■アクリルシリコン樹脂エナメル �

下地調整・

■微弾性フィラー

       

    ■可とう形改修塗材E,RE,CE �

改修用関係

  �

●製造物責任(PL)法の施行�

    ●水系上塗材の生産数量が溶剤系と逆転

  ●アルカリ骨材反応問題深刻化

           ★大気汚染防止法改正

  (揮発性有機化合物排出規制) �

建築関係

      ●アスベスト問題

           ●アスベスト問題 �

★PRTR法(環境汚染物質排出移動登録) �

       ●建築基準法の大幅改正 �

      ★2003年7月 改正建築基準法 施行

       (ホルムアルデヒド関係) �

        ★住宅の品質確保の促進に関する法律(品確法) �

項目

1985年

1990年

1995年

2000年       2005年�

      年代 S60年

H2年

H7年

H12年        H17年�

★グリーン購入法 �

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1章 建築用仕上塗材の概要

9

表1.5 建築用仕上塗材の選び方(参考:JASS 23)�

環境�

� � � � � � � � � � � � � 外部�� 高 度�

美装性�

� � � � � � � � � � � 美装性�高耐候性�

防水性�

高耐候性�

� 耐候性�

防水性�

耐候性�

� 耐候性�

防水性�

耐候性�

� 耐候性�

特殊模様�

� � 防水性�

� � � � �   ―�

―� � ―� � ―� � ―� � ―� � ―� � ―�

―�

―� � ―�

―� � ―�

―� � ―� � ―�

―�

―�

RE仕上げ�

RS仕上げ�

RE仕上げ�

RS仕上げ�

E仕上げ�

RE仕上げ�

E仕上げ�

RE仕上げ�

E仕上げ�

CE仕上げ�

E仕上げ�

CE仕上げ�

耐候形1種防水形�

複層塗材�

耐候形1種複層塗材�

� 耐候形2種防水形�

複層塗材�

耐候形2種複層塗材�

� 耐候形3種防水形�

複層塗材�

耐候形3種複層塗材�

� 外装厚塗材C仕上げ�

外装厚塗材E仕上げ�

可とう形複層塗材CE仕上げ�

� 防水形外装薄塗材E仕上げ�

防水形複層塗材E仕上げ�

� 外装薄塗材E仕上げ�

可とう形外装薄塗材E仕上げ�

� 外装薄塗材S仕上げ�

� 複層塗材E仕上げ�

複層塗材CE仕上げ�

複層塗材Si仕上げ�

グレード�

� � 超高級�

� 超高級�

� 高級�

� 高級�

� 中級�

� 中級�

� 中級�

� 高級�

� 汎用�

汎用�

� � � � 汎用�

仕上げの種類�

コスト�

指数�

� � F� � F� � E� � E� � D� � D� � D�D�

D~E� � C�

C� � A�

B� � B� � C�C�C

耐久�

性能�

指数�

� Ⅴ� � Ⅴ� � Ⅳ� � Ⅳ� � Ⅲ� � Ⅲ� � Ⅲ�

Ⅲ�

Ⅱ� � Ⅱ�

Ⅱ� � Ⅰ�

Ⅰ� � Ⅰ� � Ⅱ�

Ⅱ�

Ⅱ�

要求性能�

ホルムア

ルデヒド

発散建

築材料

の規制

対象�

防火

材料

等認

定番

号�

代表的な使用例�

� � � きびしい環境下において、長期耐久性、防水性など

が要求される外壁等、主に凹凸模様・ゆず肌模様�

きびしい環境下において、長期耐久性などが要求さ

れる外壁等、主に凹凸模様・ゆず肌模様�

防水性や耐久性が要求される外壁等、比較的塗替えで

の適用が多い、主として凹凸模様・ゆず肌模様仕上げ�

一般的な環境下で、長期耐久性が要求される外壁等、

主として凹凸模様・ゆず肌模様仕上げ�

防水性や耐久性が要求される外壁等、比較的塗替えで

の適用が多い、主として凹凸模様・ゆず肌模様仕上げ�

一般的な環境下で、長期耐久性が要求される外壁等、

主として凹凸模様・ゆず肌模様仕上げ�

スタッコ状模様による豪華な仕上り感が要求される

外壁・柱等�

比較的簡易な防水性が要求される外壁等、塗替え

での適用�

主として凹凸模様・ゆず肌模様の仕上げ�

防水性が要求される外壁等、比較的塗替えでの適

用が多い、主として凹凸模様・ゆず肌模様仕上げ�

外壁や軒裏等の一般的な砂壁状(リシン)仕上げ�

軽量モルタル仕上げ外壁等の砂壁状 (リシン)仕上

げ�砂壁状仕上げで低温時の乾燥性が要求される場

合等�

外壁等の一般的な凹凸模様・ゆず肌模様の仕上げ�

外壁等の一般的な凹凸模様・ゆず肌模様の仕上げ�

外壁等の一般的な凹凸模様・ゆず肌模様の仕上げ�

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1章 建築用仕上塗材の概要

10

表1.5 建築用仕上塗材の選び方(つづき)�

環境�

� � � � � � � � � 内部�� � � � � � � 美装性�� � � � 防火性�

� � � � � � 防火性�

吸放湿性�

●� � ●�

●�

●�

●� � ●� � � ●� � ●�

●�

―� � ―�

―�

●�

―� � ●� � � ―� � ●�

―�

内装厚塗材C仕上げ�

� 複層塗材CE仕上げ�

複層塗材Si仕上げ�

内装薄塗材E仕上げ�

内装薄塗材W仕上げ�

� 吹付け用軽量塗材仕上げ�

� � 調湿形内装厚塗材C仕上げ�

� 調湿形内装薄塗材E仕上げ�

調湿形内装薄塗材W仕上げ�

グレード�

� � 高級�

� � � � 汎用�

� � � � 高級�

� 汎用�

仕上げの種類�

コスト�

指数�

� �

C~D�

� C�C�

A~B�

A~B�

� B� � � D� � B�B

耐久�

性能�

指数�

� ―� � ―�

―�

―�

―� � ―� � � ―� � ―�

―�

要求性能�

[注]コスト指数

: A(安価)

F(高価)

耐久性能指数 : (劣る)      (優れている)

ホルムアルデヒド発散建築材料:建築基準法施行令第20条の5及び同条に基づく平成14年12月26日国土交通省告示第1113号、 に規定されている

第1種ホルムアルデヒド発散建築材料

              

建築基準法施行令第20条の5及び同条に基づく平成14年12月26日国土交通省告示第1113号に規定されている第1種ホルムアルデヒド発散建築材料

(ただし,施工時に塗布され,かつユリア樹脂,メラミン樹脂,フェノール樹脂, レゾルシノール樹脂又はホルムアルデヒド系防腐剤を使用したものに限る) �

ホルムア

ルデヒド

発散建

築材料

の規制

対象�

防火

材料

等認

定番

号�

代表的な使用例�

� � � 豪華なスタッコ状模様が要求される内壁等、淡色仕

上げ�

内装制限を受ける避難通路・内壁等の凹凸模様・

ゆず肌模様の仕上げ�

内壁等の一般的な砂壁状仕上げ�

内壁等の一般的な砂壁状・京壁状じゅらく仕上げ�

天井・内壁上部の一般的な砂壁状仕上げ�

防火材料認定番号            

無機質系:NM-8571、QM-9811、RM-9366�

有機質系:NM-8572、QM-9812、RM-9361�

豪華なスタッコ状模様が要求される内壁等、淡色仕

上げ�

内壁等の一般的な砂壁状仕上げ�

内壁等の一般的な砂壁状・京壁状じゅらく仕上げ�

Ⅰ�

Ⅴ�

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2章 下地及び下地の管理

11

2章 下地及び下地の管理

2.1 下地の種類(成分と特徴) 仕上塗材仕上げに適用する主な下地の成分と特徴を表2.1に、また仕上塗材仕上げと下地との適用性を表2.2に示す。

表2.1 主な下地の成分と特徴(参考:JASS 23)�

  下 地��

コンクリート���プレキャスト�コンクリート部材�(PCa)���セメントモルタル����ALCパネル���コンクリート�ブロック���けい酸�カルシウム板��せっこうボード�(プラスターボード)�

ガラス繊維補強�セメント板�(GRC板)�

� 主成分�

セメント�砂�砂利�

�セメント�砂�砂利�(軽量骨材)��セメント�砂��セメント�けい砂�石灰�発泡剤�セメント�砂�砂利�セメント�けい砂�石灰�消石灰�半水せっこう�ボード用原紙�セメント�骨材�耐アルカリ性�ガラス繊維�

特 徴�乾  燥 : 遅く、厚さと構造に支配される。�アルカリ性 : 強く、中和に長時間要する。内部からの水分はアルカリ性を�

呈する。�表面状態 : 粗く、吸込みが大きい。�乾  燥 : 遅く、厚さと構造に支配される。�アルカリ性 : 強く、中和に長時間要する。内部からの水分はアルカリ性を�

呈する。�表面状態 : 吸込みが大きい。�塗  厚 : 10~25a�乾  燥 : 表面乾燥は速いが、内部含水率は構造体の作用を受ける。�アルカリ性 : コンクリートより強く、内部からの水分はアルカリ性を呈する。�表面状態 : 粗面・平滑・ひび割れなどがあり、吸込み程度が異なる。�乾  燥 : 吸水現象が大きいため注意を要する。�アルカリ性 : ほとんどアルカリ性を示さない。�表面状態 : 粗く、粉化性があり、吸込みが大きい。表面強度が低く損傷を�

受けやすい。�アルカリ性 : アルカリ性を呈する。�表面状態 : 極めて粗く部分的な吸込みむらを生ずる。ブロック自体の乾�

燥収縮によって目地切れなどのひび割れを生じやすい。�アルカリ性 : ほぼ中性。�表面状態 : もろく、粉化性であり、吸込みが非常に大きい。���表面状態 : 吸込みが非常に大きい。水のかかる場所、湿気の多い場所�

に用いることはできない。�アルカリ性 : 極めて高く、中和が非常に遅い。�表面状態 : 平滑又は凹凸造形。ごく小さな気泡穴がある。�

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2章 下地及び下地の管理

12

表2.1 主な下地の成分と特徴(つづき)�

  下 地�押出成形 �セメント板�(ECP)�スレート�(フレキシブル板)�

木片セメント板�木毛セメント板

��窯業系�サイディング�

合板�

��しっくい���混合せっこう�プラスター���ドロマイト�プラスター�

� 主成分�セメント�けい砂�無機質繊維�セメント�無機質繊維�

セメント�木片・木毛

��セメント�けい砂�木材�接着剤�消石灰�砂�すさ・のり�半水せっこう�消石灰・砂�ドロマイト� プラスター�ドロマイト� プラスター�消石灰・すさ�  砂�

特 徴�アルカリ性 : 極めて高く、中和が非常に遅い。�表面状態 : 平滑又は凹凸造形。表面は滑らかで緻密。��アルカリ性 : 極めて高く、中和が非常に遅い。�表面状態 : 吸込みむらが大きい。�アルカリ性 : アルカリ性を呈する。�表面状態 : 極めて粗く、部分的な吸込みむらが生ずる。暗色の樹脂が� しみ出る。�アルカリ性 : アルカリ性を呈する。�表面状態 : 吸込みむらが生ずる。�表面状態 : 厚さによっては反りが生じやすく、あくがしみ出る場合がある。��塗  厚 : 12~18a�乾  燥 : 非常に遅い。�アルカリ性 : 非常に強く、中性化に長時間要する。ひび割れが多い。�塗  厚 : 12~18a�乾  燥 : 速いが下地の影響を受けやすい。�アルカリ性 : ボード用は中性、混合せっこうは弱アルカリ性。�表面状態 : ひび割れは少ない。�塗  厚 : 12~18a�乾  燥 : 非常に遅い。�アルカリ性 : 高く、中性化に長時間要する。�表面状態 : ひび割れが多い。粗密でむらが多く、吸込みむらが激しい。�

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2章 下地及び下地の管理

13

表2.2  仕上塗材仕上げに適用する下地(参考:JASS 23)�

���仕上塗材�仕上げの種類�����

外装薄塗材E�仕上げ��内装薄塗材E�仕上げ

��可とう形外装�薄塗材E仕上げ�外装薄塗材S�仕上げ�内装薄塗材W�仕上げ�防水形外装�薄塗材E仕上げ�外装厚塗材C�仕上げ�内装厚塗材C�仕上げ�外装厚塗材E�仕上げ�複層塗材CE�仕上げ�可とう形複層�塗材CE仕上げ�複層塗材Si�仕上げ�複層塗材E�仕上げ�

�適用下地� 施工法� 仕上げ面の状態�

セメントモルタル�

プレキャストコンクリート部材    �

コンクリート�

主たる仕上げの形状�

���

ローラー塗り�

吹付け�

押出成形セメント板�

ガラス繊維補強セメント板�

せっこうボード�

けい酸カルシウム板�

コンクリートブロック�

ALCパネル�

砂壁状、ゆず肌状�着色骨材砂壁状 � ゆず肌状、さざ波状�砂壁状、ゆず肌状、�着色骨材砂壁状 �ゆず肌状、さざ波状�砂壁状�ゆず肌状、さざ波状�

砂壁状�

�砂壁状、ゆず肌状、�京壁状じゅらく�凹凸状�ゆず肌状、さざ波状��

スタッコ状���スタッコ状

��凹凸状�ゆず肌状�凹凸状�ゆず肌状�凹凸状�ゆず肌状�凹凸状�ゆず肌状�

�○���●��

○��○��●��○��○��●��○��○��○��○��○�

�○���●��

○��○��●��○��×��×��○��○��○��○��○�

�○���●��

○��○��●��○��○��●��○��○��○��○��○�

�●���●��

-��-��●��-��×��×��-��×��×��×��×�

�●���●��

-��-��●��-��×��×��-��×��×��●��●�

�○���●��

○��○��●��○��×��×��○��○��○��○��○�

�○���●��

○��○��●��○��×��×��○��○��○��○��○�

○��-�

○��-�○�-�

○��○��○�-�

○��○��○��○�-�○�-�○�-�○�-�

-��○�

-��○�-�○�

-��

-��-�○�

-��-��-��-�○�-�○�-�○�-�○�

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2章 下地及び下地の管理

14

表2.2  仕上塗材仕上げに適用する下地(つづき)�

���仕上塗材�仕上げの種類�����複層塗材RE �仕上げ�複層塗材RS �仕上げ�防水形複層�塗材CE仕上げ�防水形複層�塗材E仕上げ�防水形複層�塗材RE仕上げ�防水形複層�塗材RS仕上げ�軽量骨材仕上�塗材仕上げ�

�適用下地� 施工法� 仕上げ面の状態�

セメントモルタル�

プレキャストコンクリート部材    �

コンクリート�

主たる仕上げの形状�

���

ローラー塗り�

吹付け�

押出成形セメント板�

ガラス繊維補強セメント板�

せっこうボード�

けい酸カルシウム板�

コンクリートブロック�

ALCパネル�

凹凸状�ゆず肌状�凹凸状�ゆず肌状�凹凸状�ゆず肌状、さざ波状�凹凸状�ゆず肌状、さざ波状�凹凸状�ゆず肌状、さざ波状�凹凸状�ゆず肌状、さざ波状�砂壁状�平たん状�

○��○��○��○��○��○��●�

×��×��○��○��○��○��●�

○��○��○��○��○��○��●�

������������-�

×��×��×��×��×��×��●�

○��○��○��○��○��○��●�

○��○��○��○��○��○��●�

○�-�○�-�○�-�○�-�○�-�○�-�○�-�

-�○�-�○�-�○�-�○�-�○�-�○�-�○*1

○ : 適用できる下地 ● : 内装に限って適用できる下地�× : 適用できない下地 ― : 一般に適用しない下地�*1 : こて塗り�

(注)�

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2章 下地及び下地の管理

15

2.2 下地の管理(水分、pH、下地調整) 下地の管理についてはJASS 23で以下のように解説されている。(1)水分 仕上塗材仕上げの下地は、乾燥していることが必要で、乾燥が不十分な場合には、塗膜の付着性低下、塗膜表面へのエフロレッセンスの発生、塗膜のひび割れ・ふくれ・はがれなどの原因となることがある。 乾燥の遅い下地としては現場打ちコンクリート、プレキャストコンクリート部材などがあるが、コンクリート打放し後の含水率の低下は材齢に大きく関係し、打込み後、何日たてば仕上げ施工可能な乾燥状態になるかは種々の条件によって異なるため一概に断定できない。一般的には、コンクリートの含水率10%以下が良好とされている。施工適正と判断される材齢の目安を参考までに表2.3、図2.1~ 2.3に示す。 なお、含水率は下地に含まれる水分の質量百分率で表されるが、現場での管理にあたっては非破壊で検査できる表面水分計が用いられている。表面水分計での測定値と含水率との関係は機種によっても異なるため、事前に測定値と含水率との関係を示したようなデータによって確認しておく。

表2.3 現場打ちコンクリート下地への施工適正材齢(JASS 23より)�

地域分類�

�一般地帯�寒冷地帯�

�打設後の放置期間�夏季2週間�4月~10月�5月~9月�

冬季4週間�-�

10月~4月�

冬季3週間�11月~3月�-�

(注)�寒冷地帯とは、北海道・東北・上信越・北陸地域�一般地帯とは、寒冷地を除く地域[BE,1972.3].

図2.1 コンクリートの材齢と質量含水率の関係例(JASS 23より)�

コンクリートの材齢(日)�

Ⅰ�・�Ⅱ�

10�

9�

8�

7�

6�

5�

43 7 21

15

Ⅰ�

Ⅱ�

Ⅲ�

30

15

20 20

Ⅲ�鉄板製箱�

質量含水率(%)�

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2章 下地及び下地の管理

16

図2.2  コンクリートの材齢と含水率の関係例(JASS 23より)�             (高周波水分計による測定)�

コンクリートの材齢(日)�

15�

10�

5�

00 155 20 25 3010

普通コンクリート�

含水率(%)�

軽量コンクリート�

セメントモルタル(15a)�

20℃�湿度60%�

図2.3 モルタルの材齢と質量含水率の関係例(JASS 23より)�

モルタルの材齢(日)�

15�

10�

5�

05 10 15 20 25 30

質量含水率(%)�

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2章 下地及び下地の管理

17

(2)アルカリ性 セメント系材料を用いた下地では、アルカリ性が強いと塗膜の変色や塗材の変質の原因となることがあるので、下地のpHも管理する必要がある。コンクリートは打込み直後においてはpH=12.5程度であるが、アルカリ性は表面から徐々に失われていく。しかしながら、その消失の速度は一般に遅いため、下地の含水率と併せて放置期間に配慮を要する。参考として、下地の材齢とpHとの関係を図2.4に、また、コンクリートの表面からの深さとpHとの関係を図2.5に示す。一般的に下地のアルカリ度はpH=10以下が仕上塗材仕上げにおいては良好とされている。

図2.4 下地の材齢とpHの関係例~白山・近藤の実験より作成~�                    (JASS 23より)�

材 齢(日)�

12�

11�

10�

9�

8

100 20 30 40 50 60

pHフレキシブル板�セメントモルタル�現場打ち軽量気泡コンクリート�

図2.5 コンクリートの表面からの深さとpHの関係例(JASS 23より)�

表面からの深さ�

12�

11�

10�

90.5 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

pH

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2章 下地及び下地の管理

18

2.3 下地の状態 仕上塗材仕上げを行う下地の状態を表2.4に示す。

2.4 各種下地の調整法2.4.1 コンクリート、プレキャストコンクリートなどの下地調整①コンクリートの打継ぎなどでは不陸・ 段差が生じる場合がある。この場合、JASS 15により下地が均一に仕上がっているか確認することが必要である。セメントモルタル塗りの表面状態には金ごて、木ごて及びはけ引きの3種類があるが、標準的な仕上塗材とセメントモルタル表面仕上げとの組み合わせは仕上塗材の仕上厚、仕上がり状態並びに付着性などから表2.5のようになっている。

表2.4 下地の状態�

  チェック項目�

割れ・破損・浮き��不陸・目違い��不純物の付着��下地の強度��下地の乾燥・pH・水分��取付け金物の防せい�

� 下地の状態�防水処理及び補修がしてあり、仕上塗材の仕上げに支障のないように下地調整されていること。�仕上塗材の種類、厚さ、仕上がりの程度などにより、許容できる範囲に処理されていること。�下地は清浄な面とし、じんあい、油脂、さび、並びにモルタル又はコンクリートのこぼれなどが付着していないこと。�

十分な付着性を得るために、仕上塗材以上の強度と剛性を有していること。�

�仕上塗材の種類に応じ、適応できる条件(適正水分・アルカリ度)に管理されていること。(注)通常pH10以下など�

木ねじ・くぎ類は亜鉛めっきなどで防せい処理がしてあること。�

表2.5 セメントモルタル下地表面の仕上げの標準(JASS 23より)�

はけ引き�仕上げ��×�

����

×���○�○��

薄付け仕上塗材仕上げ� 合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材(薄塗材E)仕上げ� 可とう形外装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材�

(可とう形外装薄塗材E)仕上げ� 外装合成樹脂溶液系薄付け仕上塗材(外装薄塗材S)仕上げ� 内装水溶性樹脂系薄付け仕上塗材(内装薄塗材W)仕上げ� 防水形外装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材�

(防水形外装薄塗材E)仕上げ�厚付け仕上塗材仕上げ� セメント系厚付け仕上塗材(厚塗材C)仕上げ� 外装合成樹脂エマルション系厚付け仕上塗材(外装厚塗材E)仕上げ�

仕上塗材仕上げの種類�下地表面� 金ごて�

仕上げ��○�

○��○�○�

○���×�○�

木ごて�仕上げ��○�

×��○�○�

×���○�○��

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2章 下地及び下地の管理

19

②コンクリート、プレキャストコンクリート部材の下地調整は、小さなひび割れ・気泡穴・表面凹凸・木繊維の付着・露出鉄筋・目違い欠陥部などの項目を対象に、セメント系下地調整塗材などで調整処理する。

2.4.2 ALCパネルの下地調整①ALCパネル面は仕上塗材の種類や、要求される仕上精度に適した条件にセメント系下地調整塗材や合成樹脂エマルション系下地調整塗材などで下地調整する。

②ALCパネル面をセメント系下地調整塗材で下地調整する場合、セメントの水和反応に必要な水分が、急激に下地に吸収されて強度の小さい下地調整となり、仕上塗材の凝集によるはく離などが生じることがある。必ず下地調整時に合成樹脂エマルションシーラー又は吸水調整材を塗付しておく。

2.4.3 せっこうボード、スレート、合板の下地調整①せっこうボードの湿潤、乾燥に伴う長さ変化は比較的小さく、したがって目地は突付けとすることが多い。この場合の目違い、くぎ穴などは合成樹脂エマルションパテを用いて地付けし、硬化後サンドペーパーなどで平滑にしておく。

表2.5 セメントモルタル下地表面の仕上げの標準(JASS 23より)(つづき)�

はけ引き�仕上げ��○�

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×��×��×�○�

複層仕上塗材仕上げ� ポリマーセメント系複層仕上塗材(複層塗材CE)仕上げ� 可とう形ポリマーセメント系複層仕上塗材�

(可とう形複層仕上塗材CE)仕上げ� けい酸質系複層仕上塗材(複層塗材Si)仕上げ� 合成樹脂エマルション系複層仕上塗材(複層塗材E)仕上げ� 反応硬化形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材�

(複層塗材RE)仕上げ� 合成樹脂溶液系複層仕上塗材(複層塗材RS)仕上げ�

�防水形複層仕上塗材仕上げ� 防水形ポリマーセメント系複層仕上塗材(防水形複層塗材CE)仕上げ� 防水形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材�

(防水形複層塗材E)仕上げ� 防水形反応硬化形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材�

(防水形複層塗材RE)仕上げ� 防水形合成樹脂溶液系複層仕上塗材(防水形複層塗材RS)仕上げ�軽量骨材仕上塗材仕上げ �

仕上塗材仕上げの種類�下地表面� 金ごて�

仕上げ��○�

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○ : 適用できる下地表面の仕上げ�× : 一般に適しない下地表面の仕上げ��

(注)�

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2章 下地及び下地の管理

20

②屋内の壁・天井などで、目地を設けず、スレートの目地を突付けとして仕上塗材仕上げとすることがある。この場合、ボードの厚さの違いなどにより、目違いを生ずることがあるので、合成樹脂エマルションパテを用いて地付けをする。

③合板下地で目地を突付けとする場合、合成繊維のメッシュ寒冷紗などを合板の継手に張り、合成樹脂エマルションパテで地付けし、ひび割れが仕上面に生じないようにする。

2.4.4 木毛セメント板及び木片セメント板の下地調整 木毛セメント板・木片セメント板を平滑にして、仕上塗材仕上げをする場合は、JASS 15により平たんにモルタル塗りされているか確認する。

2.4.5 けい酸カルシウム板の下地調整 けい酸カルシウム板は吸込みが大きく、表面が比較的ぜい弱で粉状である。したがって付着強度の大きい仕上塗材仕上げでは2液エポキシ樹脂系などの合成樹脂溶剤系シーラーを塗り付け浸透させ、表面を補強することが必要である。そのためシーラーは仕上塗材に適したものを、仕上塗材製造業者の仕様によって処理する。最近では水系のシーラーも実用化されている。

2.5 コンクリート下地の補修例 ここではコンクリート下地の補修について、留意点及び補修例を示す。内容の一部は吹付け工事の範囲ではない工程も含まれているが重要なポイントである。 吹付け工事に入る前には以下の補修が完了していることを確認することが重要である。ちなみにJASS 23では以下のような点に留意し処理が完了しているものを下地としている。①仕上塗材仕上げに支障となる鉄筋、セパレータ、番線、木片などを入念に取り除くことが必要である。 木片などを取り除いた穴、セパレータの木コン穴なども清掃後、ポリマーセメントモルタルなどで補修され、許容できる範囲で平滑に処理されていなければならない。参考として木コン穴の処理例を図2.6に示す。

②型わく取外し後、豆板、コールドジョイントなどの欠陥箇所及び打継部の目地まわりについて、次のような方法でそれぞれ適切な措置を講じる。

図2.6 セパレータの穴の処理例(JASS 23より)�

木製ジグ�

セパレータ木コン穴�

コンクリート�

ポリマーセメント�モルタルを押込む�

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2章 下地及び下地の管理

21

(イ)豆板の補修 コンクリート表面を全面点検し、豆板の発生した箇所、砂利・砂の結合の緩んだ箇所については、はつり取ってポリマーセメントモルタルを入念に充てんする。(ロ)開口部下部空どうの補修 開口部下部の空どうになっている欠陥箇所はよく清掃し、内外に型わくをあて、コンクリートを充てんする。型わく取外し後は、打継面にポリマーセメントモルタルなどを用いて平たんに下地調整する。(ハ)打継部・コールドジョイントの補修 外壁などに生じたコールドジョイントは、コンクリートの乾燥収縮が進行してひび割れとなり、漏水の原因となりやすい。グラインダーなどでUカットし、仕上げに支障のないシーリング材を充てんしてからポリマーセメントモルタルで塗り埋め、乾燥後サンダーなどで平たんにしておく。(図2.7参照)

(ニ)乾燥収縮などによるひび割れの処置 開口部まわり、隅角部及びスパンの中央、そのほかにすでに乾燥収縮などにより生じたひび割れは、通常2~3年程度にわたって進行し漏水の原因となるので、グラインダーなどでUカットし、仕上げに支障のないシーリング材を充てんしてからポリマーセメントモルタルで塗り埋め、硬化後サンダーなどで平たんにする。       2.6 下地調整に用いられる材料 下地調整として主に以下のものが使用される。・ 合成樹脂エマルションシーラー(吸水調整材を含む)・合成樹脂溶剤系シーラー(1液、2液)・ 合成樹脂エマルションパテ(合成樹脂エマルションパテは屋内で水のかからない箇所で使用する。)

・ 建築用下地調整塗材*

*JIS A 6916(建築用下地調整塗材)の種類でC-1、C-2、Eに分類されるものを使用する。 CM-1、CM-2に分類されているものは膜厚が厚く、JASS 15左官工事で使用される。

 下地・仕上塗材の種類と下地調整材との適合表を表2.7に示す。

図2.7 コンクリートひび割れの補修要領(JASS 23より)�

プライマー塗付け� シーリング材充填�プライマー塗付け� ポリマーセメントモルタル�

10~15 3~5

10

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2章 下地及び下地の管理

22

表2.7 下地・仕上塗材の種類と下地調整材との適合表(JASS 23より)�

下�

  地�

   調�

    整�

      材�

仕上塗材仕上げの種類�

外装薄塗材E仕上げ�

内装薄塗材E仕上げ�

可とう形外装薄塗材E仕上げ�

外装薄塗材S仕上げ�

内装薄塗材W仕上げ�

防水形外装薄塗材E仕上げ�

外装厚塗材C仕上げ�

内装厚塗材C仕上げ�

外装厚塗材E仕上げ�

複層塗材CE仕上げ�

可とう形複層塗材CE仕上げ�

複層塗材Si仕上げ�

複層塗材E仕上げ�

複層塗材RE仕上げ�

複層塗材RS仕上げ�

防水形複層塗材CE仕上げ�

防水形複層塗材E仕上げ�

防水形複層塗材RE仕上げ�

防水形複層塗材RS仕上げ�

軽量骨材仕上塗材仕上げ�

下地の種類�

○:適用可  ●:内装に限り適用可 �

Em系:エマルション系�

シーラー�

シーラー�

シーラー�

シーラー�シーラー�シーラー�シーラー�

    セ メ ン ト 板�

押 出 成 形�

      セ メ ン ト�

ガ ラ ス 繊 維 補 強�

せ っ こ う ボ ー ド��

  カ ル シ ウ ム 板�

け い 酸��

��

      ブ ロ ッ ク�

コ ン ク リ ー ト�������

A L C パ ネ ル�

���

セ メ ン ト モ ル タ ル�� コ ン ク リ ー ト 部 材�

プ レ キ ャ ス ト��

コ ン ク リ ー ト�

C-� 1C-� 2EEm�

系�1液形�

溶液系�2液形�

溶液系�

1液形�

溶液系�2液形�

溶液系�

1液形�

溶液系�2液形�

溶液系�

C-� 1C-� 2

Em�

系�

Em�

系�

Em�

系�Em�

系�

C-� 2

C-� 1

E

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下地調整�

塗材�

下地調整�

塗材�

下地調整�

塗材�

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3章 施工方法と管理

23

3章 施工方法と管理

 建築用仕上塗材(以下、仕上塗材と言う)は、吹付け工法、ローラー塗り工法、こて塗り工法などにより仕上げられる。施工にあたっては、これらの工法で使用する機器、工具、動力等について十分な知識と操作・修理能力を持つと同時に、使用する仕上塗材に最も適した機器を選定することが重要である。

3.1 吹付け工法3.1.1 吹付け機器 吹付け機器は簡単に言うと、エアコンプレッサー(以下コンプレッサー)と吹付け機を組み合わせたものである。仕上塗材の供給方式、カップの取り付け位置、圧送方式、吹付け機の形状などから、図3.1に示すように大略分類でき、次のような特徴がある。また、代表的な吹付け機器には、写真3.1に示すようなものがある。

(1)供給方式による分類 仕上塗材の供給方式によりカップ式と圧送式に分類できる。前者は容量が1リットル程度のカップに仕上塗材を入れ、それをエアの噴出力で吹き出すもので、材料供給は断続的で吹付け能力は低い。後者は、カップに比べ容量の大きいタンクもしくは圧送機に仕上塗材を供給し、それに圧力をかけるかもしくは押し出すことにより吹付けるもので(ノズル部でさらにエアを噴出させて吹付けるものもある)、材料供給は連続的で吹付け能力は高い。

図3.1

(供給方式) (取付け位置)     (吹付け機の形状) (仕上塗材)�カップ式 重力式 リシンガン ・・・・・・・ 薄付け仕上塗材� ジュラクガン ・・・・・ 薄付け仕上塗材� スタッコガン ・・・・・ 厚付け仕上塗材� タイルガン ・・・・・・・ 複層仕上塗材�

吸い上げ式 ゾラコートガン ・・・ シーラー、上塗材�

       (圧送方式)�圧送式     エアレス式     

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ シーラー、上塗材�

エアレスポンプ式�スネーク式�ピストン式     

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 建築用仕上塗材�

スクイズ式�タンク加圧式�

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3章 施工方法と管理

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(2)カップの取り付け位置による分類 カップ式のスプレーガンには、カップの取付け位置により写真3.1に示すように重力式と吸い上げ式とに分けられる。重力式は、ノズル部の上にカップが取り付けられ、仕上塗材は主として重力によって落ちてくる方式である。吸い上げ式はノズル部の下にカップが取り付けられ、仕上塗材はエアの噴出に伴い吸い上げられる方式である。

(3)仕上塗材の圧送方式による分類 仕上塗材の圧送方式によりエアレス式、エアレスポンプ式、スネーク式、ピストン式、スクイズ式、タンク加圧式などに分けられる。エアレス式はタンクより仕上塗材を吸い上げてその高圧力で、仕上塗材を噴出させて吹き付けるものである。エアレスポンプ式は、スプレーガンの部分で更に圧搾空気が加わり吹き付けるものである。スネーク式、ピストン式及びスクイズ式は仕上塗材をスネークポンプなどで圧送し、スプレーガンの部分で圧縮空気とともに吹き付けるものである。

(重力式)                              (吸い上げ式)

リシンガン ジュラクガン スタッコガン タイルガン ゾラコートガン

エアレスポンプ式

発動式コンプレッサー

エアレス式

スネーク式

写真 3.1 代表的な吹付け機器

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3章 施工方法と管理

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3.1.2 吹付け塗り操作 吹付けは、仕様に基づいて行うが2回吹きを原則としている。1回目を下吹き、2回目を上吹き、又は仕上吹きと言う。(1)吹付けの基本 吹付けの基本要領について図 3.2、図 3.3、図 3.4に示す。

(2)吹付けパターン 適正な吹付けパターンの例を図 3.5.に示す。

(3)スプレーガンの運行 スプレーガンの運行と施工の要領を図 3.6、図 3.7に示す。

図 3.2 視線及び吹付け距離�

距離50b

角度�

視線�

図 3.3 コーナー部の吹付け方法� 図 3.4 ガンの正しい運び方�

50b

パターンの幅�

正しい運び方�

悪い運び方�

○�×�

図 3.5

①適正なパターン�左・扇形 右・丸形�

②故障のあるときのパターン�

ノズルがつまったとき�

一方の側の穴がつまったとき�

空気圧が低すぎるとき�

空気圧が高すぎるとき�

ノズルの口径が摩滅したとき�

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3章 施工方法と管理

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(4)圧送機器の点検 作業に支障のないように日頃、次の点について注意する。① 動力源の確認。② 機器の損傷はないか? ③ オイルの交換及び補充。④ 圧力ゲージは正確か?セットは適切か? ⑤ 圧送部品の消耗度は?⑥ 機器に適した材料か? ⑦ 材料の粘度、骨材は適しているか? ⑧ 作業完了後の洗浄は十分か?⑨ エア、材料の吐出口は変形していないか?つまっていないか?⑩ ジョイント部分のもれ、キズはないか?⑪ ジョイントは摩耗していないか?

図 3.6

①スプレーガンの運行�

③吹きむら、色むら防止�

②折り返し�

下吹き(………)は上下に 折り返し点で鋭角度(×)にならないよう�上吹き(‐‐‐)は左右に   スプレーガンを操作(○)(吹き重ね防止)�

図 3.7

・上吹きは、足場横布の30cm位上でとどめ、下段から仕上げる。�・作業の見切りは、縦樋や目地、庇などで区切るように心がける。�

左右吹き�

上下吹き��

30b

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3章 施工方法と管理

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3.2  ローラー塗り工法 ローラー塗り工法は、ローラーブラシに材料を含ませて、施工面に転がして付着させる工法である。特長としては、次のことがあげられる。① 養生が比較的少なく簡便である。② 吹付け作業より飛散が少なく、作業環境を汚さない。③ 作業が簡便なのでメンテナンスに最適である。 施工にあたって、材料を希釈し、ローラーブラシになじませる。一度にたっぷりつけず徐々に含ませながら容器の中に入れた網で何回も回転させて、十分に含ませる。次にベニヤ板などに試し塗りを行い、材料粘度を調整する。

3.2.1 ローラーの種類 ローラーブラシは、ハンドルとローラーカバー(中毛ローラー、砂骨ローラー、くばりローラー等)で構成される。(一部の製品には、一体となっているものもある。)写真 3.2~写真3.13にハンドルとローラーカバーの種類、容器、網などを示す。

写真 3.2ハンドル

写真 3.3レギュラータイプ 写真 3.4ワンタッチタイプ

写真 3.5中毛ローラー 写真 3.6砂骨ローラー 写真 3.7コーナーローラー

写真 3.8レギュラー 写真 3.9ミドル 写真 3.10スモール

写真 3.11 くばりローラー 写真 3.12 パターンローラーと仕上がり 写真 3.13 容器と網

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3章 施工方法と管理

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3.2.2 ローラー塗り操作 一度被塗面に置いたローラーブラシは、ローラーカバーに含まれる材料が全部塗り終わるまで被塗面から離さないようにする。仕上り模様は、連続回転操作によってのみ均一に作られるのであって、操作中に被塗面からローラーブラシを離すとその部分はローラーマークが出て不均一な仕上りになるので注意する。ローラーブラシの動かし方は、図3.8 、図3.9のようにし、最後に縦又は横にローラー目をそろえる。

   3.3 こて塗り工法 建築仕上げにおけるこて塗り工法の主な特長を次の①~④に、また、主なこての写真を写真3.14及び写真3.15に示す。①一度に厚く塗れ、しかも作業が簡単でかつ速い。例えば5a、10aになると吹付けガンや圧送ローラーより左官仕事の方が速くなることが多い。

②養生、コンプレッサーなどが不要で、特に小面積などの場合に容易に作業ができる。③コンクリート面など凹みや目違いがある時、下地の凹凸に関係なく平たん面を作ることができる。

④彫刻、成型的な仕上げも出来る。

 

3.4 その他の用具(1)ハンドミキサー(写真3.16) 材料混練容器の中に直接差し込んで、材料を攪拌する機械である。回転シャフトの先にプロペラをつけ、シャフトの回転によりプロペラが材料を攪拌する仕掛けで、シャフトを回転

図 3.8

最初のローラーの動かし方�2回目のローラーの動き�

図 3.9

ローラーの正しい握り方�薬指と小指で�固定する�

写真3.14 中塗りこて写真3.15 角こて

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3章 施工方法と管理

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させるためのモーターが組み込んである。(2)ミキサー(写真3.17) 材料攪拌タンクに動力を組み合わせたもので、構造は比較的簡単である。動力は、1~2PS、ホッパー容量60~100r、1回混練り量40~70r位の性能があれば良い。野丁場など多くの材料を施工する現場では省力化、能率化にかかせない。選択にあたっては、広範囲の各種材料に適用できるかどうか、材料の硬練りが出来るかどうか、よくチェックすることが大切である。

(3)材料混練容器 ペール缶、バケツなど鉄製又はプラスチック製で円筒型の容器が好ましい。(4)養生用具(マスカー、シート、テープ)、皮スキ、スクレパー等 写真3.18~写真3.23にその他の用具を示す。

3.5 施工及び施工管理3.5.1 施工 仕上塗材は、建築現場で吹付け、ローラー塗り、あるいはコテ塗りによって施工され、最終的にその機能を発揮するものである。したがって、施工及び施工管理が、製品の品質管理

写真3.16 ハンドミキサー 写真3.17 ミキサー

写真3.21 紙テープ

写真3.18 マスカー写真3.19 シート

写真3.20 皮スキ

写真3.22 布テープ 写真3.23 スクレパー

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3章 施工方法と管理

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と同様に重要となる。 一般に施工は、その製品の製造業者が指定する方法により、工事仕様書や施工要領書に基づいて行われる。しかし現場の作業環境や作業条件はきわめて複雑多岐にわたるので、実際の施工に当たっては、適切な下地処理、足場の良否、塗付け機器、混合機器なども十分に考慮しなければならない。① 施工の基本は、深い知識、優れた技能、施工者の心構えなどであるが、ポイントをまとめると以下のようになる。

・重点となる目的は何であるか十分認識する。・施工現場の環境・条件を正確に把握する。・対象となる下地に関する正しい知識を持ち、施工する材料の品質・性能を十分理解し、適切な材料の選択をする。・常に最良の仕上げを心がける。② 施工に際して、施工者は、塗装仕様、テクスチャー、下地条件、足場、施工機器などについて施工要領書を作成、工事管理者は、これに基づき施工計画書を作成し、関連工事との調整を図る。

③ 施工者は施工計画書に従い作業をすすめ、工期を遵守しなければならない。

3.5.2 施工管理 仕上塗材の施工管理をa現場管理、s材料管理、d足場管理、f養生管理に大別した場合の要点を以下に示す。また、表3.1に施工管理要領チェックリストを示す。(1)現場管理① 調合場所及び作業場所は、常によく整理整頓を行う。② 作業用足場は、労働安全衛生規則に準拠したものでなければならない。③ 塗付け面と足場との間隔は、仕上塗材の種類・模様などを考慮し、塗付け作業に支障のない距離を保つため、あらかじめ工事管理者と施工業者が打ち合わせを行う。

④ 危険防止のため、塗付け作業による仕上塗材の飛散もしくは溶剤の蒸発により人体に有害な影響がある場合には、労働安全衛生規則に準拠した適切なマスク及び必要に応じてメガネを着用し、作業をしなければならない。

(2)材料管理① 材料の発注に当たっては、施工面積、下地の種類や面の精度を考慮し、綿密にその使用量を計算した上で、貯蔵安定性の許す範囲で一括発注をする。また、追加工事の場合は前回発注の材料見本、塗り見本を添付するか、もしくはロット番号を確認し、製造業者が単に指示番号やマンセル番号によってのみ調色することのないように留意する。

② 貯蔵安定性の確認は、通常6ヶ月を一区切りとして材質確認を行う。その材料の保管は、袋入りのセメント系材料などの無機系材料は、吸湿性があるので、風雨にさらされない場所で、水分を遮断するように厚いパネルなどを敷いた上に置く。缶入りの水系材料の保管場所は、保温処置のできる場所、特に冬期気温が5℃以下にならないところを選ぶ。溶剤形の材料は、火気に注意するよう「危険物」であることを明示して、引火のおそれがないところに保管する。

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3章 施工方法と管理

31

施工後は、養生テープを2日以上放置すると素地に糊が残るので十分注意する。�

樋、アルミサッシなどはセメントのアルカリにより変色し易いので注意する。�

2日以上放置�

③ 使用時混合形の材料は、現場において十分に攪拌し、均一化した状態で使用する。攪拌が不十分な場合は付着低下、飛び散り、砂落ち、硬化不良、色むらなどの原因となる。

④ 下塗材、主材、上塗材は、異なった製造業者のものを用いたり、混合したりすると異常な凝固、付着低下、剥離などに結びつくので絶対に避ける。同一製造業者品で統一する。

(3)足場管理① 作業足場と壁面との間隔; 吹付け工法…30~50b

ローラー塗り工法…40~ 50b② 天井と足場床面との間隔; 吹付け工法…1.3~1.9m

ローラー塗り工法…1.9~ 2.2m③ 足場架設が影響するむらの発生; 横布線の上、下から交差して横に二重吹きをした結果、仕上塗材の重なりからくる色むらを生じる場合がある。また逆に塗付け作業の盲点となり横布線を中心とした塗り不足で色むらを生じる場合もある。防止策としては、材料が下地面に対して直角に吹き付けられるように、スプレーガンのノズルをやや上向きに保ち、絶対に吹下げはしないこと。むしろ可能な範囲で吹上げて仕上げるように心がけると、比較的横布むらが目立たない均一なテクスチャーが得られる。④ つなぎ跡の補修; タッチアップ性の良い仕上塗材、補修し易いテクスチャーを選択するよう考慮する。(4)養生管理① 塗付け作業前に材料の飛散、直射日光を避けるため、シート掛け養生を行う。② 工事中は、他の部材及び仕上げ面を汚損しないよう適切な養生を行う。③ 夏季に屋外で施工する場合は、急激な乾燥を防止するため、シート、ポリエチレンフィルムなどで覆う。

④ 風などにより粉塵があがり、仕上げ面に付着するおそれがある場合は、防風養生を行う。⑤ セメント系仕上塗材などは、早期乾燥を防止するためにシート養生及び散水養生を行う。⑥ 養生紙やマスキングテープなどの取り外しは、塗付け塗膜の硬化の程度や塗膜厚などを考慮して行う。

⑦ 養生の注意点

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3章 施工方法と管理

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表 3.1 施工管理要領チェックリスト�

    工程・項目            チェックポイント�施工計画 ①面積、施工部位、意匠、工期、作業管理など確認。� ①下地の含水率10%以下、pH10以下であること。�下地調査 ②白華、レイタンス、ほこりなどを確認。� ③既存塗膜の確認。�下地調整の調査 ①下地処理工法、下地調整の確認。�工法の選定 ①居住者、周辺への影響を確認。� ①使用材料の確認。�材料の選定 ②数量の確認。� ③施工範囲の確認。�足場 ①足場作業の基準に従い、壁と足場の間隔が設置されているか確認。�

下地処理 ①下地処理状態の確認(下地に汚れ、付着物が著しくなく、仕上りを妨げ�

 る突起物、段差、不陸、巣穴がないこと)。�仕上塗材の調合 ①メーカーの仕様書で材料の調合割合を確認。� ①下塗りは、塗り残しのないように指示。� ②塗り重ね時間の指示。� ③材料粘度の調整を一定に指示。� ④吹き付けの角度を一定に指示。�仕上塗材の施工 ⑤吹き重ねかすれのないように指示。� ⑥均一に施工しているか確認。� ⑦施工後、タレ、泡、ちぢみ、塗り残しのないことを目視で確認。� ⑧気温5℃以上で施工されているか確認。� ⑨材料の可使時間が守られて使用されているか確認。�二次仕上げ(ローラー押さえ) ①パターンずれのないように確認。�

ダメ直し ①足場つなぎの変更を指示。�

②元パターンと変わらない最小範囲を確認。� ①乾燥硬化が正常に進行するように換気に配慮する。�養生 ②半硬化の時取ると取りやすい。放置が長いとテープが残ったり仕上材を�  傷めないと取れない。�検査 ①塗り見本と比較してテクスチャー、色彩、光沢等に差異がないことを確認。�(建築改修工事監理指針参考)�

シート養生をしていても強風のときなどは吹きこぼれに十分に注意する。�

天井、壁仕上げを行う時、周りを汚染しないよう天井から行い、すてテープ貼りの養生が大切。�

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4章 塗替え改修

33

4章 塗替え改修

 仕上塗材を施工する目的は、下地、構造体の保護と美観にある。一般に仕上塗材は紫外線、水、汚染物質等により表面から劣化していく。劣化した場合は、建物の耐久性確保、美観の保持のため、修繕・改修に努めるべきである。修繕・改修は、既存の塗膜層の劣化状況の調査、診断により、劣化の程度に基づいて、修繕・改修措置の検討を行う必要がある。なお、本章では、仕上塗材層の劣化状況の調査・診断及び修繕・改修措置について述べる。

4.1 仕上塗材に発生する劣化現象 仕上塗材に発生する劣化現象としては①汚れ、②変退色、③光沢低下、④白亜化、⑤摩耗、⑥ふくれ、⑦ひび割れ、⑧はがれ、⑨浮き、⑩エフロレッセンス、⑪藻・かびの発生等がある。劣化現象の種類と調査方法を以下に示す。  ① 汚れ 塵あい、鉄さび、手あか、油脂などの付着、菌類藻類の繁殖により通常の洗浄方法では除去できない状態。 〈調査方法〉目視診断

                ② 変退色 紫外線、風雨、熱などにより仕上塗材表面が劣化し色の色相、彩度、明度が変化する現象。 〈調査方法〉目視診断、色見本、カラーチャート

③ 光沢低下 仕上塗材表面の光沢が低下する現象。主に上塗材の劣化。 〈調査方法〉目視診断

④ 白亜化 チョーキングともいう。紫外線、風雨、熱などにより樹脂分が劣化し塗膜中の粉状物が離脱しやすくなり表面が粉末状になる現象。 〈調査方法〉指触診断(塗膜表面を触り粉状物の付着で診断)

払拭診断(塗膜表面にセロテープを接着させて引きはがし黒色の紙などに貼り付け粉状物の付着状態をみる。調査結果を保存する場合に有効)

写真4.1 汚れ

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4章 塗替え改修

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          ⑤ 磨耗 風雨、砂塵など物理的作用により塗膜厚が減少して行く現象。 〈調査方法〉目視診断

                

写真4.2 白亜化(チョーキング)(外装仕上げの耐久性向上技術、技報堂出版1より)�

〈指触診断〉� 〈払拭診断〉�

劣化がない状態�

劣化が進んでいる�状態�

著しく劣化が進んで�いる状態�

写真4.3 磨耗

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4章 塗替え改修

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⑥ ふくれ 塗膜が気体、液体、その他異物などを含んで盛り上がる現象。 上塗材のふくれや主材のふくれがある。 〈調査方法〉目視診断

                

⑦ ひび割れ 塗膜に裂け目ができる現象。上塗材の割れは浅割れ(checking)、主材の割れは深割れ(cracking)に区分される。 下地モルタルや躯体コンクリートの割れに起因する場合もある。 〈調査方法〉目視診断(クラックスケール、クラック針ゲージペン等)

写真4.4 ふくれ

写真4.7 クラックスケール

写真4.5 浅割れ 写真4.6 深割れ

写真4.8 クラック針ゲージペン

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4章 塗替え改修

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⑧ はがれ 塗膜が付着力を失って被塗物から離れる現象。 〈調査方法〉目視診断

⑨ 浮き 塗膜が剥離して浮き上がった状態。通常、裂け目や切れ目がなく、内部に気体又は液体(水分)を含んでいる。 〈調査方法〉目視判断(打診棒、テストハンマー)                                        

                                                           

⑩ エフロレッセンス 塗膜表面へアルカリ分が析出し白色粉状物を生ずる現象。 セメントモルタル、コンクリート中の石灰などが水に溶けて表面にしみ出し、空気中の炭酸ガスと化合してできたもの。 〈調査方法〉目視診断

            

写真4.10 打診棒

写真4.9 はがれ

写真4.11 エフロレッセンス

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4章 塗替え改修

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⑪ 藻・かびの発生 塗膜表面に黒色、緑色の点状、糸状に発生した藻類やかびによる汚染 〈調査方法〉目視診断

4.2 劣化現象の処理方法 ほとんどの塗替え改修工事は健全な既存塗膜を残してその上から新たな仕上塗材を塗布している。既存塗膜の劣化状況を把握し、適切な処理を実施することが重要である。処理方法には清掃、除去、下地調整(固定)に分けられる。① 清掃 既存仕上塗材層の表面についた付着物を清掃し、下地として問題のない状態にする。各種清掃処理方法を表4.1に示す。

② 除去 既存仕上塗材層の内部まで劣化している場合は機械的(物理的)除去や溶解、膨潤などの化学的除去によりぜい弱部分を除去する。内容を表4.2に示す。

  

写真4.12 藻の発生

表4.1 各種清掃処理方法�

表面付着物               清掃処理方法�塵埃 ブラシを用いた水洗い又は水圧3~15MPaの水洗�藻・黴・苔 ワイヤブラシ等で掻き落とし、アルコール拭き又は、塩素系漂白剤で殺菌処理する。�

油脂類 中性洗剤で洗浄後、水洗いするかシンナー拭きする。著しい場合は、ワイヤブラシ掛け�

又は、サンダー掛けで除去する。�白亜化・

ワイヤブラシ等で掻き落とした後、水洗い又は高圧水洗浄する。�

エフロレッセンス �

鉄錆 ワイヤブラシ、電動サンダーを用いて除去する。シュウ酸などの弱酸を用い、鉄錆を除去�

し、直ちに水洗いして薬剤を取り除く。�

表4.2 各種除去方法�

機械的除去 手工具、電動工具、高圧水(15~70 MPa)、超高圧水(100~200MPa)、サンドブラスト�化学的除去 シンナー拭き、剥離剤、スチームクリーナー、燃焼�

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4章 塗替え改修

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③ 下地調整(固定) 下地に欠損やひび割れ等がある場合は下地調整塗材を用い補修し、平滑に処理する。また、ぜい弱層はシーラー処理で固定する。

4.3 各種塗替え工法4.3.1 既存仕上塗材層の処理方法 既存仕上塗材層の処理方法は劣化現象に応じて異なるので劣化現象を十分確認して選定する必要がある。 汚れ、白亜化など既存仕上塗材層表面の劣化現象がある場合の処理方法の例を図4.1に示す。

  

 図4.1 既存仕上塗材層のみの劣化に対する処理方法�   (外壁改修工事の基本的な考え方(湿式編)、6日本建築学会より引用)�

仕上塗材層表面�

汚れ� 変退色�

アルカリ�塩の折出�

エフロレセンス�

耗�

化�

光沢度低下�

び�

び�

手あか・油脂�

い�

仕上塗材表面の処理・清掃�

水洗(高圧水洗を含む)�

水������洗�

手工具、電動工具による除去および水洗�

塩素系漂白剤等による洗浄および水洗または手工具、電動工具による除去および水洗�

水������洗�

ラッカーシンナー、中性洗剤等による洗浄および水洗または手工具、電動工具による処理および水洗�

仕上塗材表面の処理・清掃�

下地処理�無処理�

シーラー処理� 下地調整塗材�

選択された仕上塗材塗り�

有� 無�下地調整�のレベル�

下地調整�方法�

下地処理方法�NO

YES

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4章 塗替え改修

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 ひび割れ、ふくれ、はがれなど既存仕上塗材層内部に及ぶ劣化現象がある場合の処理方法の例を図4.2に示す。 劣化部の部分除去や劣化部が広範囲に及ぶ場合の全面除去処理などがある。

       

     

図4.2 既存仕上塗材層の劣化に対する処理方法�        (外壁改修工事の基本的な考え方(湿式編)、6日本建築学会より引用)�

仕上塗材層内部�

単層� 複層�

シーラー処理�

下地調整塗材処理�

選択された仕上塗材塗り�

下地調整�レベル�

下地調整�方法�

NO

YES

YES

ふくれ・はがれ�

割れ� 主材のふくれ・はがれ�

主材の割れ�トップコートのふくれ・はがれ�

トップコートの割れ�

劣化塗材の除去(塗材の 部 分 除去)�

塗材の全面除去�

劣化塗材の除去(塗材の部分除去)�

手工具、電動工具による除去及び水洗�

手工具、電動工具による除去及び水洗�

手工具、電動工具、ブラスト、はく離剤等による除去及び水洗�

劣化塗材の除去(塗材の 部 分 除去)�

塗材の全面除去�

手工具、電動工具による除去及び水洗�

手工具、電動工具、ブラスト、はく離剤等による除去及び水洗�

下地調整塗�材の適用�

シーラー�の適用�

NO

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4章 塗替え改修

40

4.3.2 塗替え仕上塗材の選定 塗替え改修工事を計画するときの塗替え仕上塗材については意匠変更の有無、性能、経済性などを踏まえて選定する必要がある。 塗替え改修工事における塗替え仕上塗材の選定手順を図4.3に、代表的な既存仕上塗材の種類による塗替え可能な仕上塗材の適合表を表4.3に示す。また、1章(表1.5 建築用仕上塗材の選び方)も参照願いたい。

                         

図4.3 塗替え仕上塗材の選定手順�

既存仕上�

美観保持�

意匠変更�

形状を活かす�

既存塗膜状態�

テクスチャー�

ゆず肌状� 凹凸状� 砂壁状� スタッコ�

単層弾性�仕上塗材�

可とう形�改修塗材�

・塗料�・上塗材�・RP�・リシンベース�

防水形�複層塗材�

可とう形�薄塗材�

複層塗材� 薄塗材� 厚塗材�

健全な場合�割れがある場合�

防水性� 可とう性�

NO YES

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4章 塗替え改修

41

表4.3 代表的な既存仕上塗材の種類と仕上塗材の適合表�

セメントリシン�アクリルリシン�単層弾性仕上塗材�アクリルタイル�弾性アクリルタイル�アクリルスタッコ�

○�○�○�○�○�○�○�○�○�○�○�

○�○�○�○��○�

○�○�○��○��○�

○�○�○�○�○�○�

○�○�○�○�○�○�

○����○�

○�○�○�○�○�○��○�

○�○�○�○�○�○�

○�○�○�○�○�○�

可とう形改修塗材RE�

可とう形改修塗材E�

可とう形改修塗材CE�

厚塗材E(アクリルスタッコ)�

厚塗材Si(シリカスタッコ)�

厚塗材C・CE(セメントスタッコ)�

防水形複層塗材RS�

防水形複層塗材RE�

防水形複層塗材E(弾性タイル)�

防水形複層塗材CE�

可とう形複層塗材CE�

複層塗材RS(エポキシタイル)�

複層塗材RE(水系エポキシタイル)�

複層塗材E(アクリルタイル)�

複層塗材Si(シリカタイル)�

複層塗材C・CE(セメントタイル)�

防水形薄塗材E(単層弾性)�

可とう形薄塗材E(弾性リシン)�

薄塗材E(アクリルリシン)�

薄塗材Si(シリカリシン)�

薄塗材� 複層塗材� 厚塗材�可とう形改修塗材�仕上塗材�

既存仕上塗材�の種類�

 ○:適�空欄:不適又は通常使用しない�

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4章 塗替え改修

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4.3.3 塗替え仕上げの工程 主な既存仕上げで見られる代表的な劣化現象についての処理方法と仕上塗材の工程を図4.4から図4.6に示す。   ① 既存仕上げ:アクリルリシン

               

                  

            

図4.4 アクリルリシンの塗替え仕上げの工程例�

汚れ� はがれ�

既存塗膜が健全�コスト重視�

既存塗膜に割れがある�

意匠変更�(躯体保護)�

意匠変更�

上塗りのみ�

下塗り�

上塗り�

可とう形改修仕上塗材�

単層弾性�仕上塗材�

厚塗材(スタッコ)�

はがれ箇所の部分除去又は全面除去(高圧水、ケレン等)�

洗浄(水洗、シンナー拭き等)�

模様あわせ(部分除去の場合)�

シーラー又は下地調整塗材処理�

下塗り�

主材塗り�

無処理�

下地処理の適用�

仕上塗材選定�

上塗り� 上塗り�

選定条件�

仕上塗材�

工  程�

NO YES

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4章 塗替え改修

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② 既存仕上げ:単層弾性仕上塗材(ゆず肌模様)

               

                   

図4.5 単層弾性仕上塗材の塗替え仕上げの工程例�

汚れ� ふくれ�

既存塗膜が健全�コスト重視�

既存塗膜に割れがある�

意匠変更(躯体保護)�

上塗りのみ�

下塗り�

上塗り�

可とう形改修仕上塗材�

単層弾性仕上塗材(凹凸状仕上げ)�

防水形複層仕上塗材(弾性タイル)�

ふくれ箇所の部分除去又は全面除去(高圧水、ケレン等)�

洗浄(水洗、シンナー拭き等)�

模様あわせ(部分除去の場合)�

シーラー又は下地調整塗材処理�

下塗り�

主材塗り�

無処理�

下地処理の適用�

仕上塗材選定�

上塗り� 上塗り�

選定条件�

仕上塗材�

工  程�

NO YES

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4章 塗替え改修

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③ 既存仕上げ:アクリルタイル

               

                    

    

     

図4.6 アクリルタイルの塗替え仕上げの工程例�

チョーキング� 主材のひび割れ�

既存塗膜が健全�コスト重視�

既存塗膜に割れがある�

上塗りのみ�

下塗り�

上塗り�

可とう形改修仕上塗材�

単層弾性仕上塗材(ゆず肌状仕上げ)�

防水形複層仕上塗材(弾性タイル)�

ひび割れ箇所の部分除去又は全面除去(高圧水、ケレン等)�

洗浄(水洗、シンナー拭き等)�

模様あわせ(部分除去の場合)�

シーラー又は下地調整塗材処理�

下塗り�

主材塗り�

無処理�

下地処理の適用�

仕上塗材選定�

上塗り� 上塗り�

選定条件�

仕上塗材�

工  程�

NO YES

意匠変更�(躯体保護)�

防水性付与�

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4章 塗替え改修

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参照 目地の防水材料としてシーリング材は重要な役割をはたしている。 シーリング材と仕上塗材の組合わせによっては、はがれ、割れ、汚れなどの不具合が生ずることがあるので注意が必要である。 国土交通省大臣官房官庁営繕部監修、7建築保全センター発行の「建築改修工事監理指針(上巻)、平成16年版」による既存シーリング材と仕上塗材の適合表を表4.4に示す。

表4.4 既存シーリング材と仕上塗材の適合表(目安)�

変性シリコーン系1成分形�変性シリコーン系2成分形�ポリサルファイド系1成分形�ポリサルファイド系2成分形�ポリウレタン系1成分形�ポリウレタン系2成分形�アクリルウレタン系2成分形�

�△���△�△�○�

�△���△�△�○�

○�△�△�△�○�○�○�

○�△�△�△�○�○�○�

○�△�△�△�○�△�○�

�△����△�○�

�△����△�○�

�△����△�○�

�△����○�○�

�△����△�○�

�△����△�○�

○�△�△�△�○�○�○�

○�△�△�△�○�○�○�

○�△�△�△�○�○�○�

○�△�△�△�○�○�○�

△�△��△�△�△�○�

�△����△�○�

�△����△�○�

○�△�△�△�○�○�○�

○�△�△�△�○�○�○�

○�△�△�△�○�○�○�

可とう形RE�

可とう形E�

可とう形CE�

厚塗材E�

厚塗材Si�

厚塗材C・CE�

防水形複層塗材RS�

防水形複層塗材RE�

防水形複層塗材E�

防水形複層塗材CE�

可とう形複層塗材CE�

複層塗材RS�

複層塗材RE�

複層塗材E�

複層塗材Si�

複層塗材C・CE�

防水形薄塗材E�

可とう形薄塗材E�

可とう形薄塗材Si�

薄塗材S�

薄塗材E�

薄塗材Si�

薄塗材� 複層塗材� 厚塗材�可とう形改修塗材�仕上塗材�

既存シーリング�の種類�

○:適合  △:条件により適合  空欄:不適合�

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5章 クレームになる欠陥とその対策

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5章 クレームになる欠陥とその対策

 建築塗装では、被塗物及び仕上塗材の種類が多種多様で、複雑な工程の仕様もあり、更に気象や周囲の環境の影響を受けることから、材料・塗装・塗膜の欠陥に起因するクレームが多く発生する。発生する欠陥を材料、下地、塗装作業中、塗装作業後、経時及び外的要因の6項目別に図5.1に示す。クレームは、各欠陥の複合的な絡みにより発生するため、原因の解明及び対策は、総合的な検討を必要とする。現実に発生しやすい欠陥についての原因及び対策について以下に述べる。        

図5.1 クレームになる材料・塗装・塗膜の欠陥�

材料�

粘度変化�

顔料の沈降�

凍結�

腐敗�

色違い�

固化�

皮ばり�

だま(固まり)�

色の分離�

下地(素材)�

既存塗膜の�リフティング�つやの不良�

エフロレッセンス�

ひび割れ�

色むら�

ドライアウト�

はがれ�

はじき�

ふくれ�

変色・変質�

乾燥不良�

ガンはだ�

塗装作業中�

はけ目�

はじき�

糸ひき�

発泡(あわ)�

ピンホール�

色むら�

流れ(だれ)�

ガンはだ�模様のくずれ�白化(ブラッシング)�

ドライアウト�

リフティング�

にじみ�

つや不良�

メタリックむら�

色・つやむら�

足場むら�

白化�

ピンホール�

塗装作業後�

色分れ�

乾燥不良�硬化不良�吹きむら�

透け�

パターン違い�

乾燥ひび割れ�

はがれ�

退色�

チョーキング�

熱ふくれ�

ひび割れ�

カビ・藻�

経時�

変色�

つやびけ�

ふくれ�

浮き�

汚れ�

材料の欠陥�

乾燥不良�

流れ・はけ目�

白化・ふくれ�

メタリックむら�

チョーキング�

熱ふくれ�

外的要因�

乾燥ひび割れ�ひび割れ�ドライアウト�

ガンはだ�模様のくずれ�発泡(あわ)�ピンホール�変色・退色�

汚れ・カビ・藻�

クレーム�

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5章 クレームになる欠陥とその対策

48

5.1 用語の解説 主な欠陥内容と現象についての用語解説を表5.1に示す。

                                

表5.1 用語の解説�

  欠陥内容��粘度変化��顔料の沈降�皮ばり�【補足-1】参照�だま�・固まり�凍結(水系塗材)�腐敗(水系塗材)�色の分離�色違い�はけ目�流れ(だれ)�・たれ�・たるみ�

はじき��ガンはだ��糸ひき�

にじみむら�

�白化�・ブラッシング�・かぶり�

発泡(あわ)�

�ピンホール�ドライアウト�(セメント系)�造膜不良�・低温割れ�

色むら��硬化不良�

� 現象(定義)�貯蔵・保管中に粘度が変化する現象。粘度の上昇が著しい場合、ゲル化(ゼリー状になること)することがある。�また、逆に粘度が減少する場合もある。�分散した顔料、骨材などが容器の底にたまること。�容器中で塗材の表面が乾燥し皮が張る現象。水系の高顔料濃度・高粘度塗材は外気の温度差などにより、塗材の表面に皮が張る。�混合状態が不十分で生じた顔料や骨材の集まり(固まり)、皮ばりが材料中に沈んでできた‘固まり’をいう。�水系塗材が氷点下において凍る現象。�水系塗材にバクテリアやカビが育成し、悪臭、粘度変化、ガスなどを発生する。�混合されている色が貯蔵・保管中に個々の色に分れる現象。�製造・調色ロットなどの違いにより色味が異なること。�流展性の悪い上塗材などを塗った場合、はけの跡が凹凸の線状に残ること。�垂直面に施工した塗材が乾燥までに部分的に流れて厚さに不均一を生じる現象。複層仕上塗材の上塗材には半円状、つらら状、波紋状などの模様となって現れる。‘たれ’、‘たるみ’ともいう。�塗膜に生じる‘へこみ’のうち、素地まで達しているものをいう。�被塗面に油やシリコーンなどが付着しているときに起こりやすい。�吹付け塗装時、塗材の粘度や吹付け圧が高いため、塗膜の肌が荒れる現象。吸込みが著しい場合にも生じる。�塗材が糸状になって被塗面に付く現象。�下塗りした部分又は下塗りから上塗りした塗材に色がしみ出して、所定の色に仕上がらずに‘むら’になること。�複層仕上塗材の溶剤形上塗材の乾燥過程で起こる塗膜の白化現象。    �霧がかかった様に白くなり、つやがなくなる。ブラッシング、かぶりともいう。耐水白化(塗膜中に水が介在して生じる白化)とは区別する。�塗材に混入した気泡が塗装時に抜けきれず泡となって残る現象。塗膜表面にできた気泡。小さなふくれ、へこみ、穴となって残る場合もあり、複層仕上塗材の上塗材に生じる。�塗膜に生じる針でつついた程度のごく小さな穴が開く現象。�セメント系塗材を施工後、急速な水分揮発又は吸込みによるセメントの硬化不良。�� 寒冷期におけるエマルション系塗材を最低造膜温度以下で施工した場合の割れ(低温割れ:コールドクラックともいう)。�上塗材などを塗装したとき、その表面に色の異なる部分ができる現象。塗材の欠陥、塗装の欠陥、塗膜成分の分解、変質などで起こる。�反応硬化形塗材の造膜不良。�

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5章 クレームになる欠陥とその対策

49

表5.1 用語の解説(つづき)�

  欠陥内容�

足場むら�

�乾燥ひび割れ� �リフティング�・ちぢみ�・しわ��エフロレッセンス�・白華�にじみ�・ブリード�

色分れ��つやむら��つやびけ��透け(透けむら)�メタリックむら�

吹きむら�

�剥離・はがれ �・チッピング�・フレーキング�・スケーリング�・ピーリング�

変色��退色�

�白亜化�・チョーキング�

ふくれ�

� 現象(定義)�足場のかげの塗りにくい部分の主材の模様むら、その上塗材の重ね塗りによる‘つやむら’、‘色むら’を生じる現象。�乾燥時の収縮によって発生する割れ。�複層仕上塗材などの溶剤形上塗材を2回以上塗り重ねる時、下層の上塗材が上層の上塗材の溶剤によって侵され軟化し、しわになること。�エマルション系のような非反応硬化形主材の上に反応硬化形(2液形)溶剤系上塗材を塗り付ける場合や、塗替え工事で耐溶剤の弱い既存塗膜の上に強い溶剤を含有する塗材を塗り付けした場合に発生しやすい。�セメント系塗材の表面に析出した白粉状の結晶。白華ともいう。        �4章 写真4.11参照�下に塗装された塗膜中の顔料の色が、上に塗られた塗材の溶剤で抽出されることによって浮き出てくる現象。�塗膜形成の過程で顔料が凝集や浮きなどによって不均一となり、目で見て色むらになる現象。�光沢塗面に部分的な光沢不足が発生したり、つや消し又は半つやの塗面に部分的なつやが現れたりする現象。�光沢度が小さくなること(光沢低下)。塗装後、短時間のうちにつやを失う現象。ブラッシング(かぶり)、耐水白化などによる。�下地や下塗材が透けて見え、その透け方が不均一でむらになる現象。�メタリック色の金属顔料が‘むら’や‘まだら’に仕上った状態。�模様の密度、大きさ、形状が一様でなく、不均一に見える現象。�模様むら、模様くずれ、塗継ぎむらなどによる。�塗膜が付着力を失ってはがれること。�①りん片状に細かく砕けたはがれは、チッピング(Chipping)、フレーキング(Flaking)という。�②大きめのはがれは、スケーリング(Scaling)という。�③連続した大はがれは、ピーリング(Peeling)という。�元の色と異なった色に変化すること。色相、彩度、明度のいずれかの1つ又は2つ以上が変化する。�塗膜が紫外線、水、熱などにより色があせる現象。主として彩度が小さくなり、場合によっては明度が大きくなる。�太陽光線により塗膜の表面が次第に粉状になり消耗してゆく現象。       �4章 写真4.2参照�塗膜が下から押し上げられて部分的に凸部状になる現象。内部は、塗膜を浸透した水や被塗物との界面で発生したガスなどである。4章 写真4.4参照�

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5章 クレームになる欠陥とその対策

50

5.2 材料に発生する欠陥と対策 材料の使用時、保管時に発生する欠陥について表5.2に示す。また、水系塗材と溶剤系塗材との大きな違いを表5.3に示す。水系塗材の材料に発生する欠陥は、保管状態に左右され易いので、特に保管には注意が必要である。

表5.1 用語の解説(つづき)�

  欠陥内容��熱ふくれ�・蜂の巣状ふくれ�【補足-3】参照��

浮き�

��ひび割れ�・チェッキング�・クラッキング��

カビ・藻�

� 現象(定義)�外壁素材や仕上塗材中には、徐 に々水分が蓄えられる。この水分が急激な温度上昇により、水蒸気となり、軟化した塗膜を押し上げてふくれを発生させる。単層弾性の場合は、比較的大きな‘ふくれ’で、カッターで切ると内部は蜂の巣状になっている。防水形複層仕上塗材のアクリル系上塗材の場合は、微小な‘ふくれ’が上塗材の中に無数に発生する。�塗膜が剥離して浮き上がった状態。通常、裂け目や切れ目がなく、内部に気体又は水分を含んでいる。�塗膜に裂け目や割れ目が生じた状態で、ひび割れ、亀裂、クラックともいう。�①複層仕上塗材などの上塗材表面部分だけに起こる細かい割れは、浅われ(Checking)�という。4章 写真4.5参照�②上塗材を貫通し、その下の塗膜又は下地まで達する割れは、深われ(Cracking)という。4章 写真4.6参照�

塗膜の表面に点状・糸状・面上に発生した黒色、緑色などのカビ、藻類による汚染。�4章 写真4.12参照�

表5.2 材料に発生する欠陥と対策�

  欠陥内容���

粘度変化�

����顔料の沈降���皮ばり�【補足-1】参照

�原因�①高温での貯蔵。(直射日光下での貯蔵)�②長期間保管。�③開放容器による保存。     �④異種塗料の混合、異種溶剤の使用。�⑤反応硬化形塗料での可使時間超過。��①塗材の分散・混合不足。    �②長期間保管。�③うすめ液(溶剤又は水)による過希釈。�①長期間保管。         �②開放容器による保存。     �③直射日光下で貯蔵。(高粘度タイプの塗材)�

対策�①40℃以上の貯蔵および直射日光下での貯蔵を避ける。       �②使用期限内の材料を使用する。 �③密閉した容器で保存する。   �④材料製造業者の仕様を守る。   �⑤可使時間以内に使用する。�①使用の際、底部まで十分に撹拌する。�②使用期限内の材料を使用する。 �③溶剤又は水を多量に加えない。�①40℃以上の貯蔵は避け、使用期限内の材料を使用する。      �②開缶後は、密閉した容器で保存する。�③直射日光下での貯蔵を避ける。�

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5章 クレームになる欠陥とその対策

51

表5.2 材料に発生する欠陥と対策(つづき)�

  欠陥内容�

だま�・固まり

��凍結�(水系塗材)��

腐敗�(水系塗材)

���

色の分離���色違い�

�原因�①高顔料濃度の塗材における顔料及び骨材の分離・沈降。      �②皮ばりの塗材中への沈降。�①水系仕上塗材の0℃以下での長期貯蔵。�①開放容器による保存。�②腐敗した水での希釈。     �③長期貯蔵品の使用。���①使用顔料の分散状態の差。  �②希釈した上塗材の保管。�①製造ロット間の色の差。    �②高温貯蔵等による変質。�

対策�①顔料の沈降の項参照。   �②皮ばりの項参照。��①凍結する雰囲気で保管しない。��①開缶後は、密閉した容器で保存する。�②汲み置き(雑菌入り)した水で希釈しない。             �③長期の貯蔵は避け、在庫管理に注意する。�①使用の際、十分に撹拌する。  �②同上。�①塗装面、目地、塗継ぎ箇所などで区分けし使用する。著しく異なる場合はメーカーに返品する。        �②保管に注意する。�

表5.3 水系塗材と溶剤系塗材の組成と欠陥内容の違い�

  項 目�合成樹脂エマルション�又は水溶性樹脂�合成樹脂溶液�凍結防止剤�成膜(造膜)助剤�水溶性増粘剤�防腐剤�粘度変化、固化�顔料の沈降�皮ばり�だま(固まり)�凍結�腐敗�

水系塗材�

配合��-�配合�配合�配合�配合�

起こりやすい��

起こりやすい�起こりやすい�起こりやすい�起こりやすい�

溶剤系塗材�

-��配合�-�-�-�-�

起こりやすい�起こりやすい�

�-�-�-�

� 備 考�水系塗材と溶剤系塗材の大きな違いは、溶媒の違いである。水系塗材には、凍結防止剤、成膜助剤、水溶性増粘剤、防腐剤などが添加されている。����水系塗材は保管時に欠陥を生じやすいので保管状態に十分注意する必要がある。�

組成�

欠陥内容�

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5章 クレームになる欠陥とその対策

52

5.3 下地の状態により発生する欠陥と対策 下地に関するクレームについては、後述する塗装作業中、塗装作業後、経時で発生する欠陥とも共通するので、その中で確認することを薦める。表5.4に下地の状態により発生する欠陥と対策について示す。下地調整を十分行なうことにより、多くのクレームを防止することができる。

図5.2 皮ばり(直射日光下における皮ばり発生現象)�

JIS A 6909�複層塗材E

JIS A 6909�複層塗材E

厳禁�直射日光下での貯蔵�

太陽光の熱エネルギー� 冷却(放射冷却)�

皮(皮ばり)�

皮ばり�発生�

水分蒸発�

塗材表面から水が蒸発� 水の蒸発/結露の繰返しにより塗材の�表面が乾燥する。⇒皮�

昼間は容器が温められ、飽和水蒸気圧に達するまで塗材表面から水が蒸発(気化)する。夜間は冷却され、缶内壁面で結露(液化)した水は缶壁側から塗材にもどる。�

【補足-1】�

表5.4 下地の状態により発生する欠陥と対策�

  欠陥内容�エフロレッセンス、�ひび割れ、はがれ�パターンむら�(吹きむら)�はじき、はがれ、�ふくれ、ちぢみ�ひび割れ、はがれ�

原因(下地の状態)�

割れ・破損・浮き��不陸*1・目違い*2��不純物の付着��下地の強度�

� 対 策�防水処理及び補修を行い、仕上塗材の仕上げに支障がないように下地調整する。�仕上塗材の種類、厚さ、仕上りの程度などにより許容できる範囲に処理する。�下地は清浄な面とする(塵埃、油脂、さび及びモルタル、コンクリ-トのこぼれなどの付着を除去する)。�十分な付着性が得られる下地にする。�

新 設�

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5章 クレームになる欠陥とその対策

53

5.4 塗装作業中に発生する欠陥と対策 表5.5に塗装作業中に発生する欠陥について示す。塗装作業中における欠陥は、後述の塗装作業後におけるクレームと共通する内容もある。また、外的要因の影響を受けやすいので注意が必要である。

表5.4 下地の状態により発生する欠陥と対策(つづき)�

  欠陥内容�ふくれ、はがれ、色むら、�変色、変質、乾燥不良、�エフロレッセンス�ふくれ、はがれ、�さび汁�つやの不良、色むら、�ガン肌、ピンホール、�ドライアウト�エフロレッセンス、�ひび割れ、はがれ�パターンむら�(吹きむら)�はじき、はがれ、�ふくれ、ちぢみ�ひび割れ、はがれ、�リフティング�ふくれ、はがれ、変色、�変質、発泡、乾燥不良�ふくれ、はがれ、�さび汁�つやの不良、色むら、�ガン肌、ピンホール、�ドライアウト�

原因(下地の状態)�

下地の乾燥�(水分・pH)��取り付け金物の防錆���下地の吸込み��

割れ・破損・浮き��補修個所 �パターンむら�

不純物の付着��既存塗膜の付着強度��下地の乾燥(水分)��取り付け金物の防錆���下地の吸込み�

� 対 策�仕上塗材の種類に応じ、適用できる条件(適正水分、アルカリ度)に管理する。    �コンクリート⇒表面含水率:10%以下、pH:10以下�木ねじ、くぎ類はさび止め塗料などで防錆処理を行なう。��下地調整塗材及び下塗材などで吸込みを押さえる。��防水処理及び補修を行い、仕上塗材の仕上げに支障がないように下地調整を行なう。�仕上塗材の種類、厚さ、仕上りの程度などにより許容できる範囲に処理する。�下地は清浄な面とする。(塵埃、油脂、さびの付着などを除去する)� 十分な付着性を得るために、既存塗膜の種類及び付着状態に応じた仕様を選定する。�仕上塗材の種類に応じた下地調整を行なう。�⇒表面含水率:10%以下� 木ねじ、くぎ類は、さび止め塗料などで防錆処理を行なう。��下塗材及び下地調整塗材で吸込みを押さえる。�

新 設�

塗替・改修�*1 不陸:素地が平坦でないこと     *2 目違い:段差があること(建築の俗語)�

表5.5 塗装作業中に発生する欠陥と対策�

  欠陥内容��はけ目

�原因�①塗料の流動性不足。�②塗付が不均一。�③乾燥が速い場合。�

対策�①希釈を適切にする。�②十分均一になるように塗り広げる。�③乾燥に応じた希釈で施工する。�

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5章 クレームになる欠陥とその対策

54

表5.5 塗装作業中に発生する欠陥と対策(つづき)�

  欠陥内容��流れ(だれ)   �・たれ�・たるみ����はじき�����ガンはだ����糸ひき���白化�・ブラッシング�・かぶり��ピンホール�

�発泡(あわ)�ローラー塗装の

�場合��発泡(あわ)�スプレー塗装の�場合    �【補足-2】参照

��ドライアウト�(セメント系塗材)��

�原因�①過度な厚塗り。�②過希釈。�③下地に全く吸込みがない場合。 �④水系塗材の高湿条件下での塗装。��①下地に水又は油の付着。�②スプレーエア中の水又は油の混入。�③はけに油又は水の付着。    �④下塗りが平滑で硬い場合(喰いつきがない)。�①塗材の粘度が高い、うすめ液の蒸発が速い、あるいは湿度が高く風が強い、下塗材の吸込みが著しく、粘性を失う場合。             �②吹付け圧が低い場合。�①吹付け塗装時、溶剤の蒸発が速い場合。(スプレーガン口において溶剤が蒸発し、塗材が糸状になる)�①湿度が高い時、塗膜からの急激な溶剤の蒸発。(塗膜が冷えて水蒸気が凝縮し、白化現象を起す)     �②高揮発性溶剤を多量に含む速乾形上塗材の塗装。�①下地に存在する気泡孔(穴)。�①複層仕上塗材の高粘度での塗装。 �②溶剤形上塗材の乾燥が速い場合。�③複層仕上塗材など上塗材のローラー運行回数が多い場合。��①下地の細かい凹凸。      �②高粘度での吹付け。      �③高温時又は塗装直後の高温化。��①下地の著しい吸込み。      �②夏期の直射日光下、強風下、冬期の異常低湿度下での塗装。     �③塗材の混合不足。�

対策�①厚塗りしない。 �②希釈を適切にする。�③希釈を控え、はけの運行回数を多くする。�④水系塗材の場合、湿度85%以上での塗装を避ける。�①十分な下地調整を行なう。    �②エアーストレナーの交換又は取り付けを行なう。          �③はけを洗浄する。       �④サンディング*1を行なう又は塗料を変える。�①流動性がなくなる条件を避ける。  �②吹付け圧を適正圧に調整する。� ���①蒸発の遅い溶剤を用い、低圧で口径の大きいガンで吹付けする。��①湿度が高いときの塗装は避ける。  �②低揮発性溶剤(リターダー)を用いる。����①十分な下地調整を行なう。�①塗材の粘度を適正にする。    �②適切な溶剤形上塗材用溶剤を使用する。             �③ローラー運行回数を必要以上に多くしない。�①十分な下地調整を行なう。    �②上塗材の粘度を適正にする。  �③適切な溶剤形上塗材用うすめ液を使用する。�①シーラー処理し、下地の吸い込みを止める。下地に散水する。      �②乾燥が著しく速い条件下での施工は控える。           �③混合時に塗材を水と十分なじませる。�

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5章 クレームになる欠陥とその対策

55

表5.5 塗装作業中に発生する欠陥と対策(つづき)�

  欠陥内容����色むら������

リフティング�

�原因�①下地の養生不足および吸込みむら。�②塗材の撹拌不足。       �③塗材ロット間の色の差。     �④複層仕上塗材などの溶剤形上塗材のうすめ液が不適当。���①既存塗膜が溶剤系1液形塗料の上に溶剤系2液形反応硬化形塗料の2回重ね塗り。�②下塗層の耐溶剤不足による密着不足。�③可とう形改修塗材の薄塗りに、溶剤形2液形反応硬化形塗料の2回重ね塗り。�

対策�①下地を十分養生させる。下地の吸込みが均一になるようシーラー又は下塗材の所定量を均一に塗る。    �②塗装時に十分撹拌する。    �③見切り*2でロットを変更する。   �④溶剤形上塗材のうすめ液は所定品を使用し、所定の希釈を行なう。�①適切な上塗材を用いる。     �②上塗材を弱溶剤系や水系への変更を協議する。          �③可とう形改修塗材を厚塗りし、溶剤の浸透を防止する。適切な上塗材を用いる。�

*1 サンディング:サンドペーパーなどで研磨すること   *2 見切り:塗分け線のこと。�

図5.3 熱ふくれ(溶剤ふくれの発生現象)�

塗膜� 溶剤�蒸気�

太陽光の熱エネルギー�

細孔に浸透した溶剤が蒸発�

溶剤蒸気(ふくれ)�

ふくれの発生�

急激な温度上昇�

躯体� 細孔(塗装により溶剤が浸透)�

未乾燥の塗膜が溶剤の蒸発(体積膨張)によりシャボン玉のように膨れる�

【補足-2】�

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5章 クレームになる欠陥とその対策

56

5.5 塗装作業後に発生する欠陥と対策 表5.6に示すとおり、各要因の複合的な絡みによりクレームが発生するため、その事例数は多い。

表5.6 塗装作業後に発生する欠陥と対策�

  欠陥内容��

にじみ�・ブリード

�����色分れ�����つやの不良����

つやむら�

��透け�・透けむら����メタリックむら�������

色むら�

�原因�①下地に水系塗材を塗装(水可溶分のにじみ)。           �②異色の仕上塗材の塗装。    �③塗装間隔が不十分。      �④上塗材の溶剤溶解力が大きい場合。�①混合不十分。         �②うすめ液による過希釈。     �③顔料粒子の分散性が異なる2色の混合。���①下地の著しい吸込み。      �②下塗材等の面の粗さ。     �③うすめ液が不適当で過希釈。  �④薄塗りの場合。        �⑤白化の発生。�①下地の吸込みむら。       �②塗膜厚さの不均一等。     �③塗り回数不足。��①薄塗材や上塗材の塗付量不足。 �②著しい膜厚の不均一。�①蒸発速度の速い溶剤など不適当なうすめ液の使用。         �②塗膜厚さの不均一。      �③適正吹付け圧とその維持が不完全。�④ローラー塗装。���①下地の養生不足及び吸込みむら。�②上塗材の品質(分散不良など)。  �③複層塗材などの溶剤形上塗材のうすめ液が不適当。        �④複層塗材などの上塗材のタレ部、はけ部、ローラー耳部などにおける膜厚不均一。�

対策�①溶剤系のシーラー等適切な下塗りを用いる。            �②にじみ易い色どうしの重ね塗りは避ける。�③適切な塗装間隔を取る。     �④上塗材(又はうすめ液)を変更する。�①十分に混合する。        �②だれを生じると色別れが生じるので注意する。           �③はけ目が多いと色別れが目立ちやすいので注意する。�①下塗材で吸込みを止める。    �②上塗材を重ね塗りする。    �③適切なうすめ液を使用する。   �④適度の厚さに塗るか重ね塗りする。�⑤表5.5「白化」の項参照。�①下地の吸込みが均一になるようシーラー又は下塗材の所定量を均一に塗る。�②所定量を均一に塗る。     �③所定の塗り回数をまもる。�①所定の塗り回数で所定量を均一に塗る。�②同上。�①所定のうすめ液を使用する。   �②所定の塗回数で所定量を均一に塗装する。            �③コンプレッサーの空気圧、空気量及びガン機の調整を行い、同じ条件で塗装する。            �④吹付けにより塗装する。�①下地を十分養生させる。また、下地の吸込みが均一になるようシーラー又は下塗材の所定量を均一に塗る。  �②上塗材を取り替える。      �③溶剤形上塗材のうすめ液は所定品を使用し、所定の希釈を行なう。   �④複層仕上塗材などの上塗材は、むら切りにより均一に塗る。�

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5章 クレームになる欠陥とその対策

57

表5.6 塗装作業後に発生する欠陥と対策(つづき)�

  欠陥内容��

乾燥不良����

反応硬化形材料�の硬化不良

����足場むら���

パターン違い�

����エフロレッセンス���

白化�(耐水白化)���あわ(発泡)  �【補足-2】参照����発泡(ふくれ)

���ひび割れ�・造膜不良�・低温割れ

�原因�①低温多湿条件(水系塗材)。�②通風が悪く、溶剤の蒸発が遅い場合。�③下地に水や油の付着。��①基材と硬化剤の混合ミス。    �②冬期*1における著しい低気温。  �③夏季形材料の冬期における施工。���①足場の裏、影部などの施工のしにくい箇所における吹き継ぎ又は塗り継ぎ部のむら又は模様むら。�①薄塗材の骨材の大きさ、量の間違い。�②施工道具の間違い(金ごてと木ごて、ガン口径の違いなど)。      �③塗付量、希釈のばらつき。�①塗膜表面へのアルカリ分の溶出(セメント系材料が十分に硬化乾燥する前に降雨に当たったり、結露環境になったりした場合に塗膜表面に炭酸カルシウムが生成する)。�①乾燥初期の結露又は降雨。   �②水洗に洗浄剤を使用した場合の水洗不足。�①下地に存在する気泡孔(穴)。   �②高粘度での吹付け塗装。    �③急激な気温上昇(炎天下)による浸透した溶剤の蒸発。       �④下地の含有水分。�①下地の巣穴からのエアーの押し出し(断熱性下地に多い)。    �②こて塗り仕上げの場合の押さえ(刷り込み)不足。�①寒冷期における最低造膜温度以下での施工。          �②冬期の低温と風。�

対策�①極端な低温時及び高湿度時の塗装は避ける。           �②通風、換気をよくする。     �③清浄な下地に調整する。�①硬化剤混合比の厳守と十分な混合。�②著しい低気温下での施工は避けるか、採暖処置をとる。        �③夏季形、冬季*2形のある場合は使い分けをする。�①吹付けは、吹付け角度・距離を一定に保つようにし、均一に塗り付ける。��①仕様に基づいて、事前に試し塗りし、仕上りを確認する。       �②同上。            �③同上。�①低温・高湿時には施工を行なわない。�����①降雨・結露・降雪が予想される場合は施工を中止する。       �②水洗により洗浄剤を洗い流す。�①十分な下地調整を行なう。    �②塗材の粘度を適正にする。   �③適切な溶剤形上塗材用うすめ液を使用する。           �④下地の乾燥を十分に行なう。�①ポリマーセメント系下地調整材により巣穴を埋める。        �②こて塗りの場合、パターン付け前に良くしごく。�①5℃以下の塗装は避ける。   �②採暖や養生シートなど行い施工する。�

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5章 クレームになる欠陥とその対策

58

5.6 経時で発生する欠陥と対策 経時で発生する欠陥と対策について表5.7に示す。塗膜欠陥は、下地の調整不足、適用仕様の間違い及び外的要因(使用環境条件)により発生するものが多い。この中で、変色及び退色、つやびけ並びに白亜化(チョーキング)は、特別な異常現象を除いて通常的な劣化現象であり、耐久設計指針に基づく仕様選択の問題として、欠陥現象とは区別して考える必要がある。

表5.6 塗装作業後に発生する欠陥と対策(つづき)�

  欠陥内容��

乾燥ひび割れ�

�原因�①過度な厚付け。        �②冬期の低温と風。        �③過希釈。           �④高湿度条件での長期暴露(水系塗材)。�

対策�①一度に厚く付けない。      �②塗装可能な状態まで施工しない。 �③適正希釈率を守る。      �④通風、換気をよくする。�

*1 冬期:冬の時期・期間   *2 冬季:冬の季節・シーズン�

表5.7 経時で発生する欠陥と対策�

  欠陥内容��

剥離・はがれ�・チッピング�・フレーキング�・スケーリング�・ピーリング�����変色および退色*1����白亜化*1�・チョーキング���熱ふくれ�・蜂の巣状ふくれ           �【補足-3】参照

�原因�①下地の養生不足(表面含水率、pH)。�②既存の塗膜が十分に密着していない上に塗装。          �③白亜化の上に塗装。      �④被塗面の調整が不備で、油や汚れの付着。            �⑤下塗材/主材、主材/上塗材の不適合(層間付着性)。�①下地の養生不足(水分、pH)。   �②塗材に耐薬品性の劣る樹脂や顔料の使用。            �③硫化水素等による黒変。    �④薄め色、淡彩色(淡彩色は変退色が目立つ)。�①粉化(熱、紫外線、風雨等で塗膜が劣化し、塗膜表面から粉化する)。 �②顔料/樹脂の組成比の影響。�①蓄熱性の高い素材に、防水形複層仕上塗材の上塗材が熱可塑性でかつ濃彩色で塗装。         �②既存の塗膜が熱可塑性で、厚膜及び劣化が著しい場合に、①項の上塗材を塗装。�

対策�①表面含水率;10%以下、pH;10以下まで養生期間を設ける。      �②既存塗膜のはがれやすいものを剥離してから塗装する。      �③白亜化層を除去して施工する。 �④十分な下地調整を行なう。   �⑤適切な塗装仕様で行なう。��①下地の養生を十分に行なう。   �②使用塗材、塗装仕様の選択に配慮する。             �③用途に応じた適性に優れた塗材を選択する。           �④耐久性の良い塗材を選択する。�①耐白亜化性の良い塗材を選択する。�②同上。��①建物の構造、材質及び空調に配慮し、素地調整、前処理を十分行い、塗色は濃彩を避ける。         �②下塗材に2液エポキシ系シーラーを使用し、上塗材は2液ウレタン上塗材を使用するなど塗装仕様の選択に配慮する。�

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5章 クレームになる欠陥とその対策

59

表5.7 経時で発生する欠陥と対策(つづき)�

  欠陥内容�

浮き�ふくれ��ひび割れ�・チェッキング�・クラッキング�����汚れ������カビ・藻�

�原因�①塗膜の付着力低下。      �②塗膜裏面への漏水など、水・水分の影響。�①凍結、融解、乾湿繰返しなど過酷な環境条件。            �②下地の割れ、振動などの外的要因。�③主材と上塗材の伸び挙動のバランス。�①シーリング材又は可塑剤を含む塗膜で被覆された鋼板などからのブリード。�②模様、仕上塗材の種類。    �③建物の構造(雨筋汚れ)。�����①使用環境条件(高湿度、温度など)。�②仕上塗材の組成面の影響。�

対策�①使用塗材、塗装仕様の選択に配慮する。              �②漏水対策、下地調整を十分に行なう。�①塗材、塗装仕様の選択に配慮する。�②防水形仕上塗材のように伸長性に優れた塗材で施工する。     �③塗材、塗装仕様の選択に配慮する。�①可塑剤がブリードするシリコーン系シーリング材などの上には塗装しない。ノンブリードタイプのシーリング材を使用する又はバリアプライマー*2を使用する。�②汚れにくい模様、塗材の選択に配慮する。�③②項の選択及び建物の構造を変更する(水切りの設置など)。�①環境条件に注意(湿度条件の緩和など)。�②防カビ剤、防藻剤入りの塗材、塗装仕様の選択に配慮する。 �

*1 変色及び退色、白亜化:耐久設計指針に基づく仕様選択の問題とする。�*2 バリアプライマー:シーリング材の可塑剤ブリード押さえ用プライマー�

図5.4 熱ふくれ(蓄熱水蒸気ふくれ発生現象)�

水分�

水分の移動�

太陽光からの�熱エネルギー蓄積�

塗膜隙間への�水分の浸透→残存�

塗膜の軟化と�急激な水の蒸発(体積膨張)�

水蒸気(ふくれ)�

ふくれの発生�

急激な温度上昇�

塗膜�

【補足-3】�

躯体� 躯

体�

太陽光の熱エネルギー�

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5章 クレームになる欠陥とその対策

60

5.7 外的要因により発生する欠陥と対策  外的要因に起因する塗膜欠陥は、施工管理を十分行なうことで、かなり防止することができる。表5.8にその例を示す。

表5.8 外的要因による塗膜欠陥と対策(施工管理)�

温度・熱�����温度・熱�����湿度����風���降雨��

結露��凍結��水(降雨)�光(紫外線)�熱 �風(塵埃)�熱�凍結・�降雪�

�水系塗材�

①凍結→固化�①粘度変化、固化 �②皮ばり、だま  �③腐敗(菌の進入)�①乾燥不良、硬化不良    �②ひび割れ�①はけ目     �②ドライアウト   �③ピンホール�①はけ目、ドライアウト��①乾燥不良、流れ(だれ)�①ひび割れ、ドライアウト   �②模様のくずれ・むら�①流れ、白化、ふくれ、色むら、光沢むら �②エフロレッセンス�①白化、エフロレッセンス�①ひび割れ、はがれ��①白亜化、変色・退色ひび割れ、はがれ����①ひび割れ、はがれ �

溶剤系塗材��①粘度変化、固化���①乾燥不良、硬化不良��③発泡(あわ)   �④がん肌��②硬化不良�(湿気硬化塗材)�②ブラッシング��③がん肌���①白化、ふくれ、色むら、光沢むら��①白化����①白亜化、変色・退色ひび割れ、はがれ ���①熱ふくれ�①ひび割れ、はがれ�

対 策�

�①項は表5.1参照��①、②、③項は表5.1参照���①、②項は表5.4参照��①、②、③、④項は表5.4参照�日陰面にする、塗装時間帯を変更する。�①項は表5.4参照�②項は塗装間隔を長くする。�①、②項は表5.4、5.5参照   �湿度80%以上での塗装を避ける。�①、②、③項は表5.5、5.6参照 �風速5m/秒以上では吹付けしない。�①、②項は表5.6参照    �気象状況を考慮し、施工する。��①項は表5.6参照 �塗装を早めに終了させる。�①項は表5.6参照      �気象状況を考慮し施工する。�①通常的な劣化現象であり、欠陥現象とは区別して考える必要がある。耐久設計指針に基づく仕様選択の問題である。�①項は表5.7参照�①凍害を考慮した仕様を適用する。 �

外的要因(区分)�発生する欠陥内容�

材料�

低温��高温���低温���高温��

低湿��高湿�

��強風��

乾燥�初期�

�乾燥�初期�乾燥�初期�����外壁�

塗装中↓塗装後�

施工後経時�

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5章 クレームになる欠陥とその対策

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表5.8 外的要因による塗膜欠陥と対策(つづき)�

建築物��構造�部位�条件�

�水系塗材�

①ふくれ、はがれ、浮き��①ひび割れ(造膜時)�②ひび割れ、はがれ��①カビ、藻��①ひび割れ、はがれ�����①乾燥不良、色むら、つやむら、流れ(だれ)�②われ��①汚れ(シーリング材部の汚れ、雨すじ汚れ)�②カビ、藻�

溶剤系塗材�①ふくれ、はがれ、浮き��②ひび割れ、はがれ���①カビ、藻    �②発泡������②もどり(軟化)����①汚れ(シーリング材部の汚れ、雨すじ汚れ)     �②カビ、藻�

対 策�

�①素地、躯体裏面や側面、屋上からの雨水の浸入を防ぐ。�①塗装時振動を解除する。  ②欠陥現象とは区別して考える必要がある。�①、②項は表5.7参照��①透湿性の良い薄塗材を使用する。塗替えの場合も同様で、既存塗膜が膨潤又はリフティングを起しやすいので、厚塗材の使用は避ける。�①項は5.4、5.5、5.6参照   強制換気         ②スプレー塗装は避ける。  強制換気�①、②項は表5.7参照�

外的要因(区分)�発生する欠陥内容�

漏水�

��振動��

空調�

���軒天����

密閉����外壁�

施工後経時�

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6章 関連法規

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6章 関連法規

 仕上塗材に関係する法律は、多岐にわたり、これらの法律知識をもつことで安全衛生、防災、公害等の災害や事故を未然に防ぐことができる。表6.1に関係する法律・規制と係わりのある項目の一覧を示す。

6.1 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)目的:難分解性の性状を有し、かつ、人の健康を損なうおそれ又は動植物の生息若しくは生育に支障を及ぼすおそれがある化学物質による環境汚染を防止するため、新規の化学物質が製造・輸入される前に、その物質の性状(分解性・蓄積性・人への毒性・生態毒性など)等について審査する制度を設けるとともに、その有する性状等に応じ、化学物質の製造、輸入、使用等について必要な規制を行うことを目的としている。

(1) 第一種特定化学物質 難分解性(自然的作用による化学変化を生じにくい)及び高蓄積性(生物の体内に蓄積されやすい)の性状を有し、かつ人又は高次捕食動物への長期毒性(継続的に摂取される場合

表6.1

        法律・規則 生産 使用 貯蔵 廃棄 販売 輸送 環境� 1 化審法 ◎ ◎ ◎ � 2 労働安全衛生法・労働安全衛生規則 ◎ ◎ ◎ � 3 有機溶剤中毒予防規則 ◎ ◎ � 4 特定化学物質等障害予防規則 ◎ � 5 石綿障害予防規則 ◎ ◎ ◎ � 6 消防法 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ � 7 毒物及び劇物取締法 ◎ ◎ ◎ ◎ � 8 廃棄物の処理及び清掃に関する法律 ◎ ◎ � 9 建築基準法 ◎ � 10 水質汚濁防止法 ◎ ◎� 11 下水道法 ◎ ◎ � 12 大気汚染防止法 ◎ ◎� 13 製造物責任法(PL法) ◎ ◎ � 14 化学物質管理法(PRTR法) ◎ ◎ ◎ � 15 品確法 ◎ ◎ � 16 鉛中毒予防規則 ◎ � 17 酸素欠乏症等予防規則 ◎ � 18 作業環境測定法 ◎ � 19 悪臭防止法 ◎ � 20 グリーン購入法 ◎�

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6章 関連法規

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には、人の健康又は高次補食動物の生息又は生育に支障を及ぼすおそれ)を有する化学物質。PCB、DDT等が指定されている。 尚、現在指定されているものはすべて人への長期毒性の観点から指定されたものである。【規制内容】 製造及び輸入の許可制(事実上禁止)、特定の用途以外での使用の禁止、政令で指定した製品の輸入禁止、必要な場合の事業者に対する回収命令等

(2) 第二種特定化学物質 難分解性の性状を有し、人又は生活環境動植物への長期毒性を有し、相当広範な地域の環境において相当程度残留し、又は近くその状況に至ることが確実であると見込まれることにより、人の健康又は生活環境動植物の生息若しくは生育に係るリスクがあると認められる化学物質トリクロロエチレン等が指定されている。 尚、現在指定されているものはすべて人の健康へのリスクの観点から指定されたものである。【規制内容】 製造・輸入予定数量及び実績の届出義務、必要に応じて製造・輸入予定数量の変更命令、取扱いに係る技術上の指針の策定・勧告、表示の義務、取扱いに関する指導・助言等

(3) 第一種監視化学物質 難分解性及び高蓄積性の性状を有する既存化学物質で、第一種特定化学物質に該当するかどうか明らかでないもの。※ 既存化学物質:昭和48年に化審法が公布された際に、現に業として製造又は輸入されていた化学物質。約2万種、5万物質が「既存化学物質名簿」に収載されている。【規制内容】 製造・輸入実績数量の届出の義務、合計1t以上の化学物質については物質名と製造・輸入実績数量を国が公表、取扱いに関する指導・助言。当該化学物質により環境の汚染が生じるおそれがあると見込まれる場合には、有害性調査の指示。

(4) 第二種監視化学物質 (旧化審法における「指定化学物質」) 高蓄積性ではないが、難分解性で、人への長期毒性の疑いを有する化学物質クロロホルム等が指定されている。【規制内容】 製造・輸入実績数量の届出の義務、合計100t以上の化学物質については物質名と製造・輸入実績数量を国が公表、取扱いに関する指導・助言。当該化学物質により環境が汚染され、人の健康へのリスクがあると見込まれる場合には、有害性調査の指示。

(5) 第三種監視化学物質 高蓄積性ではないが、難分解性であり、生態毒性(動植物の生息又は生育に支障を及ぼすおそれ)を有する化学物質。【規制内容】 製造・輸入実績数量の届出の義務、合計100t以上の化学物質については物質名と製造・輸入実績数量を国が公表、取扱いに関する指導・助言。当該化学物質により環境が汚染され、生活環境動植物の生息又は生育に係るリスクがあると見込まれる場合には、有害性調査の指示。

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6章 関連法規

65

6.2 労働安全衛生法(労安法、労衛法)目的:労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化、自主的活動の措置等総合的な対策を推進することにより、職場の労働者の安全と健康の確保と快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。表6.2に労働安全衛生法の概要を示す。

表6.2

安全衛生管理体制(*安全衛生委員会の設置 *管理者の選任報告)�����事業者の講ずべき措置等������������有害物質に関する規制�

・総括安全衛生管理者 :安全/衛生管理者の指揮及び活動の統括管理�・安全管理者(有資格者) :安全に係わる技術的事項管理�・衛生管理者(有資格者) :衛生に係わる技術的事項管理�・産業医(医師) :従業員の健康管理等�・作業主任者(有資格者) :当該作業に従事する作業者の指揮等�・危険防止措置:機械、器具、その他の設備(機械)等� 爆発/発火/引火性の物質等� 電気、熱、その他のエネルギー�・健康障害防止措置:原材料、ガス、蒸気、粉塵、酸欠空気、病原体等� 放射線、高低温、超音波、騒音、振動、異常気圧等� 計器監視、精密工作等の作業� 排気、廃液または残滓物�・作業場等:作業者の安全、健康、風紀、生命の保持のための必要な措置�・労働災害防止のための必要な措置����

製造等�禁止物質

��������製造�許可物質

・黄燐マッチ�・ベンジジン及びその塩�・4-アミノジフェニル及びその塩�・アモサイト(石綿の一種)�・クロシドライト(〃)�・4-ニトロジフェニル及びその塩�・ビス(クロロメチル)エーテル�・β-ナフチルアミン及びその塩�・ベンゼン含有ゴム�(特化則第1類物質と同一)�・ジクロロベンジジン及びその塩�・β-ナフチルアミン及びその塩�・塩素化ビフェニル�・o-トリジン及びその塩�・ジアニシジン及びその塩�・ベリリウム及びその化合物�・ベンゾトリクロリド�

注意点�製造許可物質�

↓�労働大臣許可�

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6章 関連法規

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※労働安全衛生法の一部が改正され、化学物質管理に関するラベル表示及び安全データシートが国連GHS「化学品の分類及び表示に関する世界調和システム」に準拠したものになり、2006年 12月に施行された。

 以下に表示の例を示す。

表6.2(つづき)�

��

有害物質に関する規制�

��

名称等�表示物質�

・クロロホルム ・石綿 ・ベンゼン�・キシレン ・アセトン ・IPA�・ブタノール類 ・酢酸エチル�・n-ヘキサン ・ホルムアルデヒド�・トルエン ・セロソルブ類 �・メタノール ・スチレン ・MEK�・アクリルアミド 等 �

�容器等への表示義務�・名称 �・成分�・人体への作用�・貯蔵または取扱い上の注意�等�

・化学物質の有害性の調査(元素、天然産出化学物質等):� ①新規化学物質の製造、輸入時→ 調査結果届出� ②がん原生物質等の製造、輸入または使用→ 調査結果報告の指示�・文書(MSDS)の交付等:� ①危険有害性化学物質の譲渡に際し情報提供(相手事業者に交付)� ②MSDS対象化学物質631物質施行令で指定� ③当該物質1%を越えて含有する製剤等は通知義務�・周知方法� ①各作業場の見易い場所への掲示、備付け ②書面の労働者への交付� ③磁気ディスク等への記録、且つ、その内容を確認出来る機器の設置�

注意点�

絵表示の例�

● 区分1と区分2については、危険有害性の程度は異なるがシンボルマーク等は同じものとなる。�● 区分5に含まれる化学品にはシンボルマークは用いられない。�● 5つの区分への分類は経口等による急性毒性に基づいて行われる。例えば、経口暴露の場合、投与された生物の半数が死亡すると推定される量であるLD50の値によって分類される。(例:LD50≦5M/O(体重)は区分1、5<LD50≦50M/Oは区分2、50<LD50≦300M/Oは区分3、300<LD50≦2000M/Oは区分4、2000<LD50≦5000M/Oは区分5)

危険�飲み込むと�生命に危険�

危険�飲み込むと中毒�

危険�飲み込むと�有害�

危険�飲み込むと�有害のおそれ�

区分1、2� 区分3� 区分4� 区分5�

GHSによる急性毒性の分類・表示�危険有害性 大� 危険有害性 小�

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6章 関連法規

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6.3 有機溶剤中毒予防規則(有機則) 有機溶剤とは、有機溶剤又は有機溶剤含有物(有機溶剤と有機溶剤以外の物で、有機溶剤を当該混合物の重量の5%を超えて含有するもの)をいう。第一種有機溶剤等、第二種有機溶剤等、第三種有機溶剤等に区分される。表6.3に有機溶剤中毒予防規則の内容を示す。

【規則の内容】第1種~第3種共通事項(1) 有機溶剤作業主任者(指定教育機関の講習を終了した者)を選任し(有機則19条)、作業主任者の職務及び氏名を作業場の見やすい箇所に掲示する。

(2) 有機溶剤の取扱上の注意や人体に及ぼす影響等を作業場の見やすい場所に掲示する。(有機則24条)

(3) 有機溶剤の区分に応じて、第1種有機溶剤等=赤、第2種有機溶剤等=黄、第3種有機溶剤等(青)で見やすい場所に色表示する。(有機則25条)

(4) 有機溶剤を屋内に貯蔵するときは、一定の容器を用いるとともに、関係者以外の立入防止装置及び有機溶剤の蒸気を屋外に排出する設備を設ける。(有機則35条)

(5) 有機溶剤等を入れてあった空容器は、密閉するか屋外の一定の場所に集積する。(有機則36条)

第1種及び第2種の有機溶剤の場合(1) 有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置を設ける。(有機則5条)

(2) 資格ある作業環境測定士又は作業環境測定機関により、作業場の気中濃度を6ヶ月以内ごとに1回測定する。(有機則28条)

(3) 有機溶剤業務に常時従事させる従業員に対し、雇用の際や有機溶剤業務への配置換替えの際、及びその後6ヶ月以内ごとに1回、定期に医師による有機溶剤健康診断を行う。(有機則29条 2項) 指定の有機溶剤については、尿中の代謝物、貧血、肝機能、眼底等の特別検診を行う。(有機則29条 3項)

表6.3

����有機溶剤�中毒予防�規則�(有機則)�

第一種有機溶剤等�・クロロホルム�・四塩化炭素�・1,2-ジクロルエタン�・1,2-ジクロルエチレン�・1,1,2,2-テトラクロルエタン�・トリクロルエチレン�・二流化炭素(5wt%>含有)�

第三種有機溶剤等�・ガソリン�・コールタールナフサ�・石油エーテル�・石油ナフサ�・石油ベンジン�・テレピン油�・ミネラルスピリット�

         第二種有機溶剤等 �・アセトン ・キシレン ・クレゾール ・DMF ・THF�・塩化メチレン ・IPA ・トルエン ・ブタノール�・スチレン ・BC、MC ・MEK ・n-ヘキサン�・酢酸ブチル ・メタノール 等 �

注意点�*有機溶剤�・密閉/局所排気/全体排気装置�・有機溶剤作業主任者�・作業環境測定� (第一/二種有機溶剤等)�・貯蔵、空容器の処理�・計画の届出� (設備の設置、移転、変更)�

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6章 関連法規

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 また、有機溶剤健康診断を行った時は、有機溶剤等健康診断を作成し、5年間保存するとともに、有機溶剤健康診断個人票を作成し、5年間保存するとともに、有機溶剤等健康診断結果報告書を所轄労働基準監督署長に提出する。(有機則30条、30条の2)

(4) 第1種及び第2種有機溶剤については必ず「名称」「成分」「含有量」「注意事項」等の表示がされているので、それらに留意する。(安衛法57条)

6.4 特定化学物質等障害予防規則(特化則)目的:特定化学物質等障害予防規則は労働者の癌、皮膚炎、神経障害等を予防することを目的としている。 特定化学物質は、特に有害度が大きく作用者に健康障害を起こす物質の毒性に応じて区分し、定めている。表6.4に区分を示す。

表6.4

��

第 1 類物質�

����������

第 2 類物質���������第 3 類物質�

*特定化学物質�・発散源の密閉化/局所排気装置�・用後処理� 除塵� 排ガス� 廃液� 残滓物�・漏洩防止�・管理� 点検� 測定� 記録�

(7種、製造許認可品)�(1)ジクロルベンジジン及びその塩 (2)アルファ-ナフチルアミン及びその塩�(3)塩素化ビフェニル(別名PCB) (4)オルト-トリジン及びその塩 (5)ジアニシジン及びその塩 (6)ベリリウム及びその化合物 (7)ベンゾトリクロリド�(8)1~6までに掲げる物をその重量の1%を超えて含有し、又は7に掲げるものをその重量の0.5%を超えて含有する製剤その他の物(合金にあっては、ベリリウムをその重量の3%を超えて含有するものに限る) �(36種、慢性健康障害発生防止品)�(1)アクリルアミド (2)アクリロニトリル (3)アルキル水銀化合物(アルキル基がメチル基又はエチル基である物に限る) (4)エチレンイミン (5)エチレンオキシド (6)塩化ビニル (7)塩素 (8)オーラミン (9)オルト-フタロジニトリル (10)カドミウム及びその化合物 (11)クロム酸及びその塩 (12)クロロメチルメチルエーテル (13)五酸化バナジウム (14)コールタール (15)三酸化砒素 (16)シアン化カリウム (17)シアン化水素 (18)シアン化ナトリウム (19) 3・3’-ジクロロ-4・4’-ジアミノジフェニルメタン (20)臭化メチル (21)重クロム酸及びその塩 (22)水銀及びその無機化合物(硫化水銀を除く) (23)トリレンジイソシアネート (24)ニッケルカルボニル (25)ニトログリコール (26)パラ-ジメチルアミノアゾベンゼン (27)パラ-ニトロクロルベンゼン(28)弗化水素 (29)ベータ-プロピオラクトン (30)ベンゼン (31)ペンタクロルフェノール(別名PCP)及びそのナトリウム塩 (32)マゼンタ (33)マンガン及びその化合物(塩基性酸化マンガンを除く) (34)沃化メチル (35)硫化水素 (36)硫酸ジメチル (37)(1)から(36)までに掲げる物を含有する製剤その他の物で、厚生労働省令で定めるもの�(9種、急性中毒防止品)�(1)アンモニア (2)一酸化炭素 (3)塩化水素 (4)硝酸 (5)二酸化硫黄 (6)フェノール (7)ホスゲン (8)ホルムアルデヒド (9)硫酸 (10)(1)から(9)までに掲げる物を含有する製剤その他の物で、厚生労働省令で定めるもの�

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6章 関連法規

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【四アルキル鉛等業務】-労働安全衛生法施行令別表第5-(1)四アルキル鉛(4メチル鉛、4エチル鉛、1メチル・3エチル鉛、2メチル・2エチル鉛及び3メチル・1エチル鉛並びにこれらを含有するアンチノック剤をいう。以下同じ。)を製造する業務(四アルキル鉛が生成する工程以後の工程に係るものに限る。)

(2) 四アルキル鉛をガソリンに混入する業務(四アルキル鉛をストレージタンクに注入する業務を含む。)

(3) 前2号に掲げる業務に用いる機械又は装置の修理、改造、分解、解体、破壊又は移動を行う業務(次号に掲げる業務に該当するものを除く。)

(4) 四アルキル鉛及び加鉛ガソリン(四アルキル鉛を含有するガソリンをいう。)(以下「四アルキル鉛等」という。)によりその内部が汚染されており、又は汚染されているおそれのあるタンクその他の設備の内部における業務

(5) 四アルキル鉛等を含有する残さい物(廃液を含む。以下同じ。)を取り扱う業務(6) 四アルキル鉛が入っているドラムかんその他の容器を取り扱う業務(7) 四アルキル鉛を用いて研究を行う業務(8) 四アルキル鉛等により汚染されており、又は汚染されているおそれのある物又は場所の汚染を除去する業務(第2号又は第4号に掲げる業務に該当するものを除く。)

6.5 石綿障害予防規則(石綿則) 石綿については、2004年10月1日にクリソタイル(白石綿)等の石綿を含有する石綿セメント円筒等の製品の製造等が禁止されたことにより、国内の石綿使用量の大部分が削除された。これにより、青石綿・茶石綿・白石綿が原則として、製造禁止となった。しかし、石綿含有建築材料を使用している建物を解体/改修する場合は、労働安全衛生法下の特化則の適用を受けるので、注意が必要となる。なお、石綿含有建築材料のうち、吹付け石綿の解体/改修作業については、特化則以外に大気汚染防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(第6章 参照)の適用を受ける。 更にアスベスト(石綿)障害予防規則が2005年7月1日より施行された。石綿の発癌性に関する規制を行っていた、特化則から独立させ発展させた、石綿含有建材による今後の石綿飛散の防止を目的とした規則である。この規則では、建築物所有者や管理者にも、石綿に対する一定の責務があることを明確にしている。【制定の趣旨】 石綿は、1970年代から1990年代にかけて大量に輸入され、その多くは、これまで建材として建築物に使用されたが、今後この時期に建築された建築物等の老朽化による解体等の作業が増加するに伴い解体工事従事労働者の石綿による健康障害の発生が懸念されている。このため、今後の石綿ばく露防止対策等は、事業者が講ずべき措置の内容が特化則に定める他の化学物質に係るものとは大きく異なることとなることから、新たに建築物等の解体等の作業における石綿ばく露防止対策等の充実を図った単独の規則を制定し、石綿による健康障害の予防対策の一層の推進を図ることになった。【建築物所有者や管理者の一定の責務】 使用中の建築物で石綿飛散の可能性がある場合、建築物の所有者は貸与者に対し石綿処理などの措置を講じなければならない。(石綿則第10条) 建築物の解体工事を行なう際、工事の発注者は工事請負人に対して、建築物の石綿使用状

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6章 関連法規

70

況を通知するよう努めなければならない。(石綿則第8条) 解体工事の注文者は、労働安全衛生法や作業員の健康障害防止に関する命令の遵守を妨げない範囲で、解体事業者と工期や経費など契約条件を交わすことが必要である。(規則第9条)

6.6 消防法目的:火災の予防、警戒、鎮圧により、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに火災、地震等の災害に因る被害を軽減し、安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。表6.5に消防法の危険物に係わる内容について示す。

表6.5

法規制適用条件�許可及び届出事項��貯蔵、取扱いと施設��危険物取扱者���運搬�

・消防法に規定する危険物を指定数量以上貯蔵、又は取扱う場合�・消防法に規定する危険物を運搬する場合(量に関係ない)�・貯蔵所、取扱い所等の設置又は変更時に市町村等の許可が必要�・「消防活動阻害物質」を一定数量以上貯蔵、取扱う場合には、予め所轄消防機関への届出が必要�・危険物の貯蔵、取扱いは危険物施設以外の場所で行うことはできない��・貯蔵所、取扱い所等の作業は危険物取扱者が自ら行うか、立会いが必要� 甲種:すべての種類の危険物を取扱うことができる。� 乙種:当該種類に係わる危険物を取扱うことができる。� 丙種:ガソリン、灯油、軽油、第三・第四石油類及び動植物油類。�・危険物すべての容器、積載方法及び運搬方法は技術上の基準に従う�・移送時には該当する危険物取扱者を乗車させる�・ 指定数量の1/10以上は混載禁止�

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6章 関連法規

71

表6.5(つづき)�

�����������������������

指定可燃物��������消防活動阻害物質�

消防法�による危険物�の分類�と指定�

種別     性 質� 一種酸化性固体 50o� 1類 二種酸化性固体 300o� 三種酸化性固体 1000o� 硫化燐・赤燐・硫黄 100o� 鉄粉 500o� 2類 一種可燃性固体 100o� 二種可燃性固体 500o� 引火性固体 1000o� K、Na、R-Al、R-Li 10o� 黄燐 20o� 3類 一種自然発火/禁水物 10o� 二種自然発火/禁水物 50o� 三種自然発火/禁水物 300o�� �

     種 類 数 量 � 綿花類 200o�木毛及びかんな屑 400o�ぼろ及び紙屑・糸類・藁類 1000o�可燃性固体類 3000o�石炭・木炭類 10000o�可燃性液体類 2k�木材加工品及び木屑 10k�合成樹脂類(発泡させたもの) 20k�     (その他のもの) 3000o�圧縮アセチレンガス 40o�無水硫酸 200o�液化石油ガス 300o�生石灰(CaO80%以上含有) 500o�HCN、NaCN、Hg、Se、As、HF 30o�モノフルオール酢酸� NH3、HCl、H2SO4、Br2、I2、etc.   200o

種別     性 質� 特殊引火物 50r� 一石(非水溶性液体) 200r 一石(水溶性液体) 400r アルコール類 400r�

4類 二石(非水溶性液体) 1000r�

二石(水溶性液体) 2000r� 三石(非水溶性液体) 2000r� 三石(水溶性液体) 4000r� 第四石油類 6000r� 動植物油類 1000r� 5類 一種自己反応性物質 10o�

二種自己反応性物質 100o�6類 酸化性液体 300o

*指定数量:危険度の判断基準相対的危険性を表す�*第4類 引火性液体の区分 一石;引火点21℃未満� 二石;引火点21℃~70℃未満� 三石;引火点70℃~200℃未満� 四石;引火点200℃以上 �

指定数量� 指定数量�

*危険物の規則に関する政令����������*一定数量以上集積されている場合に火災が発生すると消火活動が著しく困難となる。�*火災危険性を有する。�*消防長等に届出�

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6章 関連法規

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6.7 毒物及び劇物取締法(毒劇法)目的:毒物及び劇物に関し、保健衛生上の見地から必要な取締りを行うことを目的とする。【毒物及び劇物の表示】(1)容器及び被包に表示義務のある事項①「医薬用外毒物」(赤地に白色文字)、「医薬用外劇物」(白地に赤色文字)の文字を表示②毒物又は劇物の名称③毒物又は劇物の成分及びその含量④厚生労働省令で定める毒物又は劇物については、それぞれ厚生労働省令で定めるその解毒剤の名称

⑤毒物又は劇物の取扱い及び使用上特に必要と認めて、厚生労働省令で定める事項(2)貯蔵・陳列場所の表示 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者に限らず、毒物劇物を業務上取扱う者は、毒物又は劇物を貯蔵し、又は陳列する場所に「医薬用外」の文字及び毒物については「毒物」、劇物については「劇物」の文字を表示しなければならない。【購入の際の手続】 毒物劇物を購入する場合、次の事項を記載し捺印した書面(譲受証という)が必要である。①毒物又は劇物の名称及び数量②販売又は授与の年月日③譲受人の氏名、職業及び住所(法人の場合、その名称及び主たる事務所の所在地)

 ただし、次に記載する人は毒物劇物の購入は出来ない。① 18歳に満たない人②精神病者又は麻薬、大麻、あへん若しくは覚醒剤の中毒患者③使用目的が適法でない場合(例えば、化学兵器の製造に用いられる場合、悪用されるおそれのある場合、薬事法の範疇に入る場合、等)

【保管について】(1)毒物劇物は盗難紛失を防ぐために必要な措置をとらなければならない。①鍵のかかる場所に保管する②薬品の管理簿を作成し使用量、残量が把握できる体制作りをする

(2)毒物劇物の保管場所は飛散、漏れ、浸みだし等を防ぐ構造設備が必要である。【製造、輸入、販売について】 毒物劇物を販売、授与の目的で製造、輸入するには、登録を受けた者でなければなりません。また販売も登録を受けた者でないと行えません。 毒物劇物の小分け作業も販売、授与の目的であれば製造業の登録が必要である。 特定毒物の製造・輸入は、許可を受けた毒物劇物製造業者、輸入業者又は都道府県知事の許可を受けた特定毒物研究者でないと行うことができない。 また、毒物劇物営業者は、毒物劇物を販売又は授与する際に、譲受人に対してMSDSを提供しなければならない。【事故の際の処置】 毒物劇物営業者及び特定毒物研究者は、取り扱いに係わる毒物劇物が飛散し、漏れ、流れ出、又は地下にしみ込んだ場合、不特定又は多数の者に保健衛生上の危害が生ずるおそれのある時は、直ちに保健所、警察署又は消防署などに届けるとともに、保健衛生上の危害防止

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6章 関連法規

73

のため応急措置を講じなければならない。また毒物劇物などの盗難又は紛失の場合は、直ちに警察署に届けなければならない。表6.6に毒物及び劇物法の概要を示す。

表6.6

�登録���禁止��許可�業務上届出者の届出�毒物劇物取扱責任者の専任���������法規制適用条件�������

・毒物及び劇物の製造又は輸入業は、厚生労働大臣にその品目(品目毎)その他を登録�・販売業者は、知事に一般販売業、農業用品販売業、特定品目販売業(品目毎)その他を登録�・毒劇物は登録を受けた者以外は、製造、輸入、販売を行ってはならない�・シンナー等幻覚、麻酔作用又は引火性、爆発性のある毒物及び劇物を所持してはならない�・特定毒物研究者は、知事の許可を受けなければならない�・氏名及び住所、取り扱う毒物及び劇物の品目、事業所の所在地�・省令で定める事項を業務開始30日以内に知事に届出する� ・毒物または劇物を直接扱う製造所、営業所又は店舗毎に専任し知事に届出する���(適  用)� ①毒物及び劇物の製造業� ②毒物及び劇物の輸入業� ③毒物及び劇物の販売業� ④特定毒物研究者及び使用者� ⑤麻酔性等及び引火性等の毒物及び劇物� ⑥業務上取扱者�(判定基準)� ・急性毒性;経口� ・毒  物;LD50≦30m/o� ・劇  物;LD50>30m/o�(用  語)� ・毒物劇物営業者; 毒劇物の製造業者、輸入業者又は販売業者をいう� ・業務上取扱者 ; 毒劇物を製造等で原材料として使用するなど業務上取り扱う者で、� 届出業者と非届出業者に分類される� ・届出業者   ; 電気メッキ業、金属熱処理業でシアン化ナトリウム及び無機シアン化� 合物を扱う者� 大型自動車(最大積載量 5t以上)に固定された容器を用いる又 は1000r以上の容器を積載して行う毒物及び劇物運送業で法令� に定めるものを扱う者�

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6章 関連法規

74

6.8 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃律)目的:この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)をいう。表6.7及び6.8にその種類を示す。

表6.6(つづき)�

業務上取扱者����毒物劇物の製造及び販売業者�

(非届出業者)・盗難防止の措置 ・製造所外への漏洩防止措置 ・容器に「医薬用外」、毒物は赤字に白で「毒物」、劇物は白地に赤で「劇物」の文字で表示 ・貯蔵場所に「医薬用外」「毒物」「劇物」の表示�

(届出業者)上記規制以外に、・毒物劇物取扱責任者専任義務 ・保健衛生上の危害が生じる恐れのある時は、廃棄物の回収等の命令がある� ・貯蔵に関する構造、設備等の基準(鍵設置、タンク・バルブ・配管・ポンプ等の点検、名称・流れ表示等)�・運搬方法(5t以上の運搬、交代要員、標識基準、保護具、応急処置等)�・情報提供(MSDSの交付義務)�・毒劇物の譲渡書類には押印が必要(一定の事項を記録に残すこと)�

表6.7 産業廃棄物の種類�

種 類�1.燃え殻��

2.汚泥�

��3.廃油�4.廃酸�5.廃アルカリ�6.廃プラスチッ� ク��

7.紙くず�

���8.木くず�

具体例�焼却炉の残灰、炉清掃排出物、石炭がら、その他の残渣�工場排水など処理後に残る泥状のもの、各種製造業の製造工程で出る泥状のもの、活性汚泥法による余剰汚泥、パルプ廃液汚泥、動植物性原料使用工程の廃水処理汚泥、生コン残残渣�油分5%以上含むものは廃油との混合物となる。�鉱物性、動物性、潤滑油、絶縁油、洗浄用油、切削油、溶剤、タールピッチ�廃硫酸、廃塩酸、核種の有機廃酸類、全ての酸性廃液�廃ソーダ液、金属セッケン液、全てのアルカリ性廃液�合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず、廃タイヤなど固形状及び液状のすべての合成高分子化合物�紙、板紙くず、障子紙、壁紙�建設業に係る新築、改築、除去に伴って生じたものに限る。パルプ、紙又は紙加工品の製造業、新聞業、出版業、製本業、及び印刷加工業に係わる物並びにPCBが塗布され、又は染み込んだ物に限る。�おがくず、バーク類�建設業に係る新築、改築、除去に伴って生じたものに限る。木材又は木製品の製造業パルプ製造業及び輸入木材の卸売業に係わるもの並びにPCBが染み込んだ物に限る。�

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6章 関連法規

75

表6.7 産業廃棄物の種類(つづき)�

種 類��9.繊維くず���10動植物性��11.動物系固形不要物�

12.ゴムくず�13.金属くず�

14.ガラスくず��15.鉱さい��16.がれき類

��17.動物の糞尿�18.動物の死体��19.ばい塵��20.輸入廃棄物�

具体例�木綿くず、羊毛くずなど天然繊維くず、畳、カーテンなど�建設業に係る新築、改築、除去に伴って生じたものに限る。繊維工業(衣服その他の繊維製品製造業は除く)に係わるもの及びPCBが染み込んだ物に限る。�あめかす、のりかす、醸造かす、醗酵かす、魚および獣のあらなど�食品製造業、医薬品製造業又は香料製造業において原料として使用した動物又は植物に係る固形の不要物� 法に定める畜場及び食鳥処理場における処理時に排出される固形状の不要物��天然ゴムくずのみ�鉄鋼または非鉄金属の研磨くず、切削くず�ガラスくず、コンクリートくず(工作物の新築、改築、除去に伴って生じたものを除く)耐火レンガくず、陶磁器くずなど�高炉、転炉、電気炉などの残渣、キューポラのノロ、ボタ、不良鉱石、不良石炭粉灰かす、鋳物砂など�工作物の新築、改築、除去に伴って生ずるコンクリート破片、その他これに類する不要物など�牛、馬、豚、めん洋、山羊、にわとりなどの糞尿�牛、馬、豚、めん洋、山羊、にわとりなどの死体(畜産業に係るものに限る)�大気汚染防止法第2条2項に規定するばい煙発生施設。ダイオキシン類対策特別措置法第2条2項に規定する特定施設又は1~18に掲げる産業廃棄物の焼却施設において発生するばいじんであって集塵施設によって集められたもの�輸入された廃棄物のうち1~19を除く�

21. 1~20に掲げる産業廃棄物を処分するために処理したものであってこれらの産業廃棄物に該当しないもの(コンクリート固形物など)�

表6.8 特別管理産業廃棄物の種類�

種 別�引火性廃油�腐食性廃酸�腐食性廃アルカリ�

感染性産業廃棄物�

内 容�産業廃棄物である揮発油等、灯油類、軽油類�水素イオン濃度指数(pH)が2.0以下の廃酸�水素イオン濃度指数(pH)が12.5以上のもの�医療機関から排出される血液、使用済み注射針などの感染性病原体を含むまたそのおそれがある産業廃棄物�

 産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生じさせるおそれがある性状を有するものは特別産業廃棄物として区分されている。�

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6章 関連法規

76

(1) ホルムアルデヒドの発散速度と指定建築材料との係わり�

ホルムアルデヒドの発散速度��

0.005m/gh以下�

��0.005m/gh超�0.02m/gh以下�0.02m/gh超�0.12m/gh以下�

0.12m/gh超�

名称��規制対象外���第3種ホルムアルデヒド発散建築材料�第2種ホルムアルデヒド発散建築材料�第1種ホルムアルデヒド発散建築材料�

対応する規格� JIS,JASの�F☆☆☆☆�非ホルムアルデヒド系接着剤�JIS,JASのF☆☆☆��JIS,JASのF☆☆��JIS,JASの旧E2,Fc2相当又は、無等級�

指定建築材料� 大臣認定を受けた�建築材料��施行令第20条の5�第4項の認定��施行令第20条の5�第3項の認定�施行令第20条の5�第2項の認定�

内装仕上げの制限���制限なし

����居室での�使用面積制限��

居室での使用禁止�

※ ホルムアルデヒドの発散速度の測定条件:温度28℃、相対湿度50%�  建物の部分に使用して5年経過したものについては、制限なし。�

6.9 建築基準法

表6.8 特別管理産業廃棄物の種類(つづき)�

種 別�

廃ポリ塩化ビフェニル等�ポリ塩化ビフェニル汚染物���ポリ塩化ビフェニル処理物����廃石綿等����その他�

内 容�廃ポリ塩化ビフェニル及びポリ塩化ビフェニルを含む廃油��ポリ塩化ビフェニルが塗布、又は染み込んだあるいは付着した又は封入された紙屑、木屑、繊維屑、廃プラスチック、金属屑、陶磁器屑�廃ポリ塩化ビフェニル及びポリ塩化ビフェニル汚染物を処分するために処理したもので以下の基準に満たないもの�①廃油、ポリ塩化ビフェニル0.5m/o以下�②廃酸、廃アルカリ、ポリ塩化ビフェニル0.03m/r以下�③廃プラスチック、金属屑、陶磁器屑ポリ塩化ビフェニル付着又は封入なし�④上記以外ポリ塩化ビフェニル0.03m/検液r以下�建築物から除去した飛散性の吹き付け石綿・石綿含有保温材及び石綿建材除去事業で使用した用具類など(廃プラスチックシート、防塵マスク、作業衣等)大気汚染防止法の特定粉塵発生施設で集塵装置で集められた飛散性の石綿など�下水道法に基づく指定汚泥�特定の施設から排出される環境省令で定める基準に適合しない鉱滓、ばい塵、燃え殻、廃油、汚泥、廃酸、廃アルカリ、汚泥又はその処理物。ダイオキシン類特別措置法で定める廃棄物焼却炉から排出されるダイオキシン類含有量基準に適合しないばい塵、燃え殻、廃油、汚泥又はその処理物�

特別有害産業廃棄物�

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6章 関連法規

77

(2)ホルムアルデヒドに関する施行令および告示の概要と仕上塗材の係り�

区分(施行令)�

����第1種ホルムアルデヒドの発散等級材料�����第2種ホルムアルデヒドの発散等級材料�第3種ホルムアルデヒドの発散等級材料��������なし�

ホルムアルデヒドの発散速度(施行令)�����0.12m/gh超������

0.02m/gh超�0.12m/gh以下��0.005m/gh超�0.02m/gh以下

���������0.005m/gh以下

仕上塗材の種類�

�内装薄塗材E�内装厚塗材E�軽量塗材�複層塗材E�防水形複層塗材E�※ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂またはホルムアルデヒド系防腐剤を使用したものに限る(告示)��

―���―�

�内装薄塗材E�内装厚塗材E�軽量塗材�複層塗材E�防水形複層塗材E�※ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂またはホルムアルデヒド系防腐剤を使用していないもの�上記5種類以外の内装用の仕上塗材 注1) �第1種に該当する仕上塗材で規制対象外とみなす旨の国土交通大臣の認定を受けたもの(施行令第20条の5)

ホルムアルデヒドの�放散等級表示�����

―�������―���―�

�F☆☆☆☆�①JIS A 6909による表示�②日本建築仕上材工業会による自主表示�③指定性能評価機関の評価に基づく表示����F☆☆☆☆�国土交通大臣の認定による表示�

居室への制限�(施行令)�����使用禁止�������使用面積制限��� 使用面積制限���������制限なし

注1) 建築基準法では、F☆☆☆☆マークが表示されていなくても制限なく居室に適用可。�

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6章 関連法規

78

(3)JIS A 6909-2003におけるホルムアルデヒド関連の規定�

品 質�

��表 示�

内装用の仕上塗材には、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂又はホルムアルデヒド系防腐剤のいずれも使用してはならない。�内装用の仕上塗材には、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂又はホルムアルデヒド系防腐剤のいずれも使用していないものは、ホルムアルデヒド放散等級による区分の記号(F☆☆☆☆)を表示する。�

(4)表示マークの例�

登録番号�放散等級区分表示�問い合わせ先�

7桁の算用数字�F☆☆☆☆�

http//www.nsk-web.org/

日本建築仕上塗材工業会�

(5) 第2種・第3種ホルムアルデヒド発散建築材料の使用面積制限�

 第2種ホルムアルデヒド発散建築材料及び第3種ホルムアルデヒド発散建築材料については、次の式を満たすように、居室の内装仕上げの使用面積を制限する。��     N2S2+N3S3≦A��   S2:第2種ホルムアルデヒド発散建築材料の使用面積�   S3:第3種ホルムアルデヒド発散建築材料の使用面積�   A :居室の床面積���������※1 住宅等の居室とは、住宅の居室、下宿の宿泊室、寄宿舎の寝室、家具その他これに類する物品

の販売業を営む店舗の売場を言う。�※2 換気について、表に示す換気回数の機械換気設備を設けた場合と同等以上の換気が確保さ

れているものとして国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は、国土交通大臣の認定を受けたものを含む。�

居室の種類 換気 N2 N3�

住宅等の居室※1 0.7回/h以上(※2) 1.2 0.2�

その他(0.5回/h以上0.7回/h未満)(※2) 2.8 0.5�

住宅等の居室 0.7回/h以上(※2) 0.88 0.15�

以外の居室 0.5回/h以上0.7回/h未満(※2) 1.4 0.25 �

その他(0.3回/h以上0.5回/h未満)(※2) 3.0 0.50

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6章 関連法規

79

6.10 水質汚濁防止法目的:①事業場等から公共水域に排出される水及び地下浸透水を規制すると共に、生活排水対策の実施等により、公共用水域及び地下水の汚濁防止を図り、国民の健康保護並びに生活環境の保全を図る。②事業場等から排出される汚水等で、人の健康に係わる被害が生じた時に、事業者の損害賠償の責任について定めることにより被害者の保護を図る。表6.9に水質汚濁防止法の概要と有害物質の排水基準を示す。

表6.9

������法規制適用�条件������

事前届出�

��排出水等の�測定義務���特定工場における公害防止組織の整備に関する法律�(組織整備法)�

・以下に該当する事業所等はこの法律の適用を受ける� a.特定施設を設置する事業場(特定事業場)から�  ①公共用水域に排出される水(排出水)�  ②地下に浸透する汚水等を含む水(特定地下浸透水)� b.有害物質使用特定施設からの特定地下浸透水� c.貯油施設等を設置する事業場から事故により排出される油�・公共用水域:公共下水道等を除く河川、湖沼、港湾、沿岸海域等とこれに接続する公

共荒溝渠、灌漑用水路等�・特定施設 :有害物質を含み、又は生活環境に係わる被害を生じるおそれのある汚水

や廃液を排出する施設で政令に定めるもの�・貯油施設 :油を貯蔵する貯油施設と油を含む水を処理する油水分離施設�・油類   :原油、重油、潤滑油、軽油、灯油、揮発油、動植物油�・総量規制地域:東京湾、伊勢湾、瀬戸内海(瀬戸内法による)�・特定施設の設置、構造の変更時はあらかじめ都道府県知事に届出が必要� (届出受理後、60日以内の設置等禁止)�・排出水を排出、又は特定地下浸透水を浸透させる者は汚染状態を測定し、結果を記録しなければならない。(3年間保存、頻度は都道府県の指導事項)�・総量規制基準適用事業所は、汚濁負荷量(o/日-COD)を測定し、測定手法を知事に届出する。�・対象;製造業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業で、汚水等排出施設の設置工場(それ以外は、排出水量が1千k/日以上)�・公害防止管理者等の選任と届出;特定工場は次の者を選任し、都道府県知事へ届出なければならない(常時使用従業員が20人以下は不要)�  ①公害防止統括者�  ②公害防止主任管理者(排ガス4万k/h、排水量1万k/日以上)�  ③公害防止管理者�

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6章 関連法規

80

6.11 下水道法目的:この法律は、流域別下水道整備総合計画の策定に関する事項並びに公共下水道、流域下水道及び都市下水路の設置、その他の管理の基準等を定めて、下水道の整備を図り、もって都市の健全な発達及び公衆衛生の向上に寄与し、あわせて公共用水域の水質の保全に資することを目的とする。(法第1条)【下水道の係る行為の制限】(1)特定事業場からの下水の排除の制限 特定施設(水質汚濁防止法第2条第2項に規定する特定地域とほぼ同じ)を設置する工場又は事業場(これらを「特定事業場」という。)から下水を排除して公共下水道又は流域下水道を利用するものは、政令(施行令第9条の3)に定める場合を除き、その水質が政令(施行令第9条の4)の基準に適合しない水を、公共下水道等へ排出してはならない(法第12条の2)。したがって、特定事業地内で一定の水準まで自己処理をしなければならない。(2)特定施設の設置等の届出 公共下水道又は流域下水道を使用する特定施設を設置しようとするときは、特定施設の構造、排出される下水の量、水質等を水道管理者に届け出なければならない。(法第12の 3)(3)下水道管理者以外の者の行う工事等の承認 下水道(公共下水道、流域下水道、都市下水路)の管理者以外の者は、下水道管理者の承認を受けて、下水道の施設に関する工事又は施設(終末処理場を含む)の維持を行うことができる(法第16条、第25条の10、第31条)。宅地開発に伴って開発者が下水道を整備する場合には、これに該当する。

表6.9(つづき)�

・有害物質を含む水の排水基準(排水基準を定める総理府令);[m/r]�

・生活環境項目の排水基準(排水基準を定める総理府令);[m/r]�

物質名�アルキル水銀�PCB�総水銀�カドミニウム�砒素�鉛�六価クロム�チラウム�

N・D�0.003�0.005�0.1�0.1�0.1�0.5�0.06

物質名�シアン�有機燐�テトラCエチレン�トリ Cエチレン�四塩化炭素�1,3-ジCプロペン�シマジン�1,2-ジCエタン�

1�1�0.1�0.3�0.02�0.02�0.03�0.04

物質名�1,1,2-トリCエタン�ベンゼン�ジクロロメタン�1,1-ジCエチレン�チオベンカルブ�cis-1,2-ジCエチレン�1,1,1-トリCエタン�

0.06�0.1�0.2�0.2�0.2�0.4�3

全クロム�銅�亜鉛�フェノール�n-Hex

2�3�5�5�5(鉱物類)�

n-Hex�マンガン�鉄�フッ素�燐�

30(動植物油脂)�10�10�15�16(日間平均8)�

窒素�COD�BOD�SS�大腸菌�pH�

120(日間平均60)�160(日間平均120)�160(日間平均120)�200(日間平均150)�3000(ケ/f;日間平均)�5.8~8.6

排水基準国の一律基準�

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6章 関連法規

81

(4)既存の下水道施設に関連する工事等についての制限(許可) 次に揚げるような行為をしようとする者は、条例で定めるところにより、下水道(公共下水道、都市下水路)の管理者の許可を受けなければならない。(法第24条、第29条、第25条の10)①排出施設に固着、突出、横断、縦断して、工作物等を設置すること②排水施設(開渠)の地下に工作物等を設置すること

6.12 大気汚染防止法(大防法)目的:わが国では、大気環境を保全するため、昭和43年に「大気汚染防止法」が制定された。この法律は、大気汚染に関して、国民の健康を保護するとともに、生活環境を保全することを目的としている。【制度の概要】 人の健康を保護し生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として、「環境基準」が環境基本法において設定されており(資料1参照)、この環境基準を達成することを目標に、大気汚染防止法に基づいて規制を実施している。大気汚染防止法では、固定発生源(工場や事業場)から排出される大気汚染物質について、物質の種類ごと、排出施設の種類・規模ごとに排出基準等が定められており、大気汚染物質の排出者はこの基準を守らなければならない(表1)。【ばい煙の排出規制】 「ばい煙」とは、物の燃焼等に伴い発生する硫黄酸化物、ばいじん(いわゆるスス)、有害物質(1.カドミウム及びその化合物、2.塩素及び塩化水素、3.弗素、弗化水素及び弗化珪素、4.鉛及びその化合物、5.窒素酸化物)をいう。大気汚染防止法では、33の項目に分けて、一定規模以上の施設が「ばい煙発生施設」として定められている。 ばい煙の排出基準は、大別すると次のとおりである。

 これら排出基準には、量規制、濃度規制及び総量規制の方法がある。

● 一般排出基準�

● 特別排出基準��● 上乗せ排出基準

��

● 総量規制基準�

ばい煙発生施設ごとに国が定める基準�大気汚染の深刻な地域において、新設されるばい煙発生施設に適用されるより厳しい基準(硫黄酸化物、ばいじん)�一般排出基準、特別排出基準では大気汚染防止が不十分な地域において、都道府県が条例によって定めるより厳しい基準(ばいじん、有害物質)�上記に挙げる施設ごとの基準のみによっては環境基準の確保が困難な地域において、大規模工場に適用される工場ごとの基準(硫黄酸化物及び窒素酸化物)�

総量規制は、工場単位で排出量を制限するんだね。�

<通常の排出規制>� <総量規制>�

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6章 関連法規

82

(1)排出制限、改善命令・使用停止命令 大気汚染防止法は、ばい煙排出者に対し、排出基準に適合しないばい煙の排出を禁止し、故意、過失を問わず違反者に対して刑罰を科することとしている。 また、都道府県知事は、排出基準違反のばい煙を継続して排出するおそれがある施設に対し、ばい煙の処理方法等の改善や一時使用停止を命令することができる。(2)設置・変更の届出、計画変更命令 必要な措置を事前に講じさせるために、ばい煙発生施設を新たに設置又は構造等 の変更をしようとする者は、あらかじめ(60日前まで)、管轄都道府県知事に所定 の事項を届け出なければならない。都道府県知事は、その内容を審査し、当該施設 が排出基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から60日以内に限り、計画の変更又は廃止を命ずることができる。(3)測定義務、立入検査 ばい煙排出者は、施設から排出されるばい煙量又はばい煙濃度を測定し、その結果を記録しておかなければならない。また、都道府県職員は、ばい煙排出者が排出基準を守っているかチェックするため、工場・事業場に立ち入ることや必要な事項の報告を求めることができる。(4)事故時の措置 「特定物質」とは、物の合成、分解その他の化学的処理に伴い発生する物質のうち、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずるおそれがある物質で、次の28物質が定められている。

(1)アンモニア、(2)弗化水素、(3)シアン化水素、(4)一酸化炭素、(5)ホルムアルデヒド、(6)メタノール、(7)硫化水素、(8)燐化水素、(9)塩化水素、(10)二酸化窒素、(11)アクロレイン、(12)二酸化いおう、(13)塩素、(14)二硫化炭素、(15)ベンゼン、(16)ピリジン、(17)フェノール、(18)硫酸(三酸化硫黄を含む。)、(19)弗化珪素、(20)ホスゲン、(21)二酸化セレン、(22)クロルスルホン酸、(23)黄燐、(24)三塩化燐、(25)臭素、(26)ニッケルカルボニル、(27)五塩化燐、(28)メルカプタン

 故障、破損その他の事故が起こり、ばい煙又は特定物質が多量に排出されたとき、排出者は直ちに応急の措置を講じ、復旧に努めるとともに事故の状況を都道府県知事に通報しなければならない。都道府県知事は、事故により周辺の区域における人の健康に影響があると認めるときは、排出者に対して、必要な措置をとるようを命ずることができる。(5)緊急時の措置 大気汚染が深刻な状態(政令で定めるレベル)になったときは、都道府県知事は、一般にその事態を周知させるとともに、ばい煙排出者に対して、排出量の削減を要請することとなっている。【揮発性有機化合物の排出抑制】 「揮発性有機化合物」とは大気中に排出され、又は飛散した時に気体である有機化合物(浮遊粒子状物質及びオキシダントの生成の原因とならない物質として政令で定める物質を除く)をいう。大気汚染防止法では、9の項目に分けて、一定規模以上の施設が「揮発性有機化合物排出施設」として定められている。 揮発性有機化合物の排出及び飛散の抑制に関する施策は、揮発性有機化合物の排出の規制

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6章 関連法規

83

と事業者が自主的に行う揮発性有機化合物の排出及び飛散の抑制のための取組とを適切に組み合わせて効果的に実施することとされている(平成18年 4月 1日施行)。(1)基準遵守義務、改善命令・使用停止命令 揮発性有機化合物排出者は、排出基準を遵守する義務がある(既存施設は平成22年3月31日まで適用猶予)。 また、これに違反するものに対し、都道府県知事は、揮発性有機化合物の処理の方法の改善等や使用の一時停止を命ずることができる。(2)設置・変更の届出、計画変更命令 必要な措置を事前に講じさせるために、揮発性有機化合物排出施設を新たに設置又は構造等の変更をしようとする者は、あらかじめ(60日前まで)、管轄都道府県知事に所定の事項を届け出なければならない。都道府県知事は、その内容を審査し、当該施設が排出基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から60日以内に限り、計画の変更又は廃止を命ずることができる。(3)測定義務、立入検査 揮発性有機化合物排出者は、施設から排出される揮発性有機化合物濃度を測定し、その結果を記録しておかなければならない。また、都道府県職員は、揮発性有機化合物排出者が排出基準を守っているかチェックするため、工場・事業場に立ち入ることや必要な事項の報告を求めることができる。(4)緊急時の措置 大気汚染が深刻な状態(政令で定めるレベル)になったときは、都道府県知事は、一般にその事態を周知させるとともに、揮発性有機化合物排出者に対して、排出濃度の減少等を要請することとなっている。【粉じんの排出規制】 「粉じん」とは、物の破砕やたい積等により飛散する物質をいう。このうち、大気汚染防止法では、人の健康に被害を生じるおそれのある物質を「特定粉じん」(現在アスベストが指定)、それ以外の粉じんを「一般粉じん」として定めている。

(1)基準遵守、基準適合命令・使用停止命令 粉じんの排出者は、法律に定められた基準を遵守する義務があり、これらを違反する者に対し、都道府県知事は、基準の適合や一時使用停止を命ずることができる。(2)届出、計画変更命令 一般粉じん発生施設、特定粉じん発生施設を新たに設置又は構造等の変更をしよ うとする者もしくは特定粉じん排出等作業を行おうとする者は、事前に(特定粉じん 発生施設;60日前、特定粉じん排出作業;14日前)、管轄都道府県知事に所定の事項 を届け出なければなら

●一般粉じんに係る規制���○発生施設��○排出作業�

破砕機や堆積場等の粉じん発生施設の種類ごとに定められた構造・使用・管理に関する基準��工場・事業場の敷地境界線における大気中濃度の基準(1リットルにつきアスベスト繊維10本)�吹付け石綿等が使用されている建築物を解体・改造・補修する作業における集じん等の作業基準�

●特定粉じん(アスベスト)に係る規制�

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6章 関連法規

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ない。また、特定粉じん規制については、都道府県知事は届 出内容を審査し、当該施設が排出基準に適合しないと認めるときは、計画の変更等を命ずることができる。(3)測定義務、立入検査 特定粉じん発生施設を設置している者は、工場等の敷地境界線におけるアスベスト濃度を測定し、その結果を記録しておかなければならない。また、都道府県職員は、粉じんの排出者が基準を守っているかチェックするため、工場・事業場に立ち入ることや必要な事項の報告を求めることができる。【有害大気汚染物質の対策と推進】 「有害大気汚染物質」とは、低濃度であっても長期的な摂取により健康影響が生ずるおそれのある物質のことをいい、該当する可能性のある物質として234種類、そのうち特に優先的に対策に取り組むべき物質(優先取組物質)として次の22種類がリストアップされている。

(1)アクリロニトリル*1、(2)アセトアルデヒド*1、(3)塩化ビニルモノマー*1、(4)クロロホルム*1、(5)クロロメチルメチルエーテル、(6)酸化エチレン、(7)1,2-ジクロロエタン*1、(8)ジクロロメタン*1、(9)水銀及びその化合物、(10)タルク(アスベスト様繊維を含むもの)、(11)ダイオキシン類*2、(12)テトラクロロエチレン*1、(13)トリクロロエチレン*1、(14)ニッケル化合物*1、(15)ヒ素及びその化合物、(16)1,3-ブタジエン*1、(17)ベリリウム及びその化合物、(18)ベンゼン*1、(19)ベンゾ[a]ピレン、(20)ホルムアルデヒド*1、(21)マンガン及びその化合物、(22)六価クロム化合物

*1:事業者は、自主管理計画を作成し排出抑制に取り組む*2:ダイオキシン類はダイオキシン類対策特別措置法に基づき対応している

 また、大気汚染防止法では、有害大気汚染物質対策の実施に当たり、各主体の責務を定めている。①国の施策:科学的知見の充実、健康リスク評価の公表等②地方公共団体の施策:汚染状況の把握、情報の提供等③事業者の責務:排出状況の把握、排出抑制等④国民の努力:排出抑制等 有害大気汚染物質については、十分な科学的知見が整っているわけではないが、未然防止の観点から、早急に排出抑制を行わなければならない物質(指定物質)として、1) ベンゼン、2) トリクロロエチレン、3) テトラクロロエチレン、が指定され、それぞれ排出抑制基準が定められている。表6.10に大気汚染防止法の概要について示す。

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6章 関連法規

85

表6.10

��特定工場における公害防止組織の整備に関する法律�(組織整備法)����������法規制�適用条件��������煤煙量等の�測定義務��

指定物質排出等の抑制

����排出基準の�遵守 �

・対象;�製造業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業で、煤煙発生設備の設置工場(有害物質以外は、排出ガス量が1万k/h以上)、特定又は一般粉塵発生施設を設置している工場�

・公害防止管理者等の選任と届出;�特定工場は次の者を選任し、都道府県知事へ届け出なければならない(常時使用従業員が20人以下は不要)�①公害防止統括者�②公害防止主任管理者(排ガス4万k/h、排水量1万k/日以上)�③公害防止管理者�

(1)煤煙発生施設�・煤煙:①SOX ②燃焼や電気の使用に伴い発生する煤塵 ③燃焼、合成等の処理に伴い発生する有害物質(カドミニウム、塩素、フッ化水素、鉛、NOX)�・煤煙発生施設:事業所等に設置、煤煙を排出し、大気汚染の原因となるもの(ボイラー、乾燥炉、廃棄物焼却炉等)�

(2)特定粉塵発生施設�(3)一般粉塵発生施設�(4)特定物質発生施設� ・有害大気汚染物質;ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン(指定物質)�(5)指定物質排出施設� ・乾燥施設、蒸留施設、混合施設、洗浄施設、ドライクリーニング機�(6)特定工事� ・特定粉塵排出等作業で、政令で定めた特定粉塵が使用されている建築物を解体、改造、修理する工事�

(7)自動車排出ガス�・煤煙発生施設に係わる煤煙量または煤煙濃度及び事業場等敷地境界線における特定粉塵の濃度を測定し、記録しなければならない。(3年間保存)� ・工業界別に、3指定物質を含めて13物質に対するガイドラインを設定�①テトラクロロエチレン ②トリクロロエチレン ③ベンゼン ④アセトアルデヒド�⑤アクリロニトリル ⑥塩化ビニルモノマー ⑦トリクロロメタン ⑧1,2-ジクロロエタン ⑨塩化メチレン ⑩1,3-ブタジエン ⑪ホルムアルデヒド ⑫二硫化三二ニッケル �⑬硫酸ニッケル�・煤煙の排出基準は、SOX、NOX、煤塵、有害物質毎に異なる方式で設定�a.全国的に、新設、既設を問わず全ての地域に適用される一般排出基準�b.特定の地域に限り、且つ、新設施設に限り適用される特別排出基準�  (都道府県条例、規制対象外物質の基準等の上乗せ及び横だし規制)�

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6章 関連法規

86

6.13 製造物責任法(PL法)目的:製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係わる被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償責任について定めることにより、被害者の保護を図り、国民の安定向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。表6.11にPL法の概要について示す。

表6.11

������規制適用条件����������免責事項����

無過失責任�

����

期限の制限�

・製造物:製造または加工された動産をいう。�・欠 陥:製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が製造物を

引き渡した時期その他の当該製造物に係わる事情を考慮して、製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。�

・製造業者:� ①製造物を業として製造、加工又は輸入した者� ②自ら製造物の製造業者として、当該製造物に氏名、商号、商標並びにその他の表示をした者または当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者�

 ③製造物の製造、加工、輸入又は販売に係わる形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者�

・除外対象製造物� (例)未加工農林畜産水産物、無形エネルギー、不動産(不動産に付加した動産を除

外するものではない)�・製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったことを証明した時。�・製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことについて過失がないことを証明した時。�・製造業者等は、その製造、加工及び輸入した製造物又は氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害した時は、これにより生じた損害を賠償する責任を負う。ただし、その損害が当該私蔵物についてのみ生じた時は、この限りではない。�・損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害、賠償義務者を知った時から三年間行わない時は、時効により消滅する。その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過した時も、同様とする。�・十年の期間は、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間の経過後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起算する。�

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6章 関連法規

87

6.14 特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律   (PRTR*法、化学物質管理促進法)目的:特定の化学物質の環境への排出量の把握に関する措置及び事業者による特定化学物質の性状及び取扱に関する情報の提供に関する措置等を講ずることにより、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し環境の保全上の支障を未然に防止することを目的とする。 PRTR法とは、有害性のある多種多様な化学物質が、どのような発生源から、どれくらい環境中に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを把握し、集計し、公表する仕組みである。 対象としてリストアップされた化学物質を製造したり使用したりしている事業者は、環境中に排出した量と、廃棄物として処理するために事業所の外へ移動させた量とを自ら把握し、行政機関に年に1回届け出る。 行政機関は、そのデータを整理し集計し、また、家庭や農地、自動車などから排出されている対象化学物質の量を推計して、2つのデータを併せて公表する。 PRTR法によって、毎年どんな化学物質が、どの発生源から、どれだけ排出されているかを知ることができるようになる。 諸外国でも導入が進んでおり、日本では1999(平成11)年、「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」により制度化された。<対象事業者> PRTR法の対象となる化学物質を製造したり、原材料として使用しているなど、対象化学物質を取り扱う事業者や、環境へ排出することが見込まれる事業者のうち、一定の業種や要件に該当するものが対象となり、対象化学物質の環境への排出量 と廃棄物に含まれて事業所の外に移動する量との届出が義務付けられる。業種や要件(対象化学物質の取扱量 や常用雇用者数など)は、対象化学物質と同様、政令で指定されている。表6.12にPRTR法の概要について示す。

* PRTR; Pollution Release and Transfer Resister

表6.11(つづき)�

想定される問題点と事例(製造業者に責任が係わる主な事例)�

①塗料自体の欠陥�②容器の長期貯蔵による「下げ具」落下による事故(容器欠陥は別)�③研究開発用サンプル�④不動産に塗装した塗料・塗膜(塗料自体が人の健康に影響した場合)�⑤品質保証期限を過ぎた製品�⑥塗装者の作業環境不備による有機溶剤中毒�⑦警告や危険性(誤用、誤飲、異物接触等)の表示漏れ、MSDSの不備�⑧剥離した塗膜によるペット類への損害(塗装業者の責任もある)�

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6章 関連法規

88

表6.12

��������法規制適用�条件������������������用語の定義�

(PRTR法対象条件; 第一種指定化学物質等取扱事業者)� ①製造業� ②常用雇用者数21名以上� ③下記の何れかに該当するもの�  ・第一種指定化学物質を年間1t以上製造又は使用する者、物質を含有する製品

を年間1t以上使用する者�  ・特定第一種指定化学物質を年間0.5t以上取扱う事業者�  ・業者指定;金属鉱業又は原油及び天然ガス鉱業、下水道業廃棄物処分業、ダイ

オキシン類対策法の特定施設設置者� ④製品質量に対する第一種指定化学物質の割合は1%以上のものに適用� ⑤対製品質量の特定第一種指定化学物質割合が0.1%以上のものに適用� ⑥PRTR及びMSDSが適用されない要件としての4製品類;�  ・取扱い過程で固体以外の状態になく、且つ粉末、粒状にならない製品�  ・密封状態で使用する製品(冷媒、絶縁材 等)�  ・一般消費材(殺虫剤、防虫剤 等) ・再生される資源� ⑦MSDS対象条件(指定化学物質等取扱事業者)�  ・第一種指定化学物質及び第二種指定化学物質等取扱事業者�   (製品質量に対する第二種指定化学物質量の割合が1%以上のもの)�・化学物質;元素及び化合物(放射性元素を除く)�・第一種指定化学物質;人や生態系(オゾン層破壊性を含む)への有害性があり、環境中に広く存在する(暴露性)と認められる物質(354物質)� 例)a.揮発性炭化水素:ベンゼン、トルエン、キシレン等�

b.有機塩素系化合物:ダイオキシン類、トリクロロエチレン等�c.農薬:臭化メチル、フェニトロチン、クロルピリホス等�d.金属化合物:鉛及びその化合物、カドミニウム及びその化合物、有機スズ化合物等�e.オゾン層破壊物質:フッ素系化合物(CFC、HCFC等)�f.その他:石綿等�

・第二種指定化学物質;第一種指定化学物質と同様の有害性があるが、暴露性はそれより低いと見込まれる物質(81物質)�・PRTR届出対象業種(23業種);金属鉱業、原油及び天然ガス鉱業、製造業、電気業、ガス業、鉄道業、下水道業、熱供給業、倉庫業(農作物又はタンクによる気体、液体の貯蔵に限る)、石油卸業、鉄スクラップ卸売業(自動車エアコン関係)、燃料小売業、計量証明業、自動車整備業、機械修理業、商品検査業、洗濯業、写真業、一般廃棄物処理業(ごみ処分業)、産業廃棄物処分業、自動車卸売業(エアコン関係)、高等教育機関、自然科学研究所�・物質量;銅、鉛、ニッケル、砒素等の金属、又はシアン、フッ素、硼素化合物として指定されたものは、金属、シアン等の質量として計算する�

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6章 関連法規

89

表6.12(つづき)�

事業者の責務�

����������排出量の把握及び届出�����������届出事項の�集計��開示請求����MSDSの提供����

罰則�

・指定化学物質等取扱事業者は、第一種及び第二種指定化学物質が人の健康を損なう恐れがあることを認識し、かつ、化学物質管理指針に留意して、指定化学物質の製造、使用その他の取扱い等に係わる管理を行うと共に、管理の状況に対し国民の理解を深めるよう努めなければならない。�・第一種指定化学物質等取扱事業者は、事業活動に伴う第一種指定化学物質の排出量及び移動量を把握しなければならない。� ①排出量の算出方法�  a.物質収支を用いる方法�   {取扱量合計}-{移動量(製品としての搬出量+廃棄物含有量)}�  b.排出係数を用いる方法�   {製造量、使用量等の取扱量}×{排出係数あるいは排出原単位}�  c.実測値を用いる方法�   排出物に含まれる量や濃度の測定に基づき産出�  d.物性値を用いる方法�

蒸気圧、溶解度等の物理化学的性状に関する数値と排ガス量又は排水量とを用いる�

  e.その他の方法�   経験式、経験値等の利用ができると認められる場合� ②移動量の算出方法�   排出量と同様な方法で算出する。�・毎年度、前年度の排出量及び移動量を事業所毎に、結果を主務大臣並びに都道府県知事を経由して国(事業所管大臣)に届け出する。把握開始は2001年4月1日、届出は毎年度6月30日まで。(方法は施行規則に規定)�・環境省大臣及び経済通産大臣は、届出事項を業種別、地域別等に集計し、結果を主務大臣及び都道府県知事に通知すると共に公表する。�・環境省大臣及び経済通産大臣は、家庭、農地、自動車等の分散発生源からの排出量を推計して集計し、公表する。(非点源推計)�・何人も国の公表後はファイル記載事項の開示請求を行うことができる。�・指定化学物質等取扱事業者は、指定化学物質を他の事業者に譲渡、又は提供する時は、その時までに、相手に対し物質の性状及び取扱いに関する情報(MSDS)を相手方が承諾した方法で提供しなければならない。�・PRTRに含めなければならない情報� !第一種 又は第二種指定化学物質の名称� "令記載 における該当する号の番号� #第一種指定 、特定第一種指定、第二種指定の別�・PRTR届出をせず、又は虚偽の届出、経済産業大臣によるMSDSに関する聴取に対し報告をしない、又は虚偽の報告をしたものは20万円以下の過料�

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6章 関連法規

90

MSDS製品安全データシートの例

表6.12(つづき)�

���

化学物質管理方針�

・指定化学物質等の製造、使用その他の取扱いに係わる設備の改善、その他の指定化学物質等の管理の方法に関する事項� ①化学物質の管理の体系化 ②情報の収集、整理等�・指定化学物質等の製造の過程における回収、再利用、その他の指定化学物質等の使用の合理化に関する事項� ①化学物質の管理の体系化、情報の収集、整理等� ②化学物質の使用の合理化対策�・第一種指定化学物質の排出状況に関する国民の理解の増進に関する事項�・指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の活用に関する事項�

製品安全データシート�[ 混合物用(塗料用) ]�

�製品の特定����製造者情報���������危険有害性【GHS分類】�

製品名:�種 類:�主な用途:�

製品コード:�

会社名 ○○○○○株式会社�住 所 〒�担当部門 技術部 担当者 技術課長�電話番号 03- FAX番号 03-�緊急連絡先 管理部門に同じ 作成・改定 2006年 1月1日�物理化学的�危険性�健康に対す�る有害性�

引火性液体:区分1~4��急性毒性�����皮膚腐食性/刺激性:区分1~3�眼に対する重篤な損傷/眼刺激性:区分1~2�呼吸器感作性:区分1�皮膚感作性:区分1�生殖細胞変異原性:区分1A、1B、2�発がん性:区分1A、1B、2�生殖毒性::区分1A、1B、2�吸引性呼吸器有害性:区分1~2

経口:区分1~5�経皮:区分1~5�吸入(気体):区分1~5�吸入(蒸気):区分1~5�吸入(粉塵、ミスト):区分1~5

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6章 関連法規

91

�危険有害性【GHS分類】������物質の特定�����������応急処置�����

火災時の�処置�

�����漏出時の�処置������取扱、保管上の注意�

健康に対す�る有害性�環境に対す�る有害性�����������目に入った�場合�皮膚に付着�した場合���吸入した�場合�飲み込んだ�場合�使用可能�消化剤�

特定標的臓器�/全身毒性�水性環境有害�性�

単回暴露:区分1~3�反復暴露:区分1~2�急性:区分1~3�慢性:区分1~4

成分及び含有量(危険有害性物質を対象)�      成 分 名 Cas No. 含有量   備 考�エチレングリコール 107-21-1 43.PRTR法1種�2.2.4-トリメチル1.3-ペンタンジオール 25265-77-4�モノイソブチレート �二酸化チタン 13463-67-7 (白)�カーボンブラック 13303-86-4 0~10% (黒)�酸化第二鉄 1309-37-1 0~10% (赤錆)�水和酸化第二鉄 51274-00-1 0~10% (オーカー)�

��

☆直ちに大量の清浄な流水で15分以上洗う。まぶたの裏まで完全に洗うこと。�☆異常のある場合は医師の診断を受けること。�☆付着物を布にて素早く拭き取る。�☆大量の水及び石鹸又は皮膚用の洗剤を使用し、十分に洗い落とす。溶剤、シンナーは使用しないこと。�☆外観に変化が見られたり、痛みがある場合には、医師の診断を受ける。�☆蒸気、ガス等を吸い込んで気分が悪くなった場合には、空気の清浄な場所で安静にし、医師の診断を受ける。�☆誤ってのみ込んだ場合には、安静にして直ちに医師の診断を受ける。�☆嘔吐物は飲み込ませないこと。�水[○],炭酸ガス[○],泡[○],粉末[○]�乾燥砂[○],その他[ ]�

☆人及び環境保護への対応�・作業の際には適切な保護具(手袋、保護マスク、エプロン、ゴーグル)などを着用する。�・河川への排出等により環境への影響を起こさないように注意する。�・周辺を立入禁止にして、関係者以外を近づけないようにして二次災害を防止する。�☆飛散物の処理�・流出物は、密閉できる容器に回収し、安全な場所に移動する。�・付着物、廃棄物などは関係法規に基づいて処置する。�・乾燥前の飛散物は、水に濡らしたウエスなどで拭き取る。乾燥後は、熱いお湯か市販のアルコール水溶液を染み込ませたウエスなどで拭き取る。�・乾燥砂、土、その他の不燃性のものに吸収させて回収する。大量の流出には、盛り土で囲って流出を防止する。�取扱い上の注意:換気の良い場所で取扱う。�保管上の注意:日光の直射を避ける。冬期は凍結しないように保管する。�

消化方法:このもの自体には可燃性なし。�

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6章 関連法規

92

暴露防止�処置����

製品の物理化学的性質

������危険性情報�����������有害性情報��������環境影響�情報��

廃棄上の�注意�

設備対策:特になし。�

呼吸系の保護�目の保護�皮膚の保護�その他の保護具�

☆ミストなどの吸入を防げるマスクを着用する。�☆保護メガネを着用する。�☆有機溶剤又は化学薬品が浸透しない材質の手袋を着用する。�☆特になし�

保護具�

状 態:液体[○],気体[ ],固体・半固形[ ],粉末状[ ],ペースト状[ ]�色  :  臭 気:�沸 点:  蒸気圧:�比 重:  pH値:�その他:水に可溶�製品特性��反応性�安定性����その他の危険性情報:特になし。�組成物質有害性及び暴露濃度基準������������組成物質に関するその他の有害性情報:特に情報なし。�製品に関する有害性情報:製品としての安全性試験は行っていない。� ☆容器、機器などの洗浄水をそのまま排水溝に流さないこと。�

引火点:              発火点:�爆発限界:(下限)          (上限)�条件(温度、光等)�接触により危険性のある物質:情報なし。�燃焼などによる有害性ガス発生:このものは燃えないが塗膜等が燃えた場合、�COなど。�その他の反応性情報:普通の条件での反応性はない。�

      物質名

管理 ACGIH IARC   その他の有害性�

濃度 (TLV) �二酸化チタン 10m/k 3 �

エチレングリコール 100m/k LD50(経口) rat 4,700m/o�

LC50(経皮)rb 9,530m/o �2.2.4トリメチル1.3ペンタジオール

LD50(経口)rat 3,200m/o�

モノイソブチレート �

カーボンブラック

3.5m/k 2B LD50(経口)>rat15,400m/o�

LC50(経皮)>rb 3,000m/o �酸化第二鉄 5m/k 3

☆廃塗料、容器等の廃棄物は、許可を受けた産業廃棄物処理業者と委託契約して処理を委託する。�☆容器、機器装置等を洗浄した排水等は、地面や排水溝へそのまま流さないこと。�☆排水処理、焼却等により発生した廃棄物についても、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び関係する法律に従って処理を行うか、処理を委託すること。�

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6章 関連法規

93

輸送上の�注意�

���主な適用�法令���

その他�

共  通:取扱い及び保管上の注意の項の記載に従う。�陸上輸送:法規に該当しない。�海上輸送:船舶安全法に該当しない。�航空輸送:航空法に該当しない。�国連番号:なし。�☆法規に該当しない。�(高圧ガス保安法、消防法、毒物及び毒劇物取締法、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律、労働安全衛生法、特定化学物質等障害予防規則、有機溶剤中毒予防規則、鉛中毒予防規則、化学物質管理促進法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律等)�

主な引用文献�☆日本塗料工業会編集「原材料物質データベース」�☆日本塗料工業会編集「製品安全データシートガイドブック」�☆化学工業日報社「化学物質管理促進法PRTR・MSDS対象物質全データ」�

[注意] 記載事項は通常的な取り扱いを対象としたもので、特殊な取り扱いの場合には、この点の配慮�    をお願いします。�

概要� 2000年4月施行、大別すると①瑕疵保証制度、②住宅性能保証制度、③紛争処理の3項目からなる。�①瑕疵保証制度:新築住宅に対して最低10年の瑕疵担保期間が義務づけられる。対象となるのは、基本構造部分で基礎・柱・床・屋根等が該当する。構造体力上主要な部分や雨水の浸入を防止する部分に瑕疵があった場合は、修理請求、賠償請求ができる。ただし、瑕疵が発見されてから1年以内に瑕疵であることの証明が必要である。�②住宅性能保証制度:2000年秋から建設大臣が定めた住宅性能表示基準が創設されこれに基づき第三者機関が住宅性能評価書を交付する。評価書を添付して契約を交わした場合は、その記載内容が契約内容となる。�③紛争処理:性能表示を受けたにも係わらずトラブルが発生した場合、裁判外の処理体制で第三者機関の弁護士、建築士などが紛争処理にあたる。�

6.15 住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)目的:「優良住宅を安心して取得できること」を目的として施工された法律である。

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付  録

95

付  録

付録1 施工仕様例 …………………………………………………… 96

付録2 建物の部位と名称 …………………………………………… 99

付録3 足場の種類 …………………………………………………… 100

付録4 塗装種別の略号 ……………………………………………… 102

付録5 仕上塗材の防火性能 ………………………………………… 104

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付  録

96

付録1 施工仕様例

付表1.1 外装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材(外装薄塗材E:リシン)仕上げ�

 工 程���

1 主材塗り�

材 料�

�外装薄塗材E�(砂壁状)�

水�

調 合�(質量比)�

100��

製造業者の�指定による�

所要量�(o/g)�

1~2��-�

工程内��

2以上�

塗回数���2

工程間��

-�

最終養生��

16以上�

間隔時間(h)�

付表1.2 防水形外装合成樹脂エマルション系薄付け仕上塗材(防水形外装薄塗材E:単層弾性)仕上げ�

 工 程���

1 下塗り����2 増塗り※1����3  �   ����

4����  凸部処理※2

材 料�

�防水形外装�薄塗材E下塗材�専用うすめ液�または水�防水形外装�薄塗材E主材�

水��

防水形外装�薄塗材E主材�

水��

防水形外装�薄塗材E主材

���水�

調 合�(質量比)�

100��

製造業者の�指定による�

100��

製造業者の�指定による�

100��

製造業者の�指定による�

�100��

製造業者の�指定による�

所要量�(o/g)�

0.1~0.3��-��

0.5~1.0��-��

0.7~1.5��-�

工程内��

-����-����

5以上�����-����-�

塗回数���1����1����

1~2 �����1����-�

工程間��

3以上����

3以上����

16以上����

最終養生��

-����-����-������

24以上�

間隔時間(h)�

主材塗り�

0.2~0.7� (ゆず肌状)�(さざ波状)�

�-�

0.6~1.2� (凹凸状)�

��-�

(こてまたはローラーで押さえる)�

基層�塗り�

模様�塗り�

(5)�

(凸部処理 の 場合は1以内 に 行う)�

※1 増塗りは、建物の出隅、入隅、目地及び開口部周りなどへ主材塗りの前に行う。 �※2 工程5は、凸部処理仕上げの場合のみ行う。�

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付  録

97

付表1.3 外装合成樹脂エマルション系厚付け仕上塗材(外装厚塗材E:スタッコ)仕上げ(上塗材なし)�

 工 程���

1 下塗り����2 ����

3  �   ��  凸部処理※1

材 料�

�外装厚塗材E�下塗材�

水��

外装厚塗材E�主材�

水��

外装厚塗材E�主材�

水�

調 合�(質量比)�

100��

製造業者の�指定による�

100��

製造業者の�指定による�

100��

製造業者の�指定による�

所要量�(o/g)�

0.1~0.3��-��

1.5~2.5��-��

1.5~3.5��-�

工程内��

-����-����-���-�

塗回数���1����1����1���-�

工程間��

3以上����

3以上�

最終養生��

-����-�����

24以上�

間隔時間(h)�

主材塗り�

(こてまたはローラーで押さえる)�

基層�塗り�

模様�塗り�

(4)�

(凸部処理 の 場合は0.5以 内 に行う)�

※1 工程4は、凸部処理仕上げの場合のみ行う。�

付表1.4 合成樹脂エマルション系複層仕上塗材(複層塗材E:アクリルタイル)仕上げ�

 工 程���

1 下塗り����2����3  �   ��  凸部処理※1��

5 上塗り

材 料�

�複層塗材E� 下塗材�専用うすめ液�または水�複層塗材E�主材�

水��

複層塗材E�主材�

水���

複層塗材E�上塗材�

専用うすめ液�または水�

調 合�(質量比)�

100��

製造業者の�指定による�

100��

製造業者の�指定による�

100��

製造業者の�指定による�

100��

製造業者の�指定による�

所要量�(o/g)�

0.1~0.3��-��

0.7~1.2��-��

0.8~1.3��-���

0.25~0.35��-�

工程内��

-����-����-���-��

3以上�

塗回数���1����1����1���-��2

工程間��

3以上����

16以上���������

-�

最終養生��

-����-�����-����

24以上�

間隔時間(h)�

主材塗り�

(こてまたはローラーで押さえる)�

基層�塗り�

模様�塗り�

(4)�

2 4以上(凸部処理 の 場合は0.5以 内 に行う)�

※1 工程4は、凸部処理仕上げの場合のみ行う。�

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付  録

98

付表1.5 防水形合成樹脂エマルション系複層仕上塗材(防水形複層塗材E:弾性タイル)仕上げ�

 工 程���

1 下塗り����2 増塗り※1����3�����

4�

�  �   �  凸部処理※2��

6 上塗り

材 料�

�防水形複層塗�材E下塗材�専用うすめ液�または水�防水形複層�塗材E主材�

水��

防水形複層�塗材E主材�

水��

防水形複層�塗材E主材

���水���

防水形複層�塗材E上塗材�専用うすめ液�または水�

調 合�(質量比)�

100��

製造業者の�指定による�

100��

製造業者の�指定による�

100��

製造業者の�指定による�

�100��

製造業者の�指定による�

��

100��

製造業者の�指定による�

所要量�(o/g)�

0.1~0.3��-��

0.6~1.2��-��

1.7以上��-���������

0.25~0.35��-�

工程内��

-����-����

16以上�����-����-��

3以上�

塗回数���1����1����2�����1����-��2

工程間��

3以上����

3以上����

16以上���������

��-�

最終養生��

-����-����-������-�

����

48以上�

※1 基層塗り前に、出隅、入り隅などの基層塗層の膜厚が薄くなると予想される部分に主材を塗り付け、塗り厚を確保する操作。 �

※2 主材模様塗りなどによって形成される比較的大型の凹凸模様の凸部の頂点をこて、ローラーまたはサンダーによって平たんにする模様付け操作。�

間隔時間(h)�

主材塗り�

(こてまたはローラーで押さえる)�

基層�塗り�

模様�塗り�

(5)�

2 4以上(凸部処理 の 場合は1以内 に 行う)�

0.6~1.2� (ゆず肌状)�(さざ波状)�

�-�

0.7~1.3� (凹凸状)�

��-�

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付  録

99

付録2 建物の部位と名称

外装仕上げの耐久性向上技術(技報堂出版1)より�

⑮といおよび取付金物�⑯パラペット� ⑰軒鼻先�

⑱軒裏�⑲換気扇まわり�⑳バルコニー内壁�

手すり�21�手すり壁�22�手すり上端�23�

バルコニー鼻先�24�

バルコニー軒裏�25�

開口部�26�

⑤窓まわり�②塔屋壁�

③斜壁�⑥ひさし鼻先�

⑦ひさし裏�①一般外壁�④廊下壁�

⑧段裏�

⑨階段手すり�

⑩手すり脚部� ⑪柱形� 出入口�27�

⑬垂直目地�⑭水平目地�

⑫はり形�

⑦ひさし裏�

外壁補修マニュアル(1テツアドー出版)より�

防水押え又は�仕上げモルタル�防水層�

パラペット笠木�

パラペット�

パラペット外部�

尾垂れ�

タテ樋�

軒裏��

外壁�� (マド)庇屋根��

庇鼻�

庇下面��

均しモルタル�ルーフドレン�

天井�

天井廻縁�

手スリ笠木�マド水切�

ベランダ� 鼻立上り�

外壁�

額縁�

巾木�

1階床�外部�巾木��

手スリ柱�

コーキング(マド廻り)�

下枠�

手スリ子�

庇�

ベランダ�

マド�

地盤�

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付  録

100

付録3 足場の種類 足場は施工業者が設置する場合と、建築元請会社側で用意する場合がある。最近では施工業者に最も適した設置と安全確認のため施工業者側で組み立てるケースが多くなってきているが建築物の巨大化、高層化、建築基準法、労働安全衛生法などの規制等により、ゼネラルコンストラクター(ゼネコン)である元請け会社に依存する方が圧倒的に多い。足場の種類は、用途別及び構造別に分類すると付表3.1のようになる。

 足場の例を付図3.1~ 3.5に示す。

付表3.1 足場の用途別・構造別分類�

用途別��

外壁工事用����内壁工事用����躯体工事用�

 本足場�枠組足場�くさび�緊結式足場�単管足場�����枠組足場�くさび�緊結式足場�単管足場�

一側足場�ブラケット�一側足場�くさび緊結式�一側足場�����ブラケット�一側足場�くさび緊結式�一側足場�

 棚足場��単管足場���枠組足場�くさび�緊結式足場�単管足場�

吊り足場�

��������吊り枠足場�吊り棚足場�

機械足場�

高所作業車�ゴンドラ�移動式昇降�足場�高所作業車����高所作業車�

  その他�

張り出し足場�移動式足場���移動式足場�移動式室内�足場�

構造別� 支柱足場�

付図 3.1 架台足場�

重ね部分の長さ�20b以上�

突出部の長さ�10b以上~L/18以下�

足場板�積載荷重表示�

ゴムバンド又は�番線で結束�

脚立�

開止め金具を確実に作動させる�

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付  録

101

付図 3.2 枠組足場�

建枠�

手すり柱�

床付き布枠�

交差筋かい�

敷板�ジャッキ型ベース金具�

階段用中桟�

中桟�階段開口部�専用手すり枠�

階段用手すり�

手すり�

根がらみ�階段�

後踏み(外部)側�

前踏み(躯体)側�

付図 3.3 移動式足場� 付図 3.4 機械式伸縮足場(高所作業車)�

ブーム�

付図 3.5 ゴンドラ�

国土交通省大臣官房官庁営繕部監修「建築工事監理指針 平成16年版(上巻)」より�

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付  録

102

付録4  塗装種別の略号

合成樹脂調合ペイント塗り 5516 SOP SOP SOP SOP SOP S.O.P�アルミニウムペイント塗り 5492 AIP aIP --- ALP --- ---�フタル酸樹脂エナメル塗り 5572 FE FE FE --- FE ---�塩化ビニル樹脂エナメル塗り 5582 VE VE --- VE --- ---�アクリル樹脂エナメル塗り 5654 AE AE AE AE AE ---�2液形エポキシ樹脂�エナメル塗り

--- 2-XE 2-XE --- --- --- ---�

2液形タールエポキシ樹脂�エナメル塗り

5664 --- 2T-XE --- --- --- ---�

2液形ポリウレタン 5656 2-UE 2-UE 2-UE 2-UE 2-UE ---

�エナメル塗り 5657 �弱溶剤系2液形ポリウレタン�エナメル塗り

--- LS2-UE --- --- --- --- ---�

アクリルシリコン樹脂�エナメル塗り

--- 2-ASE 2-ASE 2-ASE --- 2-ASE ---�

常温乾燥形ふっ素樹脂 5658 2-FUE 2-FUE 2-FUE 2-FUE 2-FUE ---

�エナメル塗り 5659�多彩模様塗料塗り 5667 EP-M EP-M --- EP-M EP-M ---�アクリル樹脂ワニス塗り 5653 AC AC --- --- --- ---� 2液形ポリウレタンワニス塗り --- 2-UC UC UC --- UC U.C�アクリルシリコン樹脂� ワニス塗り

--- 2-ASC --- --- --- --- ---�

常温乾燥形ふっ素樹脂�ワニス塗り

--- 2-FUC 2-FUC --- --- --- ---�

アクリル樹脂系非水分散形�塗料塗り

5670 NADE NAD NAD --- --- ---�

合成樹脂エマルション 5663 1種 EP AEP EP EP EP E.P-I �ペイント塗り 5663 2種 EP --- --- --- --- E.P-II�つや有合成樹脂�エマルションペイント塗り

5660 EP-G EP-G EP-G EP-G EP-G G.P�

ポリウレタンエマルション�ペイント塗り

--- UEP --- --- --- --- ---�

合成樹脂エマルション模様�塗料塗り

5668 EP-T --- EP-T --- EP-T ---�

フタル酸樹脂ワニス塗り 5562 FC --- --- --- --- ---

日本�工業規格�JIS K

日本建築学�会JASS-18�(2006)�

日本建築�家協会�(2006)�

郵政�事業庁�

(13年版)�

国土�交通省�(19年版)�

文部�科学省�

(16年版)�

UR�都市機構�(16年版)�

�種 別�

適 用�

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付  録

103

1液形油変性ウレタン樹脂�ワニス塗り

--- 1-UC UC UC --- UC U.C�

クリヤラッカー塗り 5531 LC --- CL CL CL C.L�オイルステイン塗り --- OS --- OS OS OS O.S�オイルステインワニス塗り 5562 --- --- --- --- --- O.S.C�ラッカーエナメル塗り 5531 LE --- --- --- --- ---�木材保護塗料塗り --- WP --- --- --- --- ---�抗菌性塗料塗り --- --- --- --- --- ABP ---

日本�工業規格�JIS K

日本建築学�会JASS-18�(2006)�

日本建築�家協会�(2006)�

郵政�事業庁�

(13年版)�

国土�交通省�(19年版)�

文部�科学省�

(16年版)�

UR�都市機構�(16年版)�

�種 別�

適 用�

注1)塗料種別名称 :JASS18の名称に準じた。なお抗菌性塗料塗りは文部科学省「特記基準」。 �注2)郵政事業庁は、平成16年度以降、国交省の「公共建築工事標準仕様書」に統一。 �注3)UR都市機構の仕様書は「公共住宅建設工事共通仕様書(平成16年版)」である。 �

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付  録

104

付録5 仕上塗材の防火性能

付表5.1 防火材料に要求される性能と材料の例�

材料区分�

������

不燃材料�����������準不燃材料����������

難燃材料�

要求性能�

通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間�①燃焼しないものであること�②防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること�③避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること(屋外では要求されない)���通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後10分間�①燃焼しないものであること�②防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること �③避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること (屋外では要求されない)�通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後5分間�①燃焼しないものであること�②防火上有害な変形、溶融、き裂その他の損傷を生じないものであること �③避難上有害な煙又はガスを発生しないものであること (屋外では要求されない)�

国土交通大臣が定めたもの�(平成12年告示第1400号)�コンクリート、れんが、瓦、陶磁器質タイル、石綿スレート、繊維強化セメント板、鉄網、アルミニウム、金属板、ガラス、モルタル、しっくい、石、ロックウール、グラスウール板、せっこうボード(厚さ12a以上、ボード用原紙の厚さ0.6a以下)、ガラス繊維混入セメント板(厚さ3a以上)、繊維混入ケイ酸カルシウム板(厚さ5a以上)�(平成12年告示第1401号)�不燃材料、せっこうボード(厚さ9a以上、ボード用原紙の厚さ0.6a以下) 、木毛セメント板(厚さ15a以上) 、硬質木片セメント板(厚さ9a以上、かさ比重0.9以上)、木片セメント板(厚さ30a以上、かさ比重0.5以上)、 パルプセメント板(厚さ6a以上)�(平成12年告示第1402号)�準不燃材料、難燃合板(厚さ5.5a以上)、せっこうボード(厚さ7a以上、ボード用原紙の厚さ0.5a以下)�

国土交通大臣の認定を受けたもの�塗料�仕上塗材�壁紙�グラスウール保温板�塩ビ鋼板�塗装ステンレス鋼板�せっこうプラスター塗ラスボード�

仕上用せっこうプラスター塗せっこうボード�スラグせっこう板�軽量セメントモルタルなど��塗料�仕上塗材�壁紙�化粧グラスウール保温板�塩ビ鋼板�せっこうボード�パルプセメント板�木毛セメント板�木片セメント板�金属サイディングなど�塗料�仕上塗材�壁紙�塩ビ鋼板�難燃処理合板など�

材料の例�

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付  録

105

付表5.2 仕上塗材の防火認定概要表�

認定番号�

� � NM-8571�

� � QM-9811�

� � RM-9366�

� NM-8572�

� QM-9812�

� RM-9361�

� NM-8573�

� QM-9813�

� � RM-9362�

� NM-8574�

� QM-9814�

� RM-9363

  区分�

� � 不燃材料�

� � 準不燃材料�

� � 難燃材料�

� 不燃材料�

� 準不燃材料�

� 難燃材料�

� 不燃材料�

� 準不燃材料�

� � 難燃材料�

� 不燃材料�

� 準不燃材料�

� 難燃材料�

品目名�

� 無機質砂壁状吹付

材塗り/不燃材料�

� 無機質砂壁状吹付

材塗り/準不燃材料�

� 無機質砂壁状吹付

材塗り/難燃材料�

� 有機質砂壁状塗料

塗り/不燃材料�

有機質砂壁状塗料

塗り/準不燃材料�

有機質砂壁状塗料

塗り/難燃材料�

複合型化粧用仕上

材塗り/不燃材料�

複合型化粧用仕上

材塗り/準不燃材料�

複合型化粧用仕上

材塗り/難燃材料�

� 繊維壁材塗り/不燃

材料�

繊維壁材塗り/準不

燃材料�

繊維壁材塗り/難燃

材料�

下地�

不燃材料で

あること�

� 準不燃材料

であること�

� 難燃材料で

あること�

� 不燃材料で

あること�

準不燃材料

であること�

難燃材料で

あること�

不燃材料で

あること�

準不燃材料

であること�

難燃材料で

あること�

� 不燃材料で

あること�

準不燃材料

であること�

難燃材料で

あること�

組成�

� セメント、無機質骨材および無機質粘結

材からなり、これに有機質接着剤を混

入するときは、固形換算量で質量比5%

以下であること。仕上材の厚さが3a以

下の場合は下地処理材に含まれる合

成樹脂エマルションの使用量は固形換

算量で50g/gを超えないこと。�

� 合成樹脂エマルション、顔料、無機質

骨材(軽量骨材を含む)を主成分とし、

これに含まれる有機質の固形換算量

が質量比で15%以下で、かつ170g/g

を超えないこと。�

� 無機質砂壁状吹付材の表面に合成樹

脂系の塗料で仕上げを行うもので、これ

に用いる塗料は固形換算量で90g/gを

超えないこと。仕上材の厚さが3mm以

下の場合は、下地処理材に含まれる合

成樹脂エマルションの使用量は、固形

換算量で50g/gを超えないこと。�

JIS A 6909「建築用仕上塗材」の内装

水溶性樹脂系薄付け仕上塗材に規定

する品質を有するもので、有機質の固

形換算量が質量250g/g以下で、かつ

プラスチック、ゴム質の材料のそれぞれ

又はその和が50g/gを超えないこと。

該当する仕上塗材の種類�

� 薄塗材C �

薄塗材Si �

薄塗材L �

厚塗材C (上塗材を用いないもの) �

厚塗材Si (上塗材を用いないもの)�

厚塗材L �

厚塗材G �

軽量骨材仕上塗材 (無機質系) �

� � 薄塗材E �

薄塗材S�

軽量骨材仕上塗材 (有機質系) �

� � � 複層塗材CE�

複層塗材Si �

厚塗材C (上塗材を用いるもの)�

厚塗材Si (上塗材を用いるもの)�

� � � � 薄塗材W

認定条件�

旧認定番号�

� � � �基材同等�

第0003号�

� � � � � �基材同等�

第0004号�

� � � �基材同等�

第0005号�

� � � � �基材同等�

第0008号�

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付  録

106

防火上有害な変形、溶融、き裂そ

の他の損傷を生じないものであるこ

と�� 試験不要�

� 発熱性試験(コーンカロリメータ)�

・試験体裏面に達するき裂、貫通

孔等を生じない�

発熱性試験(コーンカロリメータ)�

・試験体裏面に達するき裂、貫通

孔等を生じない�

模型箱試験�

・試験体裏面に達するき裂、貫通

孔等を生じない�

発熱性試験(コーンカロリメータ)�

・試験体裏面に達するき裂、貫通

孔等を生じない�

模型箱試験�

・試験体裏面に達するき裂、貫通

孔等を生じない�

� 屋内の場合と同じ�

� 燃焼しないものであること�

� 不燃性試験(基材試験)�

・炉内温度の上昇値が20K以下�

・重量減少率が30%以下�

発熱性試験(コーンカロリメータ)�

・総発熱量が8MJ/gを超えない�

・200kW/gを超える発熱速度が10秒を超えて継続しない �

発熱性試験(コーンカロリメータ)�

・総発熱量が8MJ/gを超えない�

・200kW/gを超える発熱速度が10秒を超えて継続しない�

模型箱試験�

・総発熱量が50MJ(火源の総発熱量20MJを含む)を超えない�

・140kWを超える発熱速度が10秒を超えて継続しない �

発熱性試験(コーンカロリメータ)�

・総発熱量が8MJ/gを超えない�

・200kW/gを超える発熱速度が10秒を超えて継続しない�

模型箱試験�

・総発熱量が40MJ(火源の総発熱量10MJを含む)を超えない�

・140kWを超える発熱速度が10秒を超えて継続しない�

� 屋内の場合と同じ�

避難上有害な煙又はガス

を発生しないものであるこ

と�� ガス有害性試験�

・マウスの平均行動停止

時間が6.8分以上�

� � � ガス有害性試験�

・マウスの平均行動停止

時間が6.8分以上�

� � � ガス有害性試験�

・マウスの平均行動停止

時間が6.8分以上�

� � 性能が要求されない (試

験不要)�

付表5.3 防火材料に要求される性能と試験方法および判定基準�

� 部位�

� � � � � � � � � � 屋内�

� � � � � � � � � � 屋外�

�材料区分�

(加熱等級)�

� � �不燃材料�

(20分)�

� � � �準不燃材料�

(10分)�

� � � �難燃材料�

(5分)�� �

不燃材料(20分)�

準不燃材料(10分)�

難燃材料(5分 )�

要求性能�

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付  録

107

付表5.4 ガス有害性試験が適用されない化粧材料�

化粧材料の�防火性能等級�

�不燃材料�

準不燃材料�

��

難燃材料��

基材の防火�性能等級��

不燃材料�不燃材料�準不燃材料�不燃材料�準不燃材料�難燃材料�

表面化粧のない基材に施す場合�200g/g以下�200g/g以下�100g/g以下�200g/g以下�100g/g以下�100g/g以下�

木質系表面化粧が施されている基材(せっこうボード等)に施す場合���400g/g以下(基材の木質系表面化粧の有機化合物量を含む)�

基材に施す化粧の有機化合物量(接着剤を含む)�

(旧基材同等第0003号の場合)�

認定番号�NM-8571�QM-9811�RM-9366

区分�不燃材料�準不燃材料�難燃材料�

国土交通大臣認定�����

無機質砂壁状吹付材塗り�NPO法人湿式仕上技術センター�

製造者名�

(旧基材同等第0004号の場合)�

認定番号�NM-8572�QM-9812�RM-9361

区分�不燃材料�準不燃材料�難燃材料�

国土交通大臣認定�����

有機質砂壁状塗料塗り�NPO法人湿式仕上技術センター�

製造者名�

(旧基材同等第0005号の場合)�

認定番号�NM-8573�QM-9813�RM-9362

区分�不燃材料�準不燃材料�難燃材料�

国土交通大臣認定�����

複合型化粧用仕上材塗り�NPO法人湿式仕上技術センター�

製造者名�

(旧基材同等第0008号の場合)�

認定番号�NM-8574�QM-9814�RM-9363

区分�不燃材料�準不燃材料�難燃材料�

国土交通大臣認定�����

繊維壁材塗り�NPO法人湿式仕上技術センター�

製造者名�

付図5.1 防火材料の包装・容器等への表示例�

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付  録

108

付表5.5 防火材料認定一覧表(NPO法人湿式仕上技術センター) �

  新認定番号

旧認定・指定番号             品目名

部 位

区 分

備 考�

FP060CN-9422

耐火(通)C1003

耐火1時間

� FP120CN-9426

耐火(通)C2003 軽量セメントモルタル被覆鉄骨柱

耐火2時間

―�

FP180CN-9430

耐火(通)C3003

耐火3時間

� FP060CN-9423

耐火(通)C1004

耐火1時間

� FP120CN-9427

耐火(通)C2004 軽量セメントモルタル被覆中空鉄骨柱

耐火2時間

―�

FP180CN-9431

耐火(通)C3004

耐火3時間

� FP060CN-9411

耐火(通)C1006

耐火1時間

� FP120CN-9412

耐火(通)C2006 ALCパネル/軽量セメントモルタル合成被覆/鉄骨柱

耐火2時間

―�

FP180CN-9413

耐火(通)C3006

耐火3時間

� FP060CN-9425

耐火(通)C1007

耐火1時間

� FP120CN-9429

耐火(通)C2007 プレキャストコンクリート板/軽量セメントモルタル合成被覆/鉄骨柱

耐火2時間

―�

FP180CN-9433

耐火(通)C3007

耐火3時間

� FP060BM-9370

耐火(通)G1003

耐火1時間

� FP120BM-9374

耐火(通)G2003 軽量セメントモルタル被覆鉄骨はり

はり

耐火2時間

―�

FP180BM-9378

耐火(通)G3003

耐火3時間

� FP060BM-9371

耐火(通)G1004

耐火1時間

� FP120BM-9375

耐火(通)G2004 軽量セメントモルタル被覆中空鉄骨はり

はり

耐火2時間

―�

FP180BM-9379

耐火(通)G3004

耐火3時間

� FP060BM-9359

耐火(通)G1006

耐火1時間

� FP120BM-9360

耐火(通)G2006 ALCパネル/軽量セメントモルタル合成被覆/鉄骨はり

はり

耐火2時間

―�

FP180BM-9361

耐火(通)G3006

耐火3時間

� FP060BM-9373

耐火(通)G1007 プレキャストコンクリート板/軽量セメントモルタル合成被覆/

耐火1時間

� FP120BM-9377

耐火(通)G2007 鉄骨はり

はり

耐火2時間

―�

FP180BM-9381

耐火(通)G3007

耐火3時間

� FP060NP-9391 耐火(通)W2004 両面軽量セメントモルタル被覆軽量鉄骨中空間仕切壁

間仕切壁 耐火1時間

―�

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付  録

109

付表5.5 防火材料認定一覧表(NPO法人湿式仕上技術センター)(つづき) �

  新認定番号 旧認定・指定番号             品目名

部 位

区 分

備 考�

FP060CN-9434

粉じん固化剤を用いた封じ込め工法を施す耐火構造

耐火1時間

―�

FP120CN-9435

粉じん固化剤を用いた封じ込め工法を施す耐火構造

耐火2時間

―�

FP180CN-9436

粉じん固化剤を用いた封じ込め工法を施す耐火構造

耐火3時間

―�

FP060BM-9382

粉じん固化剤を用いた封じ込め工法を施す耐火構造

はり

耐火1時間

―�

FP120BM-9383

粉じん固化剤を用いた封じ込め工法を施す耐火構造

はり

耐火2時間

―�

FP180BM-9384

粉じん固化剤を用いた封じ込め工法を施す耐火構造

はり

耐火3時間

―�

FP030NE-9295

粉じん固化剤を用いた封じ込め工法を施す耐火構造

外壁

耐火30分

―�

FP060NE-9296

粉じん固化剤を用いた封じ込め工法を施す耐火構造

外壁

耐火1時間

―�

FP060FL-9121

粉じん固化剤を用いた封じ込め工法を施す耐火構造

耐火1時間

―�

FP120FL-9122

粉じん固化剤を用いた封じ込め工法を施す耐火構造

耐火2時間

―�

FP030RF-9321

粉じん固化剤を用いた封じ込め工法を施す耐火構造

屋根

耐火30分

―�

QF045CN-9020 準耐火(通)C1014 軽量セメントモルタル被覆/木造・鉄骨造柱

準耐火45分

ラス工法�

QF045CN-9021 準耐火(通)C1015 軽量セメントモルタル塗り合板被覆/木造・鉄骨造柱

準耐火45分 ノンラス工法�

QF060CN-9022 準耐火(通)C2006 軽量セメントモルタル塗り合板被覆/木造・鉄骨造柱

準耐火1時間 ノンラス法�

QF060CN-9023 準耐火(通)C2007 軽量セメントモルタル被覆/木造・鉄骨造柱

準耐火1時間

ラス工法�

QF045BE-9209 準耐火(通)Wb1013 両面軽量セメントモルタル塗り/木造・鉄骨造外壁

外壁

準耐火45分

ラス工法�

QF045BE-9210 準耐火(通)Wb1014 両面軽量セメントモルタル塗り合板張/木造・鉄骨造外壁

外壁

準耐火45分 ノンラス工法�

QF045BE-9211 準耐火(通)Wb1023 両面軽量セメントモルタル塗り/木造・鉄骨造外壁

外壁

準耐火45分 ラス工法・通気工法�

QF060BE-9212 準耐火(通)Wb2006 両面軽量セメントモルタル塗り合板張/グラスウール充填/木造・�

鉄骨造外壁

外壁

準耐火1時間 ノンラス工法�

QF060BE-9213 準耐火(通)Wb2007 両面軽量セメントモルタル塗り/グラスウール充填/�

木造・鉄骨造外壁

外壁

準耐火1時間 ラス工法�

QF060BE-9214 準耐火(通)Wb2012 両面軽量セメントモルタル塗り/グラスウール充填/�

木造・鉄骨造外壁

外壁

準耐火1時間 ラス工法・通気工法��

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付  録

110

付表5.5 防火材料認定一覧表(NPO法人湿式仕上技術センター)(つづき) �

  新認定番号

旧認定・指定番号             品目名

部 位

区 分

備 考�

QF045RS-9105 準耐火(通)Re1012 軽量セメントモルタル塗り/木造・鉄骨造軒裏

軒裏

準耐火45分

ラス工法�

QF045RS-9106 準耐火(通)Re1013 軽量セメントモルタル塗り合板張/木造・鉄骨造軒裏

軒裏

準耐火45分 ノンラス工法�

QF045RS-9107 準耐火(通)Re1014 軽量セメントモルタル塗り/木造・鉄骨造軒裏

軒裏

準耐火45分 ラス工法・通気工法�

QF060RS-9108 準耐火(通)Re2008 軽量セメントモルタル塗り/木造・鉄骨造軒裏

軒裏

準耐火1時間 ラス工法�

QF060RS-9109 準耐火(通)Re2007 軽量セメントモルタル塗り合板張/木造・鉄骨造軒裏

軒裏

準耐火1時間 ノンラス工法�

QF060RS-9110 準耐火(通)Re2009 軽量セメントモルタル塗り/木造・鉄骨造軒裏

軒裏

準耐火1時間 ラス工法・通気工法�

PC030BE-9190

防火第1180号 軽量セメントモルタル塗り/木造・不燃下地外壁

外壁

防火構造

ラス工法�

PC030BE-9191

防火第1181号 軽量セメントモルタル塗り合板張/木造・不燃下地外壁

外壁

防火構造 ノンラス工法�

PC030BE-9192

防火第1393号 軽量セメントモルタル塗り/木造・不燃下地外壁

外壁

防火構造 ラス工法・通気工法�

NM-8570

不燃第1040号 軽量セメントモルタル

不燃材料

―�

NM-8571

無機質砂壁状吹付材塗り/不燃材料

不燃材料

� QM-9811

基材同等第0003号 無機質砂壁状吹付材塗り/準不燃材料

準不燃材料

―�

RM-9366

無機質砂壁状吹付材塗り/難燃材料

難燃材料

� NM-8572

有機質砂壁状塗料塗り/不燃材料

不燃材料

� QM-9812

基材同等第0004号 有機質砂壁状塗料塗り/準不燃材料

準不燃材料

―�

RM-9361

有機質砂壁状塗料塗り/難燃材料

難燃材料

� NM-8573

複合型化粧用仕上材塗り/不燃材料

不燃材料

� QM-9813

基材同等第0005号 複合型化粧用仕上材塗り/準不燃材料

準不燃材料

―�

RM-9362

複合型化粧用仕上材塗り/難燃材料

難燃材料

� NM-8574

繊維壁材塗り/不燃材料

不燃材料

� QM-9814

基材同等第0008号 繊維壁材塗り/準不燃材料

準不燃材料

―�

RM-9363

繊維壁材塗り/難燃材料

難燃材料

� NM-8575

粉じん固化剤

不燃材料

―�

QM-9815

粉じん固化剤

準不燃材料

―�

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付  録

111

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112

<建築用仕上塗材ハンドブック2007年版編集委員>

  河辺寿正(委員長/スズカファイン1)  福岡高征(神東塗料1)

  澤田憲正(関西ペイント販売1)   梅津晃庸(1トウペ)

  高橋良和(菊水化学工業1)   曽我元昭(元日本ペイント販売1)

  沖野喜佳(恒和化学工業1)   森脇貴志(日本化成1)

  井上照郷(日本建築仕上材工業会)

建築用仕上塗材ハンドブック

2007年版

編集・発行

日本建築仕上材工業会

〒101-0024 東京都千代田区神田和泉町1-7-1 扇ビルTEL 03(3861)3844   FAX 03(3851)0706

http://www.nsk-web.org/大阪 TEL 06(6373)0228 名古屋 TEL 052(300)2222

平成19年9月1日  第1刷発行

編  集 日本建築仕上材工業会 編集委員会制作協力 1工文社

非売品                      不許複製・禁無断転載