協調自律分散による鉄金ライトサイジング ... · する協調自律分散によって構成される。 田 鉄鋼ライトサイジングシステムの特徴 4.1鉄鋼における協調自律分散の適用
基礎知識と農作物被害の防ぎ方 -...
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高岡市
基礎知識と農作物被害の防ぎ方
目 次
・野生鳥獣による農作物被害対策の基本・・・・・・・・・・1
・イノシシの生態と特徴・・・・・・・・・・・・・・・・・2
・対策は地域ぐるみで総合的に行う・・・・・・・・・・・・3
1 生息環境管理 ~近づかせない~・・・・・・・・・・4
2 被害防除 ~侵入させない~・・・・・・・・・・・・5
3 個体数管理 ~捕獲する~・・・・・・・・・・・・・6
・イノシシと遭遇した場合の対処法・・・・・・・・・・・・7
1 イノシシと人間の距離が離れている場合・・・・・・・7
2 イノシシと人間の距離が近い場合・・・・・・・・・・7
3 車両でイノシシとの衝突事故を起こした場合・・・・・8
1
このマニュアルは、イノシシによる農作物被害を防ぐため、イノシシに関する
基礎知識と被害対策についてまとめました。
以下の6項目は、野生鳥獣全般に通じる被害対策の基本です。イノシシの対策
も、この基本に従って実践していきます。
◇ 相手を知る 相手を知ることは、対策の第一歩です。間違った対策では被害が減らない
ばかりか、思わぬトラブルを招く可能性があります。
イメージや先入観ではなく、正しい知識をもとに対策を行います。
◇ 動物が出没しにくい環境をつくる 野生動物にも人間と同じようにすみかが必要です。
耕作放棄地や草むら、ヤブなどのような隠れ家となる場所は、野生動物た
ちが安心して過ごせる絶好のすみかです。
◇ 集落を動物のエサ場にしない 山には動物たちのエサが豊富にあります。それでも集落に近づこうとす
るのは、集落周辺でおいしいエサが簡単に手に入ると学習したからです。知
らず知らずのうちに餌付けをしていませんか?
◇ 他人任せにしない 自分の家には自分自身で鍵をかけるように、自分の農地は自分自身で守
ります。対策の方法がわからないからといって他人任せにせず、被害の当事
者であるという意識をもつことが肝心です。
◇ 地域ぐるみで取り組む 個人での対策は重要ですが、地域ぐるみで取り組むことで、より効果的な
ものになります。被害に困っている方だけが頑張るのではなく、地域全体の
課題として取り組みましょう。
◇ あきらめないで相談する 「対策したけれどダメだった」という場合でも、きちんと原因を特定する
ことで解決に至ることがあります。 原因や解決策については、市に相談しましょう。
~「被害」と「対策」の考え方~
野生鳥獣による「被害」という言葉には、農作物被害から生活環境被害、
人身被害まで、使う場面によって様々な意味が含まれます。いずれの被害
対策も、野生鳥獣と人との棲み分けを図るという考え方は共通です。
野生鳥獣による農作物被害対策の基本
2
副蹄(後ろに2つある爪)
が特徴。
固い地面では残りにくい。
イノシシの生態や特徴には、一般的なイメージと異なるものがあります。
正しい知識を得ることで、被害対策への理解が深まります。まずは生態や特徴
をよく知り、イノシシ目線での対策を行いましょう。
出典:裏表紙のとおり
<生態>
●昼夜を問わずエサを求めて活動するが、人を怖がる地域では、夜間に活動
することが多い。
●雑食性で、イモ類、タケノコ、稲穂、塊根、昆虫、ミミズなどを食べる。
●メスは群れをつくる。オスは交尾期(12~2月頃)以外、単独生活を送る。
●縄張り性は低い。
●春に出産し、平均4~5頭の子供を産む。(秋に出産する場合もある。)
●野生での寿命は、10歳前後といわれる。
<特徴>
●鋭い嗅覚をもつ。
●時速 40Kmの速さで走ることができる。まれに泳ぐこともある。
●鼻で 70kgの石を動かすことができ、エサを探して地面を掘り起こす。
●助走なしで1m、よじ登れば2mの高さを乗り越えることができる。また、
20cm以上のすき間があればくぐり抜けようとする。
●体毛は剛毛で、電気を通しにくく、有刺鉄線に触れても痛みを感じない。
●学習能力が高く、覚えが早い。
●警戒心が強く、通り慣れた「けもの道」を利用して移動する。
●臆病で、あまり人前に姿を現さないが、いったん慣れると大胆不敵になる。
●オスは長い牙で攻撃する場合があり、メスは牙が短いため噛みつく場合
がある。
イノシシの生態と特徴
おとなで、体長約 100cm~140cm 体重 60kg~100kg 足 跡
3
<よくある誤解>
●イノシシは夜行性。
→本来は昼行性です。人を避けて動くため日中は気づかれにくく、よく勘
違いされます。
●嫌がるにおい、光、音がある。また、嫌がる作物がある。
→ありません。見知らぬにおいや光、音を警戒して、一時的に避けること
はありますが、慣れると効果がなくなります。また、イノシシが嫌がる
作物はなく、エサと認識していないだけです。
●イノシシが増えているのは、たくさん生まれるのに捕獲しないから。
→山にも里にもエサが豊富にあり、冬場の致死率が低くなったからです。
意識的な餌付けはもちろん、無意識の餌付けにも注意しましょう。
鳥獣被害対策には「これさえすれば大丈夫」といった特効薬はありません。被
害に困っている方だけが頑張っても、なかなか対策の効果は現れませんし、「手
間のかかる対策はしない」というのでは、結局被害が減らないことになってしま
います。
イノシシの対策を行うにあたっては、下図の3つの対策を地域ぐるみで総合
的に取り組み、少しずつ改善させていくという心構えが大切です。
対策は地域ぐるみで総合的に行う
1
生息環境管理
(近づかせない)
2
被害防除
(侵入させない)
3
個体数管理
(捕獲する)
4
野生鳥獣が生息する場所を適切に整備することを生息環境管理といいます。
ポイントはエサと隠れ家をなくすことです。
イノシシの生態や特徴を踏まえ、集落に近づきたいと思わせる要因を1つで
も取り除き、イノシシにとって魅力のない集落をつくることが重要です。
すべてを完全に管理することは難しいので、できるところから始めましょう。
◇ エサをなくす 集落には、人にとっては価値のないものでも、イノシシにとってはご馳走
になるものがたくさんあります。集落の中で、無意識の餌付けをしている場
所がないかチェックします。
●生ごみ、野菜くずを田畑や山際に捨てない。
●野菜や果樹の取り残しを放置しない。
●2番穂(ひこばえ)のすき込みを行う。
●お墓のお供え物は持ち帰る。
◇ 隠れ家をなくす 人の手が行き届かなくなったヤブなどは、警戒心が強いイノシシにとっ
て姿を隠しやすい場所です。見通しの良いところは身の危険を感じて近づ
きにくいという習性を利用して、イノシシを集落に近づかせないようにし
ます。 ●ヤブの刈り払い、山際の草刈り、樹木の枝払い
●休耕地や耕作放棄地の整備
<柵周辺の環境管理>
出典:裏表紙のとおり
1 生息環境管理 ~近づかせない~
棲み分けを図る!
ポイント
◎◎
◎
作物と柵の間にある程度距離を開ける
柵の外側周辺の物をなくす(石や丸太、トタンなど)
草刈りなどを行い、柵周辺の見通しをよくする
◎◎
◎
作物と柵の間にある程度距離を開ける
柵の外側周辺の物をなくす(石や丸太、トタンなど)
草刈りなどを行い、柵周辺の見通しをよくする
周辺のヤブはイノシシの エサ場・通り道・すみか になる
5
耕作地
林地
斜面
◎
耕作地
斜面
林地
×
イノシシの目線から柵が高く見えるよう、平坦な場所に設置
イノシシの足が土に触れる位置に設置
20cm
20cm
地面 すき間がある
20cm
20cm
柵は正しく設置し、
維持管理はこまめに
野生鳥獣を田畑に侵入させないことで農作物被害の軽減を図る手法を被害防
除といいます。生息環境管理が野生鳥獣を近づかせない対策だとすれば、被害防
除は近づいてきたものを水際で留める対策といえます。
イノシシの場合には、適切に電気柵を設置し維持管理することで、ほ場内部の
被害はほとんど防ぐことができます。
◇ 電気柵等の侵入防止柵の整備
●電気柵の漏電を防ぐため、定期的に草刈りを行う。
●電気柵の柵線の高さは、下から 20cm間隔で2段張りにする。
●電気柵は、夜間だけでなく1日中通電する。(柵をただのヒモにしない)
●金網柵やワイヤーメッシュ柵の場合でも、周囲の草刈りを徹底する。
●複数の種類の柵を組み合わせれば、高い侵入防止効果が期待できる。
●個人で設置するより、地域ぐるみで設置するほうが効果的
<侵入防止柵によくある失敗例> 出典:裏表紙のとおり
×
2 被害防除 ~侵入させない~
ポイント
すき間がある場合は、支柱を増やし、電線の間隔を守る
地面
×
×
舗装道路 土(路肩)舗装道路
支柱を追加
6
1 生息環境管理、2 被害防除を行ってもなお集落周辺のエサに執着する個
体がいるときは、やむを得ず捕獲する場合もあります。
イノシシを捕獲するための制度として、「有害鳥獣捕獲」と「狩猟」がありま
す。
◇ 有害鳥獣捕獲
野生鳥獣により農林水産業の被害を受けたとき、県や市の許可を受けて
有害鳥獣捕獲隊や鳥獣被害対策実施隊が捕獲する制度です。本市では、通年
でイノシシの捕獲を許可しています。
イノシシの捕獲は、市長から任命を受けた実施隊員が行いますが、日常的
に行う檻の見回りや周辺環境整備、捕獲個体の処分などは、実施隊員だけに
負担をかけず、地域ぐるみで取り組むことが大切です。
また、捕獲許可を受けていない鳥獣を誤って捕獲した場合には、原則とし
て放獣しなければいけません。
◇ 狩猟
狩猟により捕獲するには、狩猟免許を取得したうえで、狩猟者登録が必要
です。狩猟期間(11 月~翌年3月)に決められた区域内で捕獲を行うこと
ができます。
~農作物被害を減らすための捕獲~
「農作物被害を減らすためには、たくさんのイノシシを捕獲しなければ
ならない」という意見があります。しかし、捕獲頭数と農作物被害金額は
必ずしも相関関係にはないので、イノシシを捕獲すれば農作物被害が必ず
減るという考えは誤りです。
山中にいるイノシシをいくら捕獲しても、農地周辺の被害低減に効果は
見られませんし、やみくもに幼獣だけを捕獲しても親の警戒心が高まって
捕獲できない個体を増やすことになります。つまり、被害を減らすために
は、農作物に被害を及ぼすイノシシ(加害獣)を狙って捕獲する必要があ
るということです。
被害対策としての捕獲は最後の手段であり、捕獲だけで被害を減らした
地域はありません。生息環境管理と被害防除を行ったうえで、加害獣を選
択的に捕獲することで、初めて捕獲の効果が期待できるようになります。
3 個体数管理 ~捕獲する~
7
各状況別において、①→②→③→④の順番で対応してください。
1 イノシシと人間の距離が離れている場合
① 不用意に接近しない、刺激を与えない。
② 近くに人がいる場合は、広く注意を促す。
③ イノシシが目視で人間を確認できない場所(住宅内部やブロック塀の陰
など)へ避難する。
④ 安全な場所に避難した後に、市役所もしくは警察へ通報する。
2 イノシシと人間の距離が近い場合
<イノシシが平常を保っている場合>
① 通常は人間から逃げていくので、大声などで威嚇したりせず、静かに素早
くその場から離れる。
② 周囲を塀や崖に囲まれ、人間がいる方向に逃げ道が限られる時には、接近
してくることがあるため、イノシシに逃げ道を明け渡しつつ、安全な場所
に避難する。
※安全な場所とは?
・イノシシが目視で人間を確認できない場所
(例、住宅内部、ブロック塀や植え込みの陰、車の中)
ただし、透明な窓ガラスは突き破ることがあるため注意が必要。
・イノシシが簡単には登れない高い場所
(例、イノシシよりも高い位置にある塀や段差)
③ 安全な場所に避難した後に、市役所もしくは警察へ通報する。
<イノシシが興奮状態もしくは威嚇行動を示している場合>
① 急に走って逃げない。物を投げる、傘・農具・素手等で攻撃するといっ
た害を加える行為は絶対にしない。(さらに興奮状態になり、危険度が高
まるため)
② 安全な場所がある場合は、そこへ避難する。
③ 安全な場所がない場合は、現場で緊急避難(リスク回避)する。
※緊急避難(リスク回避)とは?
・合板やブルーシート、傘など不透明な資材で身を隠す。
・イノシシの犬歯(牙)に注意しながら攻撃を回避する。
④ 安全を確保できた段階で、市役所もしくは警察へ通報する。
※興奮状態とは?
・背中の毛を逆立たせている。
・人間の気配の有無にかかわらず走り回っている。
・雄叫びを上げている。
イノシシと遭遇した場合の対処法
8
・高い確率で人間に攻撃してくる。
※威嚇行動とは?
・背中の毛を逆立たせている。
・犬歯(牙)を打ち合わせて音を鳴らす。
・数歩後ずさりして前足で地面を引っ掻く。
3 車両でイノシシとの衝突事故を起こした場合
① 運転者、同乗者に怪我がないか確認する。怪我がある場合は、すぐに救急
車を要請する。
② イノシシが逃げたり、死んだりしておらず、その場に居座っている場合は、
絶対に車の外に出ない。
③ 他の通行車両との衝突事故を避けるために、自走が可能な場合は安全な
場所に移動し、自走が不可能な場合はハザード等で周りに危険を知らせ
る。
④ 警察へ連絡する。
※イノシシが道路で死んでいる場合は、「一般廃棄物」として、該当する
道路管理者が処分。
図 イノシシと遭遇した際にとるべき行動
イノシシと遭遇
距離
イノシシ
の状態
安全な場所
の有無
イノシシ
から離れる
緊急避難 安全な場所
へ避難
通報
参考文献
富山県生活環境文化部自然保護課「イノシシ出没対策マニュアル」
富山県農林水産部農村振興課「富山県イノシシ被害防止対策方針」
長崎県農林部農政課「長崎県野生鳥獣被害対策基本指針」
長崎県農林部農政課「市街地に出没したイノシシの対策マニュアル」
イラスト転載元
p.2、p.4、p.5、p8の図は、富山県及び長崎県の許可を得て引用しました。
平成 30年 12月発行
<お問い合わせ先>
高岡市産業振興部農業水産課 農産・畜産・水産係
TEL:0766-20-1321 FAX:0766-20-1476