管理栄養士国家試験対策講座10 11...

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2011/1/17 jhata 1 1 管理栄養士国家試験対策講座10_11 病理学 ①細胞傷害とその適応 ②代謝病 ③循環障害 ④炎症・感染・免疫 ⑤腫瘍 常磐大学人間科学部健康栄養学科 順一 jhata 細胞の傷害とその対応 その原因: ・酸素欠乏(虚血,循環障害) ・化学的障害(薬物など) ・物理的障害(放射線,外傷,熱など) ・その他(免疫系の異常,栄養障害など) 細胞が傷害を受けると: ・傷害に対して適応する (萎縮と肥大) ・変性 ・壊死(えし)(細胞の死) アポトーシス 2 3 細胞傷害の原因とその結果 (中毒) 細胞のどこが傷害されるか: 核内DNA,ミトコンドリア・タンパク質合成(小胞体) →細胞内代謝経路の障害,細胞膜→透過性の亢進など Jhata 4 肥大 変性 壊死(えし) 正常な状態 可逆的 可逆的 非可逆的 可逆的変化: 傷害の原因が取り除 かれると元に戻る 非可逆的変化: 原因が取り除かれても と元に戻らない →細胞の死(壊死,えし) 可逆的 萎縮 Jhata

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jhata 1

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管理栄養士国家試験対策講座10_11

病理学

①細胞傷害とその適応②代謝病③循環障害④炎症・感染・免疫

⑤腫瘍

常磐大学人間科学部健康栄養学科秦 順一

jhata

細胞の傷害とその対応

その原因:・酸素欠乏(虚血,循環障害)・化学的障害(薬物など)・物理的障害(放射線,外傷,熱など)・その他(免疫系の異常,栄養障害など)

細胞が傷害を受けると:・傷害に対して適応する

(萎縮と肥大)・変性・壊死(えし)(細胞の死)

アポトーシス

2

3

細胞傷害の原因とその結果

(中毒)

害細胞のどこが傷害されるか:

核内DNA,ミトコンドリア・タンパク質合成(小胞体)→細胞内代謝経路の障害,細胞膜→透過性の亢進など

Jhata 4

肥大

変性

壊死(えし)

正常な状態

可逆的

可逆的

非可逆的

可逆的変化:傷害の原因が取り除かれると元に戻る

非可逆的変化:原因が取り除かれてもと元に戻らない→細胞の死(壊死,えし)

可逆的

萎縮

Jhata

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jhata 2

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細胞の壊死(Necrosis・ネクローシス)

心筋

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もう一つの細胞死:アポトーシス

(Apoptosis)

あらかじめ決められて(予定されて)いる細胞の死(生理的な細胞死;プログラムされた細胞死)

←遺伝子による

臓器の発生途上免疫現象

ニワトリの足

卵の中 足の完成 アポトーシスの異常Jhata

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可逆的変化変性(Degeneration)

細胞内に処理できない物質がたまる

①蛋白(タンパク)変性・アミロイド変性(生体にない物質)

(アルツハイマー病)・尿酸(核酸の代謝産物:プリン)→痛風

②脂質変性・肥満・脂肪肝,・動脈硬化症

③糖原変性

代謝病

8Jhata

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jhata 3

糖代謝と糖尿病

9Jhata

糖尿病とは

インシュリンの分泌が充分でなかったり,量が充分であっても働きが悪いため慢性的に血糖値が高い状態を示す病気血液中にグルコースが出過ぎるため尿に糖が出てしまうので糖尿病である

糖尿病には2種類

① 1型糖尿病(IDDM)膵島に炎症などが起き,インスリンの分泌が生じないタイプ

炎症の原因は免疫作用の異常(自己免疫疾患)インスリンを補充しなくては生存できないためインスリン依存型糖尿病とも言います若い人に多い

② 2型糖尿病(NIDDM)インスリンが充分に機能しないことによって起きるタイプ

日本人の糖尿病の大部分がこれで,食べ過ぎや運動不足(肥満)など生活習慣や加齢が関与インスリン非依存型の病像を示しますインスリンの作用は主に骨格筋・脂肪・肝臓で糖の吸収を増し,結果的に血糖値を下げます肥満、特に内臓に脂肪が溜まる(メタボリックシンドローム)とここでインスリンが使われるので,インスリン作用の効率が結果的に弱まる状態になるすなわち,インスリンの量が同程度であれば 血糖降下作用は弱くなります

10Jhata

膵臓の機能・構造外分泌腺房細胞

アミラーゼ

リパーゼトリプシン/キモトリプシン(不活性型)→産生

導管膵液を膵外に放出

内分泌ランゲルハンス(膵)島

α細胞:グルカゴンβ細胞:インスリン

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血糖の調整

血糖値が高い時(食後)

膵臓では:インスリンの分泌↑

肝臓では:グリコーゲンとして貯蔵

筋肉では:グリコーゲンとして貯蔵

グリコーゲンとして蓄えられる量を超えた時↓脂肪(脂肪酸)として貯蔵

血糖値が正常範囲となる

血糖値が低い時(空腹時)

膵臓では:グルカゴン分泌↑

肝臓では:グリコーゲンがグルコースになり

血中に分泌

血糖値が正常範囲となる

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jhata 4

血液中のグルコース量(血糖値)の調節

食物を食べると血液中のグルコース量(血糖値)は上昇する↓直ちに膵臓からインスリンが分泌されて血糖値を下げますこのインスリンの分泌量が少なかったり,充分な量が分泌されていても働きが悪いと慢性的な高血糖の状態が続く

→糖尿病

膵臓は膵液(消化液)を産生する他,血糖値を調節するインスリン,グルカゴンを分泌するホルモン臓器でもある

膵腺房と膵島

膵島

膵島のβ細胞(インスリン分泌・茶色の細胞)

糖尿病の患者さんの膵島は著しく破壊される

正常人の膵島

破壊された膵島

糖尿病患者の膵臓

糖尿病の合併症

①糖尿病性網膜症→失明②糖尿病性腎症→腎不全③糖尿病性動脈硬化

動脈が詰まる→壊疽(足の動脈)→心筋梗塞→脳梗塞

④糖尿病性神経障害知覚の麻痺

しびれ

脂肪代謝異常①動脈硬化②肥満③メタボリックシンドローム

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jhata 5

主なエネルギー代謝

グリコーゲン筋肉肝臓

クエン酸回路ミトコンドリア内

グルコース

β酸化

アセチルcoA

食物

脂肪細胞

17Jhata

小腸

脂肪食

脂肪酸モノグリセリド

グリセリン

→中性脂肪(トリグリセリッド・TG)

リポたんぱく質(LP)

カイロミクロン(TG+C)LDL(Ch)HDL(LP)VLDL(TG)

コレステロール(Ch)リン脂質

動脈へ沈着

脂質の代謝

エネルギーとして消費

余ると

全身の脂肪組織に溜まる

18Jhata

動脈硬化(アテローム硬化)

①内皮細胞の傷(損傷)②脂質の沈着(LDL: コレステロール、

トリグリセリド)③脂質を貪食するマクロファージの増加④アテローム(粥腫)の形成⑤血栓の付着⑤線維化の進行⑥石灰の沈着

19Jhata

動脈硬化(アテローム硬化)

①内皮細胞の傷(損傷)

②脂質の沈着③脂質を貪食するマクロファージの増加

④アテローム(粥腫)の形成⑤血栓の付着

大動脈などの太い動脈

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jhata 6

高血圧によっておきる病気

動脈硬化症 高血圧

高血圧と動脈硬化症(動脈が硬くなり,壁がもろくなる)は強い関係があります高血圧が続くと動脈硬化がおきやすくなり,動脈硬化になると高血圧になる

大動脈硬化症

★高血圧になると動脈の壁に負担が掛かって,脂肪が溜まりやすくなります①脂肪が溜まる状態をアテローム硬化といいます②アテローム硬化により壁が厚くなり,内腔が狭く,血液が通りにくくなり,

臓器の広い範囲で細胞が死にます(梗塞という・心筋梗塞,脳梗塞など)③また,壁が弱くなってこぶ状になり破れやすくなる(動脈瘤)

内側に脂肪が溜まり黄色くなる(アテローム斑),壁は固くなり,弾力性を失う

正常の大動脈

内側はすべすべしており,弾力性もある

動脈硬化による内腔が狭くなる(狭窄)→梗塞(こうそく・細胞が死ぬ)

高血圧と動脈硬化によっておきる病気②

心筋の壊死

脳梗塞

冠動脈が狭くなる(狭窄)

冠動脈壁の脂肪沈着→内腔狭窄

心筋梗塞冠動脈硬化

肥満

1,肥満とは?必要量を超えて摂取されたエネルギー成分は一部グリコーゲンとして蓄えられ、その他は脂肪として貯蔵される。その脂肪の量(体内脂肪蓄積量)が基準を超える→肥満(Obesity)

2,肥満の判定基準BMI(Body Mass Index)=体重(kg)/(身長・m)2>25

3,種類と原因①単純性肥満

・過食・運動不足

→摂取したカロリーが基礎代謝や運動で使うカロリーを超えた場合

②症候性肥満(クッシング症候群などのホルモン異常による)

23Jhata

肥満とメタボリックシンドローム

動脈硬化 糖尿病

代謝異常

糖尿病後遺症

高血圧心筋梗塞脳卒中

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jhata 7

肥満でなぜ2型糖尿病になるのか

脂肪→グルコース↑に抵抗して

インスリンの分泌過剰

カロリーの過剰

血糖値の増加

肥満

インスリンの消費↑

血液中のインスリン量低下

糖尿病25Jhata

タンパク(蛋白)代謝異常痛風

26Jhata

尿酸とは?

①尿酸の正常の代謝細胞の核にある核酸(DNA,RNA) またはエネルギ-の基になるATP→(代謝・分解)→プリン体→尿酸→腎臓で処理→尿中に排泄

②この経路が異常となり血液中の尿酸が上昇する高尿酸血症→尿酸塩結晶として組織内に溜まる

尿酸塩結晶(針状の結晶)

痛風1,痛風とは

足首や足の親指に急激に発生する腫れや強い痛み皮下に結節腎尿路系に溜まる

2,痛風の原因①血液中の尿酸値の値が上昇する(8.5mg/dl<)②尿酸塩が足首、足の親指の関節に溜まる→骨の破壊③尿管結石④腎臓に尿酸塩の結節(塊)を作る

→腎不全(腎機能の低下)3,なぜ起きる?

尿酸とは?血液中の尿酸が過剰になる原因?

28Jhata

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jhata 8

血液中の尿酸が過剰になる原因

①遺伝的体質②食べ物

レバー,魚卵,魚類③肥満④飲酒

アルコールの分解時(乳酸→乳酸)ビール

⑤ストレス

黄疸

30Jhata

胆汁:胆汁酸・胆汁色素(ビリルビン)などから合成産生と運搬経路:肝細胞で産生→細胆管(門脈域)→肝管→胆嚢(濃縮

ビリルビンの産生

間接(遊離型)ビリルビン

直接(抱合型)ビリルビン

胆汁の生成

31Jhata

黄疸の種類・原因

①②

①溶血性黄疸:血液の破壊が亢進し、血液中に間接ビリルビンが増加血液型不適合など→新生児黄疸

②肝細胞性黄疸:肝炎などで肝細胞が破壊され直接ビが増加

③閉塞性黄疸:胆嚢・胆管結石やがんによって総胆管が閉塞し直接ビが増加

32Jhata

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jhata 9

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細胞傷害に対する生体の反応①

1,萎縮(Atrophy)(正常の大きさに発達した臓器の容積が小さくなる)

↑細胞の容積の減少

全身・飢餓(きが)・加齢(老人になる)・がん(悪液質・あくえきしつ)

局所(部分的,臓器など)・廃用萎縮(はいよういしゅく, 使わないため)・神経萎縮(神経の異常による筋肉の萎縮)・その他

2,肥大

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心臓萎縮ミクロ

正常心

萎縮心萎縮心 萎縮心

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細胞傷害に対する生体の反応②

1,萎縮

2,肥大(ひだい)(Hypertrophy)↑①細胞の容積が増加する②細胞の数が増える(増生)

1)生理的肥大・作業性肥大(使う場所が大きくなる)

スポーツ選手の心肥大妊娠の際の子宮高血圧の心臓

・代償性肥大片腎(片方の腎臓がない)肝の部分切除

2)病的肥大・巨人症(成長ホルモン)・物理的肥大(ペンたこ)・炎症,など

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肥大心筋正常心筋

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創傷治癒

きずが治ること

肉芽組織(にくげそしき)→再生

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創傷治癒の過程

第1相:傷ができたところにある壊死(えし)した細胞・組織を好中球、組織球が処理し肉芽組織(にくげそしき)が形成される。

第2相:傷によってできた欠損部位を肉芽組織で補う↓再生が始まる

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肉芽組織とは?(にくげそしき)

★組織の欠損,体内外の異物,細菌感染などの炎症に対して増生し再生,修復に向かわせる組織

リンパ球,組織球などの炎症性細胞,幼弱な毛細血管線維芽細胞,膠原線維の増生から成る

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jhata 11

肉芽組織(にくげそしき)

登場する細胞・組織・好中球,マクロファージ

リンパ球・線維芽細胞

(膠原線維を作る)・毛細血管

41Jhata 42

再生とは?

創傷(きず),炎症などによって失われた組織が残った元の組織の増殖によって補われること

(生体にとって大変重要な機能)

★生理的再生(完全再生)

★病的再生(不完全再生)

創傷治癒

完全再生(傷が小さい場合,第一次治癒ともいう)

不完全再生(第二次治癒)

瘢痕(傷痕)を残す

瘢痕(傷痕)を残さない

・傷が広く・大きい・再生能力が充分でない場所

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①完全再生(生理的再生)とは失われた細胞・組織が元の状態に戻る再生

(細胞の寿命によって失われたことに対する再生を含む)

②不完全再生(病的再生)とは欠損(傷)が広いか,再生する細胞・組織の再生能力が低く,元の状態に戻らない再生

再生の種類

瘢痕(はんこん, 傷痕)

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jhata 12

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細胞の再生能力

1,再生能力の高い細胞(不安定細胞)皮膚表皮,粘膜上皮,血液細胞,骨細胞,

線維芽細胞など

2,再生能力が低い細胞(安定細胞)肝細胞,腎上皮細胞,内分泌細胞、筋肉

3,再生しない細胞(永久細胞)細胞分裂をしない細胞

心筋細胞,中枢神経細胞(大脳,小脳,脊髄)

循環障害

循環とは?生体に必要な酸素,栄養を含む体液を全身の細胞へ運び,そこで代謝された炭酸ガス,老廃物(生体にとって毒性のある物質を含む)を肝,肺,腎などに送り込むこと

心血管系(心臓,動脈,微小循環 ,静脈)リンパ管系

循環障害とは?循環体液の流れの異常

循環体液とは?血液(血球,血漿)血漿→血管外にでると組織間液またはリンパ液(リンパ管内で)となる

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循環血管系 ー 3つのシステム

1,大循環系:左心室→大動脈→中動脈→小細動脈→毛細血管→細静脈→小静脈→上・下大静脈→右心室

2,小循環系:右心室→肺動脈→肺毛細血管→肺静脈→左心房→左心室

3,門脈系:消化管,膵,脾臓毛細血管→小細静脈→肝類洞(毛細血管・動脈血と混じり合う)→肝静脈→下大静脈

★動脈:心臓から出る血管★静脈:心臓に戻る血管

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小(肺)循環

大(体)循環

全身の循環

門脈

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jhata 13

循環血管系 ー 3つのシステム

1,大循環系:左心室→大動脈→中動脈→小細動脈→毛細血管→細静脈→小静脈→上・下大静脈→右心室

2,小循環系:右心室→肺動脈→肺毛細血管→肺静脈→左心房→左心室

3,門脈系:消化管,膵,脾臓毛細血管→小細静脈→肝類洞(毛細血管・動脈血と混じり合う)→肝静脈→下大静脈

★動脈:心臓から出る血管★静脈:心臓に戻る血管

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循環を制御する(司る)もの

・心臓の収縮,拡張・血管壁の構造(動脈,静脈,大血管,細小血管,毛細血管)・血管作動物質

(血管壁の平滑筋に作用,アドレナリン,cAMP,NOなど)・血管神経調節システム(交感神経など)

循環血液量

体重の約1/3・動脈系 20%・毛細血管 5%・静脈系 75%

------------------------------------------------・大循環系(門脈を含む):3,小循環系:1

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循環障害

★局所性1.充血2.うっ血3.虚血4.出血5.血栓6.塞栓(そくせん)7.梗塞(こうそく)

★全身性1.Shock(ショック)2.浮腫3.浸出液・漏出液(ろうしゅつえき)

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血管内(主に細い血管)に血液が増加する1.充血(動脈血が増加する)

・運動などによる生理的状態・炎症をおこしたとき

2.うっ血(静脈血が増加する)臓器内に血液が溜まった状態←心不全による右心不全(右心系に血液が戻りにくくなる)

:肝臓,脾臓,腎臓左心不全(左心系に血液が戻りにくくなる)

:肺うっ血(心不全細胞)

血管内の血液が減少する3.虚血

臓器内の血液が減少する状態

→臓器の機能が悪くなる

血液が血管外に出てしまう状態4.出血

破綻性出血(血管が破壊される):血腫

漏出性出血(血管から漏れ出る)

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うっ血(鬱血)(Congestion)★病理学的所見局所のうっ血

皮膚:青紫色←毛細血管の拡張と静脈血の貯留→チアノーゼ

全身性のうっ血←心不全右心不全の結果

右心室の機能低下→静脈圧↑→臓器に血液(O2分圧の低い血液)肝うっ血:肝小葉の中心部うっ血(暗赤色)と

周囲の脂肪変性(黄色)→肉ずく肝(ナツメグに似る)

脾臓のうっ血:脾腫大→線維化浮腫(edema,エデーマ)←組織液が溜まる腹水(腹腔に液体が溜まる)

左心不全の結果左心室の機能低下肺うっ血:肺胞内に血液が漏れ出す→赤血球が貪食細胞に

取り込まれる(消化されてヘモジデリンだけが残る)→心不全細胞

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うっ血(鬱血)(Congestion)

★病理学的所見局所のうっ血

皮膚:青紫色←毛細血管の拡張と静脈血の貯留→チアノーゼ

全身性のうっ血←心不全右心不全の結果

右心室の機能低下→静脈圧↑→臓器に血液(O2分圧の低い血液)肝うっ血:肝小葉の中心部うっ血(暗赤色)と

周囲の脂肪変性(黄色)→肉ずく肝(ナツメグに似る)

脾臓のうっ血:脾腫大→線維化浮腫(edema,エデーマ)←組織液が溜まる腹水(腹腔に液体が溜まる)

左心不全の結果左心室の機能低下肺うっ血:肺胞内に血液が漏れ出す→赤血球が貪食細胞に

取り込まれる(消化されてヘモジデリンだけが残る)→心臓病細胞 54

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肺うっ血 血栓と塞栓(Thrombosis and Embolism)1.血栓(thrombosis):血管内での血液凝固

原因: ★血液凝固のしくみ・血管壁の異常(内皮の傷害)←動脈硬化など

・血流の変化←血液の流れの変化←動・静脈瘤など

・血液凝固能の昂進←血小板増加,高脂血症による粘稠度↑←手術・出産後,がん

おこりやすい部位(好発部位)冠状動脈,心臓,脳動脈,下肢静脈

2.塞栓(embolism):血栓やその他のものが流れて血管を閉塞させる血栓塞栓症:はがれやすい血栓が他へ移動して閉塞(多くは末梢)

動脈塞栓:脳動脈,冠状動脈,消化管静脈塞栓:肺動脈血栓塞栓症←女性,エコノミー症候群←下肢静脈の血栓

空気塞栓:手術、外傷による骨髄塞栓:骨折,救命処置

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3.血栓・塞栓によって臓器・組織でおきる病的状態梗塞(infarction)

臓器・組織の虚血→壊死脳梗塞,心筋梗塞,肺梗塞など

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梗塞(Infarction)

動脈の閉塞(血栓・塞栓で詰まること)によってその支配領域が壊死に陥ること

動脈の閉塞→虚血→壊死

★動脈には支配領域(その動脈が栄養している範囲)があるしかし,多くの組織は動脈の二重支配を受けている従って,一本の動脈が閉塞しても梗塞はおきない

★臓器によっては二重支配を受けていない組織があるこのような臓器では梗塞がおこりやすい(終末動脈)

頻度の高い動脈: 冠動脈→心筋梗塞脳動脈→脳梗塞上腸間膜動脈→腸梗塞肺動脈→肺梗塞

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なぜ、梗塞が起きるのか?

通常の動脈

→吻合がある→塞がっても迂回路がある→梗塞が生じない

終末動脈→吻合がない→塞がると迂回路がない→梗塞が起きる

閉塞

吻合吻合

Jhata

血液凝固のしくみ

①一次止血:血管内皮細胞の傷害→ von Willebrand (フォン ウィルブランド)因子(vWF, VIII因子)の結合

→血小板の粘着,活性化→血小板血栓の形成(はがれやすい)

②二次止血:凝固の強化:内因系凝固(血管損傷により生じた組織物質*),外因系凝固(損傷部位からの組織因子**)

VII因子→IX因子活性化→→ X因子活性化 トロンビン(II因子)↑ ↑ ↑

III因子 VIII因子 プロトロンビン(組織トロンボプラスチン)

→フィブリノゲン↓

フィブリン

59 60

心筋梗塞

瘢痕

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壊死した心筋側副血行路とは?何らかの原因で血管が詰まると前後の血管をつなぐバイパスができる(年余を経て)

動脈系:出来にくいにくい静脈系:しばしば出来る

個体にとっては都合のよいこと,しかし,都合のわるいこともあるその例:肝硬変の際の食道静脈瘤,

門脈-下大静脈吻合(Port-caval shunt)腹壁静脈の拡張

(メドゥサの頭)痔核

側副血行路

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全身性循環障害

1.ショック(Shock)2.側副血行路3.その他

ショックとは?急速に循環障害が生じ循環血液量が減少する→全身の組織・臓器が低酸素状態→全身の機能低下(←エネルギーの低下)

原因は?・出血性ショック(全身の血液量が急速に減る)・心原性ショック(急性心不全←心筋梗塞など)・エンドトキシンショック(敗血症の際,細菌の毒素が血液中に放出)・アナフィラキシーショック(薬剤,食物,ハチ・蛇毒に対する

アレルギー反応)

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浮腫と浸出液・漏出液

体重の2/3を水分が占めている体内の水分:細胞内液,細胞外液(組織液)からなる

★血漿の循環:血漿は毛細血管から浸み出る→組織液(間質液)となる

→細胞・組織に栄養を与え,代謝産物を受け取り→静脈およびリンパ管リンパ管に入った液体をリンパ液という

このような仕組みが異常になると

浮腫,腹水がおきる

☆浸出液と濾出液の違い

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浮腫(または水腫)(Edema)

血管から浸み出た(濾出)した水分が細胞内,組織間隙あるいは体腔に貯留した状態その際,体腔にでたものを心嚢液,胸水,腹水という

浮腫(水腫)の原因①リンパ管の閉塞(狭窄)②血管壁の異常による浸みだしの昂進(血管透過性の昂進)③毛細血管圧の昂進

肺水腫:左心不全(左室への還流↓)のため④血漿膠質浸透圧の低下

血漿浸透圧とは?血漿のタンパク質などによって浸透圧が一定に保たれている状態→むやみに血漿が血管外にでない

低下すると?浸透圧が低くなるので水分が組織間隙に過剰に浸み 出す

どんな場合?・腎不全により蛋白が腎臓で再吸収されないため低蛋白状態・がんの末期で低栄養状態のため血漿蛋白が低下する

65

浸出液と漏出液

心嚢液,胸水,腹水の体腔液が溜まっている場合その溜まっている液の成分によって

1.浸出液:炎症によって血管からの浸み出しの異常(血管透過性の昂進)が生じて血管からでてしまう

←タンパク質含有量が4%以上

2.漏出液:炎症以外の原因で血管から漏れ出てしまう←タンパク質含有量が4%以下

66

1.炎症とは(Inflammation):

「刺激(生体への攻撃)」に対する組織の反応→ 生体防御反応

生体防御反応であるはずの炎症が必要の限度を超え,生体に強い病的な障害を生じることがある→炎症性疾患(炎症による病気)と呼ぶ★「刺激」を記憶し、再び同じ刺激を受けた際、

それに対応して生体が防御する反応→免疫(Immunity)

炎症

67Jhata

2.炎症の原因

1)生物学的要因・ウイルス ・リケッチア ・細菌・クラミジア・真菌 ・原虫 ・寄生虫など生物が原因で炎症を起こすことを感染という

2)物理的要因・機械的な外力 ・電気 ・放射線 ・紫外線・熱など

3)化学的要因・重金属 ・有機溶媒 ・酸,アルカリなど

68Jhata

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jhata 18

炎症の経過(プロセス)①組織の損傷

原因②血漿の滲みだし(滲出)と炎症性細胞の出現(浸潤)

・血管透過性の亢進←壊れた細胞からの化学物質(ヒスタミン,ロイコトルエンなど)

→血管内から血漿が滲み出やすくなる・炎症に関与する細胞(炎症性細胞)の遊走

炎症性細胞とは?好中球,マクロファージ(貪食細胞),リンパ球など

③損傷を受けた組織の修復

5.種類①急性炎症:経過が早く,早期に収まる炎症②慢性炎症:組織の傷害がの期間が長いか,炎症の原因が

なかなか処理されないため,経過が長い

69Jhata

炎症の経過(プロセス)

①組織の損傷炎症の原因

②血漿の滲みだし(滲出)と炎症性細胞の出現(浸潤)・血管透過性の亢進←壊れた細胞からでる化学物質

→血管内から血漿が滲み出やすくなる

・炎症に関与する細胞(炎症性細胞)好中球,マクロファージ(貪食細胞),リンパ球

③損傷を受けた組織の修復肉芽組織の関与

壊れた細胞

70Jhata

3.炎症の種類1)滲出性炎症

炎症の経過で血管内成分(血漿,好中球,マクロファージ)の多い炎症

カタル:漿液性(アレルギー性鼻炎),粘液性,膿性①変質性炎症

細胞の壊死が主体の炎症②漿液性炎症

漿液(血漿からフィブリンを除いた成分,血清)が主体水疱←やけど(熱傷),虫さされ

③化膿性炎症好中球が主体

・急性(化膿性,蜂巣炎性)虫垂炎・膿瘍:好中球を含む膿汁による

膿胸,副鼻腔炎(蓄膿)など③出血性炎症

出血が主体・インフルエンザ肺炎など

④壊疽性炎症(えそせいしょう)嫌気性細菌の感染

2)増殖性炎症マクロファージや線維芽細胞の増殖が主体

★肉芽腫性炎症(にくげしゅせいせんしょう) 71Jhata

化膿性炎症とは好中球が主体となる炎症

①急性化膿性炎症

蜂窩識炎性炎症(虫垂炎)②膿瘍:好中球を含む膿汁

膿胸,副鼻腔炎(蓄膿)など

①急性化膿性炎症 ②膿瘍 72Jhata

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jhata 19

◎肉芽腫性炎症とは?

増殖性炎症の一つで細胞の増殖を主体とする炎症肉眼的に「かたまり(結節) 」のように見える→肉芽腫(にくげしゅ)

特殊な病原物質の際に生じる・結核症

特徴的な顕微鏡像 乾酪壊死(かんらくえし),類上皮細胞(るいじょうひさいぼう,マクロファージのこと)ラ氏型巨細胞

・真菌症など

73Jhata

乾酪壊死 類上皮細胞

リンパ球ラングハンス巨細胞

結核結節

乾酪壊死(かんらくえし)

ラングハンス型巨細胞

ラングハンス型巨細

結核菌

肝炎肝細胞に壊死を起こす炎症が起き→肝臓の機能が著しく低下

1)原因による分類①肝炎ウイルス

・A型:・B型・C型

②中毒性肝炎薬剤性肝炎

③アルコール性肝炎

2)病気の経過による分類①急性②持続性または慢性

治らないと肝硬変へ移行

76Jhata

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jhata 20

ウイルス性肝炎

①A型肝炎A型肝炎ウイルスによる経口感染急性肝炎(慢性には移行しない)潜伏期間:25日

②B型肝炎B型肝炎ウイルスによる輸血、性行為など急性(激症型)が多いが慢性型へも移行する垂直感染(母児感染)がある潜伏期間:60~160日

③C型肝炎C型肝炎ウイルスによる輸血など血液製剤慢性肝炎に移行する→肝硬変肝細胞癌を合併する

77Jhata

肝硬変

①経過肝炎による肝細胞の壊死→肝小葉の破壊→線維の増加(線維化)

②原因✓殆どがウイルス性肝炎の慢性化による✓アルコール性肝炎✓中毒(薬物性)肝障害

③病理学的所見✓肝細胞の壊死と再生✓線維の増加(線維化)✓偽小葉の形成など

④症状および合併症✓黄疸✓門脈圧亢進

78Jhata

肝硬変による色々な症状

肝炎による肝細胞壊死→線維化肝硬変

肝機能不全

③ビリルビンの貯留

④アンモニアの処理低下

⑤女性ホルモンの分解力低下

②タンパク質代謝障害

①門脈閉塞 門脈亢進

低アルブミン血症

側副血行路の形成

症状

食道静脈瘤メドゥサの頭脾腫痔核

肝性昏睡

女性化症乳房

腹水

黄疸

79Jhata

ここで逆流

肝臓が線維化するので,門脈血が肝臓に入らない↓逆流↓食道静脈瘤↓しばしば破裂↓食道に大出血

肝硬変になると

80Jhata

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jhata 21

腎臓・尿路系

腎臓

皮質ネフローゼ症候群

糸球体腎炎

髄質

腎盂 炎症

膀胱

尿管

尿道

前立腺

細菌感染

による炎症

細菌感染

による炎症

「腎炎」 腎臓の構造と機能

集合管

濾過

腎盂

尿の生成

再吸収

ボウマン嚢

糸球体

ヘンレ-の係蹄

遠位尿細管

腎小体

ネフロン

近位(遠位)尿細管

原尿

再吸収

いわゆる「腎炎」とは←腎臓病と同じ意味に使われている

広義:蛋白尿を来す疾患すべて糸球体腎炎ネフローゼ症候群など

狭義:糸球体腎炎(正確な腎炎)

糸球体腎炎:β-溶連菌・感染後→抗体ができる→抗原・抗体複合物が糸球体の

毛細血管に沈着→蛋白尿、血尿ネフローゼ症候群:高度の蛋白尿を示す病気の総称

→全身のアルブミンの低下、浮腫などいろいろな病気がこの症状を示す

原因:腎臓の病気が悪化する(糸球体腎炎、ネフローゼ症候群などすべて

の腎臓の病気)

症状:腎臓の機能が低下により→腎不全・水分・電解質の排泄低下→浮腫・尿細管の機能の低下→酸血症(アチドーシス)・尿酸が増える→昏睡

↓↓

このような症状すべてを尿毒症という

腎不全と尿毒症

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jhata 22

感染症1.感染症とは?

病原体がヒトの体に侵入して,その中で増殖しその個体に病気を惹き起こす状態

★古くて新しい病気:新興再興感染症

2.病原性,病原体,宿主とは?病原性:感染症を惹き起こすことが出来る能力

✓感染性:病原性を発揮すること✓組織侵入性:宿主の細胞を壊して侵入する能力✓毒素: 外毒素(外に毒素を出す)

ジフテリア菌,破傷風菌

内毒素(エンドトキシン,菌体成分に毒素)大腸菌

病原体:その原因となる微生物(病原微生物)宿主:感染を受ける個体(ヒト)

85

皮膚・粘膜の防御機構←外界に接している部位に特徴的

皮膚の感染防御機構:汗腺,皮脂腺→酸性に保つ気道の感染防御機構:線毛消化管の感染防御機構:消化液,IgA,リゾチーム

86

jhata 87

免疫

1,免疫とは2,抗原と抗体3,免疫反応(免疫応答)とは4,免疫を担う細胞5,液性免疫と細胞性免疫6,抗体の働き

中和、補体7,獲得免疫,自然免疫

1,非特異的生体防御機構

①皮膚・粘膜の防御機構←外界に接している部位に特徴的

皮膚:汗腺,皮脂腺→酸性に保つ気道:線毛消化器系:唾液、消化液

(リゾチーム,IgA)

生体防御機構外来因子から身を守る

2,特異的防御機構免疫機構

←外来因子毎に特異的に反応

②ナチュラル・キラー(NK)細胞)がん細胞,ウイルス感染細胞などを排除

88Jhata

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jhata 23

☆免疫反応:特異的生体防御機構

①体内に侵入した病原体を(特異的に)排除して,病気の発症を免れること

一度病原体が体内に入ると、同じ病原体が侵入しても発症しない←抗原ー抗体反応による

②自己(自分)とそれ以外(非自己)を識別する

免疫とは?←免疫:疫(病気)がまぬがれる(逃れる)

89Jhata

抗原と抗体

抗原(antigen)とは:自分の(正常の)身体の成分以外の全てのもの(非自己)

例)病原体、がん細胞、移植された細胞・組織など

抗体(antibody)とは:抗原に対して特異的に結合するタンパク質

90Jhata

免疫反応とは(免疫応答)

1)抗原が生体に入る→リンパ球がそれを認識し

→抗体を作る

その際に①自己と非自己を厳しく区別する(峻別)②極めて特異的に抗体を作る

2)2回目の進入に対して抗体がそれを記憶していて(免疫記憶),速やかに排除する

病気の発症を免れる

本来は自己に有利にはたらく現象であるが, ときに破壊的に作用することがある 病気になる

91Jhata

免疫を担う細胞(免疫担当細胞)

免疫反応に関係する細胞(リンパ球←白血球の一つ)↑

骨髄で作られる

1)リンパ球①胸腺を介して特別な分化

→Tリンパ球(T細胞)(60~70%)

✓ヘルパーT細胞→Bリンパ球の抗体産生を助ける

✓②キラーT細胞→ウイルスなどに感染した細胞を殺す

②胸腺を介さない→Bリンパ球(B細胞)(20%)]

・IgGを産生する細胞→形質細胞B細胞→成熟→形質細胞

↑ヘルパーT細胞の司令(←サイトカイン)

2)リンパ球以外

①マクロファージ樹状細胞→リンパ球に抗原の情報を知らせる

② ナチュラル・キラー細胞(NK細胞) 92Jhata

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jhata 24

B細胞分化のシェーマ

Bリンパ球が抗体を作るまで

抗原が体内に入る

マクロファージが貪食

ヘルパーT細胞がその情報を受け取る

その情報に基づいてヘルパーT細胞が活性化する

サイトカインを出す

ヘルパーT細胞が出すサイトカインの司令で形質細胞に分化

形質細胞Bリンパ球

抗体を産生

同じ抗原が入ると抗体が抗原と結合→無力化

93Jhata 免疫グロブリン(抗体)色の薄い部分が軽鎖、先端の黒い部分が可変部。適合する抗原が可変部に特異的に結合する

抗原

抗体

L鎖H鎖

抗原結合部位抗原が付くところ→抗原の種類によって

抗体が変わる←可変部

抗体の種類IgG:感染防御IgM:感染初期IgA:感染防御(粘膜)IgE:アレルギー

抗体の構造と機能

94Jhata

抗原を認識したB細胞(形質細胞)は抗体を産生し体液中に出す→体液中の抗体は抗原と特異的に結合して→中和する(毒性を低下さ

せる)抗体を介してはたらく免疫反応→液性免疫

◎重要な言葉!①抗体:形質細胞で産生される血清蛋白,ガンマグロブリン分画

に存在→免疫グロブリン(Immunoglobulin,Ig)と呼ぶ抗体の働き→抗原と強く結合(特異的)→毒素やウイルスを

②中和抗原の持つ毒素が抗体と結合することによって無毒化する

③補体:抗体の働きを補助→抗体と結合し活性化され→抗原を破壊(細胞・組織)

④サイトカイン:リンパ球の機能を高める作用→リセプターと結合→微量で炎症細胞,免疫を担う細胞に作用

液性免疫

95Jhata

液性免疫と細胞性免疫抗体によってウイルスなどが無力化する仕組み

抗体がウイルスと結合

中和して無力化マクロファージが貪食

抗体が補体の助けを借りて感染細胞を攻撃

キラーT細胞が感染細胞を直接攻撃←細胞性免疫

ウイルスが感染した細胞

96Jhata

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jhata 25

細胞性免疫キラ-T細胞が接触することによって生じる

キラーT細胞

・ウイルスなどに感染した細胞・移植された細胞(移植片)・がん細胞

など

抗原 をターゲットに殺す

97Jhata

細胞と細胞の接触で免疫反応を惹き起こす

←Tリンパ球はBリンパ球のような抗体産生能力はない☆移植された細胞・組織に対する免疫①移植:細胞,組織,臓器を他の部位または他の個体に移し植える

・自家移植:自分もの・同種移植:同種の他の個体(ヒトからヒト)・異種移植:異種の動物(ブタからヒト)

移植できる組織・臓器骨髄,腎臓,肝臓,心臓,肺など

②移植免疫:同種の別の個体からの移植(同種移植)の際→移植片に対する免疫反応→ ③拒絶反応:移植片を異物と認識し抗原とする←組織適合抗原(主要組織適合抗原:MHC←T細胞が認識)

④移植片対宿主反応(graft-versus-host disease, GVHD)G:移植された組織(移植片),H:移植を受けた個体

移植を受けた個体が移植片を異物(抗原)と認識して攻撃する

細胞性免疫

98Jhata

免疫不全(免疫異常)とは

体液性免疫または細胞性免疫,あるいは両方の機能が低下した状態

1)先天性免疫不全生まれながらに免疫能が低下種々の病態(T細胞性,B細胞性)

例)重症複合免疫不全症

2)後天性免疫不全①薬物,放射線により骨髄の機能が低下→T,B細胞↓

白血病などの治療臓器移植後

②HIV感染による(→AIDS)ヘルパーT細胞にHIV感染→死滅→免疫能の低下

99Jhata

エイズとは?

✓ HIVウイルスの感染✓ HIVウイルスはRNAウイルス✓ 感染媒体:血液,精液,母乳,膣分泌液✓ 感染経路:注射器の使い回し,輸血,性行為,母乳

AIDS:Acquired Immune Deficiency Syndrome後天性免疫不全症候群

T細胞の表面に付着→破壊

①ヘルパーT細胞の障害B細胞の成熟阻止↓抗体の産生障害→細菌などの感染

②細胞性免疫の障害(キラーT細胞の障害)ウイルス,真菌などの感染がん細胞の増殖 100Jhata

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jhata 26

アレルギーと自己免疫疾患

アレルギー生体に有害な免疫反応をアレルギーと呼ぶ→自己にとって不都合(不利益)になる免疫反応

◎アレルギーを惹き起こす因子(通常は外来性抗原による免疫反応)→アレルゲン

Ⅰ型:一旦感作された抗原に接触した場合即座に反応する即時型またはアナフィラキシー型アレルギーとも呼ばれるIgE,肥満細胞(マスト細胞)などが関与

II型:細胞傷害性抗体を介する例)AB型不適合溶血性貧血

A型→抗B型抗体をもつ,そこへB型の血液が移入→溶血III型:抗原・抗体複合体→自己の組織を傷害(自己免疫性疾患)IV型:遅延型アレルギー反応

抗原に接して48時間後におきる←T細胞を介する(細胞性免疫)(V型:)

101Jhata

IgE抗体

ヒスタミン顆粒の放出

血管透過性の亢進平滑筋の収縮分泌亢進

抗原に感作 肥満細胞表面にIgE抗体を表面に持つ

アレルギー性鼻炎花粉症、アトピー性皮膚炎食物アレルギー薬物アレルギー

アナフィラキシーショックになることがある

Ⅰ型アレルギー

:感作された(前に抗原として認識した)抗原に再び接触した場合,

即座に反応→即時型またはアナフィラキシー型アレルギーIgE,肥満細胞(マスト細胞)などが関与

102Jhata

III型アレルギー:抗原・抗体複合体→自己の組織を傷害

自己の細胞や組織が抗原となる自分のものが抗原・抗体反応を通して自分を攻撃するその免疫反応による病気→自己免疫疾患(III型アレルギー)

自己免疫疾患

☆本来は抗原として認識されない自己の細胞成分が抗原となる(例えば・核,ミトコンドリア,平滑筋など)

→抗体ができる→抗原抗体反応が起き,抗原抗体複合物ができる→抗原抗体複合物が自分の細胞を攻撃→病気になる

膠原病;全身性エリテマトーデス(SLE),関節リウマチ,リウマチ熱など

抗原

抗原抗体複合物

抗体

抗原抗体複合物が自己の細胞・組織を攻撃

傷害

傷害

103Jhata

腫瘍とは:身体に出来た塊(できもの)の総称

がんはその一部

①細胞の異常な増殖によって起きる②一つの細胞からはじまる③良性腫瘍と悪性腫瘍からなる

④自分の身体のある場所(部位)に生じる発生した組織に似る

104

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jhata 27

細胞が増える(細胞分裂による)←生命の維持に必須

①受精卵から個体へ

②寿命がきた細胞が生まれ変わる③傷が元通りに治る(創傷治癒,再生)

細胞分裂期

刺激が加わると再び細胞周期に戻る(G1)

細胞の増殖は細胞周期による↑遺伝子の役割

分裂が終わると細胞は安定期に入る(G0)

105 106

①秩序ある(制御された)細胞増殖・受精卵→個体形成・寿命がきた細胞がよみがえる(再生)・創傷治癒←傷ついた場所が治る

②無制限の(制御されない)細胞増殖→細胞周期を回り続ける→腫瘍

細胞が増える←遺伝子によって調整されている

制御された細胞増殖の時は必ずG0期に戻る

正常細胞

異常

正常細胞

細胞死(自殺)

異常

変異細胞

がん転換細胞不死化

がん細胞の成り立ち

107

殆どの場合

108

腫瘍の分類は出てきた場所と悪性か,良性かによって決まる

上皮性組織 非上皮性組織

良性 腺腫,パピローマ 血管腫,筋腫,骨腫など など

悪性(がん) 癌腫 肉腫

胃癌, 肺癌, 大腸癌 平滑筋肉腫,横紋筋肉腫子宮頚癌,乳癌, 骨肉腫, 血管肉腫など前立腺癌,腎癌,膀胱癌

など

上皮性組織とは:体の表面をおおう皮膚,消化管および肝,腎,膀胱など非上皮性組織とは:骨,軟骨,血管など中胚葉由来組織

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jhata 28

癌腫カルシノーマ

大腸

子宮

腎臓腎細胞癌

肺癌

胃癌

大腸癌

子宮癌

上皮性組織:からだの表面を覆う組織

jhata109

肉腫サルコーマ

骨髄

横紋筋肉腫滑膜肉腫

リンパ節などリンパ腫

白血病

骨肉腫

非上皮性組織:からだの深いところの組織

筋肉結合組織

血管

がん(悪性腫瘍の総称):癌腫と肉腫 がんの性格

①発生した場所の細胞に似かよる②細胞の質が悪い

・細胞の増殖が早い・細胞の形がいびつ(異型性)

③発生部位では正常の組織へ分け入るよう増える

④他の臓器・組織へ移る(転移)

⑤個体を滅ぼす

jhata110

発育形式がんは正常の組織を分け入るように発育

良性腫瘍:膨張性に発育 悪性腫瘍:浸潤性に発育

111 112

悪性腫瘍の拡がり(転移)

転移とは:原発巣から離れた(遠隔の)臓器・組織に運ばれ,そこで新たに増殖すること→悪性腫瘍(がん)の最も重要な性質の一つ

①リンパ行性:リンパ管内

ウイルヒョウ転移(左鎖骨下リンパ節)

②血行性:血管(静脈)内

肝,肺,骨,脳

③播種(はしゅ):体腔内(胸腔,腹腔など)

に散らばる状態

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jhata 29

114

がんの発生原因

がんは遺伝子の病気である,従って,遺伝子に異常を起こす要因はすべてがんの原因となる

①化学的因子:アゾ色素(膀胱癌←職業がん),アスベスト,タール,ホルモン(エストロゲン→乳癌,男性ホルモン→前立腺)

免疫抑制剤(臓器移植後にがんになりやすい)

②物理的因子:放射線(白血病,甲状腺癌),紫外線,機械的刺激など

③生物学的:ウイルス(DNAウイルス,RNAウイルス)

④がん遺伝子,がん抑制遺伝子

⑤遺伝的要因

⑥誘因食物など生活習慣

日本人;胃癌,食道癌→肺癌,乳癌,大腸癌←食生活の変化

欧米人;肺癌,乳癌,大腸癌

がんウイルス

①DNAウィルス:

宿主の遺伝子(染色体)に取り込まれる

例)ヒトパピローマウイルス(HPV),B型肝ウイルス

Ebstein-Bar ウイルス(EB)

②RNAウィルス:DNAに転写する機能をもつ

→遺伝子に影響を与える

RNAウイルスはそれ自体では遺伝子に影響を与えることができない

→細胞に侵入後RNAを鋳型としてDNAを形成

例)成人型T細胞白血病(HTLV),C型肝炎ウイルス

115

DNAは4種類の塩基からなる

A:アデニンT:チミンG:グアニンC:シトシン

A-T, G-C

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jhata 30

遺伝情報遺伝子(DNA)が担う

機能の担い手

蛋白質へ翻訳

RNAに転写される

必要な時期に必要な遺伝子が転写される

20

情報はDNAによって伝えられるが機能の実際の担い手は

蛋白!!

がん遺伝子とがん抑制遺伝子

抑制遺伝子(ブレーキ)がん遺伝子(アクセル)

がん遺伝子の活性化 がん抑制遺伝子の不活化

118

がん遺伝子の活性化機構

1,点突然変異

2,染色体転座

3,遺伝子増幅

がん遺伝子とは:正常に存在し,細胞の増殖や分化に関わっている遺伝子がさまざま機序(1,2,3)によって活性化され,がん化に導く

119

がん抑制遺伝子

がん抑制遺伝子とは:がんの発生を抑える遺伝子,

この遺伝子の機能がなくなる(喪失する)とがんが発生する

・幼児に発生する家族性の網膜芽細胞腫で発見された

・劣性のがん生殖系列細胞において対立遺伝子の一方が変異をもつ

メンデルの法則

★2ヒットの法則 (生まれつき片方の染色体(遺伝子)に異常(欠損)がある(1ヒット目)→生まれてきてからもう一方の染色体に異常がおきる(2ヒット目)→「がん」になる例)網膜芽細胞腫→13q14(Rb遺伝子)

家族性大腸ポリポーシス→5q21(APC)P53(17p53)

120

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jhata 31

臨床期

10 20年

3cm

年数

1cm

1~5年

0.1cm

潜伏期 臨床期

がん細胞の発生

PETで発見可能

早期がん血管新生

121

遺伝子異常による突然変異

異常な細胞ばかりが増える

また突然変異がおきるまた突然変異がおきる(転移する能力

がん発生から転移にいたるまで

正常組織 初期のがん 進行がん 転移

遺伝子の異常によりがんが発生するが,何段階もの異常が重なって悪性化が進む

122

部位別がん罹患率(2003年)

64万人の新しいがん患者・男性:37万人,女性:27万人

胃癌74

大腸癌85

*肺癌56

前立腺40

肝癌85

胃癌74

大腸癌85

肺癌56

乳癌47

子宮癌卵巣癌30

単位:千人

肝癌23

123

がんの予防予防の考え方

1, 真の予防日常生活に気をつけてがんに罹らない ようにする

食事,嗜好品,社会生活

2, 早期のがんをみつける←自覚症状のない内に

がん検診

124Jhata

Page 32: 管理栄養士国家試験対策講座10 11 細胞の傷害とその対応jhata99.org/pdf/kanrieiyoushi_byouri.pdf · 管理栄養士国家試験対策講座10_11 病理学 ①細胞傷害とその適応

2011/1/17

jhata 32

①有効な検診便潜血の大腸癌検診細胞診による子宮癌検診マンモグラフィーによる乳癌検診X線による胃癌検診

②あまり有効ではない検診肺癌検診

☆検診が有効であるかどうかの検証:検診を受けたグループと受けないグループを2つに分ける(無作為)↓

癌による死亡率を比べる←エビデンスに基づいた検証

がん検診

125Jhata

☆早期のがん,つまり自覚症状のないうちにがんをみつける→がん検診実は有効な検診と有効でない検診がある

口腔 ◎ ○ 酒で↑

鼻腔と

副鼻腔◎ ○

上咽頭 ○ ○

中咽頭と

下咽頭◎ ○

食道 ◎ ○ 酒↑

胃 ◎ ○

大腸(結腸・直腸) *

肝臓 ◎ ○

膵臓 ◎ ○

喉頭 ◎ ○ 酒↑

肺 ◎ ○全ての組織型

女性乳房 -

子宮頸部 ◎ ○HPVのみではない

子宮体部 -

前立腺 *

膀胱癌など ◎ ○

白血病 ◎(骨髄性) ○

その他 *

①喫煙とがんとの因果関係

喫煙者は非喫煙者より1,5倍がんに罹りやすい(20本/1日<)

5x

頭頚部癌

126Jhata