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生物とエネルギー 動物のサイズと一生に使うエネルギーとの関係など エネルギー 物事をなしとげる気力・活力のこと。活動の源として体内に保持する力。 物体が物理的な仕事 をすることのできる能力のこと。 あるが潜在的に持っている、外部に対して行うことができる仕事 量のこと(物理学などでの用法)

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生物とエネルギー

動物のサイズと一生に使うエネルギーとの関係など

エネルギー •物事をなしとげる気力・活力のこと。活動の源として体内に保持する力。

•物体が物理的な仕事をすることのできる能力のこと。

•ある系が潜在的に持っている、外部に対して行うことができる仕事量のこと(物理学などでの用法)

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エネルギー サイエンス上の概念 ◎1 ジュール = 1 W · 1 s = 1 ワット秒

1kg重・m ≒ 2.34cal ◎1ジュールは、1ボルトの電位差の中で

地球上で水1リットルを1メートル 1クーロンの電荷を動かすのに必要な仕事

持ち上げるのに必要なエネルギーと、 位置のエネルギー ◎1ジュールは、1ワットの仕事率を1秒間行ったときの仕事

水2.34ミリリットルの温度を1度 ニュートン力学 ◎ワット秒の3 600 000倍はキロワット時(KWh)

上げるのに必要なエネルギーが等しい。 ◎1Wh =3,600J =864cal

運動エネルギー ◎1 cal ≒ 4.2 J, 1 J ≒ 0.24 cal 1 J = 107erg

E=1/2mv2

電磁気学 分子の運動エネルギー

フレミングの左手の法則

水の潜熱; 80cal/g, 539cal/g

電気エネルギー [核外エネルギー] 化学エネルギー マックスウエル 生物体内-生きることの源泉

生物エネルギー

電気抵抗

熱エネルギー 分子の運動エネルギー

光エネルギー

E = hν 光子の持つエネルギー E は振動数 ν に比例、 h:プランク常数

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C+2H2=CH4 ⊿H0

+ C+O2=CO2 ⊿H01=-393.51KJ/mol

+ 2H2+O2=2H2O ⊿H02=-571.66KJ/mol

- CH4+2O2=CO2+2H2O ⊿H03=-890.36KJ/mol

C+2H2-CH4=0 C+2H2=CH4

⊿H0=⊿H01+⊿H0

2-⊿H03=-74.81KJ/mol (16gCH4)

(- 4.67KJ/gCH4=1.12Kcal/gCH4) アボガドロ数:N= 6x1023

化学エネルギー

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でんぷん

グルコース

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基礎代謝基準値と基礎代謝量

男性 女性(妊婦、授乳婦を除く)

年齢

基礎代謝 基準体重 基準体重での 基礎代謝 基準体重 基準体重での

基準値 (kg) 基礎代謝量 基準値 (kg) 基礎代謝量

(kcal/kg/日) (kcal/日) (kcal/kg/日) (kcal/日)

1〜2 61 11.7 710 59.7 11 660

3〜5 54.8 16.2 890 52.2 16.2 850

6〜7 44.3 22 980 41.9 21.6 920

8〜9 40.8 27.5 1,120 38.3 27.2 1,040

10〜11 37.4 35.5 1,330 34.8 34.5 1,200

12〜14 31 48 1,490 29.6 46 1,360

15〜17 27 58.4 1,580 25.3 50.6 1,280

18〜29 24 63 1,510 22.1 50.6 1,120

30〜49 22.3 68.5 1,530 21.7 53 1,150

50〜69 21.5 65 1,400 20.7 53.6 1,110

70以上 21.5 59.7 1,280 20.7 49 1,010

一日のエネルギー必要量(消費量)は、 身体活動レベルに応じて基礎代謝量の1.5〜2倍程度

「生命を維持するのに必要な最小のエネルギー代謝」で、 普通は「安静状態で一定の時間に消費する熱量 」で表す。

基礎代謝が下がれば、身体や内臓に脂肪がついたり、疲れがなかなかとれないという状態に陥る。

基礎代謝が上がれば、脂肪がつきにくくなり、疲労も回復しやすくなる。

この基礎代謝のカギを握ると言われているのが「クエン酸サイクル」(クエン酸回路、TCAサイクル)

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ATP = ADP +8 Kcal / mol

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FAD+ + 還元物質(2e- + 2H+ ) FADH + 2H+ + 酸化物質 ⇔

電子伝達系、酸化的リン酸化 クエン酸経路によって産生されたNADHやFADH2のもつ電子(水素)は電子伝達系によって酸化される。このとき、酸化的リン酸化が起こる。酸化的リン酸化とは、ADPをリン酸化してATPを産生させることである。

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グルコース (C6H12O6) + 6 O2 + 38 ADP + 38 Pi

6 CO2 + 6 H2O + 38 ATP

「生体のエネルギー通貨」

この式は高校生物で学習する呼吸の収支式と呼ばれる。

酵素による約25の反応がこの代謝には関わっており、

グルコースの持つエネルギーの有効利用に役立っている。

グルコースの酸化反応(C6H12O6 + 6 O2 (g) → 6 CO2 (g) + 6 H2O (l))

における標準反応ギブズ自由エネルギー(ΔG´°)

は–2873.4 kJ/molであるのに対し、

ATPの加水分解反応(ATP + H2O → ADP + Pi, pMg = 3)では

ΔG´° = –31.56 kJ/molであり、38 ATPの生成により約41.7%

の効率でグルコースの自由エネルギーを変換していることになる。

ATP = ADP + 8 Kcal/ mol

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動物のスケーリング

「生物学的文明論」 本川達雄著 新潮新書

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変温動物: ミミズ、クラゲ、昆虫、魚、爬虫類など

恒温動物: ほ乳類、鳥など

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◎安静時の酸素消費量から計算する。 ◎基礎代謝率は、恒温動物・変温動物共に体重の4分の3乗に比例して増える。 (アロメトリー式、体重が、10倍になると基礎代謝率が5.6倍になる)

BMR=KW3/4 ◎細胞の大きさは、体重の大小によって変わることはない。 ◎体重当たり(1細胞あたり)のエネルギー消費量は、体重の1/4乗に反比例する。 E = K2 / W 1/4

◎但し、変温動物の方が、恒温動物よりもエネルギー使用量は少ない。 (変温動物-消費エネルギーの30%が維持費。恒温動物‐97.5%が維持費で、 他は身体の成長や子孫という形で肉に変わる。)

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食糧生産装置としての変温動物

恒温動物: 即座に速く正確に働ける→今日の繁栄に繋がっている。

変温動物: 同一の餌を与えて10倍の肉を作ることができる。

◎10トンの草の山を総体重1トンの動物に食べさせて、

出来る肉の量を比べる。

動物名 体重増加 所要時間 動物の種類

ウシ体重500Kg×2 200Kg 14か月 恒温

ウサギ500羽(1t) 200Kg 3か月 恒温

イナゴ1g×100万匹 2000Kg 9か月 変温

魚介類等の変温動物が効率的、

恒温動物でもサイズの小さいものの方が効率的

◎体重当たりのエネルギー消費量: E = K2 / W1/4 (W:体重)

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時間と体重

鼓動: ハツカネズミ0.1秒以下、ドブネズミ:0.2秒、ネコ0.3秒、ヒト1秒、ウマ2秒、ゾウ3秒

◎生理周期(鼓動・呼吸・腸の蠕動等)の時間: T=K1W1/4 (W:体重)

アロメトリー式、体重が、10倍になると時間が1,7倍になる 細胞の大きさは、体重の大小によって変わることはない。

4分の1乗則: 腸の蠕動時間、哺乳類の懐胎期間(ヒト十月十日、ハツカネズミ20日、ゾウ600日)

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生物学的時間と文明の時間(1/4乗則)

◎生理周期(鼓動・呼吸・腸の蠕動等)の時間: T=K1W1/4

◎体重当たり(1細胞あたり)のエネルギー消費量: E = K2 /W1/4

(W:体重)

上記(1)(2)式から

ET = K1K2 となる。

ヒト ゾウ ネズミ

体重 60Kg 3t 30g

1脈泊の時間 1秒 3秒 <0.1秒

肺呼吸 心臓0.25拍 心臓0.25拍 心臓0.25拍

腸の蠕動 心臓11拍 心臓11拍 心臓11拍

血液1循環 心臓84拍 心臓84拍 心臓84拍

生涯の脈拍数 15億回 15億回 15億回

エネルギー/体重1Kg/脈拍数 2ジュール 2ジュール 2ジュール

エネルギー/体重1Kg/1生涯 30億ジュール 30億ジュール 30億ジュール

急ぐほど時間当たりのエネルギーを消費する。 (クルマ・コンピューター・飛行機・携帯電話・工場の生産ラインなども同じ)

日本人が体外で使うエネルギーは、原油換算4t/人/年(体内で使う量の40倍) 社会生活で使うエネルギーが大きく、そのぶん文明社会の時間が早い。 体の時間と社会生活の時間のギャップが大きい。

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ヒトが体外で使うエネルギー ー 文明の使うエネルギー -

急ぐほど時間当たりのエネルギーを消費する。 (クルマ・コンピューター・飛行機・携帯電話・工場の生産ラインなども同じ)

日本人が体外で使うエネルギーは、原油換算4t/人/年(体内で使う量の40倍) 社会生活で使うエネルギーが大きく、そのぶん文明社会の時間が早い。

体の時間と社会生活の時間のギャップが大きい。

自然界で老いた動物は存在しない。(感染症 野獣の餌 ) 生物学的には、生殖活動の終わった生物は、消え去るのが正しい。

1960年代まで: 感染症で死ななくなった。 1970年以降: 老人が死ななくなった。

還暦過ぎは、医療をはじめとした技術の作り出した人工生命体 人生 = 生物としての正規部分(前半) + 人工生命体(後半・品質保証切れ部分)

人工生命体=文明の産物 人類の英知の結晶 英知が服を着ているのが我々老人

◎寿命 男79歳、女86歳

縄文人: 31歳 室町時代: 30代前半 江戸時代:40歳代

昭和22年;50歳代

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(1)ヒトは最初他の動物と同様、ただひたすら「食」を求め、朝から晩まで貝や草・実な

どを採取して食べて暮らしていた。数日間「食」にありつけなくても、たっぷり食べたものを栄養素として蓄え、再使用できるような身体の仕組みが、遺伝的に獲得されている。

(2)次第に、ヒトは「意志」、「目標」、「計画性」などを持つようになる。狩猟・漁

撈などを経て、新石器時代になると社会を作り、遊牧・牧畜・米や麦などの穀物を含む植物の栽培農業へと手を伸ばして生産性が向上する。

(3)人口が増えるにつれ、食べて生きていくためにはより生産性の高い農耕や牧畜など

が、産業のルーツとして、文明を形成していくための基本的な基盤としての重要な役割を果たしてくる。

(4)農耕や牧畜などの生産性を上げるために必要な器具・機材を作る人たちは、これを

専業として励むことによって従来自給自足であった食物の直接生産から離れ、食糧生産を支える分業を行うことによって、食物をも得ることができるようになるのである。分業はさらに多様化し、分業によって生まれた生産物の交換から、商業も生まれる。

(5)いろんな機能を持つ細胞が有機的に集まって臓器等を作り、ヒトの個体を作り上げ

ているように、その延長線上にいろんな個性や役割を持った人々が集まって文明社会を形成している。ヒトが生物的に進化しているように文明社会も絶えず変化を遂げている。貧富の差も生じ階級社会が形成され、生存競争は激しい。国家組織が形成されて宗教も国家社会の中で一定の役割を演じるようになる。更に科学的知識や技術が発展し、産業革命が起こると食料のみならずエネルギーが新しい文明の重要な要素となる。企業間競争もますます激しく生き残りをかけている。国家間競争も同様である。

文明の遺伝学的継承

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老人の時間

生物はエネルギーを使って時間を生みだしている。

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本川

達雄