総合研究大学院大学の 教育の目標と方針 · 2019. 10. 11. · -1-...

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総合研究大学院大学の 教育の目標と方針 2019年10月版

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総合研究大学院大学の

教育の目標と方針

2019年10月版

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目 次

大学の理念と教育の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

各研究科の課程と本学が授与する博士の学位 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

学位授与の方針,教育課程の編成・実施の方針及び入学者受入れの方針

文化科学研究科 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

地域文化学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4

比較文化学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6

国際日本研究専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8

日本歴史研究専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10

日本文学研究専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12

物理科学研究科 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

構造分子科学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16

機能分子科学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18

天文科学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20

核融合科学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22

宇宙科学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26

高エネルギー加速器科学研究科 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 28

加速器科学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

物質構造科学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32

素粒子原子核専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

複合科学研究科 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 37

統計科学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38

極域科学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

情報学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 42

生命科学研究科 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45

遺伝学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46

基礎生物学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 50

生理科学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 52

先導科学研究科 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 55

生命共生体進化学専攻 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 56

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大学の理念と教育の目的

総合研究大学院大学は、大学共同利用機関法人及び国立研究開発法人が設置する大学共同利用の研究

所その他の機関との緊密な連係及び協力の下に、世界最高水準の国際的な大学院大学として学術の理論

及び応用を教育研究して、文化の創造と発展に貢献することを理念としています。

この理念に基づいて、基礎学術分野において国際的に通用する高度の研究的資質を持つ広い視野を備

えた研究者の育成を教育の目的とします。

大学の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

総合研究大学院大学は、次に掲げる本学における学修目標の達成を目指し、所属する研究科・専攻の

定める専門分野に関する知識・能力を身につけ、所定の単位を修得し審査及び試験に合格した者に学位

を授与します。

・ 自らが専門とする分野において、物事の本質を捉え、問題を解決するための知識と能力を身につけ

ている(高い専門性)

・ 自らの活動を、より広い人類の知的な活動全体の中で位置づけ、専門分野を越えて発想することが

できる(広い視野)

・ 自らとは異なる文化や異質の集団の中で他者と交流・協力し、目標の達成に向けて活動することが

できる(国際的な通用性)

大学の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

総合研究大学院大学は、学位授与の方針に掲げる研究者人材としての知識・能力を修得させるために、

専攻分野ごとの専門科目及び全学教育科目を体系的に編成するとともに、それぞれの専攻を担当する大

学共同利用の研究所その他の機関の先端的な研究現場を活かした、複数指導体制による優れた研究指導

を行います。

大学の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

総合研究大学院大学は、研究に対する強い興味を持ち、学問の全体を俯瞰的に捉えながら、新しい時

代を切り開く研究を目指して、豊かな知性と感性を絶えず研磨し、国際的に活躍する意志と熱意を持っ

た学生を求めます。

入学者選抜の基本的な考え方

総合研究大学院大学は、入学者を選抜するにあたって、それぞれの専攻を担当する大学共同利用の研

究所その他の機関が担っている先端的な学術分野において、自立的に研究を推進することのできる基礎

学力と論理的な思考力を重視します。そのような力を適正に判定するために、専攻ごとに多様な選抜を

実施します。

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各研究科の課程と本学が授与する博士の学位

研究科 課程 専攻 博士の学位に付記する専攻分野

文化科学研究科 博士後期課程 地域文化学専攻 文学(博士論文の内容によっては学術)

比較文化学専攻 文学(博士論文の内容によっては学術)

国際日本研究専攻 学術

日本歴史研究専攻 文学(博士論文の内容によっては学術)

日本文学研究専攻 文学

物理科学研究科 一貫制博士課程 構造分子科学専攻 理学(博士論文の内容によっては学術)

機能分子科学専攻 理学(博士論文の内容によっては学術)

天文科学専攻 学術(博士論文の内容によっては理学又は工学)

核融合科学専攻 学術(博士論文の内容によっては理学又は工学)

宇宙科学専攻 理学・工学(博士論文の内容によっては学術)

高エネルギー

加速器科学研究科

一貫制博士課程 加速器科学専攻 学術(博士論文の内容によっては理学又は工学)

物質構造科学専攻 学術(博士論文の内容によっては理学又は工学)

素粒子原子核専攻 理学(博士論文の内容によっては学術)

複合科学研究科 一貫制博士課程 統計科学専攻 統計科学(博士論文の内容によっては学術)

極域科学専攻 理学(博士論文の内容によっては学術)

情報学専攻 情報学(博士論文の内容によっては学術)

生命科学研究科 一貫制博士課程 遺伝学専攻 理学(博士論文の内容によっては学術)

基礎生物学専攻 理学(博士論文の内容によっては学術)

生理科学専攻 学術・理学・脳科学(博士論文の内容によっては医学)

先導科学研究科 一貫制博士課程 生命共生体進化学専攻 理学・学術

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文化科学研究科

研究科の目的

人間の文化活動並びに人間と社会、技術及び自然との関係に係る総合的教育研究を行い、国際的通用

性を持つ広い視野を備えた高度な研究者及び高度な研究能力をもって社会に貢献する人材の育成を目的

とします。

研究科の基本方針

総研大における唯一の文化系研究科として、国立民族学博物館、国際日本文化研究センター、国立歴

史民俗博物館、国文学研究資料館という4つの基盤機関が扱う分野を対象に、具体的な資料やフィール

ドに基づいて専門分野を深く考究すると共に、幅広い総合的な視野をもって研究を行うことのできる人

材の育成を行います。

研究科の学位授与の方針及び教育課程編成・実施の方針

文化科学研究科では、特定の学問分野において先端的な研究を展開している大学共同利用機関が、教

育研究組織としての高い独立性と自律性をもって、それぞれの分野に即した教育課程(=専攻)を担って

いることから、専攻ごとに学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)と教育課程編成・実施の方針(カリキ

ュラム・ポリシー)を策定しています。

研究科の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

人間の文化と社会に関する特定の分野や具体的な対象について深い関心を持つと共に、広い視野に基

づいた学際的、国際的な研究を行おうとする学生を求めます。研究成果を社会へ還元し、貢献しようと

する学生を歓迎します。

入学者選抜の基本的な考え方

文化科学研究科の課程は、博士後期課程のみです。審査は、修士論文またはそれに代わる学術論文と、

志望研究内容などの書類、および面接によって行います。

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地域文化学専攻

専攻の目的

民族学・文化人類学の分野を中心とする隣接諸科学に関して高度な専門知識を持ち、諸地域における

多様な文化についての現地研究等を通じて、高度な研究を行える研究者及び高度な専門性をもって国際

的に社会に貢献できる人材の育成を目的とします。

専攻の基本方針

地域文化学専攻では、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカ及びオセアニアの諸地域に居住する

人びとの文化に関する教育研究を行っています。各々の地域の特性や歴史を考慮しながら、民族誌学的

方法論に基づく文化の記述、構造の解明、動態の把握を目指します。現地調査から得られたデータを分

析し、理論化し、学術的な貢献と実践的な提言ができる人材を養成します。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

地域文化学専攻では、文化人類学・民族学またはその隣接諸科学の方法論に従って、アジア、アフリ

カ、ヨーロッパ、アメリカ及びオセアニアの諸地域の文化を調査研究し、その成果に基づいて学術的貢

献と実践的提言ができる人材の養成を目指しています。本専攻の学生は、以下にあげる知識や能力を身

につけるとともに、所定の年限以上在学し、必要な研究指導を受けた上で、所定の単位数以上を修得し、

博士論文の審査及び試験に合格することが求められます。

・ 文化人類学・民族学またはその隣接諸科学の高度な専門知識をもち、特定地域の文化の諸側面に関

する独創的な研究を主体的に遂行する能力

・ 文化人類学・民族学またはその隣接諸科学の調査研究方法を習得し、その方法に従ってデータを収

集・整理・分析し、その成果を著作や展示、映像音響作品などのかたちで明瞭に、説得力をもって

提示・発信する能力

・ 研究対象地域の文化に関する先行研究を踏まえつつ、その地域を横断または包摂するような超域的

な文化動態にも関心をもち、先端的な問題を提起するとともに、新たな研究方法の開発を進める能

・ 研究対象地域の文化に関する高度な専門知識に基づいて、当該地域の人びとが直面する現代的課題

に取り組み、解決策を提案または実施する能力

・ 国際的な水準からみて十分な研究能力を備え、その成果を日本及び世界に広く発信するとともに、

諸外国の研究者と対話し、研究を先導する発信力とリーダーシップ

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

地域文化学専攻では、学生はアジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカ及びオセアニアの諸地域の文

化に関する講義や演習を受講することで、研究対象地域の文化に関する専門知識を習得します。それと

同時に、基盤機関を同じくする比較文化学専攻の講義や演習の受講を通じて、多様な地域の文化を比較

し、人類の普遍性と特殊性を考究する視点も身につけます。

演習では、学生一人ひとりが自分の研究を主体的に構想し、実行し、その成果を提示する能力を身に

つけます。1 年次の地域文化学基礎演習 I・II(1 年生ゼミ)では、関心を深化させ、計画を主体的に策

定する能力に加えて、現地調査や文献調査などの方法の習得を目指します。2年次以降の地域文化学演習

I・II(論文ゼミ)では、調査を終えた学生がデータの整理・分析を進めながら、その成果を段階的に発

表することで、多角的で独創的な議論を展開する力を培い、博士論文の完成を目指します。

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本専攻を置く国立民族学博物館では、国内外の研究者が数多く集い、共同研究会やシンポジウムが頻

繁に開催されるとともに、展示や講演会など市民を対象とする活動も行われています。本専攻の学生は

それらに積極的に参加することで、国際的・学際的な研究力、リーダーシップ、社会的実践力を培うこ

とができます。

各学生には指導教員 1 名と副指導教員 1 名がつき、入学から学位取得までの全過程において、個別の

目標、関心、資質に応じたきめ細かい指導を行います。

講義および演習科目の学習成果は、レポートや試験、ゼミにおける発表やディスカッションなどで評

価することとし、各科目の具体的な到達目標および評価方法はシラバスに記載されています。最終的に

提出される博士論文に関しては、本専攻で定めた学位論文評価基準にそって評価されます。

カリキュラム・モデル

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

・ 世界の多様な地域の文化について深い関心を抱き、とりわけ文化人類学・民族学の基礎研究に強い

意欲をもって、在学中の研究活動を遂行できる学生

・ 研究対象地域の文化に関するデータ収集のための調査に必要な方法論上の基礎知識と基礎的語学力

を備え、在学中に調査を遂行できる学生

・ 特定地域を横断または包摂するような超域的な文化動態を広い視点から調査研究する意欲をもつ学

・ 世界の多様な地域の人びとが直面する現代的課題に積極的に関与しようとする意欲をもつ学生

・ 学術論文の十分な読解力と基礎的な執筆力を備える学生

入学者選抜の基本的な考え方

第一次選抜(書類審査)では、修士論文または他の学術論文について、独創性、研究史の把握、実証

性、論理性の各項目に基づき評価します。また、研究内容(研究活動の概要、これまでに行った研究の

要旨、これから志望する研究)については、計画の妥当性、計画の具体性、学問的意義、発展性の各項

目に基づき評価します。

第二次選抜(面接審査)では、これまでに行った研究、修士論文等の内容、これから志望する研究に

関する口頭試問を通して討論能力、語学力、研究意欲等を評価します。

書類審査、面接審査の各項目の評価を総合的に判断し、合否を判定します。

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比較文化学専攻

専攻の目的

民族学・文化人類学の分野を中心とする隣接諸科学に関して高度な専門知識をもち、人類社会に共通

する文化についての比較研究等を通じて、高度な研究を行える研究者及び高度な専門性をもって国際的

に社会に貢献できる人材の育成を目的とします。

専攻の基本方針

比較文化学専攻では、比較社会、比較宗教、比較技術、比較言語、比較芸術、文化資源という 6 つの

分野に関する教育研究を行っています。諸文化の比較研究によって各々に通底する普遍性の発見と理論

的解釈を目指します。従来の文化人類学的方法論に加えて、情報科学などの隣接諸科学の成果を導入し、

新しい方法の開発を積極的に進める高度な研究能力を備えた人材を養成します。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

比較文化学専攻では、文化人類学・民族学またはその隣接諸科学の方法論に従って、諸文化の比較研

究によって各々に通底する普遍性の発見と理論的解釈を目指し、その成果に基づいて学術的貢献と実践

的提言ができる人材の養成を目指しています。本専攻の学生は、以下にあげる知識や能力を身につける

とともに、所定の年限以上在学し、必要な研究指導を受けた上で、所定の単位数以上を修得し、博士論

文の審査及び試験に合格することが求められます。

・ 文化人類学・民族学またはその隣接諸科学の高度な専門知識をもち、人類の諸文化の比較を通じた

独創的な研究を主体的に遂行する能力

・ 文化人類学・民族学またはその隣接諸科学の調査研究方法を習得し、その方法に従ってデータを収

集・整理・分析し、その成果を著作や展示、映像音響作品などのかたちで明瞭に、説得力をもって

提示・発信する能力

・ 高度な専門性の上にたった領域横断的・学際的な視野をもち、先端的な領域を切り開くとともに、

情報科学などの隣接諸科学の成果を導入・応用して新たな研究方法の開発を進める能力

・ 複雑化するグローバルな現代社会の諸課題に深い関心をもち、多角的に研究するとともに、社会的

要請に応えて実践的問題に取り組み、解決を導き出す能力

・ 国際的な水準からみて十分な研究能力を備え、その成果を日本及び世界に広く発信するとともに、

諸外国の研究者と対話し、研究を先導する発信力とリーダーシップ

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

比較文化学専攻では、諸文化の比較研究によって各々に通底する普遍性の発見と理論的解釈を目指す

ため、比較社会、比較宗教、比較技術、比較言語、比較芸術の科目群を設定するとともに、文化資源の

科目群において資料の整理・分析・管理等について情報科学などの成果も交えて学びます。また、個々

の多様な文化に関しては、基盤機関を同じくする地域文化学専攻の講義や演習の受講を通じて学びます。

演習では、学生一人ひとりが自分の研究を主体的に構想し、実行し、その成果を提示する能力を身に

つけます。1年次の比較文化学基礎演習Ⅰ・Ⅱ(1年生ゼミ)では、関心を深化させ、計画を主体的に策

定する能力に加えて、現地調査や文献調査などの方法の習得を目指します。2年次以降の比較文化学演習

Ⅰ・Ⅱ(論文ゼミ)では、調査を終えた学生がデータの整理・分析を進めながら、その成果を段階的に

発表することで、多角的で独創的な議論を展開する力を培い、博士論文の完成を目指します。

本専攻を置く国立民族学博物館では、国内外の研究者が数多く集い、共同研究会やシンポジウムが頻

繁に開催されるとともに、展示や講演会など市民を対象とする活動も行われています。本専攻の学生は

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それらに積極的に参加することで、国際的・学際的な研究力、リーダーシップ、社会的実践力を培うこ

とができます。

各学生には指導教員 1 名と副指導教員 1 名がつき、入学から学位取得までの全過程において、個別の

目標、関心、資質に応じたきめ細かい指導を行います。

講義および演習科目の学習成果は、レポートや試験、ゼミにおける発表やディスカッションなどで評

価することとし、各科目の具体的な到達目標および評価方法はシラバスに記載されています。最終的に

提出される博士論文に関しては、本専攻で定めた学位論文評価基準にそって評価されます。

カリキュラム・モデル

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

・ 人類の諸文化について広い関心を抱き、とりわけ学問的理論化やその社会的応用に強い意欲をもっ

て、在学中の研究活動を遂行できる学生

・ 研究対象とする文化に関するデータ収集のための調査に必要な方法論上の基礎知識と基礎的語学力

を備え、在学中に調査を遂行できる学生

・ 文化人類学・民族学のみならず隣接諸科学にも強い関心をもち、横断的・学際的な領域を切り開こ

うとする意欲をもつ学生

・ 複雑化するグローバルな現代社会の諸課題に積極的に関与しようとする意欲をもつ学生

・ 学術論文の十分な読解力と基礎的な執筆力を備える学生

入学者選抜の基本的な考え方

第一次選抜(書類審査)では、修士論文または他の学術論文について、独創性、研究史の把握、実証

性、論理性の各項目に基づき評価します。また、研究内容(研究活動の概要、これまでに行った研究の

要旨、これから志望する研究)については、計画の妥当性、計画の具体性、学問的意義、発展性の各項

目に基づき評価します。

第二次選抜(面接審査)では、これまでに行った研究、修士論文等の内容、これから志望する研究に

関する口頭試問を通して討論能力、語学力、研究意欲等を評価します。

書類審査、面接審査の各項目の評価を総合的に判断し、合否を判定します。

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国際日本研究専攻

専攻の目的

国際日本文化研究センターがもつ多様な研究者と優れた研究環境を基に、国際的・学際的な視野で日

本の文化について教育研究を行い、高度で視野の広い国際性豊かな研究者の育成を目的とします。

専攻の基本方針

国際日本研究専攻は、独創性、実証性、周辺分野に関する学際的で広範囲な知識を軸にした日本研究

の教育指導を行い、多角的な視野と国際的に高い水準の能力を備えた次世代の日本研究を担う研究者の

育成を目的とします。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

本専攻修了にあたっては、下記の基準に到達していることが求められます。

(1) 日本の文化や社会に対して、国際的な比較や連関を視野に収めた総合的な思考法を身につけてい

ること。

(2) 人文社会科学に関する深い学識を備え、学界で共有されている専門的な知識を把握し吸収したう

えで、従来の考え方を乗り越えていく自由な着想と観点を示し、学界に寄与できる新たな知見を

説得的に展開できること。

(3) 研究者の社会的責任を自覚し、日本社会を取りまく広範な文化的・社会的問題に対する深い関心

にもとづき、その解決のために専門知識を総合した明確なビジョンを提示できること。

(4) 自分の専門にとどまらず、人文社会科学の高度な社会的ミッションと研究者としての倫理性を絶

えず自省しつつ、人文社会科学全般にわたる幅広い知識と教養の修得に努め、自らの研究成果を

広く国際的に発信することのできる十分な国際的かつ学際的な能力を有していること。

以上をまとめるに、人類文明や世界秩序のなかでの日本の意義と位置ということを常に意識し、多角

的かつ新しい観点から日本という時空間で成立した文化現象を考察し、その成果を日本および国際社会

に広く還元していく研究者となることが、本専攻の教育が目指すところです。

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

本専攻は博士後期課程であり、学生は研究者としての前提的な素養は身につけたものとして、自らが

主体的に計画を立てて研究に打ち込むことを求められます。他方で、自分の専門に閉じこもるだけでは

なく、国際的学際的な視野を育成することを重視しています。そのために、本専攻の専門を異にする多

彩なスタッフによる講義・演習を必修としています。博士論文の作成指導についても、指導教員による

個別指導とともに、副指導教員をはじめとする複数指導体制を設けています。学習成果は、学生が追究

する個々の研究テーマに即しながら、専門分野と周辺領域にわたる知識と幅広い総合的な視野のもとに

国際的かつ学際的な研究を展開できる能力の修得という観点から評価します。

・ 日本研究基礎論:本専攻の多彩な専門および国籍の教員によるリレー式講義であり、これを通じて

人文社会科学の様々な分野の最先端の知識と方法を得るよう導く。

・ 学際研究論:学生による研究の中間報告の場であり、複数の教員の前で自分の現時点での研究成果

を披露し、主任指導教員以外の他分野の教員から批評を受けることで、学際的な論文作成の能力を

培うとともに、国際的かつ学際的な学会などの場での口頭発表および質疑応答の能力を身につける

演習を行う。

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・ 論文作成指導:主任指導教員から定期的に個別指導を受け、研究の進捗状況を確認してもらうと同

時に、論文完成のために必要な講義・演習・実習をプログラムしてもらう。必要に応じて、他の関

係教員からも個別的な指導を受け、学際的研究の深化を図る。

・ シンポジウム等運営実習:選択科目であり、基盤機関である国際日本文化研究センターが実施する

シンポジウム・セミナー・共同研究会・講演会等に参加し、その運営方法を実習して、将来、国際

的な学術会議を組織運営できるための技術と能力を養う。また、これらのシンポジウム等における

討論への積極的な参加を通じて、国際的な研究者コミュニティーへの参画と学際的なネットワーク

の構築を促す。

カリキュラム・マップ

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

日本研究を広い視野に立って行なう学際的研究に強い関心と意欲を有し、自立した研究者として将来

にわたって研究活動を発展させ、日本研究の国際化に貢献できる学生を期待しています。

入学者選抜の基本的な考え方

第一次選抜(書類審査)では、提出された修士論文や学術論文等を評価し、志望研究内容およびその他

の出願書類を総合的に判定します。修士論文・学術論文等は、形式、独創性・発展性、論理性・実証性

について、志望研究内容は、独創性、計画の妥当性について、評価します。(修士論文以外で既に刊行さ

れた論文等の提出があった場合は、修士論文とあわせて評価します。)

第二次選抜(面接審査)では、口頭試問を通してこれまでの研究実績や、これから志望する研究テーマ、

さらに人物、応答内容、将来性を審査し、第一次選抜の評点に加え、総合的に判定します。

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日本歴史研究専攻

専攻の目的

広義の日本歴史の分野に関して、広い視野及び国際的な通用性を兼ね備え、特定の専門分野について

資料に基づいた高度な研究を行える研究者及び高い研究能力をもって社会に貢献できる人材の育成を目

的とします。

専攻の基本方針

日本歴史研究専攻では、文献史学・考古学・民俗学・分析科学などの各専門家の指導と、基盤機関で

ある国立歴史民俗博物館が保有する膨大な実物資料と多様な情報資料の活用によって、高度な総合的能

力を持つ研究者を育成することを目的とします。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

日本歴史研究専攻では、次に掲げる目標を達成した学生に博士の学位を授与します。

1. 広義の日本歴史の分野に関して、資料に基づいた高度な研究を行う能力を身につけ、学問的な発展に

貢献できること。

2. 学際的な見地と論理的な判断能力に基づき、ニーズを踏まえつつ、高い倫理観と責任をもって社会に

貢献できること。

3. 獲得した知見に基づき、高い水準の研究成果を国内外に向けて発信するとともに、独創的な研究を主

導できること。

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

日本歴史研究専攻では、研究者としての知識の修得と学際的かつ総合的な能力の育成、および博士論

文の作成のために個別授業・基礎演習・論文指導という三つの形態の授業を行います。

個別授業は、具体的な資料の分析・研究に重点をおいた資料研究系と、社会・地域文化・技術史・環

境史などの研究に重点をおいた社会史研究系に大別され、専門性の深化と関連分野の学際的知識の修得

を目的とし、本専攻の教員の専門性に基づいて行われる授業です。実物資料を利用できるという博物館

としての特性を活かし、歴史研究の基礎である各種資料の分析方法を学際的に学びつつ、各分野・時代

の歴史像・文化像の構築を行います。

基礎演習は、本専攻の教員全員の参加・指導のもとに行われる、発表と討議による演習形式の授業で

す。各教員との直接的なディスカッションによって学際的な見地からの知識を得るとともに、自身の研

究状況および研究成果を、他者に効果的に伝える能力を養うことを目的としています。

論文指導は、博士論文の作成に向けて、指導教員を中心に講義・演習・実習を複合的に行うものです。

専門的・学際的知識の修得、および研究者としての自立的・総合的能力を涵養するだけではなく、論文

作成上の様々な技術・方法の修得を目的としています。

これら三つの授業形態以外にも、実地での訓練と学際性を養うために各種の集中講義を行います。

さらに上記の授業以外にも、年次ごとに研究計画書と研究報告書を作成し、研究を主体的に構想・実

行する能力と研究デザイン力を高めます。

学習成果についての評価は、各授業への参加の積極性、レポート、演習等におけるプレゼンテーショ

ンの結果などを基に総合的に判断します。

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カリキュラム・マップ

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

広義の日本歴史およびその隣接分野の研究主題について強い関心をもち、自主的で持続的な研究活動

を通して、自立的な研究者として成長する意欲をもつ学生。またその研究成果が社会の具体的な場に生

かされるという意味で、社会人学生の入学を歓迎します。

入学者選抜の基本的な考え方

1)第一次審査では、専門の異なる複数教員によって、主に修士論文などについて、その論文形式・独

自性・発展性・論理性・実証性の各項目について評価を行います。また、志望研究内容については、

独自性・計画性の各項目について評価を行います。

2)第二次審査では、口頭試問を通し、論文内容・専門知識の確認に始まり、研究意欲や研究計画、さ

らに研究者としての資質や将来性について評価します。またこの過程を通して、コミュニケーショ

ン能力の有無も重視します。

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日本文学研究専攻

専攻の目的

日本文学及びその周辺分野において深い専門知識を持ち、文化資源に基づいて国際的な基盤に立脚し

た高度な研究を行い、社会に貢献できる人材の育成を目的とします。

専攻の基本方針

日本文学研究専攻は、日本文学及びその周辺分野において深い専門知識を持ち、文化資源に基づいて

国際的な基盤に立脚した高度な研究を行う研究者と、研究実績によって社会に貢献できる人材の育成を

目的としています。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

日本文学研究専攻では、課程修了時に学生が身につけるべき能力として以下のものを定め、所定の在

学年限において研究指導を受け、所定の単位を取得したうえで、博士論文審査及び試験に合格した学生

についてはこの能力を身につけた者と認め、博士の学位を与えます。

1)日本文学及びその周辺分野における深い専門知識と高い分析能力並びに論理的な思考力と優れた表

現能力

2)文化資源を活用しつつ、国内外の研究動向を適切に把握して高度な研究を行う能力

3)独創的な研究を展開してその成果を国内外に発信し、それを通して社会に貢献できる能力

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

日本文学研究専攻では、国文学研究資料館の文化資源を活用しながら、日本文学及びその周辺分野に

おける深い専門知識と関連資料の調査技術・総合的な分析能力の修得を柱とする教育を行います。日本

文学を中心に、分野に広く目配りした体系的なカリキュラムを編成し、高度な専門知識を有した研究者

及び研究業績によって社会に貢献しうる人材を育成します。

カリキュラムは以下の4分野に分け、それぞれに授業科目を配置します。このうち共通科目では、専

攻の全教員が担当するオムニバス形式の日本文学研究に関する基礎科目を必修とします。各授業の成績

評価は、授業内での発表、レポートなどに基づいて行います。

・ 文学資源研究…文学の資源的基盤である書物及び周辺資料について、書写・出版・集積・交流など

の文化史的観点から考察し、資料に表れた文化的特質を多様な観点から総合的に研究する。

・ 文学形成研究…文学を構成する個々の書物及び周辺資料が、いかに書かれ読まれたか、具体的な資

料に即して考察し、文学作品形成及び享受の動態を研究する。

・ 文学環境研究…文化情報としての文学を成り立たせてきた制度・環境・コミュニティはどのような

ものかという観点から、文学環境の実態を考察し、その特質を多角的・総合的に研究する。

・ 共通科目………文学を含む多様な文化資源を情報化して活用するために、書物及び周辺資料に即し

て分析し、新しい文化科学の基本構造を研究する。

学生の研究課題の取り組みに応じた指導体制を築くため、学生 1 人につき主任指導教員 1 名、副指導

教員 2名を定め、多角的な観点からきめ細かい研究指導を行います。

学位請求論文の執筆に向けて、毎年度定められた時期に学生から提出された研究計画書に基づき、指

導教員は研究指導計画を定めます。毎年度に研究発表会を開催し、その時点での学生の研究成果に対し、

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指導教員以外からも意見を求めます。年度末に研究成果をまとめて提出された中間報告論文を審査して

段階的に研究指導を進めます。

国内外の研究動向の把握のために学会・研究集会への積極的な参加を学生に推奨するとともに、研究

の進展に応じて、学会等での研究発表や学術雑誌への投稿を促します。

カリキュラム・マップ

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

1)日本文学及びその周辺分野の研究に高い関心と強い意欲を有する人

2)文化資源を活用しながら研究を進めることと、専門的な調査技術と総合的な分析力・知識・技能等

を修得することに意欲のある人

3)論理的な思考能力や文章表現力、独創的視点を有する人

入学者選抜の基本的な考え方

1)第一次選抜(書類選考)においては、志望研究内容等、研究科が提出を求めた資料に基づいて選考

を行います。

2)第二次選抜(論文審査、面接)においては、修士論文等の実証性・論理性・独創性等、基礎的な研

究能力を重視し、かつ、論文内容・専門知識・研究計画等に関する口頭試問を通じて、研究者とし

ての適性を判断します。

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物理科学研究科

研究科の目的

物質、宇宙、エネルギーに関する物理及び化学現象を対象とした学問分野において、広い視野を備え

世界の第一線で活躍する研究者及び高度の専門知識をもって社会に貢献する人材の育成を目的とする。

研究科の基本方針

物理科学研究科は、物質、宇宙、エネルギーに関する物理及び化学現象を対象とした学問分野におけ

る教育研究を行い、高度な専門知識、広い視野及び国際性を備えた社会に貢献できる人材を育成するこ

とを目的とする。

研究科の学位授与の方針及び教育課程編成・実施の方針

物理科学研究科では、特定の学問分野において先端的な研究を展開している大学共同利用機関が、教

育研究組織としての高い独立性と自律性をもって、それぞれの分野に即した教育課程(=専攻)を担って

いることから、専攻ごとに学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)と教育課程編成・実施の方針(カリキ

ュラム・ポリシー)を策定している。

研究科の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

物理科学研究科の研究分野に関する基礎学力と強い関心を持ち、本研究科での教育と研究に意欲的に

取り組んで豊かな知性と感性を研磨し、次世代を担う強い意志を持った学生。

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構造分子科学専攻

専攻の目的

分子及び分子集合体の構造の解析に基づき、物質の静的・動的諸性質を分子レベルで解明するための

教育研究を行い、広い視野と国際的に高い水準の能力を備えた次世代分子科学を担う研究者の育成を目

的とする。

専攻の基本方針

構造分子科学専攻は、分子及び分子集合体の構造の解析に基づき、物質の静的・動的諸性質を分子レ

ベルで解明するための教育研究を行い、広い視野と国際的に高い水準の能力を備えた次世代分子科学を

担う研究者を育成することを目的とする。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

電子構造学及び物質化学を中心とした各分野において、構造分子科学の本質を学ぶことによって以下

の知識や能力を身につけ、主に専攻が提供する科目を修学して単位を修得し、学位論文の審査及び試験

に合格した者に学位を授与する。

1)専門分野での最先端の専門知識

2)学際的・俯瞰的な視点で研究対象を考える能力

3)実験や理論に基づく研究における創造力

4)研究発表能力と英語のコミュニケーション能力

5)研究成果を集大成した博士学位論文の作成

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

理論化学、構造光科学、構造物性科学、構造生体分子科学、基礎電子化学・極端紫外光分光学の分野

を講述する。指導分野に応じた担当教員が実施する科学演習において、構造分子科学の基礎・応用研究

における研究討論、実験演習、理論演習を実施し、併せて実施される少人数セミナーでの科学考究では、

考察力・展開力・独創的発想力を修得するように指導する。各分野の基礎及び専門分野における知識や

能力を身につけるために、主に専攻が提供するカリキュラムを履修し、試験・レポート、学位論文作成

等の合格をもって単位を与える。

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カリキュラム・マップ

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

構造分子科学に強い関心をもち、本専攻での教育と研究を通して、豊かな知性と感性を研磨し、次世

代分子科学研究を担う研究者を目指す学生。

入学者選抜の基本的な考え方

(5年一貫制入学選抜の基本的な考え方)

1)構造分子科学及び機能分子科学専攻の基本方針に相応しい入学者を選抜する。

2)筆記試験では、専門分野における基礎的な学力と語学力を重視する。

3)面接試験では、意欲や思考の論理性等を重視する。

(3年次編入学選抜の基本的な考え方)

1)構造分子科学及び機能分子科学専攻の基本方針に相応しい入学者を選抜する。

2)面接試験を行い、学力、意欲、思考の論理性等を重視する。

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機能分子科学専攻

専攻の目的

分子及び分子集合体の機能発現を分子レベルで解明し、新たな機能分子の設計指針を確立するための

教育研究を行い、広い視野と国際的に高い水準の能力を備えた次世代分子科学を担う研究者の育成を目

的とする。

専攻の基本方針

機能分子科学専攻は、分子及び分子集合体の機能発現を分子レベルで解明し、新たな機能分子の設計

指針を確立するための教育研究を行い、広い視野と国際的に高い水準の能力を備えた次世代分子科学を

担う研究者を育成することを目的とする。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

分子動力学及び電子動力学を中心とした各分野において、機能分子科学の本質を学ぶことによって以

下の知識や能力を身につけ、主に専攻が提供する科目を修学して単位を修得し、学位論文の審査及び試

験に合格した者に学位を授与する。

1)専門分野での最先端の専門知識

2)学際的・俯瞰的な視点で研究対象を考える能力

3)実験や理論に基づく研究における創造力

4)研究発表能力と英語のコミュニケーション能力

5)研究成果を集大成した博士学位論文の作成

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

機能生体分子科学、錯体触媒化学、量子動力学、光物理、機能物性科学の分野を講述する。指導分野

に応じた担当教員が実施する科学演習において、機能分子科学の基礎・応用研究における研究討論、実

験演習、理論演習を実施し、併せて実施される少人数セミナーでの科学考究では、考察力・展開力・独

創的発想力を修得するように指導する。各分野の基礎及び専門分野における知識や能力を身につけるた

めに、主に専攻が提供するカリキュラムを履修し、試験・レポート、学位論文作成等の合格をもって単

位を与える。

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カリキュラム・マップ

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

機能分子科学に強い関心をもち、本専攻での教育と研究を通して、豊かな知性と感性を研磨し、次世

代分子科学研究を担う研究者を目指す学生。

入学者選抜の基本的な考え方

(5年一貫制入学選抜の基本的な考え方)

1)構造分子科学及び機能分子科学専攻の基本方針に相応しい入学者を選抜する。

2)筆記試験では、専門分野における基礎的な学力と語学力を重視する。

3)面接試験では、意欲や思考の論理性等を重視する。

(3年次編入学選抜の基本的な考え方)

1)構造分子科学及び機能分子科学専攻の基本方針に相応しい入学者を選抜する。

2)面接試験を行い、学力、意欲、思考の論理性等を重視する。

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天文科学専攻

専攻の目的

世界最先端の観測装置やスーパーコンピュータを有する研究環境の下で、天文学及び関連する分野の

観測的、理論的研究を通して、世界第一線で活躍できる研究者の育成、新たな観測装置の開発など先端

技術の発展に資する人材の育成及び高度な専門知識を背景に科学の普及に努める人材の育成を目的とす

る。

専攻の基本方針

天文学および関連する分野で「世界第一線で活躍できる研究者」、「先端技術の発展を担う専門家」、

「高度な専門知識を背景に科学の普及に努める人材」として社会に貢献できる人材を育成することを目

的とします。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

世界の第一線での研究や先端技術の開発を進める人材として、または高度な専門知識を背景にした科

学の普及に携わる人材として、天文学および関連する分野において、独創的で新たな知見を付け加える、

観測的・理論的または開発的研究を、独立して遂行する能力を身につけたと認められる者に学位を授与

します。

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

上記のディプロマ・ポリシーを実現するため、天文科学専攻では、次のような教育・学習方針で教育

課程を編成します。

指導教員、副指導教員、指導補助助教の3名からなる専攻内の複数指導教員が研究指導に当たります。

観測的・理論的または開発的研究を独立して行うことができるようになるための系統的な指導を基本と

し、(1)自然科学全般に関わる基礎学力、(2)天文学及び関連する分野での専門的知識と研究能力

を養成するとともに、(3)国際的に活躍できるコミュニケーション力および専門的知識と技術を社会

に還元する表現能力を育てることにも配慮したカリキュラムを編成します。

上記のポリシーにのっとり、天文科学専攻では以下のようにカリキュラムを編成します。

研究科共通専門基礎科目、専攻共通を用意して、自然科学全般に関する基礎学力を涵養します。

光赤外線天文学系、電波天文学系、共通基礎天文学系が開講する科目をバランス良く学ぶことで天文

学及び関連する分野での専門的研究能力を養います。座学だけでなく、実習科目では、光学望遠鏡、電

波望遠鏡での観測を行い観測の基礎を実地で育成するとともに、演習により、少人数・実践的・能動的

な教育機会を提供します。

すべての年次で必修の「天文科学考究」で英語による研究発表を定期的に行い、「科学英語演習」、

「英語によるプレゼンテーション」(研究科共通専門基礎科目)での系統的授業で、英語での発表力、

ディスカッション力を養います。また、「科学コミュニケーション入門」で専門的知識と技術を社会に

還元する表現能力を育てます。国際性の涵養と研究力強化のために、総合研究院大学のインターンシッ

プを活用して国内外の著名研究者に指導を仰ぐことを推奨しています。

天文科学専攻では研究指導を含む学習成果の評価のために、専攻の教員団の前で、大学院生1人1人

が、研究の進展を発表する機会を年次進行に沿って定期的に行います(研究中間レポート(特定課題研

究であり2年次実施)、成果発表(4年次実施)、学位予備審査(5年次実施))。専攻の教員団は大

学院生各自の研究の進展を確認し、アドバイスを与えるとともに、おのおのの指導教員団へその指導方

針に関するフィードバックを行います。

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カリキュラム・マップ

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

天文・宇宙に強い関心があり、解明しようとする問題に、理論的・観測的研究、あるいは観測装置の

開発研究を通して取り組む意欲があり、基礎学力のみならず論理性、創造性など必要な素養を持つ学生

を求めます。

入学者選抜の基本的な考え方

(5年一貫制入学選抜の基本的な考え方)

1)天文科学専攻の基本方針に相応しい人材を選抜します。

2)物理学、数学などの基礎知識と理解度、英語力、論理性、創造性、研究への意欲、将来性などを総

合的に判断して行います。

(3年次編入学選抜の基本的な考え方)

1)天文科学専攻の基本方針に相応しい人材を選抜します。

2)強い問題意識と意欲を持ち、定められた年限で博士の学位を取得できるかどうかを基準に判断しま

す。

3)物理学や天文学の基礎知識と理解度、自分の研究を伝える表現力、研究への意欲、将来性、英語力

などを総合的に判断して行います。

4)ただし、他分野の出身であっても、その経験が天文学および関連する分野の研究に資すると判断す

る場合は積極的に選抜します。

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核融合科学専攻

専攻の目的

核融合エネルギーの実現のため、プラズマ物理学に基づく高温プラズマの閉じ込め、安定性等に関わ

る物理実験及び理論的研究、これら物理現象解明のためのシミュレーション科学研究、加熱、計測、超

伝導及び材料技術を含む核融合炉技術全般に関わる要素研究において、国際的にリーダーシップを発揮

できる質の高い研究者及び高度な専門知識をもって社会に貢献する人材の育成を目的とする。

専攻の基本方針

核融合科学専攻は、新しい時代のエネルギー源としての核融合発電の実現に向けて、大型実験装置を

用いた高温プラズマの実験的研究と、高温プラズマの複雑な振る舞いを明らかにする理論的研究に係わ

る教育を行い、核融合研究の進展に寄与するとともに、研究者としての良識と広い視野をもった高度な

研究者を育成することを目的とする。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

博士課程修了にあっては、以下の点に到達していることを目標とする:

(1) 理工学研究分野を俯瞰する幅広い視野と教養を身につけ、核融合発電の実現に貢献しうる高い研究

能力を身につけている。

(2) 研究分野全体の中での自分の研究テーマの位置づけが明確であり、その研究テーマの重要性を的確

に理解している。さらに、その研究遂行のための目標の設定、手順の構築、手法の選択と開発、結

果の考察と成果発表の手段を明確にし、それに沿って得られた成果を次の段階へと拡張することが

できる。

(3) 研究遂行上で直面する種々の問題を解決するために、幅広い知識と多角的な能力を獲得し、多様な

解決手法で対応できるようになる。併せて、最終的な解決に至るまでの忍耐力を身につけている。

また、問題解決に必要となる議論やアドバイスを他の研究者に適切に求めることができる。

(4) 国際学会での発表や国際研究学術誌への論文掲載を通じて研究成果を世界に発信し、海外の研究者

との活発な議論を行うことによって研究内容の発展や共同研究を推進できる。また、そのために必

要な語学力を修得している。

(5) 研究者として社会から大きな負託を受けていることを常に強く認識し、高い研究倫理観に基づいて

研究を推進することができる。また、研究成果の社会的受容性や自然との調和にも視野を広げ、広

い意味での社会への還元を目指すことができる。

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

核融合科学専攻では、ディプロマ・ポリシーに掲げた能力を涵養するために、(1) 理工学研究分野を

俯瞰する基礎能力、(2) 核融合分野における専門知識と理解力、(3) 研究手法の習得と問題解決能力、

(4) 世界に発信できる語学力とコミュニケーション能力等の養成を目的として、2名以上の指導教員に

よる個別研究指導、および以下のカリキュラムを編成している。

(1) 「理工学基礎演習」および基盤機関が企画する「大学院特別講座」を受講することにより、核融合

研究分野のみならず理工学者として必要とされる幅広い基礎知識や技術を座学、演習を通じて身に

着ける。

(2) 核融合研究分野を網羅した専攻専門科目を履修することにより、核融合科学研究に必要な一連の理

工学知識、最先端研究の成果を学ぶ。

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(3) 指導教員の個別研究指導のもとで研究テーマおよび研究手法を直接学び、研究者として自立できる

ように問題解決能力の養成を行う。

(4) 「科学技術英語」を履修し、英語での発表力、ディスカッション力を身につける。また、「プラズ

マ・核融合科学セミナー」(大学院コロキウム)、国際会議発表や海外インターンシップを通じて

高いコミュニケーション能力を養い、研究レベルのさらなる向上を目指す。

また、総合教育科目の履修および教員と同レベルの研究倫理教育講習を受講することにより、研究に

取り組む姿勢、社会との関わり、不正防止等の認識を強化する。

核融合科学専攻では、研究指導を含む学習成果の評価を行うため、全担当教員の前で大学院生が発表

を行う機会を設けている(中間研究報告(報告書提出とともに2年次)、中間発表(4年次)、学位予備

審査出願前(5年次))。専攻担当教員は、大学院生の研究の進捗状況を確認し、アドバイスを与える

とともに、指導教員へその指導方針に関するフィードバックを行う。

コースツリー

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

核融合発電の実現に向けた基礎から応用に至る幅広い研究に強い関心と情熱を持ち、鋭い洞察力、深

い知性と豊かな感性を備え、研究者としての良識と広い視野をもった高度な研究者として育成するのに

相応しい学生。

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入学者選抜の基本的な考え方

(5年一貫制入学選抜の基本的な考え方)

1)入学者選抜は、物理科学研究科の理念や核融合科学専攻の基本方針に相応しい入学者を適切に見出

すという観点から、筆記試験と面接を行う。

2)筆記試験では、英語に関する語学力と、数学・物理学・工学に関する基礎知識や理解力を判断する。

3)面接においては、出願者の個性や資質、研究意欲等、多様な潜在能力について質疑応答によって吟

味を行う。

(3年次編入学選抜の基本的な考え方)

1)入学者選抜は、物理科学研究科の理念や核融合科学専攻の基本方針に相応しい入学者を適切に見出

すという観点から、筆記試験と面接を行う。

2)筆記試験では、英語に関する小論文を課し、語学力と、文章の論理的構成力を判断する。

3)面接では、これまでの研究内容に関する発表と質疑応答を通じて、出願者の個性や資質、研究意欲

等、多様な潜在能力に加えて、研究成果の発信力や研究者としての将来性について審査を行う。

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宇宙科学専攻

専攻の目的

宇宙飛翔体を用いた宇宙観測科学、宇宙探査理工学、宇宙工学及びこれらの学際領域において、広い

視野と国際的に高い水準の能力を備えた研究者及び高度の専門知識をもって社会に貢献する人材の育成

を目的とする。

専攻の基本方針

宇宙飛翔体を用いた宇宙理学または宇宙技術の研究・開発を行う宇宙工学に関する分野横断的教育研

究を行い、高い専門性と広い視野のほか国際的通用性を兼ね備えた将来の宇宙科学および関連技術を担

う研究者や宇宙航空分野全体の開発利用を支える人材の養成を目的とする。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

・ 宇宙飛翔体を用いた宇宙理学または宇宙技術の研究・開発を行う宇宙工学に関する最先端かつ体系

的な専門知識を有していること。

・ 長期的かつ分野を横断する広い視野にもとづいて、当該分野に新たな展開をもたらす研究を自ら先

頭に立って遂行できる能力を有していること。

・ 積極的かつ主体的に国際協力を進める事ができる発信力、協調性、コミュニケーション能力を有し

ていること。

・ 高い倫理観と責任感を持って次世代の文化の創造と発展に貢献できること。

・ 所定の期間在学し、所定の単位を修得していること。

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

・ 専攻分野における高度な専門教育を実施する。

・ 宇宙飛翔体を用いた宇宙理学または宇宙技術の研究・開発を行う宇宙工学に関する分野横断的な幅

広い教育を実施する。

・ プロジェクトあるいは研究開発の現場での実習を通じて、高度な専門知識の実践を経験し、倫理観

やリーダーとしての素養を養成する。

・ 海外での研究発表やインターンシップの機会を通じて、研究成果を適切に発信し、研究遂行のため

に必要な情報収集能力を養う。

・ 国際的研究環境において、最先端で活躍する研究者と議論する機会を通じて、主体的に国際協力が

行える力を養う。

・ 成績評価は、試験やレポートなどにより適正に行う。また、研究指導を含む学習成果の評価のため、

定期的な研究発表を行い、進捗を確認する。

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カリキュラム概要

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

宇宙飛翔体を用いた宇宙理学または宇宙技術の研究・開発を行う宇宙工学について強い関心を持ち、

課題解決に必要な基礎学力、論理構成力、応用力、そして国際的研究環境において主体性を持って共働

し学ぶ上で必要なコミュニケーション力を有する学生。

入学者選抜の基本的な考え方

書類選考(英語試験を含む)、筆記試験(数学・物理)及び面接(ただし 3 年次編入学の場合は、書

類選考(英語試験を含む)および面接)の各々の評価結果に基づいて総合的に判断し、合否決定を行う。

特に以下の点に留意する。

・ 研究遂行に必要な基礎学力を有しているかについて、書類選考、筆記試験、面接により総合的に確認

する。

・ 宇宙飛翔体を用いた宇宙理学または宇宙技術の研究・開発を行う宇宙工学について強い関心と旺盛な

探究心を持っていること。

・ 最先端の専門知識を習得するためおよび課題解決に必要な基礎学力、論理構成力、応用力を有してい

ること。

・ 国際的研究環境において主体性を持って共働し学ぶ上で必要なコミュニケーション力を有している

こと。

・ 社会への貢献を強く意識し、高い倫理感を持って研究を進める者であること。

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高エネルギー加速器科学研究科

研究科の目的

高エネルギー加速器を用いて、自然界各階層に存在する物質の構造、機能及びその原理を解明する実

験的研究及び理論的研究、並びに加速器及び関連装置の開発研究に係る教育研究を行い、科学の進展に

寄与するとともに、社会に貢献する人材の育成を目的とする。

研究科の基本方針

高エネルギー加速器を用いて、自然界各階層に存在する物質の構造、機能及びその原理を解明する実

験的研究及び理論的研究、並びに加速器及び関連装置の開発研究に係る教育研究を行い、科学の進展に

寄与するとともに、社会に貢献する人材の育成を目的とする。

研究科の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

高エネルギー加速器研究科の課程修了にあたっては以下を達成することを目標とする。

高エネルギー加速器科学研究科では、各専攻分野の求める高度な研究能力と学識を身につけ、独自の

研究を自立して遂行し問題を解決する能力を備え、英語による研究発表や論文を記し、国際的に活躍す

る研究者を育成することを教育目標とする。そのために必要な能力(基準)を専攻毎に定め、当該能力

を身につけ、基準を満たした学生に博士の学位を授与する。

研究科の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

高エネルギー加速器研究科の学位プログラムでは、各専攻の専門分野における知識と自ら研究を実施

する能力を身につけるため、下記のカリキュラムを履修し、試験・レポート等に合格したのち単位を与

える。

・ 専攻毎に定めた専門科目を履修し、各専門分野の高度な知識や技能を体系的に習得する。

・ 研究科共通科目を通じて広範な専門知識を習得する。

・ 2年次に高エネルギー加速器科学認定研究をまとめることによって3年次以降に博士研究を進めるた

めの基礎を整える。

・ 指導教員のもと各専攻分野の最先端研究を進めることを通じて、国際的に活躍する能力を身につけ、

博士論文を作成する。

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カリキュラム・マップ

研究科の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

KEKで遂行される研究活動に関心を持ち、三つの専攻、すなわち加速器科学専攻、物質構造科学専攻及

び素粒子原子核専攻のいずれかの専攻で求める学生像(各専攻のアドミッション・ポリシー参照)に合

致する学生を求める。とくに、各専攻分野における新しい時代を切り拓く強い熱意を持った学生を歓迎

する。

入学者選抜の基本的な考え方

(5年一貫制入学選抜の基本的な考え方)

各専攻が定める入学選抜の基本的な考え方にもとづき入学選抜を実施する。

(3年次編入学選抜の基本的な考え方)

各専攻が定める入学選抜の基本的な考え方にもとづき入学選抜を実施する。

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加速器科学専攻

専攻の目的

先端的な粒子ビームの加速方式、加速技術の開発研究及びその関連応用分野の研究において、高度な

専門知識及び研究能力を修得し、次世代の加速器開発研究の最先端を担い、この分野の発展に貢献する

優れた研究者の育成とともに、幅広い関連諸分野の発展に貢献する人材の育成を目的とする。

専攻の基本方針

加速器科学専攻は、高エネルギー加速器及び関連装置の開発及びその応用に係る理論的かつ実験的な

教育研究を行い、科学の進展に寄与するとともに、社会に貢献する人材の育成を目的とする。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

加速器科学専攻の課程修了にあたっては以下を達成することを目標とする。

加速器科学あるいは計算科学・超伝導低温工学・機械工学・放射線科学のいずれかの分野において、

高度の専門知識や技能を習得し、自立して研究を遂行し、その成果を学術論文や国際学会に発表し議論

をする能力を身につける。国際的研究機関の中で多様な人材と協働して研究を推進できる素養や、社会

の幅広い分野で活躍し得る問題解決能力を養う。学位審査論文はオリジナルな内容でかつ当該研究分野

の発展に寄与すると評価される水準にあり、また英語による研究発表やコミュニケーション能力を十分

有すると認められることが必要である。

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

加速器科学専攻の学位プログラムでは、加速器科学と関連諸分野の専門知識と研究能力を身につける

ため、下記のカリキュラムを履修し、試験・レポート等に合格したのち単位を与える。

・ 加速器科学および超伝導低温工学、計算科学、放射線科学、機械工学等の専攻専門科目によって各々

の分野の高度な知識や技能を体系的に習得する。

・ 研究科共通科目を通じて物理や応用数学などの基礎知識や、高エネルギー加速器および高エネルギ

ー物理学に関わる最先端の広範な専門知識を習得する。

・ 2年次に高エネルギー加速器科学認定研究をまとめることによって3年次以降に博士研究を進めるた

めの基礎を整える。

・ 指導教員のもと各研究グループで最先端の研究を進めることを通じて、実践的な研究能力と英語力

を含む研究発表・コミュニケーション能力を養成し、博士論文を作成する。

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専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

次の何れかに該当する者は、加速器科学専攻の学生としての適性がある。

1)加速器開発を通じて、現在、興味がある研究分野に寄与したい。

2)加速器装置そのものの開発に関心がある。

3)加速器科学分野で自分の能力を試したい。

4)みんなで協力して物を作り上げることが好きだ。

入学者選抜の基本的な考え方

(5年一貫制入学選抜の基本的な考え方)

入学者選抜は書類選考と筆記試験(数学・英語・専門科目)、面接による学力検査で行う。加速器科

学の専門的な知識量は問わない。面接では志望動機、基礎学力に加え、研究に必要な知識や情報を新た

に獲得する意欲や能力、論理的な思考力などを重視し評価する。筆記試験を課さない特別選抜も実施す

る。

(3年次編入学選抜の基本的な考え方)

入学者選抜は書類選考と面接試験により行う。面接では上記の観点に加え、加速器科学や関連分野の

研究に取り組む意欲、研究を計画し遂行する能力を十分に有していることを重視し判定する。

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物質構造科学専攻

専攻の目的

粒子加速器から発生する各種の量子ビームを利用する物質構造科学の研究分野において、次世代の実

験的及び理論的研究の最先端を担い、これらの分野の発展に貢献する優れた研究者の育成とともに、物

質構造科学の関連諸分野の発展に貢献する広い視野を備えた人材の育成を目的とする。

専攻の基本方針

物質構造科学専攻は、放射光・中性子・ミュオン・陽電子等、粒子加速器から発生する量子ビームを

用いて行う物質構造科学の研究において、将来その実験的・理論的研究の最先端を担い、この研究分野

の発展に貢献しうる優秀な人材を養成する事を目的とする。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

物質構造科学専攻の課程修了にあたっては以下を達成することを目標とする。

放射光・中性子・ミュオン・陽電子等、粒子加速器から発生する量子ビームを用いた物質構造科学の

先端的な実験研究または理論研究を独自に行い、研究分野の発展に新たに貢献する成果を学位論文に記

して発表すること。査読付き学術雑誌に受理されたか、それに相当する内容を含むことが必要である。

物質構造科学を俯瞰する広い知識と、自立して研究を進める上で必要な問題を解決する力や応用する力、

国際的な場で活躍するため英語の理解力・表現力が求められる。

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

物質構造科学専攻の学位プログラムでは、物質構造科学における基礎的理論と量子ビーム利用実験技

術に関する基礎的知識を身につけ自ら研究を実施する能力を養うため、下記のカリキュラムを履修し、

試験・レポート等に合格したのち単位を与える。

放射光、中性子、ミュオン、陽電子等の量子ビームを用いて明らかになる物質構造や生命、量子ビー

ム利用技術に関する専門科目によって基礎的理論や必要な知識を学ぶ。また、高エネルギー加速器科学

セミナーなどの研究科共通科目によって幅広い視野からの洞察力と応用力を養う。さらに、量子ビーム

を使う実験実習プログラムにより実験データの解析、理論的考察を行う能力を身につける。研究成果を

英語で表現し議論する力を国際会議・学会等での発表を通じて養う。担当教員の指導を受けて最終的に

博士論文を作成する。博士論文の作成にあたっては 2 年次の高エネルギー加速器科学認定研究、予備審

査を経て、研究分野の発展に貢献する成果を得ることや英語による発表能力を身につけるための指導が

行われ、博士論文提出時には審査委員会による判定が実施される。

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専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

物質構造科学専攻に入学を希望する者には、次の二点を要望する。

1) 生命体を含めた物質科学の基礎的知識、および英語に関する十分な学力を備えていること。

2) 高度な研究を遂行するために必要な資質である客観性、積極性、弛まぬ学習意欲、等を十分に備え

ていること。

入学者選抜の基本的な考え方

(5年一貫制入学選抜の基本的な考え方)

今後の専門的研究のため基礎学力、論理的思考能力、英語の能力に加え、旺盛で柔軟な探究心を持っ

て、これからの学習・研究に取り組もうとしているかを判断する。

(3年次編入学選抜の基本的な考え方)

高度な研究を遂行するために必要な資質である基礎学力、これまでの研究に対する理解度に加え、今

後の研究展開を自分で独立して追究できるかについて総合的に判断する。

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素粒子原子核専攻

専攻の目的

最先端の高エネルギー加速器を用いた素粒子原子核物理の実験及び理論に係る教育研究を行い、開拓

精神と広い視野を備えた国際性豊かな研究者及び高度な研究能力をもって社会に貢献する人材の育成を

目的とする。

専攻の基本方針

素粒子原子核専攻は、素粒子や原子核に関連する幅広い分野にまたがる理論と実験のバランスの取れ

た教育を行い、広い視野と高い専門性を備えてこれらの分野の発展を牽引する人材を養成することを目

指します。基盤機関である高エネルギー加速器研究機構は、素粒子原子核研究分野における国際的な研

究拠点として多彩な実験プロジェクトと理論研究を推進しています。大学院教育の早い時期から世界最

先端の研究に身近に接し、幅広い視野を持ちながら研究の基礎を習得できる環境を提供します。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

素粒子原子核専攻の課程修了にあたっては以下を達成することを目標とする。

最先端の高エネルギー加速器を用いた素粒子原子核物理の実験および理論、ならびに関連分野におけ

る研究開発において、独自の研究を行って国際的にも通用しうる成果をあげ、学位論文に記して発表す

ること。学位論文に関連する学問分野における専門的知識、自立して研究を進め広い分野で活躍しうる

問題解決能力、学会発表等で研究成果を発表する能力、研究に関して英語で論文を記し海外の研究者と

議論する能力を身につけること。

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

素粒子原子核専攻の学位プログラムでは、素粒子原子核物理学の専門知識と研究能力を身につけるた

め、下記のカリキュラムを履修し、試験・レポート等に合格したのち単位を与える。

素粒子原子核物理学の基礎的知識と技術を身につける講義を基礎とし、最先端の実験・理論へとつな

がる専門的講義を設ける。実験部門においては素粒子および原子核物理概論の講義が基礎となり、理論

部門においては、場の理論、素粒子理論、宇宙物理などの基礎的講義・演習を基礎とする。

専門的講義・演習では、さまざまな素粒子・原子核実験、実験技術、理論に関する詳細を習得するこ

とを目指す。また、研究科共通科目を通じて広い分野の研究に対する関心を高める。

2年次における高エネルギー加速器科学認定研究では、博士論文のための研究を始める準備が整って

いることを認定する。

これらを土台として、理論部門における特別研究、実験部門における実習により、素粒子原子核物理

学における最先端の研究を進めて、問題解決能力、研究発表の能力、英語力を含む研究能力を養成し、

博士論文を作成する。

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専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

素粒子・原子核物理学に対する強い関心を持って実験的あるいは理論的研究に積極的に取り組む意欲

があり、基礎学力とともに論理性や創造性、忍耐力など研究者に必要な素養を持つ学生を求める。

入学者選抜の基本的な考え方

(5年一貫制入学選抜の基本的な考え方)

1)筆記試験では、物理学の基礎知識および数学・英語に関する十分な学力を備えていることを確認す

る。

2)面接試験では、高度な研究を遂行するために必要な資質である基礎学力に加え、研究活動への適性、

積極性、論理性、研究への意欲などを重視する。

(3年次編入学選抜の基本的な考え方)

面接試験により、高度な研究を遂行するために必要な資質である基礎学力に加え、研究に対する理解

力、積極性、論理性、研究への意欲などを総合的に判断する。

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複合科学研究科

研究科の目的

地球、環境、社会等人間社会の変容に関わる重要課題を対象とした横断型の教育研究を行い、情報と

システムの観点からこれら課題解決に貢献する研究能力又は研究開発能力を備えた次世代を担う研究者

及び高度専門家の育成を目的とする。

研究科の基本方針

複合科学研究科は、複雑な自然・社会現象やその発現・機能・相互作用等を司るシステムについて、

個別専門分野に加えて総合的あるいは異分野融合的な視点から教育研究を行うことにより、高い専門性

と新分野を創成する力を有する人材の育成を目指す。

研究科の学位授与の方針及び教育課程編成・実施の方針

複合科学研究科では、特定の学問分野において先端的な研究を展開している大学共同利用機関が、教

育研究組織としての高い独立性と自律性をもって、それぞれの分野に即した教育課程(=専攻)を担って

いることから、専攻ごとに学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)と教育課程編成・実施の方針(カリキ

ュラム・ポリシー)を策定している。

研究科の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

人間社会・地球環境の変容に関わる様々な重要課題に対して強い関心を持ち、情報あるいはシステム

の観点から問題解決に向けて積極的に取り組む、意欲のある学生。

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統計科学専攻

専攻の目的

データに基づく、現実世界からの情報乃至知識の抽出を実現するために、モデリング、予測、推論、

データ収集の設計及びこれらの基礎、数理、応用に係る教育研究を行い、複雑に相互に絡み合うさまざ

まな重要課題の解決に貢献する独創性豊かな研究能力を備えた人材の育成を目的とする。

専攻の基本方針

現実社会からの情報ないし知識の抽出を、データに基づいて実現するために、データ収集の設計、モ

デリング、推論、予測およびこれらの基礎、数理、応用に係わる教育研究を行い、複雑に相互に絡み合

うさまざまな重要課題の解決に貢献する創造性豊かな研究能力を備えた人材の育成を目的とする。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

統計科学専攻では、次に掲げる目標を達成した学生に、博士の学位を授与する。

1. 統計科学に関する高度な専門知識に基づいた的確な論理的判断能力を有し、統計科学における理

論・応用上の未知かつ重要な問題を解決し、学問的発展に貢献することができる。

2. 統計科学に関する豊かな学識を基盤として、社会のニーズを踏まえつつ、高い倫理と責任をもって、

社会の発展に貢献することができる。

3. 高度な学際的・国際的視野と高いコミュニケーション能力に基づいて、世界水準の研究成果を国内

外に向けて発信し、国内外における統計科学の発展・深化に資する独創的な研究を主導することが

できる。

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

統計科学専攻では、ディプロマ・ポリシーで示した目標を学生が達成できるよう、以下の方針に基づ

き、教育課程を編成・実施する。

1. 統計科学の基礎的な知識から高度な知識までを学べるように、共通専門基礎科目および専門科目か

らなる体系的なカリキュラムを提供し、統計科学の多様性と専門知識を学べる機会を定期的に設け

る。

2. 各学生に指導教員と副指導教員を割り当て、多様な専門家との議論により、高度な専門知識と的確

な論理的判断能力の獲得や論文作成等に係る研究指導体制を整備する。

3. 国内や国外の大学や研究機関との連携協力を行い交流の場を提供することで、高度に学際的・国際

的な視野、及び高いコミュニケーション能力とリーダーシップを身につける。

4. 統計科学に関する専門知識を有する専攻内部の複数の教員に、外部の有識者を原則として加えた審

査委員会により、博士論文に基づいて研究成果の審査及び試験を適切に行う。

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カリキュラム・ツリー

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

統計科学に対して強い関心を持ち、未知の問題の解決や新領域の開拓を志す意欲のある学生。特に、

既存の学問分野にこだわらず新たな学術体系の創出を目指し、不確実な現象に対してデータに基づいて

推論し行動するという広義の意味での統計科学の構築に、さまざまな分野を背景として力強く参画した

いという高い志を持った学生。

入学者選抜の基本的な考え方

1)統計科学は幅広い分野を背景とする学際的な学問であることから、他分野からの受験も歓迎する。

2)学位取得のための基礎的な能力の有無を判定する。

3)博士課程(5 年一貫制)は、筆記試験と面接試験を行い、数理と英語の基礎知識、志望研究テーマ、

研究への意欲等から総合的に判断する。

4)博士課程(3 年次編入学)は、面接試験を行い、志望研究テーマ、修士論文や学術論文の研究内容、

統計科学の基礎知識、研究者としての適性等から総合的に判断する。

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極域科学専攻

専攻の目的

宇宙惑星科学、太陽地球系物理学、大気・海洋・雪氷科学、固体地球科学、生命科学などを基礎とし

て、南北両極や高山等の極域にあらわれる様々な自然現象や物象を支配する普遍的な原理や法則の探究、

または地球環境変動や地球惑星システムに果たす極域の役割および極域の地史・自然史の解明、を目標

に、高度な研究能力をもつ優れた研究者を養成することを目的とする。

専攻の基本方針

極域科学専攻の目的を達成するために、① 自然科学の基礎体系と知識を深く習得し、それらを独創的

に展開できる能力、② 研究課題設定・解決のための多様な研究手法と技術、③ 研究結果を他者に伝え

る技術、④ 学際的な研究に向けた広い視野と柔軟性、を備え、新たな知的価値を創出できる研究者の育

成を専攻の基本方針とする。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

自然科学の高度な専門的知識を有するとともに、地球惑星システム全体の中での極域の役割に関する

深い知識を備え、極域科学に資する独創性のある研究を自立して実践できる能力を持つ優れた学生に、

理学あるいは学術の学位を授与する。

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

ディプロマ・ポリシーで示した目標を学生が達成できるために、以下の方針に基づいて教育課程を編

成・実施する。

1. 極域に関する科学および地球惑星システムの基礎から専門的な知識までを習得できる多様なカリ

キュラムを提供する。

2. 各学生に指導教員と副指導教員を割り当て、綿密な研究指導体制を用意する。

3. 一貫制博士課程 1年次に入学した学生に対しては、1年 6か月を経過した時点で、博士論文作成の

支援として、中間評価を実施する。

4. 専攻内で行われるセミナーや研究会などへの参加を通じて、多様な研究者との交流を深めて、研究

遂行のために必要な分析・解析、情報収集、人的交流、成果発表・議論の方法・技術を身につける

機会を与える。

5. 国内外の学会・研究集会での研究発表や様々な分野の研究者との研究交流を奨励し、研究成果を適

切に発信し、国際的・学際的に活躍できる機会を与える。

6. フィールドワークを行う分野では、指導教員等からフィールドサイエンティストとしての基本姿勢

や技術を学ぶ機会を与える。

7. 博士論文の審査及び試験を行う。

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カリキュラム・マップ

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

極域での自然現象に強い関心があり、極域科学専攻の目的を理解し、解明したい問題に対して、理論

的研究、観測的研究、実験的研究を通じて立ち向かうことが出来る、意欲ある学生。自然科学を基礎と

する全学問分野からの出願を受け付ける。

入学者選抜の基本的な考え方

(一貫制博士課程入学)

・ 筆記試験、書類選考および面接を行い、学位取得に向けた基本的な能力を総合的に判断する。

・ 小論文、英語、専門科目(物理学、化学、生物学、地球科学から出題)による筆記試験では、思考

の論理性や表現力、研究発表に不可欠な英語力、各専門分野における基礎学力があるかどうかを判

断する。

・ 書類選考および面接では、記述・論述の論理性、研究意欲、研究能力、研究計画、将来展望などを

総合的に判断する。

(3 年次編入学)

・ 書類選考および面接により、記述・論述の論理性、研究計画の独創性、将来への発展性などの観点

から、学位取得に向けた基礎的な能力を総合的に判断する。

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情報学専攻

専攻の目的

情報科学、情報工学、人文社会情報学等の基礎から応用に至る研究を行い、高度情報社会の達成に関

わる重要課題の解決に貢献する高度な研究又は開発能力を備えた人材の育成を目的とする。

専攻の基本方針

情報学専攻は、情報学の分野でリーダーとして活躍する研究者や、社会に役立つ情報技術を開発する

高度な専門職業人を育成することを目的とし、情報学に関する基礎・応用・実用の様々なフェーズの教

育研究を行う。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

本専攻では、情報学を体系的に学び、主に専攻が提供する科目構成から得られる能力を身につけた、

自立した研究者としての能力を有する学生に学位を授与する。自立した研究者とは、自分の研究分野に

おいて先端的課題を自ら設定し、課題解決の手法の発案と実行を通して課題を解決する、研究に必要と

なる全ての過程を独立に遂行できるだけでなく、高度情報社会の達成に関わる重要課題の解決において、

自身の研究スキル・知識を応用し、また必要とされるスキル・知識を見極め、獲得して、その分野に新

たな先端的貢献を行う能力をもつことを指す。課程修了者は同時に、情報学を広く体系的に理解すると

ともに、自分の専門分野においては最先端の専門知識を身につけており、専門分野の研究について英語

でコミュニケーションする能力といった国際社会で高度知的人材として活躍するための十分な理解力・

議論力・表現力を修得している。

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

情報学は理学、工学、人文社会学等にわたる幅広い分野を包含しているため、本専攻では専門分野に

対応して 6 つの教育研究指導分野(以下、「指導分野」という)を設定し、それを反映したカリキュラ

ム編成により、学生自身がそれぞれに目指す専門性に応じて講義や研究指導を受けることができる。

本専攻のカリキュラムは、大きく分けて研究指導と授業科目から成り、研究指導では研究の実践を通

して高度な研究・開発能力を身につけ、授業科目では情報学の分野で活躍する研究者や高度な専門職業

人に求められる知識、理解力、議論力、表現力を身につけることを教育課程の編成の方針としている。

研究指導においては、3名の教員で編成されるアドバイザグループの指導のもと専門性の高い研究の実

践を通して自立した研究者に必要な能力を修得し、最終的には最先端の研究を立案・実施し、学位論文

を作成する。定期的に設置されている中間発表においては、研究内容および進捗状況について発表を通

して複数の教員から広範な助言を受け、研究者としての問題意識や客観的思考力を強化する。博士課程

(5年一貫制)ではこれに加え、2年次修了に前期報告会に合格することで、博士論文に向けた研究を行う

のに十分な学力及び研究能力を修得したことを確認することができる。また、研究成果の発表において

は、国際会議での研究発表に積極的に取り組むことが推奨されている。

授業科目のカリキュラムは、共通専門基礎科目(以下「基礎科目」)、基礎科目の中で分野に共通な

科目と、専攻専門科目(以下「専門科目」)から成り、学習成果の評価としての単位は、試験・レポー

ト等により達成度を絶対評価により科目ごとの基準に合格することで与えられる。教員ひとりあたりの

学生数が少ないことを活かし、個々の学生に合わせたテーラーメード教育を受けることができる。履修

科目の選択にあたっては、アドバイザの指導のもと、目指す専門性や必要とされる知識・スキルに応じ

て授業科目を選択することができる。

・ 基礎科目を履修し、情報学の広い学問領域にわたり基礎知識を身につけ、情報学に共通する基盤的

学問を修得して情報学を体系的に理解する。また、与えられた課題に対して学際的・俯瞰的に理解

し、論理的に表現する能力を身につける。

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・ 基礎科目の中で分野に共通な科目から適切な科目を履修し、英語での科学・技術コミュニケーショ

ン能力や科学ライティングなどの表現力、コミュニケーション能力を養成し、国際的に活躍する研

究者および高度な専門職業人に必要とされる基本的なスキルを身につける。

・ 各指導分野で開講される専門科目を履修し、最先端までの専門知識と、また専門分野のより深い理

解に基づく課題解決能力、応用能力、および豊かな学識を身につける。

教育課程における学習方法としては、博士課程(5年一貫制)の学生は、2年次までに必要な基礎科目と

共通科目を履修し、3 年次以降は主として専門科目を履修することを推奨している。博士課程(3 年次編

入学)の学生は主として専門科目を履修し、必要に応じてその他の科目を履修することを推奨している。

カリキュラム・ツリー、履修モデル

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

高度情報社会の実現に向け、自然科学から人文社会科学を幅広く横断した学際領域である情報学に関

して強い興味を持ち、情報学の分野でリーダーとして活躍する研究者や、社会に役立つ情報技術を開発

する高度な専門職業人を目指す学生、あるいは在職のまま広い視野と深い専門知識を獲得しようという

意欲を持つ社会人。

入学者選抜の基本的な考え方

1)情報学の先端的研究を実施するに足る十分な基礎学力、および知識の有無だけでなく、研究に対す

る意欲や語学を含めたコミュニケーション能力に関する観点より選考を行う。

2)各志望学生に対して、上記の観点から、学生が志望する指導分野の教員が書類審査、および、十分

な面接(ただし、海外の学生に対しては電話及びインターネットによるインタビュー)を行ない、

専攻に属する教員全体で情報学専攻に相応しい学生かどうかを総合的に評価して判断する。

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生命科学研究科

研究科の目的

生命現象を分子から個体、集団に至る様々なレベルで解明するための教育研究を行い、国際的通用性

を持つ広い視野を備えた次世代の生命科学研究を担う研究者の育成を目的とする。

研究科の基本方針

生命現象とそれらのメカニズムを分子から個体、集団に至るさまざまなレベルで捉え、生命科学の発

展に資する高度な教育・研究を行う。基盤となる大学共同利用機関の研究環境を最大限に生かして、多

様な学修歴や経験を有する学生に対応した柔軟な大学院教育を実施し、国際的に通用する広い視野を備

える優れた研究者の養成を目指す。

研究科の学位授与の方針及び教育課程編成・実施の方針

生命科学研究科では、特定の学問分野において先端的な研究を展開している大学共同利用機関が、教

育研究組織としての高い独立性と自律性をもって、それぞれの分野に即した教育課程(=専攻)を担って

いることから、専攻ごとに学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)と教育課程編成・実施の方針(カリキ

ュラム・ポリシー)を策定している。

研究科の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

生命現象やそのメカニズムへの強い興味と自立した研究者に育つための素地を持ち、国際的に通用す

る研究者となることを目指して研究・学修に意欲的に取り組むことができる学生。

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遺伝学専攻

専攻の目的

遺伝学に係る専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行うために必要な高度の研究能力

及びその基礎となる豊かな学識を養うことを目的とする。

専攻の基本方針

遺伝学に係る専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行うために必要な高度の研究能力

及びその基礎となる豊かな学識を養うことを目的とする。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

遺伝学専攻では、学位認定に際して、自立した研究者として要求される以下の能力を有することが評

価される。

1. 遺伝学を根幹とする生命科学の分野の発展に寄与する本質的に新しくかつ高度な研究成果を生み出

す能力

2. 分野を俯瞰する深い洞察力と知識

3. 科学を英語で理解・議論・表現する能力

4. 研究の将来を展望する豊かな構想力

5. 研究者としての高い倫理性

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

遺伝学専攻のカリキュラムの目的は、自立的で創造性に富み、世界的に活躍できる研究者を養成する

ことである。学位授与方針で要求される能力が全て身につくように教育科目を以下のように編成してい

る。

【教育課程編成の方針】

1. 高度な研究能力

幅広い分野で最先端の研究をおこなう教員が研究指導や科目を担当する。主任指導教員によるメンタ

リング(生命科学実験演習 I-V)に加えて、各学生のために組織されるプログレス委員会からの指導助言

を受ける(生命科学プログレス I-V)。

2. 分野を俯瞰する幅広い知識

生命科学(遺伝学)の基礎知識は分子細胞生物学 II、進化ゲノム生物学、遺伝学で提供する。これら

は連続して2年間ですべてを修了できるように設計されている。遺伝学の全体像を知るためにも履修す

ること。選択科目としては、専攻横断的な科目群を遠隔講義システムで受講できる。履修届を出してな

くても自由に聴講できるので、興味ある講義にできるかぎり参加し、分野を超えた幅広い知識を身につ

けること。

3. 科学を英語で理解・議論・表現する能力

科学英語口頭演習 I や英語筆記表現演習 I-III などの体験型講義で、研究成果を効果的に伝える能力

を養う。科学英語セミナーを理解する力を科学英語口頭演習 IIで鍛え、議論を中心に進める授業(発生

生物学 II-IV)で議論する力を高める。

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4. 研究の将来を展望する豊かな構想力

論文紹介セミナー(生命科学論文演習 I-V)と生命科学セミナーを通して、実際に国内外で行われてい

る最先端の研究にたくさんふれて、研究者として考える力を養成する。

5. 研究者としての高い倫理性

必修科目フレッシュマンコースを受講して研究倫理について学ぶと共に、毎年行われる研究倫理講習

を必ず受講する。

【教育・学習方法に関する方針】

卒業時に学位取得要件を満たせるようにバランス良く計画的に履修すること。「生命科学実験演習」

「生命科学プログレス」「生命科学論文演習」の3科目は研究者としての能力をつけるために不可欠な

ので、全課程を通して毎学期必ず履修すること。遺伝学専攻生として必ず知っておくべき内容は履修推

奨科目「分子細胞生物学 II」「進化ゲノム生物学」「遺伝学」「発生生物学 II-IV」で提供する。5年

一貫制学生は2年次までにこれらの科目を全て履修することが望ましい。なお博士号学位取得のために

は、5年一貫制学生は必修単位フレッシュマンコース2単位を含む32単位を、3年次編入学生はフレ

ッシュマンコース2単位を修得しておく必要がある。各科目の履修にあたっては、あらかじめシラバス

をよく読んで、学習目標や学習方法について理解しておくこと。

【学習成果の評価の方針】

科目レベルでの評価については、各科目のシラバスに規定する様々な観点から「A,B,C,D」で成績を判

定する。各学生の研究能力を最も直接的かつ客観的に評価することになる「生命科学プログレス I-V」で

は、主任指導教員以外のプログレス教員が、通常の「A,B,C,D」評価に加えて書面による報告書を作成し

て客観的評価をおこない、その報告を当該学生と全教員間との間で共有する。

教育課程レベルでの評価としては、5年一貫制学生が2年次から3年次に進級する際に「進級資格審

査」を行う。審査は生命科学プログレス IIB として行い、提出された研究レポートと、公開口頭発表、

質疑応答を元に、生命科学(遺伝学)における学識の深さと、自立した研究者として育ってゆけるかど

うかについて、主任指導教員以外の4名のプログレス教員が審査する。不合格となった場合は、再度生

命科学プログレス IIBを履修することになる。

カリキュラム・マップ

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専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

遺伝学に基礎をおく生命科学の基礎研究に強い関心と意欲を持ち、在学中の研究活動を通して自立し

た研究者を志向する、またそのような研究者に育つための素地を有する学生。

入学者選抜の基本的な考え方

1)単に知識の有無だけでなく、基礎研究に対する意欲、思考上の論理性、創造力を試すことを重視し

た選考を行う。また、研究実施に不可欠な英語の学力を選考基準に加える。

2)志望学生ひとりひとりに対し十分な時間をかけた面接と筆記の試験により、研究者として育ちうる

かどうかの適性を専攻に属する教員全体で評価して判断する。

3)留学生、社会人、編入学生など多様な人材の受け入れが可能な選抜方式をとる。

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基礎生物学専攻

専攻の目的

基礎生物学に係る専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行うために必要な高度の研究

能力及びその基礎となる豊かな学識を養うことを目的とする。

専攻の基本方針

基礎生物学専攻では、生物の特徴である共通性と多様性について、普遍的な仕組みとそれを維持する

機構、および多様さを生み出す変化の仕組みについて調べている。より基本的で重要な問題を発掘し、

その解決に挑む研究者の養成を行う。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

基礎生物学専攻では、学位認定に際して、研究者として主体的な研究を遂行するために必要な次のよ

うな能力を評価している。

1. 専門分野において、体系的、かつ最先端の知識を有するとともに、基礎生物学の全体像を俯瞰でき

る学識を備えている。

2. 研究分野の将来を展望し、未解決で重要な問題を自ら発掘することができる。

3. 独創的、かつ実現可能な研究計画を立案する能力と、それを遂行していくために必要な技術力や分

析力を備えている。

4. 高度なコミュニケーション能力を有し、得られた研究成果を国内外に発信し、基礎生物学の発展に

寄与することができる。

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

基礎生物学専攻では、研究者として主体的に研究を遂行する能力を身につけることができるよう、次

のようなカリキュラムを編成・実施している。このカリキュラムへの大学院生の取り組みに対し、面談、

提出レポート等により学修成果を評価し、それに基づき研究指導を受けたことを認定している。

1. 基礎生物学専攻専門科目、生命科学研究科共通専門科目の講義科目を履修することにより、各専門

分野における体系的知識、基礎生物学全般における幅広い学識を身につける。

2. 自らテーマを決めて研究計画を立案し、研究遂行、考察、論文作成にいたる過程を主体的に行うこ

とを通して、実践的な研究能力を修得する。

3. 研究室・研究グループ内での議論や、専門分野の異なる教員から助言をうける機会を活用し、多角

的な視点をもって研究を進める態度を身につける。

4. 英語によるプレゼンテーションや論文作成にかかわる実践的な授業科目に加え、専攻内や他専攻と

合同での研究発表の機会を通して、研究成果を効果的に伝える能力を養う。

5. 総研大や基礎生物学研究所で開催される各種セミナーや国際シンポジウム等に参加することによ

り、最先端の知識を得るとともに、研究活動に必要なコミュニケーションの実際を学ぶ。

6. 総研大や基礎生物学研究所から提供される海外での研究活動や発表をサポートするプログラムを

活用し、国際的に活躍できる能力を身につける。

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カリキュラム・マップ

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

生物が示す現象に興味を持ち、現象を生み出す仕組みや要因を探ることに意欲を持つ学生。

入学者選抜の基本的な考え方

提出書類および基礎生物学専攻の教員による面接によって、学習に対する意欲と能力を確認する。5

年一貫制の入学者については、加えて、小論文と英語の筆記試験によって、論理的な思考を展開して発

表する能力と英語の基本的な読み書きの能力を確認する。

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生理科学専攻

専攻の目的

生理科学に係る専攻分野について、研究者として自立して研究活動を行うために必要な高度の研究能

力及びその基礎となる豊かな学識を養うことを目的とする。

専攻の基本方針

生理科学専攻では、生体の基本ユニットである分子・細胞から、ユニットの統合したシステムである

個体に至るまで、さまざまなレベルで生体機能とそれらのメカニズムを多角的に追求し得る人材を養成

する教育・研究指導を行う。これらを通して、医学、神経科学及び生命科学全般にわたる広い視野と分

野を切り拓く先見性を有する優れた研究者を養成する。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

生理科学専攻では、5年一貫制あるいは 3年次編入の博士課程を通して、授業科目と演習を履修し、研

究指導を受けることで所定の単位を習得し、専攻が行う審査に博士論文審査に合格したうえで研究科の

承認を受けることにより学位が授与される。

学位授与のための専攻における審査では、高度な研究者または専門家として活躍できる人材の指標と

なる次のような能力を身につけていることが評価される。

1. 生命科学全般にわたる幅広い知識と生理科学における基礎知識および高度な専門性を身につけ、こ

れをもとに課題を解決できる能力

2. 深い知性、豊かな感性と医学、神経科学及び生命科学全般にわたる広い視野にもとづく、新しい分

野を切り拓く意欲と先見性

3. 高い倫理性と強い責任感にもとづき、社会との関わりから自らの研究を厳しく評価できる能力

4. 世界に向けて研究成果を発信するとともに、必要に応じて海外の研究者と共同して課題を解決する

国際性

5. 博士論文を作成するにあたり、生理科学の発展に貢献する新しい知見を得て、それをわかりやすい

英語で論理的に書く能力

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

ディプロマ・ポリシーに掲げる高度な知識・技能を修得させるための教育課程を体系的に編成してい

る。詳細は以下に示す。

1. 生理科学専門科目、基礎生理解剖脳科学、基礎情報脳科学等の講義により、生理科学や神経科学分

野の基礎知識を幅広く身に着ける。

2. 生理科学特別講義により、生理科学分野の先端的知識を得る。

3. 教員の指導を受けながら学位論文を作製する過程で、新たな研究計画を立案し、研究を実行し、得

られた成果について発表・討論する能力を身に着ける。また、この過程で、知識を活用する能力、

研究に必要な倫理観を身に着ける。

4. 生命科学論文演習により高度な専門的知識を取得するとともに、英語での読解力を向上させる。

5. 生理科学英語筆記表現演習、生理科学英語口頭表現演習により、国際的コミュニケーション能力を

養う。

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これらが達成されているか、提出されたレポート等による講義科目の学修成果の評価と単位認定、プ

ログレス担当教員との年2回の面談、D2学年終了時の審査委員会の教員によるレポート審査並びに面談、

D2•D4 で行われる中間発表により評価する。

カリキュラム・マップ

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

生理科学専攻の基本方針を理解してそれに共感し、「深い知性と豊かな感性を備え、広い視野をもっ

た高度な研究者」として育成するのに相応しい学生

入学者選抜の基本的な考え方

1)入学者選抜は、生理科学専攻の基本方針に相応しい入学者を適切に見いだすという観点から行う。

2)学力検査のみならず、入学志願者の個性や資質、意欲等、多様な潜在能力も勘案し、多面的な選抜

方法を採用する。

3)学力検査においては、理解力、表現力、思考力、英語力等をみる総合的な試験を実施する。

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先導科学研究科

研究科の目的

本学創設の理念及び目的に基づき、学融合により従来の学問分野の枠を越えた国際的な学術研究の推

進及び学際的で先導的な学問分野の開拓を行い、国際的に通用する高度な専門性と広い視野を備えた人

材の育成を目的とする。

研究科の基本方針

先導科学研究科は、生命共生体進化学専攻をおく単一専攻研究科である。生命共生体進化学専攻は、

進化を軸にした生命現象の解明と、科学技術と社会との関係の探求を目指した教育・研究を行い、国際

的に通用する高度な専門性と広い視野を備えた研究者を育成することを目的とする。

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生命共生体進化学専攻

専攻の目的

生命の時空的な広がりを通して生物、人間及び社会に関する専門知識及び研究能力の修得を基本とし

て現代社会での科学と技術のあり方を考究する教育研究を行い、新しい生命観、人間観を切り拓くとと

もに、これからの持続可能な社会の構築に貢献する高度な専門性及び広い視野を備えた人材の育成を目

的とする。

専攻の基本方針

生命共生体進化学専攻は、進化を軸にした生命現象の解明と、科学技術と社会との関係の探究を目指

した教育・研究を行い、国際的に通用する高度な専門性と広い視野を備えた研究者を育成する。

専攻の学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

本専攻で博士の学位を取得する人は、以下の能力をつけているものとする。

・ 進化を軸とした生物学分野、科学と社会分野のいずれかまたは両方で、卓越した研究を自立的に行

うために必要な能力

・ 国際的な舞台で発表・議論できる、高い専門能力およびコミュニケーション能力

・ 科学研究について広い視野をもち、とくに科学の社会における役割について俯瞰的に考察できる能

専攻の教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

学生は、本専攻で博士の学位を取得するにふさわしい能力を身につけるため、以下のカリキュラムに

従って教育を受ける。(履修プロセスのモデル参照)

・ 専攻のカリキュラムは、総合・国際教育科目群、基礎教育科目群、専門教育科目群、および先導科

学考究、先導科学プログレス、先導科学特別研究からなる。全学に開かれた特別教育プログラムの

科目は、専攻のカリキュラムを補完するものとして位置づける。

・ 総合・国際教育科目群と基礎教育科目群は、広い視野とコミュニケーション能力を身につけること

を目的とする。必修 3 科目のうち「フレッシュマンコース」では研究を始めるに当たっての心構え

を、「科学技術と社会」と「先導科学実習」では、科学研究についての見方を広い視点で学ぶ。

・ 専門科目群には専門性の高い科目を置き、高い専門性を身につけることを主目的とする。加えて広

い視野を涵養するため、学生は複数の分野から 5科目以上を選択して履修する。

・ 先導科学考究、プログレス、特別研究は、自立的に研究を行うのに必要な基礎的能力を身につける

ことを主目的する。最終的には専門分野の学術雑誌などに主著者として論文を発表、発表した論文

をもとに学位論文を執筆する。 この一環として、国内外の学会などに参加し、発表と討論の技術を

実地で学ぶ。

学位論文提出の条件として課す副論文は、科学研究についての広い視野と、科学の社会における役割

を俯瞰的に考察できる能力を身につけることを目的とする。副論文の執筆にあたり、生物学分野の学生

は、科学と社会分野の教員から、科学と社会分野の学生は、生物学分野の教員から指導を受ける。

講義・実習科目は各担当者がレポート等によって評価する。特別研究等、その他の科目は専攻委員会

での議論をへて、合議で評価する。

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履修プロセスのモデル

専攻の入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

求める学生像

・ 分子から生態系にいたる生物現象を、広く深く探究する意欲のある人

・ 科学およびその社会との関係を、広く深く探究する意欲のある人

・ 専門の狭い領域にとどまらない幅広い関心と国際的視野をもつ人

入学者選抜の基本的な考え方

出願書類及び面接により、出願者の学問に対する熱意、意欲、基礎学力、表現力、論理性、英語力、

研究者としての適性等の点を評価し、採点する。

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