火力発電に係る安全規制の 最近の動向について -...

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火力発電に係る安全規制の 最近の動向について 平成28年2月26日 経済産業省 商務流通保安グループ 電力安全課 高橋 建多 平成27年度中国地区ボイラー・タービン主任技術者会議資料

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火力発電に係る安全規制の最近の動向について

平成28年2月26日

経済産業省 商務流通保安グループ

電力安全課 高橋 建多

平成27年度中国地区ボイラー・タービン主任技術者会議資料

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本日お話しする内容

1.火力発電の現状について

2.火力発電設備に係る規制緩和の検討状況について

3.電力システム改革に伴う電気事業法改正について

4.公害関係電気工作物の注意事項について

5.今後の電気保安のあり方について(電気保安規制のスマート化)

2

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1.火力発電の現状について

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震災後の電源構成の変化

火力発電の現状について①

5% 12%

23% 23% 25% 28% 27% 26%2%

22%

32%43%

48%48% 51% 52%

73%21%

5%

12%16%

13% 11% 10%17%

13% 8%

9%

9% 9% 11% 12%3%

32% 32%

12%2% 1% 0% 0%

3%

32% 32%

12%

2% 1% 0% 0%

80%

55%60%

79%

89% 90% 89% 88%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

100%

1973年度 1993年度 2010年度 2011年度 2012年度 2013年度 2014年4月 5月

電気事業者(一般・卸)の電源構成推移(発電電力量比率)

石炭火力発電比率 LNG火力発電比率 石油等火力発電比率 水力等発電比率

原子力発電比率 原子力発電比率 火力発電比率

○震災後、各原子力発電所が順次定期検査に入り長期停止しているため、国内発電量に占める原子力の比率は大幅に低下。

○電気事業者(一般・卸)の発電量に占める火力発電比率は約9割まで上昇。特にLNG火力が5割近くを占めている。これは石油ショック前よりも比率としては高い水準

出典:電力調査統計及び事業者からのヒアリングにより作成

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火力発電の現状について②

昨冬の火力発電所の計画外停止(故障・トラブル)について

(注1)日々の点検で認知した欠陥を十分な供給予備力を有するタイミング(主に夜間・休日)で計画的に補修したようなケースは含めず、故障・トラブルの発生によりユニットを系統より切り離す必要のあったものに限って産業保安監督部への報告対象として集計。一方、総合資源エネルギー調査会電力需給検証小委員会の報告書(平成27年4月30日)では、このような予防保全等を目的とした停止も含め、電気事業法に基づく供給計画で予定されていなかった火力発電設備の停止を全て集計したものであり、件数が異なる。

(注2)夏季は9月末現在、冬季は2月末現在のユニット数。地熱発電所、内燃力発電所、長期計画停止しているユニット等は含まない。

計画外停止の報告件数の推移

平成24年度 平成25年度 平成26年度

夏季 冬季 夏季 冬季 夏季 冬季

合計 38 18 18 11 24 15うち運転経過年数

(40年以上) 8 5 5 1 8 3

うち定検時期延長 11 8 7 3 8 4(参考)ユニット数(注2) 203 206 206 208 210 205

昨冬(平成26年12月1日~平成27年2月28日まで)については、一般電気事業者(沖縄電力を除く9社)の火力発電所において、重大な事故は発生しておらず、新規ユニットの不具合事案(4件)を除けば、概ね平成25年度冬季と同様の保守管理状況が維持されている。

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火力発電の現状について③

2015年度冬季の電力需給見通しについて

1.2015年度冬季の電力需給は、①厳寒となるリスクや②直近の経済成長の伸び、③企業や家庭における節電の定着などを織り込んだ上で、いずれの電力会社においても電力の安定供給に最低限必要とされる予備率3%以上を確保できる見通しである。

2.北海道電力も予備率14.0%を確保できる見通しであるが、他電力からの電力融通に制約があること等から、昨年と同様に、電源脱落リスクへの特段の対応を行うことが必要である。

【平成27年10月30日電力需給に関する検討会合より】

(万kW) 東日本3社

北海道 東北 東京 中西日本6社

中部 関西 北陸 中国 四国 九州 9電力 沖縄

①最大電力需要 6,791 543 1,408 4,840 8,460 2,356 2,496 529 1,067 497 1,515 15,251 115

②供給力 7,272 619 1,493 5,160 8,981 2,499 2,579 557 1,170 528 1,648 16,254 168

②供給-①需要(予備率)

481(7.1%)

76(14.0%)

85(6.1%)

320(6.6%)

521(6.2%)

143(6.1%)

83(3.3%)

28(5.3%)

103(9.6%)

31(6.2%)

133(8.8%)

1,003(6.6%)

53(46.1%)

(万kW) 東日本3社

北海道 東北 東京 中西日本6社

中部 関西 北陸 中国 四国 九州 9電力 沖縄

①最大電力需要 6,791 543 1,408 4,840 8,460 2,356 2,496 529 1,067 497 1,515 15,251 115

②供給力 7,272 619 1,493 5,160 8,919 2,499 2,579 557 1,170 528 1,586 16,192 168

②供給-①需要(予備率)

481(7.1%)

76(14.0%)

85(6.1%)

320(6.6%)

459(5.4%)

143(6.1%)

83(3.3%)

28(5.3%)

103(9.6%)

31(6.2%)

71(4.7%)

941(6.2%)

53(46.1%)

(参考)川内原発2号機の再稼働を考慮した場合

※2011年度並みの厳冬を想定し、直近の経済見通し、2014年度冬季の節電実績を踏まえた定着節電を織り込み。(北海道電力及び沖縄電力管内は厳寒であった2010年度並み、東北電力及び東京電力管内は2013年度並み)

2015年度冬季(2月)の見通し※

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火力発電の現状について④

(1)全国(沖縄電力を除く)での取組全国において「数値目標を伴わない一般的な節電の協力を要請※」することに加え、万が一、

大規模な電源脱落が発生した場合にも、そのリスクを最小化するため、電力会社に対し発電設備等の保守・保全を強化することを要請する等の対策を講じる。また、産業界や一般消費者と一体となった「節電・省エネキャンペーン」(次頁)を実施する。※期間は12月1日(火)から3月31日(木)までの平日(ただし、12月29日(火)から31日(木)までを除く。)9時から21時まで(北

海道電力及び九州電力については8時から21時まで)

(2)北海道における追加的な取組冬季の北海道の特殊性を踏まえ、計画停電を含む停電を回避するため、過去最大級(137

万kW)を上回る電源脱落の発生に備え、ネガワット入札等の仕組みを整備することとする。

(3)その他政府は、厳寒による需要の急増や、発電所の計画外停止の状況等を不断に監視し、必要に

応じて、更なる追加的な需給対策を検討する。特に北海道においては、状況に応じて、計画停電回避緊急調整プログラムを実施することや、数値目標付きの節電協力要請を検討する。

2015年度冬季の電力需給対策

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(参考) 「節電・省エネキャンペーン」の実施について

(1)産業界や一般消費者と一体となった節電・省エネの推進

(2)政府による積極的な広報の展開

民間企業などと協力し、節電・省エネを行う一般消費者に有益な情報をホームページ等において提供するとともに、民間企業などで実施している節電・省エネの取組を募集し、サイト上で紹介する。

節電協力要請期間中、節電・省エネをテーマにした展示会、イベント等において、政府から節電・省エネの取組を積極的に周知する。また、具体的でわかりやすい節電メニューを作成し、各種メディアやHP等により、節電・省エネを呼びかける。

節電協力要請期間における特別の取組

①電力需給連絡会の開催電力需給が厳しい北海道電力管内において、11月中に、北海道経済産業局及び関係自

治体が、産業界を集めた電力需給連絡会を開催し、節電への協力を要請する。

全国での取組

北海道における追加・重点的な取組

②街頭キャンペーン等のイベントの実施北海道経済産業局、関係自治体及び北海道電力が連携して、節電期間が始まる12月初

頭に、街頭で節電・省エネへの呼びかけ等を集中的に実施する。また、北海道経済産業局において、セミナー開催、冊子配布、省エネ・スマホアプリの無料配信等とともに、メディアを積極的に活用して、企業や家庭への周知徹底を図る。

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火力発電の現状について⑤

2015年度冬季の電力需給見通しを見直しました

関西電力は1月29日に高浜原子力発電所3号機を起動し、昨日、定格熱出力一定運転に達しました。これを受けまして、関西電力における電力の供給力が増加しましたので、2015年度冬季の電力需給見通しについて、見直しを行いました。

平成28年2月5日ニュースリリース

背景

昨年10月の今冬の電力需給の検証においては、関西電力管内では、節電の定着を見込んだ上で、本年2月における供給予備率の見込みが3.3%でしたが、高浜原子力発電所3号機の再稼働による供給力の増加により、予備率6.9%を確保できる見通しとなりました。

火力のフル稼働や定期検査の繰り延べなどによって供給力を確保してきた状況の中で、今回の再稼働により、予期せぬ事故等、万一のトラブルへの対応力も増すことになりますが、国民の皆様におかれては、引き続き、節電・省エネ対策へのご理解、ご協力をお願いいたします。

今冬の電力需給について

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火力発電の現状について⑥

今冬(2月)の需給見通しの見直し

関西電力の供給力:+89万kW内訳 高浜3号機稼働 :+87万kW

火力トラブル等 :▲47万kW(新姫二2号機):+17万kW(既設姫二の増)

揚水供給力の増 :+32万kW

(万kW) 東日本3社

北海道 東北 東京中西日本

6社中部 関西 北陸 中国 四国 九州 9電力

①最大電力需要 6,791 543 1,408 4,840 8,460 2,356 2,496 529 1,067 497 1,515 15,251②供給力 7,272 619 1,493 5,160 9,070 2,499 2,669 557 1,170 528 1,648 16,343

②供給-①需要(予備率)

481(7.1%)

76(14.0%)

85(6.1%)

320(6.6%)

610(7.2%)

143(6.1%)

173(6.9%)

28(5.3%)

103(9.6%)

31(6.2%)

133(8.8%)

1,092(7.2%)

○高浜原発3号機稼働後の需給見通し

1基稼働(高浜原発3号機、+87万kW)

(万kW) 東日本3社

北海道 東北 東京中西日本

6社中部 関西 北陸 中国 四国 九州 9電力

①最大電力需要 6,791 543 1,408 4,840 8,460 2,356 2,496 529 1,067 497 1,515 15,251②供給力 7,272 619 1,493 5,160 8,981 2,499 2,579 557 1,170 528 1,648 16,254

②供給-①需要(予備率)

481(7.1%)

76(14.0%)

85(6.1%)

320(6.6%)

521(6.2%)

143(6.1%)

83(3.3%)

28(5.3%)

103(9.6%)

31(6.2%)

133(8.8%)

1,003(6.6%)

○当初見通し(10/26 電力需給検証小委員会報告書)

※ 四捨五入のため合計が合わないこともある。

・関西電力は、高浜発電所3号機の再起動は1月下旬、4号機は2月下旬としていたところ、3号機については1月29日に再起動し、昨日(2月4日)、定格熱出力一定運転に達した。

・関西電力は、4号機については、2月下旬に再起動し、3月上旬に定格熱出力一定運転に達する予定としていることを踏まえ、3月においては4号機の稼働も考慮した場合の試算についても併せて示す。

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火力発電の現状について⑦

今冬(3月)の需給見通しの見直し

(万kW) 東日本3社

北海道 東北 東京中西日本

6社中部 関西 北陸 中国 四国 九州 9電力

①最大電力需要 6,111 505 1,316 4,290 7,643 2,193 2,261 501 963 431 1,294 13,754②供給力 7,140 594 1,403 5,143 8,393 2,369 2,331 551 1,037 486 1,619 15,533

②供給-①需要(予備率)

1,029(16.8%)

89(17.6%)

87(6.6%)

853(19.9%)

750(9.8%)

176(8.0%)

70(3.1%)

50(10.0%)

74(7.7%)

55(12.8%)

325(25.1%)

1,779(12.9%)

○当初見通し(10/26 電力需給検証小委員会報告書)

(万kW) 東日本3社

北海道 東北 東京中西日本

6社中部 関西 北陸 中国 四国 九州 9電力

①最大電力需要 6,111 505 1,316 4,290 7,643 2,193 2,261 501 963 431 1,294 13,754②供給力 7,140 594 1,403 5,143 8,650 2,369 2,588 551 1,037 486 1,619 15,790

②供給-①需要(予備率)

1029(16.8%)

89(17.6%)

87(6.6%)

853(19.9%)

1,007(13.2%)

176(8.0%)

327(14.4%)

50(10.0%)

74(7.7%)

55(12.8%)

325(25.1%)

2,036(14.8%)

(万kW) 東日本3社

北海道 東北 東京中西日本

6社中部 関西 北陸 中国 四国 九州 9電力

①最大電力需要 6,111 505 1,316 4,290 7,643 2,193 2,261 501 963 431 1,294 13,754②供給力 7,140 594 1,403 5,143 8,509 2,369 2,447 551 1,037 486 1,619 15,649

②供給-①需要(予備率)

1,029(16.8%)

89(17.6%)

87(6.6%)

853(19.9%)

866(11.3%)

176(8.0%)

186(8.2%)

50(10.0%)

74(7.7%)

55(12.8%)

325(25.1%)

1,895(13.8%)

○高浜原発3号機稼働後の需給見通し

※ 四捨五入のため合計が合わないこともある。

関西電力の供給力:+116万kW内訳 高浜3号機稼働 :+87万kW

火力トラブル等 :▲47万kW(新姫二2号機):+18万kW(既設姫二の増)

揚水供給力の増 :+57万kW

1基稼働(高浜原発3号機、+87万kW)

○高浜原発4号機の再稼働を考慮した場合の需給見通し(試算)

関西電力の供給力:+141万kW内訳 高浜4号機稼働 :+87万kW

揚水供給力の増 :+54万kW2基稼働

(高浜原発4号機、+87万kW)

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2.火力発電設備に係る規制緩和の検討状況について

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2.1 次世代自動車等の屋内連系に関する基準の整理について

次世代自動車等の屋内連系に関する基準の整理について(平成27年2月25日)URL: http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2015/02/270223-1.html

次世代自動車等(電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車)を、家屋等の屋内配線に連系する電源とすることについて、平成24年6月29日に電気設備の技術基準の解釈の改正を行い、次世代自動車等から家屋等に電気を供給する際の電気事業法(以下、「電事法」という)の取扱いを明確にしました。その際、当該車両が道路運送車両法(以下、「車両法」という。)に適合していれば、車両法に規定されていない「使用の際の換気に関する事項」を除き電事法の技術基準にも適合していることが確認されました。次世代自動車等を所有される方は、安全を確保する観点から、以下の通り留意点を周知いたします。また、次世代自動車等の製造者等は所有される方が十分に留意することができるように周知をお願いいたします。

1. 発電用火力設備に関する技術基準を定める省令には、第25条第4項に、「内燃機関が一般用電気工作物である場合であって、屋内その他酸素欠乏の発生のおそれのある場所に設置するときは、給排気部を適切に施設しなければならない。」と記載されています。また、第33条第2項に、「燃料電池設備が一般用電気工作物である場合であって、屋内その他酸素欠乏の発生のおそれのある場所に設置するときは、給排気部を適切に施設しなければならない。」と記載されています。

2. これらの一般用電気工作物の技術基準への適合についてその保安責任は所有者又は占有者である旨が、電気事業法第56条に定められています。

3. したがって、次世代自動車等を利用して家屋等へ電気を供給する際、車庫内など換気が悪い場所や囲まれた場所では、酸素欠乏を防ぐため、給排気を可能とする関連装置等を適切に設置して、使用してください。また、車庫内など換気が悪い場所や囲まれた場所では、エンジンをかけたままにしないようにご留意ください。

【経緯】「(報告)時代が要請する新たな課題への対応状況」(平成25年12月17日電力安全小委員会資料4)の「21.

次世代自動車の屋内連携に関する基準の整理」において、「プラグインハイブリッド車の原動機については、法令的整理が済み、道路運送車両法に適合していれば電気事業法の技術基準にも概ね該当していることが確認された(ただし、使用の際の換気に関する規定については道路運送車両法で規定されていないため、使用の際には換気を行うよう、事業者及び国から注意喚起を行う必要がある)ため、その旨周知する」ことにしていた。

火力発電設備に係る規制緩和の検討状況について①

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火力発電設備に係る規制緩和の検討状況について②

2.2 「発電用火力設備の技術基準の解釈」の一部改正について

1) 皿形及び半だ円体形の鏡板[1]において、内圧による過剰な応力集中が生じないよう、寸法精度に関する日本工業規格(以下「JIS規格」という。)を引用する。

2) 近年、炭素鋼鋼管は溶接により取り付けられる場合が多いが、現行規定では、ころ広げや縁曲げなどの機械的接合[2]を想定した最小厚さ制限が設けられている。当該厚さ制限は、溶接による接合の際には不要であることから、機械的接合の場合にのみ適用することを規定する。

3) 地下式貯槽では、外部から作用する土圧や水圧といった外圧に比べて、貯槽内部のガス圧力等の内圧が小さい場合が想定される。このため、貯槽が外圧に耐えられることを確認する必要があるが、通常の貯槽と同様に貯槽内に水を張った場合、貯槽内部の水圧によって外圧が相殺されてしまう。これを踏まえ、ガス事業法と同様の水張りを用いない耐圧試験方法に見直す。

4) 低温貯槽の耐圧試験における貯槽内部の気体圧力を、ボイラー等の規定に合わせて1.5倍から1.25倍に見直す。

5) これまでベローズ[3]は管にしか適用できなかったが、これまでにベローズと胴を直接溶接して取り付ける特殊な容器について認可を受けて使用した実績があり、構造上問題が生じていないことから、一部の容器にも適用できるようにする。

6) 曲げ試験において、これまで型曲げ試験[4]しか認められていなかったところ、ローラ曲げ試験[5]が型曲げ試験と同等の効果が得られることを確認したため、全ての曲げ試験にローラ曲げ試験も適用できるようにする。

①日本電気技術規格協会からの要請等の取り入れ(1/3)

[1]容器の端を塞ぐ板で、その形状は皿形や半だ円体形が多い。[2]溶接等の様に熱により溶かすことなく、押し広げること等により接合する方法。[3]伸縮することにより熱膨張による変形を吸収する蛇腹状の筒。[4]型を用いて短冊状の試験片を曲げる試験。[5]ローラを用いて短冊状の試験片を曲げる試験。

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火力発電設備に係る規制緩和の検討状況について③

2.2 「発電用火力設備の技術基準の解釈」の一部改正について

7) 地下式液化ガス貯槽[6]において、構造設計(第65条)で引用しているLNG地下式貯槽指針(JGA指-107-12)と溶接部の設計(第154条)での整合化を図るため、リングプレート[7]を追加する。

8) 高クロム鋼(18鋼種)の使用について安全性に配慮するため、高温での長時間の使用に対する注意事項を追加する。

9) 溶接施工法確認試験[8]での確認項目における揺動[9]に関する内容について、構造物の寸法形状、開先形状等に応じて溶接条件を微修正するために許容される変動幅を設ける。

10) 溶接士技能試験[10]で用いる試験材の厚さについて、JIS規格の区分に整合させる。11) 近年、溶接後熱処理[11]を行わなければ硬化する特殊な材料も用いられているため、このような

材料を溶接士技能試験で用いる場合における溶接後熱処理の方法を新たに規定する。12) 高所や狭い場所で手溶接を行うためには、特定の溶接士の資格[12]が必要だが、当該資格の試

験(拘束)の定義を明確化する。13) 溶接金属の主要成分について、JIS規格におけるクロム含有量の値と整合を図る。14) 溶接後熱処理の温度範囲と溶接部の厚さに応じた保持時間について、一部母材における靭性

が低下しないよう、適正な温度に修正する。

①日本電気技術規格協会からの要請等の取り入れ(2/3)

[6]液化した天然ガスを地下に貯蔵するタンク。[7]リング状になった補強用の屋根板。[8]発電所で施工することができる溶接であるか確認する試験。[9]溶接中に付加される金属材料(溶加材)を移動させること。[10]発電所で施工することができる溶接技量があるか確認する試験。[11]溶接部を高温に加熱することで、溶接部の性質を改善する処理。[12]作業しにくい場所での溶接のための資格で、3方を壁と天井等で囲い狭い空間で試験を行い合格となった溶接士。

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火力発電設備に係る規制緩和の検討状況について④

2.1「発電用火力設備の技術基準の解釈」の一部改正について

15) 溶接後熱処理において、通常の温度よりも低温で長時間保持した場合、強度や靭性が改善しない材料がある。そのため、通常よりも低温で長時間保持する熱処理であっても、強度や靭性が改善する材料を明記する。

16) 継手同士の接続箇所について、放射線透過試験[13]を要求しているが、当該接続箇所を分かりやすい表現に書き換えるとともに、図を追加することで明確化する。

17) 放射線透過試験の方法や判定基準について、JIS規格を引用し、明確化を図る。18) 径の小さい管台[14]ののど厚[15]について、ボイラー等に関する米国機械学会規格(以下、「ASME

規格」という。)と整合化を図る。19) 管台を取り付ける継手の溶接において、外径の下限値が設定されているが、継手の応力解析

の結果や、特別に下限値以下の外径の管台を使用したものについて認可を受けた実績があり、問題が生じていないことを確認したので、当該下限値を削除する。

20) 初層部のみにティグ溶接[16]を行った場合の溶接施工法確認試験では、裏側のみを曲げる試験が要求されている。しかし、溶接継手は裏側と表側の両方を曲げる試験により性能を確認する方が適切であるため、初層部のみにティグ溶接を行った場合でも裏側と表側の両方を曲げる試験を行うこととする。

①日本電気技術規格協会からの要請等の取り入れ(3/3)

[13]X線を照射し、溶接箇所の接合状態を検査する試験。[14]容器等に取り付けられる枝の様に出ている管。[15]溶接した厚さ。[16]タングステンを電極としたアーク熱で溶加材と母材を溶かし、アルゴンガスで空気を遮断する溶接。

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火力発電設備に係る規制緩和の検討状況について⑤

2.2 「発電用火力設備の技術基準の解釈」の一部改正について②ASME規格を踏まえた安全率の見直し等について

・「平成25年度電気施設技術基準国際化調査(発電設備)」において、安全率の国際整合化について調査・検討を行ったところ、火技解釈においても安全率3.5を取り入れても問題がないという報告がなされ、火技解釈を安全率3.5に見直すことを前提に材料許容応力、引用JIS、試験検査方法の見直し等について検討を開始した。

・液化ガス設備及びガス化炉設備を除いた設備については、安全率を4.0から3.5に見直し、また、併せて、日本機械学会が作成した「JSME規格基本規定(2012年版)」(JSME2012)を火技解釈に取り入れる形で、平成27年12月から平成28年1月にかけて火技解釈の一部改正案のパブリックコメントを実施したところであり、今後、火技解釈を一部改正していく。

・液化ガス設備及びガス化炉設備については、「平成27年度発電用火力設備技術基準等国際化調査」において、火技解釈を安全率3.5に見直すことを前提に材料許容応力、引用JIS、試験検査方法の見直し等について調査・検討中。

2.3 その他(電力安全小委員会報告事項)○火力設備における定検延長時期変更承認内規の見直しについて・小型ガスタービン(出力1万kW未満)については、定期事業者検査の検査時期延長の期間の限度として6年間という上限を付していますが、使用頻度が極めて低く稼働時間も短い設備の場合は、定期事業者検査の検査実施の延長期間に上限を付す理由は乏しいことから、上限年数を撤廃し、平成27年4月3日付けで「火力設備における電気事業法施行規則第94条の2第2項第1号に規定する定期事業者検査の時期変更承認に係る標準的な審査基準例及び申請方法等について」(内規)を一部改正した。http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2015/04/270408-5.html

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3.電力システム改革に伴う電気事業法改正について

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(1)使用前自己確認制度の創設について

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電力システム改革第2弾に伴う保安規制の主な改正点

• 電力システム改革第2弾のための法改正(平成26年6月公布、平成28年4月施行予定)において、事業規制の見直し(電気事業の事業類型の見直し等)にあわせ、保安規制についても所要の改正を措置。主なポイントは以下2点。

• 改正に対応し、所要の省令等の整備を行う必要。

(1) 電気事業の用に供する電気工作物の再定義

・ 現行保安規制においては、著しい供給支障を防止する等の観点から、事業規制側の定義を引用し、「電気事業の用に供する電気工作物」の設置者に対し、より厳格な規制を課している。

具体的には、事業規制側では、一般電気事業、卸電気事業、特定電気事業、特定規模電気事業が「電気事業」として定義されており、保安規制としては、これらの事業を営む者に対し、保安規程、主任技術者、事故報告などのソフト規制において厳格な規制を課している。

・ 第2弾改正での発送電分離により、これらの事業区分が見直されたことから、保安規制においても、厳格な規制の対象とすべき「電気工作物」について、再定義を行う必要。

(2) 使用前自己確認制度の創設

・ 現行保安規制においては、公共の安全の確保上重要と考えられる一定規模以上の事業用電気工作物については、「工事計画の届出」及び「設備使用前の自主検査、その後の安全管理審査の受審」を義務づけている。

・ 他方、設備の定型化(特に小規模設備)などの技術進歩や保守技術の進歩等により、保安水準が向上してきている設備もあることから、工事計画を不要とし、設備使用前の自主検査の結果を国に届け出る「使用前自己確認制度」を新設。このため、同制度の詳細な内容(対象となる設備など)を整備する必要。

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使用前自己確認制度の新設(改正後電気事業法第51条の2)

• 工事計画の国への届出は不要だが、使用前に事業者自ら技術基準適合性を確認し、その結果を国に届け出る「使用前自己確認制度」を新設した。

工事計画書の届出

使用前自主検査

工事計画書届出不要

工事計画書届出不要

使用前自己確認確認結果の

届出

使用前安全管理審査(必ずしも使用前に受ける必要なし)

事業用電気工作物の使用開始

国の行為設置者の行為

法律に基づく使用前の検査不要

国が工事計画の審査を実施(原則30日)

事後規制:立入検査や報告徴収など

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制度設計案(使用前自己確認制度の新設)

・燃料電池発電所(単機出力が500kW未満の発電設備を組み合わせるものであって、合計出力が2,000kW未満のもの)と洪水吐きゲート用非常用予備動力設備を制度の対象とすることとしたい。※規定の際には環境関係法規との関係で留意する。

・また、使用前自己確認の具体的方法については、現行の使用前自主検査と同様のものとすることとしたい(ただし、現在の技術水準から検査合理化ができると考えられる部分については、使用前自主検査の方法の見直しも含め、合理化を行うものとする。)。

・なお、対象設備については、今後、電気保安規制のスマート化の中で、リスク評価を実施し、更なる検討を行うこととしたい。

○平成28年1月から平成28年2月にかけて電気事業法施行規則等の一部を改正する省令案のパブリックコメントを実施したところであり、今後、平成28年4月1日施行に向けて省令を一部改正していく。

○また、省令改正等に伴い、対象設備の使用前自己確認の方法に関する解釈を具体的に整備する必要があることから、同時期に「電気事業法施行規則第73条の4に定める使用前自主検査の方法の解釈」の一部を改正していく。

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(2)溶接安全管理検査制度の見直しについて

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電力システム改革第3弾に伴う電気事業法の改正について①

第3弾改正法案は、電力システム改革の第3段階として、公益事業たる電気事業、ガス事業及び熱供給事業に係る制度の抜本的な改革を行うため、電気事業法の一部改正等を行うもので、平成27年3月3日に閣議決定され、第189回通常国会に提出された。

・平成25年11月に成立した第1段階の改正電気事業法(平成25年法律第74号)の改革プログラムに基づき、3段階の改革の総仕上げとして、法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保及び小売電気料金の規制の撤廃を行うとともに、電気事業の規制をつかさどる行政組織を独立性及び高度の専門性を有する新たな行政組織に移行させることとしている。

・また、エネルギー基本計画(平成26年4月11日閣議決定)においては、市場の垣根を撤廃し、電力システム改革と併せて、ガスシステム改革及び熱供給システム改革を一体的に推進することとしている。これを踏まえ、今般、電力、ガス、熱供給に関するエネルギー分野の一体改革を行うことで、総合的なエネルギー市場を創り上げようとするもの。

・これにより、革新的な技術の導入や異なるサービスの融合などダイナミックなイノベーションを創出し、我が国の成長をリードするとともに、エネルギー選択の自由度拡大や、料金の最大限の抑制、安定供給と保安の確保など、消費者利益の向上を図ることを目指している。

・本法律案は、電力、ガス、熱供給に関するエネルギー分野の一体改革を行うため、電気事業法、ガス事業法、熱供給事業法、経済産業省設置法等を改正し、①法的分離による送配電事業及びガス導管事業の中立性の確保、②小売電気料金・小売ガス料金の規制の撤廃に係る措置の整備、③ガスの小売業への参入の全面自由化、④ガス供給における需要家保護と保安の確保、⑤熱供給事業者に対する規制の合理化及び需要家の保護、⑥電力・ガス取引監視等委員会の設立を図る等の措置を講ずるものである。

1.本法律案の趣旨

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電力システム改革第3弾に伴う電気事業法の改正について②

2.法律案の概要

【電気事業法等関係】

本法律案における主な措置事項は以下のとおり。

1.法的分離による送配電事業の中立性の確保1.兼業規制による法的分離の実施2.適正な競争関係を確保するための行為規制の措置

2.経過措置としての小売料金の規制の撤廃に係る措置(経過措置の解除に当たっては競争の進展状況を確認)3.その他の改正事項

1.一般担保付社債の発行の特例の廃止(経過措置の整備)2.需要抑制の活用に係る電力量調整供給に関する規定の整備3.風力発電設備への定期的な検査の導入4.溶接に係る保安規制の合理化

4.検証規定

【ガス事業法関係】

【熱供給事業法関係】

【電力・ガス取引監視等委員会の設立】

電気事業法等の一部を改正する等の法律案が閣議決定されました【平成27年3月3日ニュースリリース】

http://www.meti.go.jp/press/2014/03/20150303001/20150303001.html

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40

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160

180

H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24

事故件数

事故率

○ 火力発電設備の事故件数は、ここ10年概ね横ばい(もしくは漸減)で推移。但し、供給力確保に向けた火力発電所の発電電力量の大幅増を加味すれば、事故率は低下傾向。

○ このうち、溶接施工不良を要因とする事故は約5%程度と少ない。また、溶接安全管理審査において、溶接事業者検査の結果及びその検査体制について不適切とされた事案も極めて少ない。

火力発電設備の事故及びその溶接品質に係る現状

【火力発電所の事故件数の推移】 【汽力発電所における事故とその要因】

(出典)電気保安統計(平成24年度)(電気事業用・自家用計)(注) 遊休火力発電設備の稼働により供給量が急増(H22FY:7713億

kWh → H24FY:9868億kWh)しているため、発電電力量に対する事故率を算出。なお、平成22年度は東日本大震災による事故を含む。

H22 H23 H24 H25

事故件数 98 73 88 79

うち溶接施工不良 3 8 4 4

(出典)産業保安監督部集計(注) 平成23年度は東日本大震災後の供給力確保対応として緊急

的に設置した電源の初期トラブルによるものと考えられる。

【登録安全管理審査機関による審査実績】

H22 H23 H24 H25

審査件数 293 197 200 252

改善の必要性が指摘されたもの

5 3 4 3

(出典)登録安全管理審査機関(7社)集計(注) 品質管理体制が十分に構築されていると評価された事業者に

ついて、過去3年分の複数の溶接事業者検査をまとめて1件の審査として申請する仕組みが導入されており、実際の溶接事業者検査の件数はこれより多い。

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(件/億kWh)(件)

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○ 設置者は、電気工作物の安全性を確保する(技術基準適合維持)義務を負っており、溶接製品の最終的な安全性を確認する責任を負うべき。これはガス事業法も同様の考え方。

○ 溶接施工品質を確保するためには、溶接工程中にしかるべき検査を行うべきことが国際標準(ISO3834)となっており、何れかの者が工程中検査をしっかりと行うことが必要。

他方で、電気工作物の一構成部品に過ぎない溶接製品について、工程中から、 ①製造者による検査に加え、②設置者による施工品質・検査品質の確認(検査記録の確認や立会い)、③検査・確認体制の第三者(登録機関)による審査、の3重チェックを受けることとしている現行制度は必要以上であるとの指摘が強い。

○ 例えば、ガス事業法では、「製造者による工程中検査」の記録を「設置者」及び「登録機関」が「使用前検査」の段階で確認する事後的な3重チェック。また、欧州では、第三者機関による工場認定(品質保証)と製造者による工程中検査の2重チェック。

現行の溶接安全管理検査制度の課題

【平成25年度規制改革実施会議での指摘事項】

「設置者(発注者)への引渡し前の製品に対し、本来製造者が責任を負うべき製造過程の全プロセスについて設置者が体制を構築してまで監視継続しなければならない現行制度は、本当に技術基準適合を確認する上で実効性がある制度なのか、また一般的に製品を購入する場合の責任という視点からも、あまりにも過剰かつ、いびつな規制制度と言わざるを得ない。」

【溶接安全管理検査制度の主な問題点】※平成25年度高効率火力発電設備健全性調査報告書、電事連からのヒアリング等

○審査に対応するため、溶接作業開始前に検査体制、検査手順などを設置者・製造者の間で整備する必要があるため、作業開始に時間を要する(緊急時に即応できない)

○設置者による工程中検査への立会い・記録の確認や審査機関による立会いを行わなければ次の工程に進めない。JIS規格品であっても必要となるため、ラインを止める必要もある。

○審査のために準備すべき記録が過剰、必要以上のバックデータや機密事項等の書類提出が求められるケースあり。○輸入製品に対する審査と格差がある 等

27

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溶接事業者検査の概要①(50万kW級コンバインドサイクル新設の場合の例)

使用前自主検査・安管審

火力発電設備(最終工作物)

28

ボイラー

溶接事業者検査・安管審蒸気ドラム

管寄せA

配管A

溶接部の数

20箇所

200箇所

10箇所

タービン

給水加熱器

配管C

50箇所

10箇所

120単位

30単位

検査単位数

溶接事業者検査・安管審

溶接事業者検査・安管審

溶接事業者検査・安管審

溶接事業者検査・安管審

○ 火力発電設備の設置に際しては、合計1.5万箇所にも及ぶ溶接部について、容器・配管等の部品単位毎に溶接事業者検査及び安全管理審査を実施。

※溶接安全管理審査の審査申請そのものは工事時期が近い複数の検査・審査単位をまとめて行うが、工程中の立会審査などはそれぞれ実施

検査単位

合計約1.5万箇所

配管B 3箇所 溶接事業者検査・安管審

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ケガキ・刻印

材料受入

開先合わせ

開先加工

曲げ加工

材料検査

製造工程

溶接作業

開先検査

溶接作業

中検査

溶接後熱

処理検査

非破壊

検査

機械検査

溶接後

熱処理

組立

耐圧検査

引渡し

外観検査

完成

施工・検査

体制の構築

溶接技能

の確認

技術基準

適合性確認

検査品質の確保

検査工程

・溶接方法の確認

・溶接士資格の確認

・突合せ溶接時の継

手面/母材厚さの

確認

・開先形状の確認

:ホールドポイント(設置者の確認経ない限り、次工程に進まないポイント)

・品質目標などの要求事項の作成・検査計画書の作成・検査装置の管理要領書/校正

記録の提出・教育訓練履歴の提出

・自己評価の作成・製造者の選定評価記録の作成

・材料性状(化学成分

/温度・圧力特性

等)の確認

・溶接方法、・溶接設

備、溶接士の作業

範囲等の適切性確

認・仕上げ面等の確認

・過去実施した同種の溶接方法での検査記録(検査要領書、工程管理記録、検査結果など)の提出

・溶接技能の確認結果の記録作成

・工程毎に、検査要領書、工程管理記録、検査結果、不適合品管理記録などを作成

・ホールドポイントにおける確認結果の記録作成

(場合によっては、製造ラインを止めることが必要)

・溶接事業者検査記録の作成、BT主任技術者による確認、記録保管

・上記検査記録の保管・検査終了表示記録、検査

終了表示管理台帳の作成

紫:製造者(溶接施工業者) 赤:設置者

・放射線透過試験の

要否判断の妥当性、

撮影方法の確認

・継手の仕上げ確認

・熱処理の妥当性(範

囲、厚さ、温度、時

間、熱電対取付位

置など)の確認

・試験片の妥当性(形

状、採取位置、加

工公差等)の確認

・試験機器・治具確認

・試験圧力などの確

認・試験困難な場合の

代替措置の妥当性

確認

・溶接部・継手面の状

態確認

・各検査の実施、基準適合性確認

・検査記録の確認

・検査記録の確認

安管審

・資格の有無の確認等

安管審 安管審

(ホールドポイントでの立会審査)

・登録機関への説明対応 ・登録機関への説明対応・登録機関への説明対応

・登録機関への説明対応

(立会/記録) (立会/記録)

溶接事業者検査の概要②

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国内外の溶接製品の安全確認の仕組み

製造前の品質確認 工程中検査 使用前の検査

溶接製品 最終工作物

電気事業法

ガス事業法

EU

公認検査機関(民間)による工場認定(品質保証)

製造者による検査

登録検査機関による検査記録確認

設置者による検査記録確認・検査

製造者による検査

設置者による溶接方法・溶接士技能の確認

※使用前検査の一環として実施

製造者による検査

製造者による自己評価の作成、検査機器の管理記録の

作成等

国又は登録機関による体制審査

設置者による電気工作物としての確認・検査

設置者による製造者の評価、検査手順書の整備、溶接方

法・技能の確認等

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設置者による確認

登録機関による体制審

設置者による確認

登録機関による体制審

設置者

製造者

第三者機関

凡例

登録機関による体制審

溶接事業者検査

溶接安全管理審査

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【溶接事業者検査への設置者の関与の必要性】

○ 溶接部は、火力発電設備の安全性を確保する上で重要な部位であり、引き続き製造者の溶接施工品質が一定の水準で維持され、溶接部の技術基準適合性が確保されることが極めて重要。このため、溶接事業者検査において、製造者の検査に加え、火力発電設備の技術基準適合維持義務を負う設置者が検査結果の確認を行うことは引き続き重要。

【溶接安全管理審査の合理化】(使用前安全管理審査・定期安全管理審査への統合)

○ 他方、火力発電設備の事故率が低下し、溶接施工不良を要因とする事故や不適切な溶接事業者検査の実施事例も少ない現状を踏まえれば、完成品(最終工作物たる火力発電設備)の検査体制に対する第三者チェック(使用前安全管理審査)のいわば上乗せ措置として、その構成部品の製造過程において、溶接部の検査体制に対する第三者チェック(溶接安全管理審査)を、多大な時間・コストをかけて実施する必要性は減じているのではないか。

○ したがって、溶接事業者検査の実施を引き続き義務づけることにより溶接工程段階での製造者・設置者の2重チェックは維持しつつ、溶接安全管理審査については使用前安全管理審査や定期安全管理審査に統合し、事後的に3重チェックを行う形とすることが適切ではないか。

【溶接事業者検査の合理化】(民間製品認証の活用)

○ なお、平成26年6月の内規改正により、溶接事業者検査において民間製品認証を活用していく方針。これにより、製造者や設置者の記録作成作業(溶接作業前の、施工・検査体制や溶接技能に係る記録の作成など)等を代替・補完することで、保安レベルを維持しつつ溶接事業者検査の合理化を図っていく。

溶接安全管理検査制度の見直しの方向性

31

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製造前の品質確認 工程中検査 使用前の検査

溶接製品 最終工作物

電気事業法

製造者による検査製造者による自己評価の作成、検査機器の管理記録の作成等

国又は登録機関による体制審査

設置者による電気工作物としての確認・検査

設置者による製造者の評価、検査手順書の整備、溶接方法・技能の確認等

32

設置者による確認

設置者による確認

溶接事業者検査

(参考1)溶接安全管理検査制度の見直しのイメージ

○溶接事業者検査の記録は「使用前安全管理審査」「定期安全管理審査」の中で適切性を審査。

○なお、作成・保存すべき記録については、製造者による検査要領書、工程管理記録、検査結果、不適合品管理記録や設置者によるこれらの確認記録など国際規格で作成・保存が求められているものに限定する等の合理化を図る。

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4.公害関係電気工作物の注意事項について

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4.公害関係電気工作物の注意事項について

国内で稼働中の火力発電所においては、法令遵守に基づいた自主保安として、環境規制遵守はもとより様々な環境配慮の取組を進めてこられている中、今般、常磐共同火力株式会社勿来発電所においてばい煙に係る排出ガス量データを長期にわたり不適切な処理をしていたという事実が明らかとなりました。

今回の事案を受け、同様の事案が発生していないかの水平展開を全産業保安監督部を通じてお願いしているところではありますが、同様事案の発生防止に向け事業者等に対して電気事業法及び大気汚染防止法等の法規制に係る法令遵守の徹底と合わせて従業員教育などもご対応頂けるようお願いします。

http://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2016/01/280122-1.html

火力発電所に係る法令遵守の徹底について【平成28年1月22日公表】

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5.今後の電気保安のあり方について(電気保安規制のスマート化)

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電気保安規制のスマート化(コンセプト)

○ 再エネ関係を中心に技術革新・ビジネススピードが加速。

○ 一方で、硬直的な技術基準・解釈により、新技術や輸入製品の活用に遅れ。

技術革新・ビジネススピードの加速

○ 分散型電源の普及拡大に伴い、電気設備の保守管理経験の乏しい新規参入者が増加。

○ BT/DS主任技術者の迅速な育成・確保が困難な中、小規模設備の保安確保のあり方が課題。

新規事業者の参入拡大

○ 激甚化する自然災害やサイバー攻撃等の新たな外生的脅威に直面。

○ 中長期的にも、設備の高経年化、電気保安人材の減少等の構造的課題が顕在化。

外生的・構造的課題の顕在化

直面する環境変化・課題

電気保安規制のスマート化

民間の自主性を尊重したメリハリのある規制への見直し

① 設備毎のリスクを評価し、規制内容(工事計画など)を最適化

② 技術基準の更なる性能規定化により、民間の責任の下で、柔軟に新技術・創意工夫を取り入れ

現行規制の遵守にとどまらないより高い保安水準を実現する取組

③ サイバー攻撃等の新たな脅威に対する備えの強化

④ 事故情報の水平展開や効果的な保守管理技術の積極活用・規制代替を通じた保安水準の引上げ

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(1)電気保安規制のスマート化の各論1.リスクに応じた規制の再整備

2.技術基準の更なる性能規定化

3.新たな脅威に対する備えの強化

4.事故情報の水平展開・保安技術の高度化

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○ 工事計画の規模要件については、これまでも設備リスクや導入実績を踏まえ随時見直しを行ってきているが、発電設備の種類・規模が多様化する中、実態と乖離したものとなってきている。

(例)1000kWのガスタービンと500kWの燃料電池は同等の保安規制を課すべき水準か?

発電設備の種類 事業用電気工作物平均出力規模(発電所数) (H25FY現在)

うち工事計画対象 電気事業用 自家用(1000kW以上)

火力

汽力(地熱等含む)

全て 300kW以上注 約140万kW(99) 約48,000kW(777)

ガスタービン 全て 1,000kW以上 約26万kW(15) 約17,000kW(416)

内燃力 10kW以上 1万kW以上 約14,000kW(79) 約3,600kW(1278)

水力ダム:全て

水路式:20kW以上ダム:全て

水路式:200kW以上約36,000kW(1252) 約9,500kW(446)

風力 20kW以上 500kW以上 約9,200kW(9) 約9,700kW(265)

燃料電池

高温

MCFC 全て

500kW以上 - -SOFC 10kW以上 or

0.1MPa以上低温

PEFC

その他 全て

太陽光 50kW以上 2,000kW以上 約3,700kW(18) 約1,900kW(778)

その他(波力、潮力等)

全て 全て(認可) - -

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【事業用電気工作物の規制対象規模と導入実績】

(出典)電気事業便覧 H26年版 ※1つの発電所に複数種類の発電設備がある場合は、それぞれの発電所数にカウント注:300kW未満であっても最高使用圧力が2MPa以上等の要件に該当する設備は、工事計画の対象となる

1-(1)現行規制におけるリスクへの対応 ①工事計画の規模要件

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○ 主任技術者制度は、電気設備を適切に維持・管理・運営するため、設備毎に、専門性を有する主任技術者を維持管理責任者として配置する仕組みであり、現行電気事業法が制定される昭和39年以前より措置されている制度。

その後の電気設備の導入拡大により、現在では、小規模な需要設備を中心に全国約85万件にも及ぶ自家用電気工作物が設置。これを安全かつ合理的に維持・管理・運営していく観点から、電気主任技術者については、小規模設備に対する外部委託制度等が導入されており、既に約9割が外部委託を活用している状況。

○ 一方、固定価格買取制度や電力システム改革により、発電設備についても、小規模設備の導入が加速。とりわけ、温泉発電や小型バイオマス、小水力発電など、地産地消型の電源に対する期待が高まっている状況。これらについては、汽力発電設備や水力発電設備として、ボイラー・タービン(BT)主任技術者やダム水路(DS)主任技術者の自社選任が原則必要であるが、人の確保や事業の採算性という点で普及上の阻害要因となっているとの指摘も大きい。

○ 小規模設備の保安を確保する観点からは、 必ずしもBT/DS主任技術者の自社選任に拘る必要性はなく、安全性の高い設備を導入することにより選任を不要とすることや、設備メーカーが保守管理までパッケージで販売する等、小規模設備のリスクに応じた保安のあり方を検討する必要。

39

【事業用電気工作物におけるBT/DS主任技術者の選任緩和】

発電設備の種類 選任不要 講習受講者の許可選任

火力

汽力 300kW・2MPa・250℃未満のバイナリ 100kW以下の温泉発電

ガスタービン 300kW・1MPa・1400℃未満 -

内燃力 全て不要 -

水力 水路式200kW未満 水路式2000kW以下

1-(1)現行規制におけるリスクへの対応 ②BT/DS主任技術者制度

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設備リスクをあらためて評価の上、規制の合理化を進める。○ 物理的な周辺被害や送電系統への著しい波及被害の観点から、発電設備の種類毎に「ハード」として

のリスクを評価。これに応じ、設置時の規制(工事計画、使用前自己確認、使用前安全管理検査)や維持管理段階の規制(定期安全管理検査、 BT/DS主任技術者、事故報告)のあり方を再検討する。

○ 具体的には、技術基準等に基づき適切に製造・設置された設備について、通常供用時に想定される劣化や自然環境の影響などの代表的な原因事象を抽出し、出力規模等に応じた発生可能性と被害規模、その積として導かれる設備リスクを評価する。

・ 今年度、委託事業を実施し、設備メーカーを交えた形で、各設備のリスク評価を実施。

・ リスク評価の結果を踏まえ、来年度以降、工事計画等に係る規制水準の見直しを進める。

ある事故・故障モード

の発生可能性

ある事故・故障モード

の被害規模

×=設備としての

事故・故障リスク

①物理的被害②著しい供給支障 Σ

【リスク評価】

リスク 大: 工事計画の認可・届出中: 使用前自己確認制度小: 保安規程・主任技術者のみ極小: 一般用電気工作物

【規制見直しへの活用イメージ】

※ この他、主任技術者制度や事故報告の見直しにも広く活用

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1-(2)今後の検討の進め方

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○ H9年の性能規定化では、例えばボイラーについては、以下の見直し等を実施。

・簡素化: 「弁の開閉表示装置」や「のぞき窓」といった仕様要求を削除。

・機能性化: 原則、「安全弁(バネ安全弁等)の設置」を省令で義務づけていたが、安全弁の設置は「過圧が生ずるおそれのある」場合に限定し、バネ安全弁は一仕様例として解釈に移管。

・内外民間規格引用: 材料や構造に係る個別規定毎に、JISやASMEを部分的に引用。

火技省令(計91条)

告示(計49条)

解説

火力発電設備の技術基準

溶接省令(計61条)

解説

溶接の技術基準

火技省令(計55条)

告示(計3条)

解説

火力発電設備の技術基準

解釈(計84条)

~H9.5.31 H9.6.1 施行

火技省令(計75条)

告示(計5条)

解説

火力発電設備の技術基準

解釈(計166条)

現在

・設備関係: 74条・溶接関係: 1条

・設備関係: 104条・溶接関係: 62条

H12年8月ガス化炉設備、H16年11月廃棄物固形化燃料の貯蔵設備等の追加

H17年12月溶接の技術基準を廃止し、火力に関する溶接部を第10章として追加

・簡素化・機能性化・内外民間規格引用

溶接省令(計4条)

解説

溶接の技術基準

H12.7.1 施行

溶接告示(計14条)

溶接解釈(計196条)

2-(1)性能規定化の経緯(火力発電設備の例)

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容器及び管の耐圧部分

第5条 材料

・最高使用温度での化学的・物理的影響に対し安全な化学的成分及び機械的強度を有するものでなければならない。

第6条 構造 ・最高使用圧力又は最高使用温度で生ずる最大応力に対し安全なものでなければならない。この場合、耐圧部分に生ずる応力は、使用する材料の許容応力を超えてはならない。

その他装置

第7条 (過圧時の圧力逃がし)安全弁

第8条 (空焚きにならない)給水装置

第9条 蒸気・給水を遮断する構造

第10条 水抜き装置

溶接部

第74条 溶接部の形状等

・不連続で特異な形状でないこと。・非破壊試験で健全性を確認したものであること。・適切な強度を有するものであること。・機械試験等により溶接施工法等の適切性を予め確認していること。

第11条 計測装置

【火技省令の構造(例:ボイラー)】 ※この他、蒸気タービン、ガスタービン、内燃機関、燃料電池、液化ガス設備など

○ 「火力発電設備の技術基準」では、ボイラー、タービンといった重要設備毎に、その構造強度や備えるべき安全装置などに係る性能要件が規定されている。また、「電気設備の技術基準」でも、火力発電所に設置される電気設備(所内変電設備や発電所の監視制御設備など)に係る性能要件が規定されている。

○ これらの技術基準省令そのものは概ね性能規定化されているが、技術基準解釈(内規)の規定が詳細に過ぎる結果、性能規定に基づく合理的な設備形成が阻害されている面がある。

火力発電設備の技術基準の解釈(火技解釈)

第2条 材料、第4条 材料の許容応力、第5条 水圧試験第6条~第14条 容器の胴、長方形管寄せ

容器の鏡板、平板、フランジ付き皿形ふた板、管板管及び管台、フランジ、丸ボイラー

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2-(2)現行技術基準の構造(火力発電設備の例)

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火技省令第6条 ボイラー等及びその附属設備の耐圧部分の

構造は、最高使用圧力又は最高使用温度において発生する最大の応力に対し安全なものでなければならない。この場合において、耐圧部分に生ずる応力は当該部分に使用する材料の許容応力を超えてはならない。

※火技解釈では、省令第6条を満たす構造として(1) 許容引張応力は、以下のうち最小のものとすること

・室温における規定最小引張強さの1/4・当該温度における引張強さの1/4・室温における規定最小降伏点又は耐力の2/3・当該温度における降伏点又は耐力の2/3

(2) 最高使用圧力の1.5倍の水圧まで昇圧した後、適切な時間保持したとき、これに耐えるものであること 等を求めている。

火技省令第7条 ボイラー等及びその附属設備であって過圧が

生ずるおそれのあるものにあっては、その圧力を逃がすために適当な安全弁を設けなければならない。

火技解釈第15条 省令第7条に規定する「過圧が生ずるおそ

れのあるもの」とは、次の各号に掲げるもの以外のものをいう。一 蒸気貯蔵器及びボイラー等の附属設備であっ

て、最高使用圧力の1.06倍の圧力を超えるおそれのないもの

※ ボイラーの最高使用圧力とは、機器の通常運転時において、当該機器が受けると予想される最高の圧力(尤度を含む。)

○ 過度に安全サイドに立った基準により、性能規定を満たすための対応策が限定され、新しい種類の設備への合理的な設備形成が阻害されている可能性。

○ 例えば、現行技術基準及び同解釈では、全ての設備に安全弁を設ける必要がある。この結果、高強度な材料を選択する(=許容応力を高める)、十分な肉厚を取る(=最大応力を下げる)等により、過圧が生じたとしても「最大応力に対し(十分に)安全」な状態を確保したとしても、安全弁を設置する必要がある。

構造に係る規定 安全弁に係る規定

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2-(3)現行規定の課題 ①性能規定の趣旨が反映できていない例

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○ 「解釈」で定められた仕様基準はあくまで性能規定を満たす一仕様例に過ぎないが、工事計画の審査や国内外の規格の取入れにあたり、当該仕様基準との同等性を確認する必要。他方、現行「解釈」では、現在では相対的に重要性が低くなっている仕様基準も含め詳細な規定がなされていることから、同等性の判断に時間を要し、新技術や規格適合品の導入を阻害している可能性。

○ 例えば溶接部については、1条のみの性能規定に対し、条文62、別表26、附図4、附表1にも及ぶ解釈を規定。この中では、部位毎に、溶接の方法や形状、溶接作業者の技能試験方法を細かく指示する等、安全上不可欠な設備性能に係る仕様に加え、その品質確保のための施工上の仕様まで混在。

○ 火技のみで求めている重要性の低い仕様基準が新技術の導入・多様な設備設計を阻害。

○ これを必要十分な内容に絞り込むことで、国内外の規格も取り入れやすくなるのではないか。

現行火技解釈

JIS ASME

【詳細な仕様基準の問題点】

火技解釈のあるべき姿

44

込絞

第118条 ボイラー等に係る容器又は管の長手継手及び周継手の溶接部は、突合せ両側溶接、裏あて金を使用する突合せ片側溶接又は初層イナートガスアーク溶接とする設計によるものでなければならない。

2 前項に掲げる継手以外の継手の溶接部は、次の各号に掲げる溶接方法により溶接する設計によるものでなければならない。

五 鏡板に強め材を取り付ける継手の溶接部 別図第6

ボイラーの溶接部の解釈の例

2-(3)現行規定の課題 ②詳細な仕様基準の例

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技術基準の更なる性能規定化を進める。○ 国の基準として求めるべき事項と民間規格等を通じ民間の責任で担保すべき事項を整理する必要。

国の基準としては、公共の安全の確保の観点から担保すべき性能要件を明確化し、解釈に示す仕様基準についても、これを実現する上で必要十分な内容に限定して規定する。

○ 国内外の信頼性ある基準・規格について、見直し後の技術基準・解釈への適合性を評価し、エンドースする。また、個別事案・新技術の適合性についても、これらの規格策定団体での評価を受けることで、国の円滑な審査につなげることを検討する。

これにより、最新知見が民間自らの責任の下で評価され、民間規格等を通じて解釈にエンドースされる自律的な仕組みの構築を図る。(なお、高クロム鋼のように、安全性に疑義が生じた際には、民間規格等の改定を待つことなく、国として技術基準の見直しを行う。また、自主保安の前提は民間の自己責任が前提。これが満たされていない場合には、是正措置を求めていく)

・まずは、バイオマス発電や温泉・地熱発電、燃料電池設備など、新たな発電設備の開発・導入が加速している「火力発電設備の技術基準」について、今年度より委託事業を活用した検討を開始。

・ 3カ年程度で、技術基準・解釈の見直しを進めるとともに、エンドース可能な既存規格等を具体化する。

詳細な仕様基準(解釈)により、技術基準に適合する設備や規格が限定的

法律

技術基準省令

解釈

【現状】仕様基準を必要十分な内容にスリム化することで、国内外の規格を円滑にエンドース

法律

技術基準省令

解釈

【目指すべき姿】

国際・海外規格(ISO、ASME等)

国内規格(JIS等)

技術基準適合性を随時評価

国際・海外規格(ISO、ASME等)

国内規格(JIS等)

2-(4)今後の検討の進め方

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○ 電力システムは、現状、クローズドな制御系ネットワークにて制御・運用されており、また、一般電気事業者等において一定のサイバーセキュリティ対策が講じられているところ。

他方、今後、IT技術の高度化・電力システム改革の進展により、外部の通信ネットワークとの相互接続機会は増加。これにより、セキュリティリスクの蓋然性は高まることが見込まれ、サイバー攻撃等による電気設備の事故等の未然防止等は重要な課題。

○ 当省では、電気設備自然災害等対策WGの中でサイバーセキュリティ対策について審議し、電力分野の事業環境等も踏まえたサイバーセキュリティガイドラインの策定を提言(平成26年6月)。

○ 全政府的にも平成26年11月にサイバーセキュリティ基本法が成立。国の体制(内閣サイバーセキュリティセンターの設置等)が強化されるとともに、新たなサイバーセキュリティ戦略の策定が進められている。

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3-(1)電力システムにおけるサイバーセキュリティリスクの顕在化

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電気事業法体系下でのサイバーセキュリティ対策のあり方を検討する。○ 電気保安規制の目的は、電気設備の損壊等による周辺被害の防止や著しい供給支障の防止。サ

イバー攻撃等により、このような事故が生ずるおそれがあるとすれば、電気工作物の設置者は、合理的な範囲内で対策を講ずる必要。

○ とりわけ、制御系ネットワークを構成する電力システムや導入が進められているスマートメーターシステムは、サイバー攻撃等により著しい供給支障につながる可能性も否定できず、喫緊の課題。

このため、脅威の更なる深刻化が想定されるサイバー攻撃等を新たな外生的脅威(リスク)と捉え、電気事業法体系下の保安規制に組み入れて制度的に担保すべきではないか。

○ 具体的には、上記について、国及び民間団体において、サイバーセキュリティ対策に関するガイドラインの策定に向けた検討が進められていることから、このうち、著しい供給支障等を防止する上で不可欠なハード対策については技術基準に、マネジメント等ソフト対策については保安規程に位置づける(電気事業法の省令に根拠規定を追加した上で、当該ガイドラインをエンドースする。)方向で今年度検討を進める。また、必要な事故報告の在り方も検討していく。

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【民間ガイドラインの検討状況】

○電力システム(制御系)セキュリティガイドライン・平成26年9月 日本電気技術規格委員会(JESC)(委員長 日髙 邦彦 東京大学大学院 教授) で検討開始・平成27年6月 同委員会情報専門部会を新たに設置、セキュリティ専門家や事業者(新電力含む)による審議開始。・平成27年度中目途 ガイドラインの策定

○スマートメータシステム(統一的)セキュリティガイドラインの検討状況・平成27年2月 資源エネルギー庁を中心に、スマートメーター制度検討会の下に「セキュリティ検討WG」(座長:佐

々木 良一 東京電機大学 教授)を設置。・平成27年6月 同WGにて、ガイドライン策定要件等をとりまとめ。・平成27年度中目途 ガイドラインの策定

3-(2)サイバーセキュリティ対策の今後の検討の進め方

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事故報告の対象となっていないケースの例 【電気関係報告規則の改正(例)】

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現 行 改正(追加案)

事故報告

社会的影響を及ぼした事故

「誤操作等が起因の公共施設が被害の事故」のみ対象

他の物件への損傷等影響が大きな事故を対象

水力発電所・ダム

「速報」のみ対象他の発電所等と同様、「詳報」を追加

電気保安統計

事 故 ( 被 害 )発生箇所等

火力発電所等の「内訳なし」

「原動力種別/設備・機器別」を追加

感電死傷の「内訳なし」

「公衆・作業員別/死亡・負傷別」を追加

事故原因「事故原因」の項目なし

原因(設備不備・保守不

備・自然現象等)別を追加

○東京電力中津川第一発電所導水路からの溢水(平成26年12月18日新潟県津南町)・導水路の点検用トンネル(26号横坑)から溢水し、土砂崩れが発生。それに伴い、導水路の下を走る国道405号線が通行止めとなり孤立集落が発生。

高野山調整池沈砂池

穴藤ダム切明発電所(作業停止中)

中津川取水口

雑 魚

川取水口

10.8km

導水路 16.2km

中津川第一

発電所国道405号線

土砂崩れ

通行止め箇所

溢水

発生

国道405号線(通行止箇所)

点検用トンネル(26号横坑)

(東京電力HP(抄))

○ 電気工作物の事故を防止・軽減していく上で、個別事故事案の質的分析(事故報告)や統計的分析(電気保安統計)を通じ、事故情報の水平展開や必要な規制措置を講じていくことが不可欠。

○ 他方、現状の報告規則では、社会的に影響の大きな事故であっても、①設備の損壊や操作ミス等を伴わないものは報告対象となっていない、②小規模な事業用電気工作物は報告対象となっていない等、事故情報の収集・分析・水平展開に課題。

○ また、現状の電気保安統計は、発電所単位の事故結果(火災、感電など)が集計されているものの、③事故が生じた部位やその発生原因(自然現象、保守不備など)のデータが集計されておらず、規制行政の検討に十分に活かせていない。

○ 設備の出力規模を基準に画一的に事故報告を求めるのではなく、公共の安全の観点での事故の重大性に応じ、事故報告の対象や内容を見直していくことが重要。

4-(1)事故報告の現状

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○ 電気工事士や電気主任技術者といった電気保安人材は、電気設備の施工・保守管理の品質を確保する上で不可欠な存在であり、中長期的な視点に立ち、育成・確保していくことが極めて重要。

○ 他方で、再エネ設備の急増、送変電設備の高経年化などの保守管理需要に対応していくためには、センサ等の点検技術も積極的に活用し、保守管理の精度向上や現場の負担軽減につなげていくことも重要。

○ 例えば、汽力発電設備は、電技省令に基づき、出力規模等に依らず全て「作業員による現場での常時監視」が必要とされているが、欧州では遠隔監視機能付きの小規模バイオマスボイラーも導入されつつある模様。また、一部の火力発電所では、過去の保安実績に基づき、各プラントパラメータの相関性を分析し、故障の予兆把握に活用する取組も進められている。

○ このような先進技術の開発・導入が加速されるよう、保安規制当局としても取り組んでいく必要。

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【ビッグデータを活用した予兆把握】

出典:NEC ホームページ

【作業員の常時監視を要しない発電所(電技解釈第47条)】※自動停止装置など必要な設備を施設する場合

随時巡回方式随時監視制御

方式遠隔常時監視

制御方式

汽力 ☓ ☓ ☓

ガスタービン 1万kW未満 1万kW未満 1万kW未満

内燃力 1000kW未満 ○ ○

地熱 ☓ ○ ○

燃料電池 PAFC,PEFC,MCFC,SOFCであって100kPa未満

水力 2000kW未満 ○ ○

風力・太陽光 ○ ○ ○

4-(2)保守・点検技術の高度化の可能性

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【事故報告の積極的活用・水平展開】

電気設備のリスク評価も踏まえ、取得すべき事故情報を精査・整理し、電気関係報告規則等の改正や事故分析・共有に資する情報基盤の整備等必要な措置を検討する。○ 1.のリスク評価で抽出した各設備の事故リスク(事故の発生態様や被害規模など)を踏まえ、報告

対象となる事故のあり方等を検討する。

○ なお、現に政策的対応が必要と考えられる点については、今年度中にも、見直しを行う。

【保安技術の高度化】

国内外の最新技術の状況を調査した上で、保安規制を補完しうる技術について、その適用性・実効性を評価し、規制上のインセンティブのあり方を検討する。○ まずは今年度、委託事業を活用し、国内外で既に実用化されているセンサリング技術やデータ解

析技術等を調査の上、電気設備への適用可能性について評価する。

○ その際、特に、①多様な事業者が参入し共通的な保安技術の導入が求められる小規模分散型発電設備や、②面的に広がりを持ち今後高経年化が懸念される送変電設備・受電設備を対象に、保守・点検技術の高度化の可能性を検討する。

○ そのうえで、来年度以降、関係各所と連携し、抽出した技術等を有効に活用している事業者への規制上のインセンティブのあり方を検討する。

○ あわせて、電気保安人材の育成・確保のあり方についても、検討していく。

4-(3)今後の検討の進め方

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(2)電気保安のスマート化の進捗状況について

1.検討の進捗状況2.早期に措置可能なスマート化策3.技術支援機関(TSO)について

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1.検討の進捗状況

保安技術の高度化

目的先進的な保守管理技術を調査し、各種電気設備への適用可能性を評価すると

ともに、このような先進技術を踏まえた我が国の電気保安をめぐる仕組みのあり方を検討する。

今年度・・・国内外の有効な保守管理技術の収集。来年度以降・・・今年度の調査結果を踏まえて、効果・有効性・導入加速の方策を検討。

リスクに応じた規制の再整備

目的電気工作物の種類毎に、あらためて設備の危険性を評価し、これを踏まえた

合理的な規制水準のあり方を検討する。今年度・・・設備そのものが持っている危険度について統一的に評価。来年度・・・運用等を含めた総合的な評価。

技術基準の更なる性能規定化

目的

国の技術基準(火力、電気、水力)や解釈として求めるべき基本的事項を再整理し更なる性能規定化を目指す。今年度含めて数年かけて段階的に議論を行う。

コンセプトの具体化のため以下の調査・検討を開始。

メリハリある規制への見直しに係る事業

規制の遵守にとどまら

ない取組に係る事業

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2.早期に措置可能なスマート化策

●複数の発電様式を組み合わせた発電設備の工事計画の届出ルールの明確化

●新方式の発電所のうち小規模なものの使用前自己確認の対象化

潮力発電等の新発電方式は、既存の発電方式とは異なって技術的知見の蓄積が乏しいため発電規模に関わらず工事計画の認可対象となっており、新技術を迅速に実用化していく上での課題となっている。

公共の安全確保上のリスクが十分に小さい実証段階の小さな設備(例えば、小出力発電

設備に該当する10 kW未満等)については、離隔距離を設ける等の追加的な安全対策を講ずることを条件に、認可申請を不要とし、使用前自己確認の対象とすることが適切ではないか。

大規模な設備については、小規模な設備を使用前自己確認としたことにより得た知見等を踏まえ、適切な制度の検討を行う。

近年、火力発電以外で、複数の発電様式を組み合わせた発電設備の開発・実証が進んでいる。(例えば、主として燃料電池の残燃料を利用して小さなガスタービンを回す等)

このような設備の工事計画の扱いについては、現行省令では、原則、認可として取り扱われるが、個々の発電出力が工事計画の届出対象に満たない場合は、主たる発電設備に応じた運用を行ってきている。今後の実用化・大型化を見据え、届出ルールの整備が必要。

このため、電気事業法施行規則を改正し、複数の原動力を組み合わせた発電設備について、①個々の原動力による発電出力が、それぞれの届出要件に合致する場合、もしくは、②合計出力が300kW※を超える場合は、工事計画の届出を要することを明記する。※「小型告示」において汽力・ガスタービン発電所に係る規制の一部緩和を認める規模

メリハリある規制への見直しに係る方策

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2.早期に措置可能なスマート化策

電気保安年報の詳細化 現状、電気事業者は、省令に基づき年度ごとの事故件数をまとめた上で国に報告をす

ることとなっている。(電気保安年報の提出) 電気保安年報の内容は事故の原因、発生部位などのデータが集計されておらず規制

行政の検討に十分に生かされていない。 このため、電気保安年報をこれらのデータを含んだ形で提出するよう改正することとし

たい。

事故分析の高度化のための事故報告の緻密化

社会的に影響を及ぼした事故 現行規定では、社会的影響の大きな事故であっても、破損事故、誤操作を伴わない場

合は報告対象となっておらず、対象が限定的。 このため、原因にかかわらず自己の電気工作物の構外に影響を与えた事故について

報告対象に追加することとしたい。 「発電支障事故」の定義 電力システム改革第二弾の施行(H28.4~)に伴い発電設備の保安状況の把握が重要。

主要電気工作物の損壊等以外の原因により発電所が停止するケースも有り、再発防止の観点から発電所の長期間の停止事故について報告を求めることとしたい。

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【現行の電気保安年報の様式】

規制の遵守にとどまらない取組に係る方策

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3.技術支援機関(TSO)について

スマート化後に保安規制組織に求められる能力

– スマート化等により創意工夫が促され、様々な技術が導入される環境が予想されるが、不断に規制の適正化を図るとともに、事故分析等を通じた保安水準向上のために専門的・技術的知見はより一層重要になる。

TSOグループ

R&D

機関

基準・規格

機関

審査検査

機関

認証機関・ファイナンス

事故分析

機関

オーガナイザー

規制当局:国

メーカー、ユーザー

将来的なTSOのイメージ

スマート化後の環境に対応するため、知見を蓄え即応可能な、行政を支援する技術支援機関(Technical Support Organization : TSO)を整備することが必要。

その際、現在既に電気用品安全分野で事故情報収集やリスク評価等を行っている独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)をTSOの中心的な機関として、育成していくとともに、民間の専門的知見を有する機関が有機的に連携できる体制を構築を図る。

また、将来的に、民間の第三者機関が事業者(メーカー、ユーザー)を評価する等により、保険の活用等を含めた民間主体で保安確保が図られる仕組みの構築も目指す。

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最後に

○今後も関係者の方々のご意見を伺いながら検討を進めていきます。

○皆様のご協力をお願いいたします。

ご静聴ありがとうございました。

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