分子生物学的手法でみる家畜排泄物コンポストの微生物群 集...

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分子生物学的手法でみる家畜排泄物コンポストの微生物群 集ダイナミクス 誌名 誌名 畜産の研究 = Animal-husbandry ISSN ISSN 00093874 巻/号 巻/号 681 掲載ページ 掲載ページ p. 149-154 発行年月 発行年月 2014年1月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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分子生物学的手法でみる家畜排泄物コンポストの微生物群集ダイナミクス

誌名誌名 畜産の研究 = Animal-husbandry

ISSNISSN 00093874

巻/号巻/号 681

掲載ページ掲載ページ p. 149-154

発行年月発行年月 2014年1月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

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149

分子生物学的手法でみる家 畜 排 j世物コンポストの

微生物群集ダイナミクス

山本 希 l ・浅野亮樹 2 ・小 田 和 賢 一 3 .大石 竜 3

吉井啓貴 3 ・多田千佳 3 ・中井 裕 3

概 要

コンポスト化は家畜排世物を安定化させ,有機質

肥料へと変換する生物学的フ。ロセスである。コンポ

スト化にはおもに真正細菌(バクテリア),古細菌と

いった原核生物が関わっている。真正細菌はコンポ

ストで巨大なコミュニティを作っており,有機物質

の分解に重要な役割を果たしている。しかし,プロ

セス全体の細菌群集の動態を追跡した研究は少な

い。また,古細菌に関してはその役割が完全に明ら

かとはなっていない。そこで,家畜排波物のコンポ

スト化を対象に,分子生物学的手法を用いて 2生物

群の群集動態を解析した。本稿では,牛ふんコンポ

ストを中心に,どのような原核生物がどの時期に

存在するのか,そのパターンの一部を紹介する。

はじ め に

コンポスト化は国体の排湘:物処理法の一つであり,

有機物の無機化,微生物の安定化,悪臭低減,病原

性微生物の殺滅などの利点をもっ(Bemalら, 2008)。

さらに,高品質の肥料として農業土壌に用いること

が可能である (Haga,1999)。排世物をコンポスト化

するにあたっては,微生物(原核生物,菌類)が分解

者として重要な役割を果たしている(図 1)。微生物と

いってもその種は多様であり,さらに温度, pH,

水分量,酸素量などの影響により ,その種構成は

変化する (Schlossら,2003)。原核生物である真正

細菌は,微生物のなかでも存在量が多く,系統学

的にも多様であるため,コンポスト化の主要な分

解者であると考えられている (Ryckeboerら, 2003)。

真正細菌群集を詳細に解析することは,原料が

i東京工業大学大学院生命理工学研究科 (Nozomi Yamamoto)

2秋田県立大学大学院生物資源科学研究科 (Ryoki Asano)

3東北大学大学院農学研究科 (Kenichi Otawa, Ryu Oishi,

Hiroki Yoshii, Chika Tada, Yutaka Nakai)

どのように分解されているのかを明らかにすること

になり,コンポスト化の安定な進行や産物の品質評

価にも有効である。一方,古細菌は真正細菌と同じ

原核生物であるが,おもに独立栄養性で極限環境や

絶対嫌気環境に存在しており,コンポストにおいて

は少数種であると考えられてきた (Insamand de

Bertoldi, 2006)。しかし,近年では好気的に処理され

ているコンポストからもメタンガスが発生すること

が報告されており,メタン生成古細菌の存在も示さ

れている(白井ら,2004; Gattingerら,2007)。他の

系統の古細菌については柄主そのものが不明で、あった。

例えばアンモニア酸化古細菌(AOA)は近年になって

発見 ・分離された古細菌である。AOAは他の古細菌

と異なり ,土壌 ・海水 ・温泉などの中温ないしは高

温環境に存在し (Konneke ら,2005; Leiningerら,

2006 ; Treusch ら, 2005),アンモニアを亜硝酸に酸

化する機能をもつことから,地球の窒素循環に必須

な生物であると考えられ,多くの研究者が注目して

いる。コンポスト化過程においても,肥料成分の一

つである硝酸生成の初期反応として,アンモニア酸

化反応は重要である。コンポストの窒素成分変化の

角平明には, AOAの存在の有無やその存在量を明らか

にすることが必要である。

そこで本稿では,われわれが行った真正細菌と

古細菌群集構造解析の研究について紹介する。

A!il分解約司令・長建物 -・唖lタンパク質・1災Bヒ物・m日!iIl圃雪国鴎 ..

配r~椛分解性有機物 ~m物l司・・rtnlJレロース・リゲニン! ~ E

TE事 ;:71図l コンポスト化過程における微生物の役割

0369-5247/14/干500/1論文/JCOPY

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760

Cの高温期から温度降下期にかけて,Finnicutes

門グ、ルーフ。が優占した。そのなかでも高温で有機物

分解を担うとされる Bacillales 目のグ、ループと

Clostridiales目のグ、ルーフ。が多数を占めた。 C/N比

が 8~20 日目の聞に 39 . 4から 29.5に大きく低下し

たことから,両グノレープにより有機物分解が行われ

ていたことが示唆された。その後 Firmicutes門のグ

ノレープは減少し,代わって Actinobacteria門と

Proteobacteria門のグ、ループが増加 した。Actinobacteria

門は難分解性有機物(セルロースなど)を分解する細

菌種が属しており,これまでにも終了時のコンポスト

からの報告がある (Greenら, 2004)。処理終了時には,

(2014年)

第 1号第 68巻

ト 化過程における

真正細菌 群 集 構 造

畜産の研究

ンポス

150

コンポストに存在する細菌群集全体のうち,培養

可能な真正細菌は全体のわずか 8.5%である(糞ら,

2005)。このため,真正細菌群集構造の解析には,

培養によらない分子生物学的手法が用いられてい

る。 とくに,原核生物すべてがもっ 16S1悶ぜA遺伝

子を標的とした解析が広く行われている。解析には,

おもに 2種類の手法が用いられている(図 2)。一つ

は変性剤濃度勾配ゲノレ電気泳動 (DGGE)法で, PCR

産物中の間ーの長さの DNA断片を,塩基配列の違

いからゲノレ中で分離することが

できる。このため,群集構造の変

化をパターン化できる有効な手

法である。しかし,存在割合が少

ない種は検出が困難であること

や,解析できる塩基配列の長さが

限られるなどの問題がある。一方,

クローンライブラリ法は数 Kbp

までの長い坂基配列を解析する

ことが可能であり,群集構造をよ

り詳細に解析できる。さらに解析

数を増やすことで,存在割合が低

し、少数種であっても検出が可能

となる。家畜排池物コンポストに

ついては先行研究がいくつかあ

るが (Cho ら, 2008; Greenら,

2004; Maedaら,2010; Sasakiら,

2009 ; Yamamotoら,2009),処理

過程で細かく追跡 した研究は少

ない。このため今回はクローンラ

イブラ リを用いて,牛ふんコンポ

スト化過程における群集構造解

析を行った。

コンポス ト化試験は 28日間の

撹持処理と 84日間の堆積処理の

計 112日間行い, 5段階のサンプ

ノレを選択して解析を行った (図 3,

4)。処理開始時のサンプルはおも

に牛ふんから多数検出されてい

るFirmicutes門と Bacteroidetes門

のグ、ルーフ。が優占した。その後約

コンポストからDNAを抽出PCRで標的となる遺伝子領域を増幅

E二二---ニニニコ E二--ニニニニニコ ・・・・・・・・・・・圃圃

ピ?も1変性剤濃度勾配ゲル電気泳動 (DGGE)法クローンライブラリ法 |

ポリアクリルアミド中で電気泳動 プラスミドに組み込み

宮崎lクーl遺伝子

遺伝子を系統学的に分類,カウント

A門 lクローン 恥主圃・B門:2クローンLー〉塑 iC門:3クローン .i'il

(求)胡布市長

50

40

30

20

90

80

70

60

100

遺伝子を系統学的に分類

図 2

A

DGGE法およびクローニング法の概要

A A

+ 温度

A A

80

70

60

50

40

30

20

(υ。)齢層

10

以 0

112

水分量

ιーーーー」

42 56 70

処理日数(日目)

コンポスト化処理中の温度および水分量の変化

98 84

ι

28 14

図 3

10

。。

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100

山本他:分子生物学的手法でみる家畜排池物コンポストの微生物群集ダイナミクス 151

20

処理日数(日目)

図4 真正細菌群集構造の変化

80

ハUn

U

ρ

h

u

a

q

ポ)

hw

一一柳夜零

20

。 。 5

群集構造の多様性はさらに増加し,先に挙げた

Firmicutes門, Bacteroidetes門, Actinobacteria門,

Proteobacteria門の他, Acidobacteria門も検出された。

グ、/レーフ。内を詳細にみると,既報の牛ふんコンポス

ト(Yamadaら, 2008)や土壌由来の種に近縁なグ

ノレープが検出された。これは本研究のコンポストが,

他のコンポストおよび土壌の状態に近いというこ

と,つまり 一般的なコンポストを表す構造に近いこ

とを示唆した。コンポスト問で共通する真正細菌種

はコンポストの処理状況を評価できる指標菌とし

ての可能性がある。

コンポスト化過程における

古細菌群集構造

コンポストにおける古細菌は,前述のとおり嫌気

性のメタン菌のみが明らかとなっていた。近年発見

された AOAは好気性で,生息環境も自然環境のみ

ならず水田や活性汚泥,水槽などの人工環境も含ま

れる (Hatzenpichlerら, 2008; Konnekeら, 2005;

Leiningerら,2006; Treuschら, 2005)。さらに,同

じ機能をもっ真正細菌 (AOB)よりも存在量が多い

環境もあることから,環境に及ぼす影響は真正細菌

に匹敵するだろう 。ではコンポストの場合はどの

ような古細菌が存在しているだろうか。

そこで30日間の牛ふんコンポスト化試験を行い,

6処理段階のサンプルから古細菌群集構造の変化を解

析した(図5,6)。その結果,コンポスト中のほとんど

分類グ、ルーフ。(門)

ロUnclassified

図other

国Actinobacteria

置 Mollicutes

田Gammaproteobacteria

ロBetaproteobacteria

囚Alphaproteobacteria

・Firmicutes• Bacteroidetes

28 112

の古細菌は,メタン菌か AOAのどちらかに近縁で

あることが明らかとなった。コンポストは団粒構造

をもっており,中心に近い嫌気部分にメタン菌が,

好気部分に AOA が存在していると推測される。

また高温期が長く,通気も充分な好気的処理を行っ

ていた牛ふんコンポストも,メタン菌が生存できる

可能性は高い。コンポストからの温暖化ガス発生を

抑制するためにも,メタン菌の増殖抑制やガス量測

定などの研究が必要となるだろう。また, AOA の

存在が初めて示され,コンポスト中のアンモニア酸

化反応に古細菌も寄与していることが明らかと

なった。

80 100

70 80

60

~ 50 60 ポ) L)A 40

自3040 調4司

+毛20 + 温度

20 10 企水分量

。 。。 10 20 30 処理日数 (日目)

図5 コンポスト化処理中の温度および水分量の変化(古細菌群集構造解析サンプノレは白抜き四角の

段階で採取した)

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152

100

80

さ 60

司ロ

雲40

+ロ←耳

20

。。

畜産の研究第 68巻 第1号 (2014年)

分類グループ(属)

~ Other Euryarchaeota

ロOtherCrenarchaeota i >-AOA

• Ca11didatlls Nitrososphaera spp. J

目Othermethanogen

• Met/.附

口Metha110SG/口11aspp

菌ン/々・1f

¥1ll〉

|llJ

2 6 16 24 30

処理日数(日目)

図 6 古細菌群集構造の変化

各グ、ルーフ。の存在割合をみてみると,処理開始か

ら2日間は,メタン菌のグ、ループが優占している事

がわかった。これらのグループは地下水,ルーメン,

排f世物由来のメタン菌と近縁で、あったことから,処

理開始時の古細菌群集は排池物に由来していると

考えられる。その後,温度が上昇した段階では,別

のメタン菌のグループが優占した。これは高温性

Methanosarcina属に近縁で,排f世物以外を原料とし

たコンポス トでも検出されている (Thummes ら,

2007)。高温により排rt量物由来のメタン菌が生存で

きなくなり ,代わって高温耐性のメタン菌の存在割

合が増加 したと思われる。

一方, AOAは 3グ、/レーフ。検出されたが,処理

過程すべてで lグ、ルーフ。が大きく優占していた。

このグ、ループは温泉から分離された Candidatus

Nitrososphaera gargensisに高い相向性をもっており,

とくに 6日目 から 30日固までは古細菌群集全体の

4~6 割を占めた。 AOA はさまざまな環境に生息し

ているものの,汚水のようなアンモニア濃度の高い

環境では,その存在量は少なし、 (Wellsら,2009)。

このため, アンモニア濃度が比較的高い処理中の

コンポス トでは,この AOAグループが他の環境由

来の AOAグ、ルーフ。よりも温度やアンモニア濃度な

ど,さまざまな環境変化に対 して適応していること

を示唆する。

家畜排 j世物の種類と

AOAの多 様 性

牛ふんから新たなアンモニア酸化生物として

AOAが検出されたことから,コンポスト化過程での

窒素循環に関する知見が更新された。排f世物中の

タンパク質(アミノ酸)がアンモニア,亜硝酸を経て

硝酸に変換されるという反応はどの畜種の排世物

でも起こっていると考えられるため I他のコンポ

ストでも AOAが寄与しているか」という ことにつ

いて疑問が残る。そこで,牛ふん ・豚ふん ・鶏ふん

を原料とするコンポスト化施設を複数調査し,AOA

の分布とその存在量について解析 した。原料からは

どの畜種からも AOA由来の遺伝子が検出されな

かった。このため,AOAは処理途中から増加する

と思われた。しかし,豚ふん,鶏ふんコンポス トで

はほとんどの施設で AOAが検出されなかった。

AOAが検出されたコンポス トサンプルで、は,AOA

が3グ、ループのいずれかに属しており,とくに牛ふん

コンポストで AOAが検出されることが分かつた。

グノレープは前項の牛ふんコンポストで優占 した

Candidatus Nitrososphaera gargensisに近縁なグノレー

プ,温泉由来AOAに近縁なクソレープ,汚水由来AOA

に近縁なクツレープで、ある。AOAの存在に影響する

因子についてはいくつか考えられるが,畜種による

初期窒素量の差,すなわちアンモニア濃度が一つの

要因ではなし、かと思われる。

AOAとAOBの存在量'の比較を行ったと ころ,施

設によって異なる結果が得られた(図 7)。その割合

はAOBと比べてo.06~ 10 . 54倍とさまざまであり,

AOB のみが検出された施設も存在した。各施設の

処理状況(戻 し堆肥添加の有無,撹枠回数な ど)が

影響を及ぼしていると考えられる。

土壌では, AOAとAOBの存在量に加え,アンモニ

ア酸化活性の比較研究もされている (Leiningerら,

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山本他:分子生物学的手法で、みる家畜排継物コンポストの微生物群集ダイナミクス 153

2006)。コンポスト中の AOA,AOBについても,存

在量とともにアンモニア酸化活性の比較を行うこ

とにより,硝酸と しての窒素成分を増加させる処

理法や,微生物資材としての利用が望めると考えら

れる。

結論

本研究では,実規模施設の牛ふんのコンポスト化

過程に存在する微生物の生態を解明するため,分子

生物学的手法を用いて処理進行に関わる真正細菌

および古細菌の群集構造を詳細に解析した。コンポ

ストや土壌由来細菌の優占は,コンポスト化が好気

的に進行しているか,嫌気的に進行しているかを

端的に判断できるため,コンポスト化の評価対象と

して用いることができると思われる。好気条件で

行った牛ふんコンポスト化過程にも嫌気性のメタン

生成古細菌が存在し,嫌気微細環境でメタン菌に

よるメタン産生の可能性が改めて示された。処理

過程におけるコンポストからのメタンガス産生の

抑制,および土壌添加時に懸念される,土壌へのメ

タン菌の供給低減をはかるためには,コンポスト中

のメタン菌のメタン生成活性および嫌気微細環境

の分布割合やメタン菌の存在条件に関する研究が

求められる。

さらに古細菌群集のなかでもコンポスト化過程

において AOA群集が存在すると示されたことは重

要な結果である。本研究では明らかにされなかった,

コンポスト環境因子が AOAの多様性に及ぼす影響

を解明していくことが重要である。

さらに各生物の役割を明らかにするには, RNA

に注目し,その活性からどの生物が活発に働いて

いるかを解析する必要がある (Halet ら, 2006;

Kowalchukら, 1999)。また,近年多く行われてい

るメタゲノム解析は,環境中からの DNAを網羅的

に解析する手法である。このため,多様で複雑な

コンポスト中の微生物群集を,種構成 (16SrRNA

遺伝子など)と機能組成(各種酵素遺伝子)の両方か

ら評価することが可能である (Martinsら, 2013)。

いくつかの解析を組み合わせることで,コンポスト中

で微生物がどのように変化するのか,という基礎的

知見だけでなく,有用な新規機能性遺伝子や生物の

取得,よりよい処理過程制御法の提案にもつながる

と考えられる。

謝辞

この研究の一部は文部科学省特別教育研究経費

連携融合事業「地球共生型新有機性資源循環シス

テムの構築(PICS)Jの支援を受けて行われた。

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154 畜産の研究第68巻第1号 (2014年)

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[農業畜産情報]

和子牛高騰止まらず一気に 53万円台全農 11月

和子牛の相場がさらに一段上げた。 JA全農がまとめた 11月の取引結果 (43市場)によると, 1頭当

たりの平均価格は 2007年 1月以来6年 10カ月ぶりに 53万円台(前年比 25%高)に乗せた。全国的に子

牛が少ない中,肉牛の出荷最盛期となる年末に向けて逼迫感が強まった。相場が一服する気配は見られ

ず,今後も強含みの相場で推移するとの見方が強い。

同月の取引頭数は,前年(43市場)に比べ 3%少ない 2万 7732頭。 10年の口蹄疫, 11年の東日本大震

災の影響で繁殖雌牛が全国的に減っており,今後も子牛の急増は見込めない状況だ。

供給が需要に追い付かず,取引価格は異例の高値が続いている。 11月は集計対象市場の全てで、前年水

準を大幅に上回り,うち 9割以上が l頭平均 50万円を超えた。 55万円を上回った市場も東北,関東,中

部,関西,九州と各地で見られる。

最高値となった鹿児島県の薩摩家畜市場では, 1頭 58万 1580円で取引された。岡市場を開設する JA

北さつまは「安福久の産子が人気で,県外購買者が増えている」と説明。全国的な不足感を反映し,せ

りは肥育農家による争奪戦の様相を呈している。

高値続きの相場に危機感を抱いた大規模肥育農家の一部では,繁殖用に雌を手当てし,子牛の自家調

達に乗り出す動きが出始めた。 11月は雌も l頭 50万円に迫る高値となり,相場の底上げにつながった。

雌の相場上昇を受け「繁殖農家の母牛更新が困難になる恐れもあるJ(九州|の家畜市場関係者)との声も

上がる。

肥育農家の導入意欲に陰りは見られず,年末年始にかけて相場はさらに上げる公算が大きい。 JA全農

九州素牛駐在事務所は「年末に空いた牛舎の補充需要も見込まれるため,来春以降も強気の展開が続き

そうだJとみる。