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知的クラスター創成事業とは

愛知・名古屋地域 知的クラスター創成事業

主な事業成果

平成14年度から文部科学省が実施している都道府県・政令指定都市を対象とした公募型事業であり、地域のイニシアティブの下で、地域の知的創造の拠点である大学をはじめとした公的研究機関等を核に、地域内外の企業等との共同研究や研究交流を通じて、国際的な競争力のある技術革新のための集積「知的クラスター」(日本版シリコンバレー)の創成を目的とする。

日本のものづくりを支えてきた技術力、研究開発力、産業集積をもとに、ナノテクノロジーによる新機能の付与・精度の向上といった、ものづくりの「高付加価値化」と、省エネルギー・省資源化による「環境負荷の低減」を同時に達成することが可能となる「自律型ナノ製造装置」(※)や「環境調和型高機能ナノ材料」等を開発する。※自律型ナノ製造装置 反応空間内の原子・分子濃度を精密に測定するプラズマ診断技術をベースとして、計測技術をより高性能化することにより、製造条件を自律的(リアルタイムでの自己診断、自己修復、自己制御)に制御して常に最適条件でのナノ加工を行う装置

・自律型ナノエッチング装置や自律型SAM製造装置など世界初となる国際的に優れた技術シーズを創成・民間企業の手法を導入し、大学における研究開発を効率的・効果的に実施するマネージメント(名古屋モデル)により、31件の商品化・事業化(試作品を含む。)に成功・ベンチャー企業4社創出、県外共同研究企業2社が当地域に事務所を設置

実施地域

提案主体

全国18地域1地域あたりの国予算額、期間5億円程度/年、5年間

事業内容・企業ニーズを踏まえた、新技術を生み出す産学官共同研究の実施・事業実施の指令塔となる知的クラスター本部の設置・科学技術コーディネータ(目利き)の配置やアドバイサーの活用・研究成果の発表等のためのフォーラム等の開催 等

1 2

3

1 2

3

愛知県、名古屋市中核機関財団法人科学技術交流財団

事業実施期間平成15年度~19年度

4 核となる大学

5 参加企業

名古屋大学、名古屋工業大学、名城大学

アイシン精機(株)、アドバンテック東洋(株)、(株)INAX、(株)エヌ工房、NUエコ・エンジニアリング(株)、三弘アルバック(株)、(株)シナネンゼオミック、太陽化学(株)、竹田印刷(株)、(株)デンソー、(株)豊田中央研究所、日本ガイシ(株)、(株)ポッカコーポレーション、(株)名城ナノカーボン、ユケン工業(株)はじめ33社(平成20年1月末現在)

(件)

年度

特許出願

論文発表

試作品・商品化・事業化

大学発ベンチャー等

15

56

148

2

1

16

43

145

5

1

17

57

117

9

2

18

44

99

9

1

19

23

87

6

1

223

596

31

6

(H20.1末)

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自律型ナノエッチング装置原子状ラジカルモニター大気圧プラズマ発生装置カーボンナノウォール(ラジカル制御プラズマCVD装置による作製)

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4567

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8910

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1213

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1718

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1415

自律型SAM製造装置自律型フォトクリエーター超はっ水ナノ分子ペーパー

名古屋工業大学・江川孝志 教授高品質窒化ガリウム系半導体ソーラーブラインド紫外線センサー

金属フタロシアニン内包ゼオライトによる高効率酸化消臭剤の開発人工シデロフォアを利用した微生物吸着素子

単層カーボンナノチューブナノチューブ分散液

金属クラスター堆積装置

16ナノ薄膜膨潤・収着量評価装置

名古屋工業大学・木下隆利 教授

CONTENTS

名古屋大学・堀 勝 教授ナノアセンブリングシステム開発

SAMナノパターニングシステム開発

環境調和型高機能ナノセンサー・材料開発

環境調和型高機能有機-無機ハイブリッドナノ材料開発

ナノアセンブリングシステム開発

名古屋大学・高井 治 教授

名古屋工業大学・隅山兼治 教授

名古屋工業大学・増田秀樹 教授

名城大学・安藤義則 教授

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自律型ナノエッチング装置

現在の半導体デバイスプロセスでは、プラズマを利用したナノメートル精度での超微細加工が必要とされており、ナノメートルレベルでプロセスを高精度に制御する為には微細加工装置に起因する外部パラメーター(圧力、パワー、ガス流量、ガス混合比など)ではなく、プラズマプロセスを直接決定している内部パラメーター(粒子の密度、種類、エネルギーなど)を計測し、自律的(自己診断、自己修復、自己制御)に最適なプラズマナノエッチング(超微細加工)を実現する装置が必要不可欠であった。

・次世代ULSI(超大規模集積回路)用の層間絶縁膜(有機Low-k膜)をナノメートルレベルの高精度(微細、垂直)で加工する装置である

※有機Low-k膜…有機系低誘電率層間絶縁膜

・ラジカルモニタリングシステムを用いたプラズマプロセス反応空間にて生成される水素ラジカルと窒素ラジカルの絶対密度計測が可能である・高精度基板温度モニターを用いたエッチング特性を決定する重要な情報である基板温度をリアルタイムに計測する事が可能である・基板温度、水素ラジカルと窒素ラジカルのラジカル密度比を自律的に制御することで、最良なエッチング速度、エッチング形状を得ることができる。

従来のプラズマプロセスによる“ものづくり”は、微細加工の結果を確認・評価しながら、プラズマ外部パラメーターを変え、最適条件を見つけ出すという試行錯誤的手法であった。このような手法では、ナノメートルレベルでの“ものづくり”や安定した“ものづくり”が困難であった。自律型ナノエッチング装置は、プラズマプロセスにおいて重要な粒子や基板表界面の反応をリアルタイムでモニタリングし、装置に制御情報としてフィードバックすることで、反応空間の状態が常に最適な状態になる様にプロセス条件を自律的に制御してナノ加工を行う装置である。

4

■ 自律型ナノエッチング装置の概略図

■ H/Nラジカル密度比自律制御結果

■ 微細加工の結果(65nmトレンチのSEM像)

研究開発の経緯

従来の技術との対比

・ラジカルモニタリングシステムを用いた水素ラジカル、窒素ラジカルのリアルタイムラジカル絶対密度計測及び自律的フィードバック制御・高精度基板温度モニターによるプロセス中における基板温度のリアルタイム計測・リアルタイム基板表界面モニタリング・リアルタイムラジカル密度制御によるエッチング速度制御・形状制御

※ラジカル…不対電子を持つ分子。活性種ともいう。化学的に活性であって反応性が高く、常温ではほとんど存在しない。電荷を持たないことを強調する時は中性ラジカルともいい、これが電離した形のイオン性ラジカルと区別することもある。プラズマ中では、安定な分子(親ガス)への電子衝突や、他のラジカルとの反応により、低温で多量のラジカルを生成することができる。また、高温状態でもラジカルの生成は可能である。プラズマプロセスにおいては、ラジカルがエッチング(微細加工)や膜生成、表面改質に直接寄与しており、特に中性ラジカルは重要な粒子である。

技術概要

製品概要・特徴

・次世代ULSIの超微細加工(エッチング)・有機膜(レジスト)の除去(アッシング)・真空容器、基板の洗浄(クリーニング)

応用分野

特願2003-011698「有機系低誘電率層間絶縁膜のエッチング方法および装置」

特願2003-011699「有機系低誘電率層間絶縁膜のエッチング方法および装置」

特許情報

● 研究開発者:名古屋大学/堀 勝教授、鈴木達也教授、和歌山大学/伊藤昌文教授、NUエコ・エンジニアリング(株)、(株)片桐エンジニアリング、COM電子開発(株)● 製作者:(株)片桐エンジニアリング

-30 0 30 60 90 120 150 180 210

100

80

60

40

20

0

H/(H+N)×100(%)

ラジカル密度比

時間(sec)

SiO2

SiLKTM

150nm

指令値

H/(H+N)40%に設定

H/(H+N)60%に設定

H/(H+N)40%に設定

出力

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原子状ラジカルモニター

● 研究開発者:名古屋大学/堀 勝教授、NUエコ・エンジニアリング(株)、(株)片桐エンジニアリング ● 製作者:NUエコ・エンジニアリング(株)

プラズマプロセスにおいて、原子状ラジカル(水素、窒素、酸素、炭素等)は、機能性薄膜合成や微細加工に重要な役割を担う。しかし、これまでこれら原子状ラジカルを簡便、高精度に計測する小型装置は、存在しなかった。次世代のプラズマによるナノメーター精度の“ものづくり”を実現するには、プラズマプロセスを直接決定付ける原子状ラジカルを計測・制御する必要があった。

・原子状ラジカルの絶対密度を簡便・高精度に計測できる世界唯一の装置。・対向型は、吸収長を広く可変できるので、低密度から高密度までのラジカル計測に対応可能

・1ポート型は既設の量産プラズマプロセス装置に取り付け可能。直径2.7mmのプローブを走査(移動)することで、原子状ラジカルの空間分布の計測も可能

プラズマプロセス中の原子状ラジカルの絶対密度計測は、光を用いた計測法である吸収分光法により行われる。これまでの吸収分光用光源は、非常に高価、大型(3m×2m×1.5m)且つ操作が煩雑なレーザーシステムであった。しかし、ラジカルモニター光源は、DP型(対向型)であれば直径9mmパイプ型であり、10W程度の直流電源を用いるので超小型、簡便である。

5

■ DP型Radimo光源(対向型) ■ SP型Radimoヘッド(1ポート型)

研究開発の経緯

従来の技術との対比

・水素、窒素、酸素、炭素ラジカルの絶対密度を計測・計測に適した新規大気圧マイクロプラズマ光源(マイクロホローカソード光源)を使用・対向型は、直径9mmのパイプ状の光源・1ポート型は、直径2.7mmのプローブをプラズマへ挿入することでラジカル密度を計測・超小型新規検出器(真空紫外分光器)を使用。従来品の25%の体積比、10倍の感度を実現

技術概要

製品概要・特徴

・プラズマプロセス、ラジカルプロセス(エッチング、アッシング、クリーニング、気相堆積法)におけるラジカル密度把握・メカニズム解明、プロセス開発、量産管理

応用分野

特願2006-142113「放電光源」

特願2003-148460「原子状ラジカル密度測定装置」

特許情報

(商品名:SP[1ポート]型Radimo、DP[対向]型Radimo)

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大気圧プラズマ発生装置

● 研究開発者:名古屋大学/堀 勝教授、NUエコ・エンジニアリング(株) ● 製作者:NUエコ・エンジニアリング(株)

低温・大気圧のプラズマプロセスは、真空等の低圧プラズマプロセスと比較し、①高価な真空容器や排気ポンプを必要としない、②溶液や生体への照射が可能、③反応活性種を大量に生成できるという利点から研究が盛んに行われている。しかし、これまでの非平衡大気圧プラズマは、プラズマ密度の向上に限界があり、高密度化に限界があった。そこで、簡便且つ安価、しかも高密度な大気圧プラズマ発生装置の開発が望まれていた。

・超小型プラズマヘッド(直径18mm、長さ47mm)による微小スポット処理・3次元ロボット搭載による任意箇所へのプラズマ処理・AC100Vで駆動、専用電源とガス供給ユニットを19インチラックに収納

従来の非平衡大気圧プラズマ技術(誘電体バリア放電)と比較し、開発装置(μ-AP)はプラズマ密度が1桁から2桁高く、プラズマ処理の高速化が期待できる。また従来技術は、高価なパルス電源回路が必要であるが、本装置は商用電力を昇圧するのみの簡便な電源で放電が可能である。

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■ ガラス基板のクリーニング

プラズマ照射前 プラズマ照射後(<1秒)

■ プラズマヘッド

研究開発の経緯

従来の技術との対比

・プラズマを微小領域に閉じ込めることによる超高密度非平衡大気圧プラズマ・電子密度:約1015[cm-3]・低温で処理が可能・各種ガスで放電可能(アルゴン、窒素、酸素、空気)・簡便な電力供給(商用電力:単相60Hz)

技術概要

製品概要・特徴

・ガラス、樹脂等の表面改質(親水化、疎水化)・ガラス等のクリーニング・材料の接着性向上・植物や食物等の殺菌・滅菌処理・炭化フッ素、NOx、SOxガスの除外、ガス分解

応用分野

特願2005-003615「プラズマ発生装置」

特願2006-150674「大気圧グロー放電プラズマ発生装置」

特願2006-182141「大気圧プラズマ発生装置」

特許情報

(商品名:μ-AP)

ヘッド部 大気圧プラズマ源(μ-AP)ヘッド部 大気圧プラズマ源(μ-AP)

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カーボンナノウォール

カーボンナノ構造体としてフラーレンやカーボンナノチューブが合成され、製造・応用に関する研究開発が行われている。我々は、ラジカル制御プラズマ気相堆積法により、金属触媒なしで二次元構造を保ったまま基板に垂直にグラフェンシートが成長したカーボンナノウォールを創製することに成功した。カーボンナノウォールは、表面積が大きい、高アスペクト(縦横比)比を有する、特異な電気的、機械的特性を有する。そこで、カーボンナノウォールの応用研究や産業応用を睨んだ安定・高速合成技術の開発に取り組んだ。※グラフェンシート…炭素原子が蜂の巣状の規則正しい六員環のネットワークを平面状に形成したもの

●カーボンナノウォール ・比表面積が大きい ・高アスペクト比 ・垂直方向に非常に強靭 ・化学的物理的に安定 ・電子放出特性などの特異な電気特性

●ラジカル制御プラズマCVD装置 ・安定合成が可能 ・高速成膜が可能 ・大面積製膜が可能(40mm×40mm) ・低コスト装置

カーボンナノウォールは、二次元的な広がりを持ったカーボンナノ構造体であり、基板の表面からほぼ一定方向に立ち上がった壁状の構造を有するものであり、フラーレンやカーボンナノチューブ、カーボンナノフレークとは構造が大きく異なり、形状的、物理的、化学的、電気的そして機械的特性も特異なものである。

7

■ ラジカル制御によるカーボンナノウォールの形状制御 ■ ラジカル制御プラズマCVD装置

■ カーボンナノウォールの走査型電子顕微鏡像

Top View Side View

―――300nm―――300nm

研究開発の経緯

従来の技術との対比

・金属触媒なしの合成・任意基板(シリコン、金属、石英、サファイア等)への合成・ラジカル制御によるウォール形状、間隔の制御・配列合成が可能・高速成長(100nm/min以上)が可能・プラズマモニタリングによる安定製膜プロセスの実現・低い電圧による良好な電子放出特性

技術概要

製品概要・特徴

・フィールドエミッションデバイス(電子放出源)・燃料電池材料・ガス貯蔵・金属微粒子担持体・ナノフィルター

応用分野

特許第3962420号「カーボンナノウォールの製造方法、カーボンナノウォール及び製造装置」

特願2005-091791「金属を担持させたカーボンナノウォール及びその製造方法」

特許情報

(ラジカル制御プラズマCVD装置による作製)

● 研究開発者:名古屋大学/堀 勝教授、(株)片桐エンジニアリング、NUエコ・エンジニアリング(株)● 製作者:(株)片桐エンジニアリング、NUエコ・エンジニアリング(株)

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自律型SAM製造装置

現在、様々な分野で材料表面にはっ水性や生体親和性等の機能を付与する技術の要求が高まっている。自己組織化単分子膜(SAM:Self-Assembled Monolayer)は、末端官能基の種類を変えることで、はっ水性等の機能を選択できるため、SAMを被膜することにより、材料表面に様々な機能性を付与することができる。また、膜厚が1~2nmであるため、材料表面の色調や風合いを保持することができる。このような背景のもと、SAMを被膜するための装置開発を行った。

・触媒支援型の超音波噴霧式CVDプロセスを用いているため、短時間かつ低環境負荷型のプロセスでSAMを被膜できる。・成膜プロセスで重要な因子である水分の量を最適に制御しながら成膜するため、高い充填密度を有するSAMの被膜を実現できる。

SAMの被膜法として、気相法、液相法、LB法(ラングミュア・ブロージェト法)などが提案されているが、これらの被膜法には、処理に時間がかかる、大面積処理が困難、大量の廃液が出る、などの問題がある。本研究で開発した自律型SAM製造装置では、短時間かつ低環境負荷型のプロセスでSAMを大面積(40cm角)に被覆することができる。

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研究開発の経緯

従来の技術との対比

・SAMと表面の化学反応を促進するために、触媒を超音波霧化で供給するシステムを導入・基板ホルダー及び反応空間の温度を最適値に制御することで、反応の効率化と成膜時間の短縮化を実現・基板とSAMの化学反応で重要な役割を果たす水分量を最適に制御する自律機構を兼ね備えており、理想的な充填密度のSAMを形成可能

技術概要

製品概要・特徴

・SAMを被膜することによる、表面の潤滑特性や反応性などの制御、各種リソグラフィのレジスト材料、半導体産業の回路基板、μ-TAS、DNA・タンパク質チップ、分子デバイスの構築に向けた基礎研究用の基板としての利用。・表面への親水性やはっ水性などの機能性の付与によるレンズやガラス、印刷物等への表面処理等。

応用分野

特許第4065962号「自己組織化単分子膜の作製方法とその利用」

特願2006-218265「自己組織化単分子膜の作製方法」

特許情報

● 研究開発者:名古屋大学/高井 治教授、齋藤永宏准教授、(株)エヌ工房 ● 製作者:三弘アルバック(株)

SAM

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自律型フォトクリエーター

真空紫外光リソグラフィはSAM被覆基板を微細加工するうえで重要な要素技術のひとつである。真空紫外光照射によるリソグラフィでは、反応容器内の水分や酸素量が重要な因子である。しかし、これらの因子を制御しながら加工できる装置の開発は皆無であった。本研究では、反応容器内の水分や酸素量を最適に制御しながら微細加工を実現できる装置の開発を行った。

・波長172nmの真空紫外光及びプラズマにより、高速に表面を洗浄・処理できる。・反応空間内で重要となる水分量を質量分析装置により緻密に制御できるため、大面積かつ均一な処理ができる。本装置の最大処理サイズは40cm角である。

真空紫外光リソグラフィ技術では、環境中に含まれる、酸素や水分の濃度が微細加工のパターンの高解像度を実現するうえで極めて重要である。これらの濃度を最適に制御する自律型制御機構の導入により、リソグラフィ工程を「人のノウハウ」によることなく、常に最適条件に維持することが実現できる。この機構を導入した装置開発は世界初である。

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研究開発の経緯

従来の技術との対比

・真空紫外光及びプラズマを兼ね備えているため、真空~大気圧化での表面処理が可能であり、多種多様な基材に対応可能・反応空間内の水分量を最適に制御しながら処理を行うため、短時間かつ高効率に表面処理を行うことが可能

技術概要

製品概要・特徴

・半導体産業に用いるSiウェハー表面のエッチングからポリマーの表面改質まで多種多様な表面処理が可能・Siウェハー、ポリマー、紙、レンズなどの表面に親水性を短時間で付与することが可能

応用分野

特許情報

● 研究開発者:名古屋大学/高井 治教授、齋藤永宏准教授、(株)エヌ工房 ● 製作者:アドバンテック東洋(株)

特許第3749950号「マイクロパターンの形成方法、マイクロパターン、マイクロパターン転写形成用モールドの作製方法及びマイクロパターン転写形成用モールド」

特願2004-97066「パターン形成方法及び装置」

特願2004-97086「パターン形成方法及び該方法に利用される露光装置」

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超はっ水ナノ分子ペーパー

紙は、(「人と人」、「社会と人」、「過去と現在、未来」を結ぶ)情報伝達媒体として重要な役割を果たしている。そのため、光沢紙や耐水紙といった新たな機能を付与した紙の需要が増している。本研究では、リサイクル可能な普通紙への超はっ水処理技術の確立をめさしている。

・超はっ水ナノ分子ペーパーとは、「ナノ分子膜による疎水性官能基」と「紙本来のマイクロ凹凸構造」の特性を融合させ、蓮の葉のように水をころころとはじく特性を巧みに普通紙に付与したものであり、本技術は、ナノマイクロレベルの普通紙内部の繊維への薄膜形成処理であるため、最表面のみならず1本1本の紙繊維にいたるまで、完全にはっ水化でき、耐水機能を付与することができる。

はっ水機能を有する紙としては、現在合成紙が使用されている。合成紙に対する本製品の優位性は、①ナノ分子を利用するため省資源型のプロセスであり、二酸化炭素の排出量を約1/20に低減可能、②40%のコスト削減を実現可能、③普通紙を利用するため再生利用可能、④「はっ水性」と「耐水性」を同時に付与可能、⑤従来製品と比較し、はっ水機能の長時間持続効果等が挙げられる。

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研究開発の経緯

従来の技術との対比

・低温・低環境負荷型のプロセスである触媒支援型の超音波噴霧式超はっ水処理法により、疎水性官能基を有するナノ分子膜を生物由来の紙に固定化し、「はっ水性」と「耐水性」を兼ね備えた紙の製造プロセスを開発

技術概要

製品概要・特徴

・日本の伝統工芸品である和紙、運搬用に広く使われる段ボール、湿気に弱い住宅内装の壁紙、繊維製品等へ応用可能。このような分野に、「環境調和性」とともに「高機能性」を付与することができる。

応用分野

特許第4065962号「自己組織化単分子膜の作製方法とその利用」

特願2006-218265「自己組織化単分子膜の作製方法」

特願2004-97066「パターン形成方法及び装置」

特願2004-97086「パターン形成方法及び該方法に利用される露光装置」

特許情報

● 研究開発者:名古屋大学/高井 治教授、齋藤永宏准教授、石崎貴裕助教、竹田印刷(株)、(株)エヌ工房 ● 製作者:竹田印刷(株)

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金属クラスター堆積装置

物質の性質は数百個から数万個の原子の集合状態により決まるので、それに匹敵するナノサイズの構造・組成を制御することが新しい機能材料開発の鍵となる。このため、清浄な気相雰囲気でナノサイズ粒子(金属クラスター)を堆積する装置を開発した。本装置により、磁性や電気的性質などの基礎研究、センサー・磁性材料の開発に適した多種多彩なクラスター集合膜が作製できる。

・室温・清浄雰囲気でのクラスター合成・スパッタ方式のため高融点金属クラスターが作製可能・クラスターの表面被覆が可能(酸素ガスなどの導入)・クラスターの堆積領域が広い(500mm2)・クラスターの堆積速度が速い(0.6nm/s)・クラスターのサイズ単分散性が良い(20%)

本装置のクラスターの生成効率は、既存の装置と比べて、約1桁高い。具体的には、鉄、コバルトなどの遷移金属や合金のクラスター集合膜が、1時間当たり、面積:500mm2、有効膜厚:2μm、サイズ分布:20%で作製可能である。この方法は、液相合成と比べて化学活性な表面を有するクラスターが得られるので、触媒やセンサー材料用クラスターの作製に適している。

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研究開発の経緯

従来の技術との対比

・蛍光灯の原理と同じグロー放電プラズマ中に発生したアルゴンイオンを負電圧のターゲット(原料金属)に衝突させ(運動量交換により)、ターゲット原子を飛び出させるスパッタリング現象を利用・物質の融点や蒸気圧の影響を受ける加熱蒸発法と比べて、原材料の気化、気化原子の衝突・凝縮やクラスター核生成、成長が制御し易く、タングステンなど高融点金属のクラスターが作製可能・クラスターがイオン化しているので、基板にバイアス電圧を印加すると強制堆積により、高充填化が可能

技術概要

製品概要・特徴

・鉄、タンタル、白金をはじめ遷移金属や合金のクラスター堆積膜あるいは複数種のクラスターを複合化させた集合膜を作製することにより、ガスセンサーや磁気センサー、磁性材料、触媒などに応用可能な材料の試作・開発ができる。

応用分野

特願2003-355463「クラスター製造装置及びクラスター製造方法」

特願2006-163284「クラスター製造装置及びクラスター製造方法」

特許情報

● 研究開発者:名古屋工業大学/隅山兼治教授、(株)大阪真空機器製作所 ● 製作者:(株)大阪真空機器製作所

■ 装置概念図

■ ステンレスクラスターの透過電子顕微鏡像 ■ タンタル(Ta)クラスター集合体の電気抵抗

■ 装置概観

体積時間経過とともに、クラスターの平均サイズは変わらず、数が増加する。(通常のスパッタリング成膜の場合、大きさも数も変化する)

50nm

堆積初期 堆積中期

背圧:1~5pa

電気抵抗

温度

50nm

低温用温度センサー(磁気抵抗が小さく、高磁場中でも使用可能)

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高品質窒化ガリウム系半導体(シリコン基板上エピタキシャル結晶成長技術の開発)

窒化ガリウム系半導体は、次世代自動車のインバータなど高出力・高温動作・耐環境デバイスとして注目を集めている。その結晶成長用基板はサファイアや炭化ケイ素(SiC)、シリコン(Si)が広く用いられているが、放熱性やコストの観点から特にシリコン基板へのニーズが高い。しかし、シリコン基板上への結晶成長では、従来の技術ではひずみ等の問題が生じ、高品質な窒化ガリウム系半導体結晶が得られないという問題があった。

・クラックフリーを実現・大口径(4インチ基板)・高品質GaNデバイス層・厚膜化可能(4 μm以上)

従来の低温成長AlN緩衝層技術では、デバイス層表面に劣化が見られた。気相反応を制御した高温成長AlGaN/AlN中間層技術により、基板上に良質なデバイス層が得られる。

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研究開発の経緯

従来の技術との対比

・量産型MOCVD(有機金属気相成長)装置により、高品質で大口径なエピタキシャル成長を実現  ○加熱した基板上における原料ガスの熱分解反応(~1100℃) ○発光デバイスや電子デバイス用エピタキシャルウエハが作製可能

・高温成長AlGaN/AlN中間層により、シリコン基板とデバイス層間の格子不整合や熱膨張係数差を緩和

技術概要

製品概要・特徴

・紫外、青、緑、赤の発光デバイス・携帯電話基地局やスイッチング用電源などの高周波・高出力・高温動作の電子デバイス・耐環境性能を持つ紫外線、ガスセンサー・太陽電池用材料

応用分野

特願2006-076987「半導体基板及び半導体装置」

特許情報

● 研究開発者:名古屋工業大学/江川孝志教授、大陽日酸(株)、同和エレクトロニクス(株) ● 製作者:名古屋工業大学、大陽日酸(株)、同和エレクトロニクス(株)

■ 量産型MOCVD装置

■ 4inchエピタキシャルウエハ

i-GaN(1μm),1180℃

GaN(20nm)/AlN(5nm)×20pairs,1180℃

HTAlGaNlayer,20nm,1180℃

HTAlGaNlayer,3nm,1180℃

4-inch n-Si sub.

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ソーラーブラインド紫外線センサー(窒化物半導体を用いた紫外線受光素子の開発)

建築物内に火災報知機の設置が義務化されたことにより、火炎センサーに対する期待が高くなっており、高感度・高寿命・速応答なセンサーが求められている。従来の製品では、煙や熱によって火炎を感知するために反応速度が遅いという欠点があるため、火炎そのものを感知する窒化物半導体を用いた紫外線受光素子の開発を行った。

・太陽光や室内光には応答しない。・反応速度が早い。・寿命が長い。・火炎に対し、離れた場所で検知できる。・低コストで作製できる。

市場で最も使用されているのは、煙や熱を感知する火災検知器である。AlGaNを用いた半導体火災センサーは種火をいち早く発見することが特徴である。AlGaN組成比を変えることで、太陽光や室内灯に影響を受けない波長領域の光が検出可能となる。

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研究開発の経緯

従来の技術との対比

・AlGaNショットキー型受光素子を採用・高い受光感度(43 mA/W, @280 nm, 0 V)・高い量子効率(21 %, @280 nm, 0 V)・低い暗電流密度(3.2×10-11 A/cm2 ,@-5 V)

技術概要

製品概要・特徴

・家庭、ビル・マンション、工場等の火災報知機・燃焼機器の火炎モニター

応用分野

特願2006-97516「受光素子および受光素子の作製方法」

特許情報

● 研究開発者:名古屋工業大学/江川孝志教授、日本碍子(株) ● 製作者:名古屋工業大学、日本碍子(株)

■ AlGaNショットキー型受光素子の構造

■ AlGaN photodiode

■ 室内灯下でのライター着火に対する応答

■ 紫外線センサー(試作品)

光電流(pA)

時間(秒)

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金属フタロシアニン内包ゼオライトによる高効率酸化消臭剤の開発

化学物質等に対する消臭・分解作用等を有する高機能性材料である金属フタロシアニンは、通常の状態では分子同士が凝集し、あまり溶剤に溶解せず、十分な機能を発揮できない。本技術により、安定的な多孔性材料であるゼオライト内部で金属フタロシアニンを合成することで、分子同士の凝集を抑え、金属フタロシアニンのもつ酸化作用を発揮することが可能となった。これにより臭いの元となる様々な化学物質に対して消臭・分解作用を発揮する材料の開発に成功した。

・加齢臭であるノネナール、排泄臭であるインドール、シックハウス物質であるアルデヒドやトルエンに対して、ほぼ100%の効率で消臭機能を示す。・悪臭物質である含硫化合物やアミンに対しても同様の消臭機能を示し、広範な化学物質に対して高効率の消臭効果をもつ。

従来のゼオライトによる消臭剤は臭いの元となる化学物質を吸着することは可能であるが、それを分解することはできなかった。本技術ではゼオライト内に金属フタロシアニンが存在するため、吸着した化学物質をその酸化作用により分解することが可能である。

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研究開発の経緯

従来の技術との対比

・金属ゼオライトは単独の材料としてだけでなく、繊維や溶液など様々な材料に混入または塗布することが可能・消臭作用に光を必要としないため、曇天や夜間においても十分な消臭効果が期待できる。

技術概要

製品概要・特徴

・エアコンなどの消臭フィルター、家庭用消臭剤・工場・自動車などの排ガス対策建築材料・繊維製品など

応用分野

特願2005-229323「酸素活性化金属錯体内包ゼオライトおよびガス吸収剤」

特願2006-015839「ゼオライト材料およびその利用」

特願2006-015840「錯体内包ゼオライト材料およびその利用」

特願2006-015841「ゼオライトを用いた抗菌剤」

特許情報

● 研究開発者:名古屋工業大学/増田秀樹教授 ● 製作者:名古屋工業大学、(株)シナネンゼオミック

■ ゼオライト ■ ゼオライト-添着布

■ ゼオライト-特徴と応用

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人工シデロフォアを利用した微生物吸着素子

微生物は鉄分を吸収するために、シデロフォアと呼ばれるキレート剤を分泌する。鉄分と結合したシデロフォアは再び微生物に取り込まれる。本技術ではこの現象に着目し、シデロフォアを微生物検出用のセンサーなどに取り付け、微生物を選択的に付着・検出することが可能なデバイスを開発した。本技術は、人工的にシデロフォアを合成し、それをセンサーなどの基板上に固定したものである。

・下記の微生物検出装置は微生物検出の一例として、微量重量センサー上に人工シデロフォアを取り付けたものである。センサー上の人工シデロフォアに微生物が付着することで、その重さをセンサーが感知し、サンプル中の微生物の有無と種類を感知することが可能となっている。

従来の微生物検出技術は、培養・濃縮操作などが必要となり、検出全体にかかる時間は数日間を要する。本技術はサンプル中に存在する微生物を効果的にセンサー部分に付着させることが可能であり、培養・濃縮操作なしに微生物を検出することができる。

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研究開発の経緯

従来の技術との対比

・本技術により開発された人工シデロフォアは、金属や金属酸化物、あるいはガラスやシリコン基板上に取り付けることが可能・人工シデロフォアの構造は改変できるため、様々な微生物に対応したセンサー素子の開発が可能・各種センサー(光、重量、電流など)の表面に取り付けることにより、サンプル中の微生物の有無と種類を検知することが可能

技術概要

製品概要・特徴

・食品あるいは医療分野での微生物検出のためのセンサー素子・有用物質を産出する微生物を固定化するために本技術を用いることで、バイオリアクターへの展開も考えられる。

応用分野

特願2004-317106「細胞固定化剤」

特許情報

● 研究開発者:名古屋工業大学/増田秀樹教授 ● 製作者:名古屋工業大学

微生物の吸着

■ 微生物検出装置による測定結果

■ 質量センサーによる微生物検出装置

■ 磁性微粒子による微生物濃縮材料

■ 鉄イオン吸着樹脂

サンプル中の微生物を培養なしに検出可能

時間(分)

鉄イオンを吸着した樹脂は簡単な酸処理により再生可能

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ナノ薄膜膨潤・収着量評価装置(商品名:BEL-NF)

蒸気収着による有機及び無機材料系薄膜の重量変化又は体積変化の一方をそれぞれ異なる環境下で測定することは可能だが、同一条件での測定は困難であった。また収着に伴う薄膜の体積変化量が収着した物質の量と必ずしも比例関係であるとは限らず、より精密な収着定量のためには収着量と体積変化との両側面からの同時同条件下での評価が必要であった。

・従来法では困難であった蒸気収着に伴うナノ薄膜の体積変化・重量変化測定を同時同条件にて測定できる・目的材料と溶媒との親和性評価(拡散係数、溶解度係数、透過係数自動算出)が可能・収着環境をプログラム制御し、短時間での測定が可能・溶液中での任意温度におけるナノ薄膜の体積変化測定が可能

既存の収着測定方法として、収着質の量を重量変化から直接的に測る重量法やQCM法※、また収着媒の体積変化から収着量を見積もるX線反射率法、偏光解析などが挙げられる。これら手法では重量変化測定のみ、体積変化測定のみと、両測定を同一試料、同一条件で行うことが困難であった。本装置ではこれらの問題を解決し、同一試料、同一条件による収着測定を可能にした。※QCM法…Quartz Crystal Microbalanceの略。水晶振動子。逆圧電効果により水晶振動子は微振動し、水晶板の金属薄膜上に存在する物質の質量に依存して周波数が変化する。この周波数変化から極めて微量な重量変化が測定できる

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研究開発の経緯

従来の技術との対比

・水蒸気、有機溶媒蒸気等を任意条件にて接触させ、導電性金属基板上に形成させた厚さ200nm~のナノ薄膜の膨潤を光干渉スペクトル(波長強度分布)測定によって評価し、さらにQCM法を用いて重量変化も同時測定・相対蒸気圧、測定温度を厳密に制御・任意温度における溶液中での光干渉スペクトル測定も可能

技術概要

製品概要・特徴

・既存材料薄膜の物性評価・有機、無機材料などの新素材の可塑剤評価、耐水・薬品性評価、分離膜機能評価・環境型センサー開発(有毒物検知、アレルギー等のチェックチップ開発)

応用分野

特願2004-097040「被検物の光学的検出方法及び検出システム」

特願2005-282285「標的物質の光学的検出方法と検出システム」

特許情報

● 研究開発者:名古屋工業大学 大学院工学研究科/木下隆利教授、日本ベル(株)、(株)モリテックス、(有)オー・エス・ピー● 製作者:日本ベル(株)、(株)モリテックス

■ BEL-NF

QCM測定からの薄膜の重量を評価

薄膜の干渉色から膜厚(体積)・屈折率特性を評価

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単層カーボンナノチューブ

高強度、高耐熱性等の利点を有し次世代自動車用の材料としても期待されるカーボンナノチューブについては、欠陥が少なく結晶性の高い単層カーボンナノチューブ(SWNTs)が望まれている。しかし、従来、レーザー蒸発法で作製されるカーボンナノチューブは高品質ではあるが、少量しか作製できないという欠点があった。このため、一定量が確保できるアーク放電法で、目的の単層カーボンナノチューブを作製する方法を開発した。

・高電気伝導性(抵抗率10-1Ω・m以下)・高耐熱性(700℃以上)・透明薄膜(全光線透過率90%以上、表面抵抗率~103Ω/□)・電磁波の防止

従来、市販されていた単層カーボンナノチューブは、CVD(化学気相堆積)法で作製したもので、作製量は多かったが欠陥が多く結晶性も低かった。それに対して、アーク放電法で触媒として鉄を用い、雰囲気ガスに水素ガスを利用することにより、結晶性が高く、耐熱温度の高い単層カーボンナノチューブの巨大膜を作製することができた。

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研究開発の経緯

従来の技術との対比

・触媒として鉄のみを含む黒鉛電極のアーク放電により作製・雰囲気ガスとして水素ガスを含むことにより、不純物となるアモルファスカーボンの混入を減らす・10cmを超える広がりを持つ膜状の単層カーボンナノチューブ・触媒金属が鉄だけであるので精製(加熱法・環流法)が容易

技術概要

製品概要・特徴

・タッチパネル用の透明導電膜・フラットパネル・ディスプレイ用の電界放出源・スポーツ用品用の複合材応用・燃料電池用のキャパシター・医療用のドラッグデリバリー

応用分野

特許第3650076号「単層カーボンナノチューブの製造法」

特許第3952479号「カーボンナノチューブの製造方法」

特許第3956230号「単層カーボンナノチューブの製造装置及びその製造方法」

特許情報

● 研究開発者:名城大学/安藤義則教授、(株)名城ナノカーボン ● 製作者:(株)名城ナノカーボン

■ 1��の容器に入れた作製したままのSWNTsの質量は1g ■ 作製したままのSWNTsの巨大膜

■ 精製したSWNTsのSEM像

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ナノチューブ分散液

カーボンナノチューブの利用にあたっては、粉のままだと非常に凝集しやすく、固まりになってしまう性質を持つため、ナノチューブ自体の機能発現が難しくなり、応用展開するときに大きな妨げとなってしまう。このことを解消するため、予め水やアルコールにカーボンナノチューブを分散し、使いやすい状態にする必要があった。

・ポリカーボネイト(PC)やナイロンなどの様々な基材に塗布することにより、透明導電膜や透明電極、電磁波シールド材を作製することが可能

カーボンナノチューブが水に分散した状態での商品はまだ出ていない。新素材をそのままではなく、使いやすく加工して提供する発想自体が珍しく、新しい技術展開である。

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研究開発の経緯

従来の技術との対比

・単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブどちらでも可能・種々のカーボンナノチューブに合った最適な分散剤を選択(水、アルコール)・複数のメカニカルディスパージョンの組み合わせにより、ナノチューブ自体に「ほぐし」をいれながら分散剤となじませ、分散の安定状態を作りだす

■ ナノチューブ分散前後の光学写真

■ ナノチューブ分散前後のSPM像

技術概要

製品概要・特徴

・太陽電池用の透明導電膜・半導体工場用の静電防止膜・タッチパネル透明電極・ITO代替の透明電極 ・細胞培養膜

応用分野

特許第3650076号「単層カーボンナノチューブの製造法」

特許第3952479号「カーボンナノチューブの製造方法」

特許情報

● 研究開発者:名城大学/安藤義則教授、(株)名城ナノカーボン ● 製作者:(株)名城ナノカーボン

分散前 分散後

分散前 分散後

2.00μm 8.00×8.00μm 8.00×8.00μm2.00μm

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財団法人科学技術交流財団産・学・行政の連携と協力のもと、世界にも目を向けた研究者のネットワークを構築しながら、21世紀

を担う新しい科学技術の創出と、産業活動の発展を目指して、愛知県地域を拠点に活動幅広い研究者の交流から生まれる発想を大切に、地域から全国・世界に向けて創造的科学技術を発信

共同研究推進事業

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財団の概要名  称所 在 地設 立基本財産主な事業

財団法人科学技術交流財団 Aichi Science and Technology Foundation愛知県名古屋市中区丸の内二丁目4番7号  愛知県産業貿易館西館内平成6年9月1日60億1950万円(平成20年1月末現在)1.研究交流事業2.共同研究推進事業3.情報提供事業4.教育研修事業5.中小企業技術支援事業

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平成20年3月発行

財団法人科学技術交流財団 知的クラスター創成事業本部 〒460-0002愛知県名古屋市中区丸の内二丁目4番7号 愛知県産業貿易館西館7階TEL:052-231-1656 FAX:052-231-1640HP:http://www.astf.or.jp/cluster/index.html

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