植物生理学 第1回小テスト試験問題(2014 年5月15...

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植物生理学 第1回小テスト試験問題(2014 5 15 日実施) (注意) ・試験は 40 分です.解答の分量は,時間を考慮してあらかじめ準備ください. ・テスト問題は,下の問のうち4つ程度を出題します. ・解答案は教科書とプリントを参考に作成しておくこと.教員に相談してもよい. 問1 次の細胞小器官の役割を,それぞれ 150 字以内で説明しなさい. 1) 色素体, 2) リボゾーム 3) 細胞膜 4) 小胞体 問2 遺伝子が発現しタンパク質ができるまでの過程を,説明しなさい.ただし,次の過程に分け て説明すること(それぞれ 300 字以下とする). 1) DNA が転写されて mRNA が核の外に輸送されるまで 2) mRNA が翻訳されてタンパク質ができるまで. 問3 次の用語を説明しなさい. 1) 調節配列と転写制御因子(150 字程度) 2) RNA ポリメラーゼ(150 字程度) 問4 オーキシンの量が増えて,その生理作用が発現するまでの過程を説明しなさい(オーキシン が増えすぎて作用を抑制する過程は説明しなくてもよい). 問5 カリウム濃度は細胞内で高く,細胞外で低い.通常,その状態は保たれている(平衡状態). しかし,カリウムイオンはこの濃度勾配に逆らって細胞内に取り込まれることがある.このしく みを,( )内の語句を用いて説明しなさい.(⊿μ,平衡電位,プロトンポンプ) 問6 次の用語を説明しなさい.とチャンネルについて説明しなさい. 1) 広義のトランスポーター,狭義のトランスポーター(300 字程度) 2) チャンネル(150 字程度) 問7 別紙1には細胞を様々な浸透圧の溶液に浸漬させたときに,水ポテンシャルやその構成要素 が変化する様子が示してある.テストでは,この数値の穴埋め問題を出題する. 問8 授業では,光合成全体の過程を 4 つに分けて説明した.その 4 つの過程の役割を,それぞれ 述べなさい.

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植物生理学 第1回小テスト試験問題(2014年 5月 15日実施)

(注意)

・試験は 40 分です.解答の分量は,時間を考慮してあらかじめ準備ください.

・テスト問題は,下の問のうち4つ程度を出題します.

・解答案は教科書とプリントを参考に作成しておくこと.教員に相談してもよい.

問1 次の細胞小器官の役割を,それぞれ 150字以内で説明しなさい.

1) 色素体,

2) リボゾーム

3) 細胞膜

4) 小胞体

問2 遺伝子が発現しタンパク質ができるまでの過程を,説明しなさい.ただし,次の過程に分け

て説明すること(それぞれ 300字以下とする).

1) DNA が転写されて mRNAが核の外に輸送されるまで

2) mRNA が翻訳されてタンパク質ができるまで.

問3 次の用語を説明しなさい.

1) 調節配列と転写制御因子(150 字程度)

2) RNAポリメラーゼ(150字程度)

問4 オーキシンの量が増えて,その生理作用が発現するまでの過程を説明しなさい(オーキシン

が増えすぎて作用を抑制する過程は説明しなくてもよい).

問5 カリウム濃度は細胞内で高く,細胞外で低い.通常,その状態は保たれている(平衡状態).

しかし,カリウムイオンはこの濃度勾配に逆らって細胞内に取り込まれることがある.このしく

みを,( )内の語句を用いて説明しなさい.(⊿μ,平衡電位,プロトンポンプ)

問6 次の用語を説明しなさい.とチャンネルについて説明しなさい.

1) 広義のトランスポーター,狭義のトランスポーター(300字程度)

2) チャンネル(150 字程度)

問7 別紙1には細胞を様々な浸透圧の溶液に浸漬させたときに,水ポテンシャルやその構成要素

が変化する様子が示してある.テストでは,この数値の穴埋め問題を出題する.

問8 授業では,光合成全体の過程を 4 つに分けて説明した.その 4 つの過程の役割を,それぞれ

述べなさい.

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【実際の細胞】 植物細胞は膨圧がないと細胞が伸びたり,生存していけないため,塩水の中や乾燥条件のようにΨwが低下したとき, Ψsを低下させて膨圧を維持しようとする.

純水 Ψp = 0 MPa Ψs = 0 MPa Ψw= Ψp + Ψs =0 MPa

(A) 純水 (B) 0.1 M ショ糖溶液

0.1M ショ糖溶液 Ψp = 0 MPa Ψs = -0.244 MPa Ψw= Ψp + Ψs =0 - 0.244 MPa =-0.244 MPa

(C) 萎れた細胞をショ糖溶液に入れる 萎れた細胞

Ψp = 0 MPa Ψs = -0.732 MPa Ψw = -0.732 MPa

平衡後の細胞

Ψw = -0.244 MPa Ψs = -0.732 MPa Ψp = Ψw -Ψs = 0.488 MPa

膨れた細胞

(D) ショ糖濃度を上げる

Ψp = 0.488 MPa Ψs = -0.732 MPa Ψw= -0.244 MPa

0.3M ショ糖溶液 Ψp = 0 MPa Ψs = -0.732 MPa Ψw= -0.732 MPa

平衡後の細胞

Ψw = -0.732 MPa Ψs = -0.732 MPa Ψp = Ψw -Ψs = 0 MPa

(E) 細胞に圧力を加える 細胞を加圧して半分の水が絞り出されたとする. Ψs は-0.732 MPaの2倍の-1.464 MPaとなる.

Ψw = -0.244 MPa Ψs = -0.732 MPa Ψp = Ψw -Ψs = 0.488 MPa

最初の状態の細胞 0.1M ショ糖溶液

後の状態の細胞

Ψw = -0.244 MPa Ψs = -1.464 MPa Ψp = Ψw -Ψs = 1.22 MPa

細胞の膨圧Ψp =細胞外のΨw+細胞内のΨs

浸透(圧)調節

細胞外 浸透ポテンシャル Ψs = -0.1 MPa 圧ポテンシャル Ψp = 0 MPa 水ポテンシャル Ψw = Ψp + Ψs = -0.1 MPa

細胞質ゾル

浸透ポテンシャル Ψs = -0.7 MPa 圧ポテンシャル Ψp = 0.5 MPa 水ポテンシャル Ψw = Ψp + Ψs = -0.2 MPa

平衡状態の細胞 細胞内と細胞外のΨwが同じ

別紙1