Career Step 自律的にP-D-C-Aサイクル 5 を廻そう · 30...

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Career Step 27 ACTION DO PLAN CHECK 次に、同じような 行動をする際に どこをどのように変えれ ば良いかを具体化・明確 化する。 結果を振り返り、うまく いった理由、うまくいか なかった原因などを分析する。 立てた目標に基づき 実行する。 ※想定外の事態が発生した ときは柔軟に対応する。 目標を立て、その目標を達成 するための計画を作る。 自律的にP-D-C-Aサイクル を廻そう 〜経験を通して学ぶ力を身につけよう〜 5 目標を達成する力を鍛えよう 「CONTENTS:4.この人のようになりたいと思う人を見つけましょう」で述べた、あの人のように なりたい、あるいは、何でもいいから何かに徹底的に打ち込んでみたいというものが出てきた時に、 それをどのように達成するかということを考える必要が出てきます。皆さんはこれまでもさまざ まな目標を立てて、その達成に取り組んできた経験があるかと思いますが、実は目標を立てて取 り組むということをちょっとしたスキルとして身につけることで、自己成長のためのツールとし て活用することができるようになります。そのスキルとは、自律的にP-D-C-Aサイクルを廻す癖を つけるということです。 P-D-C-Aサイクルとは PLAN-DO-CHECK-ACTIONの4つのステップを行って物事を行うことをそれぞれの頭文字をつな げて「P-D-C-Aサイクル」、または、「マネジメントサイクル」といいます。学生時代からこれを意識 的に行うことで、社会に出て働くうえでの必要な力が徐々に身についてきます。4 つのステップで 行うことは、以下のとおりです。

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Career Step

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ACTION D O

PLAN

CHECK

❹ 次に、同じような行 動 を す る 際 に

どこをどのように変えれば良いかを具体化・明確化する。

❸ 結果を振り返り、うまくいった理由、うまくいか

なかった原因などを分析する。

❷ 立てた目標に基づき実行する。

※想定外の事態が発生したときは柔軟に対応する。

❶ 目標を立て、その目標を達成するための計画を作る。

自律的にP-D-C-Aサイクルを廻そう〜経験を通して学ぶ力を身につけよう〜

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目標を達成する力を鍛えよう 「CONTENTS:4.この人のようになりたいと思う人を見つけましょう」で述べた、あの人のように

なりたい、あるいは、何でもいいから何かに徹底的に打ち込んでみたいというものが出てきた時に、

それをどのように達成するかということを考える必要が出てきます。皆さんはこれまでもさまざ

まな目標を立てて、その達成に取り組んできた経験があるかと思いますが、実は目標を立てて取

り組むということをちょっとしたスキルとして身につけることで、自己成長のためのツールとし

て活用することができるようになります。そのスキルとは、自律的にP-D-C-Aサイクルを廻す癖を

つけるということです。

P-D-C-Aサイクルとは PLAN-DO-CHECK-ACTIONの4つのステップを行って物事を行うことをそれぞれの頭文字をつな

げて「P-D-C-Aサイクル」、または、「マネジメントサイクル」といいます。学生時代からこれを意識

的に行うことで、社会に出て働くうえでの必要な力が徐々に身についてきます。4つのステップで

行うことは、以下のとおりです。

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1PLAN まず目標を掲げ、その目標を達成するための計画を作る

 自分自身で何か目標を掲げて行動する癖をつけてみましょう。人から言われたことをそのまま

鵜呑みにして実行するのではなく、自らの意志で実行することが重要です。また、目標を掲げる

際のポイントは、「いつまでに何をするのか」を具体的に取り入れることです。目標の具体化が弱

いと、後から結果を振り返ったときに、うまくいったのか、いかなかったのかが判断できなくなっ

てしまいます。

良い例 「今年の12月のTOEICで600点以上のスコアを獲得する」

悪い例 「英語を頑張って勉強する」

 計画作りはこれまでにも、受験勉強などで何度か経験はあると思いますが、スケジュールだけ

作って満足するケースが多いようです。何をどのようにやるかという手段や方法も、明確にするこ

とが必要です。さらにもう一つ重要なポイントは、途中で発生が予想されるリスクや障害を、で

きるだけ事前に洗い出しておくとともに、それに対する備えを用意しておくことです。このリス

クや障害を洗い出す能力が高まると、結果的に目標を達成する能力が高くなります。

2DO 立てた目標に基づき実行する

 実際に物事を進めていくと、当初想定していなかったような事態やアクシデントが起こること

が多々あります。その状況に応じて柔軟に対応し、必要な場合は対策を具体的に講じながら、目

標達成に粘り強く取り組み続けることが求められます。

3CHECK 結果を振り返り、うまくいった理由、うまくいかなかった原因などを分析する

 まず、結果が設定した目標に届いているかどうかをきちんと評価してみましょう。さらに、良かっ

た点、悪かった点を洗いだしてみましょう。悪かった点は、次に同じようなケースになったとき

にはどうすれば良いかを具体的に考えてみます。計画通りにうまくいった点は何が成功のポイン

トになったか、うまくいかなかった点があればその理由を具体的に洗いだしてみましょう。

4ACTION 次に同じような行動をする際に、どこをどのように変えれば良いかを具体化・明確化する

 うまくいった部分は、「より良くするにはどこを強化すれば良いのか」、うまくいかなかった部

分は「何をどのように変えれば良いのか」を具体化・明確化しておきましょう。次に同じようなこと

に取り組む際に、この経験を有効に活用することができ、同じ失敗を繰り返す確率をぐっと抑え

ることができるようになります。

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P-D-C-Aサイクルを自律的に廻し、物事に取り組む癖をつける P-D-C-Aサイクルはどんなことに対しても有効です。自分が「こうしたい!」と思って何かをやろ

うとするときには使うことができます。無意識に廻す癖をつけると良いでしょう。また、P-D-C-A

サイクルを自律的に廻す習慣ができると、以下のような能力の習得につながります。

1目標を達成する能力が高まる 社会で働くうえで必要な力とは、「組織の中で与えられた役割の中で、一定の成果を自主的自律的な活動により出し続ける力」であるとキャリアノート冒頭でも述べました。つまり、組織の中で与えられた役割に応じて目標を与えられ、それを達成することが求められるというこ

とです。P-D-C-Aサイクルの特にPLANの部分、すなわち、具体的な目標を設定し、それを達成す

るための実現性の高いシナリオを作る能力を鍛えることで、目標を達成する能力を身につけるこ

とができるようになります。

2新しい物事に対する応用力が身につく 何度もP-D-C-Aサイクルを廻していると、だんだんと経験値が増えてきて、何か新しい物事に取

り組むときにも、過去の経験の中から近いものや応用できるものが出てくるようになります。まっ

たく同じではないが似たようなことをやったことがあるなあ・・と感じることが多くなり、やった

ことがないものに対する不安や抵抗感が少なくなっていきます。

3経験を通して学習するスキルが身につく これまでの学生生活では、皆さんは本を読んだり、講義を聞いたりして学んできました。この

学習スタイルは社会人になってからも必要なのですが、もう一つ経験を通して自律的に学ぶとい

うスキルが求められてきます。P-D-C-Aサイクルの特にC-Aの部分(うまくいった原因、うまくいかなかった原因を明らかにし、次に行うときにはどうやればうまくいくのかを具体化する)をしっかり行うことで、自分の経験の中から今後の自分の行動にフィードバックできるノウハウを学ぶことができ、経験を通して学ぶスキルを身につけることができるようになります。

目標達成能力

P-D-C-Aサイクル ▶▶

応 用 力

学ぶスキル

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P-D-C-Aシートに記入してみましょう

❹ うまくいかなくなる状況を想定し、それに対する具体的な対策を書きましょう。

❺ 実際に取り組んでいるときに起きた想定外の問題点があれば書きだし、さらにそ

れに対して実際に行った対策を書きましょう。❻ すべてを包括的にとらえるので

なくさまざまな視点から良かった点、悪かった点を書きましょう。

❼ 今後の自分の行動に反映できるようできるだけ個別的、具体的に書きましょう。

❸ 目標を達成するために取り組むことを具体的に書きましょう。

❷ 達成するためにどのような方法に取り組むかの基本的な方針を書きましょう。❶ 目標はいつまでに何をどこまで行

うのかを具体的に書きましょう。

31各ワークシートは、就職支援室HPからダウンロードしてご利用ください。

http://ghp.adm.kanazawa-u.ac.jp/archives/1382.html

P-D-C-Aシート

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P-D-C-Aサイクルの実践例〜いろいろなことに取り組んでみましょう〜

 シートの記入例では勉強についての例を書きましたが、以下の例のようにいろいろなことで活用することができます。

(活用例)▪�部活動で、秋の北信越大会で団体優勝という目標を立てた(目標の具体化)。どうすれば優勝できるのかを皆で検討した結果、毎年負けている○△大学に勝つことが優勝につながるという方向で、戦略を立てることになった(戦略立案)。そのために、○△大学の弱点を探り、そこを突く戦術を検討し、練習を強化した(実行計画)。他の部員からはそこまで勝ちにこだわる必要がないのではという不満もでたが、説得し大会直前まで練習を続けた(実行中に起こった問題とその解決)。結果は、○△大学には勝つことはできたが、他のチームに負けてしまい、優勝できなかった。○△大学に勝つための戦術転換が自分たちのチームの強みを弱めてしまっていたことが要因だった(うまくいった理由とうまくいかなかった理由の具体化)。来年優勝するためには、自分たちのチームの強みを残しつつ、○△大学に勝つ戦術を維持するという二つの課題をこなさねばならないことを学んだ(次にどのようなことをすべきか)。

▪�アルバイト先のコンビニで店長から、主にシフトに入っている時間帯(17時-22時)の売上を伸ばすために何か工夫をするように頼まれた。どうせなら具体的な目標を設定したほうが良いと思い、売り上げを3か月後に現在の1.2倍に伸ばすという目標を設定した(目標の具体化)。自分の店はリピータ客が多いようなのでリピータ客の売上単価を伸ばすような方策を考えるようと思った(戦略立案)。リピート率の高い商品を調べ、その商品に関連する分野の商品の品ぞろえを増やし、リピータ客と仲良くなって、そうした商品を提案できるように積極的に声掛けをするべきと考え、店長とアルバイトの仲間に働きかけた(実行計画)。店長からは限られたスペースで品物をこれ以上増やすことができないといわれ、アルバイト仲間の一部からは反発され、さらに、協力してくれたアルバイト仲間も声のかけ方が不自然で、お客様からクレームがでてしまった。そこで、もう一度売上データを調べて、一緒に購入する確率の高い商品を調べ、それをお客様に勧めるような話し方に限定して話しかける工夫を行った(実行中に起こった問題とその解決)。結果はリピータ客の売り上げは1.5倍に伸ばすことができたが、季節商品の売り上げが落ちて、全体としては1.15倍の売り上げにとどまった。季節ごとに売れる商品が変わることを見落としてしまっていたのが要因だった(うまくいった理由とうまくいかなかった理由の具体化)。季節商品の売り上げとリピータ客の売り上げの比率について、もう少しきちんと調査してから作戦を立てるべきであった(次にどのようなことをすべきか)。

Column コラム

P-D-C-Aサイクル

趣 味

アルバイト

部 活

勉 強

恋 愛

友 人

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P-D-C-Aサイクルを自律的に廻す能力を高めるには1目標は心から達成したいと思うものを掲げてみる 人間はかなりわがままな生き物のようで、やらされ意識でやっているものや、人から言われて

やるようなものはあまり一生懸命やれないようです。何でも良いので、とにかく「これは絶対モノ

にしたい」と思えるようなものを見つけ、それを目標に掲げることが重要です。普通ではとても無

理と思われるようなものでも、必死にそれを実現するための方法を模索する中で、発想の転換や

自分の潜在能力を一気に引き出すことができることがよくあります。

2できるだけ具体的に考える 具体的というのは、5W2H(What,Why,Who,When,Where,How,How�many)を入れてみるという

ことです。例えば、「英語を頑張る」というのは具体的ではありません。「9月のTOEICで700点以上

のスコアを獲得する」(いつまでに何をどうするのかを具体化する)というのが具体的な内容です。

当たり前のことを言っているようですが、思考の習慣を完全に身につけるのは相当意識しないと

できないことです。

キャリアラーニングイベントに参加しよう 就職支援室で開催しているキャリアラーニングイベントに参加することで、さまざまな知識や経

験を積むことができます。さらに、キャリアラーニングイベントに参加する際には、アカンサスポー

タルで、プログレスシートといわれるシートを作成する必要がありますが、このシートはP-D-C-A

サイクルの流れに基づいて作成していきます。イベント参加を通して、P-D-C-Aサイクルを廻す仕

組みになっているので、P-D-C-Aサイクルの廻し方のコツを身につける場としても活用することが

できます。

共通教育特設プログラム科目「キャリアディベロップメント入門」を受講してみよう 「キャリアディベロップメント入門」は「就業基礎力12の力」の内容とともに、「P-D-C-Aサイクル」

の自律的な運用法について詳しく解説する内容の講義です。興味のある方はぜひ受講してみましょう。

達成したい! 目 標 具体的

に!達成

したい!P-D-C-Aサイクル

P-D-C-Aサイクル