新病棟移転を機に仮想化基盤を構築 のシステムを集 …...ビジネス課題...

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ビジネス課題 診療科や部門ごとに物理サーバーでシステムを運用していた虎の門 病院では、新病棟のサーバーを集約してスペースを有効利用したい と考え、仮想化基盤構築を決意。新病棟への移転作業の中で、短期 間でハードウェアを調達でき、トラブルや不具合なく仮想化基盤を 構築することが求められていた。 ソリューション ハードウェア - Dell EMC PowerEdge R640 - Dell EMC PowerEdge R540 - Dell EMC PowerEdge R440 - Dell EMC SCv3000 - Dell EMC PowerSwitch S4128F-ON/S4128T-ON サービス - プロサポートプラス 導入効果 病棟移転という一大事業と並行してスムーズな仮想化基盤構築を実現 パフォーマンスとレスポンスの向上 電力使用量が 1/5となり、今後の集約でさらなる効果を期待 将来的なクラウド環境以降の際にも、仮想化基盤が役立つ 19 台の物理サーバーを4 台のサーバーに集約 新病棟移転を機に仮想化基盤を構築 150 のシステムを集約することを計画 虎の門病院では、新病棟への移転を機に物理サーバーで運用されて いたシステムを仮想化基盤へ移行することを計画。サイロ化された部 門サーバーをはじめ、約 150 のシステムを集約することを予定。 2/3 サーバー集約によって 電気使用量が 1/5 以下に 150 将来的に約 150 台の 物理サーバーを 仮想化基盤に集約 医療機関 | 日本

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ビジネス課題診療科や部門ごとに物理サーバーでシステムを運用していた虎の門病院では、新病棟のサーバーを集約してスペースを有効利用したいと考え、仮想化基盤構築を決意。新病棟への移転作業の中で、短期間でハードウェアを調達でき、トラブルや不具合なく仮想化基盤を構築することが求められていた。

ソリューション● ハードウェア - Dell EMC PowerEdge R640 - Dell EMC PowerEdge R540 - Dell EMC PowerEdge R440 - Dell EMC SCv3000 - Dell EMC PowerSwitch S4128F-ON/S4128T-ON● サービス - プロサポートプラス

導入効果● 病棟移転という一大事業と並行してスムーズな仮想化基盤構築を実現

● パフォーマンスとレスポンスの向上

● 電力使用量が1/5となり、今後の集約でさらなる効果を期待

● 将来的なクラウド環境以降の際にも、仮想化基盤が役立つ

● 19台の物理サーバーを4台のサーバーに集約

新病棟移転を機に仮想化基盤を構築約150のシステムを集約することを計画虎の門病院では、新病棟への移転を機に物理サーバーで運用されていたシステムを仮想化基盤へ移行することを計画。サイロ化された部門サーバーをはじめ、約150のシステムを集約することを予定。

2/3サーバー集約によって 電気使用量が1/5以下に

約150台将来的に約150台の 物理サーバーを 仮想化基盤に集約

医療機関 | 日本

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1958年に国家公務員共済連合会の基幹病院として開設された虎の門病院は、2019年5月に虎ノ門2丁目に19階建ての新病棟へと移転し、さらなる国際化と医療サービスの充実に力を入れている。

システムも移転する必要があった虎の門病院では、これを機に仮想化基盤構築を計画。適正なコストで短期間であっても移行できるインフラを求めていた。最終的に、Dell EMC PowerEdgeやDell EMC SCv3000などを採用し、トラブルのないスムーズな仮想化基盤構築を実現。今後も約150台ある物理サーバーを仮想化基盤に集約していく予定だ。

医師自らが熱意を持って システム検討に加わる虎の門病院は、病床数が819床あり、診療科などの部門も多く、常勤医師数が約350名、看護師数が約780名と非常に大きな病院となっている。「病床数は若干少ないながらも大学病院に匹敵する規模の病院で、ITシステムで使うデータ量も非常に多くなっています。旧病棟は、50年を超える建物もあり、老朽化して最新の機器に対応する設計になっていなかったことから、新しく建て直す必要がありました。新病棟では、手術室の数を増やして、手術のスケジュールを組みやすくしたり、手術支援ロボットのダビンチなどの最先端の医療機器を導入して、医療の質を上げています」と国家公務員共済組合連合会 虎の門病院 皮膚科 部長の林伸和氏は話す。

また、腎センター内科・リウマチ膠原病科 部長 臨床研究支援室 室長 の星野純一 氏は、来院者にとっても新病棟は利用しやすくなっていると説明する。「旧病棟は、1日約3,000人の外来を想定していなかったので、お待ちいただいている患者さんが座れないこともありました。新病棟は、診察室や待合室のスペースが広く、受付や会計など、

かなりの部分が自動化されているので立って待つことはなくなり、滞在時間も短くなっています」。

 新病棟へ移転する際には、サーバー室の ITシステムも移転しなければならなくなるが、虎の門病院では移転を機に ITシステムの現状を見直し、仮想化基盤を実現するために、医師も参加するシステム委員会を立ち上げている。「部門が非常に多い中で、各部門ごとにシステムがバラバラに作られている状態でした。システム委員会では、これらを集約していく必要性があるなど、さまざまな議論が行われました」と林氏は説明する。

 施設環境課 課長の岡本達也氏も次のように振り返る。「我々のシステム委員会の特長は、林先生や星野先生などの医師が中心となって議論を重ねていったところです。システムの案や素案は、病院の事務方が行ったり、コンサルティングやメーカーに任せっきりにするケースが多いですが、医師が熱意を持って参加してくれたことで、今回の病棟移転とシステム構築に成功できたと考えています」。また、星野氏も次のように続ける。「すべての職種の人が委員会に集まって、林先生のリーダーシップの下で議論することができたことがスムーズな移転につながったと思います」。

Dell EMCのハードウェアを採用して スムーズな導入を実現システム委員会では、仮想化基盤に移行することが検討されていった。

「広い新病棟に移転するとしても、サーバー室はできるだけスペースを節約していきたいといった議論が行われました。約150台の物理サーバーを仮想化基盤に載せていけば、サーバー集約ができると考えたのですが、継続して診療や治療も行っていかなければならないため、すべてのサーバーを仮想化するのはリスクが大きすぎると考えました」と事務部 情報システム課長の植木永吾氏は話す。

また、次のように話を続ける。「新築された病院の清掃、医療機器や備品、ベッドなどの設置、内覧会、トレーニングなど、病棟移転にはさまざまな作業が発生するため、システム移転に充てられる期間はゴールデンウイークしかありませんでした。短期間でシステム障害が起きないように、リスクを分析して調査し、スケジュールを組んでいきました」。

検討を重ねる中で、保守契約が残っている物理サーバーは、そのまま移設し、移転のタイミングで保守契約が満了する物理サーバーを仮想化基盤にて構築。移転当初は保守契約が満了する7つの部門システムを載せることから始め、物理サーバーの保守契約が満了する際に順次仮想化基盤へと移行していくことで決定した。「入札はDell EMCが落札したのですが、要件に合わせて最適な構成を考えてくれたと思っています。短期のスケジュールの中で、素早くハードウェアを用意してくれて、仮想化基盤を構築してくれたのは助かりました。肝心な仮想化基盤が遅れてしまえば、その上に搭載するシステムの構築も遅れてしまいますから。リソースの振り分けがうまくいっていないと、新しいシステムにしても、かえってパフォーマンスが落ちるという事例も聞いていたので、パフォーマンスやレスポンスを落とさないことを

「病棟の移転に合わせて、システムの移転や 仮想化基盤の構築に挑戦しましたが、 短い期間の中でさまざまな職種の人が 積極的にかかわることで、 スムーズな移転を実現できました」

国家公務員共済組合連合会虎の門病院皮膚科部長林 伸和 氏

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「システム移転に充てられる期間が ゴールデンウイークしかない中で、 Dell EMCが事前に 仮想化基盤を用意してくれて、 トラブルや不安がなく、 スムーズな移転が行えたことが 最大の成果ですね。」

国家公務員共済組合連合会虎の門病院施設環境課課長岡本 達也 氏

「事前に医師やコメディカル・事務職員が 一同に集まって、次期システムを 委員会等を通じて入念に話し合ったことが 移転を成功に導いたと思います」

国家公務員共済組合連合会虎の門病院腎センター内科・リウマチ膠原病科 部長臨床研究支援室 室長星野 純一 氏

絶対条件として、移転や構築を行っていきました。偶然にもゴールデンウイークが10日間になったので、少し余裕が持てて、助かりましたね」と植木氏は振り返る。

虎の門病院の仮想化基盤では、2台のDell EMC PowerEdge R640上にVMware vSphereで仮想化環境を構築し、2台のR640上にHyper-Vで仮想化環境を構築し、Dell EMC PowerEdge R540をバックアップサーバー、Dell EMC PowerEdge R440を監視サーバーとし、ストレージにDell EMC SCv3000、L2スイッチにDell EMC PowerSwitch S4128F-ON/S4128T-ONが採用されている。

物理サーバーを集約することで 電源効率と省スペース性を向上導入から運用までのDell EMCの対応について植木氏は、「スケジュール的に厳しかった中で粛々と進めることができ不具合もなかったことが一番のメリットですね」と評価する。また、「仮想化基盤は初めての挑戦だったため、そのメリットはわかっていたものの、不安も少なからずあったのは事実です。不具合やトラブルが発生していないことが、我々の大きな満足度につながっているのだと思います」と話してくれた。

パフォーマンスやレスポンスの課題については、「仮想化構成になってリソースを有効に活用できる分、レスポンスが高く、パフォーマンスも向上していると思います」と林氏は説明する。また、林氏も「使っていて、早くなったと感じています」と感想を述べてくれた。

7つのシステムを仮想化基盤に載せている段階だが、電源効率などについても効果が出てきていると岡本氏も説明する。「当初予想していたよりも電気使用量が下がっているのには驚きました。7つの物理サーバーを運用しているときに比べて、1/5くらいになっているのではないでしょうか。今後、他の物理サーバーも仮想化基盤に移行させていくことで、より電源効率や省スペースが実現できることを期待しています」。

「約150台の物理サーバーは、来年以降徐々に仮想化基盤へ移行していく予定です。たとえば、画像が非常に多い放射線科のサーバーを移行する際には、SCv3000の圧縮機能や自動階層化機能でのパフォーマンス向上などにも期待していきたいですね」と植木氏は今後の期待を話してくれた。

さらに、林氏は、今回の病棟移転と仮想化基盤構築について、次のように述べている。「診療や治療を止めるわけにはいかない状況の中で、事務方やコメディカルの人たちが積極的に関与してくれたおかげで、スケジュール内で移転でき、仮想化基盤を構築することができたと思っています。旧病棟で旧システムを、新病棟で新システムを稼働させるようにすれば、スムーズな移転が行えたかもしれませんが、それでは非常に大きなコストがかかってしまいます。システム委員会で、システムの停止時間を最低限にし、安全に移転するためには何を行えばよいかなどの課題を抽出しながら解決していったのが功を奏しましたね」。

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写真左より、植木 永吾 氏、林 伸和 氏、星野 純一 氏、岡本 達也 氏

さらなる集約をすすめ、BCP (事業継続計画)対応も行っていく「まだ計画は立てていませんが、今後、我々もクラウドを使うようになる可能性も出てくると考えています。その際に、物理サーバーからクラウドへ移行するよりも、仮想環境からの移行のほうがやりやすいので、現時点で仮想化環境を構築できたことは、今後もメリットとなっていくと考えています。物理サーバーを仮想化基盤に移行するにあたっては、各システムを提供してくれているメーカーとの調整が重要になってくると思います。その際には、Dell EMCも間に入って、仮想化のメリットや実現可能であることを説明してくれると助かりますね。また、しっかりとバックアップを取ってはいますが、本院と川崎の分院とでレプリケーション構成などで冗長性を高め、BCP対策なども行っていく必要もあります。とはいえ、コストにも限りがあるので、

安価で有効な方法などを提案してくれることも期待しています」と植木氏は話す。

今後の展望について、星野氏は次のように説明する。「虎の門という土地柄、大使館や外国人居住者も多いため、より国際化を進めていく必要があると感じています。虎の門病院では、医療の質の向上と安全な医療の実践のために、国際的な医療機能評価機関であるJCI(Joint Commission International) の認証を来年3月に取得できるように進めているところです」。

「病院としては、今後もより安全で高度な医療を目指していく必要があります。そのためには、いかにうまくシステムを活用していくかが重要だと考えています。システムを有効活用すれば、記録をしっかりと行うことができ、言葉だけでなく、文字やデータでしっかりとした伝達が行え、医療の質を高めることができます。よりよい医療を目指すためにも、このようなメリットをしっかりとうまく使っていく必要があります」と最後に林氏は話してくれた。

新病棟での医療を始めた虎の門病院は、患者が心から満足する良質で温かい医療に今後も取り組んでいき、「医学への精進、病者への献身と奉仕」という理念を掲げながら、医学の発展に貢献していきます。

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「パフォーマンスやレスポンスを 落とさないことが絶対条件でしたが、 機器が新しくなってパフォーマンスや レスポンスも高くなっています。 今後、他の物理サーバーを集約していくことで さらにメリットが生まれてくることを 期待しています」

国家公務員共済組合連合会虎の門病院事務部情報システム課長植木 永吾 氏